測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
【課題】位置飛びの影響を十分に低減することができる測位装置等を提供すること。
【解決手段】すべての測位位置P1等に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成手段と、各測位位置P1等に対応する第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出手段と、各測位位置と、各測位位置に対応する仮定位置Q1等との距離d1等を算出する距離算出手段と、各距離d1等が、位置飛びの測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価手段と、許容範囲内の距離の算出の基礎となった測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成手段と、現在時刻に対応する第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出手段と、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出手段等を有する。
【解決手段】すべての測位位置P1等に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成手段と、各測位位置P1等に対応する第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出手段と、各測位位置と、各測位位置に対応する仮定位置Q1等との距離d1等を算出する距離算出手段と、各距離d1等が、位置飛びの測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価手段と、許容範囲内の距離の算出の基礎となった測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成手段と、現在時刻に対応する第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出手段と、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出手段等を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位衛星からの信号を使用する測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
GPS受信機は、例えば、3個以上のGPS衛星から信号を受信し、信号が各GPS衛星から発信された時刻とGPS受信機に到達した時刻との差(以後、遅延時間と呼ぶ)によって、各GPS衛星とGPS受信機との間の距離(以後、擬似距離と呼ぶ)を求める。そして、各GPS衛星から受信した信号に乗せられている各GPS衛星の衛星軌道情報と、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行うようになっている。
しかし、GPS衛星からの信号が建物等に反射してGPS受信機に到達したり、信号強度が弱かったり、天空におけるGPS衛星の配置(DOP:Dilution Of Precision)が悪い場合には、測位位置が真の位置と大きく乖離し、位置飛びが発生する場合がある。ここで、「位置飛び」とは、測位位置と真の位置との乖離が通常の測位誤差の範囲を越えることを意味する。そして、位置飛びに該当する測位位置を、「位置飛びの測位位置」と呼ぶ。
このため、測位位置をそのまま出力すると、出力位置と真の位置との乖離が大きくなる場合があるという問題がある。
これに対して、前回の測位位置と速度ベクトルから現在の予想位置を算出し、その予想位置と現在の測位位置を平均化処理する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平8―68651号公報(図5等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の技術においては、前回の測位位置の精度又は前回の速度ベクトルの精度が低い場合には、平均化処理の後の位置の精度も劣化し、位置飛びの影響を十分に低減することができない場合があるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、位置飛びの影響を十分に低減することができる測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、測位位置を算出する測位位置算出手段を有する測位装置であって、予め規定した数の前記測位位置を格納する位置格納手段と、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成手段と、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出手段と、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出手段と、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価手段と、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成手段と、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出手段と、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出手段と、を有することを特徴とする測位装置により達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記測位装置は、前記第1回帰直線生成手段を有するから、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成することができる。
そして、前記測位装置は、前記仮定位置算出手段を有するから、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出することができる。
そして、前記測位装置は、前記距離算出手段を有するから、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出することができる。
そして、前記測位装置は、前記距離評価手段を有するから、各前記距離が、予め規定した許容範囲内か否かを判断することができる。前記許容範囲は、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として規定されているから、前記距離が前記許容範囲内か否かを判断することによって、位置飛びの前記測位位置を判断することができる。
そして、前記測位装置は、前記第2回帰直線生成手段を有するから、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、前記第2回帰直線を生成することができる。これは、位置飛びの前記測位位置を排除して、前記第2回帰直線を生成することができることを意味する。このため、前記第2回帰直線は、前記第1回帰直線よりも真の位置の軌跡に近接する。
そして、前記測位装置は、前記予想位置算出手段を有するから、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出することができる。前記第2回帰直線は、真の位置の軌跡に近接するから、前記予想位置もまた、真の位置に近接する。
そして、前記測位装置は、前記出力位置算出手段を有するから、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出することができる。前記予想位置は真の位置に近接するから、前記平均化処理によって、前記測位位置を真の位置に近接するように補正することができる。
上述のように、前記測位装置は、前記測位位置を前記第2回帰直線上の位置で補正する。すなわち、前回の測位位置と速度ベクトルに基づいて算出した位置によって補正するのではないから、前回の測位位置の精度の影響は緩和されており、速度ベクトルの影響は受けない。
しかも、前記第2回帰直線は、位置飛びの前記測位位置を排除して生成されているから、位置飛びの前記測位位置の影響を受けない。
このため、前記測位装置は、位置飛びの影響を受けない前記予想位置によって現在時刻の前記測位位置を補正し、前記出力位置を算出することができる。
これにより、位置飛びの影響を十分に低減することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記位置格納手段は、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置を保持するとともに、前記許容範囲外の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置を保持することを特徴とする測位装置である。
【0008】
前記距離が前記許容範囲外であるときには、真の位置が実際に急激に大きく移動している場合もある。このため、前記距離が前記許容範囲外の場合に、前記位置格納手段から前記測位位置を排除すると、次回の前記第1回帰直線の精度が劣化する。この結果、位置飛びが生じている前記測位位置を正確に排除して前記第2回帰直線を生成することが困難になる。
この点、第2の発明の構成によれば、前記位置格納手段は、前記距離が前記許容範囲内か否かに関わらず、前記測位位置を保持する。このため、真の位置が実際に急激に大きく移動した場合であっても、その移動に追従して、前記第1回帰直線の精度を維持することができる。
【0009】
前記目的は、第3の発明によれば、予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、を有することを特徴とする測位装置の制御方法によって達成される。
【0010】
第3の発明の構成によれば、第1の発明の構成と同様に、位置飛びの影響を十分に低減することができる。
【0011】
前記目的は、第4の発明によれば、コンピュータに、予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムによって達成される。
【0012】
前記目的は、第5の発明によれば、コンピュータに、予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る端末20等を示す概略図である。
図1に示すように、端末20は、自動車18に搭載されている。端末20は、測位衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dからの信号である信号S1,S2,S3及びS4を受信することができる。この信号S1等は、衛星信号の一例である。そして、端末20は、測位装置の一例である。
端末20は、自動車18に搭載されて、道路R上を移動している。
【0015】
端末20は、例えば、道路R上において測位演算を連続的に実施し、取得した位置情報を地図情報とともに表示するカーナビゲーション装置である。端末20が表示する出力位置は、「位置飛び」がないことが要求される。ここで、出力位置とは、端末20が後述の表示装置34に表示する位置を意味する。「位置飛び」とは、測位位置と真の位置との乖離が通常の測位誤差の範囲を越えることを意味する。この通常の測位誤差の範囲は、例えば、屋内で500メートル(m)、屋外で100メートル(m)である。
【0016】
例えば、自動車18が、屋外において実際に、矢印A1上を移動しているとする。このとき、各測位時における真の位置は、例えば、真の位置r1乃至r8である。そして、測位位置は測位位置P1乃至P8である。例えば、真の位置r4と測位位置P4との距離B1は100メートル以内であって、屋外における通常の測位誤差の範囲であるから、位置飛びは生じていない。これに対して、真の位置r6と測位位置P6の距離B2は100メートルを越えているから、位置飛びが生じていることになる。
【0017】
端末20は、以下の構成によって、位置飛びが生じている測位位置の影響を排除して、真の位置に近い位置を出力することができるようになっている。
【0018】
なお、端末20は例えば、カーナビゲーション装置であるが、その他に、携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance)等であってもよく、また、これらに限らない。
なお、本実施の形態とは異なり、GPS衛星12a等は4個に限らず例えば、3個でもよいし、5個以上でもよい。
【0019】
図2は、端末20の移動状態の一例を示す図である。
時刻t0乃至t6における、端末20の真の位置は、例えば、それぞれ位置r0乃至r6である。位置r0乃至r6の軌跡は直線Lrである。以後、直線Lrを真の位置の軌跡Lrとも呼ぶ。
端末20が、直線Lrに示す移動をしたと仮定して、以下の説明をする。
【0020】
(端末20の主なハードウエア構成について)
図3は端末20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図3に示すように、端末20は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス22を有する。
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26、外部記憶装置28等が接続されている。記憶装置26は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。外部記憶装置28は例えば、HDD(Hard Disk Drive)等である。
【0021】
また、このバス22には、各種情報等を入力するための入力装置30、GPS衛星12a等から信号S1等を受信するためのGPS装置32、各種情報を表示するための表示装置34、時計36、電源装置38が接続されている。
【0022】
(端末20の主なソフトウエア構成について)
図4は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図4に示すように、端末20は、各部を制御する制御部100、図3のGPS装置32に対応するGPS部102等を有する。
端末20は、また、各種プログラムを格納する第1記憶部110、各種情報を格納する第2記憶部150を有する。
【0023】
図4に示すように、端末20は、第2記憶部150に、衛星軌道情報152を格納している。衛星軌道情報152は、アルマナック152a及びエフェメリス152bを含む。
アルマナック152aは、すべてのGPS衛星12a等(図1参照)の概略の軌道を、その取得時刻とともに示す情報である。アルマナック152bは、いずれのGPS衛星12a等の信号S1等からも、デコードして取得することができる。
エフェメリス152bは、各GPS衛星12a等(図1参照)の精密な軌道を示す情報である。例えば、GPS衛星12aのエフェメリス152aを取得するためには、GPS衛星12aからの信号S1を受信し、デコードして取得する必要がある。
端末20は、衛星軌道情報152を、測位のために使用する。
【0024】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、衛星信号受信プログラム112を格納している。衛星信号受信プログラム112は、制御部100が、GPS衛星12a等から、信号S1等を受信するためのプログラムである。
具体的には、制御部100は、アルマナック152aを参照して、現在時刻において観測可能なGPS衛星12a等を判断し、観測可能なGPS衛星12a等からの信号S1等を受信する。このとき、基準となる自己位置は、例えば、前回の測位位置を使用する。
なお、現在時刻がt6で、今回の測位位置を測位位置P6として説明する。また、時刻t4において測位した測位位置P4は位置飛びを生じていると仮定する。
【0025】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、測位プログラム114を格納している。測位プログラム114は、制御部100が、GPS部102によって受信した信号S1等に基づいて、現在の測位位置P6を算出するためのプログラムである。測位位置P6は、現在位置の一例である。測位プログラム114と制御部100は、測位位置算出手段の一例である。
具体的には、制御部100は、例えば、3個以上のGPS衛星12a等から信号S1等を受信し、信号S1等が各GPS衛星12a等から発信された時刻と端末20に到達した時刻との差である遅延時間によって、各GPS衛星12a等と端末20との間の距離である擬似距離を求める。そして、各GPS衛星12a等のエフェメリス152bと、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行う。
制御部100は測位プログラム114に基づいて、測位位置P6を示す測位位置情報154を第2記憶部150に格納する。
制御部100は、また、測位プログラム114に基づいて、第2記憶部150内のBuff156に測位位置P6を格納する。
なお、本実施の形態とは異なり、端末20は、GPS衛星12a等からの信号S1等に基づく測位を行うのではなくてもよい。例えば、端末20は、携帯電話の通信基地局と通信可能な通信装置を備え、GPS衛星12a等からの信号S1等と通信基地局からの通信信号を組み合わせた測位を行ってもよいし、複数の通信基地局からの通信信号による測位を行ってもよい。また、端末20は、無線LANの信号受信装置を備え、無線LANを利用する測位を行ってもよい。
【0026】
図5は、Buff156の一例を示す図である。
図5に示すように、Buff156には、6個の測位位置が格納されている。この6個という数は、予め規定した数の一例である。Buff156は、位置格納手段の一例である。
図5(a)は、現在時刻t6の直前のBuff156の状態であり、測位位置P0乃至P5の6個の測位位置が格納されている。例えば、測位位置P0は時刻t0において算出された測位位置であり、測位位置P1は時刻t1において算出された測位位置である。
制御部100は、現在時刻t6において、測位位置P6を算出すると、図5(b)に示すように、最も古い測位位置P0を削除するとともに、測位位置P6をBuff156に格納する。
【0027】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、第1回帰直線生成プログラム116を格納している。第1回帰直線生成プログラム116は、制御部100が、Buff156に格納したすべての測位位置P6等に基づいて、回帰直線L1を生成するためのプログラムである。回帰直線L1は第1回帰直線の一例である。第1回帰直線生成プログラム116と制御部100は、第1回帰直線生成手段の一例である。
【0028】
図6は、回帰直線L1の生成方法の一例を示す図である。
図7は、回帰直線L1等の一例を示す図である。
制御部100は、例えば、図6に示す数式によって、図7に示すように、回帰直線L1を算出する。回帰直線L1は、時間をx軸、緯度をy軸としている。
制御部100は、回帰直線L1を示す第1回帰直線情報158を、Buff156に格納する。
回帰直線L1は位置飛びの測位位置P4にも基づいているため、真の位置の軌跡Lrと大きく乖離している。
【0029】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、仮定位置算出プラグラム118を格納している。仮定位置算出プラグラム118は、制御部100が、各測位位置P1等に対応する回帰直線L1上の位置である仮定位置Q1乃至Q6を算出するためのプログラムである。仮定位置Q1等は仮定位置の一例である。仮定位置算出プラグラム118と制御部100は、仮定位置算手段の一例である。
具体的には、制御部100は、例えば、測位位置P1については、時刻t1に対応する回帰直線L1上の仮定位置Q1を算出する。同様に、測位位置P2乃至P6については、それぞれ、時刻t2乃至t6に対応する回帰直線L1上の仮定位置Q2乃至Q6を算出する。
制御部100は、仮定位置Q1等を示す仮定位置情報160を第2記憶部150に格納する。
上述のように、回帰直線L1は真の位置の軌跡Lrと大きく乖離しているため、仮に、仮定位置Q6と測位位置P6とを平均化した位置を算出するとすれば、その位置Pe6は、真の位置の軌跡Lr上の位置と大きく乖離している。このため、端末20は、仮定位置Q6と測位位置P6とを平均化した位置を算出することも、出力することもない。
【0030】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、距離算出プラグラム120を格納している。距離算出プラグラム120は、制御部100が、各測位位置P1等と、各側位置P1等に対応する仮定位置Q1等との距離d1乃至d6を算出するためのプログラムである。距離算出プラグラム120と制御部100は、距離算出手段の一例である。
例えば、制御部100は、図7に示すように、測位位置P4と、測位位置P4に対応する仮定位置Q4との距離d4を算出する。
制御部100は、距離d1乃至d6を示す距離情報162を第2記憶部150に格納する。
【0031】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、距離評価プラグラム122を格納している。距離評価プラグラム122は、制御部100が、各距離d1等が、閾値α以内か否かを判断するためのプログラムである。閾値α以内の範囲は、予め規定した許容範囲の一例である。閾値α以内の範囲は、位置飛びの測位位置を排除することができる範囲として規定されている。
閾値αは、例えば、大きな位置飛びを排除するためには、300メートル(m)に設定される。大きな位置飛びの場合、真の位置と測位位置が500メートル以上は乖離することが経験上既知であるから、大きな位置飛びの測位位置を確実に排除するために500メートル(m)よりも短い300メートル(m)に閾値αを設定するのである。
そして、端末20は、真の位置を知ることはできないから、仮定位置Q1等と測位位置P1等との距離d1等と閾値αを比較するようになっている。すなわち、真の位置と仮定位置Q1との乖離を考慮して、大きな位置飛びの測位位置を確実に排除するためにも500メートル(m)よりも短い300メートル(m)に閾値αを設定する。
また、閾値αは、例えば、測位位置が道路Rから外れる程度の小さな位置飛びも排除する精密な測位モードにおいては、70メートル(m)に設定される。精密な測位モードでは、通常の測位誤差の範囲も、例えば、屋外で100メートルである。そして、小さな位置飛びの場合、真の位置と測位位置が100メートル程度乖離することが経験上既知であるから、小さな位置飛びの測位位置を確実に排除するために100メートル(m)よりも短い70メートル(m)に閾値αを設定するのである。
【0032】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、第2回帰直線生成プラグラム124を格納している。第2回帰直線生成プラグラム124は、制御部100が、閾値α以内の距離の算出の基礎となった測位位置に基づいて、回帰直線L2を生成するためのプログラムである。回帰直線L2は第2回帰直線の一例である。第2回帰直線生成プラグラム124と制御部100は、第2回帰直線生成手段の一例である。
【0033】
図8は、回帰直線L2等を示す図である。
制御部100は、閾値α内の距離の算出の基礎となった測位位置P1,P2,P5及びP6に基づいて、回帰直線L2を生成する。すなわち、制御部100は、閾値α外の距離の算出の基礎となった測位位置P4を排除して、回帰直線L2を生成する。
制御部100は、回帰直線L2を示す第2回帰直線情報164を第2記憶部150に格納する。
回帰直線L2は、位置飛びの測位位置P4を排除して生成されているため、回帰直線L1よりも真の位置の軌跡Lrと近接している。
【0034】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、予想位置算出プラグラム126を格納している。予想位置算出プラグラム126は、制御部100が、現在時刻t6に対応する回帰直線L2上の位置である予想位置Qr6を算出するためのプログラムである。予想位置Qr6は予想位置の一例である。予想位置算出プラグラム126と制御部100は、予想位置算出手段の一例である。
図8に示すように、制御部100は、現在時刻t6に対応する回帰直線L2上の予想位置Qr6を算出する。
制御部100は、予想位置Qr6を示す予想位置情報166を第2記憶部150に格納する。
上述のように、回帰直線L2は真の位置の軌跡Lrと近接しているため、予想位置Qrは、真の位置の軌跡Lr上の対応する位置と近接している。
【0035】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、出力位置算出プログラム128を格納している。出力位置算出プログラム128は、制御部100が、現在時刻t6における測位位置P6と、予想位置Qrを平均化処理することによって、出力位置Pr6を算出するためのプログラムである。出力位置Pr6は出力位置の一例である。出力位置算出プログラム128と制御部100は、出力位置算出手段の一例である。
図8に示すように、制御部100は、測位位置P6と予想位置Qr6との平均の位置Pr6を算出する。出力位置Pr6は、測位位置P6を予想位置Qr6で補正した位置である。
制御部100は、出力位置Pr6を示す出力位置情報168を第2記憶部150に格納する。
【0036】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、位置表示プログラム130を格納している。位置表示プログラム130は、制御部100が、出力位置Pr6を表示装置34(図3参照)に表示するためのプログラムである。
【0037】
端末20は、上述のように構成されている。
端末20は、回帰直線L1を生成を生成することができる。端末20は、回帰直線L1を、Buff156(図4参照)に格納したすべての測位位置P1乃至P6を使用して生成する。
【0038】
そして、端末20は、すべての測位位置P1乃至P6の測位時刻t1乃至t6に対応する仮定位置Q1乃至Q6を算出することができる。
そして、端末20は、各測位位置P1等と、各測位位置P1等に対応する仮定位置Q1等との距離d1等を算出することができる。
そして、端末20は、各距離d1等が、予め規定した閾値α内か否かを判断することができる。閾値α内の範囲は、位置飛びの測位位置を排除することができる範囲として規定されているから、距離d1等が閾値α内か否かを判断することによって、位置飛びの測位位置を判断することができる。本実施の形態の場合、位置飛びを生じているのは測位位置P4である。
そして、端末20は、回帰直線L2を生成することができる。端末20は、閾値α内の距離d1等の算出の基礎となった測位位置に基づいて、回帰直線L2を生成することができる。これは、位置飛びの測位位置P4を排除して、回帰直線L2を生成することができることを意味する。このため、回帰直線L2は、位置飛びの影響が排除されており、回帰直線L1よりも真の位置の軌跡に近接する。
そして、端末20は、現在時刻t6に対応する回帰直線L2上の位置である予想位置Qr6を算出することができる。回帰直線L2は、真の位置の軌跡に近接しているから、予想位置Qr6もまた、真の位置に近接している。
そして、端末20は、現在時刻t6における測位位置P6と予想位置Qr6を平均化処理することによって、出力位置Pr6を算出することができる。予想位置Qr6は真の位置に近接しているから、平均化処理によって、測位位置P6を真の位置に近接するように補正することができる。
上述のように、端末20は、現在時刻t6における測位位置P6を回帰直線L2上の予想位置Qr6で補正する。すなわち、前回の測位位置と前回の速度ベクトルに基づいて算出した位置によって補正するのではないから、前回の測位位置の精度の影響は緩和されており、前回の速度ベクトルの影響は受けない。
しかも、回帰直線L2は、位置飛びの測位位置P4を排除して生成されているから、位置飛びの測位位置P4の影響を受けない。
このため、測位装置P4は、位置飛びの影響を受けない予想位置Qr6によって現在時刻t6の測位位置P6を補正し、出力位置Pr6を算出することができる。
これにより、位置飛びの影響を十分に低減することができる。
【0039】
また、端末20のBuff156は、閾値α内の距離の算出の基礎となった測位位置を保持するとともに、閾値α外の距離の算出の基礎となった測位位置を保持することができる。
測位位置P1等と仮定位置Q1等の距離d1等が閾値αより大きいときには、真の位置が実際に急激に大きく移動している場合もある。このため、距離d1等が閾値αよりも大きい場合に、Buff156から測位位置P4を排除すると、次回の回帰直線L1の精度が劣化する。この結果、位置飛びの測位位置を正確に排除して回帰直線L2を生成することが困難になる。ここで、回帰直線L1の精度が劣化するとは、真の位置の軌跡Lrとの乖離が大きくなることを意味する。
この点、Buff156は、距離d1等が閾値αよりも大きいか否かに関わらず、測位位置P1等を保持する。このため、真の位置が実際に急激に大きく移動した場合であっても、その移動に追従して、回帰直線L1の精度を維持することができる。
【0040】
図9は、回帰直線L1等を示す図である。
端末20の真の位置は、実際には、図9の軌跡Lrに示す通りであるとする。すなわち、端末20は、時刻t3と時刻t4との間において、急激に大きく移動しており、測位位置P4は位置飛びの位置ではないと仮定する。測位端末20は、時刻t4以降時刻t9まで、例えば、測位位置P5乃至P9を算出する。このうち、測位位置P5及びP6が位置飛びの測位位置である。
例えば、測位位置P4と仮定位置Q4との距離d4は閾値α以下である。これに対して、測位位置P6と仮定位置Q6との距離d6は閾値αより大きい。このため、端末20は、測位位置P6は位置飛びであると判断する。
これに対して、仮に、端末20のBuff156から、時刻t6において位置飛びであると判断した測位位置P4(図7参照)を削除すると、時刻t9における回帰直線L1(図9参照)は、測位位置P5及びP6の影響をより大きく受けて、真の位置の軌跡Lrと乖離する。この結果、回帰直線L1の精度が劣化する。この結果、本来、真の位置に近い測位位置P4を位置飛びであると誤って判断することになる。
この点、端末20のBuff156は、閾値α内の距離の算出の基礎となった測位位置を保持するとともに、閾値α外の距離の算出の基礎となった測位位置を保持することができるから、実際に急激に大きく移動したとしても、その移動に追従して、精度の良い回帰直線L1を生成することができる。この結果、仮定位置、予想位置及び出力位置の精度が向上する。
【0041】
以上が本実施の形態に係る端末20の構成であるが、以下、その動作例を主に図10及び図11を使用して説明する。
図10及び図11は本実施の形態に係る端末20の動作例を示す概略フローチャートである。
現在時刻がt6であると仮定して、以下の説明をする。
【0042】
まず、端末20は、現在位置を測位し、測位位置P6(図4参照)を算出する(図10のステップST1)。このステップST1は、測位位置算出ステップの一例である。
続いて、端末20は、測位位置P6をBuff156に格納する(ステップST2)。
続いて、端末20は、Buff156に格納されたすべての測位位置P1乃至P6を使用して、回帰直線L1(図7参照)を生成する(ステップST3)。このステップST3は、第1回帰直線生成ステップの一例である。
【0043】
続いて、端末20は、各測位位置P1乃至P6の算出時刻t1乃至t6に対応する回帰直線L1上の位置である仮定位置Q1乃至Q6(図7参照)を算出する(ステップST4)。このステップST4は、仮定位置算出ステップの一例である。
【0044】
続いて、端末20は、各測位位置P1乃至P6と、それぞれ対応する仮定位置Q1乃至Q6との距離d1乃至d6を算出する(ステップST5)。このステップST5は、距離算出ステップの一例である。
【0045】
続いて、端末20は、各距離d1乃至d6が閾値α以下か否かを判断する(図11のステップST6)。このステップST6は、距離評価ステップの一例である。
続いて、端末20が、閾値α以下の距離d1等に対応する測位位置P1等を使用して、回帰直線L2(図8参照)を生成する(ステップST7)。このステップST7は、第2回帰直線生成ステップの一例である。
【0046】
続いて、端末20は、現在時刻t6に対応する回帰直線L2上の位置である予想位置Qr6(図8参照)を算出する(ステップST8)。このステップST8は、予想位置算出ステップの一例である。
続いて、端末20は、測位位置P6と予想位置Qr6とを平均し、出力位置Pr6(図8参照)を算出する(ステップST9)。このステップST9は、出力位置算出ステップの一例である。
続いて、端末20は、出力位置Pr6を表示する(ステップST10)。
【0047】
上述のステップによって、位置飛びの影響を十分に低減することができる。
【0048】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の測位位置算出ステップと、第1回帰直線生成ステップと、仮定位置算出ステップと、距離算出ステップと、距離評価ステップと、第2回帰直線生成ステップと、予想位置算出ステップと、出力位置算出ステップ等を実行させるための測位装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような測位装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0049】
これら測位装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0050】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る端末等を示す概略図である。
【図2】端末の移動状態の一例を示す図である。
【図3】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図4】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図5】Buffの一例を示す図である。
【図6】回帰直線L1の生成方法の一例を示す図である。
【図7】回帰直線L1等の一例を示す図である。
【図8】回帰直線L2等を示す図である。
【図9】回帰直線L1等を示す図である。
【図10】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図11】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
12a,12b,12c,12d・・・GPS衛星、20・・・端末、112・・衛星信号受信プログラム、114・・・測位プログラム、116・・・第1回帰直線生成プログラム、118・・・仮定位置算出プログラム、120・・・距離算出力プログラム、122・・・距離評価プログラム、124・・・第2回帰直線生成プログラム、126・・・予想位置算出プログラム、128・・・出力位置算出プログラム、130・・・位置表示プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位衛星からの信号を使用する測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
GPS受信機は、例えば、3個以上のGPS衛星から信号を受信し、信号が各GPS衛星から発信された時刻とGPS受信機に到達した時刻との差(以後、遅延時間と呼ぶ)によって、各GPS衛星とGPS受信機との間の距離(以後、擬似距離と呼ぶ)を求める。そして、各GPS衛星から受信した信号に乗せられている各GPS衛星の衛星軌道情報と、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行うようになっている。
しかし、GPS衛星からの信号が建物等に反射してGPS受信機に到達したり、信号強度が弱かったり、天空におけるGPS衛星の配置(DOP:Dilution Of Precision)が悪い場合には、測位位置が真の位置と大きく乖離し、位置飛びが発生する場合がある。ここで、「位置飛び」とは、測位位置と真の位置との乖離が通常の測位誤差の範囲を越えることを意味する。そして、位置飛びに該当する測位位置を、「位置飛びの測位位置」と呼ぶ。
このため、測位位置をそのまま出力すると、出力位置と真の位置との乖離が大きくなる場合があるという問題がある。
これに対して、前回の測位位置と速度ベクトルから現在の予想位置を算出し、その予想位置と現在の測位位置を平均化処理する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平8―68651号公報(図5等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の技術においては、前回の測位位置の精度又は前回の速度ベクトルの精度が低い場合には、平均化処理の後の位置の精度も劣化し、位置飛びの影響を十分に低減することができない場合があるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、位置飛びの影響を十分に低減することができる測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、測位位置を算出する測位位置算出手段を有する測位装置であって、予め規定した数の前記測位位置を格納する位置格納手段と、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成手段と、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出手段と、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出手段と、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価手段と、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成手段と、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出手段と、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出手段と、を有することを特徴とする測位装置により達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記測位装置は、前記第1回帰直線生成手段を有するから、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成することができる。
そして、前記測位装置は、前記仮定位置算出手段を有するから、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出することができる。
そして、前記測位装置は、前記距離算出手段を有するから、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出することができる。
そして、前記測位装置は、前記距離評価手段を有するから、各前記距離が、予め規定した許容範囲内か否かを判断することができる。前記許容範囲は、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として規定されているから、前記距離が前記許容範囲内か否かを判断することによって、位置飛びの前記測位位置を判断することができる。
そして、前記測位装置は、前記第2回帰直線生成手段を有するから、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、前記第2回帰直線を生成することができる。これは、位置飛びの前記測位位置を排除して、前記第2回帰直線を生成することができることを意味する。このため、前記第2回帰直線は、前記第1回帰直線よりも真の位置の軌跡に近接する。
そして、前記測位装置は、前記予想位置算出手段を有するから、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出することができる。前記第2回帰直線は、真の位置の軌跡に近接するから、前記予想位置もまた、真の位置に近接する。
そして、前記測位装置は、前記出力位置算出手段を有するから、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出することができる。前記予想位置は真の位置に近接するから、前記平均化処理によって、前記測位位置を真の位置に近接するように補正することができる。
上述のように、前記測位装置は、前記測位位置を前記第2回帰直線上の位置で補正する。すなわち、前回の測位位置と速度ベクトルに基づいて算出した位置によって補正するのではないから、前回の測位位置の精度の影響は緩和されており、速度ベクトルの影響は受けない。
しかも、前記第2回帰直線は、位置飛びの前記測位位置を排除して生成されているから、位置飛びの前記測位位置の影響を受けない。
このため、前記測位装置は、位置飛びの影響を受けない前記予想位置によって現在時刻の前記測位位置を補正し、前記出力位置を算出することができる。
これにより、位置飛びの影響を十分に低減することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記位置格納手段は、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置を保持するとともに、前記許容範囲外の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置を保持することを特徴とする測位装置である。
【0008】
前記距離が前記許容範囲外であるときには、真の位置が実際に急激に大きく移動している場合もある。このため、前記距離が前記許容範囲外の場合に、前記位置格納手段から前記測位位置を排除すると、次回の前記第1回帰直線の精度が劣化する。この結果、位置飛びが生じている前記測位位置を正確に排除して前記第2回帰直線を生成することが困難になる。
この点、第2の発明の構成によれば、前記位置格納手段は、前記距離が前記許容範囲内か否かに関わらず、前記測位位置を保持する。このため、真の位置が実際に急激に大きく移動した場合であっても、その移動に追従して、前記第1回帰直線の精度を維持することができる。
【0009】
前記目的は、第3の発明によれば、予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、を有することを特徴とする測位装置の制御方法によって達成される。
【0010】
第3の発明の構成によれば、第1の発明の構成と同様に、位置飛びの影響を十分に低減することができる。
【0011】
前記目的は、第4の発明によれば、コンピュータに、予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムによって達成される。
【0012】
前記目的は、第5の発明によれば、コンピュータに、予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る端末20等を示す概略図である。
図1に示すように、端末20は、自動車18に搭載されている。端末20は、測位衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dからの信号である信号S1,S2,S3及びS4を受信することができる。この信号S1等は、衛星信号の一例である。そして、端末20は、測位装置の一例である。
端末20は、自動車18に搭載されて、道路R上を移動している。
【0015】
端末20は、例えば、道路R上において測位演算を連続的に実施し、取得した位置情報を地図情報とともに表示するカーナビゲーション装置である。端末20が表示する出力位置は、「位置飛び」がないことが要求される。ここで、出力位置とは、端末20が後述の表示装置34に表示する位置を意味する。「位置飛び」とは、測位位置と真の位置との乖離が通常の測位誤差の範囲を越えることを意味する。この通常の測位誤差の範囲は、例えば、屋内で500メートル(m)、屋外で100メートル(m)である。
【0016】
例えば、自動車18が、屋外において実際に、矢印A1上を移動しているとする。このとき、各測位時における真の位置は、例えば、真の位置r1乃至r8である。そして、測位位置は測位位置P1乃至P8である。例えば、真の位置r4と測位位置P4との距離B1は100メートル以内であって、屋外における通常の測位誤差の範囲であるから、位置飛びは生じていない。これに対して、真の位置r6と測位位置P6の距離B2は100メートルを越えているから、位置飛びが生じていることになる。
【0017】
端末20は、以下の構成によって、位置飛びが生じている測位位置の影響を排除して、真の位置に近い位置を出力することができるようになっている。
【0018】
なお、端末20は例えば、カーナビゲーション装置であるが、その他に、携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance)等であってもよく、また、これらに限らない。
なお、本実施の形態とは異なり、GPS衛星12a等は4個に限らず例えば、3個でもよいし、5個以上でもよい。
【0019】
図2は、端末20の移動状態の一例を示す図である。
時刻t0乃至t6における、端末20の真の位置は、例えば、それぞれ位置r0乃至r6である。位置r0乃至r6の軌跡は直線Lrである。以後、直線Lrを真の位置の軌跡Lrとも呼ぶ。
端末20が、直線Lrに示す移動をしたと仮定して、以下の説明をする。
【0020】
(端末20の主なハードウエア構成について)
図3は端末20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図3に示すように、端末20は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス22を有する。
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26、外部記憶装置28等が接続されている。記憶装置26は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。外部記憶装置28は例えば、HDD(Hard Disk Drive)等である。
【0021】
また、このバス22には、各種情報等を入力するための入力装置30、GPS衛星12a等から信号S1等を受信するためのGPS装置32、各種情報を表示するための表示装置34、時計36、電源装置38が接続されている。
【0022】
(端末20の主なソフトウエア構成について)
図4は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図4に示すように、端末20は、各部を制御する制御部100、図3のGPS装置32に対応するGPS部102等を有する。
端末20は、また、各種プログラムを格納する第1記憶部110、各種情報を格納する第2記憶部150を有する。
【0023】
図4に示すように、端末20は、第2記憶部150に、衛星軌道情報152を格納している。衛星軌道情報152は、アルマナック152a及びエフェメリス152bを含む。
アルマナック152aは、すべてのGPS衛星12a等(図1参照)の概略の軌道を、その取得時刻とともに示す情報である。アルマナック152bは、いずれのGPS衛星12a等の信号S1等からも、デコードして取得することができる。
エフェメリス152bは、各GPS衛星12a等(図1参照)の精密な軌道を示す情報である。例えば、GPS衛星12aのエフェメリス152aを取得するためには、GPS衛星12aからの信号S1を受信し、デコードして取得する必要がある。
端末20は、衛星軌道情報152を、測位のために使用する。
【0024】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、衛星信号受信プログラム112を格納している。衛星信号受信プログラム112は、制御部100が、GPS衛星12a等から、信号S1等を受信するためのプログラムである。
具体的には、制御部100は、アルマナック152aを参照して、現在時刻において観測可能なGPS衛星12a等を判断し、観測可能なGPS衛星12a等からの信号S1等を受信する。このとき、基準となる自己位置は、例えば、前回の測位位置を使用する。
なお、現在時刻がt6で、今回の測位位置を測位位置P6として説明する。また、時刻t4において測位した測位位置P4は位置飛びを生じていると仮定する。
【0025】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、測位プログラム114を格納している。測位プログラム114は、制御部100が、GPS部102によって受信した信号S1等に基づいて、現在の測位位置P6を算出するためのプログラムである。測位位置P6は、現在位置の一例である。測位プログラム114と制御部100は、測位位置算出手段の一例である。
具体的には、制御部100は、例えば、3個以上のGPS衛星12a等から信号S1等を受信し、信号S1等が各GPS衛星12a等から発信された時刻と端末20に到達した時刻との差である遅延時間によって、各GPS衛星12a等と端末20との間の距離である擬似距離を求める。そして、各GPS衛星12a等のエフェメリス152bと、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行う。
制御部100は測位プログラム114に基づいて、測位位置P6を示す測位位置情報154を第2記憶部150に格納する。
制御部100は、また、測位プログラム114に基づいて、第2記憶部150内のBuff156に測位位置P6を格納する。
なお、本実施の形態とは異なり、端末20は、GPS衛星12a等からの信号S1等に基づく測位を行うのではなくてもよい。例えば、端末20は、携帯電話の通信基地局と通信可能な通信装置を備え、GPS衛星12a等からの信号S1等と通信基地局からの通信信号を組み合わせた測位を行ってもよいし、複数の通信基地局からの通信信号による測位を行ってもよい。また、端末20は、無線LANの信号受信装置を備え、無線LANを利用する測位を行ってもよい。
【0026】
図5は、Buff156の一例を示す図である。
図5に示すように、Buff156には、6個の測位位置が格納されている。この6個という数は、予め規定した数の一例である。Buff156は、位置格納手段の一例である。
図5(a)は、現在時刻t6の直前のBuff156の状態であり、測位位置P0乃至P5の6個の測位位置が格納されている。例えば、測位位置P0は時刻t0において算出された測位位置であり、測位位置P1は時刻t1において算出された測位位置である。
制御部100は、現在時刻t6において、測位位置P6を算出すると、図5(b)に示すように、最も古い測位位置P0を削除するとともに、測位位置P6をBuff156に格納する。
【0027】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、第1回帰直線生成プログラム116を格納している。第1回帰直線生成プログラム116は、制御部100が、Buff156に格納したすべての測位位置P6等に基づいて、回帰直線L1を生成するためのプログラムである。回帰直線L1は第1回帰直線の一例である。第1回帰直線生成プログラム116と制御部100は、第1回帰直線生成手段の一例である。
【0028】
図6は、回帰直線L1の生成方法の一例を示す図である。
図7は、回帰直線L1等の一例を示す図である。
制御部100は、例えば、図6に示す数式によって、図7に示すように、回帰直線L1を算出する。回帰直線L1は、時間をx軸、緯度をy軸としている。
制御部100は、回帰直線L1を示す第1回帰直線情報158を、Buff156に格納する。
回帰直線L1は位置飛びの測位位置P4にも基づいているため、真の位置の軌跡Lrと大きく乖離している。
【0029】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、仮定位置算出プラグラム118を格納している。仮定位置算出プラグラム118は、制御部100が、各測位位置P1等に対応する回帰直線L1上の位置である仮定位置Q1乃至Q6を算出するためのプログラムである。仮定位置Q1等は仮定位置の一例である。仮定位置算出プラグラム118と制御部100は、仮定位置算手段の一例である。
具体的には、制御部100は、例えば、測位位置P1については、時刻t1に対応する回帰直線L1上の仮定位置Q1を算出する。同様に、測位位置P2乃至P6については、それぞれ、時刻t2乃至t6に対応する回帰直線L1上の仮定位置Q2乃至Q6を算出する。
制御部100は、仮定位置Q1等を示す仮定位置情報160を第2記憶部150に格納する。
上述のように、回帰直線L1は真の位置の軌跡Lrと大きく乖離しているため、仮に、仮定位置Q6と測位位置P6とを平均化した位置を算出するとすれば、その位置Pe6は、真の位置の軌跡Lr上の位置と大きく乖離している。このため、端末20は、仮定位置Q6と測位位置P6とを平均化した位置を算出することも、出力することもない。
【0030】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、距離算出プラグラム120を格納している。距離算出プラグラム120は、制御部100が、各測位位置P1等と、各側位置P1等に対応する仮定位置Q1等との距離d1乃至d6を算出するためのプログラムである。距離算出プラグラム120と制御部100は、距離算出手段の一例である。
例えば、制御部100は、図7に示すように、測位位置P4と、測位位置P4に対応する仮定位置Q4との距離d4を算出する。
制御部100は、距離d1乃至d6を示す距離情報162を第2記憶部150に格納する。
【0031】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、距離評価プラグラム122を格納している。距離評価プラグラム122は、制御部100が、各距離d1等が、閾値α以内か否かを判断するためのプログラムである。閾値α以内の範囲は、予め規定した許容範囲の一例である。閾値α以内の範囲は、位置飛びの測位位置を排除することができる範囲として規定されている。
閾値αは、例えば、大きな位置飛びを排除するためには、300メートル(m)に設定される。大きな位置飛びの場合、真の位置と測位位置が500メートル以上は乖離することが経験上既知であるから、大きな位置飛びの測位位置を確実に排除するために500メートル(m)よりも短い300メートル(m)に閾値αを設定するのである。
そして、端末20は、真の位置を知ることはできないから、仮定位置Q1等と測位位置P1等との距離d1等と閾値αを比較するようになっている。すなわち、真の位置と仮定位置Q1との乖離を考慮して、大きな位置飛びの測位位置を確実に排除するためにも500メートル(m)よりも短い300メートル(m)に閾値αを設定する。
また、閾値αは、例えば、測位位置が道路Rから外れる程度の小さな位置飛びも排除する精密な測位モードにおいては、70メートル(m)に設定される。精密な測位モードでは、通常の測位誤差の範囲も、例えば、屋外で100メートルである。そして、小さな位置飛びの場合、真の位置と測位位置が100メートル程度乖離することが経験上既知であるから、小さな位置飛びの測位位置を確実に排除するために100メートル(m)よりも短い70メートル(m)に閾値αを設定するのである。
【0032】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、第2回帰直線生成プラグラム124を格納している。第2回帰直線生成プラグラム124は、制御部100が、閾値α以内の距離の算出の基礎となった測位位置に基づいて、回帰直線L2を生成するためのプログラムである。回帰直線L2は第2回帰直線の一例である。第2回帰直線生成プラグラム124と制御部100は、第2回帰直線生成手段の一例である。
【0033】
図8は、回帰直線L2等を示す図である。
制御部100は、閾値α内の距離の算出の基礎となった測位位置P1,P2,P5及びP6に基づいて、回帰直線L2を生成する。すなわち、制御部100は、閾値α外の距離の算出の基礎となった測位位置P4を排除して、回帰直線L2を生成する。
制御部100は、回帰直線L2を示す第2回帰直線情報164を第2記憶部150に格納する。
回帰直線L2は、位置飛びの測位位置P4を排除して生成されているため、回帰直線L1よりも真の位置の軌跡Lrと近接している。
【0034】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、予想位置算出プラグラム126を格納している。予想位置算出プラグラム126は、制御部100が、現在時刻t6に対応する回帰直線L2上の位置である予想位置Qr6を算出するためのプログラムである。予想位置Qr6は予想位置の一例である。予想位置算出プラグラム126と制御部100は、予想位置算出手段の一例である。
図8に示すように、制御部100は、現在時刻t6に対応する回帰直線L2上の予想位置Qr6を算出する。
制御部100は、予想位置Qr6を示す予想位置情報166を第2記憶部150に格納する。
上述のように、回帰直線L2は真の位置の軌跡Lrと近接しているため、予想位置Qrは、真の位置の軌跡Lr上の対応する位置と近接している。
【0035】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、出力位置算出プログラム128を格納している。出力位置算出プログラム128は、制御部100が、現在時刻t6における測位位置P6と、予想位置Qrを平均化処理することによって、出力位置Pr6を算出するためのプログラムである。出力位置Pr6は出力位置の一例である。出力位置算出プログラム128と制御部100は、出力位置算出手段の一例である。
図8に示すように、制御部100は、測位位置P6と予想位置Qr6との平均の位置Pr6を算出する。出力位置Pr6は、測位位置P6を予想位置Qr6で補正した位置である。
制御部100は、出力位置Pr6を示す出力位置情報168を第2記憶部150に格納する。
【0036】
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、位置表示プログラム130を格納している。位置表示プログラム130は、制御部100が、出力位置Pr6を表示装置34(図3参照)に表示するためのプログラムである。
【0037】
端末20は、上述のように構成されている。
端末20は、回帰直線L1を生成を生成することができる。端末20は、回帰直線L1を、Buff156(図4参照)に格納したすべての測位位置P1乃至P6を使用して生成する。
【0038】
そして、端末20は、すべての測位位置P1乃至P6の測位時刻t1乃至t6に対応する仮定位置Q1乃至Q6を算出することができる。
そして、端末20は、各測位位置P1等と、各測位位置P1等に対応する仮定位置Q1等との距離d1等を算出することができる。
そして、端末20は、各距離d1等が、予め規定した閾値α内か否かを判断することができる。閾値α内の範囲は、位置飛びの測位位置を排除することができる範囲として規定されているから、距離d1等が閾値α内か否かを判断することによって、位置飛びの測位位置を判断することができる。本実施の形態の場合、位置飛びを生じているのは測位位置P4である。
そして、端末20は、回帰直線L2を生成することができる。端末20は、閾値α内の距離d1等の算出の基礎となった測位位置に基づいて、回帰直線L2を生成することができる。これは、位置飛びの測位位置P4を排除して、回帰直線L2を生成することができることを意味する。このため、回帰直線L2は、位置飛びの影響が排除されており、回帰直線L1よりも真の位置の軌跡に近接する。
そして、端末20は、現在時刻t6に対応する回帰直線L2上の位置である予想位置Qr6を算出することができる。回帰直線L2は、真の位置の軌跡に近接しているから、予想位置Qr6もまた、真の位置に近接している。
そして、端末20は、現在時刻t6における測位位置P6と予想位置Qr6を平均化処理することによって、出力位置Pr6を算出することができる。予想位置Qr6は真の位置に近接しているから、平均化処理によって、測位位置P6を真の位置に近接するように補正することができる。
上述のように、端末20は、現在時刻t6における測位位置P6を回帰直線L2上の予想位置Qr6で補正する。すなわち、前回の測位位置と前回の速度ベクトルに基づいて算出した位置によって補正するのではないから、前回の測位位置の精度の影響は緩和されており、前回の速度ベクトルの影響は受けない。
しかも、回帰直線L2は、位置飛びの測位位置P4を排除して生成されているから、位置飛びの測位位置P4の影響を受けない。
このため、測位装置P4は、位置飛びの影響を受けない予想位置Qr6によって現在時刻t6の測位位置P6を補正し、出力位置Pr6を算出することができる。
これにより、位置飛びの影響を十分に低減することができる。
【0039】
また、端末20のBuff156は、閾値α内の距離の算出の基礎となった測位位置を保持するとともに、閾値α外の距離の算出の基礎となった測位位置を保持することができる。
測位位置P1等と仮定位置Q1等の距離d1等が閾値αより大きいときには、真の位置が実際に急激に大きく移動している場合もある。このため、距離d1等が閾値αよりも大きい場合に、Buff156から測位位置P4を排除すると、次回の回帰直線L1の精度が劣化する。この結果、位置飛びの測位位置を正確に排除して回帰直線L2を生成することが困難になる。ここで、回帰直線L1の精度が劣化するとは、真の位置の軌跡Lrとの乖離が大きくなることを意味する。
この点、Buff156は、距離d1等が閾値αよりも大きいか否かに関わらず、測位位置P1等を保持する。このため、真の位置が実際に急激に大きく移動した場合であっても、その移動に追従して、回帰直線L1の精度を維持することができる。
【0040】
図9は、回帰直線L1等を示す図である。
端末20の真の位置は、実際には、図9の軌跡Lrに示す通りであるとする。すなわち、端末20は、時刻t3と時刻t4との間において、急激に大きく移動しており、測位位置P4は位置飛びの位置ではないと仮定する。測位端末20は、時刻t4以降時刻t9まで、例えば、測位位置P5乃至P9を算出する。このうち、測位位置P5及びP6が位置飛びの測位位置である。
例えば、測位位置P4と仮定位置Q4との距離d4は閾値α以下である。これに対して、測位位置P6と仮定位置Q6との距離d6は閾値αより大きい。このため、端末20は、測位位置P6は位置飛びであると判断する。
これに対して、仮に、端末20のBuff156から、時刻t6において位置飛びであると判断した測位位置P4(図7参照)を削除すると、時刻t9における回帰直線L1(図9参照)は、測位位置P5及びP6の影響をより大きく受けて、真の位置の軌跡Lrと乖離する。この結果、回帰直線L1の精度が劣化する。この結果、本来、真の位置に近い測位位置P4を位置飛びであると誤って判断することになる。
この点、端末20のBuff156は、閾値α内の距離の算出の基礎となった測位位置を保持するとともに、閾値α外の距離の算出の基礎となった測位位置を保持することができるから、実際に急激に大きく移動したとしても、その移動に追従して、精度の良い回帰直線L1を生成することができる。この結果、仮定位置、予想位置及び出力位置の精度が向上する。
【0041】
以上が本実施の形態に係る端末20の構成であるが、以下、その動作例を主に図10及び図11を使用して説明する。
図10及び図11は本実施の形態に係る端末20の動作例を示す概略フローチャートである。
現在時刻がt6であると仮定して、以下の説明をする。
【0042】
まず、端末20は、現在位置を測位し、測位位置P6(図4参照)を算出する(図10のステップST1)。このステップST1は、測位位置算出ステップの一例である。
続いて、端末20は、測位位置P6をBuff156に格納する(ステップST2)。
続いて、端末20は、Buff156に格納されたすべての測位位置P1乃至P6を使用して、回帰直線L1(図7参照)を生成する(ステップST3)。このステップST3は、第1回帰直線生成ステップの一例である。
【0043】
続いて、端末20は、各測位位置P1乃至P6の算出時刻t1乃至t6に対応する回帰直線L1上の位置である仮定位置Q1乃至Q6(図7参照)を算出する(ステップST4)。このステップST4は、仮定位置算出ステップの一例である。
【0044】
続いて、端末20は、各測位位置P1乃至P6と、それぞれ対応する仮定位置Q1乃至Q6との距離d1乃至d6を算出する(ステップST5)。このステップST5は、距離算出ステップの一例である。
【0045】
続いて、端末20は、各距離d1乃至d6が閾値α以下か否かを判断する(図11のステップST6)。このステップST6は、距離評価ステップの一例である。
続いて、端末20が、閾値α以下の距離d1等に対応する測位位置P1等を使用して、回帰直線L2(図8参照)を生成する(ステップST7)。このステップST7は、第2回帰直線生成ステップの一例である。
【0046】
続いて、端末20は、現在時刻t6に対応する回帰直線L2上の位置である予想位置Qr6(図8参照)を算出する(ステップST8)。このステップST8は、予想位置算出ステップの一例である。
続いて、端末20は、測位位置P6と予想位置Qr6とを平均し、出力位置Pr6(図8参照)を算出する(ステップST9)。このステップST9は、出力位置算出ステップの一例である。
続いて、端末20は、出力位置Pr6を表示する(ステップST10)。
【0047】
上述のステップによって、位置飛びの影響を十分に低減することができる。
【0048】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の測位位置算出ステップと、第1回帰直線生成ステップと、仮定位置算出ステップと、距離算出ステップと、距離評価ステップと、第2回帰直線生成ステップと、予想位置算出ステップと、出力位置算出ステップ等を実行させるための測位装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような測位装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0049】
これら測位装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0050】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る端末等を示す概略図である。
【図2】端末の移動状態の一例を示す図である。
【図3】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図4】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図5】Buffの一例を示す図である。
【図6】回帰直線L1の生成方法の一例を示す図である。
【図7】回帰直線L1等の一例を示す図である。
【図8】回帰直線L2等を示す図である。
【図9】回帰直線L1等を示す図である。
【図10】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図11】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
12a,12b,12c,12d・・・GPS衛星、20・・・端末、112・・衛星信号受信プログラム、114・・・測位プログラム、116・・・第1回帰直線生成プログラム、118・・・仮定位置算出プログラム、120・・・距離算出力プログラム、122・・・距離評価プログラム、124・・・第2回帰直線生成プログラム、126・・・予想位置算出プログラム、128・・・出力位置算出プログラム、130・・・位置表示プログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位位置を算出する測位位置算出手段を有する測位装置であって、
予め規定した数の前記測位位置を格納する位置格納手段と、
前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成手段と、
各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出手段と、
各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出手段と、
各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価手段と、
前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成手段と、
現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出手段と、
現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記位置格納手段は、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置を保持するとともに、前記許容範囲外の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置を保持することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、
前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、
前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、
前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、
前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、
を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
【請求項4】
コンピュータに、
予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、
前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、
前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、
前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、
前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、
前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、
前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、
前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、
前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
測位位置を算出する測位位置算出手段を有する測位装置であって、
予め規定した数の前記測位位置を格納する位置格納手段と、
前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成手段と、
各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出手段と、
各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出手段と、
各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価手段と、
前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成手段と、
現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出手段と、
現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記位置格納手段は、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置を保持するとともに、前記許容範囲外の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置を保持することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、
前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、
前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、
前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、
前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、
を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
【請求項4】
コンピュータに、
予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、
前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、
前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、
前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、
前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
予め規定した数の測位位置を格納する位置格納手段を有する測位装置が、現在の前記測位位置を算出する測位位置算出ステップと、
前記測位装置が、前記位置格納手段に格納したすべての前記測位位置に基づいて、第1回帰直線を生成する第1回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置に対応する前記第1回帰直線上の位置である仮定位置を算出する仮定位置算出ステップと、
前記測位装置が、各前記測位位置と、各前記測位位置に対応する前記仮定位置との距離を算出する距離算出ステップと、
前記測位装置が、各前記距離が、位置飛びの前記測位位置を排除することができる範囲として予め規定した許容範囲内か否かを判断する距離評価ステップと、
前記測位装置が、前記許容範囲内の前記距離の算出の基礎となった前記測位位置に基づいて、第2回帰直線を生成する第2回帰直線生成ステップと、
前記測位装置が、現在時刻に対応する前記第2回帰直線上の位置である予想位置を算出する予想位置算出ステップと、
前記測位装置が、現在時刻における前記測位位置と前記予想位置を平均化処理することによって、出力位置を算出する出力位置算出ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−240367(P2007−240367A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64226(P2006−64226)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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