説明

測位装置、測位方法、プログラム及び撮像装置

【課題】測位手段による測位の不安定な状態における位置情報の精度の向上を図る。
【解決手段】CPU10は、撮影位置において自律航法測位による継続的計測及びGPS測位による所定タイミング毎の測定を開始する。そして、CPU10は、GPS測位によって得られた少なくとも2以上の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、自律航法測位によりGPS測位によって得られた位置データとそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における移動ベクトルとの差が所定範囲以内である場合に、少なくとも2以上の位置データのうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定める。そして、CPU10は、位置情報取得地点における位置データと自律航法測位により継続的に計測されてきた位置データとに基づいて撮影位置の位置データを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置、測位方法、プログラム及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System)などの絶対位置の測定が可能な測位手段を用いて基準地点の測位を行う測位装置がある。
【0003】
そして、このような測位装置においては、GPSの測位結果に基づき、加速度センサや方位センサなどの自律航法用センサを利用して位置情報を算出する自律航法用センサの計測誤差を修正するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−232771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の測位装置では、例えば、測位手段の起動直後においては、適切なGPS衛星からの出力情報を取得することができず、正確な位置情報が得られないことが多い。また、測位装置の環境(市街地におけるマルチパスの発生や電離層の状態など)によっても、GPSの測位結果に基づく正確な位置情報を得ることができない場合がある。そのため、特許文献1に記載の測位装置では、起動直後などの測位の不安定な状態においては、そのときの正確な位置を特定することが困難であり、その後、たとえ、安定した絶対位置の測定ができるようになったとしても、過去の測位の不安定な状態における正確な位置を得ることはできない。
【0006】
本発明の課題は、測位手段による測位の不安定な状態における位置情報の精度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、測位装置であって、
相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段と、
位置情報を測定可能な測位手段と、
少なくとも特定位置において前記移動計測手段による位置変動の継続的計測及び前記測位手段による所定タイミング毎の位置情報の測定を開始し、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内である場合に、少なくとも前記2以上の位置情報のうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定め、当該位置情報取得地点の位置情報と前記移動計測手段により継続的に計測されてきた位置変動の情報とに基づいて前記特定位置の位置情報を求める制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測位装置であって、
前記特定位置の位置情報に前記移動計測手段によって計測された位置変動の情報を積算することで移動経路上の各位置情報を算出する位置算出手段を備え、
前記制御手段は、前記特定位置の位置情報として仮の基準位置情報を前記位置算出手段に与えて、前記位置算出手段によって移動経路上の各位置情報を算出させ、前記位置情報取得地点が定められたときに、前記位置算出手段により前記仮の基準位置情報に基づいて算出された前記位置情報取得地点の位置情報と、前記測位手段によって測定された前記位置情報取得地点の位置情報との差分を前記仮の基準位置情報に加えることにより前記特定位置の位置情報を求めることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の測位装置であって、
前記測位手段は所定時間毎に位置情報を測定し、
前記移動計測手段は、前記所定時間毎に、前記測位手段と同時期に位置変動の計測を行い、
前記制御手段は、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内であると連続して所定回数判定した場合に、前記特定位置の位置情報を求めることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の測位装置であって、
前記移動計測手段は、加速度を特定可能な情報を出力する加速度センサと、方位を特定可能な情報を出力する方位センサと、を備えるとともに、前記加速度センサ及び前記方位センサからそれぞれ出力される情報に基づいて相対的な位置変動の計測を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の測位装置であって、
前記位置変動は、変動距離及び変動方位であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、測位方法であって、
相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段とを用いて、特定位置の位置情報を求める測位方法において、
少なくとも特定位置において前記移動計測手段による位置変動の継続的計測及び前記測位手段による所定タイミング毎の位置情報の測定を開始し、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内である場合に、少なくとも前記2以上の位置情報のうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定め、当該位置情報取得地点の位置情報と前記移動計測手段により継続的に計測されてきた位置変動の情報とに基づいて前記特定位置の位置情報を求める制御ステップを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の測位方法であって、
前記特定位置の位置情報に前記移動計測手段によって計測された位置変動の情報を積算することで移動経路上の各位置情報を算出する位置算出ステップを含み、
前記制御ステップでは、仮の基準位置情報を前記位置算出ステップに渡し、前記位置算出ステップで移動経路上の各位置情報を算出させ、前記位置情報取得地点が定められたときに、前記位置算出ステップにおいて前記仮の基準位置情報に基づいて算出された前記位置情報取得地点の位置情報と、前記測位手段によって測定された前記位置情報取得地点の位置情報との差分を前記仮の基準位置情報に加えることにより前記特定位置の位置情報を求めることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の測位方法であって、
前記測位手段は所定時間毎に位置情報を測定し、前記移動計測手段は、前記所定時間毎に、前記測位手段と同時期に位置変動の計測を行うものであり、
前記制御ステップでは、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内であると連続して所定回数判定した場合に、前記特定位置の位置情報を求めることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、プログラムであって、
相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段とから測定結果をそれぞれ入力して、特定位置の位置情報を求めるコンピュータに、
少なくとも特定位置において前記移動計測手段による位置変動の継続的計測及び前記測位手段による所定タイミング毎の位置情報の測定を開始させ、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内である場合に、少なくとも前記2以上の位置情報のうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定めさせ、当該位置情報取得地点の位置情報と前記移動計測手段により継続的に計測されてきた位置変動の情報とに基づいて前記特定位置の位置情報を求めさせる制御機能を実現させることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、前記特定位置の位置情報に前記移動計測手段によって計測された位置変動の情報を積算させることで移動経路上の各位置情報を算出させる位置算出機能を実現させるプログラムコードを含み、
前記制御機能は、仮の基準位置情報を前記位置算出機能に渡し、前記位置算出機能で移動経路上の各位置情報を算出させ、前記位置情報取得地点が定められたときに、前記位置算出機能により前記仮の基準位置情報に基づいて算出された前記位置情報取得地点の位置情報と、前記測位手段によって測定された前記位置情報取得地点の位置情報との差分を前記仮の基準位置情報に加えることにより前記特定位置の位置情報を求めさせるものであることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載のプログラムであって、
前記測位手段は、所定時間毎に位置情報を測定し、前記移動計測手段は、前記所定時間毎に、前記測位手段と同時期に位置変動の計測を行うものであり、
前記制御機能は、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内であると連続して所定回数判定した場合に、前記特定位置の位置情報を求めさせるものであることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、撮像装置であって、
被写体を撮像して撮像画像情報を取得する撮像手段と、
相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段と、
位置情報を測定可能な測位手段と、
少なくとも前記撮像手段による撮像位置において前記移動計測手段による位置変動の継続的計測及び前記測位手段による所定タイミング毎の位置情報の測定を開始し、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内である場合に、少なくとも前記2以上の位置情報のうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定め、当該位置情報取得地点の位置情報と前記移動計測手段により継続的に計測されてきた位置変動の情報とに基づいて前記撮像位置の位置情報を求める制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、測位手段による測位の不安定な状態における位置情報の精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態の撮像装置の全体を示すブロック図である。
【図2】撮影位置特定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】移動履歴データの一例を示すデータチャートである。
【図4】自律航法測位とGPS測位との測位結果に基づいて撮影位置の位置情報を特定する工程を説明する図である。
【図5】自律航法測位とGPS測位との測位結果に基づいて撮影位置の位置情報を特定する工程を説明する図である。
【図6】自律航法測位とGPS測位との測位結果に基づいて撮影位置の位置情報を特定する工程を説明する図である。
【図7】自律航法測位とGPS測位との測位結果に基づいて撮影位置の位置情報を特定する工程を説明する図である。
【図8】DOP値とGPS衛星の配置との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0022】
本発明の実施形態である撮像装置1について、図1を参照しながら説明する。
【0023】
本実施形態の撮像装置1は、移動中に撮影操作が行われた場合に撮影により得られた画像データを撮影地点の位置情報と対応付けて記憶しておくことのできる装置である。
【0024】
本実施形態の撮像装置1は、移動中に測位処理を行って移動経路上の各地点の位置データの記録が可能な測位装置を備えるものである。すなわち、この撮像装置1は、図1に示すように、装置の全体的な制御を行うCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)10と、CPU10に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)11と、CPU10が実行する制御プログラムや制御データを格納したROM(Read Only Memory)12と、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの送信データを受信するためのGPS受信アンテナ13およびGPS受信部14と、自律航法用センサである3軸地磁気センサ15および3軸加速度センサ16と、各種の情報表示や画像表示を行う表示部18と、各部に動作電圧を供給する電源19と、外部から操作指令を入力する操作部26と、自律航法用センサ(15,16)の計測データに基づいて自律航法の測位演算を行う自律航法制御処理部20と、自律航法制御処理部20により取得された位置データの補正演算を行う自律航法データ補正処理部21と、移動経路に沿った一連の位置データが蓄積されていく移動履歴データ記憶部22と、撮影を行うカメラ装置23等を備えている。
【0025】
GPS受信部14は、CPU10からの動作指令に基づいて、GPS受信アンテナ13を介して受信される信号の復調処理を行って、GPS衛星の各種送信データをCPU10に送る。CPU10は、このGPS衛星の送信データに基づいて所定の測位演算を行うことで、現在位置を表わす位置データを取得することができる。
【0026】
3軸地磁気センサ15は地磁気の方向を検出するセンサであり、3軸加速度センサ16は3軸方向の加速度をそれぞれ検出するセンサである。
【0027】
自律航法制御処理部20は、CPU10の演算処理を補助するためのものであり、所定のサンプリング周期で3軸地磁気センサ15と3軸加速度センサ16の計測データをCPU10を介して入力し、これらの計測データから撮像装置1の移動方向と移動量とを算出していく。さらに、CPU10から供給される基準地点の位置データに、上記算出された移動方向および移動量からなるベクトルデータを積算していくことで、移動地点の位置データを求めてCPU10に供給する。
【0028】
自律航法データ補正処理部21は、CPU10の演算処理を補助するための演算装置である。この自律航法データ補正処理部21は、自律航法制御処理部20によって算出されて移動履歴データ記憶部22に記憶される1又は複数の仮の位置データを、移動途中や移動終了の地点でGPS測位により与えられる位置データに基づいて、真正の位置データに修正するための補正演算を行うものである。この補正演算の内容については後に詳述する。
【0029】
移動履歴データ記憶部22は、例えばRAMまたは不揮発メモリなどにより構成され、例えば、図3に示されるような移動履歴データが記録される。移動履歴データは、装置移動中において取得された位置データが順次登録されるものである。
【0030】
カメラ装置23は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子と、被写体の画像を結像させるレンズ等を有し、CPU10の指令に従って撮像素子に結像された被写体の画像をデジタル信号に変換して記録する装置である。このカメラ装置23には、例えば大容量の記憶装置(記録媒体)が設けられており、撮影により得られた画像データはこの記憶装置に保存されるようになっている。
【0031】
ROM12には、自律航法機能による位置測定とGPSを利用した位置測定とを併用して移動経路上の各地点の位置データを取得するとともに、カメラ装置23によって撮影が行われた地点の位置データを求めるための撮影位置特定処理を実行するための撮影位置特定プログラムが格納されている。このプログラムは、ROM12に格納するほか、例えば、データ読取装置を介してCPU10が読み取り可能な、例えば、光ディスク等の可搬型記憶媒体、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリに格納しておくことが可能である。また、このようなプログラムをキャリアウェーブ(搬送波)を媒体として通信回線を介して撮像装置1にダウンロードされる形態を適用することもできる。
【0032】
次に、以上のように構成された撮像装置1において実行される撮影位置特定処理について、図2を参照しながら説明する。この撮影位置特定処理は、CPU10によってROM12に記憶された撮影位置特定プログラムが読み出され、これが実行されることにより実現される。また、この撮影位置特定処理は、例えば撮像装置1の電源がONされたり、あるいは、操作部26を介して始動の操作入力が行われたりした場合に実行される。なお、以下の説明において、GPS衛星の送信データに基づく測位のことをGPS測位、自律航法機能による位置測定のことを自律航法測位と称することとする。
【0033】
撮影位置特定処理が開始されると、CPU10は、ユーザがカメラ装置23を操作することによって写真撮影が行われた後(ステップS101)、撮影した画像データをカメラ装置23が備える記憶装置に保存する(ステップS102)。
【0034】
そして、CPU10は、GPS測位による絶対位置測定と自律航法測位による相対移動軌跡の記録を開始する(ステップS103)。より具体的には、この処理により、CPU10は、予め定められた規定時間毎にGPS受信部14にコマンドを発行してGPS衛星からの送信データを受信して測位演算を行う。また、CPU10は、この測位演算の実行と同時に、自律航法制御処理部20に3軸地磁気センサ15の計測データ及び3軸加速度センサ16の計測データを送って相対的な位置変動データを生成させ、このデータを前段の位置データに加算して現在の位置データを算出する。なお、GPS衛星からの送信データが得られない等によってGPS測位による位置データが得られないときは、自律航法測位による位置データのみ取得される。
【0035】
次に、CPU10は、撮影位置の測定を行う期間を監視するための位置測定タイマを起動させる(ステップS104)。
【0036】
その後、CPU10は、GPS測位により位置データが得られると、写真撮影から現在までにおける自律航法測位によって得られた位置データとともに、移動履歴データ記憶部22の仮データ保存領域に仮データとして保存する(ステップS105)。
【0037】
また、CPU10は、RAM11に記憶された一致カウンタ値及び判定値に0をセットする(ステップS106)。
【0038】
そして、CPU10は、位置測定タイマがタイムアウトとなったか否かを判定する(ステップS107)。CPU10は、タイムアウトとなったと判定したときは(ステップS107:Y)、ステップS117の処理を実行する。
【0039】
一方、CPU10は、ステップS107において、タイムアウトとなったと判定しないときは(ステップS107:N)、GPS測位による位置データと、自律航法測位による位置データの取得を待って(ステップS108)、GPS測位による位置データに基づく移動ベクトルと自律航法測位による位置データに基づく移動ベクトルをそれぞれ算出する(ステップS109)。より具体的には、CPU10は、今回取得したGPS測位による位置データと、前回取得したGPS測位による位置データとの移動変動量を算出することによりGPS測位による位置データに基づく移動ベクトルを求める。また、CPU10は、自律航法制御処理部20によって算出された今回のベクトルデータを自律航法測位による位置データに基づく移動ベクトルとして採用する。
なお、本実施の形態では、今回取得したGPS測位による位置データと、前回取得したGPS測位による位置データとに基づいて移動ベクトルを求め、また、自律航法制御処理部20によって算出された今回のベクトルデータを自律航法測位による位置データに基づく移動ベクトルとしたが、今回及び前々回に取得したGPS測位及び自律航法測位の各位置データに基づいてそれぞれの移動ベクトルを求めるようにしてもよい。また、今回及び任意の数回前に取得したGPS測位及び自律航法測位の各位置データに基づいてそれぞれの移動ベクトルを求めるようにしてもよい。
【0040】
次に、CPU10は、GPS測位による位置データに基づく移動ベクトルと、自律航法測位による位置データに基づく移動ベクトルが一致しているか否かを判定する(ステップS110)。なお、ステップS110において、移動ベクトルの誤差が一定誤差範囲内であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0041】
CPU10は、移動ベクトルが一致していると判定したときは(ステップS110:Y)、RAM11に記憶されている一致カウンタ値を1インクリメントして(ステップS111)、ステップS113の処理を実行する。一方、CPU10は、移動ベクトルが一致していると判定しないときは(ステップS110:N)、RAM11に記憶されている一致カウンタ値をクリアした後(ステップS112)、ステップS107の処理を実行する。
【0042】
CPU10は、ステップS113において、更新された一致カウンタ値が判定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS113)。CPU10は、一致カウンタ値が判定値よりも大きいと判定しないときは(ステップS113:N)、ステップS107の処理を実行する。
【0043】
一方、CPU10は、一致カウンタ値が判定値よりも大きいと判定したときは(ステップS113:Y)、今回取得したGPS測位による位置データと自律航法測位による位置データを仮データとして移動履歴データ記憶部22の仮データ保存領域に上書き保存する(ステップS114)。そして、CPU10は、RAM11に記憶されている一致カウンタが示している値を判定値にセットする(ステップS115)。
【0044】
次に、CPU10は、一致カウンタ値が予め定められた規定値(例えば、「5」)に達したか否かを判定する(ステップS116)。CPU10は、一致カウンタ値が規定値に達したと判定したときは(ステップS116:Y)、今回取得したGPS測位による位置データが誤差の少ないものと判断してステップS117の処理を実行し、一致カウンタ値が規定値に達したと判定しないときは(ステップS116:N)、ステップS107の処理を実行する。
【0045】
CPU10は、ステップS117において、自律航法データ補正処理部21に指令を発行し、移動履歴データ記憶部22の仮データ保存領域に記憶されているGPS測位による位置データ(すなわち、位置情報取得地点の位置データ)と自律航法測位による位置データの各仮データに基づいて撮影位置の位置データを算出させる(ステップS117)。そして、CPU10は、算出された撮影位置の位置データをカメラ装置23の記憶装置に保存された画像データに記録した後(ステップS118)、この処理を終了する。
【0046】
ステップS117について詳述すると、移動履歴データ記憶部22の仮データ保存領域に記憶されている自律航法測位による仮の位置データは、撮影位置の座標A(X:0,Y:0)からの位置変動量を示している。また、GPS測位による仮の位置データは絶対位置を示している。
そして、自律航法データ補正処理部21では、移動履歴データ記憶部22の仮データ保存領域に記憶されているGPS測位による位置データが与えられると、撮影位置における自律航法測位によって取得された仮の位置データを、真正な位置データによって補正する処理が行われる。この補正処理では、先ず、真正な位置データが与えられた地点(位置情報取得地点)について、自立航法測位により求められた仮の位置データから、GPS測位により取得された真正の位置データまでの差分を算出する。そして、この差分を撮影位置における自立航法測位によって取得された仮の位置データに加算することによって、撮影位置における仮の位置データを真正な撮影位置の位置データに補正する。
なお、本実施形態では、撮影位置の他、撮影位置から位置情報取得地点までにおける自律航法測位により取得された位置データに対しても補正処理を行っている。
【0047】
ここで、自律航法データ補正処理部21に与えられる、移動履歴データ記憶部22の仮データ保存領域に記憶されているGPS測位による仮の位置データは、ステップS116において誤差の少ないものと判断されたものであれば、きわめて信頼性の高い位置データと見ることができるので、信頼性のきわめて高い撮影位置における真正な位置データを求めることが可能となる。
【0048】
また、位置測定タイマがタイムアウトした場合には、このときにおいて、自律航法測位による位置データに基づいて算出される移動ベクトルとGPS測位による位置データに基づいて算出される移動ベクトルとが連続して一致した回数が最も多い時点におけるGPS測位による仮の位置データが、撮影位置における真正な位置データの補正に用いられるので、消費電力を抑制して信頼性の高い撮影位置における真正な位置データを求めることが可能となる。
【0049】
このように、少なくとも2点間におけるGPS測位による位置データに基づく移動ベクトルと自律航法測位による位置データに基づく移動ベクトルとが一致した場合には、GPS測位による位置データの信頼性が高いものと推定することができるので、本実施形態では、このときにおけるGPS測位による位置データを、撮影位置における真正な位置データを求める際に用いることにより、撮影位置における真正な位置データの信頼性を高めることができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、移動ベクトルの一致が所定回数判定されたときのGPS測位による位置データを、撮影位置における真正な位置データを求める際に用いることにより、そのGPS測位による位置データの信頼性がより高まるので、撮影位置における真正な位置データの信頼性を一層高めることができる。
【0051】
また、本実施形態では、撮影位置の測定を行う期間を監視し、タイムアウトとなった場合には、そのときにおける信頼性の最も高いGPS測位による位置データが、撮影位置における真正な位置データを求める際に用いられることとなる。一般に、GPS測位に伴う消費電力は大きい。そして、撮像装置や測位装置は一般にユーザによって持ち運びが行われるものであるため、バッテリー等の蓄電池が電源として用いられる。そのため、きわめて信頼性の高い位置データが得られなくとも、一定時間が経過したときには、ある程度の信頼性を有する位置データが得られるので、本実施の形態では、一定時間が経過したときに測位を終了させることにより、測位に伴う電力の消費を抑制し、撮像装置の稼働時間の短縮の抑制が図られている。
【0052】
以上のように構成された撮像装置1において、カメラ装置23による写真撮影が行われてから、撮影位置の真正な位置データが得られるまでの動作について図3〜図7を参照しながら説明する。
【0053】
図3(a)は、撮像装置1において取得された自律航法測位による移動履歴を表すデータチャートであり、図3(b)は、撮像装置1において取得されたGPS測位による移動履歴を表すデータチャートである。また、図3(c)は、位置情報取得地点において取得されたGPS測位による位置データに基づき、図3(a)に示される移動履歴データに対して補正を行った後の移動履歴を示すものである。
なお、本実施形態において、位置情報取得地点において取得した自律航法測位による位置データ及びGPS測位による位置データと、撮影地点における自律航法測位による位置データを移動履歴データ記憶部22に記憶し、その途中における位置データを記憶しないようにしてもよい。このような構成としても撮影位置における真正な位置データを得ることができる。
【0054】
図3(a)及び(b)に示されるデータチャートには、一連の位置データに付随して、位置データの取得順序を表すインデックスナンバー「No.」と、位置データが取得されたときの時刻を表す時刻データと、前回取得した位置データから今回取得した位置データまでの移動変動量を示す移動ベクトル等が、それぞれ登録されるようになっている。
【0055】
まず、カメラ装置23によって撮影が行われると、図4に示されるように、自律航法測位による撮影位置Aにおける位置データ「X:0.0,Y:0.0」が取得される。また、このとき、GPS測位による位置データとして「X:279.6,Y:181.9」が取得される。なお、図中では、この位置データを示す位置を仮にA´として示す。これらの位置データは、仮データとして保存される。なお、このときに、GPS測位による位置データが取得できなかった場合は、最初にGPS測位による位置データが取得されたときにおける自律航法測位による位置データ及びGPS測位による位置データが仮データとして保存される。
【0056】
そして、規定時間(例えば、1秒)毎に自律航法測位による位置データ及びGPS測位による位置データがそれぞれ取得されて、移動経路上の各地点の位置データと移動ベクトルとがそれぞれ記録される。このように記録された自律航法測位による移動軌跡を図5に示し、GPS測位による移動軌跡を図6に示す。
【0057】
上述のようにして、自律航法測位及びGPS測位を継続して行うが、GPS測位による位置データは、測位開始直後では、適切なGPS衛星からの送信データを取得することができないため、時刻t8までは、実際の位置との誤差が大きく、自律航法測位の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、GPS測位の位置データに基づいて算出される移動ベクトルは、図3に示されるように大きく異なっている。
【0058】
しかしながら、その後、GPS受信部14では、適切なGPS衛星からの送信データを取得できるようになり、時刻t9以降は、実際の位置との誤差の少ない信頼性の高い位置データが取得できるようになる。
【0059】
そして、時刻t10において、自律航法測位による位置データに基づく移動ベクトルとGPS測位による位置データに基づく移動ベクトルとが一致し(あるいは、一定誤差範囲内となり)、一致カウンタ値のインクリメントが開始される(図2、ステップS111)。
【0060】
そして、時刻t14において、自律航法測位による位置データに基づく移動ベクトルとGPS測位による位置データに基づく移動ベクトルとの一致回数が規定値となり、そのときにおけるGPS測位による位置データ「X:280.0,Y:180.0」が位置情報取得地点における位置データとして採用される。図6において、このときの位置をBで示す。
【0061】
このようにして、位置情報取得地点BにおけるGPS測位による位置データが取得されると、自律航法測位による移動履歴を表すデータチャートの位置データに対して以下のような補正を行う。
【0062】
すなわち、まず、自立航法測位により求められた時刻t14における位置データ「X:−1.7,Y:−1.8」から、GPS測位により取得された時刻t14における位置データ、すなわち、位置情報取得地点Bにおける位置データまで移動させることにより、その移動変動量から位置データの差分を算出する。この例では、X方向に“+281.7”、Y方向に“+181.8”の差分となる。
【0063】
このようにして差分が算出されると、自律航法測位による移動履歴を表すデータチャートの位置データに対してそれぞれ算出された差分を加算する。すると、図3(c)に示されるように、各地点における真正の位置データが得られる。このときに示される位置は図7に表される通りである。その結果、撮影地点Aにおける真正な位置データは「X:281.7,Y:181.8」となり、この位置データがカメラ装置23の記憶装置に保存された撮影時の画像ファイルに保存されることとなる。
この画像ファイルは、例えば、Exif形式(EXchange Image File format)によって構成されており、GPS情報へのポインタ「GPSInfoIFDPointer」で示されるタグの緯度・経度領域に位置データが書き込まれる。
なお、この画像ファイルに高度やGPS時刻等の情報を書き込むようにしてもよい。
また、この画像ファイルは本実施形態で採用されたファイル形式に限定されず、他のファイル形式によって構成されていてもよい。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、3軸地磁気センサ15、3軸加速度センサ16及び自律航法制御処理部20は、相対的な位置変動の計測(自律航法測位)を行う。そして、CPU10及びGPS受信部14は、位置データを測定(GPS測位)する。そして、CPU10は、撮影位置において自律航法測位による継続的計測及びGPS測位による所定タイミング毎の測定を開始する。そして、CPU10は、GPS測位によって得られた少なくとも2以上の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、自律航法測位によりGPS測位によって得られた位置データとそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における移動ベクトルとの差が所定範囲以内である場合に、少なくとも2以上の位置データのうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定める。そして、CPU10は、位置情報取得地点における位置データと自律航法測位により継続的に計測されてきた位置データとに基づいて撮影位置の位置データを求める。その結果、撮影位置における真正な位置データの信頼性を高めることができ、GPS測位による測位の不安定な状態における位置情報の精度の向上を図ることができる。
【0065】
また、本発明の実施形態によれば、自律航法制御処理部20は、撮影位置の位置データに、3軸地磁気センサ15、3軸加速度センサ16及び自律航法制御処理部20によって計測されたベクトルデータを積算することで移動経路上の各位置データを算出する。そして、CPU10は、仮の撮影位置の位置データを自律航法制御処理部20に与えて、自律航法制御処理部20によって移動経路上の各位置データを算出させる。そして、CPU10は、位置情報取得地点が定められたときに、自律航法制御処理部20により仮の撮影位置の位置データに基づいて算出された位置情報取得地点の位置データと、GPS測位によって計測された位置情報取得地点の位置データとの差分を仮の撮影位置の位置データに加えることにより撮影位置の位置データを求める。その結果、この補正処理に必要な記憶容量を小さくでき、また、この処理に係る演算処理の負荷も小さくすることができる。
【0066】
また、本発明の実施形態によれば、CPU10及びGPS受信部14は、所定の規定時間毎にGPS測位を行う。そして、3軸地磁気センサ15、3軸加速度センサ16及び自律航法制御処理部20は、この所定の規定時間毎に、GPS測位と同時期に自律航法測位を行う。そして、CPU10は、GPS測位によって得られた少なくとも2以上の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、自律航法測位によりGPS測位によって得られた位置データとそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における移動ベクトルとの差が所定範囲以内であると連続して所定回数判定した場合に、撮影位置の位置データを求める。その結果、位置情報取得地点におけるGPS測位による位置データの信頼性がより高まるので、撮影位置における真正な位置データの信頼性を一層高めることができる。
【0067】
また、本発明の実施形態によれば、加速度を特定可能な情報を出力する3軸加速度センサ16と、方位を特定可能な情報を出力する3軸地磁気センサ15と、を備えている。そして、自律航法制御処理部20は、3軸加速度センサ16及び3軸地磁気センサ15からそれぞれ出力される情報に基づいて自律航法測位を行う。その結果、正確な相対的位置変動の計測を行うことができる。
【0068】
なお、本発明の実施形態では、撮像装置に本発明の実施形態に係る測位装置を備える構成としたが、一般的なポータブルタイプのナビゲーション装置や移動体に据付型の測位装置に本発明の実施形態に係る測位装置を適用し、特定位置の位置データを求めるようにしてもよい。
【0069】
また、本発明の実施形態では、自律航法測位の演算や位置データの補正処理を、自律航法制御処理部20や自律航法データ補正処理部21により実行させるようにしたが、これらの演算をCPU10のソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0070】
また、本発明の実施形態では、測位手段として、GPSを利用して測位を行う構成としたが、例えば、携帯電話の基地局との通信により測位を行う構成や、RFID(Radio Frequency Identification)などを用いて位置情報を外部から受信したり入力することで現在位置を確定する構成など、その他の種々の構成を適用することができる。
【0071】
また、本発明の実施形態では、相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段として、3軸地磁気センサと3軸加速度センサとを例示したが、装置の天地の向きが一定となるものであれば、2軸の方位センサや2軸の加速度センサを用いることもできる。また、方位を求めるのに、ジャイロスコープなどを適用することもできる。さらに、車輪速センサを用いて移動速度を求めるようにしてもよい。また、本発明の実施形態では、取得される位置データを二次元の位置データとしているが、高さ方向の位置データを含めるようにしてもよい。
【0072】
また、本発明の実施形態では、GPS測位によって得られた少なくとも2以上の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、自律航法測位によりGPS測位によって得られた位置データとそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における移動ベクトルとの差が所定範囲以内であると連続して所定回数判定した時点におけるGPS測位によって得られた位置データ(移動ベクトルの終点における位置データ)を位置情報取得地点における位置データとしたが、移動ベクトルとの差が所定範囲以内であると連続して判定されている移動ベクトル上の何れの位置を位置情報取得地点として定めるようにしてもよく、例えば、移動ベクトルの起点や、起点と終点との中間点を位置情報取得地点として定めるようにしてもよい。
【0073】
また、本発明の実施形態では、GPS測位によって得られた少なくとも2以上の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、自律航法測位によりGPS測位によって得られた位置データとそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における移動ベクトルとの差が所定範囲以内であると連続して5回判定した場合に、撮影位置の位置データを求めるようにしたが、判定回数は5回に限らず、その他の回数であってもよい。また、1度だけ移動ベクトルの差が所定範囲以内であると判定したときに撮影位置の位置データを求めるようにしてもよい。
【0074】
また、本発明の実施形態では、一致カウンタの値を判定することにより、所定時間連続して移動ベクトルの差が所定範囲以内であると判定したときに位置情報取得地点を定めるようにしたが、移動量を積算し、移動軌跡の一致あるいは所定範囲以内の誤差である状態が所定距離以上継続したときに、位置情報取得地点を定めるようにしてもよい。このようにすれば、移動量が少ない場合や、移動しなかった場合を考慮して判定を行うことができ、位置情報取得地点におけるGPS測位による位置データの精度の向上が図れる。
【0075】
また、本発明の実施形態では、一定時間移動ベクトルの比較を行っても一致カウンタが規定値に達しなかった場合に、これまで計測した中で、一致カウンタが最大となったときの地点を位置情報取得地点として撮影位置の位置データを求めるようにしたが、一致カウンタが規定値に達するまで計測を継続させるようにしてもよい。
【0076】
また、写真撮影を行ったときにDOP(Dilution of Precision:精度低下率)値による精度判定を行い、このDOP値が所定の閾値(例えば、「3」)以下であると判定されたときには、撮影位置の位置データの算出を行うための測位を行わず、撮影時に取得したGPS測位による位置データを画像ファイルに付加してそのまま保存するようにしてもよい。ここで、GPS測位は、送信データを取得するGPS衛星の配置によって測位精度の影響を受ける。DOP値は、この測位精度の度合いを示す数値であって、送信データを取得するGPS衛星の配置に基づいて算出される。そして、この値が小さいほど衛星が広範囲に散らばって配置されていることが示され、測位精度の高いことが認識される。例えば、図8(a)に示されるような配置では、DOP値は大きく、測位精度が低いことが認識され、図8(b)に示されるような配置では、DOP値は小さく、測位精度が高いことが認識される。このようにすれば、電力の消費を極力抑制することが可能となる。特に、GPS衛星に関する所定の情報(アルマナックデータ及びエフェメリスデータなどの航法メッセージ)が記憶されている状態で起動されるホットスタート状態において有効である。
【符号の説明】
【0077】
1 撮像装置
10 CPU
11 RAM
12 ROM
14 GPS受信部
15 3軸地磁気センサ
16 3軸加速度センサ
20 自律航法制御処理部
21 自律航法データ補正処理部
22 移動履歴データ記憶部
23 カメラ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段と、
位置情報を測定可能な測位手段と、
少なくとも特定位置において前記移動計測手段による位置変動の継続的計測及び前記測位手段による所定タイミング毎の位置情報の測定を開始し、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内である場合に、少なくとも前記2以上の位置情報のうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定め、当該位置情報取得地点の位置情報と前記移動計測手段により継続的に計測されてきた位置変動の情報とに基づいて前記特定位置の位置情報を求める制御手段と、
を備えることを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記特定位置の位置情報に前記移動計測手段によって計測された位置変動の情報を積算することで移動経路上の各位置情報を算出する位置算出手段を備え、
前記制御手段は、前記特定位置の位置情報として仮の基準位置情報を前記位置算出手段に与えて、前記位置算出手段によって移動経路上の各位置情報を算出させ、前記位置情報取得地点が定められたときに、前記位置算出手段により前記仮の基準位置情報に基づいて算出された前記位置情報取得地点の位置情報と、前記測位手段によって測定された前記位置情報取得地点の位置情報との差分を前記仮の基準位置情報に加えることにより前記特定位置の位置情報を求めることを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記測位手段は所定時間毎に位置情報を測定し、
前記移動計測手段は、前記所定時間毎に、前記測位手段と同時期に位置変動の計測を行い、
前記制御手段は、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内であると連続して所定回数判定した場合に、前記特定位置の位置情報を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記移動計測手段は、加速度を特定可能な情報を出力する加速度センサと、方位を特定可能な情報を出力する方位センサと、を備えるとともに、前記加速度センサ及び前記方位センサからそれぞれ出力される情報に基づいて相対的な位置変動の計測を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の測位装置。
【請求項5】
前記位置変動は、変動距離及び変動方位であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の測位装置。
【請求項6】
相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段とを用いて、特定位置の位置情報を求める測位方法において、
少なくとも特定位置において前記移動計測手段による位置変動の継続的計測及び前記測位手段による所定タイミング毎の位置情報の測定を開始し、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内である場合に、少なくとも前記2以上の位置情報のうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定め、当該位置情報取得地点の位置情報と前記移動計測手段により継続的に計測されてきた位置変動の情報とに基づいて前記特定位置の位置情報を求める制御ステップを備えていることを特徴とする測位方法。
【請求項7】
前記特定位置の位置情報に前記移動計測手段によって計測された位置変動の情報を積算することで移動経路上の各位置情報を算出する位置算出ステップを含み、
前記制御ステップでは、仮の基準位置情報を前記位置算出ステップに渡し、前記位置算出ステップで移動経路上の各位置情報を算出させ、前記位置情報取得地点が定められたときに、前記位置算出ステップにおいて前記仮の基準位置情報に基づいて算出された前記位置情報取得地点の位置情報と、前記測位手段によって測定された前記位置情報取得地点の位置情報との差分を前記仮の基準位置情報に加えることにより前記特定位置の位置情報を求めることを特徴とする請求項6に記載の測位方法。
【請求項8】
前記測位手段は所定時間毎に位置情報を測定し、前記移動計測手段は、前記所定時間毎に、前記測位手段と同時期に位置変動の計測を行うものであり、
前記制御ステップでは、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内であると連続して所定回数判定した場合に、前記特定位置の位置情報を求めることを特徴とする請求項6又は7に記載の測位方法。
【請求項9】
相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段とから測定結果をそれぞれ入力して、特定位置の位置情報を求めるコンピュータに、
少なくとも特定位置において前記移動計測手段による位置変動の継続的計測及び前記測位手段による所定タイミング毎の位置情報の測定を開始させ、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内である場合に、少なくとも前記2以上の位置情報のうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定めさせ、当該位置情報取得地点の位置情報と前記移動計測手段により継続的に計測されてきた位置変動の情報とに基づいて前記特定位置の位置情報を求めさせる制御機能を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、前記特定位置の位置情報に前記移動計測手段によって計測された位置変動の情報を積算させることで移動経路上の各位置情報を算出させる位置算出機能を実現させるプログラムコードを含み、
前記制御機能は、仮の基準位置情報を前記位置算出機能に渡し、前記位置算出機能で移動経路上の各位置情報を算出させ、前記位置情報取得地点が定められたときに、前記位置算出機能により前記仮の基準位置情報に基づいて算出された前記位置情報取得地点の位置情報と、前記測位手段によって測定された前記位置情報取得地点の位置情報との差分を前記仮の基準位置情報に加えることにより前記特定位置の位置情報を求めさせるものであることを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記測位手段は、所定時間毎に位置情報を測定し、前記移動計測手段は、前記所定時間毎に、前記測位手段と同時期に位置変動の計測を行うものであり、
前記制御機能は、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内であると連続して所定回数判定した場合に、前記特定位置の位置情報を求めさせるものであることを特徴とする請求項9又は10に記載のプログラム。
【請求項12】
被写体を撮像して撮像画像情報を取得する撮像手段と、
相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段と、
位置情報を測定可能な測位手段と、
少なくとも前記撮像手段による撮像位置において前記移動計測手段による位置変動の継続的計測及び前記測位手段による所定タイミング毎の位置情報の測定を開始し、前記測位手段によって得られた少なくとも2以上の位置情報に基づいて算出される位置変動量と、前記移動計測手段により前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に得られた2以上の地点における相対的な位置変動量との差が所定範囲以内である場合に、少なくとも前記2以上の位置情報のうちの何れかに基づいて位置情報取得地点を定め、当該位置情報取得地点の位置情報と前記移動計測手段により継続的に計測されてきた位置変動の情報とに基づいて前記撮像位置の位置情報を求める制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−58250(P2012−58250A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233870(P2011−233870)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【分割の表示】特願2009−283711(P2009−283711)の分割
【原出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】