説明

測定信号の相対ノイズ

相対ノイズは、単一のスカラ値であり、単一のスカラ値は、任意の点における予期されたノイズの最大値を予測するために用いられ、測定信号および数学的ノイズモデルから計算される。数学的ノイズモデルは、測定点の母集団に基づく統計的モデリングおよび/または数字的モデリングを含む観察から選択または推定される。測定信号の複数のポイントに対する絶対ノイズが推定される。値のアレイは、絶対ノイズの複数の点の各々を数学的ノイズモデルから計算された対応する予期されるノイズ値で割ることによって計算される。相対ノイズは、整列の複数の点の標準偏差をとることによって計算される。相対ノイズは、領域をフィルタリングし、データのノイズを除去し、特徴から偽の正を検出し、S/Nを計算し、データを取得するための停止条件を決定するために用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(導入)
所与のデータ点が有意であるかどうかを決定することは、データ処理においてよく起る問題である。例えば、質量分析法データ点は、それが、隠された背景信号プラスノイズではなくて実際のピークに起因すると考えられ得る場合に有意である。一般的に、予期されるノイズに比較して大きいデータ点は有意である。しかしながら、そのような比較は、ノイズが大きくなるかまたはデータ点が小さくなると、より困難となる。そのような比較はまた、関心のあるデータ点に隣接してデータ点がほとんどないかまたは全くない領域においても困難である。これらの領域において、予期されるノイズを正確にモデル化するにはデータ点が少なすぎる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
(図面)
当業者は、以下に説明される図面が例示的目的のためだけであることを理解する。図面は、出願人の教示の範囲を限定することは決して意図されない。
【0003】
本発明の1つ以上の実施形態が詳細に説明される前に、当業者は、本発明がその用途において以下の詳細な説明に述べられるかまたは図面に例示される構造の詳細、構成要素の配置、およびステップの配置に限定されないことを理解する。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施されまたは実行されることが可能である。また、本明細書において用いられる語法、術語が、説明の目的のためであり、限定することとして見なされるべきではないことは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、本教示の実施形態が実装され得るコンピュータシステムを例示するブロック図である。
【図2】図2は、本教示に従って測定信号の相対ノイズを計算する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
(様々な実施形態の説明)
本明細書において用いられる項の見出しは、編成の目的のためにのみ使用され、説明される主題を限定することとして決して解釈されるべきではない。相対ノイズに関係するシステムおよび方法の実施形態は、この詳細な説明において説明される。
【0006】
(コンピュータ実装システム)
図1は、コンピュータシステム100を例示するブロック図であり、コンピュータシステム100において本教示の実施形態が実装され得る。コンピュータシステム100は、バス102または情報を通信する他の通信機構と、情報を処理するためのバス102に連結されるプロセッサ104とを含む。コンピュータシステム100はまた、ベースコールを決定するためにバス102に連結されるランダムアクセスメモリ(RAM)または他のダイナミックストレージデバイスであり得るメモリ106と、プロセッサ104によって実行される命令とを含む。メモリ106はまた、プロセッサ104によって実行される命令の実行中に一時的変数または他の中間情報を格納するために用いられ得る。コンピュータシステム100は、プロセッサ104のために静的情報および命令を格納するためのバス102に連結される読出し専用メモリ(ROM)108または他のスタティックストレージデバイスをさらに含む。磁気ディスクまたは光ディスクなどのストレージデバイス110は、情報および命令を格納するために備えられ、バス102に連結される。
【0007】
コンピュータシステム100は、コンピュータユーザに情報を表示する、陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ112にバス102を介して連結され得る。英数字キーおよび他のキーを含む入力デバイス114は、情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信するためにバス102に連結される。ユーザ入力デバイスの他のタイプは、方向情報および命令選択をプロセッサ104に通信し、ディスプレイ112上においてカーソルの動きを制御する、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御器116である。この入力デバイスは、典型的には、デバイスが平面において位置を指定することを可能にする2つの軸、すなわち第1の軸(例えば、x)および第2の軸(例えば、y)における2つの自由度を有する。
【0008】
コンピュータシステム100は、本教示を実行し得る。本教示の特定の実装に一致して、結果は、メモリ106に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ104に応答してコンピュータシステム100によって提供される。そのような命令は、ストレージデバイス110などの別のコンピュータ読み取り可能媒体からメモリ106に読み込まれ得る。メモリ106に含まれる命令のシーケンスを実行することは、プロセッサ104に本明細書に説明されるプロセスを実行させる。あるいは、本教示を実装するために、ソフトウェアの命令の代わりにまたはソフトウェアの命令と組み合せて、有線回路が用いられ得る。従って、本教示の実装は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0009】
本明細書において用いられる用語「コンピュータ読み取り可能媒体」は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供する際に関与する任意の媒体をいう。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス110などの光ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ106などのダイナミックメモリを含む。伝送媒体は、バス102を構成するワイヤを含む、同軸ケーブルと、銅線と、光ファイバとを含む。伝送媒体はまた、電波データ通信および赤外線データ通信中に生成される波などの音波または光波の形態もとり得る。
【0010】
コンピュータ読み取り可能媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープまたは任意の他の磁気媒体、CD−ROM、任意の他の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、およびEPROM、FLASH−EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、以下に説明される搬送波、またはコンピュータが読み取ることが可能な任意の他の媒体を含む。
【0011】
コンピュータ読み取り可能媒体の様々な形態は、実行のために1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサ104に伝えることを伴い得る。例えば、命令は、最初に、遠くのコンピュータの磁気ディスクに維持され得る。遠くのコンピュータは、そのダイナミックメモリに命令をロードし得、モデムを用いて電話線を介して命令を送り得る。コンピュータシステム100に特定のモデムは、電話線上のデータを受信し得、赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換し得る。バス102に連結される赤外線検出器は、赤外線信号で伝えられるデータを受信し得、データをバス102に配置し得る。バス102は、メモリ106にデータを伝え、プロセッサ104は、メモリ106から命令を検索し、実行する。メモリ106によって受信された命令は、オプションで、プロセッサ104による実行の前または後のいずれかにおいて、ストレージデバイス110に格納され得る。
【0012】
様々な実施形態に従って、プロセッサによって実行されるように構成され、方法を実行する命令は、コンピュータ読み取り可能媒体に格納される。コンピュータ読み取り可能媒体は、デジタル情報を格納するデバイスであり得る。例えば、コンピュータ読み取り可能媒体は、ソフトウェアを格納する、当該分野において公知のコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)を含み得るが、これに限定されない。コンピュータ読み取り可能媒体は、実行されるように構成される命令を実行することに適したプロセッサによってアクセスされる。
【0013】
本教示の様々な実装の以下の説明は、例示および説明の目的のために提示された。これは、網羅的ではなく、開示される正確な形態に本教示を限定することではない。修正および変形は、上記の教示を考慮して可能であるか、または本教示の実施から取得され得る。さらに、説明される実装は、ソフトウェアを含むが、本教示は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせとしてか、またはハードウェアのみで実装され得る。本教示は、オブジェクト指向および非オブジェクト指向のプログラミングシステムの両方によって実装され得る。
【0014】
(データ処理の方法)
データ点の重要度を決定する1つの方法は、信号対雑音比(S/N)を測定することを含む。S/Nを測定することは、測定信号が測定ノイズまたは推定ノイズと比較して大きいとき、うまくいく。S/Nを測定することは、ノイズがより大きくなるかまたは測定信号がより小さくなると、より困難になる。またデータ点の重要度を決定するためにS/Nを測定することは、ノイズがデータの全体にわたり変化するか、または何らかの方法でデータに依存する場合、より困難になる。
【0015】
様々な実施形態において、例えば、質量分析計からの測定信号は、基本的な信号と、絶対ノイズとを含み得る。基本的な信号は同様に、背景信号と、関心のある信号とを含み得る。基本的な信号は、例えば、試料によって生成される信号であり得る。背景信号は、例えば、試料の特性である情報を有しない、基本的な信号の信号成分であり得る。従ってそのような背景信号は、生物学的または化学的観点から興味がない。様々な実施形態において、背景信号は、ほとんどイオン源依存および独立変数(質量対電荷比(m/z)または時間)依存であり得る。関心のある信号は、例えば、試料についての重要な情報を伝える、基本的な信号の1つ以上の信号成分であり得る。従って、測定信号の絶対ノイズは、背景信号からの背景ノイズと、関心のある信号からのノイズとを含み得る。
【0016】
様々な実施形態において、質量分析計のノイズは、データに依存し得る。例えば、質量分析計がパルス係数システムとして作られる場合、ノイズはポアッソン統計学によって決定され得る。その結果、データの分散は、データの期待値と同じであり、それで標準偏差および従ってノイズの一部は、データの期待値の平方根から計算される。換言すると、質量分析計のノイズは、信号強度の平方根に依存する数学的ノイズモデルから推定され得る。この数学的ノイズモデルを用いて、測定信号の関心のある1つの既知の点(信号強度)から、予期されるノイズを計算することが可能である。
【0017】
様々な実施形態において、単一のスカラ値は、データの任意の点における予期されるノイズ範囲を予測するために用いられ得る。この予測されるノイズは次いで、信号の重要度を決定するために、測定信号または基本的な信号と比較され得る。用いられ得る単一のスカラ値は、例えば相対ノイズと呼ばれる。
【0018】
図2は、本教示に従って測定信号の相対ノイズを計算する方法200を示すフローチャートである。
【0019】
方法200のステップ210において、数学的ノイズモデルが選択される。数学的ノイズモデルは、例えば、測定信号のデータ収集処理についての知識に基づいて選択され得る。様々な実施形態において、数学的ノイズモデルは、測定信号から行われる観察に基づいて選択され得る。観察は、例えば、測定点の母集団に基づいて統計的モデル化および/または数値モデル化を含み得る。
【0020】
ステップ220において、測定信号の複数の点に対する絶対ノイズが推定される。絶対ノイズは、例えば、基本的な信号の推定値を測定信号から引くことによって推定され得る。基本的な信号の推定値は、例えば、測定信号を平滑にすることによって得られ得る。様々な実施形態において、基本的な信号の推定値は、ノイズフィルタを測定信号に適用することによって得られ得る。
【0021】
様々な実施形態において、絶対ノイズは、測定信号にフィルタを適用することによって推定され得る。基本的な信号は次いで、推定される絶対ノイズを測定信号から引くことによって推定され得る。
【0022】
ステップ230において、値のアレイは、絶対ノイズの複数の点の各々を数学的ノイズモデルから計算された対応する予期されるノイズ値で割ることによって計算される。
【0023】
ステップ240において、相対ノイズは、アレイの複数の点の標準偏差をとることによって計算される。
【0024】
様々な実施形態において、コンピュータシステムは、測定信号の相対ノイズを計算するために用いられる。コンピュータシステムは、図1に示され、上記に説明されるコンピュータシステム100であり得るが、これに限定されない。コンピュータシステムは、プロセッサを含む。プロセッサは、数学的ノイズモデルを選択する。プロセッサは、測定信号の複数の点に対する絶対ノイズを推定する。プロセッサは、数学的ノイズモデルから計算された対応する予期されるノイズで絶対ノイズの複数の点の各々を割ることによって、アレイの値のアレイを計算する。最後にプロセッサは、アレイの複数の点の標準偏差をとることによって相対ノイズを計算する。
【0025】
様々な実施形態において、相対ノイズは、基準化ノイズ(scaled noise)を計算するために用いられ得る。予期されるノイズは、数学的ノイズモデルおよび信号を用いて予測される。信号は、例えば一次元信号または二次元信号であり得る。信号は、背景信号、基本的な信号、関心のある信号、または測定信号であり得るが、これらに限定されない。例えば、背景信号、基本的な信号、および関心のある信号が推定され得る。基準化ノイズは、予期されるノイズに相対ノイズを掛けることによって計算される。信号および基準化ノイズは、多数の用途において用いられ得る。
【実施例】
【0026】
(実施例)
出願人の教示の局面は、以下の実施例を考慮してさらに理解され得、以下の実施例は、決して本教示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0027】
様々な実施形態において、相対ノイズは、信号の領域が関心のある信号を含むかどうかを決定するために用いられ得る。信号の領域は、例えば信号の1つ以上の隣接するサンプリング点を含む。信号は、例えば測定信号または基本的な信号であり得る。上記に説明されるように、相対ノイズは、基準化背景信号ノイズを計算するために用いられ得る。領域における基準化背景信号ノイズと領域における推定される背景信号との合計は、領域における信号と比較される。領域における信号がこの合計より大きい場合、領域は関心のある信号を含むと決定される。
【0028】
様々な実施形態において、相対ノイズは、信号の2つの特徴が重なり、一緒に分析されるべきかどうかを決定するために用いられ得る。信号の2つの特徴は、例えば、第1の特徴および第2の特徴である。第1の特徴および第2の特徴は、例えば隣接した特徴である。第1の特徴と第2の特徴との間における信号の点が選択される。点における背景信号値と点における基準化背景信号ノイズ値との合計が、点における信号値と比較される。点における信号値が点における合計より大きい場合、第1の特徴と第2の特徴とは重なり、一緒に分析される。
【0029】
様々な実施形態において、特徴は、信号における隣接したデータ点の群を含み得る。信号は、一次元データと、二次元データとを含み得る。例えば、信号は、液体クロマトグラフィ質量分析法(LCMS)データ、画像データ、質量スペクトル、またはクロマトグラムを含むが、これらに限定されない。
【0030】
様々な実施形態において、相対ノイズは、信号の第2の特徴が、信号の実の別個の特徴であり、信号の第1の特徴の部分ではないかどうかを決定するために用いられ得る。第1の特徴信号は、第1の特徴と、信号と、特徴のための数学的モデルとを用いて推定される。予期される第1の特徴ノイズは、数学的ノイズモデルと、第1の特徴信号と、背景信号とを用いて予測される。基準化第1の特徴ノイズは、予期される第1の特徴ノイズに相対ノイズを掛けることによって計算される。第2の特徴における背景信号値と、第2の特徴における第1の特徴信号値と、第2の特徴における基準化第1の特徴ノイズ値との合計は、第2の特徴における信号値と比較される。信号値が合計より大きい場合、第2の特徴は実の別個の特徴であると決定される。信号値が合計より大きくない場合、第2の特徴は、例えば偽の正である。
【0031】
様々な実施形態において、相対ノイズは、信号の点のノイズを除去するために用いられ得る。データのノイズを除去することは、ノイズでありそうなデータ点を減少させることを伴い、一方、ノイズである可能性がより少ないデータ点を不変のままにする。ノイズである可能性の最もあるデータ点は、最も減少させられる。信号の点における基準化背景信号ノイズ値は、点における信号値と点における背景信号値との差と比較される。差が基準化背景信号ノイズ値より小さい場合、0値が点に割り当てられる。差が0より大きいが閾値未満である値だけ基準化背景信号ノイズ値を超える場合、差と乗数との積が点に割り当てられる。乗数は、例えば0と1との間のスカラ値である。差が閾値以上の値だけ基準化背景信号ノイズ値を超える場合、差が点に割り当てられる。
【0032】
様々な実施形態において、相対ノイズは、S/Nの計算のためのノイズ成分を計算するために用いられ得る。信号の点におけるS/Nは、点における信号の信号値と点における背景信号値との差を点における相対ノイズとノイズ値との積で割ることによって計算される。ノイズ値は、背景信号ノイズまたは基本的な信号のノイズ値であり得るが、これらに限定されない。
【0033】
様々な実施形態において、測定信号の点におけるS/Nは、測定信号を取得するための停止条件を決定するために用いられ得る。S/Nが閾値S/N以上である場合、測定信号の取得は停止される。
【0034】
様々な実施形態において、測定信号の相対ノイズは、測定信号を取得するための停止条件を決定するために用いられ得る。相対ノイズが閾値以下である場合、測定信号の取得は停止される。測定信号のデータ取得の長さが増加するにつれ、相対ノイズはそれだけ小さくなり得る。質量分光法において、より長いデータ取得は、より多くのスペクトルが平均されることを意味し得る。背景信号の上に関心のある信号がない場合、測定信号または基本的な信号は、どんなに長いデータが取得されても増加しない。しかしながら、相対ノイズは減少し続け得る。なぜなら背景信号は、それにつれて平滑になり得るからである。
【0035】
出願人の教示は様々な実施形態に関連して説明されるが、出願人の教示がそのような実施形態に限定されることは意図されない。それどころか、当業者によって理解されるように、出願人の教示は、様々な代案、改変、および均等物を包含する。
【0036】
さらに、様々な実施形態を説明する際に、明細書は、ステップの特定のシーケンスとして方法および/または工程を提示した。しかしながら、方法または工程が本明細書において述べられたステップの特定の順序に頼らない限り、方法または工程は、説明されるステップの特定のシーケンスに限定されるべきではない。当業者は理解するように、ステップの他のシーケンスが可能であり得る。従って、本明細書において述べられる、ステップの特定の順序は、特許請求の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。さらに、方法および/または工程に関する特許請求の範囲は、書かれた順序での特許請求の範囲のステップの実行に限定されるべきではなく、当業者は、シーケンスが、変更され得るが、なおも様々な実施形態の精神および範囲内にあるままであることを容易に理解し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定信号の相対ノイズを計算する方法であって、
数学的ノイズモデルを選択することと、
該測定信号の複数の点に対する絶対ノイズを推定することと、
複数の点の該絶対ノイズの各々を該数学的ノイズモデルから計算された対応する予期されるノイズ値で割ることによって複数の値のアレイを計算することと、
該アレイの複数の点の標準偏差をとることによって、該相対ノイズを計算することと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記数学的ノイズモデルは、前記測定信号のデータ収集処理に関する知識に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記数学的ノイズモデルは、前記測定信号から行われる観察に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記測定信号から基本的な信号を推定することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記絶対ノイズは、前記測定信号から前記基本的な信号を引くことによって推定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基本的な信号は、前記測定信号を平滑化することによって得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記基本的な信号は、前記測定信号にノイズフィルタを適用することによって得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記絶対ノイズは、前記測定信号にフィルタを適用することによって推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基本的な信号は、前記測定信号から前記絶対ノイズを引くことによって推定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記数学的ノイズモデルを用いて、予期されるノイズを予測することと、
該予期されるノイズに前記相対ノイズを掛けることによって基準化ノイズを計算することと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記信号は、基本的な信号を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記信号は、関心のある信号を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記信号は、前記測定信号を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
背景信号を推定することと、
前記数学的ノイズモデルおよび該背景信号を用いて、予期される背景信号ノイズを予測することと、
該予期される背景信号ノイズに前記相対ノイズを掛けることによって基準化背景信号ノイズを計算することと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
信号の領域が関心のある信号を含むかどうかを決定することをさらに含み、該決定することは、
該領域における前記背景信号の背景信号値と、該領域における前記基準化背景信号ノイズの基準化背景信号ノイズ値との合計を、該領域における該信号の信号値と比較することと、
該信号値が該合計より大きい場合、該領域が該関心のある信号を含むことを決定することと
によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記信号は、前記測定信号を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記信号は、基本的な信号を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
信号の第1の特徴および該信号の隣接する第2の特徴が一緒に分析されるかどうかを決定することをさらに含み、該決定することは、
該第1の特徴と該第2の特徴との間にある信号の点を選択することと、
該点における前記背景信号の背景信号値と、該点における前記基準化背景信号ノイズの基準化背景信号ノイズ値との合計を、該点における該信号の信号値と比較することと、
該信号値が該合計より大きい場合、該第1の特徴および該第2の特徴を一緒に分析することと
によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の特徴は、前記信号における隣接するデータ点の第1の群と、該信号における隣接するデータ点の第2の群とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記信号は、液体クロマトグラフィ質量分析法データを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記信号は、イメージデータを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記信号は、質量スペクトルを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記信号は、クロマトグラムを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記信号は、前記測定信号を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記信号は、基本的な信号を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
信号の第2の特徴が、該信号の隣接する第1の特徴とは別個の特徴であり、該信号の隣接する第1の特徴の一部ではないかどうかを決定することをさらに含み、該決定することは、
該第1の特徴と、該信号と、特徴に対する数学的モデルとを用いて、第1の特徴信号を推定することと、
該数学的ノイズモデルと、該第1の特徴信号と、該背景信号とを用いて、予期される第1の特徴ノイズを予測することと、
該予期される第1の特徴ノイズに前記相対ノイズを掛けることによって、基準化された第1の特徴ノイズを計算することと、
該第2の特徴における該背景信号の背景信号値と、該第2の特徴における該第1の特徴信号の第1の特徴信号値と、該第2の特徴における該基準化された第1の特徴ノイズの基準化された第1の特徴ノイズ値との合計を、該第2の特徴における該信号の信号値と比較することと、
該信号値が該合計より大きい場合、該第2の特徴は該別個の特徴を含むことを決定することと
によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記信号は、前記測定信号を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記信号は、基本的な信号を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
信号の点のノイズを除去することをさらに含み、該除去することは、
該点における前記基準化背景信号ノイズの基準化背景信号ノイズ値を、該点における該信号の信号値と該点における該背景信号の背景信号値との差と比較することによって、信号の点のノイズを除去することと、
該差が該基準化背景信号ノイズ値より小さい場合、該点に0値を割り当てることと、
該差が0より大きいが閾値未満である値だけ該基準化背景信号ノイズ値を超える場合、該点に該差と乗数との積を割り当てることと、
該差が該閾値以上の値だけ該基準化背景信号ノイズ値を超える場合、該点に該差を割り当てることと
によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記信号は、前記測定信号を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記信号は、基本的な信号を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
信号の点における信号対雑音比を計算することをさらに含み、該計算することは、
該点における該信号の信号値と該点における該背景信号の背景信号値との差を該点における前記相対ノイズとノイズ値との積で割ることによって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項33】
前記ノイズ値は、基本的な信号のノイズ値を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ノイズ値は、背景信号ノイズ値を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記信号対雑音比が閾値の信号対雑音比以上である場合、前記測定信号の取得を停止することをさらに包含する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記相対ノイズが閾値の信号対雑音比以下である場合、前記測定信号の取得を停止することをさらに包含する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
コンピュータ読み取り可能媒体であって、そのコンテンツがプロセッサに測定信号の相対ノイズを計算する方法を実行させ、該コンテンツは、
数学的ノイズモデルを選択することと、
該測定信号の複数の点に対する絶対ノイズを推定することと、
複数の点の該絶対ノイズの各々を該数学的ノイズモデルから計算された対応する予期されるノイズ値で割ることによって複数の値のアレイを計算することと、
該アレイの複数の点の標準偏差をとることによって、該相対ノイズを計算することと
を含む、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項38】
測定信号の相対ノイズを計算する計算システムであって、プロセッサを備え、該プロセッサは、
数学的ノイズモデルを選択することと、
該測定信号の複数の点に対する絶対ノイズを推定することと、
該絶対ノイズの複数の点の各々を該数学的ノイズモデルから計算された対応する予期されるノイズ値で割ることによって複数の値のアレイを計算することと、
該アレイの複数の点の標準偏差をとることによって、該相対ノイズを計算することと
を行う、計算システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−523453(P2011−523453A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504977(P2011−504977)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/060403
【国際公開番号】WO2009/128822
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
【出願人】(509245740)エムディーエス アナリティカル テクノロジーズ (6)
【出願人】(510025522)アプライド バイオシステムズ (カナダ) リミテッド (5)
【Fターム(参考)】