説明

測定結果表示方法および分析装置

【課題】容易に測定結果を確認できる測定結果表示方法を提供すること。
【解決手段】検体と試薬とを分注して血液凝集反応させる反応容器を複数有する基板を用いて、各反応容器内で生じた血液凝集反応を撮像して得られた測定結果を画面に表示する測定結果表示方法であって、入力された抽出項目に対応する測定結果を、該抽出項目に対応する判定単位で抽出し、抽出された前記測定結果を出力することで、一画面に指定した測定結果のみを表示することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置の免疫学的凝集反応の測定結果表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液などの検体の成分を分析する際には、ウェルと呼ばれる複数の反応容器がマトリックス状に配設されて成るマイクロプレートまたは反応容器を複数保持する反応カードが用いられる。マイクロプレートの各ウェルまたは反応カードの各反応容器には、分析対象の物質を含む検体、および分析対象の物質と抗原抗体反応を起こす物質を含む反応試薬が分注される。そして、この分注から所定時間経過した後、ウェルまたは反応容器内で生じた凝集反応の有無をCCDカメラ等の撮像手段によって撮像し、この撮像によって得た画像データを用いて検体の成分の分析を行う。
【0003】
ところで、撮像された凝集反応の有無は、モニタ等で確認することができる。また、モニタでは、1つのマイクロプレートの各ウェルの凝集反応像を確認できるとともに、1つのウェルの反応像も確認することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3209673号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示した確認方法では、一画面で確認できる測定結果がマイクロプレート単位であり、プレートに分注した複数の検体の測定結果が一画面上に表示される。分析担当者は、複数の検体の測定結果の中から確認すべき検体の測定結果を追って確認する必要があり、一画面上に複数の検体が表示されることで、分析担当者が測定結果を読み違えるおそれがあった。また、1つの検体の測定結果が複数のプレートに跨った場合、分析担当者は複数の画面で測定結果を確認する必要があった。なお、反応カードにおいてもカードごとの表示となり、不規則抗体等の分析で複数のカードを用いると、別途画面表示させて確認する必要があり、測定結果の確認に時間と労力を要していた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容易に測定結果を確認できる測定結果表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、検体と試薬とを分注して血液凝集反応させる反応容器を複数有する基板を用いて、各反応容器内で生じた血液凝集反応を撮像して得られた測定結果を画面に表示する測定結果表示方法において、入力された抽出項目に対応する測定結果を、該抽出項目に対応する判定単位で抽出する抽出ステップと、抽出された前記測定結果を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる測定結果表示方法は、上記の発明において、前記測定結果は、抽出された項目の前記反応容器単位で撮像された撮像画像と、該撮像画像から読み取った反応判定結果とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる測定結果表示方法は、上記の発明において、前記抽出ステップは、予め入力された前記抽出項目を、分析が終了した項目から順に抽出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる測定結果表示方法は、上記の発明において、前記出力ステップは、前記抽出項目に対応する前記判定単位が、複数の前記測定結果で構成される場合、前記判定単位の総合判定を出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる分析装置は、上記の発明において、検体と試薬とを分注して血液凝集反応させる反応容器を複数有する基板を用いて、各反応容器内で生じた血液凝集反応を撮像して得られた測定結果を画面に表示する分析装置において、抽出する測定結果の抽出項目を入力する入力手段と、前記測定結果と判定単位との関係を記憶する記憶手段と、前記記憶手段の関係を参照して、入力された抽出項目の測定結果を、該抽出項目に対応する判定単位で抽出する抽出手段と、抽出された前記測定結果を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる分析装置は、上記の発明において、前記測定結果は、抽出された項目の前記反応容器単位で撮像された撮像画像と、該撮像画像から読み取った反応判定結果とを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる分析装置は、上記の発明において、前記抽出手段は、予め入力された前記抽出項目を、分析が終了した項目から順に抽出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる分析装置は、上記の発明において、前記出力手段は、前記判定単位が複数の前記測定結果で構成される場合、前記判定単位の総合判定を出力することを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる分析装置は、上記の発明において、前記基板は、マイクロプレートであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる分析装置は、上記の発明において、前記基板は、反応カードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、抽出項目のみを一画面に表示するようにしたので、容易に正確な測定結果の確認ができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0019】
図1は、本実施の形態にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる分析装置1は、分析対象である検体および試薬を、マイクロプレート20の所定のウェルWにそれぞれ分注し、ウェルW内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行う制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の免疫学的な分析を自動的に行う。なお、マイクロプレート20は、アクリル等の透明な材料によって構成したプレートで、その表面に開口したウェルWと称する孔を多数有する。ウェルWは、検体を収容するもので傾斜面が形成された孔であり、マイクロプレート20の表面にマトリクス状に配列されている。
【0020】
測定機構2は、大別してプレート搬送レーン10、検体移送部11、検体分注機構12、試薬移送部13、試薬分注機構14、反応促進部15、測光部16およびプレート回収部17を備える。また、制御機構3は、制御部31、出力部32、分析部33、抽出部34、送受信部35、入力部36および記憶部37を備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0021】
プレート搬送レーン10は、マイクロプレート20における各ウェルWへの検体や試薬の分注、ウェルW内の液体の反応促進および測光を行うためにマイクロプレート20を所定の位置まで搬送する。このプレート搬送レーン10は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、たとえば図1中の矢印に示すように左方向にマイクロプレート20を搬送する。
【0022】
検体移送部11は、検体を収容した複数の検体容器11aを保持し、図中の矢印方向に順次移送される複数の検体ラック11bを備える。検体容器11aに収容された検体は、検体の提供者から採取した血液に抗凝固剤を加え遠心分離を行い、上澄み液となる血漿と堆積物となる血球(赤血球)粒子とに分離したものである。検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11a内の検体は、検体分注機構12によって、プレート搬送レーン10上に配列して搬送されるマイクロプレート20の所定のウェルWに分注される。
【0023】
検体容器11aの側面部には、検体容器11aに収容された検体に関する検体情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。検体情報は、たとえば、検体を提供した患者の氏名、性別、年齢、分析項目などがある。
【0024】
検体移送部11の対応箇所には、この記録媒体を光学的に読み取る検体読取部11cが設けられている。検体読取部11cは、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、検体読取部11cは、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。検体読取部11cは、この検体読取部11cの前を通過する際に、検体容器11aに付された記録媒体の情報を読み取る。
【0025】
検体分注機構12は、検体の吸引および吐出を行うプローブ12b,12cが先端部に取り付けられたアーム12aと、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構12は、上述した検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11aの中からプローブ12b,12cによって検体を吸引し、アーム12aを図中、上下方向に移動させ、各ウェルWに検体を吐出して分注を行う。なお、プローブ12bは、検体容器11a内の血清を吸引および吐出し、プローブ12cは、検体容器11a内の血球粒子を吸引および吐出する。
【0026】
試薬移送部13は、マイクロプレート20中における各ウェルWに分注される試薬がそれぞれ収容された試薬セット13aを試薬分注機構14による試薬吸引位置まで移送する。試薬セット13aには、各種の分析項目に応じて所要の試薬がそれぞれ所定量収容され、1セットの試薬セット13aに含まれる各試薬は、所定回数の分注に対応する場合のほか、一度の分注に対応する場合もある。試薬移送部13は、所定回数の分注処理が終了した試薬セット13aを回収し、次に分注対象となる試薬セット13aを試薬吸引位置まで移送する。
【0027】
試薬セット13aの側面部には、試薬セット13aに収容された各試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。試薬移送部13の対応箇所には、この記録媒体を光学的に読み取る試薬読取部13bが設けられている。試薬読取部13bは、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、試薬読取部13bは、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。
【0028】
試薬分注機構14は、試薬の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアーム14aを備える。アーム14aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。試薬分注機構14は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。試薬分注機構14は、試薬移送部13上の所定位置に移動された試薬セット13a内の試薬を対応する各プローブによって吸引し、アーム14aを図中反時計回りに旋回させ、プレート搬送レーン10上の所定位置に搬送されたマイクロプレート20の各ウェルWに対応する各試薬を吐出して分注を行う。
【0029】
反応促進部15は、マイクロプレート20に分注された検体および試薬の反応を促進し、抗原抗体反応を行わせ、マイクロプレート20の各ウェルW底面に凝集パターンを形成させる。反応促進部15は、たとえば、マイクロプレート20を振動させてウェルW内の検体および試薬を攪拌する。また、反応促進部15は、たとえば、分析方法の内容に対応させた所定時間の間、マイクロプレート20を静置し、血球粒子の自然沈降などを促進する。また、反応促進部15は、たとえば、所定の磁場を印加することによってウェルW内に存在する微粒子を操作する。
【0030】
測光部16は、反応促進部15において形成された凝集パターンを測光検出する。測光部16は、たとえばCCDカメラによって構成され、マイクロプレート20の各ウェルWを上方から撮像し、各ウェルWに形成された凝集パターンを撮像した画像情報を出力する。また、測光部16は、マイクロプレート20の各ウェルWに所定の光を照射する発光部と各ウェルW内の検液に発生する光を受光する受光部とを備え、検液に発生した光の輝度を測光結果として出力してもよい。
【0031】
プレート回収部17は、測光部16による測光処理が終了したマイクロプレート20を回収する。回収されたマイクロプレート20は、図示しない洗浄部によって、各ウェルWの混合液の吸引および排出、洗浄液の注入および吸引によって洗浄される。洗浄されたマイクロプレート20は再利用される。なお、検査内容によっては1回の測定終了後にマイクロプレート20が廃棄される場合もある。
【0032】
つぎに、制御機構3について説明する。制御部31は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。また、制御部31は、表示制御部311を有する。表示制御部311は、抽出部34によって抽出された測定結果の表示の制御を行う。
【0033】
出力部32は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、分析部33が生成した分析情報を含む諸情報を出力する。また、抽出部34によって抽出された画像情報を画面に出力する。
【0034】
分析部33は、測光部16によって測定された測光結果をもとに抗原抗体反応を分析する。なお、分析部33は、測光部16が画像情報を出力する場合、測光部16によって出力された画像情報を処理し、検体の輝度に応じた測光値を取得する。また、分析部33は、凝集反応の陰性、陽性の判定に用いる、SPC(中心部の像のエッジの明りょうさ)、P(周辺部の明るさ)、C(中心部の明るさ)、LIA(中心部の像の面積)等のパラメータを算出し、記憶されているSPC,P,C,LIAの各パラメータの閾値と比較する。なお、SPC,P,Cのパラメータは、0〜99の値で求められ、LIAのパラメータは0〜999の値で求められる。算出したパラメータの数値と、パラメータの閾値とを比較して、検査項目ごとに+(陽性)、−(陰性)、不明(陽性と陰性の間であってどちらとも判定できない場合)に判定可能である。
【0035】
抽出部34は、制御部31に入力部36からの抽出項目の入力があった場合、関係テーブルT1を参照しながら撮像画像データベースD1から当該抽出項目を抽出する。抽出した撮像画像は、出力部32に出力される。
【0036】
送受信部35は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行うインターフェースとしての機能を有する。入力部36は、キーボード、マウス、マイクロフォン等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。また、画面に表示するための抽出項目を制御部31に出力する。
【0037】
記憶部37は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成される。記憶部37は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。また、記憶部37は、関係テーブルT1と撮像画像データベースD1とを有する。関係テーブルT1は、各検査項目に対する各試薬の関係を記憶する。たとえば、検査項目がABO式血液型である場合、抗A抗体並びに抗B抗体、及びA血球並びにB血球が関係試薬として記憶される。抽出部34は、入力された抽出項目を抽出する場合、関係テーブルT1を参照して当該項目に対応する情報を抽出する。撮像画像データベースD1は、測光部16によって撮像された撮像画像に陰性または陽性の判定結果及び検体ID、検査項目と関連付けた画像情報を記憶する。
【0038】
以上のように構成された分析装置1では、順次搬送される複数のマイクロプレート20に対して、検体分注機構12が検体容器11a中の検体を分注し、試薬分注機構14が試薬セット13a中の各試薬を分注した後、測光部16が検体と試薬とを反応させた状態の検体の輝度測定を行い、この測定結果を分析部33が分析することで、検体の抗原抗体反応分析等が自動的に行われる。
【0039】
ここで、分析処理終了後に測定結果を表示させる測定結果表示処理を、図2を参照して説明する。図2は、測定結果表示処理を示すフローチャートである。
【0040】
まず、制御部31は、入力部36に測定結果を表示する検体IDが入力されたか否かを確認する(ステップS102)。入力部36に検体IDの入力があった場合(ステップS102:Yes)、制御部31は、入力された検体IDの測定結果を抽出するよう抽出部34に指示する(ステップS104)。その後、制御部31は、抽出された検体IDの測定結果に対して、表示する検査項目が入力されているか否かを確認する(ステップS106)。入力部36に検査項目の入力があった場合(ステップS106:Yes)、制御部31は、抽出された測定結果から指定された検査項目を抽出するよう抽出部34に指示を出す(ステップS108)。指定された検体IDおよび検査項目の抽出が完了すると、制御部31は、抽出された測定結果を表示するよう表示制御部311に指示を出す(ステップS110)。
【0041】
ここで、ステップS102において検体IDの入力がない場合(ステップS102:No)、制御部31は、ステップS110に移行し、マイクロプレート単位で測定結果を表示するよう表示制御部311に指示を出す。また、ステップS106において検査項目の入力がない場合(ステップS106:No)、制御部31は、ステップS110に移行して、指定された検体IDの全測定結果を表示するよう表示制御部311に指示を出し、測定結果を表示する。なお、検体IDを2つ以上入力可能としてもよい。
【0042】
また、図3は、測定結果表示処理で画面に表示される一例を示す模式図である。分析が終了すると、画面に測定結果が表示される。検体IDまたは検査項目の指定がない場合、画面に出力される測定結果は、マイクロプレート単位で表示される。ここで、表の列は、各試薬を示し、行は同一検体IDの測定結果を示している。また、各画像の右側に当該凝集反応の陰性または陽性の結果が表示され、対応する総合判定結果が表の右側に表示される。なお、ABO式血液型およびRho(D)血液型は、表1,2に示す各試薬判定結果の組み合わせによって総合判定される。表1は、ABO式血液型の各試薬の陰性(−)および陽性(+)の組み合わせを示し、表2は、Rho(D)血液型の陰性および陽性の組み合わせを示しており、各試薬の陰性および陽性の結果を組み合わせて総合的に判定して総合判定を決定する。また、図3に示す画面の総合判定は、表1に示す関係性をもとに、抗A抗体(−A)、抗B抗体(−B)、A血球(Acell)、B血球(Bcell)に対する凝集反応を総合して判定されたABO式血液型判定結果が出力され、表2に示す関係性をもとに、抗D抗体(−D)と対照(Ref)との凝集反応を総合して判定されたRho(D)血液型判定結果が出力される。なお、各撮像画像を選択すると、選択画像がポップアップ表示され、拡大された撮像画像を表示することができ、各凝集反応を確認することができる。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
入力ボックスIb1は、抽出する検体IDの入力が可能であり、検体IDを入力し、表示ボタンB1を押下することで当該検体IDの測定結果を表示することができる。また、検体IDの入力がない場合は、画面上で選択されている選択部Pにおける画像に対応した検体IDが入力ボックスIb1に表示される。また、状況に応じてヘルプボタンB3を押下して、操作の確認を行い、作業を終了するときは終了ボタンB4を押下する。
【0046】
ここで、表示された検査項目を指定する場合は、項目選択ボタンB2を押下することで項目の選択を行うことができる。図4は、項目選択ボタンB2を押下すると表示されるポップアップの一例を示す模式図である。各項目にチェックボックスを設け、表示する項目のチェックボックスを選択し、OKボタンB5を押下することで図3に示す画面に当該項目の測定結果を表示することができる。全項目の測定結果を表示する場合は、チェックボックスCb1を選択し、OKボタンB5を押下する。また、血液型の測定結果を表示する場合はチェックボックスCb2を選択することで表示が可能であり、ABO式血液型の測定結果を表示する場合はチェックボックスCb21を選択し、Rho(D)血液型の測定結果を表示する場合はチェックボックスCb22を選択する。また、不規則抗体スクリーニングの測定結果を表示させる場合は、チェックボックスCb3を選択して表示させる。ここで、チェックボックスCb31〜33をそれぞれ選択すると、各測定法(抗グロブリン法、酵素法、食塩液法)の測定結果を表示することができる。なお、項目選択をキャンセルする場合は、キャンセルボタンB6を押下する。
【0047】
図5,6は、図3に示した測定結果をもとに検体ID及び検査項目を抽出して表示した画面を示す模式図である。図5は、図3の一つの検体IDの測定結果を抽出して表示した模式図である。入力ボックスIb1に検体IDを入力し、表示ボタンB1を押下することで、指定した検体IDの測定結果を表示する。また、表示された測定結果に合わせて、画面右に判定結果が表示される。
【0048】
ここで、図5に示す画面で項目選択ボタンB2を押下し、項目を選択すると、図6に示す画面が表示される。図6は、図4におけるチェックボックスCb21を選択し、ABO式血液型の測定結果を表示した画面を示す模式図である。図4においてチェックボックスCb21を選択すると、抽出部34は、抽出項目に対応する画像情報の関係性を、関係テーブルT1を参照して撮像画像データベースD1から抽出する。ABO式血液型の場合、検査項目の判定に抗A抗体(−A)、抗B抗体(−B)、A血球(Acell)、B血球(Bcell)を必要とするため、抽出部34は、上述した4項目に対応する画像情報を抽出して出力する。また、判定結果は、総合判定として表示される。
【0049】
なお、測定結果表示処理は、分析処理時に指定する検体IDの測定結果表示を行うこともできる。図7は、分析処理時に指定する検体IDの測定結果を表示する分析処理時結果表示処理を示すフローチャートである。
【0050】
まず、制御部31は、分析処理を行った(ステップS202)後、分析部33から測定結果を受信すると、入力部36に測定結果を表示する検体IDの指定があるかを確認する(ステップS204)。表示する検体IDが指定されている場合(ステップS204:Yes)、制御部31は、指定された検体IDの測定結果を抽出するよう抽出部34に指示する(ステップS206)。当該検体IDの測定結果を抽出すると、制御部31は、当該検体IDの測定結果に関連検査指示があったか否かを確認する(ステップS208)。ここで、当該検体IDに関連検査の指示がある場合(ステップS208:Yes)、制御部31は、分析部33からの判定処理を待ち、抽出部34に当該検体IDの関連検査結果を抽出させる(ステップS210)。関連検査の測定結果の抽出が完了すると(ステップS210:Yes)、制御部31は、抽出した測定結果を表示するよう表示制御部311に指示を出す(ステップS212)。その後、制御部31は、次検体の分析指示があるか否かを確認し、次検体の分析指示がある場合(ステップS214:Yes)、ステップS202に移行して分析処理を行う。なお、次の分析指示がない場合(ステップS214:No)、制御部31は、作業を終了する。
【0051】
なお、ステップS204において、検体IDの指定がない場合(ステップS204:No)、制御部31は、ステップS212に移行して、測定結果をマイクロプレート単位で表示するよう表示制御部311に指示を出す。また、ステップS208において、当該検体IDに関連検査指示がない場合(ステップS208:No)、制御部31は、ステップS212に移行して、ステップS206で抽出された測定結果を画面に表示するよう表示制御部311に指示を出す。ここで、関連検査は、不規則抗体スクリーニングによって陽性であった場合の不規則抗体同定検査の結果を指す。なお、分析処理における再検査の結果を表示させてもよい。
【0052】
また、上述した測定結果表示方法は、複数の反応容器を有する反応カードにおいても適用できる。図8は、反応カード6を用いる分析装置4を示す模式図であり、図9は、反応カード6を模式的に示す斜視図である。
【0053】
分析装置4は、検体容器、試薬容器、希釈液容器などの各種容器を保持するターンテーブル40と、細管状のプローブを用いて検体や試薬を分注する分注機構43と、検体および試薬を分注する未使用の反応カード6を複数貯蔵する反応カード貯蔵部44と、反応カード6を搭載可能であり、搭載した反応カード6に遠心力を加える遠心器45と、遠心器45の遠心動作によって生じた反応像を測定する測定部46と、測定部46による測定が終了した反応カード6を廃棄する反応カード廃棄部47と、反応カード6を移送する反応カード移送機構48と、分析装置4全体の制御を行うとともに、測定結果の分析を行う制御機構5とを備える。
【0054】
また、分注機構43は、プローブを洗浄するプローブ洗浄部42と、検体と希釈液とを混和させることによって検体を希釈する検体希釈部41とを有する。分析において、検体を希釈する必要がある場合、検体希釈部41によって検体が希釈される。
【0055】
分注機構43は、検体、試薬、希釈液の吸引および吐出を行う細管状のプローブ431と、プローブ431を保持するプローブ保持部432と、プローブ保持部432を図8のy軸方向およびz軸方向へ移動自在に支持するアーム433と、アーム433の基端部を図8のx軸方向へ移動自在に支持するアーム保持部434とを有する。プローブ431は、ターンテーブル40上の検体容器、試薬容器、希釈液容器にそれぞれ収容されている検体、試薬、希釈液を吸引するとともに、遠心器45が保持する反応カード6に希釈された検体や試薬を吐出する。プローブ431は、プローブ保持部432およびアーム433の動作により、検体希釈部41やプローブ洗浄部42にも到達可能である。なお、検体、試薬、希釈液の分注をそれぞれ別の分注機構によって行う構成としてもよい。
【0056】
遠心器45は、円形表面を有して複数の反応カード6を保持し、回転によって各反応カード6に遠心力を加える回転ヘッドを有する。
【0057】
測定部46はCCDカメラ461を有し、反応カード移送機構48によって遠心器45から移送されてきた反応カード6の反応像を撮像して分析部53へ送信する。
【0058】
反応カード移送機構48は、反応カード6を把持する反応カード把持部481と、反応カード把持部481を図8のx軸方向およびz軸方向へ移動自在に支持するアーム482と、アーム482の基端部を図8のy軸方向へ移動自在に支持するアーム保持部483とを有する。反応カード移送機構48は、反応カード貯蔵部44が収容する反応カード6の遠心器45への移送、遠心器45で遠心が終了した反応カード6の測定部46への移送、および測定部46で測定が終了した反応カード6の反応カード廃棄部47への移送を行う機能を有している。なお、アーム482は、図8のz軸方向で分注機構43のアーム433と干渉することがない位置に配置されている。
【0059】
つぎに、制御機構5について説明する。制御部51は、CPU等を用いて構成され、分析装置4の各部の処理および動作を制御する。制御部51は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。また、制御部51は、表示制御部511を有する。表示制御部511は、抽出部54によって抽出された測定結果の表示の制御を行う。
【0060】
出力部52は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、分析部53が生成した分析情報を含む諸情報を出力する。また、抽出部54によって抽出された画像情報を画面に出力する。
【0061】
分析部53は、測定部46によって測定された測光結果をもとに抗原抗体反応を分析する。なお、分析部53は、測定部46が画像情報を出力する場合、測定部46によって出力された画像情報を処理し、検体の輝度に応じた測光値を取得する。また、分析部53は、凝集反応の陰性、陽性の判定に用いるパラメータを閾値と比較して、検査項目ごとに4+〜1+(陽性)、−(陰性)、不明(陽性と陰性の間であってどちらとも判定できない場合)に判定可能である。
【0062】
抽出部54は、制御部51に入力部56からの抽出項目の入力があった場合、関係テーブルT2を参照しながら撮像画像データベースD2から当該抽出項目を抽出する。抽出した撮像画像は、出力部52に出力される。
【0063】
送受信部55は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行うインターフェースとしての機能を有する。入力部56は、キーボード、マウス、マイクロフォン等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。また、画面に表示するための抽出項目を制御部51に出力する。
【0064】
記憶部57は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置4が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成される。記憶部57は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。また、記憶部57は、関係テーブルT2と撮像画像データベースD2とを有する。関係テーブルT2は、各検査項目に対する各試薬の関係を記憶する。たとえば、検査項目が不規則抗体スクリーニングである場合、抗グロブリン法、酵素法、食塩液法による各測定結果が関係検査項目として記憶される。抽出部54は、入力された抽出項目を抽出する場合、関係テーブルT2を参照して当該項目に対応する情報を抽出する。撮像画像データベースD2は、測定部46によって撮像された、図9に示す反応カード6の各分離部612の撮像画像に陰性または陽性の判定結果及び検体ID、検査項目と関連付けた画像情報を記憶する。
【0065】
以上のように構成された分析装置4では、順次搬送される複数の反応カード6に対して、分注機構43がターンテーブル40に保持されている検体容器、試薬容器中の検体及び試薬を分注した後、遠心器45で反応カード6に遠心力を付加して反応物を移動させ、測定部46が検体と試薬とを反応させた状態の検体の撮像測定を行い、この測定結果を分析部53が分析することで、検体の抗原抗体反応分析等が自動的に行われる。
【0066】
図9に示す反応カード6は、カード状をなす本体部60と、本体部60の上端平面部に開口を有する反応容器61と、本体部60に貼付され、識別用のバーコードやロット番号、有効年月日等が印刷されているとともに、検体の情報や反応結果の記載欄を有するシール62とを有する。反応容器61は、略円筒形状をなし、検体と試薬とを反応させる反応部611と、反応部611の底部に連通して設けられ、反応の結果に応じた凝集の有無を判定するための反応像を生じさせる担体としてゲルまたはガラスビーズ等が充填されて、検体と試薬との抗原抗体反応による反応液を遠心器45によって遠心したものを保持する分離部612とを有する。反応カード6は、半透明の樹脂を用いて形成されている。分離部612における凝集像は、撮像によって確認され、反応カード6側面から撮像された各分離部612を画面に表示する。
【0067】
ここで、反応カード6を用いた測定結果表示を、図10を参照して説明する。図10は、反応カード6を用いた場合の測定結果表示を示す模式図である。
【0068】
図10に示すように、撮像された反応カード6の各分離部612が、画面に表示される。ここで、反応カード6を用いて不規則抗体スクリーニングを行う場合、測定法(抗グロブリン法、酵素法、食塩液法)によって異なる複数の反応カードを使用して分析が行われる。特に、抗グロブリン法は、検体と血球試薬とを反応させた後に抗ヒトグロブリン抗体と反応させるため、分離部612には担体とともに抗ヒトグロブリン抗体が充填された反応カードを使用する。抽出部54が、記憶部57に記憶されている撮像画像データベースD2から図4に示す項目選択で指定された画像情報を抽出することで、反応カードが別となっている測定結果を一画面に表示することができる。また、画像上部には、各測定法が表示され、各測定法で分析された測定結果を一画面上で比較することで、測定結果の確認を行う。図3,5,6と同様に、入力ボックスIb1に検体IDを入力して表示ボタンB1を押下すること、または項目選択ボタンB2によって、任意に画像を抽出することができ、反応カードが異なった場合でも一画面に画像を表示できる。
【0069】
本実施の形態では、表示すべき項目を入力または選択することで指定した項目のみを表示することが可能であり、測定結果が別のマイクロプレート及び反応カードであっても一画面に測定結果を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態1にかかる分析装置を示す模式図である。
【図2】測定結果表示処理を示すフローチャートである。
【図3】測定結果表示処理で画面に表示される一例を示す模式図である。
【図4】項目選択ボタンを押下すると表示されるポップアップの一例を示す模式図である。
【図5】測定結果表示処理で画面に表示される一例を示す模式図である。
【図6】測定結果表示処理で画面に表示される一例を示す模式図である。
【図7】分析処理時に指定する項目の測定結果を表示する分析処理時結果表示処理を示すフローチャートである。
【図8】反応カードを用いる分析装置を示す模式図である。
【図9】反応カードを模式的に示す斜視図である。
【図10】反応カードを用いた場合の測定結果表示を示す模式図である。
【符号の説明】
【0071】
1,4 分析装置
2 測定機構
3,5 制御機構
6 反応カード
10 プレート搬送レーン
11 検体移送部
11a 検体容器
11b 検体ラック
11c 検体読取部
12 検体分注機構
12a,14a,433,482 アーム
12b,12c,431 プローブ
13 試薬移送部
13a 試薬セット
13b 試薬読取部
14 試薬分注機構
15 反応促進部
16 測光部
17 プレート回収部
20 マイクロプレート
31,51 制御部
311,511 表示制御部
32,52 出力部
33,53 分析部
34,54 抽出部
35,55 送受信部
36,56 入力部
37,57 記憶部
40 ターンテーブル
41 検体希釈部
42 プローブ洗浄部
43 分注機構
432 プローブ保持部
434,483 アーム保持部
44 反応カード貯蔵部
45 遠心器
46 測定部
461 CCDカメラ
47 反応カード廃棄部
48 反応カード移送機構
481 反応カード把持部
60 本体部
61 反応容器
611 反応部
612 分離部
62 シール
B1〜B6 ボタン
Cb1〜Cb3,Cb21,Cb22,Cb31〜Cb33 チェックボックス
D1,D2 撮像画像データベース
Ib1 入力ボックス
T1,T2 関係テーブル
W ウェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬とを分注して血液凝集反応させる反応容器を複数有する基板を用いて、各反応容器内で生じた血液凝集反応を撮像して得られた測定結果を画面に表示する測定結果表示方法において、
入力された抽出項目に対応する測定結果を、該抽出項目に対応する判定単位で抽出する抽出ステップと、
抽出された前記測定結果を出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする測定結果表示方法。
【請求項2】
前記測定結果は、抽出された項目の前記反応容器単位で撮像された撮像画像と、該撮像画像から読み取った反応判定結果とを含むことを特徴とする請求項1に記載の測定結果表示方法。
【請求項3】
前記抽出ステップは、
予め入力された前記抽出項目を、分析が終了した項目から順に抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の測定結果表示方法。
【請求項4】
前記出力ステップは、
前記抽出項目に対応する前記判定単位が、複数の前記測定結果で構成される場合、前記判定単位の総合判定を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の測定結果表示方法。
【請求項5】
検体と試薬とを分注して血液凝集反応させる反応容器を複数有する基板を用いて、各反応容器内で生じた血液凝集反応を撮像して得られた測定結果を画面に表示する分析装置において、
抽出する測定結果の抽出項目を入力する入力手段と、
前記測定結果と判定単位との関係を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の関係を参照して、入力された抽出項目の測定結果を、該抽出項目に対応する判定単位で抽出する抽出手段と、
抽出された前記測定結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項6】
前記測定結果は、抽出された項目の前記反応容器単位で撮像された撮像画像と、該撮像画像から読み取った反応判定結果とを含むことを特徴とする請求項5に記載の分析装置。
【請求項7】
前記抽出手段は、予め入力された前記抽出項目を、分析が終了した項目から順に抽出することを特徴とする請求項5または6に記載の分析装置。
【請求項8】
前記出力手段は、前記判定単位が複数の前記測定結果で構成される場合、前記判定単位の総合判定を出力することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項9】
前記基板は、マイクロプレートであることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項10】
前記基板は、反応カードであることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−78371(P2010−78371A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244739(P2008−244739)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】