説明

測定プローブ

【課題】既知の測定プローブ、特に、これらプローブに使用される浴接点構成を改良し、これにより、測定プローブの信頼性を高める。
【解決手段】本発明は、溶融金属の測定のための測定プローブに関し、該測定プローブは、キャリア管の浸漬端部に配置される測定ヘッド(1)を有し、また、溶融金属の成分を特定するための少なくとも一つのセンサー(2)と浴接点(7)が該測定プローブに配置される。浴接点(7)は、浸漬方向から見て、前方浴接点領域(9)を有し、前方浴接点領域(9)は、浸漬方向に垂直な両側部に配置される二つの表面領域を有する。溶融鉄又は溶融鋼中で安定性のある材料が、前記前方浴接点領域(9)の両表面領域に配置され、また、溶融鉄又は溶融鋼中で安定性のある材料が、後方浴接点領域(10)における最大限でも一方のみの表面領域に配置され、後方浴接点領域(10)の反対側表面領域にはこの材料は無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ヘッドを有する、金属又はスラグ溶融物の測定のための測定プローブに関する。該測定プローブは、キャリア管の浸漬端部に配置され、また、溶融金属の成分を特定するための少なくとも一つのセンサーと浴接点が該測定プローブに配置される。該浴接点は、浸漬方向から見て、前方浴接点領域を有し、該領域は、浸漬方向に垂直な両側部(両面)に配置される二つの表面領域を有する。
【背景技術】
【0002】
上記のような測定プローブは、多くの形態で知られている。例えば、DE 3541806 C1又はDE 83 17 643 U1において、浸漬側に浴接点(浴端子)が配置される測定プローブが知られている。浴接点は、電気化学的測定セルに割り付けられる。これは、金属ロッドとして構成される。DE 29 54 228 C2及びDE 79 25 016 U1からプローブは知られており、該プローブは環状構造を有し、また、各プローブはセンサーの脚部を備える。浴接点はまた、電気化学的構成要素との相互作用に加えて、溶融金属の浴レベル(湯面)を測定するためにも使用され得る。例えば、浴接点を溶融金属中へと浸漬するやいなや、回路が閉じ、浴接点の位置から溶融金属のレベルが特定される。浴接点は、通常、鋼から成り、短時間の後に溶融金属中で破壊される。
【特許文献1】DE 3541806 C1
【特許文献2】DE 83 17 643 U1
【特許文献2】DE 29 54 228 C2
【特許文献4】DE 79 25 016 U1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、既知の測定プローブ、特に、これらプローブに使用される浴接点構成を改良し、これにより、測定プローブの信頼性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的は、請求項1の発明特定事項により、本発明に従って達成される。有利な構成は従属請求項から生じる。
【0005】
溶融鉄又は溶融鋼中で安定性のある材料は、前方浴接点領域の両表面領域に配置され、また、溶融鉄又は溶融鋼中で安定性のある材料は、後方浴接点領域において一方のみの表面領域に配置され、後方浴接点領域の反対側表面領域にはこの材料が無いので、浴接点の前方領域は、浴接点の後方領域に比べて溶融金属(例えば溶融鋼)からより良く保護されることが保証される。従って、この後方領域は最初に破壊される。ここで、測定ヘッドの横断面に対して傾斜している表面構造が構成され、該構造において、前方浴接点領域が浸漬方向の頂部前方レベルに配置され、また、該表面は、浸漬方向と反対の方向において縁へ向かって傾斜して落ち込む。浸漬するやいなや浴接点の前側で生じる気泡は、ここに集まることはできないが、代わりに、これらは、横方向後方へと導き去られ、そのため、溶融鋼と溶接点との接触部は破壊されない。
【0006】
好ましくは、浴接点は、浸漬方向において、測定ヘッドの外側面の前方に突出する。上記両側(両面)配置の安定性材料は、便宜上、前方浴接点領域から測定ヘッドまで延在する。加えて、後方浴接点領域及び前方浴接点領域は、浸漬方向に垂直に配置される投影面において、便宜上、互いに隣り合って配置される。前方浴接点領域は、上記気体をより首尾良く導き去るため、好ましくは、浸漬方向において後方浴接点領域の少なくと3mm前方に配置される。これは、この最小間隔において、傾斜/下落が十分に大きいからである。浴接点はまた、金属シートから形成され得る。これは、例えば、上記先行技術に記載されているように金属ロッドからも形成され得、該先行技術において、上記安定性材料は、金属ロッドの周りに非対称配列を有する。このように、後方及び前方浴接点領域もそれらから形成される。後方浴接点領域では、浴接点自体がそこで溶融金属(溶融鉄又は溶融鋼)から前方浴接点領域と同程度には保護されないことが重要であり、これにより、これが、既述した丘状構造を形成しながら後方領域においてより速く溶解する。
【0007】
特に金属シートから形成される溶接点が浸漬方向にほぼ平行な軸線の周りに曲げられ、これにより、該金属シートの一部が該曲がりによって形成される輪郭(シルエット)内に配置されることが更に有利である。上記安定性材料は、好ましくは、上記輪郭を埋め尽くし、外周面にある溶接点部分を露出させる。好ましくは、鋳物砂又はセメントが安定性材料として使用される。
【0008】
以下において、本発明の実施形態が図面を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、サンプルプローブの測定ヘッド1を示す。センサー2と、測定ヘッド1の後端部に配置されたサンプルチャンバー4の入口管3とは、測定ヘッド1の浸漬端部に配置される。サンプルチャンバー4は、典型的な二殻サンプルチャンバーであり、これは、クランプ5によりその端部で互いに保持される。キャリア管(図示せず)が測定ヘッド1の後端部に配置される。センサー2の後方接続部と接触するための凹部6が測定ヘッド1に見られる。加えて、浴接点7が測定ヘッド1の浸漬端部に配置される。図1の実施形態において、浴接点7は、ほぼ平坦な金属シートの形状を有する。これは、耐火セメント8に埋め込まれ、また、その前方浴接点領域9(ほぼ中央)においてその前方端縁までセメント8で囲まれる。後方浴接点領域10は、浸漬時に溶鋼から比較的保護されない。これは溶融される。図1に示される円錐形のセメント8は、浴接点7の端縁の領域からの気体の排出を許容し、そのため、溶鋼との欠点のない接触が可能である。浴接点7、センサー2、及び入口管3は、保護キャップ11によって囲まれる。
【0010】
図2において、類似の測定ヘッド1が示される。図1に従う実施形態と対比して、図2に示される浴接点7は、前方浴接点領域が浴接点7のほぼ中央にあり、かつ後方浴接点領域が外周にある蛇行形状構造を有する。このような浴接点は図4cに示される。これは、測定ヘッド1の内腔を通じて凹部6内の接点(端子)12を用いて接触線に接続される。
【0011】
図3は、測定ヘッド1の類似構成を有する、浴接点7の別の実施形態を示す。浴接点7は、円形に曲げられた金属シートとして構成され、その一端部13は、該円形の内側へと曲げられる(図4b参照)。該接点は、図示の全実施形態と同様に認識される。前方浴接点領域9は、浴接点7が形成する円形のほぼ中心に位置付けられ、他方、後方浴接点領域10は、外周に位置付けられる。該円形の内側は、鋳物砂又はセメントで完全に又はほぼ完全に埋められる。
【0012】
図4aは、浴接点7の別の実施形態を示す。ここで、図4bに示される実施形態と対比して、平坦面が円形内側に曲げられるのみならず、シートも螺旋ばねの形状に巻かれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】浴接点を有するサンプルプローブの測定ヘッドである。
【図2】浴接点の別の実施形態を有する測定ヘッドである。
【図3】溶接点の別の実施形態を有する測定ヘッドである。
【図4】種々の溶接点(4a,4b,4c)である。
【符号の説明】
【0014】
1 測定ヘッド
2 センサー
3 入口管
4 サンプルチャンバー
5 クランプ
6 凹部
7 浴接点
8 セメント
9 前方浴接点領域
10 後方浴接点領域
11 保護キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属の測定のための測定プローブであって、キャリア管の浸漬端部に配置される測定ヘッドを有し、溶融金属の成分を特定するための少なくとも一つのセンサーと浴接点が該測定プローブに配置され、該浴接点は、浸漬方向から見て、前方浴接点領域を有し、該前方浴接点領域は、浸漬方向に垂直な両側部に配置される二つの表面領域を有し、溶融鉄又は溶融鋼中で安定性のある材料が、前記前方浴接点領域の両表面領域に配置され、溶融鉄又は溶融鋼中で安定性のある材料が、後方浴接点領域における最大限でも一方のみの表面領域に配置され、後方浴接点領域の反対側表面領域にはこの材料が無いことを特徴とする測定プローブ。
【請求項2】
前記浴接点は、測定ヘッドの外側面の前方において浸漬方向に突出することを特徴とする請求項1に従う測定プローブ。
【請求項3】
前記両側配置の前記安定性材料は、前方浴接点領域から測定ヘッドまで延在することを特徴とする請求項1又は2に従う測定プローブ。
【請求項4】
前記後方浴接点領域及び前方浴接点領域は、浸漬方向に垂直に配置される投影面において互いに隣り合って配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に従う測定プローブ。
【請求項5】
前記前方浴接点領域は、浸漬方向において、後方浴接点領域の少なくとも3mm前方に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に従う測定プローブ。
【請求項6】
前記浴接点は、金属シートから形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に従う測定プローブ。
【請求項7】
前記浴接点は、浸漬方向にほぼ平行な軸線の周りに曲げられ、この曲げによって形成される輪郭内に前記金属シートの一部が配置されることを特徴とする請求項6に従う測定プローブ。
【請求項8】
前記安定性材料は前記輪郭を埋めることを特徴とする請求項7に従う測定プローブ。
【請求項9】
前記安定性材料は鋳物砂又はセメントであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一に従う測定プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−163494(P2007−163494A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335768(P2006−335768)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(598083577)ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ (37)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro−Nite International N.V.
【住所又は居所原語表記】Centrum Zuid 1105, B−3530 Houthalen,Belgium
【Fターム(参考)】