説明

測定用長尺状物の位置決め治具

【課題】 表面形状測定装置を介して工作機械のワークテーブル上の加工ワークの真直度を測定する際に使用する被測定物用位置決め治具の提供。
【解決手段】 位置決め治具7は、案内レール8a上をx軸方向に移動可能な基台8b上面の一方の端面近くに、ベース8cを設け、その上の一方の端にキネマカップリング機構9aを、他方の端に高さ位置調整機構9bとチルト機構9cを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、x軸−リニアスケール、y軸−リニアスケール、z軸−リニアスケール、直定規、変位センサ(角度センサも含む)、xy軸テーブルステージ、数値制御装置を備える加工ワーク面の形状測定装置を用い、xy軸テーブルステージ上に載置された被測定物(加工ワーク)表面形状を変位センサなどで測定する際に、数値制御工作機械のワークテーブル上に載置される位置決め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の加工ワーク面の形状測定装置は、通常、加工ワークを恒温室(23.5℃、相対湿度65%)内に持ち込み、変位センサで加工ワークの2点間の傾斜を測定し、変位センサを加工ワーク上面に走査させて加工ワークの長さ方向の真直度を表示板や紙上に表示するものである。
【0003】
上記加工ワークの恒温室内での真直度や表面形状の測定を、工作機械のワークテーブル上で行うことも提案されている。この際、ワークテーブルはxy軸テーブルステージと見做される。
【0004】
例えば、特開2007−327754号公報(特許文献1)は、測定範囲、感度、分解能も同種の2つの非接触型静電容量型変位計A,Bを用い、標準直定規に対してレバー式自律校正法で校正された変位計A,Bの両方をピッチ距離p間離して工作機械の工具頭に変位計A,Bの列がワークテーブルの長手方向に向くよう距離p離して支持し、次の工程を経て被加工物の真直度を測定する方法を提案する。
1)ワークテーブルおよび変位計A,Bの相対的な移動により前記ワークテーブル上に固定された標準直定規表面と各変位計A,Bプロ−ブ間の距離SA(Xi),SB(Xi+p)を検出し、メモリーで記録する。
2)演算部で両者の差{SB(Xi+p)−SA(Xi)}を演算し、被加工物の基準面と非接触型静電容量型変位計Aのプローブ電極間の距離をZ0A、被加工物の基準面と非接触型静電容量型変位計Bのプローブ電極間の距離Z0Bと仮定したときの距離Z0Bと距離Z0Aの差(Z0B−Z0A)として数値制御装置の記憶部(メモリー)に記憶する。
3)前記変位計A,Bを用いて前記ワークテーブル上の被加工物表面と各変位計A,Bのプローブ間の距離m1(Xi)およびm2(Xi+p)を検出し、メモリーする。
4)これら検出値の差m2d(Xi)=〔m2(Xi+p)−m1(Xi)〕を演算し、メモリーする。
5)m2d(Xi)/pを求める式に{SB(Xi+p)−SA(Xi)}を代入する演算を行い、このm2d(Xi)/pを被加工物表面の高さ変位函数f(X)の微分値df(X)/dXとして近似させ、次式で表される微分値を検出されていった各値よりこの導関数を積分していくとともに、メモリーに記録する。
df(X)/dX≒〔f(Xi+p)−f(Xi)〕/p+{SB(Xi+p)−SA(Xi)}/p
6)前式の導関数を積分した変位函数f(X)を、変位計Aにより計測された被加工物表面の真直度変位グラフとして出力するか、そのf(X)値の最大ピ−ク値を被加工物の真直度Sとして出力する。
また、上記真直度Sのデータ値を記憶する数値制御平面研削機械を用い、左右方向に移動可能なワークテーブル上に載置されたワークを、前後方向に移動可能なツールテーブルに搭載された砥石頭を用い、被加工物と砥石頭との相対的な動きにより砥石頭の砥石軸に回転自在に備えられた砥石車によりワーク表面を平面研削する方法であって、
予め、請求項1の工程6)で出力されたf(Xi)の値と、工程1)で検出された変位計AのSA(Xi)および工程3)で検出されたm1(Xi)の値より走査運動誤差Ez(Xi)を次式で演算し、この走査運動誤差Ez(Xi)をメモリーし、
Ez(Xi)=m1(Xi)−f(Xi)+SA(Xi)
ワークテーブル座標位置Xi位置でワークを研削加工する際、ワークの平面研削加工時の砥石車の上下方向移動距離をEz(Xi)の昇降移動補正を成しながら平面研削加工を行うことを特徴とする、ワークの平面研削方法も提案する。
【0005】
特許弟4,452,651号明細書(特許文献2)は、第1被測定物(直定規)と第2被測定物(加工ワーク)とを平行に配置し、前記第1被測定物の表面を逐次3点法により検出可能に3個の第1変位検出手段を配置し、前記第2被測定物を、間にするように位置させた一対の第2変位検出手段と、前記3個の第1変位検出手段のうち特定の第1変位検出手段とを直線上に配置し、
逐次3点法により、第1被測定物と前記3個の第1変位検出手段を相対移動させて、該第1変位検出手段の検出出力に基づき、逐次3点法による前記第1被測定物の表面形状を演算し、
前記第2被測定物を反転する前及び反転した後のそれぞれにおいて、第1及び第2被測定物と、前記一対の第2変位検出手段、及び前記特定の第1変位検出手段を相対移動させて、前記一対の第2変位検出手段と、該特定の第1変位検出手段の検出出力に基づいて、反転法による前記第1被測定物の表面形状を演算し、
前記逐次3点法及び前記反転法による前記第1被測定物の表面形状の演算結果に基づいて零点誤差補償量を算出し、該零点誤差補償量により、逐次3点法による零点誤差補正を行うことを特徴とする逐次3点法における零点誤差補正方法を提案する。
【0006】
また、特開2009−251621号公報(特許文献3)は、工作機械のテーブルに固定され、距離が既知の第一基準部及び第二基準部を有する基準手段と、
前記工作機械の主軸に装着されて前記基準部の位置を計測する基準部位置計測手段と、
前記基準部位置計測手段によって計測された前記第一基準部の位置に基づいて前記主軸と前記テーブルの相対位置のずれを補正する基準位置補正手段とを備える工作機械の基準位置補正装置であって、
前記基準位置補正手段が、前記基準部位置計測手段によって計測された結果に基づいて前記第一基準部と前記第二基準部との基準部間距離を算出し、算出された前記基準部間距離と予め設定する許容範囲とを比較した結果に基づいて前記基準位置の補正の有無を決定するようにしたことを特徴とする工作機械の基準位置補正装置を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−327754号公報
【特許文献2】特許弟4,452,651号明細書
【特許文献3】特開2009−251621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1および特許文献2記載の校正方法において、工作機械のワークテーブル上に治具を用いて被加工物(ワ−ク)や直定規を固定している。数値制御平面工作機械においては、一般にワーク治具として磁気チャックを用いている。
【0009】
特許文献1に記載されるように、測定されたワークの真直度を利用して加工されたワークの補正加工を行うことも提案されている。真直度の誤差は通常、5μm以下である。よって、ワークや直定規の治具としてx軸、y軸、z軸の距離や傾斜を5μm以下の微小な距離変位させることができる治具が存在すれば、x軸リニアスケール、y軸リニアスケール、z軸リニアスケールに合わせて治具されるワークや直定規のワークテーブル上での位置座標を補正することは容易となる。
【0010】
本発明者らは、上記x軸、y軸、z軸の距離や傾斜を5μm以下の微小な距離で変位させることができるワークや直定規を固定することができる治具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1は、案内レール8a上をx軸方向に移動可能な滑走体(基台)8b上面の一方の端面近くに、ベース8cを設けその上にキネマカップリング基部8dを設け、このキネマカップリング基部8dの上面中央に断面V型溝頭部部材8eを搭載し、この断面V型溝頭部部材のV型溝部V中央を突き抜けて1本の半球登頂の移動支点(移動ピン)8gを起立させ、その移動支点8gの根部は前記キネマカップリング基部8dに固定されており、前記キネマカップリング基部の下方に設けた上面傾斜面(固定傾斜ブロック)8hを有する凹部空所8i内に移動傾斜ブロック(楔)8kをx軸方向に移動可能に嵌挿し、この移動傾斜ブロック(楔)8kが移動して前記上面傾斜面(固定傾斜ブロック)と接触する位置により前記半球登頂の移動支点8gのxz−平面上での傾斜角度を変えることを可能としたキネマカップリング機構9aと、
前記滑走体(基台)8b上面の他方の端面近くに、ベース8mを設け、このベース8m上端面近くに旋回調整回転ネジ8lの回動によりxz−平面上で旋回される直方体ブロック8nを設けた高さ位置調整機構9bと、
この直方体ブロック8nの隣に上面にV型溝2個V,Vが60度の角度で直交するように設けた2個のV型溝V,Vを有するxy−平面を旋回可能な直方体ブロック8rを設け、この2個のV型溝の中央に半球頭頂の固定支点(固定ピン)一対8f,8wをその固定支点の根部が前記直方体ブロック8rに固定されるように設け、この直方体ブロック8rを円板8qの中心点O廻りにxy−平面上を旋回可能とするチルト機構9c、
とからなる測定用長尺状物の位置決め治具7であって、
前記移動支点8g半球頂点と一対の固定支点8f,8w半球頂点を結ぶ仮想線は、二等辺三角形を示し、
測定用長尺状物wは、前記キネマカップリング機構9aのV型溝頭部部材8eの上面、高さ位置調整機構9bの直方体ブロック8n上面およびチルト機構9cの直方体ブロック8r上面に跨って載置されることを特徴とする、位置決め治具7を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
変位センサやオートコリメータによる長尺状物wの真直度の測定誤差は、長さ50〜4,500mmの長尺状物wで0.1〜10μm程度の小さい値を示すので、この程度の誤差を校正するに、前記キネマカップリング機構9a、高さ位置調整機構9bおよびチルト機構9cによる0〜1,000μm程度のxy−平面、xz−平面、yz−平面での移動で充分である。また、長尺の被測定物を距離ずづつずらして固定位置の変位センサにより被測定物の真直度を測定する際、位置決め治具7をワークテーブル上に設けた案内レール8a上を滑走させて長い被測定物の真直度を測定することができる。
【0013】
変位センサにより測定された被測定物の表面形状(真直度)が閾値より外れている位置の校正を、位置決め治具1の前記キネマカップリング機構9a、高さ位置調整機構9bおよびチルト機構9cの調整ネジの回動などにより位置調整し、研削砥石で前記閾値から外れている変位部分の被測定物の表面を研削加工することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は位置決め治具を正面側から見た斜視図である。
【図2】図2は位置決め治具の断面図である。
【図3】図3は位置決め治具を背面側から見た斜視図である。
【図4】図3は表面形状測定装置のxy軸テーブルステージ上に位置決め治具を用いて載置された被測定物の上面を変位センサで真直度を測定している状態を示す一部を取り除いた斜視図である。
【図5】図5は被測定物の表面形状(傾き)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、図2および図3において、位置決め治具7は、案内レール8a、その上をx軸方向に移動可能な滑走体(基台)8b、この滑走体上面の左端面近くに、ベース8cを設けその上にキネマカップリング基部8dを設け、このキネマカップリング基部8dの上面中央に断面V型溝頭部部材8eを搭載し、この断面V型溝頭部部材のV型溝部v中央を突き抜けて1本の半球登頂の移動支点(移動ピン)8gを起立させ、その移動支点8gの根部は前記キネマカップリング基部8dに固定されている。
【0016】
キネマカップリング機構9aは、前記キネマカップリング基部8dの下方に設けた上面傾斜面(固定傾斜ブロック)8hを有する凹部空所8i内に移動傾斜ブロック(楔)8kを回動ネジ8sの回動によりx軸方向に移動可能に嵌挿し、この移動傾斜ブロック(楔)8kが移動して前記上面傾斜面(固定傾斜ブロック)8hと接触する位置により前記半球登頂の移動支点8gのxz−平面上での旋回角度0〜10度傾斜させてz軸方向高さを0〜5μm変位させることを可能としている。移動傾斜ブロック(楔)8kのx軸方向移動距離は最大20mm程度で充分である。
【0017】
高さ位置調整機構9bは、前記滑走体(基台)8b上面の右端面近くに、ベース8mを設け、このベース8m上端面近くに旋回調整ネジ8lの回動によりxz−平面上で直方体ブロック8nを旋回させる。旋回調整ネジ8lは雄ネジでその先端は直方体状固定ブロック8pに内蔵されている中空雌ネジ内で旋回できる。
【0018】
前記直方体ブロック8nの隣に上面に2個のV型溝V,Vが60度の角度で直交するように設けたV型溝2個を有するxy−平面を旋回可能な直方体ブロック8rを設け、この2個のV型溝の中央に半球頭頂の固定支点(固定ピン)一対8f,8wをその固定支点の根部が前記直方体ブロック8rに固定されるように設けている。図2の円弧内に描かれるように、チルト角度調整ネジ8sの回動により円柱状チルト軸8qを有する台8jがチルト軸8qの中心点O廻りにxy−平面上を0〜15度左右に旋回させるので前記直方体ブロック8rをxy−平面上で旋回させる。チルト角度調整ネジ8sの半時計廻りの回動により姿勢バネ8zがチルト軸8qを有する台8jに付勢を与えるので台8jは後退する。
【0019】
位置決め治具7の前記移動支点8g半球頂点と一対の固定支点8f,8w半球頂点を結ぶ仮想線は、二等辺三角形を示す。測定用長尺状物wは、前記キネマカップリング機構9aのV型溝頭部部材8e上面、高さ位置調整機構9bの直方体ブロック8n上面およびチルト機構9cの直方体ブロック8r上面に載置される。位置決め治具7の移動支点8gの半球状頭頂、移動支点8f,8wの半球状頭頂および直方体ブロック8rの上面と断面V型溝頭部部材8eの上面は面一になるよう初期設定される。
【0020】
変位センサ、表示器、xy軸テーブルステージ、数値制御装置のセットされたものは、株式会社交洋製作所より高感度マイクロ角度センサ“KMA−20”(商品名)が、株式会社キーエンスより“CMOS レーザアプリセンサIL”(商品名)が、オムロン株式会社よりCMOSレーザタイプ変位センサ“ZS−Lスマートセンサ”(商品名)、小野測器株式会社より“静電容量式非接触変位計VT” (商品名)が入手できる。
【0021】
図4において、位置決め治具7は数値制御平面研削装置のワークテーブル3上に搭載される。2は姿勢表示物体、3はワークテーブル(xy軸テーブルステージ)、4は変位センサである。この変位センサ4は図示されていない表示器付きアンプに連結されており、このアンプはパソコンの数値制御装置に連結されている。真直度の個々の表示および真直度表示線はこのパソコンの表示画面に映し出すことができる。また、プリンターを利用して紙に印刷することもできる。パソコンの数値制御装置は、入力部、記憶部、記録部、演算部、指令部、出力部を備える。x軸−リニアスケール、y軸−リニアスケール、および、z軸−リニアスケールも図示されていない。
【0022】
図4に示す数値制御平面研削装置1を用い、変位センサを用いて加工ワーク(被測定物)表面の真直度を測定し、この真直度から誤差e(x)を取り除く校正は、例えば次の工程を経て行われる。
【0023】
(1).恒温室内で前記姿勢表示物体2の傾斜μ=(μM2−μM1
μM1=αM1+φ
μA2=αM2+φ
μM2−μM1=αM2−αM1
を測定し、この傾斜の値 μ=μM2−μM1=αM2−αM1 を数値制御装置の記録部に送信する。
【0024】
(2).xy軸テーブルステージ3上に搭載された被測定物wの上面に前記姿勢表示物体2を搭載し、変位センサ4により前記姿勢表示物体上の鏡(M)の位置μwM1=αwM1+φを測定する。
【0025】
(3).ついで、前記xy軸テーブルステージ3上で被測定物wを距離dだけx軸左方向に移動し、前記変位センサ4により前記姿勢表示物体上の鏡(M)の位置μwM2=αwM2+φを測定する。
【0026】
(4).被測定物の上に前記姿勢表示物体を載せて変位センサで測定した距離d離間した一対の鏡(M,M)の傾きμwMは、μwM =μwM2−μwM1と演算される。
【0027】
(5).xy軸テーブルステージ3をx軸左方向に走査させ、変位センサ4でxy軸テーブルステージ上の前記被測定物のx軸方向真直度f(x)を測定する。
(x)=f’(x)+fe(x
【0028】
xy軸テーブルステージ3を距離dづつ移動させて変位センサ4下方に位置させる移動は、治具7の滑走体8bを距離dだけx軸左方向に移動させて行ってもよい。
【0029】
この(5)工程の被測定物のx軸方向真直度f(x)の測定は、上記(2)工程前に行っても良いし、上記(2)工程前に行ってこの真直度の最初の距離dの真直度(μwd−μw0)を利用し、上記(3)工程の後に、被測定物の上から前記姿勢表示物体を取り外し、xy軸テーブルステージ3をx軸左方向に走査させ、変位センサ4でxy軸テーブルステージ上の前記被測定物がdだけ移動されている状態からx軸方向真直度f(xi+d)を測定し、前記前記被測定物の0からd距離までの真直度(μwd−μw0)にこの真直度f(xi+d)を合体させてもよい。
【0030】
後者の場合、次の(6)工程で演算される最初にdだけ被測定物や姿勢表示物体を移動させることにより生じる誤差e(x)=e(x)−e(x)を差し引いた真直度f’(x0+d)は、
f’(x0+d)=(μwd−μw0)−{(αM2−αM1)+(μwM2−μwM1)}
と演算される。
【0031】
(6).xy軸テーブルステージをx軸左方向に移動させて被測定物の真直度を変位センサにより測定する校正すべき誤差e(x)は、前記恒温室内で測定した姿勢表示物体の傾斜μと被測定物の上に前記姿勢表示物体を載せて変位センサで測定した距離d離間した一対の鏡(M,M)の傾きμwMの合算した和を演算する。
e(x)=μ+μwM=(αM2−αM1)+(μwM2−μwM1
【0032】
(7).前記(5)工程で測定した真直度f(x)の値より前記(6)工程で得た誤差e(x)を差し引く校正を行う。
f’(x)=f(x)−fe(x
【0033】
(8).上記(7)工程で演算した真直度f’(x)を表示板に映し出す、または紙に印刷する。
【0034】
なお、実験で用いた被測定物のx軸方向の長さは、1,500mm、姿勢表示物体2の一対の鏡間の距離dは100mmであったので、被測定物をd距離づつ移動させた回数(n)は15回である。また、被測定物の真直度測定時の工場建屋内に設置された数値制御平面研削装置のワークテーブル3近傍の環境は、温度が25±3℃、相対湿度55%であった。
【0035】
校正された被測定物のx軸方向の真直度を図5aに示す。図5aより真直度の最大高さは3.84μmと読み取れる。図5aに示される真直度f’(x)より、前記(5)工程で測定された被測定物の真直度f(x)を差し引いた値は、表面測定装置の運動誤差e(x)に相当する。この運動誤差e(x)を図5bに示す。
【0036】
よって、測定された被測定物(加工ワーク)の平面の平滑度を更に平坦にする補正研削加工を行う場合、ワークテーブル3上に載置された位置決め治具7上に被測定物を載せ、この位置決め治具7で上記運動誤差e(x)を打ち消すよう被測定物の位置座標を変更しながら被測定物の研削加工を実施すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の被測定物の位置決め用治具は、被測定物のx,y,z軸座標位置を微小な移動量でx軸リニアスケール、y軸リニアスケール、z軸リニアスケールの座標に適合させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 数値制御平面研削装置
2 姿勢表示物体
3 ワークテーブル(xyテーブルステージ)
4 変位センサ
7 位置決め治具
8a 案内レール
8b 滑走体(基台)
9a キネマカップリング機構
9b 高さ位置調整機構
9c チルト機構
w 被測定物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内レール(8a)上をx軸方向に移動可能な滑走体(8b)上面の一方の端面近くに、ベース(8c)を設けその上にキネマカップリング基部(8d)を設け、このキネマカップリング基部(8d)の上面中央に断面V型溝頭部部材(8e)を搭載し、この断面V型溝頭部部材のV型溝部(V)中央を突き抜けて1本の半球登頂の移動支点(8g)を起立させ、その移動支点(8g)の根部は前記キネマカップリング基部(8d)に固定されており、前記キネマカップリング基部の下方に設けた上面傾斜面(8h)を有する凹部空所(8i)内に移動傾斜ブロック(8k)をx軸方向に移動可能に嵌挿し、この移動傾斜ブロック(8k)が移動して前記上面傾斜面(8h)と接触する位置により前記半球登頂の移動支点(8g)のxz−平面上での傾斜角度を変えることを可能としたキネマカップリング機構(9a)と、
前記滑走体(8b)上面の他方の端面近くに、ベース(8m)を設け、このベース(8m)上端面近くに旋回調整回転ネジ(8l)の回動によりxz−平面上で旋回される直方体ブロック(8n)を設けた高さ位置調整機構(9b)と、
この直方体ブロック(8n)の隣に上面にV型溝2個(V,V)が60度の角度で直交するように設けた2個のV型溝(V,V)を有するxy−平面を旋回可能な直方体ブロック(8r)を設け、この2個のV型溝の中央に半球頭頂の固定支点一対(8f,8w)をその固定支点の根部が前記直方体ブロック(8r)に固定されるように設け、この直方体ブロック(8r)を円板状回転軸(8q)の中心点O廻りにxy−平面上を旋回可能とするチルト機構(9c)、
とからなる測定用長尺状物の位置決め治具7であって、
前記移動支点(8g)の半球頂点と一対の固定支点(8f,8w)の半球頂点を結ぶ仮想線は、二等辺三角形を示し、
測定用長尺状物(wは)、前記キネマカップリング機構(9a)のV型溝頭部部材(8e)の上面、高さ位置調整機構(9b)の直方体ブロック(8n)上面およびチルト機構(9c)の直方体ブロック(8r)上面に跨って載置されることを特徴とする、位置決め治具(7)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−81570(P2012−81570A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232039(P2010−232039)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(391011102)株式会社岡本工作機械製作所 (161)
【Fターム(参考)】