説明

測定セル、特に密度計の注入管に分析対象試料を注入する方法

【課題】測定セル、特に密度計の注入管に分析対象試料を注入する方法。
【解決手段】注入口(15)には穿孔器が設けられ、押子(3)を有する注射器に前記試料が導入され、破断可能な封鎖体により封鎖される雄端部(8)を有するルアー型の使い捨てキャップ(6)で注射器(1)を封鎖し、注入口(15)と一直線上に位置し、押出器(16)が設けられる注入ステーション(12)を備える注入装置に設けられた支持体に注射器(1)を固定し、注射器(1)は上部位置から下部位置へ垂直昇降で移動可能であり、押子(3)が押出器(16)に面し、キャップ(6)が注入口(15)に面するように、前記支持体を注入ステーション(12)と一直線上に配置し、前記穿孔器がキャップ(6)の前記封鎖体に穿孔するように、注射器(1)を下部位置に移動し、注射器(1)に含まれる前記試料を前記注入管に注入するために押出器(16)を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定セル、特に密度計の注入管に分析対象試料を注入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造プロセスにおいては物理的な測定を行う必要があり、その内、密度データが最も頻繁に必要になるものの一つである。
【0003】
そのため、製造業者は様々な原理に基づく多種多様な密度計を販売しており、それらは利点と欠点を有する。
【0004】
例として、試料の密度測定に満足できる方法で使用され得る密度計は測定セルを備え、内部で測定室(measurement chamber)を規定する定温筐体(isothermic enclosure)と、上記測定室内に延長し分析対象試料で充填されるU字管と、上記U字管に振動を生じさせる手段と、上記管の振動応答を読み取る手段とを具備する。
【0005】
このようなタイプの密度測定セルのU字管は、注入口を介する分析対象試料の注入と排出口を介する分析対象試料の排出を許可するために、測定室から外向きに突出する自由端で、測定室に固定される。
【0006】
上記密度計による試料の密度測定は、共振周波数でU字管の振動を生じさせ、読取手段を用いて振動数を測定することを原理とする。
【0007】
共振周波数は、それ自体周知の標準方程式に基づき、密度計の予備的計測から分析対象試料の密度算出を第一近似値まで可能にする。
【0008】
上記タイプの密度測定セルにおけるU字管への分析対象試料の注入は、先端部を備えた簡易注射器を注入口に挿入し手動で加圧して行える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、こうした作業は時間が掛かり不便で、また試料を流出するおそれがある。
【0010】
この注入を円滑にするため、加圧して分析対象試料を自動注入する装置を備えた密度計が既に提案されている。
【0011】
これらの装置は、分析対象試料を収容しストッパにより封鎖される一組の容器、特にシリンダを周囲に設ける回転式分注台を備える。
【0012】
上記容器は、注入ステーションと一直線上に連続して配置され得る。また容器は、一端では密度測定セルの注入口に接続する注入管と連結し、他端では圧力源に接続するダクトと連結する。
【0013】
しかしながら、上記分注台上の容器内に分析対象試料を導入する作業と、注入ステーションにおける加圧ダクトと注入ダクトに容器を装着する作業は時間が掛かり不便であった。
【0014】
これらの加圧注入装置と共に、特に真空ポンプなどの真空源にU字管の排出口を接続することで、分析対象試料を密度測定セルに真空注入するものが既に提案されている。
【0015】
このような真空注入装置では、分析対象試料を保持する容器が注入ダクトを介してU字管の注入口に連結され得る。
【0016】
しかしながら、このような装置は、低粘性試料の分析にのみしか適さないという欠点や、各測定後に時間が掛かり不便なすすぎ工程が必要になるという欠点がある。すすぎ工程では、追加として大量の溶剤の使用が必要となり、環境を害する。
【0017】
同様に、現在市場に出回っている真空注入装置が設けられた密度計は、分析対象試料を収容する一組の容器を周囲に設けた自動分注台を備える。
【0018】
上記容器は、注入ステーションと一直線上に連続して配置される。また容器は、密度測定セルの注入口に接続する注入ダクトと連結する。
【0019】
このような装置は自動分注台を有するが、粘性のある試料の分析ができず、また多量の溶剤を要するすすぎ工程が必要となるという上述した真空注入装置の欠点を有する。
【0020】
さらに、分注台に設けられた容器への分析対象試料の導入と、注入ステーションにおける容器への注入ダクトの装着は、時間が掛かり厄介な作業である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的は、上述した欠点を解消可能な、密度計における注入管への分析対象試料の注入方法を提供する。
【0022】
本方法は、上述したタイプのU字管が設けられた密度測定セルに分析対象試料を注入するものに限られず、実質的に垂直上方に延長し、外側に突出する自由端に分析対象試料の注入口を設ける注入管を備えた任意の測定セルに広く一般的に適応され得ることに留意されたい。
【0023】
本方法によれば、通常の使い捨て注射器は、分析対象試料を測定セルにおける上記管の注入口に注入するために使用される。また、上記注射器は、雄先端部により延長し、押子が移動される筒状体を備える。
【0024】
本方法は、一方で、注入口では、組立段階において測定セルの注入管の内部に穿孔器(punch)が備えられる工程と、他方で、分析対象試料が導入された後にルアー型の使い捨てキャップで注射器を封鎖する工程を含む2つの基礎的な工程に基づく。上記ルアー型の使い捨てキャップは、筒状体の上記雄先端部を収容する雌端部と破断可能な封鎖体(strikable closure)により封鎖される雄端部を有する。
【0025】
上記通常の注射器と使い捨てキャップは特に安価な部材である。
【0026】
本発明によると、使い捨てキャップにより封鎖された注射器は分析対象試料を含み、キャップを最下部として、注入装置に設けられた支持体に実質的に垂直に固定される。
【0027】
注入装置は、押出器が設けられ、注入管の注入口と一直線上に位置する注入ステーションを備える。
【0028】
上記注入ステーションにおいて、支持体に配置される注射器は、上部位置又は配置位置から下部位置又は注入位置へ垂直昇降で移動可能である。
【0029】
次に、本発明による方法は、注射器の押子が押出器に面し、且つキャップが注入管の注入口に面するように、上部位置において注射器が備えられた支持体を注入ステーションと一直線上に配置する工程を含む。
【0030】
続いて、注射器は下部位置に移動され、穿孔器がキャップの封鎖体に穿孔する。次に押出器が作動し、注射器の押子が下方に移動されて、注射器に含まれる上記試料は測定セルの注入管に注入される。
【0031】
本発明による方法では、分析対象試料を保持する容器からの注射器の充填と測定セルにおける注入管の注入口への上記試料の導入に関して特に容易に実施できる。
【0032】
本方法は、粘性及び低粘性試料の分析を可能にするだけでなく、各測定後に大量の溶剤の使用を要し手間がかかるすすぎ工程が必要でないという利点を有する。
【0033】
本発明のさらなる特徴によると、使い捨てキャップの雌端部は刻み付きカラー(knurled collar)により囲まれる。上記刻み付きカラーは、注入装置の支持体に設置された際に、注射器とキャップにより形成される組立品(assembly)のガイドを可能にする機能を有する。
【0034】
加えて、使い捨てキャップの把持が上記刻みによりを容易となり、加圧することで使い捨てキャップを注射器の雄先端部に固定できる。
【0035】
本発明によれば、支持体を装備する注入装置は、単一の供給ステーションのみを備える装置、又は複数の供給ステーションを備える自動的な装置の場合がある。
【0036】
本発明の第1の変形例によると、注入装置は単一の供給ステーションのみを備え、支持体は注入ステーションと一直線上に装着される運搬体(carriage)であってもよく、注射器を収容する枠又は注射器の搭載を可能にする軸スライドが設けられた固定受台(stationary receptacle)を備える。
【0037】
第1の実施例では、運搬体は上部位置と下部位置間で昇降移動可能である。
【0038】
第2の実施例では、注入ステーションは注射器を下部位置に移動させる昇降装置を備える。
【0039】
本発明の第2の変形例によると、注入装置は複数の供給ステーションを備える。支持体は注射器を収容するための一組の枠を周囲に備える回転式分注台であって、注入ステーションと一直線上に連続して枠を配置できる。
【0040】
本発明による注入方法の特徴は、例示的な添付図面を参照しつつ、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1a】本発明の方法における第1工程の実施を示す概略図である。
【図1b】本発明の方法における第1工程の実施を示す概略図である。
【図1c】本発明の方法における第1工程の実施を示す概略図である。
【図2】使い捨てキャップの斜視図である。
【図3】使い捨てキャップの断面図である。
【図4】単一の供給ステーションのみを備える試料の密度測定装置を示す図である。
【図5】図4の装置における注入ステーションを示す図である。
【図6】複数の供給ステーションを備える試料の密度測定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1aによれば、本発明による方法を実施するために、雄先端部2により延長し、押子3が移動される筒状体4を有する通常の使い捨て注射器1が使用される。
【0043】
図1bによれば、本方法の第1工程では、矢印Aで示す方向に押子3を移動させることで、注射器1を使って容器5から分析対象試料を得る。
【0044】
図1cによれば、本方法の第2工程では、矢印Bで示すようにルアー型の使い捨てキャップ6を用いて注射器1の雄先端部2を封鎖する。
【0045】
図2によれば、上記使い捨てキャップ6は注射器1の上記雄先端部2を収容する雌端部7と雄端部8を有する。
【0046】
また、使い捨てキャップ6の雌端部7は刻み付きカラー9により囲まれる。
【0047】
図3によれば、破断可能な封鎖体10により使い捨てキャップ6の雄端部8が封鎖される。
【0048】
図4と図5に示すように、本発明の第一の変形例によると、注入方法は単一の供給ステーションのみを備える分析対象試料の密度測定装置11により実施される。
【0049】
図5によれば、上記密度測定装置11は分析対象試料が注入口15を介して導入される測定セルと注入ステーション12を備える。
【0050】
図示されていないが、注入口15はその内部に穿孔器を備える。
【0051】
注入ステーション12は、その一部として上部位置と下部位置間を垂直昇降で移動可能な運搬体13を装備する。また、運搬体13は、注入口15及び押出器16と一直線上に設けられる。
【0052】
運搬体13は、使い捨てキャップ6を装備し押子3を最上部として垂直に配置される注射器1を収容する枠14と、上記キャップのカラー9を保持するための開口部20を備える。
【0053】
このように、運搬体13は上記装置の供給ステーションを形成する。
【0054】
図5に示すように、注射器1が収容枠14に配置される場合には、押出器16は押子3の端部に面する。
【0055】
図4によれば、本発明による方法が実施される際に、技術者はあらかじめ試料で充填し使い捨てキャップ6で封鎖された注射器1を収容枠14と一直線上に配置する。次に、図5によると、技術者は保持用の開口部20において注射器1を垂直に配置して、上部位置にある運搬体13に固定する。
【0056】
この工程の際に、使い捨てキャップ6の雌端部7を囲む刻み付きカラー9は運搬体13における注射器の配置をガイドする。
【0057】
次の工程にて、使い捨てキャップ6の雄端部8が注入口15に差込まれるように、支持体13は注射器1を下部位置に自動的に移動する。
【0058】
上記移動過程において、注入口15の内部に設けられた穿孔器は使い捨てキャップ6の封鎖体10に穿孔する。
【0059】
本発明の方法における最終工程は、注射器1の押子3を下方に移動して注射器1に含まれる上記試料を上記装置の注入管に注入するために、押出器16を作動させる。
【0060】
図6によれば、本発明の第2の変形例による装置は、分析対象試料の密度測定装置17である。上記装置は、あらかじめ分析対象試料で充填され、使い捨てキャップ6を装備する注射器1を収容するための一組の枠19を周囲に備える回転式分注台18を装備する。
【0061】
回転式分注台18の回転により、収容枠19と注射器1を注入ステーション12と一直線上に連続して搬送できる。これは、注入口15と一直線上に位置される図5に示すものと基本的に同様である。
【0062】
上記注入ステーションでは、昇降装置(不図示)により注射器1を降下し、使い捨てキャップ6の雄端部8が注入口15に差込まれ、開口に設けられた穿孔器により封鎖体10が穿孔されて、分析対象試料が上記装置に注入される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定セル、特に密度計において、垂直上方に延び、外側に突出する自由端に分析対象試料用の注入口を設けた注入管への分析対象試料の注入方法であって、
前記注入口(15)において前記注入管の内部に穿孔器を設け、
雄先端部(2)により延長する筒状体(4)を有し、押子(3)が移動される通常の使い捨て注射器(1)に前記分析対象試料を導入し、
一端では前記筒状体(4)の前記雄先端部(2)を収容する雌端部(7)を、他端では破断可能な封鎖体(10)により封鎖される雄端部(8)を備えるルアー型の使い捨てキャップ(6)を用いて前記注射器(1)を封鎖し、
押出器(16)を有し、前記注入管の前記注入口(15)と一直線上に位置する注入ステーション(12)を備える注入装置に設けられた支持体に、前記キャップ(6)を最下部として、前記封鎖された注射器(1)が実質的に垂直に固定され、前記支持体に配置された前記注射器(1)は上部位置又は配置位置から下部位置又は注入位置へ垂直昇降で移動可能であり、
前記注射器(1)の前記押子(3)が押出器(16)に面し、前記キャップ(6)が前記注入管の前記注入口(15)に面するように、前記支持体が前記注入ステーション(12)と一直線上に配置され、
前記穿孔器が前記キャップ(6)の前記封鎖体(10)に穿孔するように、前記注射器(1)は前記下部位置に移動され、
前記押子(3)を下方に移動して前記注射器(1)に含まれる前記分析対象試料を前記注入管に注入するために前記押出器(16)が作動される、ことを特徴とする分析対象試料の注入方法。
【請求項2】
前記使い捨てキャップ(6)の前記雌端部(7)は刻み付きカラー(9)で囲まれることを特徴とする請求項1に記載の注入方法。
【請求項3】
前記支持体は、注射器(1)を収容するための枠(14)を備え、前記注入ステーション(12)と一直線上に設けられて前記上部位置と前記下部位置間において垂直昇降で移動可能な搬送体(13)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の注入方法。
【請求項4】
前記支持体は、注射器(1)を搭載できる軸スライドが装備された固定受台であることを特徴とする請求項1又は2に記載の注入方法。
【請求項5】
前記支持体は、注射器(1)を収容するための一組の枠(19)を周囲に備える回転式分注台(18)であり、前記一組の枠(19)は前記注入ステーション(12)と一直線上に連続して配置され得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の注入方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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