説明

測定対象物測定器具、測定装置および測定方法

本発明によれば、試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定用器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子を有し、該圧電振動子上にはトラッパーA(c1)または測定対象物類似物(c1’)が固定されており、該支持体上には、標識化バインダー(b1)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されている標識化バインダー保持部位(BR)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具および該器具を用いる試料中の測定対象物の定量方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、生体試料、食品、土壌等の分析対象試料に含有される測定対象物を測定するための器具、装置および方法に関する。
【背景技術】
試料中の測定対象物を測定するための方法の1つに、イムノクロマトグラフィーによる測定法がある。イムノクロマトグラフィーは、その測定原理から、フロースルー型およびラテラルフロー型に分類されるが、近年では、ラテラルフロー型のイムノクロマトグラフィーが主流となっている。ラテラルフロー型のイムノクロマトグラフィーにおいては、例えば同一平面上に存在する、互いに毛管流により連絡可能な第1部分および第2部分からなるイムノクロマトグラフィー用装置を用いる試料中の測定対象物の測定法が報告されている(例えば、特開平1−63865号公報、特開平10−73592号公報を参照)。
ここで、該第1部分は、移動可能なように支持されたトレーサーを含有する試料添加部位であり、該トレーサーは、例えば、着色リポソーム、着色重合体ビーズなどの標識で標識された測定対象物に特異的なリガンドからなり、該第2部分は、固定化された結合剤を含有し、該不溶性小胞マーカーの存否を可視的に検出する部位であり、該結合剤は、測定対象物に特異的であり、第2部分において結合したトレーサーが可視化される量で存在する。
また、準可溶性タンパク質の存在下でコロイド粒子標識物質を含浸させ乾燥させたものを含有する第1部分と、測定対象物およびコロイド粒子標識物質と結合し得る固定化試薬を含有する第2部分とを含有するイムノクロマトグラフィー用装置を用いる試料中の測定対象物の測定法も報告されている(例えば、特開平1−32169号公報)。
しかしながら、これらの方法はいずれも、試料中の測定対象物を可視的に検出する測定方法であるため、定性分析または半定量分析に専ら用いられ、定量分析には適用され得なかった。従って、従来のイムノクロマトグラフィーによる測定は、その適用範囲が妊娠判定等のごく限られた範囲に限られていた(例えば、特表平1−503174号公報を参照)。
一方、水晶振動子等の圧電振動子を用いる定量分析および定性分析が知られている。本方法は、抗原−抗体間の相互作用や相補的核酸間の相互作用を利用して水晶振動子上に複合体を生成させ、複合体生成に伴う質量変化を水晶振動子の振動数の変化として捉える方法である。これまでも、例えば水晶振動子上に固定化したプロテインAを用いて試料中のIgGを検出する方法や(例えば、「アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)」,アメリカ化学会,1987年,第59巻,第23号,2760−2763頁を参照)、水晶振動子上に固定化したプローブDNAを用いて試料中の標的核酸を検出する方法等が報告されている(例えば、特開平1−35269号公報を参照)。
近年、検査方法の迅速化、多様化の流れから、被検者の近傍での試料の採取から測定結果の出力までを行うポイント オブ ケア テスティング(POCT)が盛んになってきており、POCTに対応可能な定量分析可能な測定装置および測定方法の開発が望まれている。
【発明の開示】
本発明の目的は、生体試料等の試料に含まれる測定対象物を迅速かつ簡便に精度よく定量分析するための器具、装置および方法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(35)に関する。
(1) 試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定用器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子を有し、該圧電振動子上にはトラッパーA(c1)または測定対象物類似物(c1’)が固定されており、該支持体上には、バインダー(b1)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されているバインダー保持部位(BR)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
(2) 該バインダー保持部位が、該試料添加部位と該検出部位との間に設けられている前記(1)記載の器具。
(3) 該バインダー保持部位が、該検出部位を挟んで該試料添加部位と反対側に設けられている前記(1)記載の器具。
(4) 試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子からなり、該圧電振動子上には測定対象物に結合するトラッパーA(c1)、あるいは、標識化測定対象物類似物もしくは測定対象物とバインダーとの複合物、及び、測定対象物もしくは測定対象物類似物と標識化バインダーに結合するトラッパーB(c3)が固定されており、該支持体上には、バインダー(b1)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されているバインダー保持部位(BR)を有し、さらに該支持体上には測定対象物類似物(b5)が展開液の毛管流により移動しないように該バインダー保持部位と検出部位の間に固定されているかもしくは該支持体上に測定対象物類似物(b5)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されている測定対象物類似物固定部位(DF)または測定対象物類似物保持部位(DR)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
(5) バインダーが標識されたものである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の器具。
(6) 試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子を有し、該圧電振動子上にはバインダー(c2)が固定されており、該支持体上には、測定対象物類似物(b2)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されている測定対象物類似物保持部位(DR)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
(7) 該測定対象物類似物保持部位が、該試料添加部位と該検出部との間に設けられている前記(6)記載の器具。
(8) 該測定対象物類似物保持部位が、該検出部を挟んで該試料添加部位と反対側に設けられている前記(6)記載の器具。
(9) 試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子からなり、該圧電振動子上にトラッパーB(c3)が固定されており、該支持体上には、測定対象物類似物(b2)およびバインダー(b3)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されている測定対象物類似物保持部位(DR)およびバインダー保持部位(BR)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
(10) 試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子を有し、該圧電振動子上には測定対象物に結合するバインダー(c2)が固定化されており、該支持体上には、測定対象物類似物(b2)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されている測定対象物類似物保持部位(DR)を有し、さらに該支持体上には、バインダー(b4)が展開液の毛管流により移動しないように該測定対象物類似物保持部位と検出部位との間の支持体中に固定されているバインダー固定部位(BF)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
(11) 測定対象物類似物が標識されたものである前記(6)〜(10)のいずれかに記載の器具。
(12) 該標識が不溶性小胞体である前記(5)または(11)に記載の器具。
(13) 該不溶性小胞体が金属コロイド又はラテックスである前記(12)記載の器具。
(14) 試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子からなり、該圧電振動子上にはトラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)が固定されていることを特徴とする測定対象物測定用器具。
(15) さらに、展開液吸収部位(d)を含有する前記(1)〜(14)のいずれかに記載の器具。
(16) 該検出部位には、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)が固定されている2つの電極に挟まれた圧電振動子の他にもう一つの2つの電極に挟まれた圧電振動子を有し、該圧電振動子は、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)およびトラッパーB(c3)の何れも固定されていないものである前記(1)〜(15)のいずれかに記載の器具。
(17) 該圧電振動子が水晶振動子である前記(1)〜(16)のいずれかに記載の器具。
(18) 前記(1)〜(17)のいずれかに記載の器具と、該器具の圧電振動子の電極に連絡し、該圧電振動子の振動子数を測定する振動数測定回路と、該振動数測定回路に連絡し、振動数から測定対象物濃度を演算する濃度演算回路とを有する測定対象物測定装置。
(19) 圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーA(c1)または測定対象物類似物(c1’)が固定されており、試料中の測定対象物およびバインダーが展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該バインダーとを該トラッパーAまたは該測定対象物類似物に供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
(20) 該試料と該バインダーが該トラッパーAまたは該測定対象物類似物に対し同じ方向の毛管流により供給される前記(19)記載の定量方法。
(21) 該試料と該バインダーがトラッパーAまたは測定対象物類似物に対し逆の方向の毛管流により供給される前記(19)記載の定量方法。
(22) 圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーA(c1)またはトラッパーB(c3)が固定されており、測定対象物類似物(b5)が展開液の毛管流により移動しないように固定されているが、試料中の測定対象物およびバインダー(b1)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該バインダーとを該トラッパーAまたはトラッパーBに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
(23) 圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーA(c1)またはトラッパーB(c3)が固定されており、試料中の測定対象物、バインダー(b1)および測定対象物類似物
(b5)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該バインダーと該測定対象物類似物とを該トラッパーAまたはトラッパーBに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
(24) バインダーが標識されたものである前記(17)〜(23)のいずれかに記載の方法。
(25) 圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはバインダー(c2)が固定されており、試料中の測定対象物および測定対象物類似物(b2)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該測定対象物類似物とを該バインダーに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
(26) 該試料と該測定対象物類似物が該バインダーに対し同じ方向の毛管流により供給される前記(25)記載の定量方法。
(27) 該試料と該測定対象物類似物が該バインダーに対し逆の方向の毛管流により供給される前記(25)記載の定量方法。
(28) 圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーB(c3)が固定されており、試料中の測定対象物、測定対象物類似物(b2)およびバインダー(b3)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該測定対象物類似物と該バインダーとを該トラッパーBに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
(29) 圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはバインダー(c2)が固定されており、バインダー(b4)が展開液の毛管流により移動しないように固定されているが、試料中の測定対象物および測定対象物類似物(b2)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と測定対象物類似物とを該バインダーに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
(30) 測定対象物類似物が標識された物である前記(25)〜(29)のいずれかに記載の方法。
(31) 該標識が、不溶性小胞体である前記(24)または(30)に記載の定量方法。
(32) 該不溶性小胞体が、金属コロイド又はラテックスである前記(31)記載の定量方法。
(33) 圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーA(c1)が固定されており、試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料を該トラッパーAに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
(34) さらに、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)およびトラッパーB(c3)の何れも固定されていない第二の圧電振動子を用い、試料を、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)が固定化された第一の圧電振動子並びに第二の圧電振動子に供給し、第二の振動数を対照として用いる前記(17)〜(29)のいずれかに記載の方法。
(35) 圧電振動子が水晶振動子である前記(19)〜(34)のいずれかに記載の方法。
本発明の試料中の測定対象物測定用器具及び試料中の測定対象物測定方法は、イムノクロマトグラフィー用器具およびイムノクロマトグラフィー用器具を用いた方法で、検出器具および検出方法としてそれぞれ圧電振動子およびそれを用いる検出方法を利用することを特徴としている。本発明は、支持体上に設けられた試料添加部位に添加した試料を展開液の毛管流により支持体を移動させ、最終的に、検出部位にある圧電振動子上に複合体を形成させ、複合体形成量を振動数の変化として検出することを特徴とする。
本発明において使用できる試料には特に制限はないが、例えば全血、血漿、血清、臍帯血、髄液、唾液、羊水、尿、汗、膵液、涙等の生体試料や、食品、土壌等があげられる。また、これらの生体試料に水性媒体や有機溶媒、先述の水性媒体と先述の有機溶媒との混合溶媒等を添加して希釈したものも試料として使用することができる。
水性媒体としては、生体試料を溶解するものであれば特に制限はないが、例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液等があげられるが、緩衝液が好ましい。緩衝液に用いる緩衝剤は緩衝能を有するものならば特に限定されないが、pH1〜11の例えば乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、グッド緩衝剤等があげられる。ッド緩衝剤としては、例えば2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸[(H)EPPS]、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、N−シクロヘキシル−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)等があげられる。緩衝液の濃度は測定に適した濃度であれば特に制限はされないが、0.001〜2.0mol/Lが好ましく、0.005〜1.0mol/Lがより好ましく、0.01〜0.1mol/Lが特に好ましい。
有機溶媒としては、アセトニトリル、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
また、食品や土壌については、これらを前処理したものも試料として使用することができる。ここで、食品や土壌の前処理とは、例えば食品や土壌中の成分を先述の水性媒体や先述の有機溶媒、先述の水性媒体と先述の有機溶媒との混合溶媒等の適当な溶媒による抽出、化学的修飾等があげられる。
化学的修飾としては例えば、食品や土壌中の成分の化学試薬による構造変換等があげられる。
本発明で測定対象物としては、特定の物質と特異的に複合体を形成する物であれば特に制限はなく、例えば酵素反応を用いて測定される成分、抗原抗体反応を用いて測定される成分、その他の特異的反応により測定される成分等があげられる。
酵素反応を用いて測定される生体成分としては例えば、グルコース、1,5−アンヒドログルシトール、グリコアルブミン、ヘモグロビンA1c、フコース、尿素、尿酸、アンモニア、クレアチニン、総コレステロール、遊離コレステロール、高密度リポタンパク中のコレステロール(HDL−C)、低密度リポタンパク中のコレステロール(LDL−C)、超低密度リポタンパク中のコレステロール(VLDL−C)、レムナント様リポタンパク中のコレステロール(RLP−C)、トリグリセライド、リン脂質、総蛋白、アルブミン、グロブリン、ビリルビン、胆汁酸、シアル酸、乳酸、ピルビン酸、遊離脂肪酸、セルロプラスミン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、ホスホキナーゼ(PK)、アミラーゼ、リパーゼ、コリンエステラーゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、L−乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ、酸フォスファターゼ、N−アセチルグルコサミニダーゼ、グアナーゼ、モノアミンオキシダーゼ等があげられる。
抗原抗体反応により測定される成分としては例えば、IgG、IgM、IgA、IgE、アポ蛋白AI、アポ蛋白AII、アポ蛋白B、アポ蛋白E、リウマチファクター、D−ダイマー、酸化LDL、糖化LDL、グリコアルブミン、トリヨードサイロニン(T3)、総サイロキシン(T4)、薬剤(抗テンカン剤等)、C−反応性蛋白(CRP)、サイトカイン類、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9(carbohydrate antigen 19−9)、CA15−3(carbohydrate antigen 15−3)、CA−125(carbohydrate antigen 125)、PIVKA−II(Protein induced by vitamin K absence−II)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、インスリン、C−ペプタイド、エストロゲン、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体、ペプシノーゲン、HBV抗原、抗B型肝炎ウイルス(HBV)抗体、C型肝炎ウイルス(HCV)抗原、抗HCV抗体、成人T細胞性白血病ウイルス1型(HTLV−I)抗原、抗HTLV−I抗体、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体、インフルエンザウイルス抗原、抗インフルエンザウイルス抗体、抗結核菌抗体、結核菌抗原(TBGL)マイコプラズマ抗体、ヘモグロビンA1c、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、トロポニンT、トロポニンI、クレアチニンキナーゼーMB(CK−MB)、ミオグロビン、H−FABP(ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白)、カビ毒類[デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)、T−2トキシン(T2)等]、内分泌撹乱物質類[ビスフェノールA、ノニルフェノール、フタル酸ジブチル、ポリ塩素化ビフェニル(PCB)類、ダイオキシン類、p,p’−ジクロロジフェニルトリクロロエタン、トリブチルスズ等]、大腸菌等の菌類、卵、乳、小麦、そば、落花生等の食物アレルギー物質やコナヒョウダニやトヤヒョウダニ等のダニ類等のアレルギー物質、抗アレルギー物質抗体等があげられる。
その他の特異的結合により測定される成分としては、核酸、レクチン等があげられ、例えばras等のガン遺伝子、p53等のガン抑制遺伝子等をコードするDNAまたはRNA、ペプチド核酸、アプタマー、糖蛋白質等があげられる。
本発明の測定対象物測定器具は、試料添加部位(S)、支持体(e)および検出部位(Q)が基材上に設けられており、必要に応じて展開液添加部位(B)、展開液吸収部位(d)等を設けることができる。
本発明における支持体(e)は、試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを展開液の毛管流により連結するものであって、必要に応じてさらに、バインダー、標識化バインダー、測定対象物類似物または標識化測定対象物類似物等を含有するまたは含有しない展開液を添加する展開液添加部位(B)とも連結するものであり、試料中の測定対象物が、試料添加部位と検出部位、必要に応じて展開液添加部位との間を展開液の毛管流により移動可能とし、さらに、必要に応じて標識化バインダー、標識化測定対象物類似物、バインダー及び測定対象物類似物を展開液とともに移動可能なように保持又は固定できるようなものであれば特に制限はない。
試料添加部位(S)および支持体(e)の材質としては、同一または異なってよく、例えばガラス繊維、セルロース、ナイロン、架橋デキストラン、各種のクロマトグラフィー用紙、ニトロセルロース等があげられ、ニトロセルロースが好ましい。
展開液としては、例えば前述の水性媒体や有機溶媒等があげられる。
本発明において、展開液とともに移動可能なように支持体上に保持もしくは固定または水晶発振子上に固定されるバインダーは、測定対象物に特異的に結合するものであれば特に制限はないが、例えば、抗原と該抗原に特異的に結合する抗体やアプタマーからなる組み合わせのいずれか一方の要素、糖類と該糖類に対するレクチンからなる組み合わせのいずれか一方の要素、DNAと該DNAに相補的なDNAからなる組み合わせのいずれか一方の要素等が挙げられる。
本発明において、支持体もしくは圧電振動子上に固定または標識を結合させて展開液と共に移動可能な支持体に保持される測定対象物類似物としては、バインダーに対して試料中の測定対象物と競合的に反応するものであれば特に制限はなく例えば、測定対象物それ自体、バインダーに対するエピトープを含有する物質等があげられる。
本発明において、バインダー又は測定対象物類似物に結合させる標識としては、圧電振動子上に生成した複合体を振動数の変化量として検出できるものであれば特に制限はないが、質量の大きい標識が好ましい。質量の大きい標識としては例えば、不溶性小胞体等があげられる。不溶性小胞体としては例えば、金属コロイド、ラテックス等があげられる。金属コロイドとしては例えば、金コロイド等があげられる。金コロイドの粒子径としては、1〜500nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。ラテックスの粒子径としては、1〜2,000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
本発明において、展開液とともに移動可能なように支持体上に保持される標識化バインダーは、測定対象物に特異的に結合し、かつ、圧電振動子上に生成した標識化バインダーを含有する複合体の量に依存した情報を発信するものであれば特に制限はない。本発明において、展開液とともに移動可能なように支持体上に保持される標識化測定対象物類似物は、バインダーに特異的に結合し、かつ、圧電振動子上に生成した標識化測定対象物類似物を含有する複合体の量に依存した情報を発信するものであれば特に制限はない。
バインダーまたは測定対象物類似物と標識とは物理的に結合してもよいが、化学的に結合してもよい。物理的結合としては、例えば物理吸着等があげられる。化学的な結合としては、例えば共有結合、非共有結合等があげられる。非共有結合としては、例えば静電的結合、水素結合、疎水結合、配位結合等があげられる。標識とバインダーまたは測定対象物類似物とを共有結合により結合させて標識化バインダーを調製する方法としては、例えば2価性の架橋剤等の架橋剤を用いて、架橋剤を介して標識とバインダーとを結合させる方法があげられる。
本発明において、試料中の測定対象物の検出部位に使用される圧電振動子は、圧電効果を有する結晶からなるものであれば特に制限はなく、結晶としては、例えば水晶、ロッシェル塩、電子石などの結晶、タンタル酸リチウム(LiTaO2)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)などの酸化物単結晶や、酸化亜鉛(ZnO)等があげられ、水晶が好ましい。
圧電振動子は適当な振動数測定回路に連結させ、圧電振動子の振動数を表示等により検出出来るようにするのが好ましく、さらに、検出された振動数の変化から測定対象物濃度を演算する濃度演算回路に連結されているのが好ましい。圧電振動子としては、電極に挟まれた圧電振動子であれば特に制限はないが、水晶振動子としては、例えばセイコー・東京電波やイニシアム社製の水晶振動子からなるセンサーチップが用いられる。
本発明の器具には、バインダー、トラッパーA、トラッパーB又は測定対象物類似物を固定した第一の圧電振動子を有するが、第一の圧電振動子に加えて、バインダー、トラッパーA、トラッパーBおよび測定対象物類似物の何れも固定していない、第二の圧電振動子を有するものが好ましい。
複合体としては、圧電振動子上のバインダー、トラッパーA、トラッパーB又は測定対象物類似物と特異的に結合して形成されるものであればいかなるものでもよいが、例えばサンドイッチ法によって生成する複合体や競合法によって生成する複合体等があげられる。複合体の具体的形態としては、例えばトラッパーA−測定対象物−標識化バインダーの構成を有する複合体、測定対象物類似物−標識化バインダー、バインダー−標識化測定対象物類似物、トラッパーB−バインダー−標識化測定対象物類似物、トラッパーB−標識化バインダー−測定対象物、トラッパーA−測定対象物等があげられる。
本発明において、圧電振動子上に固定化されるトラッパーAは、測定対象物に結合し、それ自体、測定対象物及び標識化バインダーが関与するサンドイッチ反応により、サンドイッチ型複合体(トラッパーA−測定対象物−標識化バインダー)を生成し得るものであれば特に制限はない。標識化バインダーにおける測定対象物認識部位と、トラッパーAにおける測定対象物認識部位とは同じであってもよいが、異なっていることが好ましい。トラッパーAとしては例えば、測定対象物である抗原に結合する抗体、測定対象物である一本鎖DNAと相補的な標識されたDNAとが結合して得られる二本鎖DNAに特異的に結合する物質や一本鎖DNA等があげられる。
本発明において、圧電振動子上に固定化されるトラッパーBは、標識化測定対象物類似物もしくは測定対象物とバインダーとの複合体、及び、測定対象物もしくは測定対象物類似物と標識化バインダーとの複合体に結合するが、測定対象物を中間に挟んだサンドイッチ型複合体を生成しないものであれば特に制限はない。トラッパーBとしては例えば、測定対象物である抗原に結合する抗体のFc領域を認識する抗体等があげられる。
圧電振動子上へのバインダー、トラッパーA、トラッパーB又は測定対象物類似物の固定化は、トラッパーA、トラッパーB又は測定対象物類似物が、支持体を展開液の毛管流により移動してきた液体が圧電振動子を通過する際に移動せずに固定化されていれば、特に制限はないが、物理的または化学的に結合することができ、物理的結合としては、例えば物理吸着等が、化学的結合としては、例えば共有結合、水素結合、疎水結合、配位結合等があげられる。具体的には、圧電振動子上の金電極にスルフヒドリル化したトラッパーA、スルフヒドリル化したトラッパーB又はスルフヒドリル化した測定対象物類似物を結合させることによって固定化する方法があげられる。
本発明において、バインダーもしくは標識化バインダーまたは測定対象物類似物もしくは標識化測定対象物類似物を保持する部位を支持体上に展開液添加部位として設けることができる。展開液添加部位に用いる材料としては、試料中の測定対象物が、試料添加部位と支持体との間を展開液の毛管流により移動可能とし、さらに、必要に応じて標識化バインダー、標識化測定対象物類似物、バインダー及び測定対象物類似物を展開液とともに移動可能なように保持又は固定できるようなものであれば特に制限はない。
展開液添加部位の材質としては、試料添加部位および支持体の材質と同一または異なってよく、例えばガラス繊維、セルロース、ナイロン、架橋デキストラン、各種のクロマトグラフィー用紙、ニトロセルロース等があげられ、ニトロセルロースが好ましい。
本発明において、圧電振動子上に固定化されたバインダー、トラッパーA、トラッパーB又は測定対象物類似物に捕捉されなかった成分を含有する展開液を吸収・保持する目的で、支持体上に展開液吸収部位(d)を設けることができる。展開液吸収部位には吸水性高分子化合物を使用することができる。吸水性高分子化合物としては例えば、セルロース、グラスファイバー、コットン、ポリウレタン等があげられる。
振動数測定回路は、本発明の測定対象測定器具の2つの電極に連結させて用いることができ、圧電振動子の振動数を検出できるものであれば特に制限がなく、公知のものが使用しうる。振動数測定回路には振動数を表示する表示部を有するものが好ましいが、表示部を有さないものでもよい。濃度演算回路としては、該振動数測定回路に連結させて用いることができ、既知濃度の標準品を用いて得られる振動数のデータを元に未知濃度の試料で得られる振動数から濃度を計算出来るものであれば特に制限がなく公知のものが使用しうる。該濃度演算回路には濃度を表示する表示部を有するものが好ましいが、表示部を有さないものでもよい。
振動数測定回路および濃度演算回路は、本発明の測定対象物測定用器具内に一体となって組み込まれているものが好ましいが、振動数測定回路または濃度演算回路を連結した振動数測定回路とが別々の部分品として構成されていてもよい。
振動数測定回路および濃度演算回路としては、イニシアム社製のアフィニクスQに使用される恒温測定部およびデータ処理装置等があげられる。該演算回路には、結果を示す表示板が組み込まれているのが好ましい。
検量線作製のための既知濃度の標準品を用いた測定は、同一の測定対象物測定用装置を用いて、時系列に行っても良いが、測定対象物測定用装置を複数組み合わせて構成した装置を用いて、試料中の測定対象物の測定と標準試料の測定とを同時に行うのが好ましい。さらに、同一の支持体に圧電振動子を2つ併置した器具であって、一方の圧電振動子には、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)が固定されている第一の圧電振動子を用い、一方の圧電振動子にはトラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)およびトラッパーB(c3)の何れも固定されていない第二の圧電振動子を用い、第一の圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物濃度を求めるに際し、第二の圧電子の振動数の変化を差し引いて補正する方法が特に好ましい。
試料中の測定対象物および標準品を測定する際の反応温度としては、特異的反応を行うことが出来る条件であれば特に制限はないが、通常0〜100℃、好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜40℃で行われる。
本発明の測定対象物測定用装置には、試料が確実に添加されたことを判別するためのコントロールラインが含有されてもよい。コントロールラインは、通常イムノクロマトグラフィーに使用されているものが使用され、支持体上にも、圧電振動子上にも形成されるが、支持体上に形成されることが好ましい。コントロールラインとしては、次のような態様があげられる。試料が生体試料である場合には、アルブミン等のタンパクに結合する2次抗体に、酵素、蛍光物質、発光物質等の機能性物質が結合した機能性物質結合2次抗体が移動可能なように保持されている支持体上の部位、及び、生体試料中に含有されるアルブミン等のタンパクに結合する1次抗体が固定化された支持体上の部位を含有するコントロールラインがあげられる。試料として、生体試料が確実に添加されると、試料中のアルブミン等のタンパクがコントロールラインに到達し、このコントロールライン上でサンドイッチ反応により複合体(1次抗体、アルブミン等のタンパク及び標識化2次抗体を含有する複合体)を形成する。この複合体中の機能性物質を例えば比色法、蛍光法、発光法により検出することにより、試料添加の有無を確認することができる。
また、標識化バインダーが試料と同じ方向に支持体上を移動し、圧電振動子上でサンドイッチ型複合体が形成される場合には、例えば圧電振動子上に捕捉されなかった標識化バインダーを検出するようなコントロールラインがあげられる。このようなコントロールラインとしては、例えば標識化バインダーと結合するトラッパーを支持体上の任意の位置に固定したコントロールラインがあげられる。試料が確実に添加されると、圧電振動子に捕捉されなかった標識化バインダーがこのコントロールラインで捕捉される。このコントロールラインで標識化バインダーが捕捉されると、標識化バインダー中の標識(例えば、金コロイド粒子、着色ラテックス等)によりコントロールラインが着色するため、試料が添加されたか否かを目視で判定することができる。コントロールラインは、例えば検出部位に対し試料添加部位と反対側の支持体上に設けることが好ましい。
測定対象物、標識化測定対象物類似物およびバインダーの比率は、特に制限はないが、好ましくは0〜1,000,000:1:1〜1,000,000、より好ましくは0〜1,000:1:1〜1,000になるように設定することができる。
以下に、本発明の試料中の測定対象物濃度測定用装置及び測定方法を具体的に説明する。
図1は、本発明の測定対象物測定用器具の具体的態様の一例を示す概略図であり、図1(a)は平面図を、また図1(b)は、側面図である。
この器具は、基材上に試料添加部位(S)、支持体(e)および2つの電極に挟まれた水晶振動子を有する検出部位(Q)が設けられており、該試料添加部位、支持体および検出部位は上部カバーにより覆われており、展開液の毛管流により移動可能であるように連結されている。水晶振動子には、トラッパーA、測定対象物類似物、バインダーまたはトラッパーBが固定されている。試料添加部位は、支持体と同一の素材を用いることもできるが、異なっていてもよい。試料添加部位では、上部カバーには、試料が添加出来るように穴が設けてある。基材の材質は特に制限は無いが、樹脂を用いるのが好ましい。水晶振動子の2つの電極は、外部と接続可能となっている。
図2は、本発明の測定対象物測定用器具の具体的態様の一例を示す概略図であり、図2(a)は平面図を、また図2(b)は、側面図である。
この器具は、基材上に試料添加部位(S)、展開液添加部位(B)、支持体(e)および2つの電極に挟まれた水晶振動子を有する検出部位(Q)が設けられており、該試料添加部位、展開液添加部位、支持体および検出部位は上部カバーにより覆われており、展開液の毛管流により移動可能であるように連結されている。なお試料添加部位および展開液添加部位は、支持体と同一の素材を用いることもできるが、異なっていてもよい。試料添加部位では、上部カバーには、試料が添加出来るように穴が設けてある。また、展開液添加部位は、穴が設けて有っても設けていなくても良い。また、展開液添加部位には、バインダーが展開液の毛管流により移動しないように支持体に固定されているバインダー固定部位、バインダーが展開液の毛管流により移動可能であるように保持されるバインダー保持部位、測定対象物類似物が展開液の毛管流により移動しないように支持体に固定されている測定対象物類似物固定部位または測定対象物類似物が展開液の毛管流により移動可能であるように保持される測定対象物類似物保持部位を設けることが出来る。基材の材質は特に制限は無いが、樹脂を用いるのが好ましい。
図3は、本発明の測定対象物測定用器具の具体的態様の一例を示す概略図であり、図3(a)は平面図を、また図3(b)は、側面図である。
この器具は、基材上に試料添加部位(S)、展開液添加部位(B)、支持体(e)、2つの電極に挟まれた水晶振動子を有する検出部位(Q)および展開液吸収部位(d)が設けられており、該試料添加部位、展開液添加部位、支持体、検出部位および展開液吸収部位は上部カバーにより覆われており、展開液の毛管流により移動可能であるように連結されている。なお試料添加部位および展開液添加部位は、支持体と同一の素材を用いることもできるが、異なっていてもよい。試料添加部位では、上部カバーには、試料が添加出来るように穴が設けてある。また、展開液添加部位は、穴が設けて有っても設けていなくても良い。また、展開液添加部位には、バインダーが展開液の毛管流により移動しないように支持体に固定されているバインダー固定部位、バインダーが展開液の毛管流により移動可能であるように保持されるバインダー保持部位、測定対象物類似物が展開液の毛管流により移動しないように支持体に固定されている測定対象物類似物固定部位または測定対象物類似物が展開液の毛管流により移動可能であるように保持される測定対象物類似物保持部位を設けることが出来る。基材の材質は特に制限は無いが、樹脂を用いるのが好ましい。展開液吸収部位には吸水性高分子化合物を使用することができる。吸水性高分子化合物としては例えば、セルロース、グラスファイバー、コットン、ポリウレタン等があげられる。
図4は、本発明の測定対象物測定用器具の具体的態様の一例を示す概略図であり、図4(a)は平面図を、また図4(b)は、側面図である。
この器具は、基材上に試料添加部位(S)、展開液添加部位(B)、支持体(e)、2つの電極に挟まれた水晶振動子を有する検出部位(Q)、展開液吸収部位(d)およびコントロールラインが設けられており、該試料添加部位、展開液添加部位、支持体、検出部位、展開液吸収部位およびコントロールラインは上部カバーにより覆われており、展開液の毛管流により移動可能であるように連結されている。なお試料添加部位および展開液添加部位は、支持体と同一の素材を用いることもできるが、異なっていてもよい。試料添加部位では、上部カバーには、試料が添加出来るように穴が設けてある。また、展開液添加部位は、穴が設けて有っても設けていなくても良い。また、展開液添加部位には、バインダーが展開液の毛管流により移動しないように支持体に固定されているバインダー固定部位、バインダーが展開液の毛管流により移動可能であるように保持されるバインダー保持部位、測定対象物類似物が展開液の毛管流により移動しないように支持体に固定されている測定対象物類似物固定部位または測定対象物類似物が展開液の毛管流により移動可能であるように保持される測定対象物類似物保持部位を設けることが出来る。基材の材質は特に制限は無いが、樹脂を用いるのが好ましい。展開液吸収部位には吸水性高分子化合物を使用することができる。吸水性高分子化合物としては例えば、セルロース、グラスファイバー、コットン、ポリウレタン等があげられる。
図5は、本発明の測定対象物測定用器具の具体的態様の一例を示す概略図であり、図5(a)は平面図を、また図5(b)は、側面図である。
この器具は、基材上に試料添加部位(S)、展開液添加部位(B)、支持体(e)、2つの電極に挟まれた水晶振動子を有する検出部位(Q)および展開液吸収部位(d)が設けられており、該試料添加部位、展開液添加部位、支持体、検出部位および展開液吸収部位は上部カバーにより覆われており、展開液の毛管流により移動可能であるように連結されている。なお試料添加部位および展開液添加部位は、支持体と同一の素材を用いることもできるが、異なっていてもよい。試料添加部位では、上部カバーには、試料が添加出来るように穴が設けてある。また、展開液添加部位は、穴が設けて有っても設けていなくても良い。また、展開液添加部位には、バインダーが展開液の毛管流により移動しないように支持体に固定されているバインダー固定部位、バインダーが展開液の毛管流により移動可能であるように保持されるバインダー保持部位、測定対象物類似物が展開液の毛管流により移動しないように支持体に固定されている測定対象物類似物固定部位または測定対象物類似物が展開液の毛管流により移動可能であるように保持される測定対象物類似物保持部位を設けることが出来る。基材の材質は特に制限は無いが、樹脂を用いるのが好ましい。展開液吸収部位は、展開液吸収部位には吸水性高分子化合物を使用することができる。吸水性高分子化合物としては例えば、セルロース、グラスファイバー、コットン、ポリウレタン等があげられる。検出部位に挿入される水晶振動子は着脱可能なように、水晶振動子挿入スペースが設けられている。
図6は、本発明の測定対象物測定用装置の具体的態様の一例を示す概略図であり、図6(a)は平面図を、また図6(b)は、側面図である。
この装置は、基材上に試料添加部位(S)、展開液添加部位(B)、支持体(e)、2つの電極に挟まれた水晶振動子を有する検出部位(Q)および展開液吸収部位(d)が設けられており、該試料添加部位、展開液添加部位、支持体、検出部位および展開液吸収部位は上部カバーにより覆われており、展開液の毛管流により移動可能であるように連結されている器具が、振動数測定回路および濃度演算回路を有する振動数測定装置に該器具の水晶振動子の電極を通じて連結されている。
図7は、本発明の測定対象物測定用装置の具体的態様の一例を示す概略図であり、図7(a)は外観平面図、図7(b)は、外観側面図、図7(c)は上部カバーを取り除いた平面図、図7(d)は上部カバーを取り除いた側面図である。
この装置は、基材上に試料添加部位(S)、展開液添加部位(B)、支持体(e)、2つの電極に挟まれた水晶振動子を有する検出部位(Q)および展開液吸収部位(d)が設けられており、該試料添加部位、展開液添加部位、支持体、検出部位および展開液吸収部位は上部カバーにより覆われており、展開液の毛管流により移動可能であるように連結されている器具の基材中に、振動数測定回路および濃度測定回路を有する振動数測定装置が設けてあり、該器具が該装置と水晶振動子の電極を通じて連結されている。
図8は、試料添加部位(S)と展開液添加部位(B)の連結部を模式的に例示したものである。それぞれの部材は、展開液が毛管流により移動可能な異なる材質または同一の材質からなり、例えば、第1の態様、第2の態様、第3の態様、第4の態様で図示した様に配置することが出来る。
図9は、支持体(e)と検出部位(Q)と展開液吸収部位(d)の連結部を模式的に例示したものである。検出部位は、圧電振動子が挿入されており、上部カバー、支持体または吸収性素材と圧電振動子の微少な間隙により展開液が支持体から展開液吸収部位に毛管流により移動可能となっている。吸収性素材は、展開液吸収部位を構成する素材と同一であってもよい。
図10は、本発明の測定対象物測定用器具の具体的態様の一例を示す平面の概略図である。
この器具は、基材上に試料添加部位(S)、展開液添加部位(B)、支持体(e)、2つの電極に挟まれた水晶振動子を有する検出部位(Q)および展開液吸収部位(d)が設けられており、該試料添加部位、展開液添加部位、支持体、検出部位および展開液吸収部位は上部カバーにより覆われており、展開液の毛管流により移動可能であるように連結されている。この器具では、検出部位に二個の水晶振動子が水晶振動子挿入スペースに挿入されている。
この例では、2つの水晶振動子が展開液の移動方向に対して平行に設置されているが、2つの水晶振動子を展開液の移動方向に対して垂直に設置することもできる。
一つの水晶振動子上には、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)が固定されているが、もう一つの水晶振動子上には、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)およびトラッパーB(c3)の何れも固定されていない。この装置を用いることにより、非特異的反応を補正することが出来る。
図11は、測定対象物測定器具を1からn個の複数を円盤状に配置した器具の例を示す。試料および既知濃度の標準物質を同時に、試料添加部位に添加することで、検量線を作成すると同時に、試料中の測定物質濃度を求めることが出来る。
図12は、測定対象物測定器具を1からn個の複数長方形に配置した器具の例を示す。試料および既知濃度の標準物質を同時に、試料添加部位に添加することで、検量線を作成すると同時に、試料中の測定物質濃度を求めることが出来る。
本発明の試料中の測定対象物測定用器具としては、例えば以下の態様の方法があげられる。
測定対象物測定用器具の第1の例(図13及び図14参照)としては、例えば、測定対象物を含有する試料が展開液の毛管流により移動可能な支持体上に設けられた試料添加部位(S)、測定対象物に結合するバインダーに標識が結合しており、かつ、展開液の毛管流により移動可能なように支持体上に保持される標識化バインダー(b1)、および測定対象物に結合するトラッパーA(c1)が固定化された圧電振動子、もしくは測定対象物類似物(c1’)が固定化された圧電振動子を有し、試料および該標識化バインダーが、同じ方向の毛管流により支持体上を圧電振動子上に固定されたトラッパーAまたは測定対象物類似物へ向かって移動するように設計された試料中の測定対象物測定用器具があげられる。
標識化バインダーは、あらかじめ支持体上のバインダー保持部位(BR)に保持されているのが好ましいが、標識化バインダーが支持体上に保持されることなくキットとして供給される形態であってもよい。また、該器具には、試料添加部位と検出部位の間に展開液添加部位を設けることもできる。該標識化バインダーは、必要に応じ展開液に溶解し、試料と共に、もしくは別々に試料添加部位から、または試料添加部位と検出部の間に設けられる展開液添加部位から、必要に応じ展開液に溶解し、試料添加と同時にもしくは異なる時期に添加して使用することができる。
ここで、圧電振動子上に測定対象物に結合するトラッパーA(c1)が固定化されている場合(図13参照)には、該器具は、いわゆるサンドイッチ測定法の原理に基づく測定方法に使用され、圧電振動子上に標識化バインダーに結合する測定対象物類似物(c1’)が固定化されている場合(図14参照)には、該装置は、いわゆる競合測定法の原理に基づく測定方法に使用される。なお、標識化バインダーの代わりに標識されていないバインダーも使用することができる。
測定対象物測定用器具の第2の例(図15及び図16参照)としては、例えば測定対象物を含有する試料が展開液の毛管流により移動可能な支持体上に設けられた試料添加部位(S)、測定対象物に結合するバインダーに標識が結合しており、かつ、毛管流により移動可能なように支持体上に保持される標識化バインダー(b1)、および測定対象物に結合するトラッパーA(c1)が固定化された圧電振動子、もしくは測定対象物類似物(c1’)が固定化された圧電振動子を有し、試料および標識化バインダーが、逆の方向の毛管流により支持体上を圧電振動子上に固定されたトラッパーAまたは測定対象物類似物へ向かって移動するように設計された試料中の測定対象物測定用器具があげられる。
標識化バインダーは、あらかじめ検出部位に対して試料添加部位とは反対側の支持体上のバインダー保持部位(BR)に保持されているのが好ましいが、標識化バインダーが支持体上に保持されることなくキットとして供給される形態であってもよい。また、該器具には、検出部位に対して試料添加部位とは反対側に設けられる展開液添加部位を設けることもできる。標識化バインダーが予め支持体上に保持されている場合は、展開液添加部位を設けても設けなくてもよいが、展開液添加部位を設けたものが好ましい。この場合、該展開液添加部位からは、前述の展開液を添加し、該標識化バインダーを検出部位に向かって移動させることができる。標識化バインダーが予め支持体上に保持されていない場合は、展開液添加部位を設け、標識化バインダーは、試料の添加と同時にまたは異なる時期に該展開液添加部位から添加して使用することができる。
ここで、圧電振動子上に測定対象物に結合するトラッパーA(c1)が固定化されている場合(図15参照)には、該器具は、いわゆるサンドイッチ測定法の原理に基づく測定方法に使用され、圧電振動子上に標識化バインダーに結合する測定対象物類似物(c1’)が固定化されている場合(図16参照)には、該器具は、いわゆる競合測定法の原理に基づく測定方法に使用される。なお、標識化バインダーの代わりに標識されていないバインダーも使用することができる。
測定対象物測定用器具の第3の例(図17又は図18参照)としては、例えば測定対象物を含有する試料が毛管流により移動可能な支持体上に設けられた試料添加部位(S)、測定対象物に結合するバインダーに標識が結合しており、かつ、毛管流により移動可能なように支持体上に保持される標識化バインダー(b1)、標識化バインダーに結合し、かつ、支持体上に固定化されているかもしくは移動可能なように支持体に保持されている測定対象物類似物(b5)、および標識化バインダーに結合した測定対象物に結合するトラッパーA(c1)が固定化された圧電振動子を有し、試料、標識化バインダーが、同じ方向の毛管流により支持体上を圧電振動子上に固定されたトラッパーAへ向かって移動可能なように設計されており、かつ測定対象物類似物が試料添加部位と検出部位との間の支持体上に保持または固定されている試料中の測定対象物測定用器具があげられる。
測定対象物類似物が試料添加部位と検出部位の間の支持体上に固定されており、標識化バインダーがあらかじめ支持体上に保持されているのが好ましいが、標識化バインダーが支持体上に保持されることなくキットとして供給される形態であってもよい。また、該器具には、試料添加部位と測定対象物類似物の固定部位の間に展開液添加部位を設けることもできる。標識化バインダーは、必要に応じ展開液に溶解し、試料と共に、もしくは別々に試料添加部位から、または試料添加部位とバインダー固定部位との間に設けられる展開液添加部位から、必要に応じ展開液に溶解し、試料添加と同時にもしくは異なる時期に添加して使用される。
なお、標識化バインダーの代わりに標識されていないバインダーも使用することができる。この例では、測定対象物類似物(b5)とトラッパーA(c1)が特異的結合反応を起こさない組み合わせが好ましい。
測定対象物測定用器具の第4の例(図19又は図20参照)としては、例えば測定対象物を含有する試料が毛管流により移動可能な支持体上に設けられた試料添加部位(S)、測定対象物に結合するバインダーに標識が結合しており、かつ、毛管流により移動可能なように支持体上に保持される標識化バインダー(b1)、標識化バインダーに結合し、かつ、支持体上に固定化されているかもしくは移動可能なように支持体に保持されている測定対象物類似物(b5)、および標識化バインダーに結合するトラッパーB(c3)が固定化された圧電振動子を有し、試料、標識化バインダーが、同じ方向の毛管流により支持体上を圧電振動子上に固定されたトラッパーBへ向かって移動可能なように設計されており、かつ測定対象物類似物が試料添加部位と検出部位との間の支持体上に保持または固定されている試料中の測定対象物測定用器具があげられる。
測定対象物類似物が試料添加部位と検出部位の間の支持体上に固定されており、標識化バインダーがあらかじめ支持体上に保持されているのが好ましいが、標識化バインダーが支持体上に保持されることなくキットとして供給される形態であってもよい。また、該器具には、試料添加部位と測定対象物類似物の保持または固定部位の間に展開液添加部位を設けることもできる。標識化バインダーは、必要に応じ展開液に溶解し、試料と共に、もしくは別々に試料添加部位から、または試料添加部位とバインダー固定部位との間に設けられる展開液添加部位から、必要に応じ展開液に溶解し、試料添加と同時にもしくは異なる時期に添加して使用される。
なお、標識化バインダーの代わりに標識されていないバインダーも使用することができる。この例では、測定対象物類似物(b5)と試料中の測定対象物が異なる物質となるような組み合わせが好ましい。
測定対象物測定用器具の第5の例(図21参照)としては、例えば測定対象物を含有する試料が毛管流により移動可能な支持体上に設けられた試料添加部位(S)、測定対象物類似物に標識が結合しており、かつ、毛管流により移動可能なように支持体上に保持される標識化測定対象物類似物(b2)、及び、測定対象物及び標識化測定対象物類似物に結合するバインダー(c2)が固定化された圧電振動子を含有し、試料および標識化測定対象物類似物が、同じ方向の毛管流により支持体上を圧電振動子上に固定されたバインダーへ向かって移動するように設計された試料中の測定対象物測定用器具があげられる。
標識化測定対象物類似物は、あらかじめ支持体上に保持されているのが好ましいが、標識化測定対象物類似物が支持体上に保持されることなくキットとして供給される形態であってもよい。また、該器具には、試料添加部位と検出部位の間に展開液添加部位を設けることもできる。標識化測定対象物類似物は、必要に応じ展開液に溶解し、試料と共に、もしくは別々に試料添加部位から、または試料添加部位と検出部位の間に設けられる展開液添加部位から、必要に応じ展開液に溶解し、試料添加と同時にもしくは異なる時期に添加して使用される。
測定対象物測定用器具の第6の例(図22)としては、例えば測定対象物を含有する試料が毛管流により移動可能な支持体上に設けられた試料添加部位(S)、測定対象物類似物に標識が結合しており、かつ、毛管流により移動可能なように支持体上に保持される標識化測定対象物類似物(b2)、及び、測定対象物及び標識化測定対象物類似物に結合するバインダー(c2)が固定化された圧電振動子を含有し、試料および標識化測定対象物類似物が、逆の方向の毛管流により支持体上を圧電振動子上に固定されたバインダーへ向かって移動するように設計された試料中の測定対象物測定用器具があげられる。
標識化測定対象物類似物は、あらかじめ検出部位に対して試料添加部位とは反対側の支持体上に保持されているのが好ましいが、標識化測定対象物類似物が支持体上に保持されることなく別々に分けられたキットの形態であってもよい。また、該器具には、検出部位に対して試料添加部位とは反対側に設けられる展開液添加部位を設けることもできる。標識化測定対象物類似物が予め支持体上に保持されている場合は、展開液添加部位を設けても設けなくてもよいが、展開液添加部位を設けたものが好ましい。この場合、該展開液添加部位からは、前述の展開液を添加し、該標識化測定対象物類似物を検出部位に向かって移動させることができる。標識化測定対象物類似物が予め支持体上に保持されていない場合は、展開液添加部位を設け、標識化測定対象物類似物は、試料の添加と同時にまたは異なる時期に該展開液添加部位から添加して使用される。
なお、標識化バインダーの代わりに標識されていないバインダーも使用することができる。
測定対象物測定用器具の第7の例(図23)としては、例えば測定対象物を含有する試料が毛管流により移動可能な支持体上に設けられた試料添加部位(S)、測定対象物類似物に標識が結合しており、かつ、毛管流により移動可能なように支持体上に保持される標識化測定対象物類似物(b2)、測定対象物及び測定対象物類似物に結合し、かつ、毛管流により移動可能なように支持体上に保持されるバインダー(b3)、および標識化測定対象物類似物が結合したバインダー及び測定対象物が結合したバインダーに結合するトラッパーB(c3)が固定化された圧電振動子を含有し、試料、標識化測定対象物類似物およびバインダーが、同一の毛管流により支持体上を圧電振動子上に固定されたトラッパーBへ向かって移動可能なように設計された試料中の測定対象物測定用装置があげられる。
標識化測定対象物類似物およびバインダーは、あらかじめ支持体上に保持されているのが好ましいが、標識化測定対象物類似物およびバインダーからなる群より選ばれる一つ又は二つが支持体上に保持されることなく、支持体に保持されない成分と該器具がキットとして供給される形態であってもよい。また、該器具には、試料添加部位と検出部位の間に展開液添加部位を設けることもできる。標識化測定対象物類似物およびバインダーは、必要に応じ展開液に溶解し、試料と共に、もしくはそれぞれ別々に試料添加部位から、または試料添加部位と検出部の間に設けられる展開液添加部位から、必要に応じ展開液に溶解し、試料添加と同時にもしくは異なる時期にそれぞれ添加して使用される。
標識化測定対象物類似物が保持される部位とバインダーが保持される部位とは、試料添加部位と検出部位の間に位置すればよく、同一部位でも異なった部位でもよい。
測定対象物測定用器具の第8の例(図24)としては、例えば測定対象物を含有する試料が毛管流により移動可能な支持体上に設けられた試料添加部位(S)、測定対象物類似物に標識が結合しており、かつ、毛管流により移動可能なように支持体上に保持される標識化測定対象物類似物(b2)、測定対象物及び測定対象物類似物に結合し、かつ、支持体上に固定化されているバインダー(b4)、および測定対象物及び標識化測定対象物類似物に結合するバインダー(c2)が固定化された圧電振動子を含有し、試料および標識化測定対象物類似物が、同じ方向の毛管流により支持体上を圧電振動子上に固定されたバインダーへ向かって移動可能なように設計されており、かつバインダーが試料添加部位と検出部位との間の支持体上に固定されている試料中の測定対象物測定用器具があげられる。
バインダーが試料添加部位と検出部位の間の支持体上に固定されており、標識化測定対象物類似物があらかじめ支持体上に保持されているのが好ましいが、標識化測定対象物類似物が支持体上に保持されることなくキットとして供給される形態であってもよい。また、該器具には、試料添加部位とバインダー固定部位の間に展開液添加部位を設けることもできる。標識化測定対象物類似物は、必要に応じ展開液に溶解し、試料と共に、もしくは別々に試料添加部位から、または試料添加部位とバインダー固定部位との間に設けられる展開液添加部位から、必要に応じ展開液に溶解し、試料添加と同時にもしくは異なる時期に添加して使用される。
また、前述の測定対象物測定器具の第1〜8の態様のそれぞれに於いて、図10に例示するように、検出部位には圧電振動子を2つ併置したり、展開液吸収部位を設けたり、図4に例示するようにコントロールラインを設けることもできる。
検出部位に2つの圧電振動子を有する本発明の器具は、特に好ましい態様であり、この場合、一つの圧電振動子上には、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)のいずれかが固定されており、他の圧電振動子上には、何れも固定されていないことを特徴とする。本器具を用いることにより、測定対象物を含有する試料に由来する非特異的反応に由来する測定の不正確さを減少させることができ、非特異的反応の影響を受けないより正確な測定が可能となる。
またコントロールラインは、目的の反応が起こったことを確認する為の部位であり、支持体上の任意の位置に設けることがでる。展開液吸収部位または支持体上の任意の位置に、例えばトラッパーBを固定させることにより、コントロールラインを形成することができる。
前述の測定対象物測定器具の図13〜24の例においては、前述の通り、振動数測定回路または振動数測定回路及び濃度演算装置を連結した振動数測定回路を連結させた装置として組み立てることができる。
本発明の器具は、その大きさは特に制限はないが、好ましくは幅0.01〜30cm、長さ0.1〜30cm、厚み1〜10,000μm、より好ましくは幅0.1〜10cm、長さ0.5〜15cm、厚み10〜1,000μm、特に好ましくは幅0.2〜5cm、長さ1.0〜10cm、厚み50〜500μmである。
本発明の試料中の測定対象物の測定方法としては、例えば以下の態様の方法があげられる。
測定方法の第1の例(図13及び図14参照)としては、例えば、(1)試料中の測定対象物と測定対象物に結合する標識化バインダー(b1)とを同じ方向の毛管流により圧電振動子上に固定されたトラッパーA(c1)または測定対象物類似物(c1’)に供給する工程;(2)標識化バインダーと測定対象物とをトラッパーAまたは測定対象物類似物に反応させ、反応複合体を形成させる工程;(3)反応開始後の任意の時間で圧電振動子の振動数を測定する工程;(4)(3)の工程で測定した振動数と、既知濃度の測定対象物を用いて作成した振動数と濃度の関係を示す検量線とから、試料中の測定対象物の濃度を求める工程を含む試料中の測定対象物の測定方法があげられる。
本測定方法としては例えば、前記の測定用器具の第1の例を用いた方法があげられる。
本測定方法においては、試料中の測定対象物が標識化バインダーとともに支持体上を毛管流によって移動してもよいが、試料中の測定対象物と標識化バインダーとが時間差をもって移動させてもよい。試料中の測定対象物と標識化バインダーとをともに毛管流によって支持体を移動させる方法としては、例えば試料添加時にすでに標識化バインダーが保持されている支持体上に試料を添加する方法や、試料と標識化バインダーとを混合して得られる混合液を試料添加部位に添加する方法等があげられる。試料中の測定対象物と標識化バインダーとを時間差をもって移動させる方法としては、例えば試料を試料添加部位に添加した後、同じ部位に標識化バインダーを添加する方法等があげられる。
トラッパーAが固定化された圧電振動子を用いる場合には、トラッパーA、測定対象物および標識化バインダーを含有する複合体が圧電振動子上に形成される。一方、測定対象物類似物が固定化された圧電振動子を用いる場合には、測定対象物類似物および標識化バインダーを含有する複合体が圧電振動子上に形成される。
複合体が固定化された圧電振動子の振動数を測定し、一方、試料中の測定対象物が標識化バインダーとともに支持体上を毛管流によって移動する前の圧電振動子の振動数を測定しておき、測定された2つの振動数の差(ブランク差し引き振動数)を算出する。
このブランク差し引き振動数と、予め既知濃度の測定対象物の溶液を用いて作成した検量線(測定対象物の濃度とブランク差し引き振動数との関係を表す検量線)とから、試料中の測定対象物濃度を測定することができる。
測定方法の第2の例(図15及び図16参照)としては、例えば(1)測定対象物と標識化バインダーとが毛管流により支持体上を、標識化バインダーに結合した測定対象物に結合するトラッパーAが固定化された圧電振動子、又は、標識化バインダーに結合する測定対象物類似物が固定化された圧電振動子に向かって、お互いに逆方向に移動する工程;(2)標識化バインダーに結合した測定対象物に結合するトラッパーAが固定化された圧電振動子、又は、標識化バインダーに結合する測定対象物類似物が固定化された圧電振動子上で、サンドイッチ反応または競合反応が進行する工程;(3)(2)の工程後の圧電振動子の振動数を測定する工程;(4)(3)の工程で測定した振動数と、既知濃度の測定対象物を用いて作成した検量線とから、試料中の測定対象物の濃度を測定する工程を含む測定対象物の測定方法があげられる。
本測定方法としては例えば、前記の測定用器具の第2の例を用いた方法があげられる。
本測定方法においては、試料中の測定対象物が支持体上を移動する方向と、標識化バインダーが支持体上を移動する方向とが逆である。試料中の測定対象物と標識化バインダーとが圧電振動子上でサンドイッチ反応または競合反応する条件が好ましい。このような条件としては例えば、標識化バインダーが支持体上に予め保持されている場合には、試料の試料添加部位への添加と、展開液の展開液添加部位への添加とを同時に行う態様が挙げられ、標識化バインダーが支持体上に予め保持されていない場合には、試料の試料添加部位への添加と、標識化バインダー含有溶液の展開液添加部位への添加とを同時に行う態様があげられる。
トラッパーAが固定化された圧電振動子を用いる場合には、トラッパーA、測定対象物および標識化バインダーを含有する複合体が圧電振動子上に形成される。一方、測定対象物類似物が固定化された圧電振動子を用いる場合には、測定対象物類似物および標識化バインダーを含有する複合体が圧電振動子上に形成される。
複合体が固定化された圧電振動子の振動数が測定される。一方、試料中の測定対象物が標識化バインダーとともに支持体上を毛管流によって移動する前の圧電振動子の振動数を測定しておき、測定された2つの振動数の差(ブランク差し引き振動数)を算出する。
このブランク差し引き振動数の差と、予め既知濃度の測定対象物の溶液を用いて作成した検量線(測定対象物の濃度とブランク差し引き振動数との関係を表す検量線)とから、試料中の測定対象物濃度を測定する。
測定方法の第3の例(図17及び図18参照)としては、例えば(1)支持体上で、測定対象物と支持体に保持または固定化された測定対象物類似物(b5)とが、標識化バインダー(b1)に対して競合反応する工程;(2)(1)の競合反応で測定対象物類似物に捕捉されなかった成分、もしくは支持体上を移動可能なように保持された測定対象物類似物に捕捉された成分が毛管流により支持体を移動し、さらに、測定対象物及び測定対象物類似物に結合するトラッパーA(c1)が固定化された圧電振動子を通過する工程;(3)(2)の工程後の圧電振動子の振動数を測定する工程;(4)(3)の工程で測定した振動数と、既知濃度の測定対象物を用いて作成した検量線とから、試料中の測定対象物の濃度を測定する工程を含む試料中の測定対象物の測定方法があげられる。
本測定方法としては例えば、前記の測定用器具の第3の例を用いた方法があげられる。
本測定方法においては、支持体上での競合反応によって支持体上に捕捉されなかった測定対象物と標識化バインダーとを含有する複合体、または測定対象物類似物と標識化バインダーとを含有する複合体が、トラッパーAが固定化された圧電振動子上で捕捉される。支持体上での競合反応の態様としては、標識化バインダーが予め支持体上に保持されている(試料添加部位と測定対象物類似物固定化部位との間の領域に保持されている)場合には、試料を試料添加部位に添加する方法等が挙げられ、標識化バインダーが予め支持体上に保持されていない場合には、試料と標識化バインダーの混合溶液を試料添加部位に添加する方法等があげられる。
圧電振動子上には、トラッパーA、測定対象物及び標識化バインダーを含有する複合体、または、トラッパーA、測定対象物類似物及び標識化バインダーとを含有する複合体が固定化される。複合体が固定化された圧電振動子の振動数を測定し、一方、競合反応が支持体上で起こる前の圧電振動子の振動数を測定しておき、測定された2つの振動数の差(ブランク差し引き振動数)を算出する。
このブランク差し引き振動数と、予め既知濃度の測定対象物の溶液を用いて作成した検量線(測定対象物の濃度とブランク差し引き振動数との関係を表す検量線)とから、試料中の測定対象物濃度を測定する。この例では、測定対象物類似物(b5)とトラッパーA(c1)が特異的結合反応を起こさない組み合わせが好ましい。
測定方法の第4の例(図19及び図20参照)としては、例えば(1)支持体上で、測定対象物と測定対象物類似物(b5)とが、標識化バインダー(b1)に対して競合反応する工程;(2)(1)の競合反応で測定対象物と標識化バインダーとを含有する複合体、または、測定対象物類似物と標識化バインダーとを含有する複合体が毛管流により支持体を移動し、さらに測定対象物が結合したバインダーに結合するトラッパーB(c3)が固定化された圧電振動子を通過する工程;(3)(2)の工程後の圧電振動子の振動数を測定する工程;(4)(3)の工程で測定した振動数と、既知濃度の測定対象物を用いて作成した検量線とから、試料中の測定対象物の濃度を測定する工程を含む試料中の測定対象物の測定方法があげられる。
本測定方法としては例えば、前記の測定用器具の第4の例を用いた方法があげられる。
本測定方法においては、支持体上での競合反応によって支持体上に捕捉されなかった測定対象物と標識化バインダーとを含有する複合体が、トラッパーBが固定化された圧電振動子上で捕捉される。支持体上での競合反応の態様としては、標識化バインダーが予め支持体上に保持されている(試料添加部位と測定対象物類似物固定化部位との間の領域に保持されている)場合には、試料を試料添加部位に添加する方法等が挙げられ、標識化バインダーが予め支持体上に保持されていない場合には、試料と標識化バインダーの混合溶液を試料添加部位に添加する方法等があげられる。
圧電振動子上には、トラッパーB、測定対象物及び標識化バインダーを含有する複合体、または、トラッパーB、測定対象物類似物及び標識化バインダーを含有する複合体が固定化される。複合体が固定化された圧電振動子の振動数を測定し、一方、競合反応が支持体上で起こる前の圧電振動子の振動数を測定しておき、測定された2つの振動数の差(ブランク差し引き振動数)を算出する。
このブランク差し引き振動数と、予め既知濃度の測定対象物の溶液を用いて作成した検量線(測定対象物の濃度とブランク差し引き振動数との関係を表す検量線)とから、試料中の測定対象物濃度を測定する。この例では、測定対象物類似物(b5)及び標識化バインダーを含有する複合体が、測定対象物及び標識化バインダーを含有する複合体より、トラッパーBに対する反応性が異なるような組み合わせが好ましい。
測定方法の第5の例(図21参照)としては、例えば(1)試料中の測定対象物と、標識化測定対象物類似物(b2)とが、支持体上を毛管流により移動する工程;(2)移動した溶液がさらに、バインダー(c2)が固定化された圧電振動子を通過する工程;(3)(2)の工程後の圧電振動子の振動数を測定する工程;(4)(3)の工程で測定した振動数と、既知濃度の測定対象物を用いて作成した検量線とから、試料中の測定対象物の濃度を測定する工程を含有する試料中の測定対象物の測定方法があげられる。
本測定方法としては例えば、前記の測定用器具の第5の例を用いた方法があげられる。
本測定方法においては、試料中の測定対象物と標識化測定対象物類似物とが圧電振動子上で競合反応する条件が好ましい。このような条件としては例えば、標識化測定対象物類似物が支持体上に予め保持されている場合には、試料を試料添加部位へ添加する態様や、標識化測定対象物類似物が支持体上に予め保持されていない場合には、試料と標識化測定対象物類似物との混合物が試料添加部位に添加される態様があげられる。
圧電振動子上には、測定対象物とバインダーとを含有する複合体、及び、標識化測定対象物類似物とバインダーとを含有する複合体が形成される。これらの複合体が固定化された圧電振動子の振動数を測定する。一方、試料中の測定対象物が標識化測定対象物類似物とともに支持体上を毛管流によって移動する前の圧電振動子の振動数を測定しておき、測定された2つの振動数の差(ブランク差し引き振動数)を算出する。
ここで、測定対象物とバインダーとを含有する複合体に由来する振動数は、標識化測定対象物類似物とバインダーとを含有する複合体に由来する振動数に比較して極めて小さい。試料中の測定対象物が標識化測定対象物類似物とともに支持体上を毛管流によって移動する前の圧電振動子の振動数は一定であるので、ブランク差し引き振動数についても、測定対象物とバインダーとを含有する複合体に由来するブランク差し引き振動数は、標識化測定対象物類似物とバインダーとを含有する複合体に由来するブランク差し引き振動数よりも圧倒的に小さい。従って、測定対象物とバインダーとを含有する複合体、及び、標識化測定対象物類似物とバインダーとを含有する複合体が固定化された圧電振動子に由来するブランク差し引き振動数は、標識化測定対象物類似物とバインダーとを含有する複合体が固定化された圧電振動子に由来するブランク差し引き振動数とほぼ等しいと考えることができる。
このブランク差し引き振動数の差と、予め既知濃度の測定対象物の溶液を用いて作成した検量線(測定対象物の濃度とブランク差し引き振動数との関係を表す検量線)とから、試料中の測定対象物濃度を測定する。
測定方法の第6の例(図22参照)としては、例えば(1)測定対象物と標識化測定対象物類似物(b2)とが毛管流により支持体上を、測定対象物及び標識化測定対象物類似物に結合するバインダー(c2)が固定化された圧電振動子に向かって、お互いに逆方向に移動する工程;(2)バインダーが固定化された圧電振動子上で、競合反応が進行する工程;(3)(2)の工程後の圧電振動子の振動数を測定する工程;(4)(3)の工程で測定した振動数と、既知濃度の測定対象物を用いて作成した検量線とから、試料中の測定対象物の濃度を測定する工程を含有する試料中の測定対象物の測定方法があげられる。
本測定方法としては例えば、前記の測定用器具の第6の例を用いた方法があげられる。
本測定方法においては、試料中の測定対象物が支持体上を移動する方向と、標識化測定対象物類似物が支持体上を移動する方向とが逆である。試料中の測定対象物と標識化測定対象物類似物とが圧電振動子上で競合反応する条件が好ましい。このような条件としては例えば、標識化測定対象物類似物が支持体上に予め保持されている場合には、試料の試料添加部位への添加と、展開液の展開液添加部位への添加とを同時に行う態様が挙げられ、標識化測定対象物類似物が支持体上に予め保持されていない場合には、試料の試料添加部位への添加と、標識化測定対象物類似物含有溶液の展開液添加部位への添加とを伺時に行う態様があげられる。
圧電振動子上には、測定対象物とバインダーとを含有する複合体、及び、標識化測定対象物類似物とバインダーとを含有する複合体が形成される。前記の測定方法3で述べたように、測定対象物とバインダーとを含有する複合体、及び、標識化測定対象物類似物とバインダーとを含有する複合体が固定化された圧電振動子に由来するブランク差し引き振動数は、標識化測定対象物類似物とバインダーとを含有する複合体が固定化された圧電振動子に由来するブランク差し引き振動数とほぼ等しいと考えることができる。
このブランク差し引き振動数の差と、予め既知濃度の測定対象物の溶液を用いて作成した検量線(測定対象物の濃度とブランク差し引き振動数との関係を表す検量線)とから、試料中の測定対象物濃度を測定する。
測定方法の第7の例(図23参照)としては、例えば(1)支持体上で、試料中の測定対象物が、バインダー(b3)に対して標識化測定対象物類似物(b2)と競合反応する工程;(2)(1)の競合反応で形成される反応生成物が毛管流により支持体を移動し、さらに、測定対象物が結合したバインダー及び/又は標識化測定対象物類似物が結合したバインダーに結合するトラッパーB(c3)が固定化された圧電振動子を通過する工程;(3)(2)の工程後の圧電振動子の振動数を測定する工程;(4)(3)の工程で測定した振動数と、既知濃度の測定対象物を用いて作成した検量線とから、試料中の測定対象物の濃度を測定する工程を含有する試料中の測定対象物の測定方法があげられる。
本測定方法としては例えば、前記の測定用器具の第7の例を用いた方法があげられる。
本測定方法においては、支持体上での競合反応により形成された測定対象物とバインダーとを含有する複合体、及び、標識化測定対象物類似物とバインダーとを含有する複合体が毛管流によって支持体上を移動し、圧電振動子上でこれらの複合体がトラッパーBによって捕捉される。支持体上での競合反応の態様としては、標識化測定対象物類似物とバインダーの両方が予め支持体上に保持されている場合には、該支持体上に試料を支持体上の試料添加部位に添加する方法等が挙げられ、標識化測定対象物類似物とバインダーのいずれか一方のみが支持体に保持されている場合には、該支持体に試料ともう一方の要素の混合溶液を支持体上の試料添加部位に添加する方法等があげられる。また、標識化測定対象物類似物とバインダーの両方が支持体上に保持されていない場合には、試料、標識化測定対象物類似物及びバインダーの混合溶液を支持体上の試料添加部位に添加する方法等があげられる。
圧電振動子上には、標識化測定対象物類似物、バインダー及びトラッパーBを含有する複合体と、測定対象物、バインダー及びトラッパーBを含有する複合体とが固定化される。前記の測定方法3の場合と同様に、標識化測定対象物類似物、バインダー及びトラッパーBを含有する複合体と、測定対象物、バインダー及びトラッパーBを含有する複合体とが固定化された圧電振動子に由来するブランク差し引き振動数は、標識化測定対象物類似物、バインダー及びトラッパーBを含有する複合体が固定化された圧電振動子に由来するブランク差し引き振動数とほぼ等しいと考えることができる。
このブランク差し引き振動数の差と、予め既知濃度の測定対象物の溶液を用いて作成した検量線(測定対象物の濃度とブランク差し引き振動数との関係を表す検量線)とから、試料中の測定対象物濃度を測定する。
測定方法の第8の例(図24参照)としては、例えば(1)支持体上で、測定対象物と標識化測定対象物類似物(b2)とが、支持体に固定化されたバインダー(b4)に対して競合反応する工程;(2)(1)の競合反応でバインダーに捕捉されなかった成分が毛管流により支持体を移動し、さらに、バインダーが固定化された圧電振動子を通過する工程;(3)(2)の工程後の圧電振動子の振動数を測定する工程;(4)(3)の工程で測定した振動数と、既知濃度の測定対象物を用いて作成した検量線とから、試料中の測定対象物の濃度を測定する工程を含有する試料中の測定対象物の測定方法があげられる。
本測定方法としては例えば、前記の測定用器具の第8の例を用いた方法があげられる。
本測定方法においては、支持体上での競合反応によって支持体上に捕捉されなかった測定対象物及び標識化測定対象物類似物が、バインダーが固定化された圧電振動子上で捕捉される。支持体上での競合反応の態様としては、標識化測定対象物類似物が予め支持体上に保持されている(試料添加部位とバインダー固定化部位との間の領域に保持されている)場合には、試料を試料添加部位に添加する方法等が挙げられ、標識化測定対象物類似物が予め支持体上に保持されていない場合には、試料と標識化測定対象物類似物の混合溶液を試料添加部位に添加する方法等があげられる。
圧電振動子上には、標識化測定対象物類似物及びバインダーを含有する複合体と、測定対象物及びバインダーを含有する複合体とが固定化される。前記の測定方法3で述べたように、標識化測定対象物類似物及びバインダーを含有する複合体を含有する複合体と、測定対象物及びバインダーを含有する複合体とが固定化された圧電振動子に由来するブランク差し引き振動数は、標識化測定対象物類似物及びバインダー及びトラッパーBを含有する複合体が固定化された圧電振動子に由来するブランク差し引き振動数とほぼ等しいと考えることができる。
このブランク差し引き振動数の差と、予め既知濃度の測定対象物の溶液を用いて作成した検量線(測定対象物の濃度とブランク差し引き振動数との関係を表す検量線)とから、試料中の測定対象物濃度を測定する。
また、前述の測定方法の第1〜8の態様のそれぞれに於いて、図10に例示するように、検出部位には圧電振動子を2つ併置した装置、展開液吸収部位を設けた装置、図4に例示するようなコントロールラインを設けた装置を用いて測定することもできる。
検出部位に2つの圧電振動子を有する装置を用いて測定する方法は、特に好ましい態様であり、この場合、第一の圧電振動子上には、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)のいずれかが固定されており、他の第二の圧電振動子上には、何れも固定されていない圧電振動子を用いる。試料を、例えば測定方法第1〜8(図13〜24参照)のいずれかの方法により検出部位に移動させ特異的反応を開始した後、第一の圧電振動子の振動数と第二の圧電振動子の振動数を測定し、第二の圧電振動子の振動数を対照として用いることを特徴とする。第一の振動数と第二の振動数の差から、予め既知濃度の測定対象物を用いて得られるデータから作成される検量線により、測定すべき物質の濃度を求めることができる。本方法を用いることにより、測定対象物を含有する試料に由来する非特異的反応に由来する測定の不正確さを減少させることができ、非特異的反応の影響を受けないより正確な測定が可能となる。
また例えば、図4に示す支持体上に設けられたコントロールラインは、目的の反応が起こったことを確認する為の部位であり、コントロールラインの反応を確認することにより、目的の反応が確実に起なわれたことが判断できる。コントロールラインで反応が起こったことは、例えば標識により色調の変化によりとらえることができる。
前述の測定方法の第1〜8の例においては、前述の通り、振動数測定回路または振動数測定回路および濃度演算回路を連結した振動数測定回路を連結させた装置を使用することにより、振動数または濃度を求めることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。尚、本実施例においては、下記メーカーの試薬および機器を使用した。
抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG;コスモバイオ社製)、抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG;コスモバイオ社製)、抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG;コスモバイオ社製)、金コロイド標識化抗ヒトイムノグロブリン・ヤギポリクローナル抗体(IgG;ブリティッシュ・バイオセル・インターナショナル社製)、CRP標準液(コスモバイオ社製)、ホウ酸(関東化学社製)、イミダゾール(関東化学社製)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(以下、トリスと記す)(関東化学社製)、2−イミノチオラン塩酸塩(関東化学社製)、ツイーン20(関東化学社製)、BSA(オリエンタル酵母社製)、ポリスチレンマイクロスフィアDS02B(バングス社製)、グルタルアルデヒド(関東化学社製)、ヘキサン(関東化学社製)、セファデックスG−25カラム(アマシャム・バイオサイエンス社製)、マイクロドーサ(バイオ・ドット社製)、バイオジェット・クアンチ3000(バイオ・ドット社製)、水晶振動子センサーチップ(27MHz)(イニシアム社製)、ニトロセルロースメンブレン[AccuFlowGタイプ(シュライヒャー&シュエル社製);FF85(シュライヒャー&シュエル社製)]、吸収紙[300タイプ、470タイプ(シュライヒャー&シュエル社製)
【図面の簡単な説明】
第1図 測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
第2図 測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
第3図 測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
第4図 測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
第5図 測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
第6図 測定対象物測定用装置の一例を示す図である。
第7図 測定対象物測定用装置の一例を示す図である。
第8図 測定対象物測定用器具の試料添加部位と展開液添加部位の連結の例を示す図である。
第9図 測定対象物測定用器具の支持体、検出部位および展開液吸収部位の連結の例を示す図である。
第10図 測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
第11図 測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
第12図 測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
第13図 トラッパーAが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第1の例を示す模式図である。
第14図 測定対象物類似物が固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第1の例を示す模式図である。
第15図 トラッパーAが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第2の例を示す模式図である。
第16図 測定対象物類似物が固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第2の例を示す模式図である。
第17図 トラッパーAが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第3の例を示す模式図である。
第18図 トラッパーAが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第3の例を示す模式図である。
第19図 トラッパーBが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第4の例を示す模式図である。
第20図 トラッパーBが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第4の例を示す模式図である。
第21図 バインダーが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第5の例を示す模式図である。
第22図 バインダーが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第6の例を示す模式図である。
第23図 トラッパーBが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第7の例を示す模式図である。
第24図 バインダーが固定化された水晶振動子を組み込んだ測定対象物測定用器具の第8の例を示す模式図である。
第25図 実施例1で製造した測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
第26図 実施例1の測定対象物測定用器具を用いた試料中のCRP濃度の測定における試料中のCRP濃度と振動数の減少量との関係を示す検量線。
第27図 比較例1で使用した従来型のイムノクロマトグラフィー器具を示す図である。
第28図 実施例4で製造した測定対象物測定用器具の一例を示す図である。
【符号の説明】

【発明を実施するための最良の形態】
実施例1 CRP測定用器具
(1)抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)の水晶振動子への固定
抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)を0.1mol/Lのホウ酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、2.0mg/mLの抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)の溶液を調製した。この溶液(1.0mL)に、1.0mg/mLの2−イミノチオラン水溶液(0.3mL)を添加し、30℃で0.5時間反応を行った後、得られた反応混合物をセファデックスG−25を用いるカラムクロマトグラフィにより分離し[溶出溶媒:0.1mmol/Lホウ酸緩衝液(pH8.0)]、0.2mg/mLのスルフヒドリル化された抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)のホウ酸緩衝液溶液を得た。
このスルフヒドリル化された抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)のホウ酸緩衝液溶液を、マイクロドーサバイオジェット・クアンチ3000を用いて水晶振動子センサーチップ(27MHz)の表面に滴下し、室温で15時間静置することにより、水晶振動子中央の金電極上に抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)を固定した。
さらに、0.1%のツイーン20(0.1%)、1%のウシ血清アルブミン(以下、BSAと記す)を含有する10mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)で金電極を洗浄し、未反応のスルフヒドリル化された抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)を除去した。
(2)ポリスチレンマイクロスフィア標識化抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG)の調製
0.01mg/mLの抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG)のリン酸緩衝化生理食塩水(0.15mol/L 塩化ナトリウムを含有するpH7.2、10mmol/L リン酸緩衝液)(以下、PBSと記す)(1mL)に、粒径0.5μm以下のポリスチレンマイクロスフィアDS02B(バングス社製)の0.5%水溶液(10mL)を添加し、37℃で2時間静置した後、混合物を4℃、12000rpmで1時間遠心分離した。上清を除去して得られた沈殿物[ポリスチレンマイクロスフィア標識化抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG)を含有する沈殿物]に、0.6%BSAを含有するpH7.8、10mmol/Lイミダゾール緩衝液(50mL)を添加し、混合物を超音波処理により分散させて標識液とした。
(3)標識化バインダー保持部材の作成
(2)で調製した標識液を、室温で1時間、ニトロセルロースメンブレン(AccuFlowGタイプ)に含浸させた後、該メンブレンを室温、3mmHg以下で真空乾燥させ、ポリスチレンマイクロスフィア標識化抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG)を保持した標識化バインダー保持部材を作製した。
(4)CRP測定用器具の作製
コットン(シュライヒャー&シュエル社製)からなる試料添加用の試料添加用部材、(3)で作製した標識化バインダー保持部材、ニトロセルロースメンブレン(FF85)からなる支持体、(1)で作製した抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)が固定化された水晶振動子および吸収紙300(シュライヒャー&シュエル社製)からなる展開液吸収部材を、それぞれ試料添加部位、展開液添加部位、支持体、検出部位および展開液吸収部位に配置し、図25に示すようなCRP測定用器具を作製した。
実施例2 CRP測定用器具を用いた試料中のCRP濃度の測定
(1)検量線の作製
試料(5μL)を図25の試料添加部位に滴下した。次に同部位から、pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液を継続的に添加した。該緩衝液は試料を希釈しながら、マイクロスフィア標識化抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG)が結合した保持部材に到達し、ここで試料中のCRPとマイクロスフィア標識化抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG)が反応する。反応液は毛管流によりさらにメンブレンを進み、水晶振動子上の微小な空間に達して空間を満たした。この水晶振動子上で、CRPとマイクロスフィア標識化抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG)との複合体が、水晶振動子に固定化された抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)と反応する。試料中のCRP濃度に比例して、マイクロスフィア標識化抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG)が水晶振動子に固定化される。反応液が反応液吸収部材に吸収された後、水晶振動子を取り出しアフィニクスQ(イニシアム社製)に装着し、容器にpH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液を加え、5分後に振動数を測定した。
試料として、▲1▼pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液のみ、▲2▼0.05μg/mLのCRP標準液、▲3▼0.1μg/mLのCRP標準液、▲4▼0.2μg/mLのCRP標準液、および、▲5▼0.4μg/mLのCRP標準液をそれぞれ用いた。試料毎に水晶振動子を取り替えて、振動数を測定した。まず、試料を添加する前の振動数を測定し、次いで、▲1▼pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液(5μL)のみを添加し、吸収パッドに緩衝液が吸収された後の振動数を測定し、両振動数の差を算出した(この振動数の差をΔ1とする)。次に、▲1▼pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液(5μL)の代わりに、▲2▼〜▲5▼の各試料
(5μL)を添加し、▲1▼の場合と同様に、各試料を添加する前の振動数と、各試料を添加し、吸収パッドに反応液が吸収された後の振動数を測定し、両振動数の差を算出した(各試料に対応する振動数の差をΔ2〜Δ5とする)。各振動数の差(Δ2〜Δ5)からΔ1を差し引いた値、すなわち、ブランクを差し引いた振動数の減少量(−ΔF/Hz)と、CRP濃度との関係を第1表および図26に示す。

第1表および図26に示すように、実施例1のCRP測定用器具を用いることにより、CRPが0.00〜0.40μg/mLの範囲で良好な直線性が得られることが判明した。
(2)ヒト血清中のCRP濃度の測定
試料として、CRP標準液の代わりにヒト血清を用いて、(1)における検量線作製の場合と同様に振動数の変化量を測定し、(1)で作製した検量線より該ヒト血清中のCRP濃度を算出したところ、0.092μg/mLであった。一方、該ヒト血清中のCRP濃度を、CRP測定用キットであるエクステルCRP(協和メデックス社製)を用いて測定したところ、0.094μg/mLであった。従って、実施例1のCRP測定器具を用いることにより、ヒト血清中のCRP濃度が正確に測定できることが判明した。
比較例1 試料中のCRP濃度測定に関する実施例1のCRP測定器具と従来型イムノクロマトグラフィー用装置との比較
図27に示すような、試料添加用の試料添加用部材、マイクロスフィア標識化抗ヒトCRP・マウスモノクローナル抗体(IgG)が結合した標識化バインダー保持部材、ニトロセルロースメンブレン(FF85)からなる支持体、抗ヒトCRP・ヤギポリクローナル抗体(IgG)固定化部位および吸収紙300からなる展開液吸収部材を含有する従来型のイムノクロマトグラフィー用器具を用いて、試料中のCRPの検出限界を検討した。試料として、▲1▼pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液のみ、▲2▼0.05μg/mLのCRP標準液、▲3▼0.1μg/mLのCRP標準液、▲4▼0.2μg/mLのCRP標準液、▲5▼0.4μg/mLのCRP標準液、および、▲6▼4.0μg/mLのCRP標準液をそれぞれ用いた。その結果、▲6▼試料の場合にのみ、目視で青線が確認できた。従って、従来型のイムノクロマトグラフィー用装置に比較して、本発明の従来型のイムノクロマトグラフィー用装置の方が高感度に試料中のCRPを測定できることが判明した。
実施例3 抗結核菌表面糖脂質抗原抗体(抗TBGL抗体)用測定器具
金コロイド標識化抗ヒトイムノグロブリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)を、塩化ナトリウムを0.15mol/Lの濃度で含有する、pH7.4 10mmol/Lのリン酸緩衝液で100倍希釈し、この希釈された金コロイド標識化抗体溶液を標識液とした。この標識液を含浸させた吸収紙470タイプを3mmHg以下にて真空乾燥させ、標識化バインダー保持部材を作製した。
トレハロースジミコレートを主成分とする結核菌の表面糖脂質抗原(TBGL)の0.1mg/mLヘキサン溶液を水晶振動子に浸漬塗布し、3mmHg以下で真空乾燥後、1%BSAを含有する10mmol/Lのリン酸緩衝液でブロッキングし、TBGL固定化水晶振動子を作製した。
上記の標識化バインダー保持部材及びTBGL固定化水晶振動子を用いて、実施例1と同様の方法により、抗TBGL抗体測定用器具を作製した。当該装置を用いて、健常人(20才以下)の血清、結核患者の血清、及び、デタミナーTBGL抗体のカットオフ標準液(抗体価:2単位;協和メデックス社製)を試料として各試料における振動数を測定し、試料添加前の振動数と測定した振動数との差[振動数の減少量(−ΔF/Hz)]を算出し、算出された振動数より、健常人(20才以下)の血清に含まれる抗TBGL抗体の力価、及び、結核患者の血清に含まれる抗TBGL抗体の力価を算出した。結果を第2表に示す。

第2表に示すように、健常人の血清においては、抗TBGL抗体の力価がカットオフ値以下であるのに対して、結核患者の血清においては、抗TBGL抗体の力価がカットオフ値以上であった。従って、本発明の抗TBGL測定用器具を用いることにより、結核の診断に適用可能であることが示された。
実施例4 インスリン測定用器具
(1)金コロイド標識化抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)を含有する標識化バインダー保持部材の作製
抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)を0.1mol/Lのホウ酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、2.0mg/mLの抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)の溶液を調製した。この溶液(1.0mL)に、1.0mg/mLの2−イミノチオラン水溶液(0.3mL)を添加し、30℃で0.5時間反応を行った後、得られた反応混合物を、セファデックスG−25を用いるカラムクロマトグラフィにより分離し[溶出溶媒:0.1mmol/L ホウ酸緩衝液(pH8.0)]、0.15mg/mLのスルフヒドリル化された抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)のホウ酸緩衝液溶液を得た。
このスルフヒドリル化された抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)のホウ酸緩衝液溶液(1mL)に、粒径40nmの金コロイド粒子10mLを添加し、室温で10分間反応させて、金コロイド粒子標識化抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体含有溶液を調製した。該溶液に、0.6%BSAを含有するpH7.8、10mmol/Lイミダゾール緩衝液(50mL)を添加し、さらにこの混合溶液に超音波処理を施したものを標識液とした。該標識液をニトロセルロースメンブレン[AccuFlowGタイプ]に含浸させた後、該メンブレンを室温にて1時間、3mmHg以下で真空乾燥させ、金コロイド粒子標識化抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体を保持した標識化バインダー保持部材を作製した。
(2)インスリンのニトロセルロースメンブレンへの固定
ニトロセルロースメンブレン(FF85)の一定領域に、1%グルタルアルデヒド水溶液をバイオジェット・クアンチ3000を用いて滴下し、室温で0.5時間、乾燥させた後、0.2mg/mLのインスリン水溶液を、バイオジェット・クアンチ3000を用いて同一領域に滴下した。室温で2時間反応させた後、1%BSAのPBS溶液をバイオジェット・クアンチ3000を用いて同一領域に滴下し、インスリンがニトロセルロースメンブレン上に固定化された支持体を作製した。
(3)抗マウスIgG・ヤギポリクローナル抗体の水晶振動子への固定
実施例1の(1)と同様の方法により、抗マウスIgG・ヤギポリクローナル抗体をスルフヒドリル化、該スルフヒドリル化抗マウスIgG・ヤギポリクローナル抗体の水晶振動子センサーチップ(27MHz)中央の金電極上への固定化を行った。
(4)インスリン測定用器具の作製
(1)で作製した金コロイド粒子標識化抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)を含有する標識化バインダー保持部材、(2)で作製したインスリン固定化ニトロセルロースメンブレンよりなる支持体、(3)で作製した抗マウスIgG・ヤギポリクローナル抗体固定化水晶振動子、吸収紙300からなる展開液吸収部材を配置し、図28に示すようなインスリン測定用イムノクロマトグラフィー用ストリップを作製し、インスリン測定用器具を作製した。
実施例5 インスリン測定用器具を用いた試料中のインスリンの測定
試料(5μL)を試料添加用部材上に滴下した。次に同孔から、pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液を継続的に添加した。該緩衝液は試料を希釈しながら、金コロイド粒子標識化抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)が結合した支持体に到達し、ここで試料中のインスリンと金コロイド粒子標識化抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)とが反応する。反応液は毛管流によりさらにメンブレンを進み、試料中のインスリンと結合しなかった金コロイド粒子標識化抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)がインスリン固定化部位にて捕捉される。このインスリン固定部分での反応後、インスリン固定部分に固定化されなかったインスリンと金コロイド粒子標識化抗ヒトインスリン・マウスモノクローナル抗体(IgG)との複合体が、毛管流により、水晶振動子上に移動し、水晶振動子上の微小空間を満たした。この複合体は、抗マウスIgG・ヤギポリクローナル抗体固定化水晶振動子上で捕捉され、反応液は吸収パッドに吸収された。反応液が吸収パッドに吸収された後、水晶振動子を取り出しアフィニクスQ(イニシアム社製)に装着し、容器にpH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液を加え、5分後に振動数を測定した。
試料として、▲1▼pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液、および、▲2▼300ng/mLのインスリン標準液をそれぞれ用いた。試料毎に水晶振動子を取り替えて、振動数を測定した。まず、試料を添加する前の振動数を測定し、次いで、▲1▼pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液(5μL)を添加し、吸収パッドに緩衝液が吸収された後の振動数を測定し、両振動数の差を算出した(この振動数の差をΔ1とする)。次に、▲1▼pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液(5μL)の代わりに、▲2▼の試料(5μL)を添加し、▲1▼の場合と同様に、各試料を添加する前の振動数と、各試料を添加し、吸収パッドに反応液が吸収された後の振動数を測定し、両振動数の差を算出した(各試料に対応する振動数の差をΔ2とする)。振動数の差(Δ2)からΔ1を差し引いた値、すなわち、ブランクを差し引いた値は、1375(−ΔF/Hz)であった。
次に、試料として、インスリン標準液(300ng/mL)の代わりに糖尿病患者の血清を用いて同様の測定を行ったところ、ブランクを差し引いた値は577(−ΔF/Hz)であった。この値から、該血清中のインスリン濃度は、126ng/mLと算出された。一方、該血清中のインスリン濃度を、インスリン測定用キットであるケミルミインスリン(バイエルメディカル社製)を用いて測定したところ、125ng/mLであった。従って、実施例4の器具を用いることにより、ヒト血清中のインスリン濃度が正確に測定できることが判明した。
実施例6 検量線作成用キット付きCRP測定用器具
実施例1で作製したCRP測定用器具を6枚用意し、図11に示すように放射状に並べた。中心付近の各試料添加部位には例えば、被検液を器具1の添加部位に、実施例2において使用した5つの標準液、すなわち、▲1▼pH7.5、10mmol/Lトリス緩衝液のみ、▲2▼0.05μg/mLのCRP標準液、▲3▼0.1μg/mLのCRP標準液、▲4▼0.2μg/mLのCRP標準液、および、▲5▼0.4μg/mLのCRP標準液を試料と同量、器具2〜6の添加部位にそれぞれ添加する。実施例2における方法と同様に、器具2〜6におけるブランクを差し引いた振動数の変化量から検量線を作製し、器具1におけるブランクを差し引いた振動数の変化量を該検量線に適用することによって、該被検液中のCRP濃度を測定することができる。
【産業上の利用可能性】
本発明により、高感度な定量分析を可能とする簡便なイムノクロマトグラフィー測定用器具、装置および測定方法が提供される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定用器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子を有し、該圧電振動子上にはトラッパーA
(c1)または測定対象物類似物(c1’)が固定されており、該支持体上には、バインダー(b1)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されているバインダー保持部位(BR)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
【請求項2】
該バインダー保持部位が、該試料添加部位と該検出部位との間に設けられている請求項1記載の器具。
【請求項3】
該バインダー保持部位が、該検出部位を挟んで該試料添加部位と反対側に設けられている請求項1記載の器具。
【請求項4】
試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子からなり、該圧電振動子上には測定対象物に結合するトラッパーA(c1)、あるいは、標識化測定対象物もしくは測定対象物とバインダーとの複合物、及び、測定対象物もしくは測定対象物類似物と標識化バインダーとの複合体に結合するトラッパーB(c3)が固定されており、該支持体上には、バインダー(b1)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されているバインダー保持部位(BR)を有し、さらに該支持体上には測定対象物類似物(b5)が展開液の毛管流により移動しないように該バインダー保持部位と検出部位の間に固定されているかもしくは該支持体上に測定対象物類似物(b5)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されている測定対象物類似物固定部位(DF)または測定対象物類似物保持部位(DR)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
【請求項5】
バインダーが標識されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の器具。
【請求項6】
試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子を有し、該圧電振動子上にはバインダー(c2)が固定されており、該支持体上には、測定対象物類似物(b2)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されている測定対象物類似物保持部位(DR)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
【請求項7】
該測定対象物類似物保持部位が、該試料添加部位と該検出部との間に設けられている請求項6記載の器具。
【請求項8】
該測定対象物類似物保持部位が、該検出部を挟んで該試料添加部位と反対側に設けられている請求項6記載の器具。
【請求項9】
試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子からなり、該圧電振動子上にトラッパーB(c3)が固定されており、該支持体上には、測定対象物類似物(b2)およびバインダー(b3)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されている測定対象物類似物保持部位(DR)およびバインダー保持部位(BR)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
【請求項10】
試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子を有し、該圧電振動子上には測定対象物に結合するバインダー(c2)が固定化されており、該支持体上には、測定対象物類似物(b2)が展開液の毛管流により移動可能であるように保持されている測定対象物類似物保持部位(DR)を有し、さらに該支持体上には、バインダー(b4)が展開液の毛管流により移動しないように該測定対象物類似物保持部位と検出部位との間の支持体中に固定されているバインダー固定部位(BF)を有することを特徴とする測定対象物測定用器具。
【請求項11】
測定対象物類似物が標識されたものである請求項6〜10のいずれかに記載の器具。
【請求項12】
該標識が不溶性小胞体である請求項5または11に記載の器具。
【請求項13】
該不溶性小胞体が金属コロイド又はラテックスである請求項12記載の器具。
【請求項14】
試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体上に試料添加部位(S)と検出部位(Q)とを有する測定対象物測定器具であって、該検出部位は2つの電極に挟まれた圧電振動子からなり、該圧電振動子上にはトラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)が固定されていることを特徴とする測定対象物測定用器具。
【請求項15】
さらに、展開液吸収部位(d)を含有する請求項1〜14
のいずれかに記載の器具。
【請求項16】
該検出部位には、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)が固定されている2つの電極に挟まれた圧電振動子の他にもう一つの2つの電極に挟まれた圧電振動子を有し、該圧電振動子は、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)およびトラッパーB(c3)の何れも固定されていないものである請求項1〜15のいずれかに記載の器具。
【請求項17】
該圧電振動子が水晶振動子である請求項1〜16のいずれかに記載の器具。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の器具と、該器具の圧電振動子の電極に連絡し、該圧電振動子の振動子数を測定する振動数測定回路と、該振動数測定回路に連絡し、振動数から測定対象物濃度を演算する濃度演算回路とを有する測定対象物測定装置。
【請求項19】
圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーA(c1)または測定対象物類似物(c1’)が固定されており、試料中の測定対象物およびバインダーが展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該バインダーとを該トラッパーAまたは該測定対象物類似物に供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
【請求項20】
該試料と該バインダーが該トラッパーAまたは該測定対象物類似物に対し同じ方向の毛管流により供給される請求項19記載の定量方法。
【請求項21】
該試料と該バインダーがトラッパーAまたは測定対象物類似物に対し逆の方向の毛管流により供給される請求項19記載の定量方法。
【請求項22】
圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーA(c1)またはトラッパーB(c3)が固定されており、測定対象物類似物(b5)が展開液の毛管流により移動しないように固定されているが、試料中の測定対象物およびバインダー(b1)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該バインダーとを該トラッパーAまたはトラッパーBに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
【請求項23】
圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーA(c1)またはトラッパーB(c3)が固定されており、試料中の測定対象物、バインダー(b1)および測定対象物類似物(b5)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該バインダーと該測定対象物類似物とを該トラッパーAまたはトラッパーBに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
【請求項24】
バインダーが標識されたものである請求項17〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはバインダー(c2)が固定されており、試料中の測定対象物および測定対象物類似物(b2)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該測定対象物類似物とを該バインダーに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
【請求項26】
該試料と該測定対象物類似物が該バインダーに対し同じ方向の毛管流により供給される請求項25記載の定量方法。
【請求項27】
該試料と該測定対象物類似物が該バインダーに対し逆の方向の毛管流により供給される請求項25記載の定量方法。
【請求項28】
圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーB(c3)が固定されており、試料中の測定対象物、測定対象物類似物(b2)およびバインダー(b3)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と該測定対象物類似物と該バインダーとを該トラッパーBに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
【請求項29】
圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはバインダー(c2)が固定されており、バインダー
(b4)が展開液の毛管流により移動しないように固定されているが、試料中の測定対象物および測定対象物類似物(b2)が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料と測定対象物類似物とを該バインダーに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
【請求項30】
測定対象物類似物が標識された物である請求項25〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
該標識が、不溶性小胞体である請求項24または30に記載の定量方法。
【請求項32】
該不溶性小胞体が、金属コロイド又はラテックスである請求項31記載の定量方法。
【請求項33】
圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合することにより生じる該圧電振動子の振動数の変化から試料中の測定対象物を定量する方法において、圧電振動子上にはトラッパーA(c1)が固定されており、試料中の測定対象物が展開液の毛管流により移動可能であるような支持体を用いて、試料を該トラッパーAに供給し、圧電振動子上に固定された物質と特異的に結合させることを特徴とする試料中の測定対象物の定量方法。
【請求項34】
さらに、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物(c1’)、バインダー(c2)およびトラッパーB(c3)の何れも固定されていない第二の圧電振動子を用い、試料を、トラッパーA(c1)、測定対象物類似物
(c1’)、バインダー(c2)またはトラッパーB(c3)が固定化された第一の圧電振動子並びに第二の圧電振動子に供給し、第二の振動数を対照として用いる請求項17〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
圧電振動子が水晶振動子である請求項19〜34のいずれかに記載の方法。

【国際公開番号】WO2005/015217
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【発行日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513045(P2005−513045)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011792
【国際出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000162478)協和メデックス株式会社 (42)