説明

測定時間表示装置、測定時間表示方法および測定時間表示プログラム

【課題】生体情報モニタの使用により発生する診療報酬の請求漏れを確実に防止することが可能な測定時間表示装置、測定時間表示方法および測定時間表示プログラムを提供する。
【解決手段】患者の生体情報を時系列的に測定する生体情報測定モニタ120により測定された生体情報に基づいて、当該生体情報の測定時間を測定日単位で算出する測定時間算出部320と、測定時間算出部320で算出した測定時間を記憶する測定時間記憶部360と、測定時間記憶部360に記憶された測定時間、または当該測定時間と診療点数情報記憶部460の情報から判定された診療点数を測定日単位で表示するように制御する表示制御部500とを備える。これにより、生体情報モニタ120の使用目的(アラーム監視目的)の特性により、病棟スタッフが生体情報モニタ120の測定結果をカルテに記入し忘れても、患者の生体情報の測定時間が測定日単位で算出されて表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定時間表示装置、測定時間表示方法および測定時間表示プログラムに関し、例えば、患者の心電図や体温等の生体情報をモニタする生体情報モニタシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
病院などの医療機関では、医師、看護師などの病棟スタッフが、傷病名、投薬、注射、検査、手術などの医療行為の内容(以下、「診療内容」という)をカルテに記入する。近年、多くの医療機関にレセプトコンピュータと呼ばれる処理装置(「医事コンピュータ」ともいう)が導入されており、医療機関の担当者(「医療事務担当者」ともいう)は、カルテをもとに診療内容をレセプトコンピュータに入力して、レセプトコンピュータに記憶されたフォーマットで診療報酬明細書(以下、「レセプト」という)を作成する。
【0003】
例えば、診療内容として、患者の心電図や体温等の生体情報をモニタすることが可能な生体情報モニタにより生体情報の測定を行った場合、病棟スタッフは、その測定された生体情報をカルテに記入する。そして、医療事務担当者は、測定された生体情報が記入されたカルテをもとに診療内容を医事コンピュータに入力してレセプトを作成する。
【0004】
医療機関は、作成されたレセプトを診療報酬請求書(以下、「請求書」という)とともに各都道府県単位の社会保険診療報酬支払基金に提出する。支払基金は、投薬、注射、手術などの請求点数に誤りがないかを点検し、審査委員会が、支払基金にて点検された請求書およびレセプトを審査する。このような審査を終えたレセプトに基づいて、診療報酬額が最終的に決定される。
【0005】
なお、医事会計オペレータにかかる負担を軽減することができ、且つ、医事会計としての過剰請求及び請求漏れ等を防ぐことを可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の技術では、患者の電子カルテ情報と指導料実施情報を同一画面に表示し、医師が該当する指導料実施情報を選択して、これに日付情報を付加した上で医事会計送信指導料情報として、投薬情報および検査情報を含む診療行為情報と共に医事会計装置(すなわち医療事務)へと情報送信する。
【0006】
また、医療機器の稼動状況を分析するシステムに関する技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2に記載の技術では、利用者により選択された医療機器の稼動状況を画面として視覚的に表現することにより、利用者が、詳細な稼動状況を効率的かつ直感的に把握できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4373633号公報
【特許文献2】特許第4469192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、生体情報モニタは、患者の心電図・心拍数、血圧、体温といった生体情報を長時間にわたってモニタリングし、そのデータを保存・解析したり、患者の状態が異常になったときにはアラームで知らせたりする機能を持っている。
【0009】
医師、看護師などの病棟スタッフにおいては、患者の心電図・心拍数、血圧、体温といった生体情報を長時間にわたってモニタリングして患者の状態の変化を把握する目的の他に、患者の状態が異常になったときにアラームで知らせる目的(以下、「アラーム監視目的」という)でも、生体情報モニタを使用している。
【0010】
医師、看護師などの病棟スタッフは、生体情報モニタによって測定された生体情報をカルテに記載する。そして、医療事務担当者においては、カルテに記入された生体情報から生体情報モニタによるモニタリングの実績を判断し、レセプトの作成を行っている。
【0011】
しかし、医師、看護師などの病棟スタッフがアラーム監視目的を主たる目的として生体情報モニタを使用した場合、カルテに生体情報を記載する必然性がないことにより生体情報モニタで測定された生体情報をカルテに記入しない場合があった。また、医療事務担当者においては、カルテに生体情報の記入がない場合、生体情報モニタで測定していないのか記入漏れなのかが判断できず、そのままレセプトを作成してしまう。その結果、診療報酬の請求漏れが発生してしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、生体情報モニタの使用により発生する診療報酬の請求漏れを確実に防止することが可能な測定時間表示装置、測定時間表示方法および測定時間表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る測定時間表示装置は、患者の生体情報を時系列的に測定する生体情報モニタにより測定された生体情報に基づいて、当該生体情報の測定時間を測定日単位で算出する測定時間算出部と、
前記測定時間算出部により算出された前記測定時間、または当該測定時間から判定された診療点数を測定日単位で表示するように制御する表示制御部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る測定時間表示方法は、患者の生体情報を時系列的に測定する生体情報モニタにより測定された生体情報に基づいて、当該生体情報の測定時間を測定日単位で算出する第1のステップと、
前記第1のステップにより算出された前記測定時間、または当該測定時間から判定された診療点数を測定日単位で表示するように制御する第2のステップとを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る測定時間表示プログラムは、患者の生体情報を時系列的に測定する生体情報モニタにより測定された生体情報に基づいて、当該生体情報の測定時間を測定日単位で算出する測定時間算出部と、
前記測定時間算出部により算出された前記測定時間、または当該測定時間から判定された診療点数を測定日単位で表示するように制御する表示制御部として機能させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生体情報モニタの使用目的(アラーム監視目的)の特性により、ユーザ(例えば、病棟スタッフ)が生体情報モニタの測定結果をカルテに記入し忘れても、患者の生体情報の測定時間が測定日単位で算出されて表示される。そのため、その表示を見たユーザ(医療事務担当者)は、生体情報モニタの使用により発生するレセプトの作成漏れを防止することができ、ひいては、生体情報モニタの使用により発生する診療報酬の請求漏れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態における生体情報モニタシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態における診療点数情報の例を示す図である。
【図3】本実施の形態における測定時間算出結果画面の表示例を示す図である。
【図4】本実施の形態における測定時間算出結果画面の表示例を示す図である。
【図5】本実施の形態における測定時間算出結果画面の表示例を示す図である。
【図6】本実施の形態における測定時間表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態における測定時間算出結果画面の表示変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施の形態における生体情報モニタシステム100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、生体情報モニタシステム100は、生体情報モニタ120と測定時間表示装置140とを備えて構成されている。そして、生体情報モニタ120と測定時間表示装置140との間が有線または無線の通信回線にて接続されている。
【0019】
まず、生体情報モニタ120の構成について説明する。図1に示すように、生体情報モニタ120は、生体情報測定部200、生体情報記憶部210、生体情報送信部220および生体情報画面表示制御部230を備えて構成されている。
【0020】
生体情報測定部200は、患者の生体情報を時系列的に測定する。そして、生体情報測定部200は、測定した生体情報を生体情報記憶部210に記憶する。本実施の形態では、生体情報測定部200は、患者の生体情報として、心疾患の診断と治療に役立てるための心電図(ECG、以下「ECG」という)、酸素がどの程度血液に供給されているかを知るための指標である動脈血酸素飽和度(SpO2、以下「SpO2」という)、平静呼吸時の1回呼吸終末部分を採取して得られたガスを分析した終末呼気炭酸ガス濃度(EtCO2、以下「EtCO2」という)、血管にカテーテルを挿入して測定される観血的動脈圧(BP、以下「BP」という)、上腕などにカフ(マンシェット)を巻いて測定される非観血血圧(NIBP、以下「NIBP」という)、カテーテルを上大静脈や下大静脈に留置して測定される中心静脈圧(CVP、以下「CVP」という)、体表や直腸に取り付けた温度プローブで測定される体温(Temp、以下「Temp」という)および肺高血圧症を診断するための観血的肺動脈圧(PAP、以下「PAP」という)を測定する。
【0021】
生体情報送信部220は、生体情報記憶部210に記憶された生体情報に、当該生体情報の測定対象者である患者を一意に特定可能な情報(例えば、患者ID)を関連づけて測定時間表示装置140に送信する。なお、患者IDは、生体情報モニタ120による生体情報の送信前、看護師等により生体情報モニタ120に対して設定される。
【0022】
生体情報画面表示制御部230は、ある測定日において測定された生体情報の表示要求を操作受付部340から受けた場合、当該生体情報を表示する生体情報表示画面を生成してディスプレイ180に表示する。
【0023】
次に、測定時間表示装置140の構成について説明する。図1に示すように、測定時間表示装置140には、操作入力部160およびディスプレイ180が接続されている。
【0024】
操作入力部160は、測定時間表示装置140に対するユーザの指示を入力する。本実施の形態では、操作入力部160は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルやリモコン等の入力装置を含んで構成される。ディスプレイ180は、測定時間表示装置140により生成された測定時間算出結果画面を表示する。
【0025】
測定時間表示装置140は、生体情報受信部300、測定時間算出部320、操作受付部340、測定時間記憶部360、入力測定時間取得部380、入力測定時間記憶部400、特定部420、患者情報記憶部440、診療点数情報記憶部460、測定時間算出結果画面生成部480および表示制御部500を備えて構成されている。
【0026】
生体情報受信部300は、生体情報モニタ120の生体情報送信部220から送信された生体情報を受信する。そして、生体情報受信部300は、受信した生体情報を測定時間算出部320に出力する。
【0027】
測定時間算出部320は、生体情報受信部300から出力された生体情報に基づいて、各生体情報の測定時間を測定日単位で算出する。本実施の形態では、測定時間算出部320は、単に生体情報モニタ120の電源が入っている時間(測定無効時間)を除くため、生体情報受信部300から出力された生体情報を参照し、生体情報の値が有効である時間のみを当該生体情報の測定時間として算出する。そして、測定時間算出部320は、各生体情報について算出した測定日単位の測定時間を測定時間記憶部360に記録する。
【0028】
操作受付部340は、操作入力部160を介して、測定時間算出結果画面を表示させる操作を受け付ける。この場合、操作受付部340は、測定時間算出結果画面を表示させる操作を受け付けた旨を測定時間算出結果画面生成部480に通知する。
【0029】
また、操作受付部340は、操作入力部160を介して、各種の生体情報について測定日単位の測定時間(特許請求の範囲の「第2の測定時間」に対応する、以下「第2の測定時間」という)を入力する操作を受け付ける。この場合、操作受付部340は、入力された測定日単位の第2の測定時間を入力測定時間取得部380に出力する。この入力操作を受け付ける場面としては、例えば、生体情報モニタ120を使用して生体情報の測定が行われた後、病棟スタッフによってカルテに記入された(生体情報の)第2の測定時間と実際の測定時間との間に違いがないかを、レセプトを作成する医療事務担当者が確認したい場面などである。
【0030】
また、操作受付部340は、ディスプレイ180に測定時間算出結果画面が表示されている場合、操作入力部160を介して、測定時間算出結果画面に含まれる測定日の何れかを選択する操作を受け付ける。この場合、操作受付部340は、選択された測定日において測定された生体情報の表示を生体情報モニタ120の生体情報画面表示制御部230に要求する。
【0031】
また、操作受付部340は、ディスプレイ180に測定時間算出結果画面が表示されている場合、操作入力部160を介して、測定時間算出結果画面の表示を終了させる操作を受け付ける。この場合、操作受付部340は、測定時間算出結果画面の表示を終了させる操作を受け付けた旨を表示制御部500に通知する。
【0032】
入力測定時間取得部380は、操作受付部340から測定日単位の第2の測定時間が出力された場合、その第2の測定時間を取得する。そして、入力測定時間取得部380は、取得した第2の測定時間を入力測定時間記憶部400に記録する。
【0033】
特定部420は、入力測定時間記憶部400に第2の測定時間が記憶されている場合(つまり、各種の生体情報について測定日単位の第2の測定時間を入力する操作が行われた場合)、測定時間記憶部360に記憶されている測定時間と、入力測定時間記憶部400に記憶されている第2の測定時間とを比較し、第2の測定時間と一致しない測定時間(つまり、カルテと一致しない測定時間)を特定する。そして、特定部420は、特定した測定時間を測定時間算出結果画面生成部480に出力する。
【0034】
患者情報記憶部440は、複数の患者に関する患者情報を記憶する。本実施の形態では、患者情報記憶部440に記憶される患者情報には、項目情報として、患者を一意に特定可能な「患者ID」、患者の氏名を示す「患者名」、患者に割り当てられた病棟を示す「部門」が含まれる。
【0035】
診療点数情報記憶部460は、各生体情報について、生体情報モニタ120を使用して測定した場合における診療点数の算出基準を示す診療点数情報を記憶する。図2は、本実施の形態における診療点数情報の例を示す図である。
【0036】
図2に示すように、まずECGについては、1日の測定時間が1時間の場合、診療点数が50点であることを示している。また、1日の測定時間が2時間の場合、診療点数が100点であることを示している。また、1日の測定時間が3時間以上である場合、連続する測定の日数が7日以内であるとき、診療点数が150点であることを示している。また、1日の測定時間が3時間以上である場合、連続する測定の日数が8日以上、かつ、14日以内であるとき、診療点数が130点であることを示している。また、1日の測定時間が3時間以上である場合、連続する測定の日数が15日以上であるとき、診療点数が50点であることを示している。
【0037】
次にSpO2については、測定がされた場合、診療点数が1日につき30点であることを示している。次にEtCO2については、測定がされた場合、診療点数が1日につき100点であることを示している。
【0038】
次にBPについては、1日の測定時間が1時間以内の場合、診療点数が130点であることを示している。また、1日の測定時間が1時間を越えた場合、診療点数が260点であることを示している。
【0039】
次にNIBPについては、測定がされた場合、診療点数が1日につき100点であることを示している。CVPについては、1日につき4回以下の測定がされた場合、診療点数が100点であることを示している。また、1日につき5回以上の測定がされた場合、診療点数が200点であることを示している。
【0040】
次にTempについては、測定がされた場合、診療点数が1日につき100点であることを示している。最後にPAPについては、1日の測定時間が2時間以内の場合、診療点数が1時間につき150点であることを示している。また、1日の測定時間が2時間を越えた場合、診療点数が450点であることを示している。
【0041】
測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間算出結果画面を表示させる操作を受け付けた旨の通知を操作受付部340から受けた場合、測定時間記憶部360から取得した測定時間、患者情報記憶部440に記憶されている患者情報、診療点数情報記憶部460に記憶されている診療点数情報に基づいて、各生体情報の測定時間を測定日単位で表示するための測定時間算出結果画面を表形式で生成する。そして、測定時間算出結果画面生成部480は、生成した測定時間算出結果画面を表示制御部500に出力する。
【0042】
本実施の形態では、測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間算出結果画面を生成する際、診療点数が発生する日の視認性を向上させるため、各生体情報について診療点数が発生する日(つまり、生体情報の測定が行われた日)の測定時間を表示する表示欄を色つきで表示する。なお、測定時間算出結果画面生成部480は、各生体情報の視認性を向上させるため、診療点数が発生する日の測定時間を表示する表示欄の色を生体情報毎に異ならせても良い。
【0043】
また、測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間算出結果画面を生成する際、測定時間に応じて診療点数が異なる生体情報について、時間単位で診療点数の算出が必要であることの注意を促すことを目的として、診療点数が発生する日の測定時間を表示する表示欄の色を同一の生体情報内で異ならせる。
【0044】
また、測定時間算出結果画面生成部480は、各種の生体情報について、特定部420から第2の測定時間と一致しない測定時間が出力された場合、測定時間算出結果画面を生成する際、その測定時間が表示される表示欄を強調表示する。
【0045】
図3は、本実施の形態における測定時間算出結果画面の表示例を示す図である。図3に示すように、測定時間算出結果画面は、ある1人の患者に関し、ある月の1日から15日について、各生体情報(ECG、SpO2、BP、CVPなど)の測定時間(分単位)を測定日単位で表示している。なお、測定時間算出結果画面において、表示日数は、10日、半月、1ヶ月等、任意に切り替えることができる。
【0046】
ECGについては、4日、5日〜13日および14日の測定時間がそれぞれ50分、1440分(1日)および150分であることを表示している。測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間算出結果画面を生成する際、診療点数が発生する日の視認性を向上させるため、生体情報(ECG)について診療点数が発生する日(4日〜14日)の測定時間を表示する表示欄を色つきで表示する。
【0047】
ここで、4日および14日の測定時間を表示する表示欄の色と、5日〜13日の測定時間を表示する表示欄の色とを異ならせているのは、4日および14日の測定時間が生体情報(ECG)の診療点数を確定させる測定時間の上限(3時間)未満である一方、5日〜13日の測定時間が当該上限以上だからである。つまり、測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間に応じて診療点数が異なる生体情報(ECG)について、時間単位で診療点数の算出が必要であることの注意を促すため、診療点数が発生する日の測定時間を表示する表示欄の色を同一の生体情報内で異ならせる。
【0048】
また、12日の測定時間を表示する表示欄の枠が他の表示欄に比べて太く強調表示されているのは、その表示欄の測定時間が、操作入力部160から入力された第2の測定時間と異なっていることを示している。この表示を見たユーザ(例えば、医療事務担当者)は、12日の生体情報(ECG)の測定が行われた後、病棟スタッフの手違いによって12日の測定時間がカルテに記入されていないことを容易に把握することができる。
【0049】
Sp02については、4日から14日について測定が行われたことを表示欄の色つきで表示している。つまり、測定時間算出結果画面生成部480は、診療点数が発生する日の視認性を向上させるため、生体情報(Sp02)について診療点数が発生する日(4日〜14日)の測定時間を表示する表示欄を色つきで表示する。なお、4日〜14日の表示欄に測定時間を表示していないのは、生体情報(Sp02)の診療点数が時間単位で確定するものでなく、当該測定時間が不要な情報だからである。
【0050】
BPについては、4日、5日および6日の測定時間がそれぞれ30分、1440分(1日)および80分であることを表示している。測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間算出結果画面を生成する際、診療点数が発生する日の視認性を向上させるため、生体情報(BP)について診療点数が発生する日(4日〜6日)の測定時間を表示する表示欄を色つきで表示する。
【0051】
ここで、4日の測定時間を表示する表示欄の色と、5日および6日の測定時間を表示する表示欄の色とを異ならせているのは、4日の測定時間が生体情報(BP)の診療点数を確定させる測定時間の上限(1時間)以内である一方、5日および6日の測定時間が当該上限を越えているからである。つまり、測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間に応じて診療点数が異なる生体情報(BP)について、時間単位で診療点数の算出が必要であることの注意を促すため、診療点数が発生する日の測定時間を表示する表示欄の色を同一の生体情報内で異ならせる。
【0052】
また、6日の測定時間を表示する表示欄の枠が他の表示欄に比べて太く強調表示されているのは、その表示欄の測定時間が、操作入力部160から入力された第2の測定時間と異なっていることを示している。この表示を見たユーザ(例えば、医療事務担当者)は、6日の生体情報(BP)の測定が行われた後、病棟スタッフの手違いによって6日の測定時間がカルテに記入されていないことを容易に把握することができる。
【0053】
CVPについては、9日、10日および11日の測定時間がそれぞれ30分、1440分(1日)および30分であることを表示している。なお、生体情報(CVP)の診療点数は時間単位でなく測定回数で確定するものであるが、診療点数が発生する日の視認性を向上させるため、生体情報(CVP)について診療点数が発生する日(9日〜11日)の測定時間を表示する表示欄を色つきで表示している。測定時間を表示しているのは、ユーザ(例えば、医療事務担当者)がレセプトの作成の際に参考にする場合があるためである。
【0054】
図4も、本実施の形態における測定時間算出結果画面の表示例を示す図である。図3に示す測定時間算出結果画面との違いは、複数の患者(患者A〜E)について、各生体情報の測定時間(分単位)を一元的に表示している点である。測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間記憶部360から出力された各測定時間に関連づけられた患者IDと、患者情報記憶部440に記憶されている患者情報(患者IDを含む)とを患者IDをキーにして突き合わせることによって、各患者の部門(病棟Aまたは病棟B)、患者IDおよび患者名を各生体情報の測定時間と関連づけて表示させる。なお、各生体情報の測定時間の表示態様については、図3と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
表示制御部500は、測定時間算出結果画面生成部480から出力された測定時間算出結果画面をディスプレイ180に表示する。操作受付部340は、ディスプレイ180に表示している測定時間算出結果画面に含まれる測定日の何れかを選択する操作を受け付けた場合、当該測定日において測定された生体情報の表示を生体情報モニタ120の生体情報画面表示制御部230に要求する。生体情報画面表示制御部230は、選択された測定日において測定された生体情報を表示する生体情報画面を生成し、表示中の測定時間算出結果画面に重畳して表示する。また、表示制御部500は、測定時間算出結果画面の表示を終了させる操作を受け付けた旨の通知を操作受付部340から受けた場合、測定時間算出結果画面の表示を終了させる。
【0056】
図5は、生体情報画面を、表示中の測定時間算出結果画面に重畳して表示する例を示す図である。図5に示すように、8日に測定が行われた生体情報(ECGおよびSpO2)のそれぞれに基づく生体波形600、620を表示する生体情報画面が、表示中の測定時間算出結果画面に重畳して表示されている。この表示を見たユーザ(例えば、医療事務担当者)は、レセプトが不備であることを理由とする返戻等によって、8日に測定が行われた生体情報(ECGおよびSpO2)の詳細情報(生体波形)を確認する必要がある場合でも、病棟スタッフにわざわざ連絡して確認をとってもらう手間をなくすことができる。
【0057】
次に、本実施の形態における測定時間表示装置140の動作について説明する。図6は、本実施の形態における測定時間表示装置140の動作例を示すフローチャートである。例えば、操作入力部160を介して測定時間表示装置140の起動操作が行われることによりステップS100の処理は開始する。
【0058】
まず、操作受付部340は、操作入力部160を介して、測定時間算出結果画面を表示させる操作を受け付けたか否かについて判定する(ステップS100)。もし、測定時間算出結果画面を表示させる操作を受け付けていないと操作受付部340にて判定した場合(ステップS100にてNO)、処理はステップS100に遷移する。
【0059】
一方、測定時間算出結果画面を表示させる操作を受け付けたと操作受付部340にて判定した場合(ステップS100にてYES)、操作受付部340は、測定時間算出結果画面を表示させる操作を受け付けた旨を測定時間算出結果画面生成部480に通知する。次に、測定時間算出結果画面生成部480は、操作受付部340からの通知を受けて、測定時間記憶部360に記憶されている各生体情報の測定時間を測定日単位で取得する(ステップS120)。
【0060】
次に、特定部420は、入力測定時間記憶部400に第2の測定時間が記憶されているか否か(つまり、各種の生体情報について測定日単位の第2の測定時間を入力する操作が行われたか否か)について判定する(ステップS140)。もし、第2の測定時間を入力する操作が行われたと特定部420にて判定した場合(ステップS140にてYES)、特定部420は、測定時間記憶部360に記憶されている測定時間と、入力測定時間記憶部400に記憶されている第2の測定時間とを比較し、第2の測定時間と一致しない測定時間(つまり、カルテと一致しない測定時間)を特定する(ステップS160)。そして、特定部420は、特定した測定時間を測定時間算出結果画面生成部480に出力する。
【0061】
次に、測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間記憶部360から取得した測定時間、患者情報記憶部440に記憶されている患者情報、診療点数情報記憶部460に記憶されている診療点数情報に基づいて、各生体情報の測定時間を測定日単位で表示するための測定時間算出結果画面を表形式で生成する(ステップS180)。その生成の際、測定時間算出結果画面生成部480は、特定部420から出力されている測定時間が表示される表示欄を強調表示する。そして、測定時間算出結果画面生成部480は、生成した測定時間算出結果画面を表示制御部500に出力する。その後、処理はステップS220に遷移する。
【0062】
ステップS140の判定処理に戻って、第2の測定時間を入力する操作が行われていないと特定部420にて判定した場合(ステップS140にてNO)、測定時間算出結果画面生成部480は、測定時間記憶部360から取得した測定時間、患者情報記憶部440に記憶されている患者情報、診療点数情報記憶部460に記憶されている診療点数情報に基づいて、各生体情報の測定時間を測定日単位で表示するための測定時間算出結果画面を表形式で生成する(ステップS200)。そして、測定時間算出結果画面生成部480は、生成した測定時間算出結果画面を表示制御部500に出力する。その後、処理はステップS220に遷移する。
【0063】
ステップS220では、表示制御部500は、ステップS180またはS200の処理後に測定時間算出結果画面生成部480から出力された測定時間算出結果画面をディスプレイ180に表示する。次に、操作受付部340は、操作入力部160を介して、測定時間算出結果画面に含まれる測定日の何れかを選択する操作を受け付けたか否かについて判定する(ステップS240)。もし、測定日の何れかを選択する操作を受け付けていないと操作受付部340にて判定した場合(ステップS240にてNO)、処理はステップS300に遷移する。
【0064】
一方、測定日の何れかを選択する操作を受け付けたと操作受付部340にて判定した場合(ステップS240にてYES)、操作受付部340は、当該測定日において測定された生体情報の表示を生体情報モニタ120の生体情報画面表示制御部230に要求する(ステップS260)。生体情報画面表示制御部230は、表示要求に係る生体情報を表示する生体情報画面を生成して、表示中の測定時間算出結果画面に重畳して表示する(ステップS280)。その後、処理はステップS300に遷移する。
【0065】
ステップS300では、操作受付部340は、操作入力部160を介して、測定時間算出結果画面の表示を終了させる操作を受け付けたか否かについて判定する。もし、測定時間算出結果画面の表示を終了させる操作を受け付けていないと操作受付部340にて判定した場合(ステップS300にてNO)、処理はステップS240に遷移する。一方、測定時間算出結果画面の表示を終了させる操作を受け付けたと操作受付部340にて判定した場合(ステップS300にてYES)、操作受付部340は、測定時間算出結果画面の表示を終了させる操作を受け付けた旨を表示制御部500に通知する。そして、表示制御部500は、操作受付部340からの通知を受けて、測定時間算出結果画面の表示を終了させる。その後、測定時間表示装置140は、図6における処理を終了する。
【0066】
以上詳しく説明したように、本実施の形態の測定時間表示装置140は、患者の生体情報を時系列的に測定する生体情報モニタ120により測定された生体情報に基づいて、当該生体情報の測定時間を測定日単位で算出する測定時間算出部320と、測定時間算出部320で算出した測定時間を記憶する測定時間記憶部360と、測定時間記憶部360に記憶された測定時間を測定日単位で表示するように制御する表示制御部500とを備える。
【0067】
このように構成した本実施の形態によれば、生体情報モニタ120の使用目的(アラーム監視目的)の特性により、ユーザ(例えば、病棟スタッフ)が生体情報モニタ120の測定結果をカルテに記入し忘れても、患者の生体情報の測定時間が測定日単位で算出されて表示される。そのため、その表示を見たユーザ(医療事務担当者)は、生体情報モニタ120の使用により発生するレセプトの作成漏れを防止することができ、ひいては、生体情報モニタ120の使用により発生する診療報酬の請求漏れを確実に防止することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、表示制御部500は、測定時間に代えて、生体情報が測定されたか否かについて測定日単位で色つき表示するようにしている。これにより、測定時間に応じて診療点数が確定しない生体情報(SpO2、NIBPなど)について、診療点数が発生する日の視認性を向上させることができ、ユーザ(医療事務担当者)によるレセプトの作成漏れを確実に防止することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、表示制御部500は、測定時間に加えて、生体情報が測定されたか否かについて測定日単位で色つき表示するようにしている。これにより、測定時間に応じて診療点数が確定する生体情報(ECG、BPなど)について、診療点数が発生する日の視認性を向上させることができ、ユーザ(医療事務担当者)によるレセプトの作成漏れを確実に防止することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、表示制御部500は、特定部420により特定された測定時間を測定日単位で強調表示するようにしている。これにより、その表示を見たユーザ(医療事務担当者)は、生体情報の測定が行われた後、病棟スタッフによって当該生体情報の測定時間がカルテに記入されていないことを容易に把握し、病棟スタッフにそのことについて確認を促すことができる。
【0071】
また、本実施の形態では、図4に示したように、複数の患者(患者A〜E)について、各生体情報の測定時間(分単位)を一元的に表示している。これによれば、患者毎に各生体情報の測定時間を切り換えて表示する場合と比べて、画面を切り換える手間を省くことができるため、ユーザ(医療事務担当者)による確認の便宜を図ることができる。
【0072】
以上に説明した実施の形態による測定時間表示装置140の機能は、ソフトウェアによって実現される。実際には、測定時間表示装置140がCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラム(本発明の「測定時間表示プログラム」に対応)が動作することによって実現できる。なお、本実施の形態の機能を果たすように動作させるプログラムを例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、測定時間表示装置140に読み込ませることによって実現することも可能である。
【0073】
上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、DVD、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また、上記プログラムをインターネット等のネットワークを介して測定時間表示装置140にダウンロードするようにしても良い。
【0074】
なお、上記実施の形態では、測定時間表示装置140が、生体情報モニタ120により測定された生体情報を、生体情報モニタ120から直接的に受信する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、測定時間表示装置140は、生体情報記憶部210と生体情報送信部220とを備えている、複数の生体情報モニタ120により測定された生体情報を集めて蓄積するストレージシステム、または、複数の生体情報モニタ120により測定された生体情報を集めて電子カルテと関連づけて管理する電子カルテシステムを介して、生体情報モニタ120により測定された生体情報を間接的に受信するようにしても良い。
【0075】
また、上記実施の形態では、測定時間算出結果画面において、各生体情報の測定時間を分単位で表示する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、診療点数が時間単位で確定する生体情報については、診療点数の算出を容易にする観点から、各生体情報の測定時間を時間単位で表示するようにしても良い。その他、測定時間と診療点数情報記憶部460に記憶されている診療点数情報から算出した診療点数を、診療点数が発生する日の表示欄に表示するようにしても良い。
【0076】
また、上記実施の形態では、測定時間算出結果画面を表形式で表示する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、測定時間算出結果画面をグラフ表形式で表示するようにしても良い。図7は、測定時間算出結果画面をグラフ表形式で表示する例を示した図である。図7に示すように、生体情報(ECG)の測定について、4日、5日〜13日および14日の測定時間がそれぞれ50分、1440分(1日)および150分であることを表示している。さらに、生体情報(ECG)の診療点数を確定させる測定時間の上限(3時間)を示すライン700を重畳して表示している。このライン700が重畳表示されていることにより、ライン700を下回る4日および15日の測定時間については、時間単位で診療点数の算出が必要であることの注意をユーザ(医療事務担当者)に対して促すことができる。
【0077】
また、上記実施の形態において、測定時間算出結果画面の表示態様は図3、4で示したものに限られず、例えば、ある1人の患者に関し、複数の部門、複数の診療科で測定された各生体情報の測定時間を一元的に表示するようにしても良い。
【0078】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
100 生体情報モニタシステム
120 生体情報モニタ
140 測定時間表示装置
160 操作入力部
180 ディスプレイ
200 生体情報測定部
210 生体情報記憶部
220 生体情報送信部
230 生体情報画面表示制御部
300 生体情報受信部
320 測定時間算出部
340 操作受付部
360 測定時間記憶部
380 入力測定時間取得部
400 入力測定時間記憶部
420 特定部
440 患者情報記憶部
460 診療点数情報記憶部
480 測定時間算出結果画面生成部
500 表示制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生体情報を時系列的に測定する生体情報モニタにより測定された生体情報に基づいて、当該生体情報の測定時間を測定日単位で算出する測定時間算出部と、
前記測定時間算出部により算出された前記測定時間、または当該測定時間から判定された診療点数を測定日単位で表示するように制御する表示制御部とを備えたことを特徴とする測定時間表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記測定時間に加えて、前記生体情報が測定されたか否かについて測定日単位で表示することを特徴とする、請求項1に記載の測定時間表示装置。
【請求項3】
ユーザにより入力された生体情報の測定時間を第2の測定時間として測定日単位で取得する入力測定時間取得部と、
前記入力測定時間取得部により取得された前記第2の測定時間と、前記測定時間算出部により算出された前記測定時間とを比較し、前記第2の測定時間と一致しない前記測定時間を特定する特定部とを更に備え、
前記表示制御部は、前記特定部により特定された前記測定時間、または当該測定時間から判定された診療点数を測定日単位で強調表示するように制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の測定時間表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記測定時間に代えて、前記生体情報が測定されたか否かについて測定日単位で表示することを特徴とする、請求項1に記載の測定時間表示装置。
【請求項5】
患者の生体情報を時系列的に測定する生体情報モニタにより測定された生体情報に基づいて、当該生体情報の測定時間を測定日単位で算出する第1のステップと、
前記第1のステップにより算出された前記測定時間、または当該測定時間から判定された診療点数を測定日単位で表示するように制御する第2のステップとを有することを特徴とする測定時間表示方法。
【請求項6】
患者の生体情報を時系列的に測定する生体情報モニタにより測定された生体情報に基づいて、当該生体情報の測定時間を測定日単位で算出する測定時間算出部と、
前記測定時間算出部により算出された前記測定時間、または当該測定時間から判定された診療点数を測定日単位で表示するように制御する表示制御部として機能させるためのコンピュータ読み取り可能な測定時間表示プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77148(P2013−77148A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216371(P2011−216371)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)
【Fターム(参考)】