説明

測光システム

【課題】簡易な構成で液体試料の発光を広いダイナミックレンジで測定する。
【解決手段】測光システム1は、液体試料を吸引するノズル51を移動させる移動機構と、ノズルが移動機構により移動させられて挿入される測光箱20と、測光箱に挿入されたノズルに吸引された液体試料の発光を検出する光検出器30とを備える。測光箱20は、ノズルを収容する空間21aと、空間21aに収容されたノズルと光検出器との距離が変化するようにノズルを移動機構により空間21a内で移動させるための開口21bとが形成された本体部21と、空間21aにノズルを挿入するための挿入孔22aが設けられ、空間21aにノズルが挿入された状態で開口21bを覆って空間21aを遮光状態にする遮光部材であって、ノズルが光検出器との距離が変化するように空間21a内で移動する際、遮光状態を維持しながら移動機構によりノズルとともに移動する遮光部材22とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料の発光を測定する測光システムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学発光を用いた化学発光酵素免疫測定(CLEIA)装置は、臨床検査の中でも高感度・高速で多検体を処理できる自動分析装置として知られている。
【0003】
特許文献1には、測光セル内において生ずる化学発光の強度を光検出器によって検出する酵素免疫測定装置において、測光セルの近傍に感度が相異なる複数の光検出器を設け、高感度の光検出器の出力が飽和したとき、低感度の光検出器の出力により発光強度を求めるものが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、液体試料に含まれる物質の化学発光や生物発光を高い感度と高い精度で検出するための発光計測装置が記載されている。具体的には、光検出器と、当該光検出器を格納する遮光ボックスと、当該遮光ボックスに設けられた貫通孔を開閉する板状部材と、板状部材を移動させる板状部材駆動部と、光検出器を移動させる光検出位置制御部とを有し、発光物質サンプルを含むサンプル容器が板状部材を介して光検出器と対向する位置に設置された後、板状部材を移動させて貫通孔を開け、光検出器をサンプル容器底部に近づけ、光検出器による光測定を開始する発光計測装置が記載されている。この発光計測装置において、光検出位置制御部は、光の信号強度に応じて、サンプル容器と光検出器との距離を制御する。具体的には、サンプルの発光強度が非常に高く、ダイナミックレンジの検出上限が足りない事態が生じたときに、光検出器とサンプル容器底部との距離間隔を広げる。
【0005】
また、特許文献3には、被検体液及びチップを収容する、外部からの光が侵入しない容器内において、被検体液をチップ内に吸入し、当該チップに吸入された被検体液からの発光を光ファイバーを介して装置本体の光検出器に導くように構成された発光検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2626738号明細書
【特許文献2】特開2008−268019号公報
【特許文献3】特開平8−15158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、液体試料の発光を測定する際、広いダイナミックレンジを得るために、感度が異なる複数の光検出器を設けることとすると、構成が複雑になってしまう。また、光検出器や遮光部材をそれぞれ駆動機構によりサンプルに対して相対的に移動させることとしても、構成が複雑になる。
【0008】
そこで、本発明は、より簡易な構成で液体試料の発光を広いダイナミックレンジで測定することが可能な測光システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る測光システムは、液体試料を吸引するノズルを移動させる移動機構と、前記ノズルが前記移動機構により移動させられて挿入される測光箱と、前記測光箱に挿入されたノズルに吸引された液体試料の発光を検出する光検出器と、を備え、前記測光箱は、前記ノズルを収容する空間と、当該空間に収容されたノズルと前記光検出器との距離が変化するように当該ノズルを前記移動機構により当該空間内で移動させるための開口とが形成された本体部と、前記空間に前記ノズルを挿入するための挿入孔が設けられ、前記空間に前記ノズルが挿入された状態で前記開口を覆って前記空間を遮光状態にする遮光部材であって、前記ノズルが前記光検出器との距離が変化するように前記空間内で移動する際、前記遮光状態を維持しながら前記移動機構により前記ノズルとともに移動する遮光部材と、を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で液体試料の発光を広いダイナミックレンジで測定することが可能な測光システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態に係る測光システムの構成の一例を示す分解上方斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る測光システムの構成の一例を示す分解下方斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る測光システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】ノズルが高感度測定位置に位置する様子を示す斜視図である。
【図5】ノズルが高感度測定位置に位置する様子を示す断面図である。
【図6】ノズルが低感度測定位置に位置する様子を示す斜視図である。
【図7】ノズルが低感度測定位置に位置する様子を示す断面図である。
【図8】本実施の形態に係る測光システムを用いた測定の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る測光システム1の構成の一例を示す分解上方斜視図である。図2は、測光システム1の構成の一例を示す分解下方斜視図である。図3は、測光システム1の構成の一例を示すブロック図である。この測光システム1は、液体試料からの発光を測定するものである。以下、図1〜3を参照して、測光システム1の構成を説明する。
【0014】
測光システム1は、移動機構(駆動機構)10、測光箱20、光検出器30、および制御装置40を有する。
【0015】
移動機構10は、液体試料を吸引するノズル51を移動させる。液体試料は、化学発光、生物発光、蛍光等の発光を生じる発光サンプルであり、例えば、抗原抗体反応の生成物溶液である。ノズル51は、具体的には液体を分注する分注ノズルであり、例えばディスポーザブルチップである。
【0016】
一つの態様では、移動機構10は液体試料をノズル51にて吸引する吸引装置52を支持し、この吸引装置52の先端部にノズル51が交換可能に装着される。そして、移動機構10は、ノズル51および吸引装置52を含む分注ヘッド50を移動させる。例えば、吸引装置52はシリンジポンプであり、このシリンジポンプの下端部に設置されたチップフィッティングにディスポーザブルチップが取り付けられ、移動機構10は、ディスポーザブルチップ、チップフィッティング、およびシリンジポンプを含む分注ヘッド50を移動させる。
【0017】
また、一つの態様では、移動機構10は、ノズル51を水平方向に移動させるノズル水平駆動部11と、ノズル51を垂直方向に移動させるノズル垂直駆動部12とを含む。
【0018】
測光箱20は、ノズル51が移動機構10により移動させられて挿入される箱である。具体的には、測光箱20は、ノズル51内の液体試料からの発光を光検出器30により測定する際、光検出器30への外光の入射を遮断する暗箱を形成する。
【0019】
測光箱20は、本体部21と遮光部材22とを含む。
【0020】
本体部21は、ノズル51を収容する空間21aと、当該空間21aに収容されたノズル51と光検出器30との距離が変化するようにノズル51を移動機構10により空間21a内で移動させるための開口21bとを有する。
【0021】
遮光部材22は、空間21aにノズル51を挿入するための挿入孔22aが設けられ、空間21aにノズル51が挿入された状態で開口21bを覆って空間21aを遮光状態にする部材である。遮光部材22は、ノズル51が光検出器30との距離が変化するように空間21a内で移動する際、上記遮光状態を維持しながら移動機構10によりノズル51とともに移動するように構成されている。
【0022】
一つの態様では、ノズル51は、垂直方向に沿って移動して空間21aに挿入され、空間21a内で光検出器30と水平方向に対向する。そして、ノズル51は、光検出器30との水平方向の距離が変化するように、水平方向に沿って移動する。開口21bは、水平方向に延びるように形成され、ノズル51が水平方向に沿って移動する際、ノズル51またはノズル51を支持する部材の通路となる。遮光部材22は、ノズル51が水平方向に沿って移動する際、ノズル51の移動に合わせて挿入孔22aが移動するよう、移動機構10の駆動力によりノズル51とともに水平方向に移動する。例えば、遮光部材22は、ノズル51またはノズル51を支持する部材から水平方向の力を受けて移動する。
【0023】
図1,2の例では、本体部21は、内部に空間21aが形成された略直方体状の箱であり、その上面に水平方向に延びる開口21bが形成されている。遮光部材22は、開口21bよりも長く水平方向に延びる板状の部材であり、上面から下面に貫通する挿入孔22aが形成されている。また、本体部21および遮光部材22は、ノズル51の水平方向の移動に伴って遮光部材22が水平方向にスライドするように構成されている。具体的には、本体部21は、開口21bの両側に水平方向に延びる案内部材21cを有し、遮光部材22は案内部材21cに案内されてスライドする。
【0024】
一つの態様では、より確実に空間21aへの外光の侵入を遮断する観点より、ノズル51の上側(例えば吸引装置52の下端部)には、図1,2に示されるように、挿入孔22aの隙間を塞ぐための遮光部材53が設けられる。遮光部材53は、例えば板状の遮光板である。
【0025】
光検出器30は、測光箱20に挿入されたノズル51に吸引された液体試料の発光を検出する。具体的には、光検出器30は、液体試料の発光の量または強度を測定するものであり、例えば光電子増倍管である。図3の例では、光検出器30は、光子の数を計数して光量を検出するものであり、光電子増倍管31と、光電子増倍管31からのパルスを計数するフォトカウンティング回路32とを含む。
【0026】
具体的には、光検出器30は、その受光面(例えば光電子増倍管31の光電面)が測光箱20に挿入されたノズル51と水平方向に対向するように配置される。また、光検出器30は、ノズル51が水平方向に移動しても、その受光面とノズル51との水平方向の対向関係が維持されるように配置される。図1,2の例では、光検出器30は、本体部21の側壁を構成する光検出器ホルダ23に保持される。
【0027】
制御装置40は、測光システム1の動作を制御する。具体的には、制御装置40は、吸引装置52を制御してノズル51による液体試料の吸引や吐出を制御し、移動機構10を制御してノズル51の位置を制御し、光検出器30を制御してノズル51に吸引された液体試料の発光を検出する。
【0028】
本実施の形態では、制御装置40は、光検出器30の出力に基づき、ノズル51を水平方向に移動させて、ノズル51と光検出器30との距離を変化させる制御を行う。具体的には、制御装置40は、ノズル51内の液体試料の発光量に応じて、ノズル51と光検出器30との距離を変化させて、光検出器30に入射する光量を変化させる制御を行う。
【0029】
具体的な一態様では、制御装置40は、当初、図4,5に示されるように、ノズル51を光検出器30との距離が最短になる位置(高感度測定位置と呼べる)に配置して測定を行う。そして、制御装置40は、光検出器30の出力が飽和する場合、図6,7に示されるように、ノズル51を光検出器30との距離が最長になる位置(低感度測定位置と呼べる)に移動させて測定を行う。ただし、ノズル51の測定位置は2箇所に限られず、3箇所以上であってもよい。例えば、制御装置40は、発光量が大きいほどノズル51が光検出器30から遠くなるよう、ノズル51の位置を3段階以上または連続的に変化させてもよい。
【0030】
制御装置40は、例えば、光検出器30の出力dと、ノズル51と光検出器30との距離xとを変数とする予め定められた関数f(d,x)により発光量Lを算出する。より具体的には、制御装置40は、光検出器30の出力dに、距離xに応じた係数α(x)を乗じて、発光L=d×α(x)を算出する。このような関数や係数は、予め実験により設定されればよい。
【0031】
上記制御装置40は、一つの態様では、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。ただし、制御装置40は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。また、制御装置40は、物理的に1つの装置により実現されてもよいし、物理的に複数の装置により実現されてもよい。
【0032】
図3の例では、制御装置40は、制御部41、演算部42、記憶部43、表示部44、入力部45、および出力部46を有する。
【0033】
制御部41は、ノズル水平駆動部11およびノズル垂直駆動部12を制御して、ノズル51を水平方向および垂直方向に移動させる。また、制御部41は、吸引装置駆動部60を制御して、吸引装置52の動作を制御する。また、制御部41は、光検出器30を制御して光の検出を行う。また、制御部41は、測光箱保温部70を制御して測光箱20の内部の温度を制御する。制御部41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、CPUと通信する制御回路によって実現される。
【0034】
演算部42は、測光システム1の各部の動作を制御するための演算や、光検出器30等からの情報を処理する演算などを行う。演算部42は、例えばCPUにより実現される。
【0035】
記憶部43は、制御部41や演算部42に実行されるプログラムや、制御部41や演算部42で取得された情報などの各種の情報を記憶する。記憶部43は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等の外部記憶装置を含む。
【0036】
表示部44は、測光システム1を操作するための情報や、測光システム1で得られた測定結果など、各種の情報を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイなどである。
【0037】
入力部45は、測光システム1に対する指示などの各種の情報を利用者や他の装置から受け付けるものであり、例えば、キーボード、マウス、通信インタフェースなどである。
【0038】
出力部46は、測光システム1で得られた測定結果などの情報を外部のコンピュータなどの装置に出力するものであり、例えば通信インタフェースなどである。
【0039】
図8は、測光システム1を用いた測定の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図8を参照して、測定の手順の一例を説明する。ここでは、サンドイッチELISA法(酵素免疫測定法)を例にとって説明する。
【0040】
まず、一次抗体が固相化された反応容器(例えばウェル)に、検出対象となる抗原を含む検体(例えば血清)を分注し、一次反応させ、一次抗体に抗原を結合させる(S1a)。
【0041】
次に、一次洗浄(B/F分離)を行って、未反応の抗原などを除去する(S1b)。
【0042】
次に、酵素標識された二次抗体を反応容器に分注し、二次反応させ、抗原に二次抗体を結合させる(S1c)。
【0043】
次に、二次洗浄(B/F分離)を行って、未反応の二次抗体などを除去する(S1d)。
【0044】
以上の工程により、反応容器内には、一次抗体/目的とする抗原/二次抗原複合体が生成される。
【0045】
次に、反応物分離試薬を反応容器に分注し、上記一次抗体/目的とする抗原/二次抗原複合体(反応生成物)を固相化表面から脱離させ、液相に移動させる(S1e)。
【0046】
一方で、吸引装置52の先端にディスポーザブルチップであるノズル51が取り付けられた後(S2a)、測光システム1は、ノズル51に少量の発光基質を吸引する(S2b)。発光基質の吸引量は、例えば10〜100μLである。
【0047】
次に、測光システム1は、分注ヘッド50を反応容器上に移動させ、上記発光基質が吸引されたノズル51にて上記反応生成物の溶液を吸引する(S3)。溶液の吸引量は、例えば基質の吸引量と同程度である。
【0048】
次に、測光システム1は、分注ヘッド50を反応容器から数cm上昇させ、吸引、吐出を繰り返して、ノズル51内の溶液を攪拌する(S4a)。ここで発光反応が開始する。
【0049】
必要に応じて液だれ防止のため、数μLのエアを吸引し、ノズル51の先端部にエアギャップを作ってもよい(S4b)。
【0050】
次に、測光システム1は、分注ヘッド50を移動させ、ノズル51を測光箱20へ挿入する(S5)。このとき、遮光部材53および22によって、開口21bおよび挿入孔22aが覆われ、測光箱20内の空間21aに外光が入らないようにされる。なお、測光箱20は約37℃で保温されるのが望ましい。
【0051】
次に、測光システム1は、ノズル水平駆動部11を利用して、遮光部材22を移動させながら、ノズル51を高感度測定位置に移動させる(S6)。
【0052】
そして、測光システム1は、測光を開始する(S7)。すなわち、測光システム1は、ノズル51に吸引された溶液(発光サンプル)からの発光の光検出器30による測定を開始する。この測光には通常数分を要する。
【0053】
測光において、測光システム1は、光検出器30からの信号が飽和するか否かを判断し(S8a)、信号が飽和すると判断された場合には(S8a:YES)、分注ヘッド50を水平方向に移動させ、ノズル51を低感度測定位置に移動させて測光を継続する(S8b)。なお、点光源による、ある観測点における照度は、点光源と観測点の距離の2乗に反比例する。よって、高感度測定位置におけるノズル51と光検出器30の受光面との距離をr1とし、低感度測定位置におけるノズル51と光検出器30の受光面との距離をr2とすると、低感度測定位置における測定値は、高感度測定位置の測定値の(r1/r2)2倍になると近似できる。ただし、実際には光源および光検出器はそれぞれ点ではない。
【0054】
そして、測光システム1は、所定時間が経過すると、測光を終了させ(S9)、分注ヘッド50を上昇させ、ノズル51を測光箱20から取り出す(S10a)。このとき、測光システム1は、ノズル水平駆動部11を利用して遮光部材22を移動させ、挿入孔22aを開口21bの位置から外して、測光箱20を遮光する動作を追加してもよい(S10b)。この態様では、ノズル51を測光箱20に挿入するステップS5の前に、ノズル水平駆動部11を利用して遮光部材22を移動させ、挿入孔22aを開口21bと連通する位置に移動させる動作が追加される(S4c)。また、ノズル51が測光箱20に挿入されていない状態で遮光部材22を移動させるために、例えば、分注ヘッド50を遮光部材22に引っ掛ける部材(例えば爪)が設けられる。
【0055】
最後に、ノズル51を取り外して廃棄し(S11)、測定を終了する。
【0056】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果が得られ得る。
【0057】
(1)ノズルと光検出器との距離の変更と、遮光部材の移動とを、ノズルの移動機構により行うことができる。このため、簡易な構成で液体試料の発光を広いダイナミックレンジで測定することが可能となる。
【0058】
具体的には、感度が異なる複数の光検出器を設ける構成や、光検出器および遮光部材をそれぞれの駆動機構によりサンプルに対して相対的に移動させる構成と比較して、簡易な構成で液体試料の発光を広いダイナミックレンジで測定することが可能となる。より具体的には、駆動機構が少ないので、装置の小型化を図ることができる。
【0059】
また、広いダイナミックレンジを得るための構成として、減光フィルタで光検出器に入射する光を絞り込むことが考えられる。しかし、この構成では、フィルタおよびフィルタを切り替える機構が必要とされ、構成が複雑になる。これに対して、本実施の形態では、フィルタおよびフィルタを切り替える機構が不要であり、簡易な構成で広いダイナミックレンジが得られる。
【0060】
(2)液体試料を吸引するノズルを測光箱に挿入し、測光箱に挿入されたノズルに吸引された液体試料の発光を光検出器で検出する。このため、液体試料がノズルに吸引された状態で、液体試料からの発光を測定することができる。
【0061】
(3)減光フィルタを用いる構成と比較して、サンプル光源に対して光検出器の立体角をかせぐことができ、検出効率が高い。
【0062】
(4)減光フィルタを用いる構成では、フィルタの分光感度特性に測光が影響されるが、本実施の形態では、このようなフィルタの分光感度特性の影響なく、安定した測光が可能である。
【0063】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 測光システム、10 移動機構、11 ノズル水平駆動部、12 ノズル垂直駆動部、20 測光箱、21 本体部、21a 空間、21b 開口、21c 案内部材、22 遮光部材、22a 挿入孔、23 光検出器ホルダ、30 光検出器、31 光電子増倍管、32 フォトカウンティング回路、40 制御装置、41 制御部、42 演算部、43 記憶部、44 表示部、45 入力部、46 出力部、50 分注ヘッド、51 ノズル、52 吸引装置、53 遮光部材、60 吸引装置駆動部、70 測光箱保温部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料を吸引するノズルを移動させる移動機構と、
前記ノズルが前記移動機構により移動させられて挿入される測光箱と、
前記測光箱に挿入されたノズルに吸引された液体試料の発光を検出する光検出器と、
を備え、
前記測光箱は、
前記ノズルを収容する空間と、当該空間に収容されたノズルと前記光検出器との距離が変化するように当該ノズルを前記移動機構により当該空間内で移動させるための開口とが形成された本体部と、
前記空間に前記ノズルを挿入するための挿入孔が設けられ、前記空間に前記ノズルが挿入された状態で前記開口を覆って前記空間を遮光状態にする遮光部材であって、前記ノズルが前記光検出器との距離が変化するように前記空間内で移動する際、前記遮光状態を維持しながら前記移動機構により前記ノズルとともに移動する遮光部材と、を含む、
ことを特徴とする測光システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−58901(P2011−58901A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207752(P2009−207752)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】