説明

測位装置および測位方法

【課題】ノイズの影響を受けにくく、高い信頼性を有する測位装置を提供する。
【解決手段】測位装置は、パルス内で周波数成分が変化するTSP(Time Stretched Pulse)信号を発信する発信部10と、発信部10から所定の距離間隔を隔て、互いに離隔して配置されたTSP信号を受信する複数の受信部21、22、23と、各受信部21、22、23の位置情報を格納している記憶部30と、各受信部が受信したTSP信号の周波数成分の変化パターンに基づいて各受信部がTSP信号を受信した時間差を演算し、時間差と記憶部30から取得した位置情報とに基づいて発信部10の位置を演算する演算部40と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置および測位方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムに代表されるGPS(Groval Positioning System)を利用した移動体の位置測定が広く行われている。しかし、衛星からの電波が届かない室内空間では機能しないといった問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1(特開平6−130141号公報)には微弱電波を発信する無線送信機と、無線送信機から送信される微弱電波から受信電界強度情報を得る複数個の無線電界強度測定受信機と、複数個の無線電界強度測定受信機で受信された複数の受信電界強度情報を上記複数個の無線電界強度測定受信機毎に付設した情報伝送回線を介して結線されたコンピューターと、上記コンピューターに入力された上記情報伝送回線からの入力信号から各々の電界強度を比較した結果をディスプレイ表示する画像表示装置とから構成される測位装置が提案されている。また、この測位装置では、測位対象が複数個ある場合には個別の無線送信機は互いに異なる識別符合で変調された微弱電波を送信するように構成されている。
【特許文献1】特開平6−130141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の測位装置では、情報伝送回線からの入力信号から各々の電界強度を比較するという信号処理自体がノイズの影響を大きく受けるためにごく限られた条件下でなければ信頼性の高い測位はできないという問題がある。
【0005】
また、無線強度受信機と可搬型無線送信機が近距離である場合には、授受される無線信号の受信電界強度がほとんど変化しないため測定誤差が大きくなり測定自体が出来なくなる。逆に、無線強度受信機と可搬型無線送信機の距離が遠距離の場合には、ノイズの影響を受け易くなるために測定誤差が大きくなる。
【0006】
さらに、互いに異なる識別符号で変調した微弱電波は、それぞれ単一の周波数帯域の電波なので該当する周波数のノイズがあると識別符号が乱されて認識ができなくなるおそれもある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するものであって、比較的広範囲な測定領域に適用でき、ノイズの影響を受けにくく信頼性の高い測位装置を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、測位装置は、パルス内で周波数成分が変化するTSP(Time Stretched Pulse)信号を発信する発信部と、前記発信部から所定の距離間隔を隔て、互いに離隔して配置された前記TSP信号を受信する複数の受信部と、前記各受信部の位置情報を格納している記憶部と、前記各受信部が受信した前記TSP信号の周波数成分の変化パターンに基づいて前記各受信部が前記TSP信号を受信した時間差を演算し、前記時間差と前記記憶部から取得した前記位置情報とに基づいて前記発信部の位置を演算する演算部と、を備えることができる。
【0009】
また、本発明によれば、測位方法は、発信部がパルス内で周波数成分が変化するTSP(Time Stretched Pulse)信号を発信するステップと、前記発信部から所定の距離間隔を隔て、互いに離隔して配置された複数の受信部が前記TSP信号を受信するステップと、前記各受信部が受信した前記TSP信号の周波数成分の変化パターンに基づいて前記各受信部が前記TSP信号を受信した時間差を演算するステップと、前記時間差と前記各受信部の位置情報とに基づいて前記発信部の位置を演算するステップと、を備えることができる。
【0010】
TSP信号とは、インパルスの位相を周波数の2乗に比例して変化させることにより、時間軸を引き伸ばした信号である。パルス内で周波数が連続的に変化するので1つのパルス内に複数の周波数成分を含み、特定の周波数帯域にノイズがあっても当該周波数帯域を除いた周波数帯域にてTSP信号を判別することができる。また、TSP信号の周波数成分の変化パターンは、距離によって変化しないので、発信部と受信部とが遠距離にある場合の測位でも比較的誤差は小さくなる。よって、本発明の測位装置および測位方法は比較的広範囲な測定領域に適用でき、ノイズの影響を受けにくく高い信頼性を有する。
【0011】
なお、発信部が発信する無線信号は、周波数成分がパルス内で変化する信号であればいずれでもよく、当業者に良く知られるチャープ波、Barker系列による位相符号化正弦波、M系列による位相符号化正弦波または相補系列による位相符号化正弦波などであっても構わない。また、ここで周波数成分の変化パターンとは、TSP信号の位相が時間軸方向に変化する様態を意味する。
【0012】
本発明の測位装置における演算部は、前記各受信部のうち第1受信部および第2受信部を選択し、前記第1受信部が受信した第1TSP信号の変化パターンと前記第2受信部が受信した第2TSP信号の変化パターンとの類似度に基づいて、前記時間差として前記第1受信部の受信時刻と前記第2受信部の受信時刻との差を演算することができる。
【0013】
ここで前記第1受信部の受信時刻と前記第2受信部の受信時刻との差は、第1受信部の受信時刻および第2受信部の受信時刻そのものの差分でもよいし、第1受信部から演算部が第1TSP信号を取得した時刻と第2受信部から演算部が第2TSP信号を取得した時刻との差分でもよい。受信部と演算部との間の伝達時間はTSP信号が空間を伝達する時間より十分に短く、本発明の測位精度において無視できる。
【0014】
また、本発明の測位装置における演算部は、前記第1TSP信号および前記第2TSP信号のそれぞれを所定の周期でサンプリングして得られた複数のサンプリング値を用いて前記類似度を演算することができる。
【0015】
サンプリング値を演算に直接用いることによって、受信したTSP信号のサンプリング値から信号波形を復元して、復元した信号波形を比較するといった処理を省くことができるため、装置の構成が比較的簡易となる。その結果、発信部の小型化、発信部の長寿命化、測位装置の消費電力低下等の効果を奏する。
【0016】
さらに、本発明の測位装置における演算部は、第1TSP信号から得られたサンプリング値と第2TSP信号から得られたサンプリング値とをそれぞれの時間成分の差が一定となるように一対一で対応付けて乗算し、かつ乗算して得られた値を累積平均して周期パターンの類似度を表し、周期パターンの類似度が最大となる時間成分の差を前記時間差とすることができる。
【0017】
上述のような演算処理は、相互相関関数処理と呼ばれる手法である。二つの信号波形におけるサンプリング値を掛け合わせて累積し、平均化する手法なので、一部の周波数帯域にノイズによる影響が生じても、演算結果に対する影響を抑制することができる。
【0018】
さらに、本発明の測位装置の発信部は、前記TSP信号を発信する時間間隔を変化させることができる。これによって、TSP信号を受信する時間間隔に基づいて比較すべきTSP信号を特定することができる。
【0019】
さらに、本発明の測位装置は少なくとも3つの前記受信部を備え、前記演算部は空間内を移動する前記発信部の位置を三次元的にそれぞれ演算することができる。
【0020】
さらに、本発明の測位装置は少なくとも2つの前記受信部を備え、前記演算部は所定の線上を移動する前記発信部の位置を演算することができる。
【0021】
なお、TSP信号の周波数帯域は可聴域であってもよい。TSP信号が可聴域の周波数帯、すなわち音声信号にすることによって、発信部および受信部が市販の汎用品で構成することができるので、コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
上記のように本発明の測位装置では、比較的広範囲な測定領域に適用でき、ノイズの影響を受けにくく信頼性の高い測位装置を低コストで提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明の実施の形態である測位装置の構成図である。本実施形態の測位装置は、パルス内で周波数成分が変化するTSP(Time Stretched Pulse)信号を発信する発信部10と、発信部10から所定の距離間隔を隔て、互いに離隔して配置されたTSP信号を受信する複数の受信部21、22、23と、各受信部21、22、23の位置情報を格納している記憶部30と、各受信部が受信したTSP信号の周波数成分の変化パターンに基づいて各受信部がTSP信号を受信した時間差を演算し、時間差と記憶部30から取得した位置情報とに基づいて発信部10の位置を演算する演算部40と、を備えることができる。これによって、TSP信号は複数の周波数成分を含むので、特定の周波数のノイズから受ける影響が少なく、本実施形態の測位装置は高いノイズ耐性を有することができる。また、TSP信号の周波数成分の変化パターンは、発信部と受信部の距離に因って変化しないので、本実施形態の測位装置は比較的広範囲空間にて用いることができる。
【0024】
上述のTSP信号の周波数帯域は可聴域、すなわち音声信号であってもよい。TSP信号が可聴域の周波数帯であると、発信部10および受信部21、22、23が市販の汎用品で構成することができるので、コストを抑えることが可能である。
【0025】
TSP信号は、インパルスの位相を周波数の2乗に比例して変化させることにより、時間軸を引き伸ばしたものである。図2に示すのはTSP−UP信号(位相を遅らせたもの)の波形およびスペクトログラムであり、下記式(1)、(2)で定義される。
【数1】

【数2】

ただし、jは虚数単位、NはTSP信号のサンプル長、mはTSP信号の幅を表すパラメータ(0≦m≦N/2)、上記式(1)においてnは0≦n≦N/2、上記式(2)においてnは(N/2)+1≦n<N である。
【0026】
上記式(1)、(2)で定義されるTSP−UP信号をN点逆離散フーリエ変換(IDFT)することによって、TSP信号が得られる。下記式(3)はTSP信号の信号波形を表している。
【数3】

ただし、上記式(3)においてnは0≦n≦N−1である。
【0027】
本実施形態において、演算部40は、各受信部のうち第1受信部21および第2受信部22を選択し、第1受信部21が受信した第1TSP信号の変化パターンと第2受信部22が受信した第2TSP信号の変化パターンの類似度に基づいて、時間差として第1受信部21の受信時刻と第2受信部22の受信時刻との差を演算してもよい。なお、演算部40が選択する第1受信部および第2受信部は受信部21と受信部22の組合せに限らず、複数の受信部のうち2つを選択する組合せのいずれでもよい。
【0028】
また、周波数成分の変化パターンは、TSP信号の波形が時間軸方向に変化する様態を意味しており、TSP信号に含まれる一つのパルス内における信号周期の変化パターンを含んでいる。
【0029】
さらに、本実施形態において、演算部40は、第1TSP信号および第2TSP信号のそれぞれを所定の周期でサンプリングして得られた複数のサンプリング値を用いて類似度を演算してもよい。
【0030】
通常、複数の信号波形を比較する装置であれば、受信したTSP信号のサンプリング値から信号波形を復元する処理や復元した信号波形を比較する処理を備える場合が多い。しかし、本実施形態において、上述のような処理は必ずしも備える必要がない。これらを省くことによって、簡易な装置構成とすることができる。これによって、発信部の小型化、発信部の長寿命化、測位装置の消費電力低下等の効果を奏する。
【0031】
さらに、本実施形態において、演算部40は、第1TSP信号から得られたサンプリング値と第2TSP信号から得られたサンプリング値とをそれぞれの時間成分の差が一定となるように一対一で対応付けて乗算し、かつ乗算して得られた値を累積平均して周期パターンの類似度を表し、周期パターンの類似度が最大となる時間成分の差を第1受信部21の受信時刻と第1受信部22の受信時刻との時間差としてもよい。
【0032】
上述のような演算処理は、相互相関関数処理と呼ばれる手法で、異なる二つの時系列信号がどれだけ類似しているかを評価するための手法である。たとえば、受信部21が受信したTSP信号の信号波形h1(t)、受信部22が受信したTSP信号の信号波形h2(t)としたとき、相互相関関数は下記式(4)で表される。
【数4】

ただし、τは時間の変数である。
【0033】
上記式(4)は、N個のサンプリング値からなるh1(t)と、同じくN個のサンプリング値からなるh2(t)を時間軸にτだけずらしたh2(t+τ)とを、時間成分の差が一定となるように一対一で対応付けた部分をそれぞれ掛け合わせて累積し、平均化している。二つの信号波形が最も類似した点で上記式(4)が最大となる。
【0034】
図4は、相互相関関数で受信時間差を演算する模式図である。信号波形h1(t)と比べて信号波形h2(t)との位相差がτである場合、h1(t)の波形を時間軸方向にτずらしたときがh1(t)とh2(t)との波形類似度が最も高く、上記式(4)の相互相関関数が最大値となる。すなわち、上記式(4)の相互相関関数が最大値となるτは、受信部21と受信部22との受信時間差と同値である。よって上記式(4)の相互相関関数を用いて受信時間差を演算することができる。
【0035】
なお、相互相関関数は二つの信号波形におけるサンプリング値を掛け合わせて累積し、平均化する手法なので、一部の周波数帯域にノイズが生じても、その影響を抑えることができる。
【0036】
これまで受信部21と受信部22間の受信時間差を演算する処理について述べてきたが、同様に受信部22と受信部23間の受信時間差を演算する処理、受信部23と受信部21間の受信時間差を演算する処理も可能である。
【0037】
発信部10は、TSP信号を発信する時間間隔を変化させることができる。これによって、TSP信号を受信する時間間隔に基づいて比較すべきTSP信号を特定することができる。図3を用いて詳しく説明する。各パルス間の時間間隔のが等間隔の場合、第1TSP信号のパルスBは、第2TSP信号のパルスA´、パルスB´およびパルスC´のいずれと比較して良いのか演算部40は判定できない。しかし、パルス間によって時間間隔が異なる場合、パルスAはパルスA´、パルスBはパルスB´、パルスCはパルスC´と比較することを演算部40はTSP信号を受信する時間間隔から判定することができる。
【0038】
図5は、本実施形態における測位方法のフローチャートである。発信部10がパルス内で周波数成分が変化するTSP(Time Stretched Pulse)信号を発信するステップ(ステップS101)と、発信部10から所定の距離間隔を隔て、互いに離隔して配置された複数の受信部21、22、23がTSP信号を受信するステップ(ステップS102)と、各受信部21、22、23が受信したTSP信号の周波数成分の変化パターンに基づいて各受信部がTSP信号を受信した時間差を演算するステップ(ステップS103)と、時間差と各受信部の位置情報とに基づいて発信部10の位置を演算するステップ(ステップS104)と、を備えることができる。
【0039】
図6は衛星からの電波が届かない室内空間50において、本発明の測位装置を配置した一例を示した図である。発信部10は室内空間50内にてTSP信号を発信しており、受信部21、22、23はそれぞれTSP信号を受信している。演算部40は各受信部21、22、23がTSP信号を受信した受信時間差をTSP信号の波形類似度から演算する。さらに、演算された各受信時間差とTSP信号の伝播速度とによって発信部10から各受信部21、22、23までの距離間隔の差を演算することができる。本実施形態においては、距離間隔差A=(発信部10から受信部21までの距離間隔−発信部10から受信部22までの距離間隔)と、距離間隔差B=(発信部10から受信部22までの距離間隔−発信部10から受信部23までの距離間隔)と、距離間隔差C=(発信部10から受信部23までの距離間隔−発信部10から受信部21までの距離間隔)と、3つの距離間隔の差を演算することができる。
【0040】
演算された3つの距離間隔の差と記憶部30に格納されている各受信部21、22、23の位置情報とに基づいて、受信部21と受信部22との距離間隔が距離間隔差Aである曲面61と、受信部22と受信部23との距離間隔が距離間隔差Bである曲面62と、受信部23と受信部21との距離間隔が距離間隔差Cである曲面63と、(図5では便宜上いずれも曲線として図示される)を定めることができる。曲面61、曲面62および曲面63が交差する位置が、発信部10の位置として特定される。以上説明したように、本実施形態の測位装置は、少なくとも3つの受信部21、22、23を備え、演算部40は、空間内を移動する発信部10の位置を三次元的にそれぞれ演算することができる。なお、受信部は3つに限らず、増やすことによってより精度の高い測位が可能である。
【0041】
以上、図面を参照して本実施形態について述べたが、これらは本発明の一形態であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0042】
たとえば、記憶部に格納されている受信部の位置情報は、各受信部の配置によって変化するものであり、本発明の測位装置は受信部の位置情報を適時変更できる手段を備えてもよい。これによって、各受信部の配置変更に対応することができる。
【0043】
また、TSP信号の各パルス間を異なる時間間隔で配列することによって、演算部40は比べるべきパルスを判定可能であると上述したが、たとえばTSP信号に含まれる各パルスのパルス長を変えるなど、それぞれのパルスに特性を持たせることでも、同様に演算部40は比べるべきパルスを判定可能とすることができる。
【0044】
さらに、TSP信号の伝播速度はその空間の気温によって変化するので、演算部は、TSP信号が伝播する空間の気温を測定する手段を含み、測定された気温に基づいてTSP信号の伝播速度を演算可能な構成としてもよい。これによって、より精度の高い測位が可能である。
【0045】
さらに、上記実施形態では受信部を3つ備える構成としたが、少なくとも2つの受信部を備えることによって、演算部は、既知の線上を移動する発信部の位置を演算することができる。たとえば、図6の空間50内において、記憶部30等に予めその位置を表す情報が格納されており、演算部40が必要なときに当該情報を取得することが可能な既知の線上に発信部10が位置するとき、各受信部21、22がTSP信号を受信した時間差と各受信部21、22の位置情報から演算して求められる曲面61と既知の線とが交差する点を発信部10の位置と特定することができる。ただし、既知の線は以下の条件を満たさなくてはならない。すなわち、発信部10が当該既知の線上のどの位置にあっても、演算して求められる曲面61と当該既知の線との交点が一点でなければならない。上記条件を満たす線上であれば、当該既知の線は直線でも曲線でも構わない。また、既知の線は、発信部10の幅方向の移動を無視できるだけであって、それを排除するものではない。なお、トンネル等の閉空間であれば、必然的に発信部の移動経路が限定されるので、上記と同様に少なくとも2つの受信部を備えることで測位が可能である。ただし、上記閉空間内においては、少なくとも2つの受信部が発信部から直接TSP信号を受信できるように受信部を配置する必要があるため、閉空間が曲がっている等の理由で2つの受信部では発信部から直接TSP信号を受信できない発信位置が存在する場合、3つ以上受信部を配置するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態である測位装置の構成図である。
【図2】TSP信号の波形とスペクトログラムを表す図である。
【図3】相互相関関数で受信時間差を演算する模式図である。
【図4】相互相関関数で受信時間差を演算する模式図である。
【図5】本発明の実施の形態である測位方法のフローチャートである。
【図6】本発明の測位装置を室内空間に配置した一例を示した図である。
【符号の説明】
【0047】
10 発信部
21 受信部
22 受信部
23 受信部
30 記憶部
40 演算部
50 室内空間
61 曲面
62 曲面
63 曲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス内で周波数成分が変化するTSP(Time Stretched Pulse)信号を発信する発信部と、
前記発信部から所定の距離間隔を隔て、互いに離隔して配置された前記TSP信号を受信する複数の受信部と、
前記各受信部の位置情報を格納している記憶部と、
前記各受信部が受信した前記TSP信号の周波数成分の変化パターンに基づいて前記各受信部が前記TSP信号を受信した時間差を演算し、前記時間差と前記記憶部から取得した前記位置情報とに基づいて前記発信部の位置を演算する演算部と、
を備えることを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記演算部は、複数の前記受信部のうち第1受信部および第2受信部を選択し、前記第1受信部が受信した第1TSP信号の変化パターンと前記第2受信部が受信した第2TSP信号の変化パターンとの類似度に基づいて、前記時間差として前記第1受信部の受信時刻と前記第2受信部の受信時刻との差を演算することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記第1TSP信号および前記第2TSP信号のそれぞれを所定の周期でサンプリングして得られた複数のサンプリング値を用いて前記類似度を演算することを特徴とする請求項2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記第1TSP信号から得られたサンプリング値と前記第2TSP信号から得られたサンプリング値とをそれぞれの時間成分の差が一定となるように一対一で対応付けて乗算し、かつ乗算して得られた値を累積平均して前記類似度を表し、前記類似度が最大となる前記時間成分の差を前記時間差とすることを特徴とする請求項3に記載の測位装置。
【請求項5】
前記発信部は、前記TSP信号を発信する時間間隔を変化させることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の測位装置。
【請求項6】
少なくとも3つの前記受信部を備え、
前記演算部は、空間内を移動する前記発信部の位置を三次元的にそれぞれ演算することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の測位装置。
【請求項7】
少なくとも2つの前記受信部を備え、
前記演算部は、既知の線上を移動する前記発信部の位置を演算することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の測位装置。
【請求項8】
前記TSP信号の周波数帯域が可聴域であることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の測位装置。
【請求項9】
発信部がパルス内で周波数成分が変化するTSP(Time Stretched Pulse)信号を発信するステップと、
前記発信部から所定の距離間隔を隔て、互いに離隔して配置された複数の受信部が前記TSP信号を受信するステップと、
前記各受信部が受信した前記TSP信号の周波数成分の変化パターンに基づいて前記各受信部が前記TSP信号を受信した時間差を演算するステップと、
前記時間差と前記各受信部の位置情報とに基づいて前記発信部の位置を演算するステップと、
を備えることを特徴とする測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−71757(P2010−71757A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238320(P2008−238320)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【Fターム(参考)】