説明

測定中におけるキュベットの安定化

【課題】特に測定プロセス中におけるキュベットの運動、特に側方又は左右の運動を減少させる際の精度を向上させる場合の問題を解決する。
【解決手段】キュベット移動経路を備えた分析器での測定読取り中、キュベット(50)を安定化させる装置(10)は、移動経路(P)の第1の側に設けられていて、測定読取りが行われるキュベットの光学窓(52)を妨害しない場所でキュベットの側部に当接する固定支持体(30)と、移動経路(P)の第2の側に設けられていて、測定読取りが行われるキュベットの光学窓(52)を妨害せず且つ固定支持体に当接する側部と反対側に位置した場所でキュベットの側部に押し付けられる可動支持体(20)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に分光測光法によりサンプル中の分析物の存在又は濃度を測定することに関する。特に、本発明は、キュベットが分析器の測定ステーション内にある間、キュベットを安定化させる装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分光測光器及び測光器による測定システムは、歴史的に、読取り又は測定プロセス中、キュベットが動かないように設計されている。これについては、米国特許第5,774,209号明細書を参照されたい。システムのスループットを増加させるため、特殊な分光測光器及び測光器は、キュベットが動いている間に読みを得るよう設計されている。関連等級の可動キュベット測定システムは、キュベットの運動を停止させて読みを即座に取る。キュベット運動停止後の遅延が短ければ短いほどそれだけ一層読取りの積分時間が短くなり、その結果システム再開時間が早くなり、このことは一般に、1時間当りに行なえる検査回数が多くなり、即ち高いスループットが得られるを意味している。システムのスループットは、ユーザに対する分析器システムの価値を定める重要な尺度であり、診断用分析器を販売する際には著しく重要なものである。キュベットを有する公知の診断用分析器としては、米国特許第4,595,562号明細書、同第5,774,209号明細書、同第5,849,247号明細書、同第4,517,160号明細書、同第5,380,666号明細書及び米国再発行特許第30,391号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0003】
公知の幾つかの分析器、例えばオルト−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッドによって開発されたVitros(登録商標)Fusion 5,1型分析器又はサーモ・エレクトロン・コーポレイションによって市販されているKonelab (登録商標)60型分析器は、図1に示すようなマルチセル型キュベットを用い、かかるマルチセル型キュベットは、列状に配置された別々の検査セル、例えば1列に配置された6又は12個の別々の検査セルを有している。例えば6個のセルから成るキュベット全体は、スループットを維持するためには約1.5秒台の非常に迅速な読取りが行なわれなければならない。この設計は、セルの各々が停止した後各セルを読み取ることである。2004年2月23日に出願された同時係属米国特許出願第10/784,505号明細書(発明の名称:Determining An Analyte By Multiple Measurements Through A Cuvette)(以下、第’505号出願明細書という)に記載されているように、好ましい測定読取りプロセスは、各読取りサイクル中、キュベット内の6個のセルの各々で多数回(好ましくは3回)の測定読取りを得ることである。なお、この米国特許出願明細書の記載内容全体を参照によりここに引用する。セル1個あたり3回の測定読取りを行なうことにより、キュベットは、6個のセルの各列について18回の開始/停止を行なう必要がある。読取り回数が多いと、各測定読取りについての積分時間を短縮する必要がある(標準の100msではなく、20ms)。
【0004】
キュベットが完全に静止した状態で行なった検査の示すところによれば、20msへの測定読取り積分時間の短縮では、測光器の精度は実質的には劣化しない。しかしながら、場合によっては、例えば短時間に多数回の測定読取りを行なった場合、測光器の精度が相当低下した。事実、測定読取りの直前にキュベットを停止させた場合の実際の検査データの示すところによれば、積分時間が短いと不正確さは10倍〜100倍になる場合が多かった。当業界では、運動があっても測光器のチョッピングシステムが測定読取りプロセス中のキュベットの運動に起因する誤差を打ち消すと考えられていた。しかしながら、これは、そうではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キュベットの不正確さの問題は特に、キュベットの一端部がキュベット取扱いシステム、例えばフック又は他の装置によって支持されてキュベットが片持ちされるようになるシステムにおいて特に顕著であった。かかるシステムでは、検査データは、キュベット内の最後の3つのセル(キュベットの一端部を片持ちすることによりキュベットを捕捉するコンベヤシステムから最も遠くのほうに位置するセル)は、不正確さが著しく大きいパターンを示した。加うるに、かかるデータは又、セル内の3つの測定読取りのうち最初のものが後の2つよりも精度が高い場合が多いことを示した。
【0006】
上述の公知技術のうちで、上述の問題、特に分析器の測定ステーション内におけるマルチセル型キュベットの測定精度を向上させるという課題の解決に十分に取り組んだものはない。
【0007】
上述の理由で、マルチセル型キュベットの測定読取りの精度を向上させる装置及び方法が要望されている。
【特許文献1】米国特許第5,774,209号明細書
【特許文献2】米国特許第4,595,562号明細書
【特許文献3】米国特許第5,774,209号明細書
【特許文献4】米国特許第5,849,247号明細書
【特許文献5】米国特許第4,517,160号明細書
【特許文献6】米国特許第5,380,666号明細書
【特許文献7】米国再発行特許第30,391号明細書
【特許文献8】米国特許出願第10/784,505号明細書
【0008】
不正確さの原因を突き止めるために、本発明者は、大規模な研究を行なったが、かかる研究には、測定読取りプロセス中に高速ビデオ分析法を用いることが含まれる。研究結果として、測定読取りが行なわれるときにキュベットに残留運動が残存することが判明した。即ち、キュベットは、測定読取り時にはことさらに動いてはいないが、測定読取りの直前で動いてキュベットが停止した後に依然として生じる振動によって駆動されるキュベットに残留運動が存在するようになっていた。
【0009】
キュベットの運動は、積分時間が短いシステムにおいて読取り回数が少ないこと(例えば、70サンプル及び70レファレンス(比較対照)読取り/20ms)とは対照的に、読取り回数が多い(例えば、350サンプル及び350レファレンス読取り/100ms)ので、測定読取り積分時間が長い(例えば、100ms)従来型システムでは大きな問題にはならない。即ち、積分時間が長い場合、キュベットの残留運動は、実際の読取り回数の少ないことが運動による影響を受け、これら読取りの影響が運動の無い場合の読取り回数の多いことによって弱められるほど十分迅速に停止する。しかしながら、積分時間が短い場合、読取り回数がそれ以上多くても運動によって影響を受け、かくしてそれが原因となって不正確さの問題が生じる。
【0010】
本発明以前においては、キュベットの運動は分析器の測定ステーションで用いられるチョッピングシステムにより測定読取りに影響を及ぼさないと広く考えられていた。即ち、チョッピングシステムは、運動を考慮に入れており、運動のばらつきを効果的に打ち消すというものであった。というのは、サンプル読取りとレファレンス読取りは、同一の角度にあるからである。キュベット角度を光源及び検出器に対して変化させると、光ビームの伝搬経路が変化する。角度が相当大きい場合、光はキュベットの側壁で反射してレファレンス及びサンプル収集フォトダイオードに戻り、検出エネルギに影響を及ぼす。角度がレファレンス収集とサンプル収集との間で比較的一定である限り、側壁反射と関連した誤差は、打ち消されることになる。静的キュベットの検査により確認されたこととして、キュベットの角度を光源及び検出器に対して変化させても、精度又は平均測定吸収度にそれほどの変化は生じなかった。これら結果は、細断(チョップト)測定法を行なうことにより経路長さ等のばらつきが無くなるという当業界における理解と一致していた。
【0011】
これは、本発明ではそうではなかった。推測で決めつけるわけではないが、本発明者の確信によれば、チョッピングシステムがばらつきを無くし又は打ち消すことができることは、キュベットの運動がチョッピング速度と比較して非常に遅い限りにおいて正しいということであるに過ぎない。遅いキュベット運動ではない場合、本発明者の知見によれば、キュベットの運動の周波数は、測光器サンプル/レファレンスチョッパシステムの振動数に近い場合が多い。その結果、キュベットの角度は短くなった測定読取り間隔(例えば、20ms)内で変化し、それが原因となって、チョッピングシステムを用いた場合でもキュベットがレファレンス読みと信号読みとの間で異なる角度にある状態が生じると考えられる。
【0012】
本発明者の研究は又、或る特定のマルチセル型実施形態では、幾つかのセル、例えば片持ちされたキュベットの最後の3つのセルは同一キュベットの他のセルよりも不正確さが何故大きいかの理由を明らかにした。具体的には、不正確さの増大は、運動の増大に起因している。例えば図1に示すような好ましい実施形態の片持ちキュベットの場合、キュベットを片持ちすること(即ち、キュベットの一端部を保持すること)によりキュベットをコンベヤシステムに取り付けることにより、キュベット、特にコンベヤシステムへの取り付け部から最も遠ざかって位置するセルが測定プロセス中運動を生じやすくなる。
【0013】
もう1つの関連した問題は、例えば同時係属第’505号出願明細書に記載されている単一のセル内で多数回の測定読取りを用いる実施形態における不正確さの問題であった。本明細書で用いる「測定読取り」という用語は、上記において用いられた「読取り」とは区別されるべきである。測定読取りは、積分時間に応じて多くの回数の読取り(サンプル読取りとレファレンス読取り)となるであろう。例えば、一実施形態では、積分時間が20msの測定読取りは、140回の読取り(70サンプル及び70レファレンス)となる。不正確さが存在するとすれば、セル内の最初の測定読取りは、不正確さが最も大きいと予想される。というのは、これが最も動きやすいからである。即ち、セル内における最初の測定読取りは、同一セル内での小刻みな運動後に生じる後の測定読取りとは対照的に、キュベットが少なくともセル1つ分の長さにわたって運動した後に行なわれる。かくして、最も大きな運動の量の後に生じる最初の測定読取りは、正確さが最も低いと考えられる。セルの中心近くで生じる中間の測定読取りは、本発明以前においては、不正確さはキュベットの側壁からの内面反射により引き起こされるという見解により精度が最も高いと予想される。しかしながら、正確に言えば、その反対のことは、最初の測定読取りがセル内での多数回の測定読取りのうちで最も精度の高いものであるという点において真実であった。高速ビデオ分析法の示すところによれば、測定読取り番号1前における運動(図2に示すように方向Pにおける運動)は、キュベットのほんの僅かな短い小刻みな変位後に得られる後の測定読取りとは対照的に、最初の測定読取り以前においてキュベットの振動を安定化させることができる長い距離であった。この場合も又、本発明は、キュベットの側方運動を減衰し又は無くすことによりこの不正確さの原因を無くすことが判明した。
【0014】
かくして、本発明は、特に測定プロセス中におけるキュベットの運動、特に側方運動又は左右の運動を減少させる際の精度を向上させる上記問題を解決する装置及び方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一特徴は、キュベット移動経路を有する分析器での測定読取り中、キュベットを安定化させる装置に関する。この装置は、移動経路の第1の側に設けられていて、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を妨害しない場所でキュベットの側部に当接する固定支持体と、移動経路の第2の側に設けられていて、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を妨害せず且つ固定支持体に当接する側部と反対側に位置した場所でキュベットの側部に押し付けられる可動支持体とを有する。
【0016】
本発明の別の特徴は、キュベット移動経路を備えた分析器での測定読取り中、キュベットを安定化させる装置に関する。この装置は、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を邪魔しない場所でキュベットの側部に当接する固定支持手段と、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を邪魔せず且つ固定支持手段に当接する側部と反対側の場所でキュベットの側部に押し付けられる可動支持手段と、付勢力を固定支持手段に向かう方向で可動支持手段に加える付勢手段とを有する。
【0017】
本発明の別の特徴は、サンプルを分析する分析器に関する。この分析器は、キュベット供給源と、1以上のキュベットと、サンプル供給源と、サンプル供給源からのサンプルを計量しながらキュベット内へ供給する計量供給ステーションと、光源及び検出器を備えていて、サンプルの光学的測定読取りを行なう光学測定ステーションとを有し、光源の経路及び検出器は、測定窓を形成し、前記分析器は、キュベットをキュベット供給源から計量供給ステーションに、そして光学測定ステーションに運搬するキュベットコンベヤと、光学測定ステーションに設けられた請求項1記載のキュベットを安定化させる装置とを更に有し、光源は、移動経路の第1の側又は第2の側に設けられ、検出器は、移動経路の他方の側に設けられる。
【0018】
本発明の別の特徴は、分光測光法によるサンプル中の分析物の存在又は濃度についての測定読取り中、マルチセル型キュベットを安定化させる方法に関する。この方法は、光学測定ステーションに設けられた請求項1記載のキュベットを安定化させる装置を用意する段階と、キュベットを安定化装置の固定支持体と可動支持体との間で光学測定ステーション内へ搬送する段階と、可動支持体をキュベットの側部に押し付け、それによりキュベットを固定支持体と可動支持体との間でサンドイッチして光学測定ステーション内でのキュベットの側方運動を減少させる段階とを有する。
【0019】
本発明の別の特徴は、サンプル中の分析物の存在又は濃度を測定する方法に関する。この方法は、測定されるべき分析物を含むサンプルを備えたキュベットを用意する段階と、光源及び放出光を検出する検出器を備えていて、分光測光法によるサンプルの測定読取りを行なう光学測定ステーションを用意する段階と、光学測定ステーションに設けられた請求項1記載のキュベットを安定化させる装置を用意する段階と、キュベットを光学測定ステーションに搬送する段階と、キュベットを安定化装置で安定化する段階と、少なくとも1回の測定読取りを行なう段階とを有し、該測定読取り段階は、(i)光源からの少なくとも1つの光ビームをキュベットに差し向ける段階、(ii)少なくとも1つのビームをキュベットに通し、そして測定されるべきサンプルに通す段階、及び(iii)少なくとも1つの放出光ビームを検出器で測定する段階を含む。
【0020】
本発明の別の特徴は、測光分析法によるサンプル中の分析物の存在又は濃度を測定する方法に関する。この方法は、測定されるべき分析物を含むサンプルを備えたキュベットを用意する段階と、光源及び放出光を検出する検出器を備えていて、分光測光法によるサンプルの測定読取りを行なう光学測定ステーションを用意する段階と、光学測定ステーションに設けられた請求項1記載のキュベットを安定化させる装置を用意する段階と、少なくとも2回の測定読取りを行なう段階とを有し、該測定読取り段階は、(i)光源からの少なくとも2つの光ビームをキュベットに差し向ける段階、(ii)少なくとも2つのビームをキュベットに通し、そして測定されるべきサンプルに通す段階、及び(iii)少なくとも2つのそれぞれの放出光ビームを検出器で測定する段階を含み、前記方法は、少なくとも2つの放出光ビームを比較して放出光ビームを全て無視すべきであるか、放出光ビームのうち1以上を無視すべきであるか又はサンプルの吸光度を平均化すべきであるかどうかを判定する段階を更に有する。
【0021】
本発明の別の特徴によれば、上述の方法は、コンピュータとインタフェースを取るコンピュータプログラムによって実施される。本発明の別の特徴は、上述の方法を実施するよう構成されたコンピュータにより読取り可能なプログラムコードを持つコンピュータにより使用可能な媒体を有する製造物品を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の構成によれば、キュベット移動経路を有する分析器での測定読取り中、可動支持体と固定支持体により分析器の測定ステーション内におけるキュベット、特にマルチセル型キュベットの運動が最小限に抑えられ又は実質的に無くなり、その結果、キュベットの測定読取り精度が著しく向上する。
【0023】
本発明の別の目的、特徴及び利点は、以下の好ましい実施形態についての詳細な説明から当業者には明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
キュベットの運動を最小限に抑え、それどころか実質的に無くすのを助けるため、本発明の一特徴は、キュベットを安定化させる装置に関する。この装置は一般に、分析器の測定ステーション内のキュベット移動経路内に配置される。分析器は、サンプル中のあらかじめ未知又は未定量化分析物の測定を行なうことができる任意公知の器具を有するのがよく、測定及び次の処理、例えば手又はコンピュータ若しくはCPUの使用によるデータ処理によって、サンプル中の分析物の存否及び(又は)その量についての指標をもたらすことができる。好ましい実施形態では、分析器は、診断用分析器、例えば臨床用又は免疫診断用分析器であり、サンプルは、血液、血清又は血漿である。本発明の恩恵を受ける他の分析器としては、例えば化学実験室又は工業装置のような装置で用いられる例えば化学分析器のような分析器が挙げられる。
【0025】
測定ステーション、好ましくは光学測定ステーションは、本願では図示されておらず、詳細には説明しない。というのは、これらは当該技術分野においては周知だからである。光学測定ステーションは、サンプルの光学測定を行なう光源及び検出器を有する。好ましい実施形態では、光学測定ステーションは、キュベットが測定のために挿入される光の漏れないエンクロージャである。光源及び測定器により形成される光の経路は、読取り又は測定窓(図3に符号52として示されている)を形成する。測定ステーションは、光のビームをサンプルビーム及びレファレンスビームに分割するチョッピングシステムを更に有する。これらシステムは、光学測定技術においては周知である。
【0026】
好ましい実施形態では、分光測定器は、光学測定ステーションで用いられる。任意の分光測光器が有用である。ただし、これが近赤外及びこれに隣接した可視光領域で放出された放射線を発生させ、透過を介して十分なスペクトル精度でこれを検出することを条件とする。本明細書で用いる「近赤外及びこれに隣接した可視」という用語は、約400〜2,500nm、最も好ましくは約300〜1,100nmの放射線を意味している。本明細書で用いる「分光測光」という用語は、或る波長範囲にわたってスペクトル応答を捕捉し、この範囲内の各波長について応答を相関させる技術を意味している。また、本明細書で用いる「測光」という表現は、特定の波長に対してだけの応答を相関させる光線の分析を意味している。この場合、「測光分析器」は、分光測光分析を行なう装置である。別段の指定がなければ、「分光測光器」、「分光測光」は、「測光器」、「測光」、「蛍光測光法」、「反射光測定」及び「化学発光法(ケミルミネセンス)」を含む。サンプル、例えば生物学的液体を通る近赤外及びこれに隣接した可視放射線の透過量を標的物質又は分析物の濃度に相関させる際の数学分析に関しての詳細は提供していない。その理由は、これはカナダ国特許第2,019,511号明細書、クリニカル・ケミストリー(Clin. Chem),第38巻,1992年,p.1623〜1631の論文、アナリティカル・ケミストリー(Anal. Chem),第59巻,第17号,1987年9月,p.1007A〜1017Aのチュートリアル論文及びアナリティカル・ケミストリー(Anal. Chem),第66巻,第15号,1994年8月,p.795A〜804Aのチュートリアル論文から明らかなように周知だからである。
【0027】
サンプルを収容するキュベットが提供される。好ましい実施形態では、キュベットは、例えば米国特許出願公開第2003/0003591号明細書(以下、第’591号出願公開明細書という)、米国意匠特許発明第290,170号明細書及び米国特許第4,639,135号明細書に記載され、図1に示されているサンプル及び(又は)試薬をキュベット内へ小出しし又は吸引するピベット又は長吻(proboscis)の先端部(60,図1)を受け入れるようになった頂部の開口したキュベットである。なお、これら特許文献の記載内容全体を参照によりここに引用する。互いに間隔を置いた関係で並置された複数の垂直方向に配置された反応チャンバを有するキュベットが特に好ましく、上記反応チャンバ57は各々、開口頂部を有し、第’591号出願公開明細書に記載されているように或る量のサンプル又は試薬を保持するよう寸法決めされている。チャンバは各々好ましくは、並置状態に配列され、少なくとも1つの光学的に透明な窓対56a,56bを有し、かかる光学的に透明な窓対は、光学的に透明な窓対が測定装置の測定窓と整列すると、チャンバ内のサンプルの光学的性質を測定するようになっている。
【0028】
広義には、キュベットを安定化させる装置は、固定支持体及び可動支持体を有する。固定支持体又は固定支持手段は、キュベットの移動経路の第1の側に配置されている。上述したように、移動経路は好ましくは、分析器の測定ステーション内に存在する。固定支持体は、キュベットが通り過ぎる際にキュベットに当接するよう配置されている。支持体は、これが測定の行なわれるキュベットの領域(即ち、光学的に透明な窓)を妨害しないような仕方でキュベットに当接する。例えば、光学的に透明な窓、即ちキュベットの読取り領域は、キュベット56a,56bの中央底部に位置するのがよく、支持体は、図2に示すようにキュベットの頂部に当接するのがよい。固定支持体は、キュベットが移動経路に沿って動いているときにキュベットに当接する任意適当な構造体を有するのがよい。図2及び図3に示す好ましい構造体に加えて、他の構造体、例えば低摩擦静的機構、例えばテフロン(登録商標)被覆アーム又はロッドも又用いるのがよい。図示のローラが設けられ又は設けられない状態でロッド又はアームを用いる場合、ロッドを水平又は垂直に配置することができる。例えば、ころ軸受又はテフロン(登録商標)被覆拭い取り構造体を垂直方向に延びるロッド又はアームの近位端部のところで支持するのがよく、その遠位端部は、動かない状態で測定ステーションに取り付けられる。
【0029】
可動支持体又は可動支持手段は、固定支持体とは反対側のキュベットの移動経路の第2の側に配置されている。可動支持体は、固定支持体と類似した仕方で測定が行なわれるキュベットの領域(即ち、光学的に透明な窓)を邪魔しないようにキュベットの側部に押し付けられる。可動支持体は、キュベットが移動経路に沿って動いているときにキュベットに当接してこれを付勢する任意適当な構造体を有するのがよい。好ましくは、固定支持体と可動支持体の組み合わせは、キュベットが測定ステーションを通過しているときに側方力、即ちキュベットの移動経路に垂直な力を及ぼすに過ぎない。
【0030】
固定支持体と可動支持体の重要な差は、可動支持体が安定性を得るのに必要な側方力をもたらすようキュベットの側部を付勢し又はこれに圧接できるということにある。可動支持体は好ましくは、図2及び図3に示す実施形態において記載した構造体を有する。しかしながら、他の適当な構造体も使用できる。例えば、固定支持体と同様に、可動支持体は、水平又は垂直に配置された低摩擦部材、例えばテフロン(登録商標)被覆アーム又はロッドを有するのがよい。キュベットを付勢するため、可動部材の少なくとも一部は、移動経路に沿うキュベットの運動に対して横断方向に動くことができなければならない。この部材は、図示の実施形態の場合と同様、分析器又は測定ステーションのフレームに取り付けられた遠位端部を有するのがよく、この場合、この部材の近位端部は取り付けられない。変形例として、この部材は、可動的に取り付けられた遠位端部を有してもよく、この場合、キュベットに接触してこれを付勢する近位端部は、自由な状態にある。例えば、ころ軸受又はテフロン(登録商標)被覆拭取り構造体を垂直に延びるロッド又はアームの近位端部上に支持してもよく、この場合、遠位端部は、測定ステーションに可動的に取り付けられる。遠位端部を付勢装置又は手段(以下に説明する)によってキュベットに向かう方向に動かすと、ころ軸受又は拭い取り構造体は、移動経路に沿って動いているキュベットに押し付けられることになる。
【0031】
可動支持体は、付勢装置又は付勢手段によりキュベットの移動経路に垂直な方向に側方に付勢される。付勢装置は、フックの法則に従って可変力を加えるばね(図2及び図3と関連して以下に説明する板ばね又は図4〜図6と関連して以下に説明するコイルばね)又は一定の力、例えば重量又は油圧若しくは空気圧プレス作用を加える装置であるのがよい。
【0032】
可動支持体と固定支持体の両方は好ましくは、測定読取りが行なわれるキュベットの領域の真上又は真下に位置するキュベット上の場所でキュベットに当接することになる。
次に、図示の好ましい実施形態と関連した説明を行なう。本発明者は、側方(又は左右)運動制御が、キュベットの光学的に透明な窓のところでころ軸受により引き起こされる横荷重によって最も好ましく達成されることを発見した。というのは、かかる側方運動制御は、以下の要因に最も都合よく取り組むからである。
【0033】
(a)安定化装置は好ましくは、キュベットに働く接線方向力が取るに足らないほど小さいこと。
(b)片持ちキュベットを採用する実施形態では、安定化装置は、キュベットをキュベットピックアップアームから離脱させないようにすること。
(c)付勢力の中心点は好ましくは、測定窓と一線をなすこと。
(d)キュベットの設計は、安定化装置がキュベットに接触するが、光学的に透明な窓の外部に位置して窓に掻き傷を付けることはなく、又は窓の光学的特性を変化させないようにする領域を有することが必要であること。
【0034】
装置10の好ましい構造が、図2及び図3に示されている。可動支持体20及び固定支持体30は各々、それぞれキュベットに押し付けられるころ軸受21,31を有する。図2に示すように、アーム33は、ころ軸受31を支持している。また図2に示すように、可動支持体は、測定ステーション40の固定部分に回動自在に取り付けられたアーム22を有する。例えば、固定部分は、分析器のフレームの一部であるのがよい。アーム22は、移動経路(P)に垂直なピン23を中心として回動する。可動支持体は、一端部27が測定ステーションに繋留され、他端部28が可動アームの自由端部25に当接した付勢手段、例えば板ばね24によって、測定ステーション40を通過するキュベット50に押し付けられる。キュベットが存在していないときに付勢手段が可動支持体を過度にキュベットの移動経路中へ押すのを阻止するため、固定ストップ26が設けられ、これにより移動経路Pへの可動アームの側方又は内方運動を停止させる。固定支持体は、移動経路Pに垂直なピン32によって測定ステーションに取り付けられている。上述のピンは、任意適当な締結装置、例えばねじ又はボルトを含むことを意味している。
【0035】
図示の実施形態では、キュベット50は、測定プロセス中、キュベットを移動経路Pに沿って並進させる運搬装置の端部に係合するピックアップフック51を有する。図3に示すように、読取り窓52は、ローラ31の中心を真っ直ぐに通る読取り窓52の中心線53によって示されるように、ローラ21(図3には示さず)及びローラ31の真下に位置している。
【0036】
図4〜図6は、可動アームを移動経路Pに付勢するためにコイルばね24Aが用いられる本発明の別の実施形態を示している。その他の点においては、他の要素は、図2及び図3に示す要素に一致している。
【0037】
本発明は又、キュベットを安定化させる方法を提供する。この特徴は、上述したように安定化装置を用いることを必要とする。サンプル及び任意的に試薬を有するキュベットをコンベヤ、例えば上述のキュベットピックアップアームによって移動経路に沿って測定ステーション中を搬送する。測定ステーションを通ってキュベットを搬送すると、キュベットは、安定化装置と係合し、ここで可動支持体は、キュベットを固定支持体に押し付ける。キュベットは、可動支持体と固定支持体との間でサンドイッチされて光学的測定ステーションのところでのキュベットの側方又は左右運動(図2において“L”として示されている)を減少させ又はより好ましくはこれを無くす。好ましい実施形態では、安定化装置は、測定装置の測定読取り窓及びキュベットの光学的に透明な窓と一線をなし、その内容物が測定される。即ち、図示の好ましい実施形態では、ローラ21とローラ31の中心線は、定位置に位置する測定読取り窓及びキュベットの中心線と交わる。これは、光がキュベットに入っている箇所でキュベットの運動を最小限に抑え又は無くすのを助けるのに役立つ。
【0038】
本発明の装置は又、サンプルを分析する分析器、例えば当該技術分野において周知であり、例えば米国特許出願公開第2003/0022380号明細書(以下、第’380号出願公開明細書という)及び同第2003/0104634号明細書並びに同国際公開第WO2004/027375号パンフレットのような特許文献に記載されている臨床用又は化学分析器と関連して使用できる。なお、これら特許文献の記載内容全体を参照によりここに引用する。分析器は、キュベット供給源、例えば2003年10月14日に出願された米国特許出願第10/684,536号明細書並びに米国特許第6,328,164号明細書及び同第4,636,477号明細書に記載されたキュベット供給源を有する。また、1以上のキュベット、好ましくは例えば上述したマルチセル型キュベットが設けられる。また、第’380号出願公開明細書に記載されたサンプル供給源が、サンプル及び任意的に試薬をサンプル/試薬(供給源)からキュベット内へ計量供給する計量供給ステーションと共に設けられる。幾つかの実施形態では、サンプル及び試薬を計量供給する計量供給ステーションは、互いに異なるものであってよい。測定ステーションでの測定に先立ってキュベットを培養する培養器が任意的に設けられる。分析器のこれら全ての特徴は、当該技術分野においては周知であり、詳細に説明する必要はない。
【0039】
上述したような光源及び検出器を備える光学測定ステーションも又設けられる。好ましい実施形態では、光学測定ステーションは、分光測光器である。
【0040】
キュベットをキュベット供給源から計量供給ステーションを通り越して光学測定ステーションに運搬するキュベットコンベヤが設けられている。キュベットコンベヤは、キュベットを測定ステーションに出し入れできる任意適当な装置であってよい。或る場合には、コンベヤは、キュベットを測定ステーションの入口に搬入し、別の出口から搬出することができる。変形例として、コンベヤは、キュベットを同一の入口/出口に出し入れしてもよい。好ましい実施形態では、キュベットコンベヤは、例えばフック51によりキュベットの一端部に片持ち方式で係合し、キュベットを測定ステーションに押し込んだりこれから引き出すキュベットピックアップアームである。他の実施形態は、例えば、キュベットの底部に係合し、測定ステーションを通ってキュベットを搬送するチェーンコンベヤを有してもよい。
【0041】
キュベットコンベヤがキュベットピックアップアームである実施形態では、改良型傾斜プロフィールも又、駆動システムの振動が読取りプロセス中にキュベット運動に変換されるのを減少させることによりキュベットの安定性を向上させるのに寄与することになる。従来型システムは、1.8度のモータ歩進量で一定量のフルステップを行なうステッピングモータを用いている。これにより、比較的剛性の高いシステムが作られると共に必要な少量のモータ歩進量(2フルステップ)を得るのに無制御の加速度が得られる。この問題は、1/4という僅かなステップ角、即ち0.24度以上のステップ角を用いることにより解決できる。ステップ角が1/16では、モータは、0.1125度動き、もし歩進量又はステップを経時的に分散させると、システムの加速度が制御され、従って望ましくない機械的振動が減少する。これを達成するために行なった変更は次の通りであった。
【0042】
〔表1〕
好ましいモータ制御 従来型モータ制御
1/16ステップ 1/4ステップ
8加速ステップ 2加速ステップ
8減速ステップ 2減速ステップ
総ステップ
32 8
流れる電流
0.72アンペア 0.86アンペア
保持電流
0.43アンペア 0.28アンペア
スルーレート
1600 1/16ステップ/秒 800 1/4ステップ/秒
【0043】
上述したモータ制御方式の改良により、0〜3AUの全吸収度範囲全体にわたり測光器吸収度測定精度において2倍以上の改善が可能である。
【0044】
モータ制御方式の改良は、単一セル内で多数の場所で測定読取りを採用する実施形態では特に有用である。上述したように、本発明者は、セル内での最初の測定読取りが予期せぬこととして、同一セル内での残りの測定読取りよりも精度が高いことを発見した。これは、後で行なう測定読取り相互間でキュベットが歩進し、その結果痙攣的動作が生じることに起因していると考えられる。上述のモータ制御の改良は、後で行なう測定読取り中、振動エネルギを減少させ、安定化装置がそれと同量のエネルギを除去する必要がないようになっていることが判明した。
【0045】
本発明は、分光測光法によりサンプル中の分析物の存否又は濃度を測定する方法に利用できる。大雑把に言えば、この方法は、上述したようなキュベットを安定化させる装置を用いてキュベット内に入っているサンプルを測定ステーション内へ搬入する段階を有する。光源が、光から出る光ビームを、上述したように安定化されたキュベット上の少なくとも1つの場所で測定されるべきサンプル中へ差し向ける。次に、キュベット及びサンプルから放出された光の量を測定し、次に当該技術分野において周知の技術を用いてサンプル中の分析物の濃度を測定することができる。
【0046】
好ましい実施形態では、キュベット上の互いに異なる場所で各キュベットについて2以上の測定読取りを行なう。測定読取り値を互いに比較する。比較に基づいて、特にこれらサンプルの放出光の測定読取り値の差に基づいて、測定読取り値のうち1以上に誤差があったかどうかを判定し、そして例えば測定読取り値のうち1以上を外れ値として破棄し又は無視し、そして分析のために残りの測定読取り値を用いることにより、或いは変形例として全ての測定読取り値を無視し、同一キュベット内のサンプルを再測定し又は測定読取りのための新しいサンプルを準備して適切な措置を取ることができ、或いは、全ての測定読取り値が許容限度内にあると考えられるほど大きな誤差が無いかどうかを判定することができ、その場合、行なわれている分析の種類に応じて、全ての測定読取り値を用いることができ、或いはより好ましくは、測定読取り値のうち1つ、例えば最も高い測定読取り値又は最も低い測定読取り値を用いることができる。この方法は、上述した同時係属米国特許出願第10/784,505号明細書に記載されている。好ましい実施形態では、測定読取りのための積分時間は、40ms以下、より好ましくは20ms以下である。
【0047】
本発明の測定方法を当該技術分野において知られているように分析器のコンピュータコントローラとインタフェースを取るコンピュータにより読取り可能なプログラムコードを備えたコンピュータプログラムによって実施できる。
【0048】
本発明の配合物、組成物及び方法に対して種々の改造及び変形を行なうことができることは当業者には明らかであろう。かくして、本発明は、かかる改造例及び変形例が特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及び均等範囲に属する限り、かかる改造例及び変形例を含むものである。
【0049】
上述した刊行物全ての開示内容全体を、これらが個々に本明細書の一部をなすものとして参照により引用する。
【0050】
本発明の具体的な上記実施態様は、次の通りである。
(1)キュベット移動経路を有する分析器での測定読取り中、キュベットを安定化させる装置であって、移動経路の第1の側に設けられていて、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を妨害しない場所でキュベットの側部に当接する固定支持体と、移動経路の第2の側に設けられていて、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を妨害せず且つ固定支持体に当接する側部と反対側に位置した場所でキュベットの側部に押し付けられる可動支持体とを有することを特徴とする装置。
(2)キュベットは、マルチセル型キュベットであることを特徴とする上記実施態様(1)記載の装置。
(3)前記装置は、第1及び第2のローラを有し、第1のローラは、固定支持体に設けられていて、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を邪魔しない場所でキュベットに当接し、第2のローラは、測定読取りを邪魔しない場所で可動支持体に第1のローラと真向かいに設けられていることを特徴とする上記実施態様(1)記載の装置。
(4)可動支持体は、遠位端部及び近位端部を備えた細長い部材から成り、第2のローラは、近位端部と遠位端部との間に位置し、近位端部は、回動自在に繋留され、遠位端部は、自由であることを特徴とする上記実施態様(3)記載の装置。
(5)固定支持体及び可動支持体は、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓の上方の場所でキュベットに接触することを特徴とする上記実施態様(1)記載の装置。
【0051】
(6)第1のローラ及び第2のローラは、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓の上方の場所でキュベットに接触することを特徴とする上記実施態様(4)記載の装置。
(7)可動支持体の遠位端部の付近の位置に設けられていて、キュベットが固定支持体と可動支持体との間に位置決めされていないとき、可動アームが固定支持体に接触し又は固定支持体から選択された距離、内側へ入るのを阻止するストップを更に有することを特徴とする上記実施態様(4)記載の装置。
(8)第2のローラを固定支持体に向かう方向に付勢する位置に設けられた付勢装置を更に有することを特徴とする上記実施態様(4)記載の装置。
(9)付勢装置は、測定ステーションに取り付けられた一端部及び細長い部材に圧接する別の端部を備えた板ばねであることを特徴とする上記実施態様(8)記載の装置。
(10)付勢装置は、測定ステーションに取り付けられた一端部及び細長い部材に圧接する別の端部を備えたコイルばねであることを特徴とする上記実施態様(8)記載の装置。
【0052】
(11)固定支持体は、キュベットの移動経路に垂直なピンにより支持されていることを特徴とする上記実施態様(4)記載の装置。
(12)可動支持体は、キュベットの移動経路に垂直なピンにより回転自在に支持されていることを特徴とする上記実施態様(4)記載の装置。
(13)キュベットは、並置された多数のチャンバを有し、前記チャンバは、光学的性質を測定する少なくとも1つの光学的に透明な窓の対を有することを特徴とする上記実施態様(1)記載の装置。
(14)キュベット移動経路を備えた分析器での測定読取り中、キュベットを安定化させる装置であって、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を邪魔しない場所でキュベットの側部に当接する固定支持手段と、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を邪魔せず且つ固定支持手段に当接する側部と反対側の場所でキュベットの側部に押し付けられる可動支持手段と、付勢力を固定支持手段に向かう方向で可動支持手段に加える付勢手段とを有することを特徴とする装置。
(15)サンプルを分析する分析器であって、キュベット供給源と、1以上のキュベットと、サンプル供給源と、サンプル供給源からのサンプルを計量しながらキュベット内へ供給する計量供給ステーションと、光源及び検出器を備えていて、サンプルの光学的測定読取りを行なう光学測定ステーションとを有し、光源の経路及び検出器は、測定窓を形成し、前記分析器は、キュベットをキュベット供給源から計量供給ステーションに、そして光学測定ステーションに運搬するキュベットコンベヤと、光学測定ステーションに設けられた上記実施態様(1)記載のキュベットを安定化させる装置とを更に有し、光源は、移動経路の第1の側又は第2の側に設けられ、検出器は、移動経路の他方の側に設けられることを特徴とする分析器。
【0053】
(16)測定窓の中心線は、第1及び第2のローラの中心線を通っていることを特徴とする上記実施態様(15)記載の分析器。
(17)分析器は、化学分析器であることを特徴とする上記実施態様(15)記載の分析器。
(18)分析器は、診断用分析器であることを特徴とする上記実施態様(15)記載の分析器。
(19)分光測光法によるサンプル中の分析物の存在又は濃度についての測定読取り中、マルチセル型キュベットを安定化させる方法であって、光学測定ステーションに設けられた上記実施態様(1)記載のキュベットを安定化させる装置を用意する段階と、キュベットを安定化装置の固定支持体と可動支持体との間で光学測定ステーション内へ搬送する段階と、可動支持体をキュベットの側部に押し付け、それによりキュベットを固定支持体と可動支持体との間でサンドイッチして光学測定ステーション内でのキュベットの側方運動を減少させる段階とを有することを特徴とする方法。
(20)サンプル中の分析物の存在又は濃度を測定する方法であって、測定されるべき分析物を含むサンプルを備えたキュベットを用意する段階と、光源及び放出光を検出する検出器を備えていて、分光測光法によるサンプルの測定読取りを行なう光学測定ステーションを用意する段階と、光学測定ステーションに設けられた上記実施態様(1)記載のキュベットを安定化させる装置を用意する段階と、キュベットを光学測定ステーションに搬送する段階と、キュベットを安定化装置で安定化する段階と、少なくとも1回の測定読取りを行なう段階とを有し、該測定読取り段階は、(i)光源からの少なくとも1つの光ビームをキュベットに差し向ける段階、(ii)少なくとも1つのビームをキュベットに通し、そして測定されるべきサンプルに通す段階、及び(iii)少なくとも1つの放出光ビームを検出器で測定する段階を含むことを特徴とする方法。
【0054】
(21)少なくとも1回の測定読取りの積分時間は、40ms以下であることを特徴とする上記実施態様(20)記載の方法。
(22)少なくとも1回の測定読取りの積分時間は、20ms以下であることを特徴とする上記実施態様(20)記載の方法。
(23)測光分析法によるサンプル中の分析物の存在又は濃度を測定する方法であって、測定されるべき分析物を含むサンプルを備えたキュベットを用意する段階と、光源及び放出光を検出する検出器を備えていて、分光測光法によるサンプルの測定読取りを行なう光学測定ステーションを用意する段階と、光学測定ステーションに設けられた上記実施態様(1)記載のキュベットを安定化させる装置を用意する段階と、少なくとも2回の測定読取りを行なう段階とを有し、該測定読取り段階は、(i)光源からの少なくとも2つの光ビームをキュベットに差し向ける段階、(ii)少なくとも2つのビームをキュベットに通し、そして測定されるべきサンプルに通す段階、及び(iii)少なくとも2つのそれぞれの放出光ビームを検出器で測定する段階を含み、前記方法は、少なくとも2つの放出光ビームを比較して放出光ビームを全て無視すべきであるか、放出光ビームのうち1以上を無視すべきであるか又はサンプルの吸光度を平均化すべきであるかどうかを判定する段階を更に有することを特徴とする方法。
(24)分光測光法は、蛍光分光測光法であることを特徴とする上記実施態様(23)記載の測定方法。
(25)単一の光源及び単一の検出器が設けられ、キュベットを光源及び検出器に対して動かして少なくとも2つの光ビームを生じさせることを特徴とする上記実施態様(23)記載の測定方法。
【0055】
(26)単一の光源及び単一の検出器が設けられ、キュベットを光源及び検出器に対して動かして少なくとも2つの光ビームを生じさせることを特徴とする上記実施態様(20)記載の測定方法。
(27)光の波長は、300〜1,100nmであることを特徴とする上記実施態様(23)記載の測定方法。
(28)少なくとも2回の測定読取りの積分時間は、40ms以下であることを特徴とする上記実施態様(23)記載の方法。
(29)少なくとも2回の測定読取りの積分時間は、20ms以下であることを特徴とする上記実施態様(20)記載の方法。
(30)コンピュータとインタフェースを取るコンピュータプログラムによって実施される上記実施態様(23)記載の方法。
(31)上記実施態様(23)記載の方法を実施するよう構成されたコンピュータにより読取り可能なプログラムコードを持つコンピュータにより使用可能な媒体を有する製造物品。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明で使用可能な片持ちキュベットを示す概略部分切除図である。
【図2】本発明の安定化装置及び分析器の測定ステーション内におけるキュベットの概略平面図である。
【図3】本発明の安定化装置の種々の層及び分析器の測定ステーション内のキュベットを示す概略重ね合わせ側面図である。
【図4】分析器の測定ステーション内にキュベットが存在しない状態で本発明の別の実施形態の安定化装置を示す上から見た斜視図である。
【図5】分析器の測定ステーション内にキュベットが存在した状態で図4の実施形態の安定化装置を示す上から見た斜視図である。
【図6】分析器の測定ステーション内にキュベットが存在した状態で図4の実施形態の安定化装置を示す上から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
10 安定化装置
20 可動支持体
21,31 ころ軸受
24 板ばね
27 一端部
28 他端部
23,32 ピン
30 固定支持体
33 アーム
40 測定ステーション
52 読取り又は測定窓
P 移動経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キュベット移動経路を有する分析器での測定読取り中、キュベットを安定化させる装置であって、移動経路の第1の側に設けられていて、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を妨害しない場所でキュベットの側部に当接する固定支持体と、移動経路の第2の側に設けられていて、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を妨害せず且つ固定支持体に当接する側部と反対側に位置した場所でキュベットの側部に押し付けられる可動支持体とを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
キュベットは、マルチセル型キュベットであることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、第1及び第2のローラを有し、第1のローラは、固定支持体に設けられていて、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を邪魔しない場所でキュベットに当接し、第2のローラは、測定読取りを邪魔しない場所で可動支持体に第1のローラと真向かいに設けられていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
可動支持体は、遠位端部及び近位端部を備えた細長い部材から成り、第2のローラは、近位端部と遠位端部との間に位置し、近位端部は、回動自在に繋留され、遠位端部は、自由であることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
固定支持体及び可動支持体は、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓の上方の場所でキュベットに接触することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
第1のローラ及び第2のローラは、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓の上方の場所でキュベットに接触することを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項7】
可動支持体の遠位端部の付近の位置に設けられていて、キュベットが固定支持体と可動支持体との間に位置決めされていないとき、可動アームが固定支持体に接触し又は固定支持体から選択された距離、内側へ入るのを阻止するストップを更に有することを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項8】
第2のローラを固定支持体に向かう方向に付勢する位置に設けられた付勢装置を更に有することを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項9】
付勢装置は、測定ステーションに取り付けられた一端部及び細長い部材に圧接する別の端部を備えた板ばねであることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
付勢装置は、測定ステーションに取り付けられた一端部及び細長い部材に圧接する別の端部を備えたコイルばねであることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
固定支持体は、キュベットの移動経路に垂直なピンにより支持されていることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項12】
可動支持体は、キュベットの移動経路に垂直なピンにより回転自在に支持されていることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項13】
キュベットは、並置された多数のチャンバを有し、前記チャンバは、光学的性質を測定する少なくとも1つの光学的に透明な窓の対を有することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項14】
キュベット移動経路を備えた分析器での測定読取り中、キュベットを安定化させる装置であって、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を邪魔しない場所でキュベットの側部に当接する固定支持手段と、測定読取りが行なわれるキュベットの光学窓を邪魔せず且つ固定支持手段に当接する側部と反対側の場所でキュベットの側部に押し付けられる可動支持手段と、付勢力を固定支持手段に向かう方向で可動支持手段に加える付勢手段とを有することを特徴とする装置。
【請求項15】
サンプルを分析する分析器であって、キュベット供給源と、1以上のキュベットと、サンプル供給源と、サンプル供給源からのサンプルを計量しながらキュベット内へ供給する計量供給ステーションと、光源及び検出器を備えていて、サンプルの光学的測定読取りを行なう光学測定ステーションとを有し、光源の経路及び検出器は、測定窓を形成し、前記分析器は、キュベットをキュベット供給源から計量供給ステーションに、そして光学測定ステーションに運搬するキュベットコンベヤと、光学測定ステーションに設けられた請求項1記載のキュベットを安定化させる装置とを更に有し、光源は、移動経路の第1の側又は第2の側に設けられ、検出器は、移動経路の他方の側に設けられることを特徴とする分析器。
【請求項16】
測定窓の中心線は、第1及び第2のローラの中心線を通っていることを特徴とする請求項15記載の分析器。
【請求項17】
分析器は、化学分析器であることを特徴とする請求項15記載の分析器。
【請求項18】
分析器は、診断用分析器であることを特徴とする請求項15記載の分析器。
【請求項19】
分光測光法によるサンプル中の分析物の存在又は濃度についての測定読取り中、マルチセル型キュベットを安定化させる方法であって、光学測定ステーションに設けられた請求項1記載のキュベットを安定化させる装置を用意する段階と、キュベットを安定化装置の固定支持体と可動支持体との間で光学測定ステーション内へ搬送する段階と、可動支持体をキュベットの側部に押し付け、それによりキュベットを固定支持体と可動支持体との間でサンドイッチして光学測定ステーション内でのキュベットの側方運動を減少させる段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項20】
サンプル中の分析物の存在又は濃度を測定する方法であって、測定されるべき分析物を含むサンプルを備えたキュベットを用意する段階と、光源及び放出光を検出する検出器を備えていて、分光測光法によるサンプルの測定読取りを行なう光学測定ステーションを用意する段階と、光学測定ステーションに設けられた請求項1記載のキュベットを安定化させる装置を用意する段階と、キュベットを光学測定ステーションに搬送する段階と、キュベットを安定化装置で安定化する段階と、少なくとも1回の測定読取りを行なう段階とを有し、該測定読取り段階は、(i)光源からの少なくとも1つの光ビームをキュベットに差し向ける段階、(ii)少なくとも1つのビームをキュベットに通し、そして測定されるべきサンプルに通す段階、及び(iii)少なくとも1つの放出光ビームを検出器で測定する段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
少なくとも1回の測定読取りの積分時間は、40ms以下であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1回の測定読取りの積分時間は、20ms以下であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
測光分析法によるサンプル中の分析物の存在又は濃度を測定する方法であって、測定されるべき分析物を含むサンプルを備えたキュベットを用意する段階と、光源及び放出光を検出する検出器を備えていて、分光測光法によるサンプルの測定読取りを行なう光学測定ステーションを用意する段階と、光学測定ステーションに設けられた請求項1記載のキュベットを安定化させる装置を用意する段階と、少なくとも2回の測定読取りを行なう段階とを有し、該測定読取り段階は、(i)光源からの少なくとも2つの光ビームをキュベットに差し向ける段階、(ii)少なくとも2つのビームをキュベットに通し、そして測定されるべきサンプルに通す段階、及び(iii)少なくとも2つのそれぞれの放出光ビームを検出器で測定する段階を含み、前記方法は、少なくとも2つの放出光ビームを比較して放出光ビームを全て無視すべきであるか、放出光ビームのうち1以上を無視すべきであるか又はサンプルの吸光度を平均化すべきであるかどうかを判定する段階を更に有することを特徴とする方法。
【請求項24】
分光測光法は、蛍光分光測光法であることを特徴とする請求項23記載の測定方法。
【請求項25】
単一の光源及び単一の検出器が設けられ、キュベットを光源及び検出器に対して動かして少なくとも2つの光ビームを生じさせることを特徴とする請求項23記載の測定方法。
【請求項26】
単一の光源及び単一の検出器が設けられ、キュベットを光源及び検出器に対して動かして少なくとも2つの光ビームを生じさせることを特徴とする請求項20記載の測定方法。
【請求項27】
光の波長は、300〜1,100nmであることを特徴とする請求項23記載の測定方法。
【請求項28】
少なくとも2回の測定読取りの積分時間は、40ms以下であることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項29】
少なくとも2回の測定読取りの積分時間は、20ms以下であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項30】
コンピュータとインタフェースを取るコンピュータプログラムによって実施される請求項23記載の方法。
【請求項31】
請求項23記載の方法を実施するよう構成されたコンピュータにより読取り可能なプログラムコードを持つコンピュータにより使用可能な媒体を有する製造物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−3366(P2006−3366A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−176760(P2005−176760)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(501131014)オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Indigo Creek Drive, Rochester, NY 14626−5101, U.S.A.
【Fターム(参考)】