説明

測位装置、軌跡情報記憶方法、プログラム

【課題】移動軌跡を示す軌跡データを間引かなくとも移動軌跡を示す軌跡情報を効率よく圧縮して記録できるようにする。
【解決手段】
CPU21は、GPSモジュール3により計測された位置情報を、第1の時間間隔で、移動軌跡を示す軌跡情報としてRAM23に保存する。また、第1の時間間隔で位置情報をRAM23に保存する間、CPU21は、第2の時間間隔で、磁気センサ4及び加速度センサ5の検出値データに基づき、第2の時間が経過する間における現在位置の変動量を示す位置変動情報を取得する。そして、CPU21は、取得した位置変動情報を、移動軌跡を示す軌跡情報としてRAM23に保存する。第2の時間間隔でRAM23に保存する個々の軌跡データのデータ量を削減することにより移動軌跡を示す軌跡情報を効率よく圧縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置において自己の移動軌跡を示す軌跡データを記憶する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System)衛星等の測位衛星から送られてくる電波を受信することによって、自己の現在位置を示す位置情報(緯度、経度、高度)を取得するナビゲーション装置等の測位装置においては、取得した位置情報を、測位装置の移動軌跡を示す軌跡データとして記憶する機能を備えたものが多い。
【0003】
ところで、一連の軌跡データからなる軌跡情報を記憶する際、取得した全ての位置情報を軌跡データとして記憶すると、軌跡情報の記憶に必要なメモリ容量が大きくなる。これに関し、例えば下記特許文献1には、自己の移動方向を所定の周期で取得し、取得した移動方向の変化量の積算値が閾値よりも大きくなったときにだけ軌跡データを記憶する技術が記載されている。つまり軌跡データを適切に間引くことによって、軌跡情報を圧縮することにより、軌跡情報の記憶に必要なメモリ容量を削減する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−125542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術においては、移動軌跡情報を構成する個々の軌跡データが、地図上における自己の現在位置を示す位置情報(緯度、経度)である。そのため、軌跡データを間引くことができない期間の移動軌跡を示す軌跡情報については圧縮することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、移動軌跡を示す軌跡データを間引かなくとも移動軌跡を示す軌跡情報を効率よく圧縮して記録することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明に係る測位装置にあっては、測位衛星から送られてくる電波を受信し、自己の現在位置を計測する測位手段と、自己の移動軌跡を示す軌跡情報を記憶する記憶手段と、前記測位手段により計測された位置情報を、第1の時間間隔で前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる第1の記憶制御手段と、前記第1の記憶制御手段が第1の時間間隔で前記位置情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる間に、第2の時間間隔で、当該第2の時間が経過する間における現在位置の変動量を示す位置変動情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる第2の記憶制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明に係る測位装置にあっては、前記第2の記憶制御手段が第2の時間間隔で前記記憶手段に軌跡情報として連続して記憶させるべき複数の位置変動情報により示される前記変動量を、後続する側の位置変動情報により示される前記変動量が予め決められている基準を満たすことを条件として加算する加算手段をさらに備え、
【0009】
前記第2の記憶制御手段は、前記加算手段による加算後の変動量を示す位置変動情報を、変動量の加算対象となった複数の位置変動情報に代えて、前記記憶手段に軌跡情報として記憶させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の発明に係る測位装置にあっては、前記加算手段は、前記後続する側の位置変動情報により示される前記変動量が、基準となる移動方向となす角度が閾値以下である移動方向を表すことを条件として、前記複数の位置変動情報により示される各々の前記変動量を加算し、前記基準となる移動方向は、前記記憶手段に軌跡情報として直前に記憶された位置変動情報により示される前記変動量であって、前記加算手段による加算が行われてない前記変動量により表される移動方向であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の発明に係る測位装置にあっては、前記第2の記憶制御手段が前記記憶手段に軌跡情報として新たに記憶させるべき位置変動情報に基づき動作の種類を判断する判断手段をさらに備え、前記加算手段は、前記判断手段により判断された動作の種類が、前記判断手段により前回判断された動作の種類と同一であることを条件として、前記複数の位置変動情報により示される前記変動量を加算することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の発明に係る測位装置にあっては、前記加算手段は、予め決められた回数を上限として前記複数の位置変動情報により示される各々の前記変動量を加算することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6記載の発明に係る軌跡情報記憶方法にあっては、測位衛星から送られてくる電波を受信し、自己の現在位置を計測する測位手段と、自己の移動軌跡を示す軌跡情報を記憶する記憶手段とを備えた測位装置において、前記測位手段により計測された位置情報を第1の時間間隔で前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる工程と、前記第1の時間間隔で前記位置情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる間に、第2の時間間隔で、当該第2の時間が経過する間における現在位置の変動量を示す位置変動情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7記載の発明に係るプログラムにあっては、測位衛星から送られてくる電波を受信し、自己の現在位置を計測する測位手段と、自己の移動軌跡を示す軌跡情報を記憶する記憶手段とを備えた測位装置が有するコンピュータを、前記測位手段により計測された位置情報を、第1の時間間隔で前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる第1の記憶制御手段と、前記第1の記憶制御手段が第1の時間間隔で前記位置情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる間に、第2の時間間隔で、当該第2の時間が経過する間における現在位置の変動量を示す位置変動情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる第2の記憶制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、移動軌跡を示す軌跡データを間引かなくとも移動軌跡を示す軌跡情報を効率よく圧縮して記録することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る測位装置を示すブロック図である。
【図2】RAMに確保される記憶領域を示す概念図である。
【図3】絶対座標データのデータフォーマットを示す概念図である。
【図4】相対座標データのデータフォーマットを示す概念図である。
【図5】位置計測期間におけるCPUの処理内容を示すフローチャートである。
【図6】軌跡データ保存処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、GPS衛星を利用して位置計測(測位)を行うとともに、移動軌跡を記録する機能を備えた携帯型の測位装置に関するものである。
【0018】
図1は、本実施形態の測位装置1の電気的構成の概略を示すブロック図である。図1に示したように測位装置1は、制御部2と、制御部2に接続されたGPSモジュール3と、磁気センサ4、加速度センサ5、ディスプレイ6、キー入力部7、メモリコントローラ8とから構成されている。
【0019】
GPSモジュール3は、複数のGPS衛星(測位衛星)から送られてくる電波をGPSアンテナ3aにより受信することによって現在位置を計測し、自己の現在位置を示す位置情報、つまり緯度、経度、高度からなる絶対座標位置を取得する本実施形態における測位手段である。
【0020】
GPSモジュール3は、主として測位衛星から送られている電波に重畳されているL1帯のC/Aコードを復調・解読して現在位置を演算する制御回路と、GPS衛星の捕捉に必要な衛星情報や、現在位置の演算に不可欠な測地系に関するデータ等を記憶するメモリと、GPS衛星の捕捉タイミングを得るために測位装置1の使用地域における現地時刻を高精度でカウントする時計回路とから構成される。
【0021】
GPSモジュール3は、取得した絶対座標位置を含むGPSデータを制御部2に供給する。なお、GPSデータには、年月日と時分秒とからなる測位時間と、測位精度を示す情報とが含まれる。測位精度を示す情報は、今回計測した現在位置が、現在位置の計測に際して4以上の衛星が捕捉できた場合における3次元の位置計測結果であるか、又は3衛星しか捕捉できなかった場合における2次元の位置計測結果であるかを示す情報である。
【0022】
磁気センサ4は、3軸方向の地磁気成分を検出し、検出結果を測位装置1が移動している間の移動方向(具体的には方位角)を示す移動方向情報として制御部2に供給する。なお、図示しないが、磁気センサ4の出力信号はアンプにより増幅され、A/D変換器によってデジタルの検出信号に変換された後、制御部2に供給される。
【0023】
加速度センサ5は、測位装置1における3軸方向の加速度を検出し、検出結果は、測位装置1が移動したときの移動量を示す移動量情報として制御部2に供給する。なお、図示しないが、加速度センサ5の出力信号もアンプにより増幅され、A/D変換器によってデジタルの検出信号に変換された後、制御部2に供給される。
【0024】
制御部2は、主としてCPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、作業用のRAM(Random Access Memory)23とから構成される。制御部2は、ROM22に記憶されている種々のプログラムに従い測位装置1を制御する。ROM22には、制御部2に後述する処理を行わせることによって、CPU21を本実施形態において第1の記憶制御手段、第2の記憶制御手段、加算手段、判断手段として機能させる軌跡データ記録プログラム22aが記憶されている。
【0025】
図2は、測位装置1が移動軌跡を記録している間において、RAM23に確保される記憶領域を示した概念図である。移動軌跡の記録中、RAM23には磁気センサ出力データ保存領域23aと、加速度センサ出力データ保存領域23b、GPSデータ保存領域23c、軌跡データ保存領域23dの各領域が確保される。なお、本実施形態においては、RAM23が、移動軌跡の記録中に軌跡データ保存領域23dを確保されることにより記憶手段として機能する。
【0026】
磁気センサ出力データ保存領域23aには、磁気センサ4から制御部2に供給された検出値のデータが保存され、加速度センサ出力データ保存領域23bには、加速度センサ5から制御部2に供給された検出値のデータが保存される。GPSデータ保存領域23cには、GPSモジュール3から制御部2に供給された緯度、経度、高度と測位精度等のGPSデータが保存される。
【0027】
軌跡データ保存領域23dには、測位装置1の移動軌跡を示す一連の軌跡データが一時的に保存される。軌跡データ保存領域23dに一時的に保存される軌跡データは絶対座標データと相対座標データとの2種類である。
【0028】
絶対座標データは、ある地点の地図上の絶対座標位置を示す軌跡データであり、GPSモジュール3により取得されたGPSデータを主としたデータである。
【0029】
図3は、絶対座標データ101のデータフォーマットを示す概念図である。図3に示したように絶対座標データ101は、データ構造管理用領域と、動作種類管理用領域と、時間情報領域と、位置情報領域とからなる19Byteのデータである。
【0030】
データ構造管理用領域には3bitが割り当てられている。データ構造管理用領域には、軌跡データの種類を示すデータであって、当該軌跡データが絶対座標データ101であること、及び絶対座標データ101の精度(前述した測位精度)を示す識別データが記述される。
【0031】
動作種類管理用領域には5bitが割り当てられている。動作種類管理用領域には、測位装置1の動作の種類、すなわち測位装置1の使用者が移動状態であるか、停止状態であるか、また移動状態である場合における動作の種類を示すデータが記述される。本実施形態において、移動状態である場合の動作の種類は、移動速度に応じた状態であり、測位装置1の使用者が歩行している状態、走っている状態、又は乗物に乗っている状態のいずれかである。
【0032】
時間情報領域には6Byteが割り当てられている。時間情報領域には、位置計測が行われた時点の時刻を示す年、月、日、時、分、秒の各々のデータが各8bitで記述される。
【0033】
位置情報領域には12Byteが割り当てられている。位置情報領域には、経度領域(X1〜X4)、緯度領域(Y1〜Y4)、高度領域(Z1〜Z4)の各々のデータが32bitで記述される。位置情報領域に記述されるデータが本発明の位置情報に対応するデータである。
【0034】
また、相対座標データは、ある地点を基準とした他の地点の相対的な位置を示す軌跡データであり、主としてCPU21により演算された、一定時間内における位置の変動量を主としたデータである。図4は、相対座標データ102のデータフォーマットを示す概念図である。図4に示したように相対座標データ102は、データ構造管理用領域と、動作種類管理用領域と、圧縮時間管理用領域と、単位管理領域と、移動量格納領域とからなる6Byteのデータである。
【0035】
データ構造管理用領域には絶対座標データと同様に3bitが割り当てられており、データ構造管理用領域には、当該軌跡データが相対座標データ102であることを示す識別データが記述される。動作種類管理用領域にも絶対座標データと同様に5bitが割り当てられており、動作種類管理用領域には、前述した測位装置1の移動形態(使用者の状態)を示すデータが記述される。
【0036】
圧縮時間管理用領域には10bitが割り当てられている。圧縮時間管理用領域は、後述する軌跡データの圧縮時間を表すデータが記述される領域であり、圧縮時間は10bitで表現可能な0秒〜1,023秒の時間である。
【0037】
移動量格納領域には3Byteが割り当てられており、移動量格納領域には、ある地点をそれぞれ基準としたX,Y,Zの3軸方向のそれぞれの相対的な移動量(以下、相対移動量という。)がそれぞれ記述される。すなわち移動量格納領域は、3軸方向の相対移動量が個別に記述される3つの移動量格納領域(移動量格納領域:X、移動量格納領域:Y、移動量格納領域:Z)により構成されている。移動量格納領域の各領域には、1Byteで表現可能な符号付きのデータ、つまり−127〜217の3桁の数値が記述される。
【0038】
単位管理領域には6bitが割り当てられており、単位管理領域には、移動量格納領域に記述された相対移動量の単位を示すデータが記述される。すなわち単位管理領域は、3軸方向の相対移動量の単位が個別に記述される3つの単位管理領域(単位管理領域:X、単位管理領域:Y、単位管理領域:Z)により構成されている。単位管理領域の各領域に記述される単位は、10cm、1m、10m、100mの4種類のいずれかの単位である。移動量格納領域、及び単位管理領域に記述されるデータが本発明の位置変動情報に対応するデータである。
【0039】
一方、メモリコントローラ8は、測位装置1に装着された各種のメモリカードであるデータ記録媒体9と、制御部2(CPU21)との間におけるデータの入出力を制御する入出力インターフェースである。データ記録媒体9には、RAM23の軌跡データ保存領域23dにいったん蓄積された一連の軌跡データが所定のタイミングで記録される。
【0040】
ディスプレイ6は、例えば液晶表示パネル、及び制御部2から供給される表示データに応じて液晶表示パネルを駆動し、種々の情報を液晶表示パネルに表示させる駆動回路とから構成される。ディスプレイ6には表示される情報には、データ記録媒体9に記録された一連の軌跡データに基づく移動軌跡を示す画像情報が含まれる。
【0041】
キー入力部7は、電源スイッチ及び複数の操作スイッチから構成される。キー入力部7における操作スイッチの操作状態は、制御部2(CPU21)によって定常的にスキャンされる。
【0042】
次に、以上の構成からなる測位装置1の本発明に係る動作について説明する。まず、測位装置1における位置計測(測位)動作の概略について説明する。
【0043】
測位装置1は、一定の時間間隔で位置計測を行い自己位置を逐次計測する間、前述した絶対座標データ、又は相対座標データからなる軌跡データをRAM23の軌跡データ保存領域23dに保存する。なお、本実施形態において位置計測の間隔(測位間隔)は1秒である。
【0044】
また、測位装置1は、RAM23に保存した一連の軌跡データを、軌跡データ保存領域23dに空きがなくなった段階でデータ記録媒体9に随時転送して記録することにより、新たな軌跡データを繰り返し軌跡データ保存領域23dへ保存する。
【0045】
また、測位装置1は、位置計測中には、最初の軌跡データを含め一定の時間間隔(第1の時間間隔)で軌跡データとして絶対座標データを保存し、その間には、位置計測の間隔である1秒間隔(第2の時間間隔)で軌跡データとして相対座標データを繰り返し保存する。
【0046】
さらに、測位装置1は、軌跡データとして相対座標データを繰り返し保存する間には、予め決められた条件に従って相対座標データを間引く直線圧縮を行う。なお、直線圧縮の具体的な方法については後述する。
【0047】
以下、測位装置1における具体的な動作を図5及び図6に従って説明する。図5及び図6は、測位装置1において位置計測が行われている間に、CPU21がROM22に記憶されている軌跡データ記録プログラム22aに従い実行する処理内容を示したフローチャートである。
【0048】
図5に示したようにCPU21は、例えば使用者により所定の操作スイッチが操作されることにより位置計測を開始した後、絶対座標データの記憶タイミングであるか否かを確認する(ステップS1)。絶対座標データの記憶タイミングは、処理開始直後と、位置計測中に予め決められている一定の時間間隔で訪れるタイミングである。
【0049】
したがって、CPU21は、処理開始当初においては直ちに絶対座標要求フラグFに「1」をセットした後(ステップS2)、RTC(Real-Time Clock)によって次回の記憶タイミングに向けた一定時間Tのカウントを開始する(ステップS3)。なお、一定時間Tは数分〜30分程度の時間である。
【0050】
引き続き、CPU21は移動計測を行う(ステップS4)。移動計測は、磁気センサ4と加速度センサ5とによって測位装置1の移動方向及び移動量を検出する処理である。移動計測に際してCPU21は、測位間隔(1秒)以下の一定時間内に、磁気センサ4の検出値データと、加速度センサ5との検出値データとを複数回取得し、取得した検出値データをRAM23の磁気センサ出力データ保存領域23aと加速度センサ出力データ保存領域23bとにそれぞれ保存(蓄積)する。
【0051】
移動計測時における検出値データの取得数は、前述した測位装置1の動作の種類(停止状態、使用者が歩行している状態、走っている状態、又は乗物に乗っている状態)の判断や、後述する測位装置1の移動中における移動方向と移動距離との算出に十分な取得期間、及び取得数である。例えば検出値データの取得数は、一秒間に40サンプルである。
【0052】
その後、CPU21は、移動計測(検出値データの保存)が終了した時点で(ステップS5:YES)、保存した検出値データに基づいて、測位装置1における現在の動作の種類を判定する(ステップS6)。すなわちCPU21は、測位装置1の使用者が停止状態、歩行している状態、走っている状態、又は乗物に乗っている状態のいずれの状態であるかを判断する。なお、CPU21は判定結果を内部メモリに一時保存する。
【0053】
引き続き、CPU21はGPSデータを取得する(ステップS7)。すなわちCPU21は、GPSモジュール3に測位動作を行わせ、GPSモジュール3から供給されたGPSデータをRAM23のGPSデータ保存領域23cに保存する。
【0054】
次に、CPU21は軌跡データ保存処理を行う(ステップS8)。軌跡データ保存処理は、前述した絶対座標データ101(図3参照)、又は相対座標データ102(図4参照)を測位装置1の移動軌跡を示す軌跡データとしてRAM23の軌跡データ保存領域23dに保存する処理である。軌跡データ保存処理の詳細については後述する。
【0055】
その後、CPU21は、軌跡データ保存領域23dへの軌跡データの保存が可能な状態であり(ステップS9:YES)、かつ使用者から所定のスイッチ操作による位置計測の終了指示がなければ(ステップS11:NO)、ステップS1〜S8の処理を繰り返す。なお、軌跡データ保存領域23dへの軌跡データの保存が可能な状態とは、軌跡データ保存領域23dに新たな軌跡データの保存に必要な空き領域が存在する状態である。
【0056】
また、ステップS1〜S8の処理を繰り返す間、CPU21は、絶対座標データの記憶タイミングが到来する毎に(ステップS1:YES)、絶対座標要求フラグFに「1」をセットするとともに、次回の絶対座標データの記憶タイミングに向けた一定時間Tのカウントを再び開始する(ステップS3)。
【0057】
さらに、CPU21は、ステップS1〜S8の処理を繰り返す間、軌跡データ保存領域23dに新たな軌跡データを保存するだけの空きがなくなると(ステップS9:NO)、その時点で、軌跡データ保存領域23dに保存した一連の軌跡データをデータ記録媒体9に転送して記録する(ステップS10)。なお、一連の軌跡データのデータ記録媒体9への転送(記録)は、一定時間毎に行っても構わない。
【0058】
以後、CPU21は、再びステップS1〜S8の処理を返し、軌跡データ保存領域23dに新たな軌跡データを繰り返し保存する。そして、CPU21は、使用者から所定のスイッチ操作による位置計測の終了指示があった時点で(ステップS11:YES)、位置計測を終了する。
【0059】
次に、前述した軌跡データ保存処理(ステップS8)の詳細を図6のフローチャートに従い説明する。
【0060】
軌跡データ保存処理においてCPU21は、ステップS7の処理でGPSデータの取得に成功していた場合(ステップS101:YES)、まず、絶対座標要求フラグFに「1」がセットされているか否かを確認する(ステップS102)。すなわちCPU21は、今回の処理タイミング(測位タイミング)で軌跡データとして保存すべきデータが絶対座標データである否かを確認する。
【0061】
位置計測の開始直後においては、絶対座標要求フラグFに「1」がセットされているため(ステップS101:YES)、CPU21は、ステップS7の処理で取得したGPSデータを含む絶対座標データを最初の軌跡データとして、RAM23の軌跡データ保存領域23dへ新規保存する(ステップS103)。
【0062】
このときCPU21は、絶対座標データの図3に示した各領域に以下のデータを記述する。すなわちCPU21は、データ構造管理用領域には、当該軌跡データが絶対座標データであること、及び測位精度を示す識別データを記述し、かつ動作種類管理用領域には、ステップS6で判定した動作の種類(停止状態、歩行している状態、走っている状態、乗物に乗っている状態のいずれか)を示すデータを記述する。また、CPU21は、時間情報領域には、ステップS7の処理で取得したGPSデータに含まれる時間データを記述し、位置情報領域には、ステップS7の処理で取得したGPSデータに含まれる位置データを記述する。
【0063】
しかる後、CPU21は、絶対座標要求フラグFを「0」にリセットする(ステップS105)。これによりCPU21は、軌跡データ保存処理を完了して図5のメインフローの処理に戻る。
【0064】
なお、位置計測の開始直後における最初の軌跡データ保存処理において、GPSモジュール3がGPSデータの取得に成功していなかった場合(ステップS101:NO)、軌跡データは未だ保存中ではないため(ステップS106:NO)、CPU21は、直ちに軌跡データ保存処理を中止し、図5のステップS3の処理に移行する。すなわち、最初の軌跡データとして絶対座標データを保存するため、GPSモジュール3による位置計測を繰り返し実行する。
【0065】
また、最初の軌跡データを保存した後、CPU21は、絶対座標データの記憶タイミングではない処理タイミングのときにおいては、以下の処理を行う。
【0066】
まず、GPSデータの取得に成功している場合には(ステップS101:YES)、絶対座標要求フラグFは「0」にリセットされているので(ステップS102:NO)、CPU21は、GPSデータに基づく絶対座標データの保存に向けて、相対移動量を計算する(ステップS105)。
【0067】
ステップS105の処理においてCPU21が計算する相対移動量は、前回の計測位置から今回の計測位置までのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の相対な移動量である。したがって、CPU21は、例えば前回の処理タイミングで軌跡データとして保存した軌跡データが絶対座標データであった場合には、軌跡データ保存領域23dに記憶されている直前の絶対座標データによって示される計測位置を基準として相対移動量を計算する。
【0068】
なお、相対移動量の計算に際してCPU21は、X軸に経度の変化量を、Y軸に緯度の変化量を、Z軸に高度の変化量をそれぞれ対応させ、X軸は南から北への移動を正とし、Y軸は西から東への移動を正とし、Z軸は海面から上昇する方向を正とする計算を行う。
【0069】
また、ステップS105の処理においてCPU21は、今回取得しているGPSデータを、次回の処理タイミングでステップS105の処理、又は後述するステップS7の処理において使用する、前回の計測位置を示す計算用位置データとして内部メモリに一時記憶する。
【0070】
一方、絶対座標データの記憶タイミングではない処理タイミングにおいてGPSデータの取得に失敗していた場合(ステップS101:NO)、最初の軌跡データ(絶対座標データ)は既に保存されており、軌跡データが保存中であるので(ステップS106:YES)、CPU21は以下の処理を行う。
【0071】
すなわち、CPU21は、図5の移動計測処理(ステップS4)でRAM23に保存した、磁気センサ4の複数の検出値データ、及び加速度センサ5の複数の検出値データに基づいて相対移動量を計算する(ステップS107)。
【0072】
ステップS107の処理においてCPU21が計算する相対移動量は、前回の処理タイミングにおける自己位置と、今回の処理タイミングにおける自己位置との間のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の相対な移動量である。
【0073】
ここで、前回の処理タイミングにおける自己位置は、前回の処理タイミングで軌跡データ保存領域23dに記憶された直前の絶対座標データ、又は前回の処理タイミングでステップS105の処理において内部メモリに一時記憶された計算用位置データ等により示される位置である。なお、ステップS107の処理においてもCPU21は、X軸方向の移動量を経度の変化量に、Y軸方向の移動量を緯度の変化量に、Z軸方向の移動量を高度の変化量にそれぞれ対応させ、X軸は南から北への移動を正とし、Y軸は西から東への移動を正とし、Z軸は海面から上昇する方向を正とする相対移動量を計算する。
【0074】
また、ステップS107の処理においてCPU21は、その時点で内部メモリに一時記憶している前述した計算用位置データを、今回の処理タイミングにおける自己位置を示すデータ(絶対座標位置)に更新する。具体的には、内部メモリに一時記憶している計算用位置データを(x,y,z)とし、相対移動量をx(t),y(t),z(t)とすると、CPU21は、計算用位置データを(x+x(t),y+y(t),z+z(t))に更新する。ここで、更新された計算用位置データは、次回の処理タイミングにおいてGPSデータの取得に成功したときの前述したステップS105による相対移動量の計算、または、次回の処理タイミングにおいてGPSデータの取得に成功していないときのステップS107の処理による相対移動量の計算に際して使用される。
【0075】
そして、上述したようにステップS105、又はステップS107の処理によって相対移動量を算出した後、CPU21は、直線圧縮を行うか否かを判断する(ステップS108)。直線圧縮は、既説したように軌跡データを間引く、つまり軌跡データの記録数を削減するための処理である。直線圧縮の具体的な内容、及び直線圧縮をすべきか否かの判断基準については後述する。ただし、位置計測を開始した後の2回目の軌跡データ保存処理においてCPU21は、上記の判断基準とは関係なく直線圧縮を行うべきではないと判断し(ステップS108:NO)、以下の処理を行う。
【0076】
まず、CPU21は、ステップS105、又はステップS107の処理で計算した3軸方向の相対移動量を、次回以降の軌跡データ保存処理で直線圧縮を行うか否かを判断する際に使用する相対座標ベクトルを表すデータ(以下、基準ベクトルデータという。)として内部メモリに一時記憶する(ステップS109)。
【0077】
次に、CPU21は、ステップS105、又はステップS107の処理で計算した相対移動量を示す相対座標データを、RAM23の軌跡データ保存領域23dへ軌跡データとして新規保存する(ステップS110)。このときCPU21は、相対座標データの図4に示した各領域に以下のデータを記述する。
【0078】
すなわちCPU21は、データ構造管理用領域には、当該軌跡データが相対座標データであることを示す識別データを記述し、かつ動作種類管理用領域には、ステップS6で判定した動作の種類(停止状態、歩行している状態、走っている状態、乗物に乗っている状態のいずれか)を示すデータを記述する。また、CPU21は、圧縮時間管理用領域には、圧縮時間として「0秒」を記述するとともに、移動量領域には、ステップS105、又はステップS107の処理で計算した相対移動量を記述し、単位管理用領域には相対移動量の単位を示すデータを記述する。
【0079】
これによりCPU21は、軌跡データ保存処理を完了して図5のメインフローの処理に戻る。
【0080】
一方、位置計測を開始した後の3回目以降の軌跡データ保存処理において、CPU21は、ステップS105、又はステップS107の処理によって相対移動量を計算した後には、以下に述べる第1及び第2の圧縮条件を共に満足するか否かを判断基準として直線圧縮を行うべきか否かを判断する(ステップS108)。
【0081】
すなわちCPU21は、第1及び第2の圧縮条件を共に満足する場合には直線圧縮を行うべきであると判断し、第1及び第2の圧縮条件の少なくとも一方を満足していない場合には、直線圧縮を行うべきではないと判断する。
【0082】
第1の圧縮条件は、ステップS105、又はステップS107の処理によって計算した相対移動量により表される移動ベクトル(移動方向)と、その時点で内部メモリに一時記憶している基準ベクトルデータにより示される基準ベクトル(移動方向)とのなす角度が閾値以下であり、予め決められている角度よりも小さいことである。閾値は、例えば移動方向がほぼ等しいと判断できる程度の小さな角度である。なお、上記の基準ベクトルデータは、既説したように直前に行ったステップS109の処理で記憶した3軸方向の相対移動量により示される移動ベクトルである。
【0083】
また、第2の圧縮条件は、今回の処理タイミング(前回の軌跡データ保存処理時)における動作の種類が、前回の処理タイミングにおける動作の種類と同一であることである。なお、今回の処理タイミングにおける動作の種類は、内部メモリに一時保存されている動作の種類であり、前回の処理タイミングにおける動作の種類は、前回の処理タイミングで軌跡データとして保存された相対座標データに記述されている動作の種類である。
【0084】
そして、CPU21は、上記の判断基準に従い、直線圧縮を行うべきではないと判断した場合には(ステップS108:NO)、前述したステップS109、及びステップS110の処理を行う。すなわちCPU21は、今回の処理タイミングで取得した相対移動量を基準ベクトルデータとして内部メモリに一時記憶した後(ステップS109)、今回の処理タイミングで取得した相対移動量を示す相対座標データを、そのまま軌跡データとして新規保存する(ステップS110)。しかる後CPU21は、軌跡データ保存処理を完了して図5のメインフローの処理に戻る。
【0085】
一方、CPU21は、上記の判断基準に従い、直線圧縮を行うべきであると判断した場合には(ステップS108:YES)、さらに、現在までの軌跡データの圧縮時間が、相対座標データの圧縮時間管理用領域に記述可能な最大圧縮時間に達しているか否かを判断する(ステップS111)。
【0086】
つまりステップS111の処理において、CPU21は、例えば前回の処理タイミングでRAM23の軌跡データ保存領域23dに保存した直前の相対座標データの圧縮時間管理用領域に「1,023秒」が記述されているか否かを判断する。
【0087】
そして、CPU21は、現在までの軌跡データの圧縮時間が最大圧縮時間に達していなければ(ステップS111:NO)、まず、前回の処理タイミングでRAM23の軌跡データ保存領域23dに保存した直前の相対座標データにより示される3軸方向の相対移動量に、今回の処理タイミングで実際に取得した3軸方向の相対移動量を加算する計算を行う(ステップS112)。
【0088】
すなわち、CPU21は、前回の処理タイミングで保存した相対座標データにより示される3軸方向の相対移動量をx(t−1),y(t−1),z(t−1)とし、今回の処理タイミングで取得した実際の3軸方向の相対移動量をx(t),y(t),z(t)として、x(t−1)+x(t),y(t−1)+y(t),z(t−1)+z(t)を取得する。
【0089】
しかる後、CPU21は、加算後の3軸方向の相対移動量を示す相対座標データを、直前の相対座標データに上書きして、RAM23の軌跡データ保存領域23dに保存する(ステップS113)。また、ステップS113の処理に際してCPU21は、直前の相対座標データに上書きする相対座標データの圧縮時間管理用領域には、直前の相対座標データの圧縮時間管理用領域に記述されている圧縮時間に、測位間隔である1秒を加算した圧縮時間を記述する。これにより1回分の軌跡データが間引かれる。つまり上記ステップS112、及びステップS113の処理により直線圧縮が行われる。しかる後CPU21は、軌跡データ保存処理を完了して図5のメインフローの処理に戻る。
【0090】
一方、CPU21は、ステップS105、又はステップS107の処理で3軸方向の相対移動量を計算した後、直線圧縮を行うべきであると判断した場合であっても(ステップS108:YES)、前回の処理タイミングで軌跡データの圧縮時間が既に最大圧縮時間となっていたときには(ステップS111:YES)、前述したステップS109、及びステップS110の処理を行う。
【0091】
すなわちCPU21は、既説したように、今回の処理タイミングで計算した3軸方向の相対移動量を示す相対座標データを基準ベクトルデータとして内部メモリに一時記憶した後(ステップS109)、今回の処理タイミングで取得した相対移動量を示す相対座標データを、そのまま軌跡データとして新規保存する(ステップS110)。
【0092】
以後、CPU21は、上述した軌跡データ保存処理(図6)を含む一連の処理を繰り返し実行する。
【0093】
そして、上述したように位置計測中にデータ記録媒体9に記録された一連の軌跡データは、測位装置1においてディスプレイ6に移動軌跡を示す画像を表示する際、CPU21によって記録順(保存順)に読み出される。その際には、CPU21が、例えばディスプレイ6に表示した地図上に、各々の軌跡データにより示される複数の位置をドットで表示したり、各々の軌跡データにより示される複数の位置を記録順に線で連結したりすることにより、ディスプレイ6上に移動軌跡が表示される。
【0094】
また、移動軌跡の表示に際してCPU21は、軌跡データが前述した相対座標データである場合には、各々の相対座標データに対応する座標位置を、各々の相対座標データの直前に記憶された絶対座標データにより示される座標位置を基準とした計算によって求める。すなわちCPU21は、絶対座標データにより示される3軸方向の座標位置を、当該絶対座標データに続く一連の相対座標データにより示される3軸方向の移動量を順に加算することにより、一連の相対座標データに対応する座標位置を順に計算する。
【0095】
ここで、以上説明したように本実施形態の測位装置1においては、位置計測中に軌跡データを記録する際、一定時間T(数分〜30分程度)毎の測位タイミングでは軌跡データとして絶対座標データを保存し、それ以外の測位タイミングでは、軌跡データとして絶対座標データよりもデータ量が少ない相対座標データを保存する。
【0096】
したがって、一定時間毎に保存する軌跡データを除く、一定時間内に周期的に保存される個々の軌跡データのデータ量を削減することにより、移動軌跡を示す軌跡データを間引かなくとも、移動軌跡を示す軌跡情報を効率よく圧縮して記録することができる。
【0097】
また、本実施形態においては、軌跡データとして相対座標データを保存する際には、CPU21が、内部メモリに一時記憶している基準ベクトルデータにより示される基準ベクトル(移動方向)とのなす角度が閾値以下である相対座標データを対象として直線圧縮を行い、軌跡データを間引くようにした。したがって、記録する軌跡データの数を削減することより、移動軌跡を示す軌跡情報をより高い圧縮効率で記録することができる。
【0098】
なお、本実施形態においては、基準ベクトルが、相対座標データにより示される3軸方向の相対移動量によって表される3次元の移動方向ベクトルとした場合について説明した。しかし、基準ベクトルは、相対座標データにより示されるX軸方向とY軸方向の相対移動量によって表される2次元の移動方向ベクトルとしても構わない。
【0099】
さらに、本発明の実施に際して軌跡データを間引く場合には、本実施形態とは異なる方法、例えば背景技術として説明した方法によって軌跡データを間引くようにしても構わない。その場合であっても、移動軌跡を示す軌跡情報をより高い圧縮効率で記録することができる。
【0100】
一方、本実施形態においては、軌跡データとして相対座標データを保存する際には、今回の処理タイミングと前回の処理タイミングにおける動作の種類と同一であることを条件として直線圧縮を行うようにした。そのため、動作の種類が変わった直後の位置、例えば測位装置1の使用者が止まっている状態から走り出した状態に変わった直後の位置を示す軌跡データ、つまり移動距離が大きく変化した直後の位置を示す軌跡データを確実に記録することができる。
【0101】
さらに、本実施形態においては、軌跡データとして相対座標データを保存する際には、現在までの軌跡データの圧縮時間が最大圧縮時間に達していないことを条件として直線圧縮を行うようにした。つまり直線圧縮の対象とする相対座標データの数(相対移動量の加算回数)を制限した。これにより、軌跡データとして記録された相対座標データによって示される座標位置の精度を向上させることができる。
【0102】
なお、本実施形態では、軌跡データとして相対座標データを保存する処理タイミング(測位タイミング)において、GPSデータが取得できた場合には、無条件でGPSデータに基づいて取得した相対移動量を含む相対座標データを保存するようにした。しかし、本発明の実施に際しては、CPU21に以下の処理を行わせてもよい。
【0103】
例えば相対座標データを保存する処理タイミングでGPSデータが取得できた場合には、CPU21が、GPSデータの精度(測位精度)が高いか否か、つまりGPSデータが3次元の位置計測結果であるか否かをさらに確認する。そして、CPU21が、GPSデータの精度が高い場合には、GPSデータに基づいて取得した相対移動量を含む相対座標データを保存する処理を行う。逆に、GPSデータの精度が低い場合、つまりGPSデータが2次元の位置計測結果である場合には、CPU21が、磁気センサ4の複数の検出値データ、及び加速度センサ5の複数の検出値データに基づいて取得した相対移動量を含む相対座標データを保存する処理を行うにしてよい。
【0104】
また、上記のようにGPSデータの精度に応じて相対座標データの種類を変える場合、GPSデータの精度は、位置計測時に捕捉した衛星数によって決まる位置計測結果の種類ではなく、測位精度の低下率を示す数値であるDOP(Dilution of Precision)であっても構わない。
【0105】
また、本実施形態では携帯型の測位装置1に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、例えばデジタルカメラや携帯電話端末、腕時計等の電子機器に内蔵されている測位装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 測位装置
2 制御部
3 GPSモジュール
3a GPSアンテナ
4 磁気センサ
5 加速度センサ
21 CPU
22 ROM
22a 軌跡データ記録プログラム
23 RAM
23a 磁気センサ出力データ保存領域
23b 加速度センサ出力データ保存領域
23d 軌跡データ保存領域
101 絶対座標データ
102 相対座標データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星から送られてくる電波を受信し、自己の現在位置を計測する測位手段と、
自己の移動軌跡を示す軌跡情報を記憶する記憶手段と、
前記測位手段により計測された位置情報を、第1の時間間隔で前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる第1の記憶制御手段と、
前記第1の記憶制御手段が第1の時間間隔で前記位置情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる間に、第2の時間間隔で、当該第2の時間が経過する間における現在位置の変動量を示す位置変動情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる第2の記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記第2の記憶制御手段が第2の時間間隔で前記記憶手段に軌跡情報として連続して記憶させるべき複数の位置変動情報により示される前記変動量を、後続する側の位置変動情報により示される前記変動量が予め決められている基準を満たすことを条件として加算する加算手段をさらに備え、
前記第2の記憶制御手段は、前記加算手段による加算後の変動量を示す位置変動情報を、変動量の加算対象となった複数の位置変動情報に代えて、前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる
ことを特徴とする請求項1記載の測位装置。
【請求項3】
前記加算手段は、前記後続する側の位置変動情報により示される前記変動量が、基準となる移動方向となす角度が閾値以下である移動方向を表すことを条件として、前記複数の位置変動情報により示される各々の前記変動量を加算し、
前記基準となる移動方向は、前記記憶手段に軌跡情報として直前に記憶された位置変動情報により示される前記変動量であって、前記加算手段による加算が行われてない前記変動量により表される移動方向である
ことを特徴とする請求項2記載の測位装置。
【請求項4】
前記第2の記憶制御手段が前記記憶手段に軌跡情報として新たに記憶させるべき位置変動情報に基づき動作の種類を判断する判断手段をさらに備え、
前記加算手段は、前記判断手段により判断された動作の種類が、前記判断手段により前回判断された動作の種類と同一であることを条件として、前記複数の位置変動情報により示される前記変動量を加算する
ことを特徴とする請求項2又は3記載の測位装置。
【請求項5】
前記加算手段は、予め決められた回数を上限として前記複数の位置変動情報により示される各々の前記変動量を加算することを特徴とする請求項2又は3,4記載の測位装置。
【請求項6】
測位衛星から送られてくる電波を受信し、自己の現在位置を計測する測位手段と、自己の移動軌跡を示す軌跡情報を記憶する記憶手段とを備えた測位装置において、
前記測位手段により計測された位置情報を第1の時間間隔で前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる工程と、
前記第1の時間間隔で前記位置情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる間に、第2の時間間隔で、当該第2の時間が経過する間における現在位置の変動量を示す位置変動情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる工程と
を含むことを特徴とする軌跡情報記憶方法。
【請求項7】
測位衛星から送られてくる電波を受信し、自己の現在位置を計測する測位手段と、自己の移動軌跡を示す軌跡情報を記憶する記憶手段とを備えた測位装置が有するコンピュータを、
前記測位手段により計測された位置情報を、第1の時間間隔で前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる第1の記憶制御手段と、
前記第1の記憶制御手段が第1の時間間隔で前記位置情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる間に、第2の時間間隔で、当該第2の時間が経過する間における現在位置の変動量を示す位置変動情報を前記記憶手段に軌跡情報として記憶させる第2の記憶制御手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−203202(P2011−203202A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72976(P2010−72976)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】