説明

測定支援システム

【課題】測定結果に応じたポイントを付与し、獲得ポイントに応じた報奨品を測定者に与えることにより、測定者に対して、正しく測定を行うこと等の動機を与える測定支援システムを提供する。
【解決手段】患者は、血糖計1の測定データを、携帯電話3を利用した通信機能付きのゲーム機2を介して、インターネット4経由で自己測定支援サーバ6へ送信する。自己測定支援サーバ6は、測定データの評価に応じたポイントを患者へ付与し、獲得ポイントが一定値を超えた場合は、ゲーム機2で利用可能なゲームキャラクタ等の電子媒体報奨品(オンラインインセンティブ)を、当該患者のゲーム機2へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定結果に応じたポイントを付与し、獲得ポイントに応じた報奨品を測定者に与えることにより、測定者に対して、正しく測定を行うこと等の動機を与える測定支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日常的に血糖コントロールを行うことが必要な糖尿病患者のために、携帯型の血糖値測定器が開発され、血糖自己測定に用いられている。糖尿病患者は、血糖値測定器を用いて、医師の指導に従い、毎日所定の時刻に(食前および食後並びに就寝前など)血糖値を自己測定し、記録する。そして、受診の際に、それまでの測定記録を医師に提示し、診断や血糖値の自己管理についての指導を受ける。
【0003】
また、近年は、電話回線等の通信回線を介して、測定データを医療機関へ送信することにより、患者が自宅に居ながらにして医師等の診断を受けることができるシステムも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
糖尿病の治療効果を上げるためには、各患者が血糖自己測定を正確に行う必要がある。血糖自己測定の動機づけのために、血糖コントロールの重要性を糖尿病患者に十分に認識させるべく、医療機関等によって患者教育が行われている。しかし、小児糖尿病患者にとっては、血糖コントロールの重要性を理解できない場合もあり、有効な動機づけをすることが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、これらの問題を解決するために、測定結果に応じたポイントを付与し、獲得ポイントに応じた報奨品を測定者に与えることにより、測定者に対して、正しく測定を行うこと等の動機を与える測定支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる測定支援装置は、測定者が有する測定装置および電子機器と通信媒体を介して接続され、測定者毎の獲得ポイントを記憶するポイント記憶部と、前記測定装置から前記通信媒体を介して受信した測定データの評価に応じて付与されるポイントを、前記ポイント記憶部における当該測定者の獲得ポイントに加算するポイント処理部と、前記通信媒体を介して前記測定者の電子機器へ送信され当該電子機器で利用される電子媒体報奨品を記憶する電子媒体報奨品記憶部と、測定者の獲得ポイントに応じた電子媒体報奨品を、前記電子媒体報奨品記憶部から当該測定者の電子機器へ前記通信媒体を介して送信する報奨品発行部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
前記電子媒体報奨品とは、これらに限定されないが、例えばゲーム機で利用されるゲームプログラム、ゲームのキャラクタ若しくはアイテム、オーディオ機器で利用される音楽データ、例えば携帯電話等のディスプレイを有する電子機器で利用される画像データ、前記測定者がインターネット上のオンラインショッピング等で決済に用い得る電子通貨またはクーポン等を含む。
【0008】
このように、測定装置による測定データの評価に応じたポイントを付与し、獲得ポイントに応じた電子媒体報奨品を、当該測定者の電子機器へ送信することにより、測定者は、測定データに関して良い評価を得るための努力をするようになる。これにより、測定者に対して、正しく測定を行うこと等の動機を与える測定支援装置を提供することができる。
【0009】
前記測定支援装置は、通信媒体を介して管理機関の情報処理装置に接続され、当該管理機関において管理者により前記測定データの評価に応じて決定され前記情報処理装置に入力されるポイントを、前記情報処理装置から前記通信媒体を介して受信する受信処理部をさらに備えたことが好ましい。
【0010】
前記管理者とは、例えば測定装置が測定者の健康状態に関する項目を測定する装置である場合、これらに限定されないが、例えば、医師、保健婦、栄養士、またはフィットネスクラブの指導員等である。このように、管理者が測定データの評価に応じたポイントを決定し、当該管理者が使用する情報処理装置から測定支援装置へ送信することにより、管理者の指導に従って正しく測定が実施されているか、あるいは、指導の効果が測定データに現れているかを、測定者に与えるポイントに反映させることができる。
【0011】
また、前記測定支援装置は、ポイントの算定基準を記憶する基準値記憶部をさらに備え、前記ポイント処理部が、前記測定装置から前記通信媒体を介して受信した測定データを、前記基準値記憶部に記憶されている算定基準に従って評価し、当該評価に応じて当該測定者に付与すべきポイントとして決定することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ポイントの算定基準をあらかじめ基準値記憶部に設定しておくことにより、ポイント処理部により、付与すべきポイントが自動的に決定される。これにより、管理者の負担を増加させることなく、また、公正なポイント付与が可能となる。
【0013】
なお、この構成において、前記基準値記憶部に測定値の目標値を記憶し、前記ポイント処理部が、実測値が前記目標値に近い場合ほど高いポイントを付与することとしてもよい。
【0014】
または、前記基準値記憶部に、測定者により測定前に入力された予測値を記憶し、前記ポイント処理部が、実測値が前記予測値に近い場合ほど高いポイントを付与することとしてもよい。この場合、例えば糖尿病患者が血糖値を測定する場合等のように、測定者が測定値を正しく予測できることに意義がある場合に特に、測定者に測定値予測を真剣に行わせることができるという利点がある。
【0015】
あるいは、前記基準値記憶部に、測定実行状況に関する目標値を記憶し、前記ポイント処理部が、実際の測定実行状況が前記目標値に近い場合ほど高いポイントを付与することとしてもよい。これにより、測定値の結果の善し悪しだけでなく、管理者の指示に従って規則正しく測定を行うことに意義がある場合に、測定者に測定実行を所定の時刻に正確に実施させることの動機付けができるという利点がある。
【0016】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる測定装置は、上述したいずれかの構成にかかる測定支援装置と通信媒体を介して接続され、測定データを前記通信媒体を介して前記測定支援装置へ送信し、前記測定データは、前記測定支援装置において、その評価に応じてポイントが付与され、前記ポイントの累積値に応じて当該測定者の電子機器で利用される電子媒体報奨品が供与されることを特徴とする。
【0017】
これにより、測定データの評価に応じて供与される電子媒体報奨品が動機付けとなり、測定者に正しく測定を行わせることが可能な測定装置を提供することができる。
【0018】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかるプログラムは、測定者が有する測定装置および電子機器と通信媒体を介して接続され、測定者毎の獲得ポイントを記憶するポイント記憶部と、前記通信媒体を介して前記測定者の電子機器へ送信され当該電子機器で利用される電子媒体報奨品を記憶する電子媒体報奨品記憶部とを有するコンピュータに読み込まれ、前記コンピュータに、前記測定装置から前記通信媒体を介して受信した測定データの評価に応じて付与されるポイントを、前記ポイント記憶部における当該測定者の獲得ポイントに加算するポイント処理と、測定者の獲得ポイントに応じた電子媒体報奨品を、前記電子媒体報奨品記憶部から当該測定者の電子機器へ前記通信媒体を介して送信する報奨品発行処理とを実行させることを特徴とする。
【0019】
このプログラムをコンピュータに読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータにより、本発明にかかる測定支援装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる測定支援システムの構成を示す説明図である。
【図2】前記測定支援システムにおいて測定支援装置として機能するサーバの構成を示すブロック図である。
【図3】前記測定支援システムに含まれる各装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2にかかる測定支援システムにおいて測定支援装置として機能するサーバの構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2にかかる測定支援システムにおいて、ポイント付与に関して設定された目標値と、実測値との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
まず、図1に基づき、本発明の一実施形態にかかる測定支援システムの全体構成の概略を説明する。
【0023】
図1において、1は糖尿病患者(以降、単に患者と称する)が有する血糖計(測定装置)、2はゲーム機(電子機器)、3は携帯電話、4はインターネット(通信媒体)である。また、5は、患者が受診している医療機関のコンピュータ(管理機関の情報処理装置)である。6は、本測定支援システムの提供業者のデータセンタに設置されたコンピュータであり、各患者の測定データを収集し、測定データの評価に応じて付与されるポイントを管理し、ポイント数が所定の条件を満たした患者に報奨品を供与する自己測定支援サーバ(測定支援装置)である。
【0024】
血糖計1は、使い捨てのセンサを用い、糖尿病患者が指先等から採取した微量な血液をこのセンサに付着させることにより、電気的または光学的に血糖値を測定するものである。測定された血糖値は、測定時刻等の他の情報と共に、測定データとして血糖計1内のメモリに記憶され、後に説明するように、自己測定支援サーバ6へ送信される。
【0025】
ゲーム機2は、液晶画面2aおよび操作ボタン2b,2cを備え、ゲームプログラムを格納した記録媒体であるカートリッジ(図示せず)を装着することにより、種々のゲームを楽しめるようになっている。
【0026】
また、ゲーム機2は、通信用ケーブル7によって携帯電話3に接続することができ、通信制御プログラムを格納したカートリッジを装着すれば、携帯電話3を介してインターネット4にアクセスできる。これにより、ゲーム機2のユーザは、例えば、ゲーム機2のメーカーが運営管理するサイトから、新しいゲームプログラムやゲームのキャラクタ等をダウンロードしたり、他のユーザと対戦ゲームをすること等が可能であり、後述するように、自己測定支援サーバ6へアクセスし、このサーバからオンラインインセンティブとしてのゲームキャラクタ等をダウンロードすることもできる。
【0027】
ここで、図2を用いて、自己測定支援サーバ6の構成について説明する。
【0028】
自己測定支援サーバ6は、図2に示すように、通信処理部31、データ分析処理部32、患者情報記憶部33、ポイント処理部34、ポイント記憶部35、インセンティブ記憶部36(電子媒体報奨品記憶部)、分析結果記憶部37、およびインセンティブ発行部38(報奨品発行部)を備えている。
【0029】
通信処理部31は、インターネット4を介した、携帯電話3やコンピュータ5等との通信を制御する。データ分析処理部32は、血糖計1による測定データに対して、医療機関の医師が血糖値の変動等を把握し易くするために、血糖値のグラフ化等の分析処理を行う。分析処理結果は、例えばHTML等を用いたWebページとして表現され、所定のURLが付与されて、分析結果記憶部37に記憶される。これにより、医療機関のコンピュータ5からこのURLにアクセスすることにより、医師等が各患者の血糖値の変遷をブラウザ上で見ることが可能となる。
【0030】
測定患者情報記憶部33は、血糖計1を有する患者に関して、例えば氏名、連絡先、患者ID、および血糖計の装置ID等の、種々の情報を記憶する。ポイント記憶部35は、各患者の獲得ポイントを記憶している。ポイント処理部34は、後述するように、患者から測定データが送信される毎に、ポイント記憶部35における当該患者の獲得ポイント数を更新する。インセンティブ発行部38は、患者の獲得ポイント数が所定の値を超えた場合には、獲得ポイント数に応じて、電子媒体報奨品(オンラインインセンティブ)を当該患者へ発行する。
【0031】
オンラインインセンティブとは、通信回線を介して患者の電子機器へ送信することができるプログラムまたはデータ等であり、インセンティブ記憶部36に記憶されている。オンラインインセンティブとしては、例えば、患者の電子機器がゲーム機である場合、そのゲーム機で実行可能なゲームプログラムや、ゲームに登場するキャラクタやゲームで用いられる道具等のアイテムに関するデータ等を用いることができる。また、患者の電子機器がMP3プレイヤであれば、MP3形式の音楽データであってもよい。あるいは、患者の電子機器がパーソナルコンピュータであれば、インターネットのオンラインショッピング等で商品代金等の決済に使用できる、電子通貨やクーポン等であってもよい。
【0032】
以下、図3のフローチャートを参照し、本ネットワークシステムの動作について説明する。
【0033】
患者は、血糖計1を用いて、所定の手順により血糖値の自己測定を行い(S11)、例えば測定毎あるいは1日1回等の所定の頻度で、測定データを自己測定支援サーバ6へ送信する(S12)。なお、血糖計1から自己測定支援サーバ6へ送られる測定データは、測定された血糖値の他、測定時刻、食前食後を表すフラグ、および以下に説明する装置IDまたは患者ID等を含む。
【0034】
血糖計1から自己測定支援サーバ6への測定データの送信形態として、少なくとも以下の二態様が考えられる。第1の態様は、図1に示すような、ゲーム機2を介したデータ送信である。ゲーム機2は、前述のように、インターネット4へのアクセス機能を持つので、血糖計1から、接続ケーブル1aによりゲーム機2へ測定データを送り、ゲーム機2および携帯電話3を介して、自己測定支援サーバ6へ測定データを送ることができる。
【0035】
この場合、血糖計1の各々に固有に付与され血糖計1内のメモリに記憶されている装置IDが、測定データと共に血糖計1からゲーム機2へ送られ、測定データと共に自己測定支援サーバ6へ送信される。自己測定支援サーバ6では、前記装置IDを患者情報記憶部33に記憶されている各患者の装置IDと対比することにより、受信した測定データがどの患者のものかを特定することができる。
【0036】
血糖計1から自己測定支援サーバ6への測定データの送信にかかる第2の態様は、ゲーム機2を介さずに血糖計1を携帯電話3へ接続し、測定データを送信する態様である。この場合、血糖計1は、携帯電話3を介して、自己測定支援サーバ6とデータ通信が可能なレベルの接続を確立する機能を持ち、装置IDと共に測定データを送信する。
【0037】
なお、前記第1の態様および第2の態様のいずれにおいても、装置IDの代わりにあるいは装置IDと共に、血糖計1にあらかじめ記憶されている患者IDを用いてもよい。または、装置IDまたは患者IDの代わりに、携帯電話3の電話番号またはメールアドレスを、各患者を特定するために用いても良い。この場合、自己測定支援サーバ6の患者情報記憶部33に、装置ID、患者ID、または、携帯電話番号もしくはメールアドレスを、あらかじめ記憶しておけばよい。
【0038】
このように血糖計1による測定データが送信されると、自己測定支援サーバ6は、これを受信し(S21)、データ分析処理部32の一時メモリに、血糖計1の装置ID毎に、時系列的に記憶する(S22)。
【0039】
データ分析処理部32は、記憶した測定データに基づき、例えば各患者の血糖値の推移を表すグラフを作製する等の分析処理を行う(S23)。
【0040】
図1に示したように、本ネットワークシステムには、医療機関のコンピュータ5も接続されており、当該医療機関の医師は、コンピュータ5により、自己測定支援サーバ6の測定データおよびその分析処理結果を閲覧することができる(S31)。例えば、データ分析処理部32が、前述のS23の分析処理結果をウェブページとして提供し、コンピュータ5から、WWWブラウザを用いて、このウェブページを閲覧するようにすればよい。なお、この場合、患者のプライバシーを保護するために、測定データの分析処理結果を掲載するウェブページには、医師以外がアクセスできないよう、アクセス制限を付けることが好ましい。
【0041】
コンピュータ5により測定データの分析処理結果を見た医師は、測定された血糖値が良好であるかどうか、また、あらかじめ指示した時刻や回数等に従って正しく測定が行われているか等を評価し(S32)、評価結果に応じたポイント数を、コンピュータ5に入力する(S33)。このとき、医師は、測定データについての所見を、患者に対するコメントとして、コンピュータ5に入力することができる。医師により入力されたポイントおよびコメントは、インターネット4を経由して、自己測定支援サーバ6へ送られる。
【0042】
自己測定支援サーバ6では、患者毎すなわち血糖計1の装置ID毎に、医師から付与されたポイントの累計が、ポイント記憶部35に記憶されている。前記S33において医師により付与されたポイントをコンピュータ5から受信すると、ポイント処理部34が、そのポイント数を、ポイント記憶部35における当該患者のポイント累計に加算する(S24)。
【0043】
次に、インセンティブ発行部38が、S24で更新した後のポイント累計を、あらかじめ設定された基準値と比較し(S25)、ポイント累計がこの基準値を超えた場合には(S25の結果がY)、インセンティブを発行する(S26)。インセンティブとしては、例えば、ゲーム機2で実行されるゲームに登場するキャラクタ、またはゲーム内で使用される道具等のアイテム、あるいはゲームプログラム等を用いることができる。
【0044】
インセンティブが発行されたら、患者側は、通信制御用プログラムを格納したカートリッジを装着したゲーム機2を携帯電話3に接続し、インターネット4を介して自己測定支援サーバ6へアクセスする。自己測定支援サーバ6は、接続されたゲーム機2に対して接続ID(患者IDまたは血糖計1の装置ID)を確認し、インセンティブ発行の対象者であることが確認できたら、当該インセンティブをゲーム機2へ送信する。これにより、自己測定支援サーバ6からゲーム機2へ、インセンティブとして発行されたゲームキャラクタやアイテム等をダウンロードすることができる(S13)。
【0045】
なお、ステップS26においてインセンティブを発行する際に、患者が複数種類のインセンティブの中から、獲得ポイント数の範囲内で、好みのインセンティブを選択できるようにしてもよい。例えば、自己測定支援サーバ6から患者のゲーム機2に対して、ディスプレイにインセンティブの選択画面を表示させる情報を送信する。そして、患者が、ゲーム機2のディスプレイ上に表示された選択画面において好みのインセンティブを選択すると、患者がどのインセンティブを選択したかを表す情報が自己測定支援サーバ6へ送信される。これを受けて、自己測定支援サーバ6において、インセンティブ発行部38が、患者が選択したインセンティブを当該患者へ送信すると共に、ポイント処理部34が、患者が選択したインセンティブに対応するポイント数を、ポイント記憶部35に記憶されている当該患者の獲得ポイント数から減算すればよい。
【0046】
また、ステップS25において、患者の獲得ポイント数がインセンティブ発行点数には達していない場合には、例えば、「あと**点で****がもらえる!」というようなメッセージを、自己測定支援サーバ6から患者に送信し、携帯電話3、ゲーム機2、あるいは血糖計1のディスプレイにするようにしてもよい。糖尿病患者にとっては、「血糖値をうまくコントロールする」ということが本来の目標であり、その意義を正しく理解することが必要であるが、例えば小児糖尿病患者等にとっては、その理解が難しいこともある。従って、このように、血糖値をうまくコントロールできたらゲームキャラクタ等がもらえるという、幼い子供にも分かりやすい具体的な目標を与える点において、本システムは、小児糖尿病患者の治療に効果を発揮する。
【0047】
なお、S32で医師が付与したコメントは、自己測定支援サーバ6から患者の携帯電話3へ適宜送信され、携帯電話3、ゲーム機2、あるいは血糖計1のディスプレイに適宜表示される。これにより、患者は、医療機関へ行かなくても、簡単な診断や指導を受けることができる。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、患者が定められた時刻に自己測定を実施しているか、並びに、測定された血糖値が良好であるか等に応じて医師が与えるポイント数が、自己測定支援サーバ6において患者毎に蓄積され、獲得ポイント数に応じて、ゲームのキャラクタ等のオンラインインセンティブが患者に与えられる。
【0049】
日本に限らず世界中の子供達の間で、様々なキャラクタを集めるゲームが人気を博している。従って、このようなゲームのキャラクタをオンラインインセンティブとして供与すれば、小児糖尿病患者にとって、自己測定を毎回定められたとおりに実行し、血糖値をうまくコントロールすべく食事や運動についての医師の指導を守ろうと努力するための、強力な動機付けとなり得る。これにより、糖尿病治療または合併症の発生防止に効果を奏し、社会全体として見た場合、保険医療費抑制にも貢献できるという意義もある。
【0050】
さらに、医療機関の医師にとっては、各患者の血糖値の日々の推移を把握することができ、患者に対して適切な指導が可能となる。また、患者が来院する前に、患者の状態を把握することができるので、効率的な診察が可能となる。さらに、各医療機関にとっては、血糖計1を有する患者にこのシステムを利用させることにより、患者の囲い込みができるという利点もある。
【0051】
(実施の形態2)
前記した実施の形態1では、自己測定支援サーバ6へアクセスすることにより測定データを診た医師がポイントを発行するが、この実施の形態2では、自己測定支援サーバ6において、受信した測定データの分析処理を行う際に併せて、あらかじめ定められた基準に従い、ポイントが発行される。
【0052】
このため、実施の形態2にかかる自己測定支援サーバ6は、図4に示すように、実施の形態1で図2に示した構成に加えて、目標値記憶部39を備えている。目標値記憶部39には、各患者について設定された目標値が記憶されており、ポイント処理部34が、データ分析処理部32による測定データの処理結果と、目標値記憶部39に記憶されている目標値とに基づき、患者に付与すべきポイントを決定し、ポイント記憶部35に記憶されている当該患者のポイントへ加算する。
【0053】
例えば、ある患者に対して、医師から、血糖値を80〜150mg/dlの範囲内でコントロールするよう指導がされていたとする。この場合、医師は、コンピュータ5から、当該患者について血糖値の目標下限値(80mg/dl)および血糖値の目標上限値(150mg/dl)を入力し、これらの値は、自己測定支援サーバ6へ送られ、目標値記憶部39に記憶される。ここで、当該患者のある1日の測定結果が、図5に示すとおりであったものとする。この場合、1日7回の測定中の4回が目標値範囲に入っているので、ポイント処理部34は、当該患者に4ポイントを付与するものと決定し、ポイント記憶部35に記憶されている当該患者のポイント数に、4ポイントを加算する。
【0054】
なお、目標値記憶部39へ記憶する目標値としては、上述の血糖値の目標下限値および目標上限値だけでなく、様々な値を用いることができる。また、上記の例では、血糖値が所定の範囲内にあるか否かという1つの条件のみに基づいてポイントを算出したが、複数の条件を組み合わせて、付与すべきポイントを決定してもよい。
【0055】
例えば、血糖値コントロールに関して、目標下限値および目標上限値に加えて、目標中心値を定め、この目標中心値に血糖値が近づくほど高いポイントを与えるようにしてもよい。例えば、目標中心値を100mg/dlとし、この値に±10mg/dlの範囲であれば3点、それ以外で±20mg/dlの範囲であれば2点、さらにそれ以外でかつ80〜150mg/dlの範囲であれば1点といった具合である。
【0056】
また、この他に、医師に指示されたとおりに規則正しく測定を行っているか否かに応じて付与すべきポイント数を決定することも好ましい。例えば、医師が、1日4回3時間以上間隔をあけて測定することを患者に指示した場合、コンピュータ5に、目標値として、測定回数(4回)および最低測定間隔(3時間)を入力すれば、これらの値が自己測定支援サーバ6へ送られ、目標値記憶部39に記憶される。そして、ポイント処理部34が、データ分析処理部32から、測定データの処理結果として、当該患者の1日の測定回数および測定間隔とを入力し、これらと目標値記憶部39に記憶されている目標値とを対比することにより、付与すべきポイント数を決定する。例えば、測定回数および測定間隔の両方について目標が達成されていれば2ポイント、いずれか一方のみが達成されていれば1ポイントを付与するといった具合である。
【0057】
さらに、患者自身が測定前に血糖値を予測し、予測値と実測値との一致度に応じてポイントを付与する構成としてもよい。この場合、患者は、血糖計1またはゲーム機2の入力ボタンを用いて予測血糖値を入力した後、血糖計1を用いて血糖値の測定を行う。血糖計1は、自己測定支援サーバ6へ、予測血糖値および実測血糖値の両方を送信する。ポイント処理部34は、予測血糖値を目標値記憶部39に記憶されている目標値として扱い、これと実測血糖値との差異を算出し、付与すべきポイント数を決定する。例えば、予測血糖値と実測血糖値との差異が10mg/dl以内であれば3点、20mg/dl以内であれば3点を付与するといった具合である。
【0058】
このように、測定前に血糖値を予測させることは、患者に、自分の生活状況(食事や運動等)が血糖値の変動にどのように影響するかを認識させることができる点で、糖尿病患者教育において大きな効果を発揮するものである。また、上記のように、予測値と実測値との乖離が小さければポイントを付与することにより、血糖値の予測に対する患者の真剣度が増し、前記の効果をより顕著なものとすることができる。
【0059】
上記した各実施形態は本発明を限定するものではなく、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、測定装置としては、前述の血糖計に限らず、任意の測定装置を用いることができる。また、オンラインインセンティブを受領する電子機器の例としてゲーム機を挙げたが、これに限らず、電子機器としての携帯電話にオンラインインセンティブとしてゲームや音楽データ等を送信したり、MP3プレイヤーにMP3ファイルを送信するようにしてもよい。さらに、例えば血糖計とゲーム機の両方の機能を持たせた装置等、測定装置と電子機器とを一体化した一つの装置により本発明を実施することもできる。
【0061】
なお、図1では、医療機関のコンピュータ5がインターネット4を介して自己測定支援サーバ6と接続される構成を例示したが、自己測定支援サーバ6が、コンピュータ5に対してインターネット4のサービスプロバイダとして機能するような構成であってもよい。
【0062】
さらに、図2では、自己測定支援サーバ6が、患者情報記憶部33、分析結果記憶部37、ポイント記憶部35、およびインセンティブ記憶部36等の記憶手段を内蔵している構成を例示したが、これらの記憶部がサーバとは独立した記憶装置やデータサーバ等の外部装置にあってもよい。
【0063】
また、実施の形態1,2では、本発明を装置として実施する例を説明したが、実施の形態1,2で説明した自己測定支援サーバ6の動作をコンピュータに実行させるプログラムとしても、本発明を実施できる。この場合、CD−ROM等の任意の記録媒体に格納したプログラムを任意のコンピュータに読み込ませ、または、通信媒体を用いてプログラムを任意のコンピュータにダウンロードすることにより、当該コンピュータを自己測定支援サーバ6として動作させることができる。
【0064】
以上に説明したように、本発明によれば、自己測定を行う測定装置と通信回線を介して接続される管理装置が、前記測定装置で用いられる消耗品の残量管理および供給、並びに消耗品の状態に応じた測定データの補正を行うことにより、前記測定装置の使用者の負担を軽減する自己測定支援システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 血糖計
1a 接続ケーブル
2 ゲーム機
2a 液晶画面
2b,2c 操作ボタン
3 携帯電話
4 インターネット
5 コンピュータ
6 自己測定支援サーバ
7 通信用ケーブル
31 通信処理部
32 データ分析処理部
33 患者情報記憶部
34 ポイント処理部
35 ポイント記憶部
36 インセンティブ記憶部
37 分析結果記憶部
38 インセンティブ発行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定者の血糖値を測定する測定装置と、
前記測定者が使用するゲーム機能を有する電子機器と、
前記測定装置および前記電子機器のそれぞれと通信媒体を介して接続可能な測定支援サーバとを含む測定支援システムであって、
前記測定装置は、
前記測定者の血糖値を示す測定データを、前記通信媒体を介して前記測定支援装置へ送信し、
前記測定支援サーバは、
測定者毎の獲得ポイントを記憶するポイント記憶部と、
前記測定装置から前記通信媒体を介して、前記測定者の血糖値を示す測定データを受信すると、受信した測定データの評価に応じて付与されるポイントを、前記ポイント記憶部における当該測定者の獲得ポイントに加算するポイント処理部と、
前記通信媒体を介して前記測定者の前記電子機器へ送信され、当該電子機器で前記ゲーム機能のために利用される電子媒体報奨品を記憶する電子媒体報奨品記憶部と、
測定者の獲得ポイントに応じた前記電子媒体報奨品を、前記電子媒体報奨品記憶部から当該測定者の前記電子機器へ前記通信媒体を介して送信する報奨品発行部とを備え、
前記電子機器は、
前記測定者の獲得ポイントに応じた前記電子媒体報奨品を、前記通信媒体を介して前記測定支援サーバから受信すること
を特徴とする測定支援システム。
【請求項2】
前記電子媒体報奨品が、ゲームプログラム、若しくは、ゲームで利用される、キャラクタ、アイテム、音楽データ、画像データ、電子通貨またはクーポンである、請求項1に記載の測定支援システム。
【請求項3】
前記測定支援サーバは、
通信媒体を介して管理機関の情報処理装置に接続され、
当該管理機関において管理者により前記測定データの評価に応じて決定され前記情報処理装置に入力されるポイントを、前記情報処理装置から前記通信媒体を介して受信する受信処理部をさらに備えた、請求項1または2に記載の測定支援システム。
【請求項4】
前記測定支援サーバは、
ポイントの算定基準を記憶する基準値記憶部をさらに備え、
前記ポイント処理部が、前記測定装置から前記通信媒体を介して受信した測定データを、前記基準値記憶部に記憶されている算定基準に従って評価し、当該評価に応じて当該測定者に付与すべきポイントとして決定する、請求項1または2に記載の測定支援システム。
【請求項5】
前記測定支援サーバは、
前記基準値記憶部に血糖値の目標値を記憶し、前記ポイント処理部が、血糖値の実測値が前記目標値に近い場合ほど高いポイントを付与する、請求項4に記載の測定支援システム。
【請求項6】
前記測定支援サーバは、
前記基準値記憶部に、測定者により測定前に入力された血糖値の予測値を記憶し、前記ポイント処理部が、血糖値の実測値が前記予測値に近い場合ほど高いポイントを付与する、請求項4に記載の測定支援システム。
【請求項7】
前記測定支援サーバは、
前記基準値記憶部に、血糖値の測定実行状況に関する目標値を記憶し、前記ポイント処理部が、実際の測定実行状況が前記目標値に近い場合ほど高いポイントを付与する、請求項4に記載の測定システム。
【請求項8】
前記測定装置として血糖値測定器を用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の測定支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−155766(P2012−155766A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115895(P2012−115895)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2001−189862(P2001−189862)の分割
【原出願日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)