説明

測定装置および測定方法

【課題】ミラー面の傾きが変更可能なミラーシステムの偏向特性を短時間かつ高精度に測定できるようにする。
【解決手段】ミラー面に測定光を照射する測定用光源14と、測定用光源14から照射された測定光がミラー面で反射された光を反射する凹面形状の投射面20a−1を備えた凹面投射部20−1と、凹面投射部20−1の投射面において反射された光を受光する受光部191と、受光部191が受光した光を元にミラーシステムの特性を測定する測定部104とをそなえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定方法に関し、特に、ミラー面から反射された反射光に基づくミラーシステムの偏向特性の測定に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、光ファイバを用いた通信分野において、光ファイバ網を流れる光信号を別の光ファイバ網に切り換える場合等に、光信号の経路を光のまま切り換えることが可能な光スイッチが用いられている。この光スイッチとして、光信号を反射させることにより光信号の伝搬方向を変えるミラーをそなえ、このミラーのミラー面の偏向角度(傾き)を制御することで立体的に光信号の切り換えを実現するミラーシステムが一般的に用いられている。又、このミラーシステムは、光スイッチの他、ミラーをアレイ状に配置し、入射する光をミラーアレイによって走査する装置にも用いられている。
【0003】
ミラーシステムとしては、例えば、下記特許文献1に示すような静電力を利用してミラー面の偏向角度を制御するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーや、モータの軸にミラー面が取り付けられ、電磁力を利用してモータを駆動させることによりモータの軸に取り付けられたミラー面の偏向角度を制御するガルバノミラーが知られている。
【0004】
図37はMEMSミラーの構成例を模式的に示す図である。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー70は、例えば、この図37に示すように、ミラー面71,内側フレーム72,外側フレーム73,第1トーションバー74,74および第2トーションバー75,75をそなえて構成されており、第1トーションバー74,74が、矩形状のミラー面71における対向する1対の辺の各中央位置において当該辺と直交するように、X軸方向に沿ってそれぞれ配置されている。又、MEMSミラー70においては、第2トーションバー75,75が、矩形状の内側フレーム72における対向する1対の辺の各中央位置において当該辺と直交するように、X軸方向に直交するY軸方向に沿ってそれぞれ配置されている。そして、ミラー面71は、X軸まわりに回動可能となるように第1トーションバー74,74を介して内側フレーム72に取り付けられており、更に、この内側フレーム72がミラー面71とともにY軸まわりに回動可能となるように第2トーションバー75,75を介して外側フレーム73に取り付けられている。
【0005】
また、MEMSミラー70には、電圧が入力されることによって静電力を発生させる駆動回路(図示省略)がそなえられており、この静電力に応じた第1トーションバー74,74または第2トーションバー75,75のねじれ作用により、ミラー面71の偏向角度を自在に変更することができるようになっている。
上述したMEMSミラー70等のミラーシステムは、電圧を入力することによって偏向角度が制御されるようになっており、入力電圧に対するミラーシステムの偏向特性(最大偏向角度,所定の電圧を入力した場合の偏向角度,入力電圧を所定の振動周波数により変化させた場合の偏向速度および共振点等)に個体差が生じる場合がある。例えば、同一構成の複数のミラーシステムに同一の電圧を入力した場合であっても、偏向角度や共振点が異なったり、電圧の入力に対する偏向速度が異なったりすることがあるので、製造時においてミラーシステムの偏向特性を個別に測定し、この測定結果に基づいてミラーシステムを動作させるための電圧設定値を補正する工程が必要である。
【0006】
一般に、ミラーシステムの偏向特性の測定は、ミラー面から反射される反射光(以下、
単に反射光という)に基づいて行なわれ、従来の手法としては、PSD(Position Sensitive Device)素子を用いて反射光の強度や位置を測定する手法(PSD手法)や、レー
ザードップラー振動系を用いて反射光の干渉を測定する手法(レーザードップラー振動系手法)等が知られている。
【0007】
図38,図39は従来の測定装置の構成例を模式的に示す図である。PSD手法を用いた測定装置80は、例えば、図38に示すように、ミラー面71に測定光81を照射する測定用光源82と、測定用光源82から照射された測定光81がミラー面71で反射することにより形成された反射光83を受光するPSD素子84とをそなえて構成されている。そして、PSD素子84が反射光83を受光することにより、反射光83の強度や、PSD素子84への入射位置等の測定結果を電圧(アナログ信号)としてコンピュータ等の評価装置(図示省略)に出力されるようになっている。このような測定装置においては、ミラーシステムに対して入力された入力電圧(電圧値,振動周波数等)とPSD素子84における反射光の測定結果とに基づいてミラーシステムの偏向特性を評価するようになっている。
【0008】
また、他の従来の測定手法として、図39に示すように、図38に示した従来手法におけるPSD素子84に代えて投射スクリーン85と撮像部88とをそなえ、投射スクリーン85に投射された反射光を撮像部88に撮影する手法が知られている(下記特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−283932号公報
【特許文献2】特開2008−82873号公報
【特許文献3】特開2008−82874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、例えば、ミラーシステムの製造時にかかる測定に際して、測定した結果を用いてミラーシステムの特性補正を動的に行なう場合があり、このような場合にはミラーシステムの偏向特性を短時間かつ正確に測定することが要求されている。
しかしながら、上述したPSD手法においては、PSD素子84が反射光83の位置情報をアナログ信号として出力するようになっているので、位置情報の信頼性(安定性)が低く、精度の高い測定が困難であるという課題がある。
【0011】
また、ミラーシステム70の外側に保護用のカバーガラスが設けられている場合には、PSD素子84がミラー面71からの反射光83だけでなく、カバーガラスの表面および裏面からの反射光も受光する場合もある。PSD素子84においては、このように同時に複数の入力光を受光した場合には正確に測定することができないという課題がある。又、ミラー面71からの反射光の形状変化が誤差となり正確な偏向角度の測定を行なうことができないという課題もある。
【0012】
一方、投射スクリーン85に投射された反射光を撮像部88による撮像する従来手法においては、被測定偏向ミラーの偏向角が大きくなると、投射スクリーン85上における光点の輝度値が大きく減少し測定精度が低下するおそれがある。
本件の目的の一つは、このような課題に鑑み創案されたもので、ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの偏向特性を短時間かつ高精度に測定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため、この測定装置は、ミラー面の傾きが変更可能なミラーシステムの特性を測定する測定装置であって、該ミラー面に測定光を照射する測定用光源と、該測定用光源から照射された該測定光が該ミラー面で反射された光を反射する凹面形状の投射面を備えた凹面投射部と、凹面投射部の投射面において反射された光を受光する受光部と、該受光部が受光した光を元に該ミラーシステムの特性を測定する測定部とを有するものである。
【0014】
また、この測定方法は、ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定方法であって、該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、該照射ステップにおいて照射された該測定光を該ミラー面で反射した反射光を、凹面形状の投射面をそなえた凹面投射部の該投射面に照射して反射させる反射ステップと、該反射ステップにおいて反射された反射光を受光する受光ステップと、該受光ステップが受光した光を元に該ミラーシステムの特性を測定する測定ステップとをそなえるものである。
【発明の効果】
【0015】
開示の測定装置および測定方法によれば、ミラーシステムの特性を容易且つ高精度で測定することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】MEMSミラーの構成例を模式的に示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の一例としての測定装置における基準情報を説明するための図である。
【図5】第1実施形態の一例としての測定装置における基準情報を説明するための図である。
【図6】第1実施形態の一例としての測定装置における基準情報を説明するための図である。
【図7】第1実施形態に係る測定装置における測定手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図8】第2実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図である。
【図9】第2実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す側面図である。
【図10】第3実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図である。
【図11】第3実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。
【図12】第3実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。
【図13】(a)〜(c)は本第3実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの投射面に形成された突起を模式的に示す図である。
【図14】第3実施形態の一例としての測定装置における基準情報を説明するための図である。
【図15】第4実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図である。
【図16】第4実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。
【図17】第4実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの部分拡大図である。
【図18】第4実施形態の一例としての測定装置における検知光量の出力例を示す図である。
【図19】第4実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの第1の変形例を説明するための図である。
【図20】(a)〜(c)は第4実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの第1の変形例を説明するための図である。
【図21】第4実施形態の第2変形例としての測定装置のドーム型反射ミラーの部分拡大である。
【図22】第4実施形態の第2変形例としての測定装置の検知光量の出力例を示す図である。
【図23】第5実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図である。
【図24】第5実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。
【図25】第5実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。
【図26】第5実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの変形例を説明するための図である。
【図27】第5実施形態の一例としての測定装置における検知光量の出力例を示す図である。
【図28】第5実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの変形例を説明するための図である。
【図29】第5実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの変形例を説明するための図である。
【図30】第5実施形態の変形例としてのドーム型反射ミラーの形状を模式的に示す側断面図である。
【図31】(a)〜(c)第5実施形態の変形例としての測定装置における検知光量の出力例を示す図である。
【図32】第6実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図である。
【図33】第6実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。
【図34】第6実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。
【図35】第6実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの部分拡大図である。
【図36】第3実施形態の測定装置の変形例を説明するための図である。
【図37】MEMSミラーの構成例を模式的に示す図である。
【図38】従来の測定装置の構成例を模式的に示す図である。
【図39】従来の測定装置の構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本測定装置および測定方法に係る実施の形態を説明する。
〔1〕第1実施形態の説明
図1は第1実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図、図2はその測定対象であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーの構成例を模式的に示す斜視図である。
【0018】
本第1実施形態にかかる測定装置10−1は、ミラー面11の偏向角度(傾き)が変更可能に構成されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー(ミラーシステム)12の偏向特性を測定するための装置である。又、偏向特性とは、例えば、最大偏向角度,所定の電圧を入力した場合の偏向角度,入力電圧を所定の振動周波数により変化させた場合の偏向速度および共振点等である。
【0019】
この測定装置10−1は、図1に示すように、測定用光源14,管理部16−1,ハーフミラー17,ピンホール18,光量検知器191,192,偏向ミラー駆動部27およびドーム型反射ミラー(凹面投射部)20−1をそなえて構成されている。
ここで、MEMSミラー(被測定偏向ミラー)12は、例えば、ミラー面11の偏向角度(傾き)を制御することで立体的に光信号の切り換えを実現する光スイッチに用いるものである。このMEMSミラー12は、例えば、図2に示すように、ミラー面11,内側フレーム23,外側フレーム24,第1トーションバー(回転軸)25,25および第2トーションバー(回転軸)26,26をそなえて構成されている。
【0020】
MEMSミラー12においては、第1トーションバー25,25が、矩形状のミラー面11における対向する1対の辺の各中央位置において当該辺と直交するように、X軸方向にそれぞれ沿って配置されている。又、MEMSミラー12においては、第2トーションバー26,26が、矩形状の内側フレーム23における対向する1対の辺の各中央位置において当該辺と直交するように、X軸方向に直交するY軸方向に沿ってそれぞれ配置されている。そして、ミラー面11は、X軸まわりに回動可能となるように第1トーションバー25,25を介して内側フレーム23に取り付けられ、更に、この内側フレーム23がミラー面11とともにY軸まわりに回動可能となるように第2トーションバー26,26を介して外側フレーム24に取り付けられている。
【0021】
また、MEMSミラー12には、後述する偏向ミラー駆動部27が接続されるようになっており、MEMSミラー12においては、この偏向ミラー駆動部27から入力される制御信号(静電力)に応じた第1トーションバー25,25または第2トーションバー26,26のねじれ作用により、ミラー面11の偏向角度を自在に変更することができるようになっている。
【0022】
また、以下、第1トーションバー25,25および第2トーションバー26,26のことを、便宜上、単にトーションバーという場合もある。又、このMEMSミラー12は、上述した光スイッチの他、ミラーをアレイ状に配置し、入射する光をミラーアレイによって走査する装置にも用いることができる。
本実施形態においては、上述の如くX軸まわりとY軸まわりとの2つの軸まわりでミラー面11を回動可能なMEMSミラー12において、いずれかひとつの軸まわりについての偏向特性を測定する手法について説明するものとし、例えば、Y軸まわりでミラー面11を回動させる場合での偏向特性を測定する場合について説明する。
【0023】
また、以下、MEMSミラー12において、ミラー面11の回転軸X,Yが、ミラー面11上にあるものとして取り扱う。又、以下、ミラー面11の回転軸という場合には、ミラー面11の表面の回転軸Yのことをいう。
本測定装置10−1においては、測定対象のMEMSミラー(被測定ミラー)12を図示しないステージ上に載置することより、MEMSミラー12の位置決めが行なわれるようになっている。
【0024】
測定用光源14は、ミラー面11に所定波長λの測定光28を照射するものであって、測定光28をミラー面11に対して出力する既知の種々の手法により実現するようになっている。なお、測定光28としては、例えばレーザ光を用いることができ、その場合には測定用光源14としてレーザ光発生装置が用いられる。
また、測定用光源14は、開閉動作により測定光28を任意に遮断可能なシャッタ(遮光装置;図示省略)や、測定光28の強度やサイズ(光径)を調節することができる光量調節器(調節レンズ;図示省略)をそなえて構成され、これらのシャッタや光量調節器により出力される測定光28を制御するようになっている。なお、測定用光源14は、後述する測定制御部104からの信号が入力されることにより、シャッタの開閉動作を行なうようになっている。
【0025】
ハーフミラー17は、入射された光の一部を透過させるとともに、入射された光の一部反射させることにより、入射光を2方向に分割するビームスプリッタである。本実施形態においては、測定用光源14から出力された測定光28の一部がこのハーフミラー17に入射されるようになっており、この測定光28の一部を反射させて光量検知器192に入射させるとともに、測定光28の残りを透過させるようになっている。又、本実施形態においては、ハーフミラー17は、入射された測定光28を1:1の割合で反射光と透過光とに分割するようになっている。
【0026】
また、ハーフミラー17には、後述の如く、ドーム型反射ミラー20−1から反射された第2反射光30がMEMSミラー12のミラー面11において反射することにより生成された第3反射光31が、上述した測定光28が入射される面とは反対側の面に入射されるようになっている。そして、ハーフミラー17は、この入射された第3反射光31の一部(半分)を反射させて、光量検知器191に入射させるようになっている。
【0027】
すなわち、図1に示す例においては、測定用光源14から射出された測定光28の光軸上に、測定用光源14にほぼ45度の角度で対向するようにハーフミラー17が配設されている。又、このハーフミラー17によって反射された測定光28の光軸上には、光量検知器192が配置されている。この光量検知器192は、ハーフミラー17とほぼ45度の角度で対向するように、そのセンサ部(図示省略)をハーフミラー17に向けて配置されている。更に、光量検知器192に対して、ハーフミラー17を挟んで対向する位置には光量検知器191が配置されている。
【0028】
ピンホール18は、例えば、板状の部材に光が通過する所定サイズの孔を形成することにより構成され、照射される光の一部だけを通過させるものである。又、ピンホール18は、測定用光源14から出力される測定光28や後述する第3反射光31の光軸上に配置されている。
また、測定用光源14から出力された測定光28は、ピンホール18を通過してミラー面11の回転軸上に照射されるようになっている。なお、以下、ミラー面11における、測定用光源14から照射された測定光28が照射された位置を第1反射点という場合がある。
【0029】
偏向ミラー駆動部27は、測定制御部104から入力される制御情報(電圧信号)に基づいて、その電圧信号に応じた駆動電圧(制御信号)を発生させるものである。そして、本測定装置10−1においては、偏向ミラー駆動部27が上述した測定制御部104からの制御情報に応じた制御信号を出力することにより、MEMSミラー12がその回転軸まわりに回動(偏向)するようになっている。
【0030】
ドーム型反射ミラー(凹面投射部)20−1は、凹面形状の投射面20a−1をそなえ、測定用光源14から照射された測定光28がミラー面11で反射することにより形成された第1反射光(第1の反射光)29がこの投射面20a−1に投射光点として照射されるように配置されている。
図3は本第1実施形態の測定装置のドーム型反射ミラー20−1の配置状態を模式的に示す斜視図である。なお、この図3においては、便宜上、ミラー面11,ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1,測定光28および第1反射光29のみを示している。又、投射面20a−1をそのミラー面11と対向する側とは反対側から図示している。
【0031】
ドーム型反射ミラー20−1は、図3に示すように、矩形の板状部材を一方の面の側に一定の円弧で湾曲させるように構成することにより、一方向に湾曲する円弧状の断面形状をそなえている。そして、このドーム型反射ミラー20−1は円弧の内側面、すなわち投射面20a−1をミラー面11に対向するように配置されており、ミラー面11において測定光28が反射することにより作成された第1反射光29が、この投射面20a−1に照射されるようになっている。すなわち、ドーム型反射ミラー20−1における円弧の内側面が、第1反射光29が投射光点として照射される投射面20a−1として機能するようになっている。
【0032】
そして、本第1実施形態の測定装置10−1においては、上述したMEMSミラー12の回動に伴ってミラー面11の偏向角度が変わり、ミラー面11から反射された第1反射光29の投射光点が、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1において、その円弧方向(図2中の矢印a参照)に沿って移動するようになっている。つまり、測定用光源17は、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1への照射位置を変更可能に構成されている。なお、以下、投射面20a−1における、MEMSミラー12の回動に伴なって投射光点が移動する方向を投射光点移動方向という場合がある。
【0033】
また、ドーム型反射ミラー20−1は、ミラー面11を回動させていない状態、すなわち偏向角度が0の状態においては、そのミラー面11において反射した第1反射光30が投射面20a−1のほぼ中心位置に照射されるようになっている。以下、この投射面20a−1のほぼ中心位置のことを、ミラー面中心という場合がある。
さらに、この投射面20a−1は、入射された第1反射光29を反射可能に形成されており、更に、ドーム型反射ミラー20−1は、その円弧中心がミラー面11における回転軸の第1投射点に重合するように配置されている。これにより、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1において、照射された第1反射光29が第2反射光(第2の反射光)30として反射するようになっており、又、その第2反射光30は、ミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0034】
また、ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
さらに、このドーム型反射ミラー20−1において、投射面20a−1のいずれの場所において反射された第2反射光30も、このミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0035】
また、ドーム型反射ミラー20−1は、投射面20a−1において、その投射光点移動方向における互いに異なる各位置で光学的な反射率がそれぞれ異なるように形成されている。すなわち、ドーム型反射ミラー20−1は、投射面20a−1における複数位置において互いに異なる反射特性を有している。
ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1においては、その投射光点移動方向で反射率が連続的に変化するように形成されており、その投射光点移動方向において同一な反射率となることがないようなっている。これにより、投射面20a−1において、その投射光点移動方向において異なる複数の投射光点位置で反射して生成された複数の第2反射光30は、互いに異なる光量(反射光量)となる。
【0036】
すなわち、ドーム型反射ミラー20−1においては、投射面20a−1における第1反射光29の投射位置(投射光点位置)に応じて、各投射光点位置で生じる第2反射光30の光量が変わるようになっている。
ここで、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1は、金属,ガラス,石英等の材料を用いて形成される。又、投射面20a−1を形成する材料として周囲温度の影響の度合い、すなわち温度係数が少ない材料を用いることにより、測定精度を高くすることができる。
【0037】
また、投射面20a−1において反射率を連続的に変化させる方法としては、例えば、アルミや金等の反射薄膜材料の膜厚を連続的に変化させて形成する手法を用いることができる。
一般的なミラーの製造に際しては、ミラー全面において反射薄膜の膜厚が一定となるようにするために、ミラー面を蒸着材料(蒸着源)からの均一な距離となるように配置して蒸着、すなわち反射薄膜の形成を行なう。
【0038】
一方、本第1実施形態のドーム型反射ミラー20−1を製造する場合には、投射面20a−1の各位置を蒸着材料から不均一な距離となるように配置して反射皮膜の形成を行なう。例えば、蒸着材料に対して投射面20a−1を斜めに配置して蒸着を行なうことにより反射薄膜を形成する。これにより、膜厚(蒸着厚)が不均一な、すなわち、投射面20a−1の位置により蒸着厚が異なるドーム型反射ミラー20−1を製造することができる。
【0039】
なお、本第1実施形態のドーム型反射ミラー20−1の製造方法は上述した手法に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、投射面20a−1において一端部から、順次、機械的な覆いやレジストによるマスクをかけながら蒸着を行ない、このマスクの位置と蒸着回数とを適宜調整することにより投射面20a−1における蒸着厚を順次変化させてもよい。これにより、投射面20a−1の各位置における反射率を高精度で制御することができる。
【0040】
光量検知器191は、ミラー面11において反射された第3反射光31の光量を測定するものであって、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1において反射された第2反射光29がMEMSミラー12のミラー面11によって反射されることにより生成される第3反射光31の光量を測定するようになっている。この光量検知器191は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ,CdSセル等の光センサにより構成され、入力光の光量に応じた電圧(電圧信号)V1を出力するようになっている。
【0041】
すなわち、この光量検知器191は、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1において反射された第2反射光30(第3反射光31)を受光する受光部として機能するようになっている。
光量検知器192は、測定用光源14から出力される測定光(基準光)28の光量(基準光量)を測定するものであって、測定用光源14から出力されハーフミラー17によって反射(分割)された測定光28の光量を測定するようになっている。この光量検知器192は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ,CdSセル等の光センサにより構成され、入力光の光量に応じた電圧(電圧信号)V2を出力するようになっている。
【0042】
ピンホール18はMEMSミラー12のミラー面11から反射する第3反射光31の一部を遮り一部だけを通過させるものであり、このピンホール18を通過した第3反射光31がハーフミラー17に入射されるようになっている。
例えば、MEMSミラー12のミラー面11が保護用のガラス板で覆われている場合であっても、測定光28や第2反射光30がこのガラス板の表裏面において多重反射することにより生じる不要光が光量検知部191に入射することを、このピンホール18により抑止するようになっている。
【0043】
管理部16−1は、本測定装置10−1におけるMEMSミラー12の偏向特性を測定するための制御を行なうものであり、図1に示すように、光量値演算部101,偏向角度算出部102,メモリ103および測定制御部104をそなえて構成されている。
また、管理部16−1においては、種々の情報を表示するためのディスプレイ(図示省略)や、検査者が各種入力や操作を行なうことによりデータや指示内容等を管理部16−1に入力するための入力装置(キーボード,マウス等;図示省略)をそなえて構成されている。
【0044】
光量値演算部101は、光量検知器191によって検出された電圧信号V1と光量検知器192によって検出された電圧信号V2とに基づき、これらの電圧信号V1,V2の信号比(V1/V2)を演算し、検知光量として出力するものである。このように、光量検知器191によって検出された電圧信号V1と光量検知器192によって検出された電圧信号V2との信号比を算出することにより、測定用光源14によって生成される測定光28が安定しない場合であっても、この光量変動を相殺することができる。すなわち、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1からの反射光(第2反射光30)の正確な光量を測定することができる。
【0045】
メモリ103は、光量値に対する偏向角を求めるための基準情報(偏向角/光量値情報)を格納するため記憶装置であり、予め、基準となるMEMSミラー12を用いて作成された基準情報が格納されるようになっている。
図4〜図6はそれぞれ本第1実施形態の一例としての測定装置10−1における基準情報を説明するための図である。
【0046】
基準情報はミラー面11の偏向角度と光量値との対応関係を示す情報であり、図4〜図6に示す例においては、便宜上、縦軸に電圧信号V1,V2の信号比を検知光量として示すとともに横軸に偏向角度を示したグラフとして表している。なお、この基準情報は、図4〜図6に示したようなグラフの他、テーブルや数式等であってもよく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0047】
本測定装置10−1においては、予め、偏向角度を正確に制御できるMEMSミラー12(基準ミラー)を被測定偏向ミラーとして測定位置にセットする。そして、この被測定ミラーの測定に必要な角度範囲(実効角度範囲;例えば、本実施形態ではおおよそ±20度)を必要な角度分解能単位で回転させながら、光量検知器191,192により光量を全て測定する。この測定結果を偏向角度に対応させてプロットすることにより、図4のグラフとして示されるような検知光量と偏向角度との対応関係を表す基準情報(初期テーブル)を作成する。なお、この基準情報において、検知光量は、ドーム型反射ミラー20−1の各位置の反射率およびその他の光学系の特性値を表していると言うことができる。
【0048】
また、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1における反射率は、偏向角度に対して一次関数的に変化させるように設定する必要はなく、実効角度範囲内において、偏向角に対して一意の反射率となればよい。従って、偏向角度に対して同一の反射率となる箇所がなければよく、図5に示すように、異なる偏向角度において検知光量が同じ値となる箇所が複数存在するドーム型反射ミラー20−1は使用することができない。
【0049】
なお、基準情報の作成に際して、角度分解能の都合上、測定されていない偏向角度に対する光量値は、他の偏向角度に対応する光量値に基づいて近似値を算出して用いることが望ましい。
また、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1において、その一部にキズ等の欠陥があると、図6に示すように、その位置における第2反射光30の検知光量が急激に減少する(図6の矢印P1参照)。このように、検知光量が突出的に変化する部分については、その検知光量を採用せずに、例えば、他の偏向角度における検知光量の値に基づいて近似値を算出して用いることにより、投射面20a−1上にキズ等がある場合でも、その影響を受けることなく使用することができ利便性が高い。
【0050】
そして、MEMSミラー12の偏向特性測定時に、メモリ103から偏向角度算出部102によってこの基準情報が読み出されるようになっている。
偏向角度算出部102は、光量値演算部101から出力される検知光量とメモリ103に格納された基準情報とに基づいて被測定ミラー(MEMSミラー12)の偏向角度を算出するものである。
【0051】
ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1においては、上述の如く、投射光点移動方向における投射光点の位置によりその反射光(第2反射光30)の反射率が異なる。これにより、第3反射光31の光量の測定値により、MEMSミラー12のミラー面11の偏向角度を推定することができる。
すなわち、偏向角度算出部102は、MEMSミラー12から基準情報を読み出し、光量値演算部101から出力される検知光量に基づいて、この基準情報を参照することにより、MEMSミラー12の偏向角度を求める(推定する)ようになっている。
【0052】
測定制御部(測定部)104は、偏向角度算出部102によって求められたミラー面11の偏向角度に基づいて、そのMEMSミラー12の特性(偏向特性)を測定するものである。又、この測定制御部104は、測定にかかるシーケンスの制御や測定結果の出力を行なうようになっている。なお、この測定制御部104は、例えば、角度/駆動量情報等を測定結果として出力するようになっている。
【0053】
また、測定制御部(制御部)104は、ミラー面11の偏向角度を制御する機能をそなえており、例えば、検査者が入力装置を介してミラー面11の偏向角度を変更させるための駆動条件(入力電圧の値,入力電圧の振動周波数等)を入力することにより、入力された駆動条件に対応する制御信号(駆動信号)を生成する機能をそなえている。
そして、測定制御部104は、生成した駆動信号をMEMSミラー12の偏向ミラー駆動部27に出力することにより、この偏向ミラー駆動部27が、駆動条件に応じて、ミラー面11を、トーションバー25,25,26,26により、所定角度に傾かせたり、振動させたりするようになっている。
【0054】
また、測定制御部104は、測定用光源14にそなえられたシャッタの開閉動作も制御するようになっており、例えば、検査者が入力装置を介して測定開始の指示を入力した場合にはシャッタの開動作を行ない、測定終了の指示を入力した場合にはシャッタの閉動作を行なうようになっている。
そして、検査者は、入力された測定条件(入力電圧の値,入力電圧の振動周波数等)と測定制御部104の測定結果とに基づいて、MEMSミラー12の偏向特性を評価するようになっている。
【0055】
上述の如く構成された第1実施形態に係る測定装置10−1における測定手順の一例について、図7に示すフローチャート(ステップS11〜S14)に従って説明する。
先ず、検査者が、MEMSミラー12を図示しないステージ上に載置し、図示しない入力装置を介して測定開始の指示を入力することにより、測定用光源14がシャッタの開動作を行ない、測定用光源14がミラー面11に測定光28を照射する(ステップS11;照射ステップ)。
【0056】
次に、検査者が、入力装置を介して駆動条件(入力電圧の値,入力電圧の振動周波数等)を管理部16−1に対して入力することにより、測定制御部104は、入力された駆動条件に基づく駆動信号を生成し、この駆動信号を偏向ミラー駆動部27に出力する。駆動信号が入力された偏向ミラー駆動部27は、その駆動信号に基づいてミラー面11を所定角度に傾かせる(ステップS12;制御ステップ)。
【0057】
測定用光源14から照射された測定光28は、ハーフミラー17によりその一部が反射され光量検知器192に入射される。又、測定光源28の他の一部はハーフミラー17を透過してMEMSミラー12のミラー面11に照射される。
ミラー面11に照射された測定光28は、ミラー面11の第1照射点で反射することにより第1反射光29を形成し、この第1反射光29がドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1に投射される。第1反射光29は投射面20a−1における所定の位置(投射光点位置)において反射し、第2反射光30としてドーム型反射ミラー20−1から出力される。
【0058】
この第2反射光30は、ミラー面11における第1照射点に入射され、この第1照射点において第3反射光31として反射される。この第3反射光31は、ハーフミラー17に入射され、その一部がハーフミラー17によって反射されて光量検知器191に入射される。
光量値演算部101は、光量検知器191によって検出された電圧信号V1と光量検知器192によって検出された電圧信号V2とに基づき、これらの電圧信号V1,V2の信号比(V1/V2)を演算し、検知光量として出力する。偏向角度算出部102は、光量値演算部101から出力される検知光量に基づいて、メモリ103に格納された基準情報を参照することにより、MEMSミラー12のミラー面11の偏向角度を求める(ステップS13;測定ステップ)。
【0059】
その後、ミラー面11の偏向角度を変更させて測定を行なうか否かの終了判定を行なう(ステップS14)。ミラー面11の偏向角度を変更させて継続して測定を行なう場合には(ステップS14の連続測定ルート参照)、ステップS12に戻る。一方、測定を終了する場合には(ステップS14の測定終了ルート参照)、測定を終了する。
なお、ドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1における所定の位置(例えば、偏向角度=0度となる位置:ミラー面中心)において、他の位置とは反射率が大きく異なる(例えば、反射率=0%)部分を設けることにより、投射面20a−1における絶対的な位置を容易に特定することができる。この反射率が大きく異なる部分としては、例えば、投射面20a−1に穴を開けたり、反射率が低い塗料等を付着させることにより容易に実現することができる。
【0060】
このように、本第1実施形態の一例としての測定装置10−1によれば、その投射光点移動方向における各位置で反射率が異なる投射面20a−1を有するドーム型反射ミラー20−1をそなえている。そして、測定光28がミラー面11で反射することにより形成された第1反射光29をドーム型反射ミラー20−1の投射面20a−1に照射させ、この投射面20a−1において反射された第2反射光30の光量を測定することにより、MEMSミラー12のミラー面11の偏向角度を求める。これにより、MEMSミラー12の偏向特性を容易且つ高精度で測定することができる。
【0061】
また、ミラー面11で反射された第1反射光29を円弧状の断面形状を有するドーム型反射ミラー20−1を、その円弧中心をミラー面11における回転軸の第1投射点に重合するように配置することにより、ミラー面11の偏向角度が大きくなった場合でも、光量検知器191により検知される光量が減少することがない。これにより、偏向角度の測定精度を高く維持することができる。
【0062】
また、例えば、MEMSミラー12のミラー面11が保護用のガラス板で覆われている場合であっても、測定光28や第2反射光30がこのガラス板の表裏面において多重反射することにより生じる不要光が光量検知部191に入射することがない。これにより、従って、カバーガラス等からの不要光に影響されることなく計測(測定)することができ、偏向角度の測定を正確に行なうことができる。又、ピンホール18をそなえており、このピンホール18によっても、測定光28や第2反射光30がこのガラス板の表裏面において多重反射することにより生じる不要光が光量検知部191に入射することを抑止することができる。
【0063】
さらに、光量値演算部101が、光量検知器191によって検出された電圧信号V1と光量検知器192によって検出された電圧信号V2とに基づき、これらの電圧信号V1,V2の信号比(V1/V2)を演算することにより、測定用光源14の光量変動を相殺することにより、測定精度を向上させることができる。
なお、上述した第1実施形態においては、光量値演算部101が、光量検知器191によって検出された電圧信号V1と光量検知器192によって検出された電圧信号V2とに基づき、これらの電圧信号V1,V2の信号比(V1/V2)を演算することにより、測定用光源14の光量変動を相殺しているが、これに限定されるものではない。
【0064】
すなわち、測定用光源14から出力される測定光28の光量が充分に安定している場合には、光量検知器192や光量値演算部101を省略し、偏向角度算出部102が、光量検知器191によって検出された電圧信号V1をそのまま用いてミラー面11の偏向角度を求めてもよい。
〔2〕第2実施形態の説明
図8は第2実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図である。
【0065】
本第2実施形態にかかる測定装置10−2も、第1実施形態の測定装置10−1と同様に、ミラー面11の偏向角度(傾き)が変更可能に構成されたMEMSミラー(ミラーシステム)12の偏向特性を測定するための装置である。この測定装置10−2は、図8に示すように、測定用光源14,管理部16−2,ハーフミラー17,ピンホール18,光量検知器191,偏向ミラー駆動部27,ミラー33およびドーム型反射ミラー(凹面投射部)20−2をそなえて構成されている。
【0066】
すなわち、本第2実施形態にかかる測定装置10−2は、第1実施形態の測定装置10−1における、光量検知器192,ドーム型反射ミラー20−1および管理部16−1に代えて、ミラー33,ドーム型反射ミラー20−2および管理部16−2をそなえるものであり、その他の部分は第1実施形態の測定装置10−1と同様に構成されている。
なお、図中、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0067】
ハーフミラー17は、測定用光源14から出力された測定光28の一部を反射させてミラー33に入射させるとともに、残りの測定光28を透過させるようになっている。又、本第2実施形態においても、ハーフミラー17は、入射された測定光28を1:1の割合で反射光(ミラー33へ)と透過光とに分割するようになっている。
また、ハーフミラー17には、上述の如く測定光源14から測定光28が直接入射される照射位置に、ミラー33から反射された測定光28が入射されるようになっている。そして、ハーフミラー17は、このミラー33から反射される測定光28の一部(半分)を透過させて光量検知器191に入射させるようになっている。
【0068】
さらに、ハーフミラー17には、後述の如く、ドーム型反射ミラー20−2から反射された第2反射光30がMEMSミラー12のミラー面11において反射することにより生成された第3反射光31が、上述した測定光28が入射される面とは反対側の面に入射されるようになっている。そして、ハーフミラー17は、この入射された第3反射光31の一部(半分)を反射させて、光量検知器191に入射させるようになっている。
【0069】
ミラー33は、入射された光を反射させるものであって、ハーフミラー17によって反射された測定光28を全反射させてハーフミラー17に入射させるようになっている。
また、このミラー33は、その反射面33aと、測定用光源14からMEMSミラー12に入射される測定光28の光軸とが、距離L1だけ隔てて平行となるように配置されている。更に、ミラー33は、ハーフミラー17から入射された測定光28が、このミラー33のミラー面33aにおいて反射され、ハーフミラー17を透過して光量検知器191に入射されるように配置されている。
【0070】
すなわち、図8に示す例においては、測定用光源14から射出された測定光28の光軸上に、測定用光源14に45度の角度で対向するようにハーフミラー17が配設されている。又、このハーフミラー17によって反射された測定光28の光軸上であって、ハーフミラー17における測定光28の照射位置から距離L1隔てた位置に、ミラー33が配置されている。このミラー33は、ハーフミラー17と45度の角度で対向するように、そのミラー面33aをハーフミラー17に向けて配置されている。更に、ミラー33のミラー面33aに対して、ハーフミラー17を介して対向する位置には光量検知器191が配置されており、ミラー33から反射された光が、ハーフミラー17を透過してこの光量検知器191に入射されるようになっている。
【0071】
また、ハーフミラー17には、後述の如く、ドーム型反射ミラー20−2から反射された第2反射光30がMEMSミラー12のミラー面11において反射することにより生成された第3反射光31が、上述した測定用光源14から測定光28が入射される面とは反対側の面に入射されるようになっている。そして、ハーフミラー17は、この入射された第3反射光31の一部(半分)を反射させて、光量検知器191に入射させるようになっている。
【0072】
また、測定用光源14やミラー33,ドーム型反射ミラー20−2,MEMSミラー12は、ハーフミラー17において、ミラー33のミラー面33aにおいて反射された測定光28と、ドーム型反射ミラー20−2から反射された第2反射光30がMEMSミラー12のミラー面11において反射することにより生成された第3反射光31とが同一光軸上に重なるようにそれぞれの位置や姿勢が決定されている。
【0073】
すなわち、ハーフミラー(合成部)17においては、ミラー33のミラー面33aにおいて反射された測定光28と、ドーム型反射ミラー20−2から反射された第2反射光30がMEMSミラー12のミラー面11において反射することにより生成された第3反射光31とが合成され、この合成された光が光量検知器191に入力されるようになっている。
【0074】
ドーム型反射ミラー20−2は、凹面形状の投射面20a−2をそなえ、測定用光源14から照射された測定光28がミラー面11で反射することにより形成された第1反射光(第1の反射光)29がこの投射面20a−2に投射光点として照射されるように配置されている。
また、投射面20a−2は、入射された第1反射光29を反射可能に形成されており、又、ドーム型反射ミラー20−2の投射面20a−2において、照射された第1反射光29が第2反射光(第2の反射光)30として反射するようになっている。更に、投射面20a−2において生成された第2反射光30は、ミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0075】
ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
さらに、このドーム型反射ミラー20−2において、投射面20a−2のいずれの場所において反射された第2反射光30も、このミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0076】
また、このドーム型反射ミラー20−2の投射面20a−2は、その投射光点移動方向において反射率が均一もしくはほぼ均一に形成されている。これにより、投射面20a−2において、その投射光点移動方向において異なる複数の投射光点位置で反射して生成された複数の第2反射光30は、互いに同じ光量(反射光量)となる。
図9は本第2実施形態の測定装置のドーム型反射ミラー20−2の配置状態を模式的に示す側面図である。
【0077】
ドーム型反射ミラー20−2は、図9に示すように、矩形の板状部材を一方の面の側に一定の円弧で湾曲させるように構成することにより、一方向に湾曲する円弧状の断面形状をそなえている。そして、このドーム型反射ミラー20−2は円弧の内側面、すなわち投射面20a−2をミラー面11に対向するように配置されており、ミラー面11において測定光28が反射することにより作成された第1反射光29が、この投射面20a−2に照射されるようになっている。すなわち、ドーム型反射ミラー20−2における円弧の内側面が、第1反射光29が投射光点として照射される投射面20a−2として機能するようになっている。
【0078】
そして、本第2実施形態の測定装置10−2においても、第1実施形態の測定装置10−1と同様に、MEMSミラー12の回動に伴ってミラー面11の偏向角度が変わり、ミラー面11から反射された第1反射光29の投射光点が、ドーム型反射ミラー20−2の投射面20a−2において、その円弧方向に沿って移動するようになっている。
また、この投射面20a−2は入射された第1反射光29を反射可能に形成されており、更に、ドーム型反射ミラー20−2は、その円弧中心がミラー面11における回転軸に重合しないように配置されている。具体的には、ドーム型反射ミラー20−2は、その円弧中心がミラー面11における回転軸の第1照射点に重合する状態から、所定方向に所定距離ずらした状態で配置されている。
【0079】
なお、以下、便宜上、ドーム型反射ミラー20−2を、その円弧中心がミラー面11における回転軸の第1照射点に重合するように配置した状態を基準配置状態という場合がある。この基準配置状態を図9中において破線で表す。
本第2実施形態の測定装置10−2においては、ドーム型反射ミラー20−2は、基準配置状態に対して、測定用光源14から射出される測定光28の光軸に平行な方向に距離(ずれ量)d1ずらして配置される。すなわち、ドーム型反射ミラー20−2は、その円弧中心をミラー面11における回転軸に対して、測定用光源14から射出される測定光28の光軸に平行な方向にずれ量d1だけずらして配置される。
【0080】
なお、この測定光28の光軸に平行な方向とは、円弧中心が測定用光源14に近づく方向であっても、又、円弧中心が測定用光源14から遠ざかる方向であってもよい。すなわち、ずれ量d1は正値であっても負値であってもよい。本実施形態においては、便宜上、円弧中心が測定用光源14から遠ざかる方向にドーム型反射ミラー20−2をずらして配置した状態をずれ量d1が正値の状態という。図9に示す例においては、ドーム型反射ミラー20−2が、基準配置状態に対して、その円弧中心が測定用光源14から遠ざかる方向にずらして配置されており、ずれ量d1が正値の状態を示している。
【0081】
なお、以下、便宜上、ドーム型反射ミラー20−2を、基準配置状態からずらして配置した状態、すなわち、投射面20a−2の円弧中心がミラー面11における回転軸に重合しないようにずらして配置された状態をずらし配置状態という場合がある。このずらし配置状態を図9中において実線で表す。
このずらし配置状態においては、投射面20a−2における投射光移動方向に沿った各位置(各投射光点位置)は、それぞれミラー面11の回転中心からの距離が連続的に変化するようになっている。すなわち、ドーム型反射ミラー20−2は、投射面20a−2における複数位置のそれぞれが、ミラー面11における第1照射点から互いに異なる距離を有するように配置されている。
【0082】
そして、本第2実施形態の測定装置10−2においては、ドーム型反射ミラー20−2において、ミラー面11の回転中心から投射面20a−2までの距離Lxは、ミラー面11の偏向角度に応じて変化するようになっている。
また、ドーム型反射ミラー20−2は、基準配置状態における投射光移動方向におけるミラー面11の最大振れ位置での、ミラー面11の回転軸と投射面20a−2との距離L01と、ずらし配置状態における投射面20a−2の投射光移動方向におけるミラー面11の最大振れ位置での、ミラー面11の回転軸との距離L02の差d2(d2=L01−L02)が、λ/8(λ:測定光28の波長)以下となるように配置されるようになっている。
【0083】
すなわち、ドーム型反射ミラー20−2は、0<d2≦λ/8の条件を満たすように配置されている。
なお、ドーム型反射ミラー20−2における、投射面20a−2の投射光移動方向におけるミラー面11の最大振れ位置とは、ミラー面11を最大に偏向させた状態(偏向角度Θmax)での、第1反射光30の投射光点位置(図9の矢印M1参照)である。
【0084】
これにより、ドーム型反射ミラー20−2は、ずらし配置状態において、投射面20a−2の投射光移動方向における複数位置で、ミラー面11の回転中心からの距離Lxが同一の値となることがないようになっている。
すなわち、このドーム型反射ミラー20−2においては、投射面20a−2における第1反射光29の投射位置(投射光点位置)に応じて、各投射光点位置で生じる第2反射光30の位相が変わるようになっている。
【0085】
光の位相差は180度周期で変化を繰り返すので、ドーム型反射ミラー20−2のずれによる距離Lxの変化(変化量)は、使用する測定光28の波長λの1/2(180度)までにとどめる必要がある。しかし、位相が連続的に変化する場合には、波長λの1/2をこえた変化量があっても測定が可能となる。なお、レーザ干渉の原理については、例えば、“レーザ干渉測長器の理論”株式会社オーエルティ(URL;http://www.olt.co.jp/MotionX/Laser%20Interferometer%20Theory-JP-Rev1.pdf)を参照のこと。
【0086】
また、ドーム型反射ミラー20−2を基準配置状態からずらして配置することにより、厳密には、投射面20a−2で反射した第2反射光30の経路が第1反射光29の経路とが一致しなくなる。しかしながら、測定光28は100〜500μmほどの径を有しており、ドーム型反射ミラー20−2のずれ量に比べて充分に太いので、その影響を受けることはない。
【0087】
また、ドーム型反射ミラー20−2は、図8に示すように、投射面20a−2のミラー面中心とミラー面11の回転軸との距離L3が、ハーフミラー17における測定光28の照射点からミラー33のミラー面33aまでの距離L1と、ハーフミラー17における第3反射光31の入射位置からミラー面11の回転軸までの距離L2とが、以下の式(1)に示す条件を満たすように配置されている。
【0088】
L1=L2+L3 ・・・(1)
光量検知器191には、測定用光源14から出力され、ハーフミラー17に反射されてミラー33に入射され、このミラー33のミラー面33aにおいて反射された後にハーフミラー17を透過して入射する測定光28が、第1経路光として入射されるようになっている。
【0089】
また、光量検知器191には、測定用光源14から出力され、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に入射され、そのミラー面11において第1反射光29として反射された後に、ドーム型反射ミラー20−2の投射面20a−2において第2反射光30として反射され、再度、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射され、このハーフミラー17に反射されることにより入射する測定光28が、第2経路光として入射されるようになっている。
【0090】
そして、これらの第1経路光と第2経路光とは、ハーフミラー17によって同一光軸の光に合成されるようになっている。なお、以下、第1経路光と第2経路光とを合成した光を合成光という場合がある。
また、この第2経路光においては、ドーム型反射ミラー20−2において、ミラー面11の回転中心から投射面20a−2までの距離Lxが、ミラー面11の偏向角度に応じて変化するようになっている。これにより、第2経路光は、ミラー面11の偏向角度に応じてその位相が変化するようになっている。
【0091】
そして、これらの第1経路光と第2経路光とは、ハーフミラー17によって同一光軸の光に合成されることにより相互に干渉(光干渉)するようになっている。すなわち、第2経路光の位相が変化することにより、結果として、合成光の光量が変化する。従って、合成光においては、ミラー面11の偏向角度に応じてその光量が変化するのである。
ここで、ドーム型反射ミラー20−2を配置する具体的な手法を例示する。先ず、MEMSミラー12をステージ上に載置した状態で、ミラー面11の偏向角度を変化させて、どの偏向角度でも光量検知器191の検知出力が変化しないようなドーム型反射ミラー20−2の位置を求める。このように、ミラー面11の偏向角度を変化させても光量検知器191の光量が変化しないドーム型反射ミラー20−2の配置状態が基準配置状態となる。
【0092】
その後、ドーム型反射ミラー20−2を、測定光28の光軸に平行な方向にずれ量d1ずらすことにより、ずらし配置状態に配置する。
なお、ドーム型反射ミラー20−2の投射面20a−2も、金属,ガラス,石英等の材料を用いて形成される。又、投射面20a−2を形成する材料として周囲温度の影響の度合い、すなわち温度係数が少ない材料を用いることにより、測定精度を高くすることができる。
【0093】
また、本第2実施形態の測定装置10−2においても、ドーム型反射ミラー20−2の投射面20a−2における所定の位置(例えば、偏向角度=0度となる位置:ミラー面中心)において、他の位置とは反射率が大きく異なる(例えば、反射率=0%)部分を設けてもよい。これにより、投射面20a−2における絶対的な位置を容易に特定することができる。又、この反射率が大きく異なる部分としては、例えば、投射面20a−2に穴を開けたり、反射率が低い塗料等を付着させることにより容易に実現することができる。
【0094】
管理部16−2は、本測定装置10−2におけるMEMSミラー12の偏向特性を測定するための制御を行なうものであり、図8に示すように、偏向角度算出部102,メモリ103および測定制御部104をそなえて構成されている。
本第2実施形態の測定装置10−2においては、偏向角度算出部102は、光量検知器191から出力される検知光量とメモリ103に格納された基準情報とに基づいて被測定ミラー(MEMSミラー12)の偏向角度を算出するようになっている。
【0095】
また、本第2実施形態の測定装置10−2においても、メモリ103に、予め、上述の如く配置したドーム型反射ミラー20−2に対して、基準となるMEMSミラー12に測定光28を照射することにより作成した基準情報を格納しておく。この基準情報は、光量値に対する偏向角を求めるために参照される情報であって、ミラー面11の偏向角度と光量値との対応関係を示す情報である。
【0096】
上述の如く構成された第2実施形態に係る測定装置10−2において、測定用光源14から測定光28を出力すると、この測定光28の一部は、ハーフミラー17に反射されてミラー33に入射される。そして、この測定光28は、ミラー33のミラー面33aにおいて反射された後にハーフミラー17を透過して、第1経路光として光量検知器191に入射される。
【0097】
また、測定用光源14から出力された残りの測定光28は、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に照射され(照射ステップ)、そのミラー面11において第1反射光29として反射される。第1反射光29は、ドーム型反射ミラー20−2の投射面20a−2において第2反射光30として反射され(反射ステップ)、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射される。そして、この第3反射光31は、ハーフミラー17に反射され、第2経路光として光量検知器191に入射される(受光ステップ)。
【0098】
これらの第1経路光と第2経路光とはハーフミラー17によって同一光軸の光に合成され、光量検知器191は、この合成光を受信してその光量に応じた電圧信号を検知光量として出力する。
偏向角度算出部102は、光量検知器191から出力される検知光量に基づいて、メモリ103に格納された基準情報を参照することにより、MEMSミラー12のミラー面11の偏向角度を求める(測定ステップ)。
【0099】
本測定装置10−2においては、上述の如き測定光28の照射からミラー面11の偏向角度の測定までを、ミラー面11の偏向角度を変更させながら繰り返し行なうことにより、MEMSミラー12の偏向特性を測定するのである。
なお、本第2実施形態の測定装置10−2における測定手順の詳細については、第1実施形態の測定装置10−1とほぼ同様であるための、その詳細な説明は省略する。
【0100】
このように、本第2実施形態の一例としての測定装置10−2によれば、ドーム型反射ミラー20−2が、その投射面20a−2における複数位置のそれぞれが、ミラー面11における第1反射光29の反射位置から互いに異なる距離を有するように配置されている。これにより、ドーム型反射ミラー20−2においては、投射面20a−2における第1反射光29の投射位置(投射光点位置)に応じて、各投射光点位置で生じる第2反射光30の位相が変化する。
【0101】
従って、光量検知器191において、ミラー面11の偏向角度に応じてその光量が変化する合成光が入力され、この合成光の光量を測定することにより、MEMSミラー12のミラー面11の偏向角度を求めることができる。これにより、MEMSミラー12の偏向特性を容易且つ高精度で測定することができる。
また、この際、ドーム型反射ミラー20−2として、投射面20a−1における投射光点移動方向で反射率が均一もしくはほぼ均一なものを使用することができるので、ドーム型反射ミラー20−2の製造コストを低減することができ、結果として測定装置10−2の製造コストを低減することができる。
【0102】
また、ドーム型反射ミラー20−2を、その投射面20a−2の円弧中心がミラー面11における測定光の反射位置からずれた位置に配置することにより、投射面20a−2における複数の投射光点位置で、その投射光点位置で生じる第2反射光30の位相を変えることができ利便性が高い。すなわち、本測定装置10−2を容易かつ低コストで実現することができる。
【0103】
また、ピンホール18をそなえており、このピンホール18によって、測定光28や第2反射光30が測定系を構成する光学部品において多重反射等することにより生じる不要光が光量検知部191に入射することを抑止することができる。
〔3〕第3実施形態の説明
図10は第3実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図、図11,図12はそれぞれ本第3実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。なお、図12は図11のA部を拡大して示している。なお、これらの図11,図12においては、便宜上、ミラー面11,ドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3,測定光28および第1反射光29のみを示しており、更に、投射面20a−3をそのミラー面11と対向する側とは反対側から図示している。
【0104】
本第3実施形態にかかる測定装置10−3も、第2実施形態の測定装置10−2と同様に、ミラー面11の偏向角度(傾き)が変更可能に構成されたMEMSミラー(ミラーシステム)12の偏向特性を測定するための装置である。この測定装置10−3は、図10に示すように、測定用光源14,管理部16−3,ハーフミラー17,ピンホール18,光量検知器191,偏向ミラー駆動部27,ミラー33およびドーム型反射ミラー(凹面投射部)20−3をそなえて構成されている。
【0105】
すなわち、本第3実施形態にかかる測定装置10−3は、図10に示すように、第2実施形態の測定装置10−2におけるドーム型反射ミラー20−2に代えてドーム型反射ミラー20−3をそなえるとともに、管理部16−2に代えて管理部16−3をそなえるものであり、その他の部分は第2実施形態の測定装置10−2と同様に構成されている。
なお、図中、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0106】
ドーム型反射ミラー20−3は、図11に示すように、矩形の板状部材を一方の面の側に一定の円弧で湾曲させるように構成することにより、一方向に湾曲する円弧状の断面形状をそなえている。そして、このドーム型反射ミラー20−3は円弧の内側面、すなわち投射面20a−3をミラー面11に対向するように配置されており、ミラー面11において測定光28が反射することにより作成された第1反射光29が、この投射面20a−3に照射されるようになっている。すなわち、ドーム型反射ミラー20−3における円弧の内側面が、第1反射光29が投射光点として照射される投射面20a−3として機能するようになっている。
【0107】
更に、ドーム型反射ミラー20−3は、投射面20a−3の円弧中心がミラー面11における回転軸の第1投射点に重合するように配置されている。これにより、ドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3において、照射された第1反射光29が第2反射光(第2の反射光)30として反射するようになっており、又、その第2反射光30は、ミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0108】
また、ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
さらに、このドーム型反射ミラー20−3において、投射面20a−3のいずれの場所において反射された第2反射光30も、このミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0109】
ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
ドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3には、図12に示すように、投射光点移動方向に沿って複数の畝状の突起(段差)が規則的な周期で並ぶように(格子状に)形成されている。
【0110】
そして、本第3実施形態においては、これらの各突起は、投射面20a−3における投射光点移動方向と直行する方向と平行に等間隔で配設されている。すなわち、投射面20a−3においては、隣り合う突起どうしの間には底面20a−3Lが形成され、投射光点移動方向に沿って、突起の頂面20a−3Hと底面20a−3Lとが交互に並ぶようになっている。従って、投射面20a−3は、頂面20a−3Hと底面20a−3Lとを交互に複数配置することにより構成されているといえる。
【0111】
ドーム型反射ミラー20−3においては、これらの複数の頂面20a−3Hと複数の底面20a−3Lに第1反射光29が照射され、それぞれこの第1反射光29を反射することにより第2反射光30を出力するようになっている。
また、複数の頂面20a−3Hおよび複数の底面20a−3Lの反射率は均一もしくはほぼ均一に形成されている。これにより、投射面20a−3の投射光点移動方向において異なる複数の頂面を投射光点位置として反射して生成された複数の第2反射光30は、互いに同じ光量(反射光量)として出力される。
【0112】
そして、投射面20a−3に形成されたこれらの複数の突起は、互いに異なる高さを有しており、本第3実施形態においては、これらの複数の突起が、投射光点移動方向でその高さが段階的に変化するように形成されている。
すなわち、投射面20a−3における投射光点移動方向の一端側から、投射面20a−3における投射光点移動方向の他端側にかけて、突起の高さが段階的に高くなる(もしくは低くなる)ように形成されている。
【0113】
従って、本第3実施形態の測定装置10−3においては、ドーム型反射ミラー20−3が、その投射面20a−3における複数位置において互いに異なる表面高さ(突起の高さ)を有しているのである。
そして、この投射面20a−3における複数の頂面20a−3Hは、ミラー面11の回転軸から互いに異なる距離をそなえている。又、同様に、投射面20a−3における複数の底面20a−3Lは、ミラー面11の回転軸から互いに異なる距離をそなえている。
【0114】
また、投射面20a−3における投射光移動方向の各頂面20a−3Hは、ミラー面11の回転中心からの距離が段階的に変化するようになっている。又、投射面20a−3における投射光移動方向の各底面20a−3Lも、ミラー面11の回転中心からの距離が段階的に変化するようになっている。
すなわち、本第2実施形態の測定装置10−3においては、ドーム型反射ミラー20−3において、ミラー面11の回転中心から投射面20a−3までの距離Lxは、ミラー面11の偏向角度に応じて変化するようになっている。
【0115】
また、投射面20a−3において形成されている複数の突起は、隣合う頂面20a−3Hと底面20a−3Lとの差(高低差,表面高さ)が、λ/8(λ:測定光28の波長)以下(例えば、100〜150nm)となるように構成されている。
すなわち、このドーム型反射ミラー20−3においては、投射面20a−3における第1反射光29の投射位置(投射光点位置)に応じて、各投射光点位置で生じる第2反射光30の位相が変わるようになっている。
【0116】
図13(a)〜(c)は本第3実施形態の測定装置10−3のドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3に形成された突起を模式的に示す図であり、図13(a)はその投射面20a−3の投射光点移動方向の一端側位置に形成された突起を示す図、図13(b)はその投射光点移動方向の中間位置付近に形成された突起を示す図、図13(c)はその投射光点移動方向の他端側位置に形成された突起を示す図である。
【0117】
これらの図13(a)〜(c)に示すように、ドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3は、一端側位置から他端側位置に向かって突起の高さが段階的に高くなるように形成され、その突起の高さが最も高くなる他端側位置において、頂面20a−3Hと底面20a−3Lとの高低差がλ/8以下となるように構成されている。
なお、ドーム型反射ミラー20−3における投射面20a−3の各突起は、例えば、EB(Electron Beam)描写や、レジストパタン形成,エッチング,薄膜形成等の既知のナノ加工技術を用いることにより実現することができる。これらのナノ加工技術を用いることにより、投射面20a−3における微小な段差を高精度で形成することができる。
【0118】
また、ドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3も、金属,ガラス,石英等の材料を用いて形成される。又、投射面20a−3を形成する材料として周囲温度の影響の度合い、すなわち温度係数が少ない材料を用いることにより、測定精度を高くすることができる。
光量検知器191には、測定用光源14から出力され、ハーフミラー17に反射されてミラー33に入射され、このミラー33のミラー面33aにおいて反射された後にハーフミラー17を透過して入射する測定光28が、第1経路光として入射されるようになっている。
【0119】
また、光量検知器191には、測定用光源14から出力され、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に入射され、そのミラー面11において第1反射光29として反射された後に、ドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3において第2反射光30として反射され、再度、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射され、このハーフミラー17に反射されることにより入射する測定光28が、第2経路光として入射されるようになっている。
【0120】
また、この第2経路光においては、ドーム型反射ミラー20−3において、ミラー面11の回転中心から各頂面20a−3Hや底面20a−3Lまでの距離が、ミラー面11の偏向角度に応じて変化するようになっている。これにより、第2経路光は、ミラー面11の偏向角度に応じてその位相が変化するようになっている。
そして、これらの第1経路光と第2経路光とは、ハーフミラー17によって同一光軸の合成光に合成され、又、これらの第1経路光と第2経路光とは相互に干渉(光干渉)するようになっている。
【0121】
そして、第2経路光の位相が変化することにより、結果として、合成光の光量が変化する。すなわち、合成光においては、ミラー面11の偏向角度に応じてその光量が変化するのである。
図14は本第3実施形態の一例としての測定装置10−3における基準情報を説明するための図である。
【0122】
基準情報は、光量値に対する偏向角を求める(推定する)ために参照される情報であって、ミラー面11の偏向角度と光量値との対応関係を示す情報である。この基準情報は、予め、基準となるMEMSミラー12を用いて作成され、メモリ103に格納されるようになっている。
図14に示す例においては、本第3実施形態の測定装置10−3において、ステージに載置した基準ミラー(MEMSミラー12)のミラー面11の偏向角度を−20度から+20度に連続的に回転させて、投射面20a−3において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させた場合に光量検知器191から出力される検知光量を示している。
【0123】
この図14においては、便宜上、便宜上、縦軸に光量値を示すとともに横軸に偏向角度を示したグラフとして表している。なお、この基準情報は、図14に示したようなグラフの他、テーブルや数式等であってもよく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
図14に示すように、投射光点が頂面20a−3H上にある場合には検知光量が高くなり(山部)、投射光点が底面20a−3L上にある場合には検知光量が低くなる(谷部)。すなわち、投射面20a−3において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させると、その投射光点の位置に応じて、検知光量の値も上下するのである。
【0124】
つまり、この図14に示す例においては、検知光量を表す値において、隣り合う山谷の高低差は投射面20a−3における突起の頂面20a−3Hと底面20a−3Lとの高低差に相当する。
従って、上述の如く検出された検知光量における隣り合う山部と谷部との高低差を求めることにより、投射面20a−3における対応する突起を特定することができる。すなわち、投射面20a−3における投射光点位置を特定することができるのである。
【0125】
また、本第3実施形態の測定装置10−3においても、ドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3における所定の位置(例えば、偏向角度=0度となる位置:ミラー面中心)において、他の位置とは反射率が大きく異なる(例えば、反射率=0%)部分を設けてもよい。これにより、投射面20a−3における絶対的な位置を容易に特定することができる。又、この反射率が大きく異なる部分としては、例えば、投射面20a−3に穴を開けたり、反射率が低い塗料等を付着させることにより容易に実現することができる。
【0126】
管理部16−3は、本測定装置10−3におけるMEMSミラー12の偏向特性を測定するための制御を行なうものであり、図10に示すように、偏向角度算出部102,メモリ103および測定制御部104をそなえて構成されている。
また、本第3実施形態の測定装置10−3においても、メモリ103に、予め、上述の如く配置したドーム型反射ミラー20−3に対して、基準となるMEMSミラー12に測定光28を照射することにより作成した基準情報を格納しておく。基準情報は、光量値に対する偏向角を求めるために参照される情報であって、ミラー面11の偏向角度と光量値との対応関係を示す情報である。
【0127】
本第3実施形態の測定装置10−3においては、偏向角度算出部102は、光量検知器191から出力される検知光量に基づいてメモリ103に格納された基準情報を参照することにより被測定ミラー(MEMSミラー12)の偏向角度を算出(推定)するようになっている。
上述の如く構成された第3実施形態に係る測定装置10−3において、測定用光源14から測定光28を出力すると、この測定光28の一部は、ハーフミラー17に反射されてミラー33に入射される。そして、この測定光28は、ミラー33のミラー面33aにおいて反射された後にハーフミラー17を透過して、第1経路光として光量検知器191に入射される。
【0128】
また、測定用光源14から出力された残りの測定光28は、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に照射され(照射ステップ)、そのミラー面11において第1反射光29として反射される。第1反射光29は、ドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3において第2反射光30として反射され(反射ステップ)、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射される。そして、この第3反射光31は、ハーフミラー17に反射され、第2経路光として光量検知器191に入射される(受光ステップ)。
【0129】
これらの第1経路光と第2経路光とはハーフミラー17によって同一光軸の光に合成され、光量検知器191は、この合成光を受信してその光量に応じた電圧信号を検知光量として出力する。
また、測定制御部104は、測定用光源14に測定光28を出力させた状態で、偏向ミラー駆動部27により、ミラー面11の角度を変更させる。これにより、光量検知器191において検知光量の変化、すなわち、段差における頂面20a−3Hと底面20a−3Lとの高低差を検出する。
【0130】
偏向角度算出部102は、光量検知器191から出力される検知光量に基づいて、メモリ103に格納された基準情報を参照することにより、MEMSミラー12のミラー面11の偏向角度を求める(測定ステップ)。具体的には、測定制御部104は、連続して検出された検知光量の差分(山谷の高低差)を求める。そして、この差分に基づいて基準情報を参照して、山谷の高低差が同一もしくはほぼ同一の差分となる隣り合う山谷に対応する偏光角度を求めることにより、ミラー面11の角度位置(偏向角度)を求める。
【0131】
なお、本測定装置10−3においては、測定用光源14から測定光28を照射しながらミラー面11をその実効角度範囲(例えば、−20度〜+20度)にわたって回転させて、この実効角度範囲にかかる検知光量を一度に取得することにより、MEMSミラー12の偏向特性を測定してもよい。又、測定用光源14から測定光28を照射しながらミラー面11を限定的に(例えば、投射面20a−3における段差1つ分)回転させることにより、この限定的な角度範囲にかかる検知光量を取得することにより、MEMSミラー12の偏向特性を測定してもよい。
【0132】
なお、本第3実施形態の測定装置10−3における測定手順の詳細については、第1実施形態の測定装置10−1とほぼ同様であるための、その詳細な説明は省略する。
このように、本第3実施形態の一例としての測定装置10−3によれば、第2実施形態の測定装置10−2と同様の作用効果を得ることができる。
すなわち、ドーム型反射ミラー20−3において、投射面20a−3における第1反射光29の投射位置(投射光点位置)に応じて、各投射光点位置で生じる第2反射光30の位相が変化する。従って、光量検知器191において、ミラー面11の偏向角度に応じてその光量が変化する合成光が入力され、この合成光の光量を測定することにより、MEMSミラー12のミラー面11の偏向角度を求めることができる。これにより、MEMSミラー12の偏向特性を容易且つ高精度で測定することができる。
【0133】
また、ピンホール18をそなえており、このピンホール18によって、測定光28や第2反射光30が測定系を構成する光学部品において多重反射等することにより生じる不要光が光量検知部191に入射することを抑止することができる。
〔4〕第4実施形態の説明
図15は第4実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図、図16は本第4実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。なお、図16においては、便宜上、ミラー面11,ドーム型反射ミラー20−4の投射面20a−4,測定光28および第1反射光29のみを示しており、更に、投射面20a−4をそのミラー面11と対向する側とは反対側から図示している。
【0134】
本第4実施形態にかかる測定装置10−4も、第2実施形態の測定装置10−2と同様に、ミラー面11の偏向角度(傾き)が変更可能に構成されたMEMSミラー(ミラーシステム)12の偏向特性を測定するための装置である。この測定装置10−4は、図15に示すように、測定用光源14,管理部16−4,ハーフミラー17,ピンホール18,光量検知器191,偏向ミラー駆動部27およびドーム型反射ミラー(凹面投射部)20−4をそなえて構成されている。
【0135】
すなわち、本第4実施形態にかかる測定装置10−4は、第2実施形態の測定装置10−2におけるドーム型反射ミラー20−2に代えてドーム型反射ミラー20−4をそなえるとともに、管理部16−2に代えて管理部16−4をそなえるものであり、その他の部分は第2実施形態の測定装置10−2と同様に構成されている。
なお、図中、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0136】
ドーム型反射ミラー20−4は、図16に示すように、矩形の板状部材を一方の面の側に一定の円弧で湾曲させるように構成することにより、一方向に湾曲する円弧状の断面形状をそなえている。そして、このドーム型反射ミラー20−4は円弧の内側面、すなわち投射面20a−4をミラー面11に対向するように配置されており、ミラー面11において測定光28が反射することにより作成された第1反射光29が、この投射面20a−4に照射されるようになっている。すなわち、ドーム型反射ミラー20−4における円弧の内側面が、第1反射光29が投射光点として照射される投射面20a−4として機能するようになっている。
【0137】
更に、ドーム型反射ミラー20−4は、投射面20a−4の円弧中心がミラー面11における回転軸の第1投射点に重合するように配置されている。これにより、ドーム型反射ミラー20−4の投射面20a−4において、照射された第1反射光29が第2反射光(第2の反射光)30として反射するようになっており、又、その第2反射光30は、ミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0138】
また、ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
さらに、このドーム型反射ミラー20−4において、投射面20a−4のいずれの場所において反射された第2反射光30も、このミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0139】
ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
図17は本第4実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの部分拡大図である。ドーム型反射ミラー20−4の投射面20a−4には、この図17に示すように、投射光点移動方向に沿って、第1の反射率(反射特性)を有する第1鏡面部20a−4Aと第2の反射率(反射特性)を有する第2鏡面部20a−4Bとが交互に配置されるように形成されている。
【0140】
また、本第4実施形態においては、第1鏡面部20a−4Aと第2鏡面部20a−4Bとは、投射光点移動方向において同じもしくはほぼ同じ幅(投射光点移動方向の長さ)となるように構成されている。すなわち、複数の第1鏡面部20a−4Aもしくは第2鏡面部20a−4Bは、投射光点移動方向において等間隔で配置されているといえる。又、これらの第1鏡面部20a−4Aおよび第2鏡面部20a−4Bは、投射面20a−3における投射光点移動方向と直行する方向と平行もしくはほぼ平行に配設されている。又、これらの第1鏡面部20a−4Aと第2鏡面部20a−4Bとは投射光点移動方向に沿って交互に配設されている。
【0141】
すなわち、投射面20a−4においては、第1鏡面部20a−4Aと第2鏡面部20a−4Bとを投射光点移動方向に沿って交互に繰り返し配設することにより格子が形成されている。
そして、ドーム型反射ミラー20−4においては、第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させることにより、これらの交互に配設された複数の第1鏡面部20a−4Aおよび第2鏡面部20a−4Bに第1反射光29が順次照射され、それぞれこの第1反射光29を反射することにより第2反射光30を出力するようになっている。
【0142】
また、第2の反射率は第1の反射率とは異なるものであり、これにより、投射面20a−4の投射光点移動方向において、第1鏡面部20a−4Aを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30と、第2鏡面部20a−4Bを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30とは異なる光量(反射光量:光学特性)となる。
すなわち、これらの第1鏡面部20a−4Aと第2鏡面部20a−4Bとは、第2反射光30の光学特性を変化させうる光学特性変更部として機能するようになっている。
【0143】
なお、本実施形態においては、第1の反射率が第2の反射率よりも高くなっており、これにより、第1鏡面部20a−4Aを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30の光量の方が、第2鏡面部20a−4Bを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30の光量よりも大きくなる。
ここで、ドーム型反射ミラー20−4の投射面20a−4は、例えば、投射面20a−4において一端部から、順次、機械的な覆いやレジストによるマスクをかけながら、異なる蒸着材料による反射皮膜の形成を繰り返し行なうことにより製造することができる。又、投射面20a−4の製造方法はこれに限定されるものではなく、例えば、均一の反射率(第1の反射率)となるように形成した投射面20a−4上に、第2の反射率を有するフィルムを所定間隔で配置することにより第1鏡面部20a−4Aと第2鏡面部20a−4Bとを構成してもよく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0144】
また、ドーム型反射ミラー20−4の投射面20a−4も、金属,ガラス,石英等の材料を用いて形成される。又、投射面20a−4を形成する材料として周囲温度の影響の度合い、すなわち温度係数が少ない材料を用いることにより、測定精度を高くすることができる。
光量検知器191には、測定用光源14から出力され、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に入射され、そのミラー面11において第1反射光29として反射された後に、ドーム型反射ミラー20−4の投射面20a−4において第2反射光30として反射され、再度、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射され、このハーフミラー17に反射されることにより入射する測定光28が入射されるようになっている。
【0145】
そして、投射面20a−4における第1反射光29の投射位置、すなわち投射光点位置が第1鏡面部20a−4A上である場合には、光量検知器191の検知光量が大きく、投射面20a−4における第1反射光29の投射光点位置が第2鏡面部20a−4B上である場合には、光量検知器191の検知光量が小さくなる。
従って、ミラー面11の偏向角度に応じて光量検知器191の検知光量が変化し、投射面20a−4において投射光移動方向に沿って投射光点を移動させることにより、投射光点が第1鏡面部20a−4A上と第2鏡面部20a−4B上とを交互に移動する。これにより、光量検知器191の検知光量が繰り返し増減する。
【0146】
図18は本第4実施形態の一例としての測定装置10−4における検知光量の出力例を示す図である。
図18に示す例においては、本第4実施形態の測定装置10−4において、ステージに載置したMEMSミラー12のミラー面11の偏向角度を−20度から+20度に連続的に回転させて、投射面20a−4において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させた場合に光量検知器191から出力される検知光量の例を示している。
【0147】
この図18に示すように、投射光点が第1鏡面部20a−4A上にある場合には検知光量が高くなり(山部)、投射光点が第2鏡面部20a−4B上にある場合には検知光量が低くなる(谷部)。すなわち、投射面20a−4において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させると、その投射光点の位置に応じて、検知光量の値も上下するのである。
【0148】
従って、上述の如く、投射面20a−4上における投射光点の移動に伴い、検出された検知光量における山部や谷部の数、すなわち、光学特性の変化数を計数することにより、投射面20a−4における投射光点の位置を特定することができる。
なお、投射面20a−4における、第1鏡面部20a−4Aと第2鏡面部20a−4Bとの幅は、例えば、偏向角度0.1度で1周期の信号、すなわち、山部と谷部とが1つずつ出現するように構成することが望ましい。
【0149】
管理部16−4は、本測定装置10−4におけるMEMSミラー12の偏向特性を測定するための制御を行なうものであり、図15に示すように、計数部105および測定制御部104をそなえて構成されている。
計数部105は、光量検知器191によって検知された検知光量に基づいて、検知光量の山部や谷部の数(光学特性の変化数)を計数するものであり、カウンタ値を保持するメモリ(図示省略)をそなえて構成されている。この計数部105において山部を計数するには、例えば、予め設定した第1の閾値(例えば、0.6)以上の光量が検知された場合に、山部であるとして山部計数用のカウンタ値をインクリメントする。又、同様に、計数部105において谷部を計数するには、例えば、予め設定した第2の閾値(例えば、0.2)以下の光量が検知された場合に、谷部であるとして谷部計数用のカウンタ値をインクリメントする。
【0150】
なお、計数部105としては、例えば既知の種々の計数回路を用いて実現することができるものであり、その具体的な回路構成等についての説明は省略する。
測定制御部104は、第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させながらMEMSミラー12に測定光28を投射させるとともに、光量検知器191により検知される検知光量の増減を計数部105によって計数することにより、第1鏡面部20a−4Aや第2鏡面部20a−4Bの幅や投射面20a−4上における基準位置に基づき、投射面20a−4における投射光点位置を特定するようになっている。なお、ドーム型反射ミラー20−4の投射面20a−4における基準位置としては、例えば、偏向角度=0度となる位置(ミラー面中心)を用いることができる。
【0151】
すなわち、測定制御部104は、投射面20a−4における所定の位置(基準位置)を基準として、計数部105による計数結果に基づき、ミラー面11の偏向角度を求める。従って、測定制御部104は、光量検知器191によって受光された第2反射光30における光学特性の変化数に基づき、MEMSミラー12の特性を測定する測定部として機能するのである。
【0152】
また、ドーム型反射ミラー20−4においては、その基準位置における第2反射光30に、他の投射光点位置での第2反射光30とは異なる特徴情報を付加させることにより、測定制御部104が容易に特定することができる。
具体的には、基準位置として、他の位置とは反射率が大きく異なる(例えば、反射率=0%)ように構成することにより、光量検知器191の検知光量に基づき、この基準位置を容易に判断することができる。又、この反射率が大きく異なる部分としては、例えば、投射面20a−1に穴を開けたり、反射率が低い(もしくは高い)塗料等を付着させることにより容易に実現することができる。
【0153】
また、測定制御部104は、この基準位置を検出すると、山部計数用のカウンタ値や谷部計数用のカウンタ値をリセットするようになっている。
上述の如く構成された第4実施形態に係る測定装置10−4において、測定用光源14から測定光28を出力すると、この測定光28は、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に照射され(照射ステップ)、そのミラー面11において第1反射光29として反射される。第1反射光29は、ドーム型反射ミラー20−4の投射面20a−4において第2反射光30として反射され(反射ステップ)、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射される。そして、この第3反射光31は、ハーフミラー17に反射され、光量検知器191に入射される(受光ステップ)。光量検知器191は、このハーフミラー17から入射された第3反射光31の光量に応じた電圧信号を検知光量として出力する。
【0154】
また、測定制御部104は、測定用光源14に測定光28を出力させた状態で、偏向ミラー駆動部27により、ミラー面11の角度を変更させる。これにより、光量検知器191において検知光量の変化、すなわち、投射光点位置が第1鏡面部20a−4A上にある場合と第2鏡面部20a−4B上にある場合との光量差を検出することができるのである。
【0155】
計数部105は、光量検知器191から出力される検知光量に基づいて、基準位置からの検知光量の山部もしくは谷部の出現回数を計数し、測定制御部104は、この計数結果に基づいてミラー面11の偏向角度を求める(測定ステップ)。
なお、本第4実施形態の測定装置10−4における測定手順の詳細については、第1実施形態の測定装置10−1とほぼ同様であるための、その詳細な説明は省略する。
【0156】
このように、本第4実施形態の一例としての測定装置10−4によれば、投射面20a−4における、基準位置からの第1反射光29の投射位置(投射光点位置)の移動量に応じて、計数部105によって求められるカウンタ値が変化する。
従って、計数部105により、このカウンタ値を計数(測定)することにより、MEMSミラー12のミラー面11の偏向角度を求めることができる。これにより、MEMSミラー12の偏向特性を容易且つ高精度で測定することができる。
【0157】
また、例えば、MEMSミラー12のミラー面11が保護用のガラス板で覆われている場合であっても、測定光28や第2反射光30がこのガラス板の表裏面において多重反射することにより生じる不要光が光量検知部191に入射することがない。これにより、従って、カバーガラス等からの不要光に影響されることなく計測(測定)することができ、偏向角度の測定を正確に行なうことができる。又、ピンホール18をそなえており、このピンホール18によっても、測定光28や第2反射光30がこのガラス板の表裏面において多重反射することにより生じる不要光が光量検知部191に入射することを抑止することができる。
【0158】
さらに、ガラス板の表裏面において多重反射することにより生じる不要光が光量検知部191に入射した場合であっても、計数部105が、第1の閾値や第2の閾値により山部や谷部を検出するので、これらの不要光による影響を回避することができる。
〔4−1〕第4実施形態の第1変形例の説明
上述した第4実施形態としての測定装置10−4においては、光量検知器191から出力される検知光量だけではミラー面11の偏向方向を判断することができない。
【0159】
図19,図20(a)〜(c)はそれぞれ本第4実施形態の測定装置10−4のドーム型反射ミラー20−4の第1の変形例を説明するための図である。図19は投射面20a−41を部分的に拡大して示す図である。図20(a)はその検知光量の出力例を波形として示す図であり、図20(b)は図20(a)に示された検知光量を閾値1により2値化した2値化波形の例を示す図、図20(c)は図20(a)に示された検知光量を閾値2により2値化した2値化波形の例を示す図である。
【0160】
本第4実施形態の第1変形例としての測定装置10−41においては、図15および図16に示すように、第4実施形態のドーム型反射ミラー20−4に代えて、ドーム型反射ミラー20−41をそなえるものであり、その他の部分は第4実施形態の測定装置10−4と同様に構成されている。
なお、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0161】
図19に示す第1の変形例においては、投射面20a−41において、第1鏡面部20a−4Aと第2鏡面部20a−4Bとの間に第3鏡面部20a−4Cが形成されている。又、第1鏡面部20a−4Aと第3鏡面部20a−4Cとはほぼ等しい幅となるように形成され、第2鏡面部20a−4Bのほぼ半分の幅を有するように構成されている。
これにより、ドーム型反射ミラー20−41においては、その投射面20a−41における投射光点移動方向に沿った一方向(図19中の左から右方向)においては、第1鏡面部20a−4A,第3鏡面部20a−4C,第2鏡面部20a−4Bの順序で繰り返し配置されている。その一方で、投射面20a−41における投射光点移動方向に沿った逆方向(図19中の右から左方向)においては、第2鏡面部20a−4B,第3鏡面部20a−4C,第1鏡面部20a−4Aの順序で繰り返し配置されている。
【0162】
すなわち、ドーム型反射ミラー20−41においては、その投射面20a−41における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで、第1鏡面部20a−4A,第2鏡面部20a−4Bおよび第3鏡面部20a−4Cの配置が異なるパターンを構成している。
また、第3鏡面部20a−4Cは、第1の反射率および第2の反射率のいずれとも異なる第3の反射率(反射特性)をそなえ、本例においては、第3の反射率は第1の反射率と第2の反射率とのほぼ中間の反射率をそなえて構成されている。
【0163】
これにより、投射面20a−41の投射光点移動方向において、第1鏡面部20a−4Aを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30と、第2鏡面部20a−4Bを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30と、第3鏡面部20a−4Cを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30とは異なる光量(反射光量;光学特性)として出力される。
【0164】
また、本第1変形例においては、第1の反射率>第3の反射率>第2の反射率となるように構成されている。これにより、第1鏡面部20a−4Aを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30の光量>第3鏡面部20a−4Cを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30の光量>第2鏡面部20a−4Bを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30の光量となる。
【0165】
従って、ミラー面11の偏向角度に応じて光量検知器191の検知光量が変化し、投射面20a−41において投射光移動方向に沿って投射光点を移動させることにより、光量検知器191の検知光量は、特定の変化パターンで繰り返し増減するのである。
また、このドーム型反射ミラー20−41も、第4実施形態のドーム型反射ミラー20−4とほぼ同様の手法により製造することができる。
【0166】
図20(a)〜(c)に示す例においては、ステージに載置したMEMSミラー12のミラー面11に対して測定光28を照射しながら、その偏向角度を−20度から+20度に連続的に回転させて、投射面20a−41において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させた場合に光量検知器191から出力される検知光量の例を示している。
【0167】
また、この図20(a)〜(c)に示す例においては、ミラー面11の回転方向を、正方向から負方向に途中で変更した例を示している。
図20(a)に示すように、投射光点が第1鏡面部20a−4A上にある場合には検知光量が高くなり(山部)、投射光点が第2鏡面部20a−4B上にある場合には検知光量が低くなる(谷部)。すなわち、投射面20a−41において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させると、その投射光点の位置に応じて、検知光量の値も上下するのである。
【0168】
また、図20(a)に示すように、投射光点が第3鏡面部20a−4C上にある場合には、検知光量が山部(検知光量=0.75付近)と谷部(検知光量=0.1付近)との中間位置(検知光量=0.4付近)において、段差状部分(図20(a)の点P2参照)が検出される。
そこで、光量検知器191による検知光量において、山部と段差状部分と谷部との出現順序により、ミラー面11の回転方向を判断することができる。
【0169】
具体的には、図20(a)に示すように、検知光量を表す波形に対して、山部検出用閾値(閾値1:図20(a)に示す例では0.6)を適用することにより、図20(b)に示すような第1の2値化波形を作成する。
同様に、図20(a)に示すように、検知光量を表す波形に対して、谷部検出用閾値(閾値2:図20(a)に示す例では0.25)を適用することにより、図20(c)に示すような第2の2値化波形を作成する。
【0170】
そして、これらの作成した2つの2値化波形の位相差の進み/遅れから、ミラー面11の回転方向を求めることができる。
すなわち、測定制御部(測定部)104は、投射面20a−41における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで異なる、第1鏡面部20a−4A,第2鏡面部20a−4Bおよび第3鏡面部20a−4Cによって構成されるパターンの違いに基づいて、ミラー面11の傾きの変化方向を判断するのである。
【0171】
このように、本第4実施形態の第1変形例としての測定装置10−41によれば、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる他、ミラー面11の回転方向を容易に求めることができ利便性が高い。
なお、上述した実施形態においては、第1鏡面部20a−4Aと第3鏡面部20a−4Cとはほぼ等しい幅となるように形成され、第2鏡面部20a−4Bのほぼ半分の幅を有するように構成されているが、これに限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。例えば、第1鏡面部20a−4A,第3鏡面部20a−4Cおよび第2鏡面部20a−4Bの幅や配置は適宜変更して実施することができる。
【0172】
また、本第1変形例においては、第1の反射率>第3の反射率>第2の反射率となるように構成されているが、これに限定されるものではなく、これらの反射率を適宜変更して実施することができる。
〔4−2〕第4実施形態の第2変形例の説明
図21本第4実施形態の第2変形例としての測定装置のドーム型反射ミラーの部分拡大図22はその検知光量の出力例を示す図である。
【0173】
本第4実施形態の第2変形例としての測定装置10−42においては、図15および図16に示すように、第4実施形態のドーム型反射ミラー20−4に代えて、ドーム型反射ミラー20−42をそなえるものであり、その他の部分は第4実施形態の測定装置10−4と同様に構成されている。
なお、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0174】
図21に示す第2の変形例においては、投射面20a−42において、第1鏡面部20a−4Aと第2鏡面部20a−4Bとの間に第4鏡面部20a−4Dおよび第5鏡面部20a−4Eが形成されている。そして、投射面20a−42には、その投射光点移動方向(紙面左右方向)に沿って、第1鏡面部20a−4A,第5鏡面部20a−4E,第4鏡面部20a−4D,第2鏡面部20a−4Bの順番で繰り返し配設されている。
【0175】
また、図21に示す例においては、第1鏡面部20a−4Aと第2鏡面部20a−4Bとがほぼ等しい幅となるように形成され、第4鏡面部20a−4Dと第5鏡面部20a−4Eとがほぼ等しい幅となるように形成されている。又、第4鏡面部20a−4Dおよび第5鏡面部20a−4Eは、第1鏡面部20a−4Aおよび第2鏡面部20a−4Bのほぼ半分の幅を有するように構成されている。
【0176】
これにより、ドーム型反射ミラー20−42においては、その投射面20a−42における投射光点移動方向に沿った一方向(図21中の左から右方向)においては、第1鏡面部20a−4A,第5鏡面部20a−4E,第4鏡面部20a−4D,第2鏡面部20a−4Bの順序で繰り返し配置されている。その一方で、投射面20a−42における投射光点移動方向に沿った逆方向(図21中の右から左方向)においては、第2鏡面部20a−4B,第4鏡面部20a−4D,第5鏡面部20a−4E,第1鏡面部20a−4Aの順序で繰り返し配置されている。
【0177】
すなわち、ドーム型反射ミラー20−42においても、その投射面20a−42における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで、第1鏡面部20a−4A,第2鏡面部20a−4B,第4鏡面部20a−4Dおよび第5鏡面部20a−4Eの配置が異なるパターンを構成している。
さらに、第4鏡面部20a−4Dは第1鏡面部20a−4Aと同じ第1の反射率(反射特性)をそなえており、第5鏡面部20a−4Eは第2鏡面部20a−4Bと同じ第2の反射率(反射特性)をそなえている。
【0178】
これにより、投射面20a−42の投射光点移動方向において、第1鏡面部20a−4Aや第4鏡面部20a−4Dを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30と、第2鏡面部20a−4Bや第5鏡面部20a−4Eを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30とは異なる光量(反射光量;光学特性)として出力される。
なお、本第2変形例においても、第1の反射率>第2の反射率となるように構成されている。これにより、第1鏡面部20a−4Aおよび第4鏡面部20a−4Dを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30の光量>第2鏡面部20a−4Bおよび第5鏡面部20a−4Eを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30の光量となる。
【0179】
従って、ミラー面11の偏向角度に応じて光量検知器191の検知光量が変化し、投射面20a−42において投射光移動方向に沿って投射光点を移動させることにより、光量検知器191の検知光量は、特定のパターンで繰り返し増減するのである。
また、このドーム型反射ミラー20−42も、第4実施形態のドーム型反射ミラー20−4とほぼ同様の手法により製造することができる。
【0180】
図22に示す例においては、ステージに載置したMEMSミラー12のミラー面11に対して測定光28を照射しながら、その偏向角度を−20度から+20度に連続的に回転させて、投射面20a−42において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させた場合に光量検知器191から出力される検知光量の例を示している。
また、この図22に示す例においては、ミラー面11の回転方向を、正方向から負方向に途中で変更した例を示している。
【0181】
この図22に示すように、投射光点が第1鏡面部20a−4Aおよび第4鏡面部20a−4D上にある場合には検知光量が高くなり(山部)、投射光点が第2鏡面部20a−4Bおよび第5鏡面部20a−4E上にある場合には検知光量が低くなる(谷部)。すなわち、投射面20a−42において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させると、その投射光点の位置に応じて、検知光量の値も上下するのである。
【0182】
また、図21に示すように、第1鏡面部20a−4Aおよび第2鏡面部20a−4Bと、第4鏡面部20a−4Dおよび第5鏡面部20a−4Eとは幅が異なるので、図22に示すように、その検知光量を示す波形においても、対応する山部もしくは谷部の幅が異なる。
そこで、本第2変形例においても、光量検知器191による検知光量において、山部と段差状部分と谷部との出現順序により、ミラー面11の回転方向を判断することができる。
【0183】
具体的には、第1変形例と同様に、検知光量を表す波形に対して、山部検出用閾値(閾値1)を適用することにより第1の2値化波形を作成する。又、同様に、検知光量を表す波形に対して、谷部検出用閾値(閾値2)を適用することにより第2の2値化波形を作成する。
そして、これらの作成した2つの2値化波形の位相差の進み/遅れから、ミラー面11の回転方向を求めることができる。
【0184】
すなわち、測定制御部(測定部)104は、投射面20a−42における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで異なる、第1鏡面部20a−4A,第2鏡面部20a−4B,第4鏡面部20a−4Dおよび第5鏡面部20a−4Eによって構成されるパターンの違いに基づいて、ミラー面11の傾きの変化方向を判断するのである。
このように、本第4実施形態の第2変形例としての測定装置10−42によっても、第1変形例と同様の作用効果を得ることができる。
【0185】
なお、本第2変形例においては、第4鏡面部20a−4Dは第1鏡面部20a−4Aと同じ第1の反射率をそなえており、第5鏡面部20a−4Eは第2鏡面部20a−4Bと同じ第2の反射率をそなえているが、これに限定されるものではなく、これらの第1鏡面部20a−4A,第2鏡面部20a−4B,第4鏡面部20a−4Dおよび第5鏡面部20a−4Eの反射率は適宜変更して実施することができる。例えば、第4鏡面部20a−4Dや第5鏡面部20a−4Eが第1鏡面部20a−4Aや第2鏡面部20a−4Bとは異なる反射率をそなえてもよい。
【0186】
また、投射面20a−42上における第1鏡面部20a−4A,第2鏡面部20a−4B,第4鏡面部20a−4Dおよび第5鏡面部20a−4Eの配置も適宜変更して実施することができる。
さらに、投射面20a−42上における第1鏡面部20a−4A,第2鏡面部20a−4B,第4鏡面部20a−4Dおよび第5鏡面部20a−4Eの幅も適宜変更して実施することができる。
【0187】
〔5〕第5実施形態の説明
図23は第5実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図、図24,図25はそれぞれ本第5実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。なお、図25は図24のA部を拡大して示している。なお、図24,図25においては、便宜上、ミラー面11,ドーム型反射ミラー20−5の投射面20a−5,測定光28および第1反射光29のみを示しており、更に、投射面20a−5をそのミラー面11と対向する側とは反対側から図示している。
【0188】
本第5実施形態にかかる測定装置10−5も、第2実施形態の測定装置10−2と同様に、ミラー面11の偏向角度(傾き)が変更可能に構成されたMEMSミラー(ミラーシステム)12の偏向特性を測定するための装置である。この測定装置10−5は、図23に示すように、測定用光源14,管理部16−5,ハーフミラー17,ピンホール18,光量検知器191,偏向ミラー駆動部27,ミラー33およびドーム型反射ミラー(凹面投射部)20−5をそなえて構成されている。
【0189】
すなわち、本第5実施形態にかかる測定装置10−5は、第4実施形態の測定装置10−4におけるドーム型反射ミラー20−4に代えてドーム型反射ミラー20−5をそなえるとともに、管理部16−4に代えて管理部16−5をそなえるものであり、その他の部分は第4実施形態の測定装置10−4と同様に構成されている。
なお、図中、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0190】
ドーム型反射ミラー20−5は、図24に示すように、矩形の板状部材を一方の面の側に一定の円弧で湾曲させるように構成することにより、一方向に湾曲する円弧状の断面形状をそなえている。そして、このドーム型反射ミラー20−5は円弧の内側面、すなわち投射面20a−5をミラー面11に対向するように配置されており、ミラー面11において測定光28が反射することにより作成された第1反射光29が、この投射面20a−5に照射されるようになっている。すなわち、ドーム型反射ミラー20−5における円弧の内側面が、第1反射光29が投射光点として照射される投射面20a−5として機能するようになっている。
【0191】
更に、ドーム型反射ミラー20−5は、投射面20a−5の円弧中心がミラー面11における回転軸の第1投射点に重合するように配置されている。これにより、ドーム型反射ミラー20−5の投射面20a−5において、照射された第1反射光29が第2反射光(第2の反射光)30として反射するようになっており、又、その第2反射光30は、ミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0192】
また、ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
さらに、このドーム型反射ミラー20−5において、投射面20a−5のいずれの場所において反射された第2反射光30も、このミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0193】
ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
図26は本第5実施形態の測定装置10−5のドーム型反射ミラー20−5の投射面20a−5に形成された突起を模式的に示す側断面図である。なお、この図26に示す例においては、便宜上、ドーム型反射ミラー20−5の曲面の表現を省略している。
【0194】
ドーム型反射ミラー20−5の投射面20a−5には、図25,図26に示すように、投射光点移動方向に沿って、頂面20a−5Hを突出するようにそなえた複数の畝状の突起(段差)が、規則的な周期で並ぶように(格子状に)形成されている。そして、これらの突起は、その頂面20a−5Hをミラー面11に対向させるように配置されている。
また、投射面20a−5においては、図26に示すように、隣り合う突起どうしの間には底面20a−5Lが形成され、投射光点移動方向に沿って、突起の頂面20a−5Hと底面20a−5Lとが交互に並ぶようになっている。従って、投射面20a−5は、複数の頂面20a−5Hと複数の底面20a−5Lとを交互に配置することにより構成されているといえる。
【0195】
ドーム型反射ミラー20−5においては、これらの複数の頂面20a−5Hと複数の底面20a−5Lに第1反射光29が照射され、それぞれこの第1反射光29を反射することにより第2反射光30を出力するようになっている。
また、複数の頂面20a−5Hおよび複数の底面20a−5Lの反射率は均一もしくはほぼ均一に形成されている。これにより、投射面20a−5の投射光点移動方向において異なる複数の頂面を投射光点位置として反射して生成された複数の第2反射光30は、互いに同じ光量(反射光量)として出力される。
【0196】
そして、投射面20a−5に形成されたこれらの複数の突起は、互いに同じ高さを有しており、又、各突起の頂面20a−5Hどうしや底面20a−5Lどうしは、同じもしくはほぼ同じ幅(投射光点移動方向の長さ)となるように構成されている。すなわち、投射面20a−5において、各突起は投射光点移動方向において等間隔で配置されている。
すなわち、投射面20a−5においては、複数の突起を投射光点移動方向に沿って所定間隔で配設することにより格子が形成されている。
【0197】
そして、ドーム型反射ミラー20−5においては、第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させることにより、これらの配設された複数の頂面20a−5Hおよび底面20a−5Lに第1反射光29が投射光点移動方向に沿って順次照射され、それぞれこの第1反射光29を反射することにより第2反射光30を出力するようになっている。
また、投射面20a−5は、形成されている複数の突起の高さが等しくなるように構成されており、底面20a−5Lから頂面20a−5Hまでの高さ(高低差)が、λ/8(λ:測定光28の波長)以下(例えば、100〜150nm)となるように構成されている。
【0198】
すなわち、投射面20a−5に形成された各突起において、ミラー面11の回転軸から各頂面20a−5Hまでの距離と、ミラー面11の回転軸から各底面20a−5Lまでの距離との行路差が、λ/8(λ:測定光28の波長)以下となるように構成されている。
従って、このドーム型反射ミラー20−5においては、突起の頂面20a−5Hを投射光点位置として生じる第2反射光30と底面20a−5Lを投射光点位置として生じる第2反射光30とでは第2反射光30の位相(光学特性)が異なるようになっている。
【0199】
なお、ドーム型反射ミラー20−5における投射面20a−5の各突起は、例えば、EB(Electron Beam)描写や、レジストパタン形成,エッチング,薄膜形成等の既知のナノ加工技術を用いることにより実現することができる。これらのナノ加工技術を用いることにより、投射面20a−5における微小な段差を高精度で形成することができる。
また、ドーム型反射ミラー20−5の投射面20a−5も、金属,ガラス,石英等の材料を用いて形成される。又、投射面20a−5を形成する材料として周囲温度の影響の度合い、すなわち温度係数が少ない材料を用いることにより、測定精度を高くすることができる。
【0200】
光量検知器191には、測定用光源14から出力され、ハーフミラー17に反射されてミラー33に入射され、このミラー33のミラー面33aにおいて反射された後にハーフミラー17を透過して入射する測定光28が、第1経路光として入射されるようになっている。
また、光量検知器191には、測定用光源14から出力され、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に入射され、そのミラー面11において第1反射光29として反射された後に、ドーム型反射ミラー20−5の投射面20a−5において第2反射光30として反射され、再度、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射され、このハーフミラー17に反射されることにより入射する測定光28が、第2経路光として入射されるようになっている。
【0201】
そして、これらの第1経路光と第2経路光とは、ハーフミラー17によって同一光軸の光に合成されることにより相互に干渉(光干渉)するようになっている。なお、以下、第1経路光と第2経路光とを合成した光を合成光という場合がある。
また、この第2経路光においては、ドーム型反射ミラー20−5において、投射光点位置が頂面20a−5H上にあった光と、投射光点位置が底面20a−5L上にあった光とでは位相が変化するようになっている。
【0202】
そして、この第2経路光の位相が変化することにより、結果として、合成光の光量が変化する。すなわち、合成光においては、ミラー面11の偏向角度に応じてその光量が変化するのである。
図27は本第5実施形態の一例としての測定装置10−5における検知光量の出力例を示す図である。
【0203】
この図27に示す例においては、本第5実施形態の測定装置10−5において、ステージに載置した基準ミラー(MEMSミラー12)のミラー面11の偏向角度を−20度から+20度に連続的に回転させて、投射面20a−5において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させた場合に光量検知器191から出力される検知光量を示している。
【0204】
図27に示すように、投射光点が突起の頂面20a−5H上にある場合には検知光量が高くなり(山部)、投射光点が底面20a−5L上にある場合には検知光量が低くなる(谷部)。すなわち、投射面20a−5において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させると、その投射光点の位置に応じて、検知光量の値も上下するのである。
従って、上述の如く検出された検知光量における山部や谷部の数、すなわち、光学特性の変化数を計数することにより、投射面20a−5における投射光点の位置を特定することができる。
【0205】
なお、投射面20a−5における、各段差の頂面20a−5Hや底面20a−5Lの幅は、例えば、偏向角度0.1度で1周期の信号、すなわち、山部と谷部とが出現するように構成することが望ましい。
管理部16−5は、本測定装置10−5におけるMEMSミラー12の偏向特性を測定するための制御を行なうものであり、図23に示すように、計数部105および測定制御部104をそなえて構成されている。
【0206】
なお、これらの計数部105および測定制御部104の構成や機能は、第4実施形態の管理部16−4の計数部105および測定制御部104とほぼ同様であるので、その説明は省略する。
上述の如く構成された第5実施形態に係る測定装置10−5において、測定用光源14から測定光28を出力すると、この測定光28は、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に照射され(照射ステップ)、そのミラー面11において第1反射光29として反射される。第1反射光29は、ドーム型反射ミラー20−5の投射面20a−5において第2反射光30として反射され(反射ステップ)、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射される。そして、この第3反射光31は、ハーフミラー17に反射され、光量検知器191に入射される(受光ステップ)。光量検知器191は、このハーフミラー17から入射された第3反射光31の光量に応じた電圧信号を検知光量として出力する。
【0207】
また、測定制御部104は、測定用光源14に測定光28を出力させた状態で、偏向ミラー駆動部27により、ミラー面11の角度を変更させる。これにより、光量検知器191において検知光量の変化、すなわち、投射光点位置が突起の頂面20a−5H上にある場合と底面20a−5L上にある場合との光量差を検出することができるのである。
計数部105は、光量検知器191から出力される検知光量に基づいて、基準位置からの検知光量の山部もしくは谷部の出現回数を計数し、測定制御部104は、この計数結果に基づいてミラー面11の偏向角度を求める(測定ステップ)。
【0208】
なお、本第5実施形態の測定装置10−5における測定手順の詳細については、第1実施形態の測定装置10−1とほぼ同様であるための、その詳細な説明は省略する。
このように、本第5実施形態の一例としての測定装置10−5によっても、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
〔5−1〕第5実施形態の変形例の説明
上述した第5実施形態としての測定装置10−5においては、光量検知器191から出力される検知光量だけではミラー面11の偏向方向を判断することができない。
【0209】
図28および図29はそれぞれ本第5実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの変形例を説明するための図である。なお、図28は本第5実施形態の変形例としてのドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図、図29はそのA部を拡大して示している。なお、図28,図29においては、便宜上、ミラー面11,ドーム型反射ミラー20−51の投射面20a−51,測定光28および第1反射光29のみを示しており、更に、投射面20a−51をそのミラー面11と対向する側とは反対側から図示している。
【0210】
本第5実施形態の変形例としての測定装置10−51においては、図23に示すように、第5実施形態のドーム型反射ミラー20−5に代えて、ドーム型反射ミラー20−51をそなえるものであり、その他の部分は第5実施形態の測定装置10−5と同様に構成されている。
なお、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0211】
ドーム型反射ミラー20−51は、図28に示すように、矩形の板状部材を一方の面の側に一定の円弧で湾曲させるように構成することにより、一方向に湾曲する円弧状の断面形状をそなえている。そして、このドーム型反射ミラー20−51は円弧の内側面、すなわち投射面20a−51をミラー面11に対向するように配置されており、ミラー面11において測定光28が反射することにより作成された第1反射光29が、この投射面20a−51に照射されるようになっている。すなわち、ドーム型反射ミラー20−51における円弧の内側面が、第1反射光29が投射光点として照射される投射面20a−51として機能するようになっている。
【0212】
更に、ドーム型反射ミラー20−51は、投射面20a−51の円弧中心がミラー面11における回転軸の第1照射点に重合するように配置されている。これにより、ドーム型反射ミラー20−51の投射面20a−51において、照射された第1反射光29が第2反射光(第2の反射光)30として反射するようになっており、又、その第2反射光30は、ミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0213】
また、ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
さらに、このドーム型反射ミラー20−51において、投射面20a−5のいずれの場所において反射された第2反射光30も、このミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0214】
ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
また、ドーム型反射ミラー20−51は、ミラー面11を回動させていない状態、すなわち偏向角度が0の状態においては、そのミラー面11において反射した第1反射光30が投射面20a−51のほぼ中心位置に照射されるようになっている。以下、この投射面20a−51のほぼ中心位置のことを、ミラー面中心という場合がある。
【0215】
図30は本第5実施形態の変形例としてのドーム型反射ミラーの形状を模式的に示す側断面図である。なお、この図30に示す例においては、便宜上、ドーム型反射ミラー20−51の曲面の表現を省略している。
ドーム型反射ミラー20−51の投射面20a−51には、図29,図30に示すように、投射光点移動方向に沿って、ドーム型反射ミラー20−51の円弧中心に向かって突出する複数の鋸歯状突起(段差)が、規則的な周期で並ぶように(格子状に)形成されている。
【0216】
各鋸歯状突起は、図30に示すように、ドーム型反射ミラー20−51の円弧中心に向かって立設する鉛直面20a−51Tと、この鉛直面20a−51Tにおける円弧中心側の辺T1から、隣接する鉛直面20a−51Tにおける円弧中心とは反対側の辺T2にかけて連続的に接続する斜面20a−51Sとにより構成されている。
そして、投射面20a−51に形成されたこれらの複数の鋸歯状突起は、互いに同じ大きさになるように構成されており、各鉛直面20a−51Tや各斜面20a−51Sは同じ寸法となるように構成されている。すなわち、投射面20a−51において、各鋸歯状突起は投射光点移動方向において等間隔で配置されている。
【0217】
すなわち、投射面20a−51においては、複数の鋸歯状突起を投射光点移動方向に沿って所定間隔で配設することにより格子が形成されている。
また、ドーム型反射ミラー20−51においては、その投射面20a−51における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで、斜面20a−51Sの傾斜方向が異なるパターンを構成しているといえる。
【0218】
そして、ドーム型反射ミラー20−51においては、第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させることにより、これらの配設された複数の鋸歯状突起の斜面20a−51Sに第1反射光29が順次照射され、それぞれこの第1反射光29を反射することにより第2反射光30を出力するようになっている。
また、複数の斜面20a−51Sの反射率は均一もしくはほぼ均一に形成されている。これにより、投射面20a−51の投射光点移動方向において異なる複数の頂面を投射光点位置として反射して生成された複数の第2反射光30は、互いに同じ光量(反射光量)として出力される。
【0219】
さらに、投射面20a−5において、各鉛直面20a−51Tは同じ高さ(図30の
紙面上下方向)を有している。
各鉛直面20a−51Tの高さはλ/8(λ:測定光28の波長)以下(例えば、100〜150nm)となるように構成されており、これにより、ドーム型反射ミラー20−51においては、投射面20a−51における一つの斜面20a−51Sの投射光移動方向における複数位置で、ミラー面11の回転中心からの距離が同一の値となることがないようになっている。
【0220】
また、斜面20a−51Sにおける辺T1側と、斜面20a−51Sにおける辺T2側とではミラー面11の回転軸との距離が異なるようになっており、ミラー面11の回転軸までの距離が最大でλ/8異なるようになっている。
従って、斜面20a−51Sにおける辺T1側を投射光点位置として生じる第2反射光30と、斜面20a−51Sにおける辺T2側を投射光点位置として生じる第2反射光30とでは、第2反射光30の位相が変わるようになっている。
【0221】
なお、投射面20a−51における、鋸歯状突起の幅、すなわち、斜面20a−51Sの幅は、例えば、偏向角度0.1度で1周期の信号、すなわち、山部と谷部とが1つずつ出現するように構成することが望ましい。
また、ドーム型反射ミラー20−51において、斜面20a−51Sが傾斜することにより、厳密には、投射面20a−51における斜面20a−51Sで反射した第2反射光30の経路が第1反射光29の経路とが一致しなくなる。しかしながら、測定光28は100〜500μmほどの径を有しており、斜面20a−51Sの傾斜に比べて充分に太いので、その影響を受けることはない。
【0222】
さらに、このドーム型反射ミラー20−51も、第5実施形態のドーム型反射ミラー20−5とほぼ同様の手法により製造することができる。
光量検知器191には、測定用光源14から出力され、ハーフミラー17に反射されてミラー33に入射され、このミラー33のミラー面33aにおいて反射された後にハーフミラー17を透過して入射する測定光28が、第1経路光として入射されるようになっている。
【0223】
また、光量検知器191には、測定用光源14から出力され、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に入射され、そのミラー面11において第1反射光29として反射された後に、ドーム型反射ミラー20−51の投射面20a−51において第2反射光30として反射され、再度、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射され、このハーフミラー17に反射されることにより入射する測定光28が、第2経路光として入射されるようになっている。
【0224】
そして、これらの第1経路光と第2経路光とは、ハーフミラー17によって同一光軸の光に合成されることにより相互に干渉(光干渉)するようになっている。なお、以下、第1経路光と第2経路光とを合成した光を合成光という場合がある。
また、この第2経路光においては、ドーム型反射ミラー20−51において、投射光点位置が斜面20a−51Sにおける辺T1付近にあった光と辺2付近にあった光とでは位相が変化するようになっている。
【0225】
そして、この第2経路光の位相が変化することにより、結果として、合成光の光量が変化する。すなわち、合成光においては、ミラー面11の偏向角度に応じてその光量が変化するのである。
ドーム型反射ミラー20−51においては、その投射面20a−51における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで、斜面20a−51Sの傾斜方向が異なる。これにより、測定光28を投射しながらミラー面11を回転させる場合に、投射面20a−51に対して、その投射光点移動方向に沿った一方向で第1反射光29を照射することによられる第2経路光と、その投射光点移動方向に沿った逆方向で第1反射光29を照射することによられる第2経路光とでは、位相の変化傾向が異なる。
【0226】
従って、測定光28を投射しながらミラー面11を回転させる場合に、投射面20a−51に対して、その投射光点移動方向に沿った一方向で第1反射光29を照射することによられる合成光と、その投射光点移動方向に沿った逆方向で第1反射光29を照射することによられる合成光とでは、光量の変化傾向が異なるのである。
図31(a)〜(c)は本第5実施形態の変形例としての測定装置における検知光量の出力例を示す図であり、図31(a)はその検知光量の出力例を波形として示す図、31(b)は図31(a)に示された検知光量を閾値3により2値化した2値化波形の例を示す図、図31(c)は図31(a)に示された検知光量を閾値4により2値化した2値化波形の例を示す図である。
【0227】
この図31(a)〜(c)に示す例においては、本第5実施形態の変形例としての測定装置10−51において、ステージに載置した基準ミラー(MEMSミラー12)のミラー面11の偏向角度を−20度から+20度に連続的に回転させて、投射面20a−51において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させた場合に光量検知器191から出力される検知光量を示している。
【0228】
図31(a)に示すように、投射光点が、例えば鋸歯状突起の斜面20a−51Sにおける辺T1付近にある場合には検知光量が高くなり(山部)、投射光点が斜面20a−51Sにおける辺T2付近にある場合には検知光量が低くなる(谷部)。
すなわち、投射面20a−51において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させると、斜面20a−51S上における投射光点の位置に応じて検知光量の値も上下するのである。
【0229】
図31(a)に示す例においては、検知光量が上昇もしくは下降する傾斜線が鋸歯状突起の斜面20a−51Sに相当し、検知光量がほぼ垂直に下降する鉛直線が、鋸歯状突起の鉛直面20a−51Tに相当する。
従って、上述の如く検出された検知光量における山部や谷部の数、すなわち、光学特性の変化数を計数することにより、投射面20a−51における投射光点の位置を特定することができる。
【0230】
具体的には、図31(a)に示すように、検知光量を表す波形に対して、山部検出用閾値(閾値3:31(a)に示す例では0.68)を適用することにより、図31(b)に示すような第1の2値化波形を作成する。
同様に、図31(a)に示すように、検知光量を表す波形に対して、谷部検出用閾値(閾値4:図31(a)に示す例では0.33)を適用することにより、図31(c)に示すような第2の2値化波形を作成する。
【0231】
そして、これらの作成した2つの2値化波形の位相差の進み/遅れから、ミラー面11の回転方向を求めることができる。
すなわち、測定制御部(測定部)104は、投射面20a−51における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで、斜面20a−51Sの傾斜方向の違いによって生じる光量差に基づいて、ミラー面11の傾きの変化方向を判断するのである。
【0232】
このように、本第5実施形態の変形例としての測定装置10−51によれば、第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる他、ミラー面11の回転方向を容易に求めることができ利便性が高い。
〔6〕第6実施形態の説明
図32は第6実施形態の一例としての測定装置の構成を模式的に示す図、図33,図34はそれぞれ本第6実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの配置状態を模式的に示す斜視図である。なお、図34は図33のA部を拡大して示している。なお、図32,図33においては、便宜上、ミラー面11,ドーム型反射ミラー20−6の投射面20a−6,測定光28および第1反射光29のみを示しており、更に、投射面20a−6をそのミラー面11と対向する側とは反対側から図示している。
【0233】
本第6実施形態にかかる測定装置10−6も、第2実施形態の測定装置10−2と同様に、ミラー面11の偏向角度(傾き)が変更可能に構成されたMEMSミラー(ミラーシステム)12の偏向特性を測定するための装置である。この測定装置10−6は、図32に示すように、測定用光源14,管理部16−6,ハーフミラー17,ピンホール18,光量検知器191,偏向ミラー駆動部27,1/4波長板35,偏光板36およびドーム型反射ミラー(凹面投射部)20−6をそなえて構成されている。
【0234】
すなわち、本第6実施形態にかかる測定装置10−6は、図32に示すように、第5実施形態の測定装置10−5におけるドーム型反射ミラー20−5に代えてドーム型反射ミラー20−6をそなえるとともに、管理部16−5に代えて管理部16−6をそなえ、更に、1/4波長板35および偏光板36をそなえるものであり、その他の部分は第5実施形態の測定装置10−5と同様に構成されている。
【0235】
なお、図中、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
1/4波長板35は、直線偏光を円偏光にするものであって、測定用光源14から出力される測定光28を円偏光にするようになっている。この1/4波長板35は、測定用光源14から出力される測定光28の光軸上におけるハーフミラー17の上流側(測定用光源14側)に配設されている。なお、この1/4波長板35としては既知の1/4波長板を用いることができ、その詳細な説明は省略する。
【0236】
ドーム型反射ミラー20−6は、図32に示すように、矩形の板状部材を一方の面の側に一定の円弧で湾曲させるように構成することにより、一方向に湾曲する円弧状の断面形状をそなえている。そして、このドーム型反射ミラー20−6は円弧の内側面、すなわち投射面20a−6をミラー面11に対向するように配置されており、ミラー面11において測定光28が反射することにより作成された第1反射光29が、この投射面20a−6に照射されるようになっている。すなわち、ドーム型反射ミラー20−6における円弧の内側面が、第1反射光29が投射光点として照射される投射面20a−6として機能するようになっている。
【0237】
更に、ドーム型反射ミラー20−6は、投射面20a−6の円弧中心がミラー面11における回転軸の第1投射点に重合するように配置されている。これにより、ドーム型反射ミラー20−6の投射面20a−6において、照射された第1反射光29が第2反射光(第2の反射光)30として反射するようになっており、又、その第2反射光30は、ミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0238】
また、ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
さらに、このドーム型反射ミラー20−6において、投射面20a−6のいずれの場所において反射された第2反射光30も、このミラー面11における回転軸上の第1照射点に照射されるようになっている。
【0239】
ミラー面11に照射された第2反射光30は、この第1照射点において第3反射光31として反射され、測定光28と同一経路上を逆方向に進行しハーフミラー17に入射されるようになっている。
図35は本第6実施形態の測定装置のドーム型反射ミラーの部分拡大図である。ドーム型反射ミラー20−6の投射面20a−6には、図34および図35に示すように、投射光点移動方向に沿って、第1鏡面部20a−6Aと第2鏡面部20a−6Bとが交互に配置されるように形成されている。
【0240】
また、本第6実施形態においては、第1鏡面部20a−6Aと第2鏡面部20a−6Bとは、投射光点移動方向において同じもしくはほぼ同じ幅(投射光点移動方向の長さ)となるように構成されている。すなわち、複数の第1鏡面部20a−6Aもしくは第2鏡面部20a−6Bは、投射光点移動方向において等間隔で配置されているといえる。又、これらの第1鏡面部20a−6Aおよび第2鏡面部20a−6Bは、投射面20a−6における投射光点移動方向と直行する方向と平行もしくはほぼ平行に配設されている。
【0241】
すなわち、投射面20a−6においては、第1鏡面部20a−6Aと第2鏡面部20a−6Bとを投射光点移動方向に沿って交互に繰り返し配設することにより格子が形成されている。
そして、ドーム型反射ミラー20−6においては、第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させることにより、これらの交互に配設された複数の第1鏡面部20a−6Aおよび第2鏡面部20a−6Bに第1反射光29が順次照射され、それぞれこの第1反射光29を反射することにより第2反射光30を出力するようになっている。
【0242】
第1鏡面部20a−6Aは、第1の偏光方向(例えば、90度;反射特性)を有する反射型偏光板であり、第2鏡面部20a−6Bは、第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向(例えば、0度;反射特性)を有する反射型偏光板である。
これにより、投射面20a−6の投射光点移動方向において、第1鏡面部20a−6Aを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30と、第2鏡面部20a−6Bを投射光点位置として反射して生成された第2反射光30とは異なる偏光方向(光学特性)として出力される。
【0243】
すなわち、これらの第1鏡面部20a−6Aと第2鏡面部20a−6Bとは、第2反射光30の光学特性を変化させうる光学特性変更部として機能するようになっている。
なお、ドーム型反射ミラー20−6における投射面20a−6は、例えば、金属,ガラス,石英等の材料を用いて形成された鏡面上に、第1の偏光方向の偏光フィルムと第2の変更方向の変更フィルムとを交互に貼りつめることにより、第1鏡面部20a−6Aと第2鏡面部20a−6Bとを形成する。
【0244】
なお、投射面20a−6を、EB描写や、レジストパタン形成,エッチング,薄膜形成等の既知のナノ加工技術を用いて微細なパターンを形成することによって投射面20a−6における第1鏡面部20a−6Aおよび第2鏡面部20a−6Bを形成してもよい。これにより、投射面20a−6上に偏光フィルムを貼りつめることによって第1鏡面部20a−6Aおよび第2鏡面部20a−6Bを形成する手法よりも、第1鏡面部20a−6Aおよび第2鏡面部20a−6Bの幅を小さく構成することができる。又、投射面20a−6を形成する材料として周囲温度の影響の度合い、すなわち温度係数が少ない材料を用いることにより、測定精度を高くすることができる。
【0245】
偏光板36は特定の振動方向の光のみを通過させるフィルタであって、その透過軸と平行な振動成分の光だけを通過させるようになっている。この偏光板3は、ハーフミラー17と光量検知器191との間に配設されている。なお、偏光板36としては既知の偏光板を用いることができ、その詳細な説明は省略する。
この偏光板36は、例えば、第1の偏光方向の光を全通過させる一方で、第2の偏光方向の光を遮断するようになっている。すなわち、偏光板36は、第1の偏光方向の光のみを通過させて光量検知器19に入力させるようになっている。
【0246】
従って、偏光板36は、投射面20a−6における第2鏡面部20a−6において反射された第2反射光30は透過させて光量検知器191に入射させる一方で、投射面20a−6における第1鏡面部20a−6Aにおいて反射された第2反射光30は遮断して光量検知器191に入射させないようになっている。
光量検知器191には、測定用光源14から出力され、1/4波長板35により円偏光された測定光28が、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に入射され、そのミラー面11において第1反射光29として反射された後に、ドーム型反射ミラー20−4の投射面20a−4において第2反射光30として反射され、この第2反射光30は、再度、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射され、このハーフミラー17に反射された後に偏光板36によって偏光された測定光28が入射されるようになっている。
【0247】
そして、投射面20a−6における第1反射光29の投射位置、すなわち投射光点位置が第1鏡面部20a−6A上である場合には、光量検知器191の検知光量が小さくなり、投射面20a−4における第1反射光29の投射光点位置が第2鏡面部20a−6B上である場合には、光量検知器191の検知光量が大きくなる。
すなわち、ミラー面11の偏向角度に応じて光量検知器191の検知光量が変化し、投射面20a−6において投射光移動方向に沿って投射光点を移動させることにより、光量検知器191の検知光量は、繰り返し増減するのである。
【0248】
従って、投射光点が第1鏡面部20a−6B上にある場合には検知光量が高くなり(山部)、投射光点が第2鏡面部20a−6A上にある場合には検知光量が低くなる(谷部)。すなわち、投射面20a−6において第1反射光29の投射光点を投射光点移動方向に移動させると、その投射光点の位置に応じて、検知光量の値も上下するのである。
従って、本第6実施形態の測定装置10−6においても、上述した第4実施形態と同様に、検出された検知光量における山部や谷部の数、すなわち、光学特性の変化数を計数することにより、投射面20a−6における投射光点の位置を特定することができる。
【0249】
なお、投射面20a−6における、第1鏡面部20a−6Aと第2鏡面部20a−6Bとの幅は、例えば、偏向角度0.1度で1周期の信号、すなわち、山部と谷部とが出現するように構成することが望ましい。
管理部16−6は、本測定装置10−6におけるMEMSミラー12の偏向特性を測定するための制御を行なうものであり、図32に示すように、計数部105および測定制御部104をそなえて構成されている。
【0250】
なお、これらの計数部105および測定制御部104の構成および機能は第4実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
上述の如く構成された第6実施形態に係る測定装置10−6において、測定用光源14から測定光28を出力すると、この測定光28は、1/4波長板35により円偏光された後、ハーフミラー17を透過してMEMSミラー12に照射される(照射ステップ)。測定光28は、MEMSミラー12のミラー面11において第1反射光29として反射される。この第1反射光29は、ドーム型反射ミラー20−6の投射面20a−6において第2反射光30として反射され(反射ステップ)、ミラー面11に入射されて第3反射光31としてハーフミラー17に入射される。
【0251】
そして、この第3反射光31は、ハーフミラー17に反射され、偏光板3を介して光量検知器191に入射される(受光ステップ)。光量検知器191は、このハーフミラー17から入射された第3反射光31の光量に応じた電圧信号を検知光量として出力する。
また、測定制御部104は、測定用光源14に測定光28を出力させた状態で、偏向ミラー駆動部27により、ミラー面11の角度を変更させる。これにより、光量検知器191において検知光量の変化、すなわち、投射光点位置が第1鏡面部20a−6A上にある場合と第2鏡面部20a−6B上にある場合との光量差を検出することができるのである。
【0252】
計数部105は、光量検知器191から出力される検知光量に基づいて、基準位置からの検知光量の山部もしくは谷部の出現回数を計数し、測定制御部104は、この計数結果に基づいてミラー面11の偏向角度を求める(測定ステップ)。
なお、本第6実施形態の測定装置10−6における測定手順の詳細については、第1実施形態の測定装置10−6とほぼ同様であるための、その詳細な説明は省略する。
【0253】
このように、本第6実施形態の一例としての測定装置10−6によれば、上述した第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
〔7〕その他
なお、上述した光量値演算部101,偏向角度算出部102,測定制御部104,計数部105および角度検出処理部106(後述)は、いずれも、電子回路によりハードウェア的に各処理を実現してもよく、又、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実効することによりソフトウェア的に各処理を実現してもよく、各実施形態および各変形例の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0254】
例えば、CPU(Central Processing Unit)をそなえたコンピュータにより管理部16−1,16−2,16−3,16−4,16−41,16−42,16−5,16−51,16−6を実現し、光量値演算部101,偏向角度算出部102,測定制御部104,計数部105および角度検出処理部106の少なくとも一部の機能を、CPUがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0255】
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RW,HD−DVDなど),ブルーレイディスク等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0256】
ここで、コンピュータとは、ハードウェアとOSとを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とをそなえている。
【0257】
上記プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、光量値演算部101,偏向角度算出部102,測定制御部104,計数部105および角度検出処理回路106としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0258】
また、各実施形態および各変形例は上記記載に限定されるものではなく、各趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した各実施形態および各変形例においては、便宜上省略しているが、測定光28や各反射光の経路上において、これらの光を集光する集光レンズ等を適宜そなえてもよい。
【0259】
また、上述した第2〜第6実施形態および各変形例においては、管理部16−2,16−3,16−4,16−41,16−42,16−5,16−51,16−6が、光量検知器191によって検知された検知光量を直接的に用いてMEMSミラー12の偏向特性を測定するための制御を行なっているが、これに限定されるものではない。
例えば、測定光源14から出力された測定光28に基づく基準光の光量(基準光量)を測定し、この基準光量に基づいて、測定用光源14の光量変動を相殺することにより測定精度を向上させてもよい。
【0260】
以下、基準光量に基づいて測定用光源14の光量変動を相殺することにより測定精度を向上させる手法を、上述した第3実施形態の測定装置10−3に適用した例に基づき説明する。
図36は第3実施形態の測定装置10−3の変形例を説明するための図である。本第3実施形態の変形例としての測定装置10−31は、図36に示すように、第3実施形態の測定装置3にハーフミラー34,光量検知器193をそなえるとともに、管理部16−3に代えて管理部16−31をそなえるものであり、その他の部分は第3実施形態の測定装置10−3と同様に構成されている。
【0261】
なお、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
ハーフミラー34は、ドーム型反射ミラー20−3から反射された第2反射光30がMEMSミラー12のミラー面11において反射することにより生成された第3反射光31の一部(半分)を反射(分割)して光量検知器193に入力させるものである。このハーフミラー34は、第3反射光31の光軸上、すなわち、測定用光源14から出力される測定光28の光軸上において、ハーフミラー17とピンホール18との間に配置されている。図36に示す例においては、ハーフミラー34は、第3反射光31の光軸上に、ハーフミラー17とほぼ平行に配設されている。
【0262】
光量検知器193は、ミラー面11から反射される第3反射光31の光量を測定するものであって、ドーム型反射ミラー20−3を経由してミラー面11によって反射(分割)された測定光28の光量を測定するようになっている。この光量検知器193は、光量検知器191と同様に、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ,CdSセル等の光センサにより構成され、入力光の光量に応じた電圧(電圧信号)V3を出力するようになっている。
【0263】
管理部16−31は、本測定装置10−31におけるMEMSミラー12の偏向特性を測定するための制御を行なうものであり、図36に示すように、角度検出処理部106,偏向角度算出部102,メモリ103および測定制御部104をそなえて構成されている。
角度検出処理部106は、光量検知器191によって検出された電圧信号V1と光量検知器193によって検出された電圧信号V3とに基づき、これらの電圧信号V1,V3の信号比(V1/V3)を演算し、検知光量として出力するものである。
【0264】
このように、光量検知器191によって検出された電圧信号V1と光量検知器193によって検出された電圧信号V3との信号比を算出することにより、測定用光源14によって生成される測定光28が安定しない場合であっても、この光量変動を補正(相殺)することができる。すなわち、ドーム型反射ミラー20−3の投射面20a−3からの反射光(第2反射光30,第3反射光31)の正確な光量を測定することができる。
【0265】
そして、上述の如き光量検知器193,角度検出処理部106による検知光量の補正は、上述した第2〜第6実施形態および各変形例における管理部16−2,16−4,16−41,16−42,16−5,16−51,16−6のいずれに適用してもよい。
また、上述した各実施形態および各変形例においては、ドーム型反射ミラー20−1,20−2,20−3,20−4,20−41,20−42,20−5,20−51,20−6が、矩形の板状部材を一方の面の側に、投射光点移動方向に沿った方向において一定の円弧で湾曲させるように構成することにより、一方向に湾曲する円弧状の断面形状をそなえて構成されているが、これに限定されるものではない。
【0266】
例えば、ドーム型反射ミラー20−1,20−2,20−3,20−4,20−41,20−42,20−5,20−51,20−6を、複数方向に湾曲する円弧状の断面形状、すなわち、お椀型の断面形状をそなえて構成してもよい。
そして、これに伴い、MEMSミラー12を同時にX軸とY軸との2つの回転軸まわりで回動させて、その偏向特性を測定してもよい。
【0267】
また、例えば、上記各実施形態および各変形例は、MEMSミラー12以外のミラーシステムに適用してもよく、例えば、モータの軸にミラー面が取り付けられ、電磁力を利用してモータを駆動させることによりモータの軸に取り付けられたミラー面の偏向角度を制御するガルバノミラーに適用してもよい。
なお、上述したMEMSミラー12は、既知の種々の手法を用いて製造することができる(製造ステップ)。そして、各実施形態および各変形例における測定装置10−1,10−2,10−3,10−4,10−41,10−42,10−5,10−51,10−6は、その製造工程の一部としてのMEMSミラー12の検査工程(検査ステップ)において用いられる。
【0268】
また、上述した開示により各実施形態および各変形例を当業者によって実施・製造することが可能である。
〔8〕付記
(付記1)
ミラー面の傾きが変更可能なミラーシステムの特性を測定する測定装置であって、
該ミラー面に測定光を照射する測定用光源と、
該測定用光源から照射された該測定光が該ミラー面で反射された光を反射する凹面形状の投射面を備えた凹面投射部と、
凹面投射部の投射面において反射された光を受光する受光部と、
該受光部が受光した光を元に該ミラーシステムの特性を測定する測定部と
を有することを特徴とする、測定装置。
【0269】
(付記2)
前記測定用光源は、前記凹面投射部への照射位置を変更可能であり、
該受光部は、前記測定用光源から複数の照射位置における前記凹面投射部の反射光を夫々受光すると共に、
該受光部によって受光された、複数の反射光の各光学特性に基づいて、該ミラーシステムの特性を測定する測定部をそなえることを特徴とする、付記1記載の測定装置。
【0270】
(付記3)
該ミラー面の傾きを制御する制御部をそなえ、
該測定部が、該受光部によって受光された反射光の各光学特性に基づいて、それぞれ該凹面投射部の該投射面における前記測定用光源が照射した照射位置を求め、該制御部によって制御された該ミラー面の傾きの変更に伴って移動する該投射光点の位置を判断し、該ミラーシステムの特性を測定することを特徴とする、付記2記載の測定装置。
【0271】
(付記4)
該凹面投射部が、該投射面における複数位置において互いに異なる反射特性を有していることを特徴とする、付記2又は付記3記載の測定装置。
(付記5)
該反射特性が反射率であることを特徴とする、付記4記載の測定装置。
【0272】
(付記6)
該反射特性が反射偏光特性であることを特徴とする、付記4記載の測定装置。
(付記7)
該凹面投射部が、該投射面における複数位置において互いに異なる高さの突起を有していることを特徴とする、付記4記載の測定装置。
【0273】
(付記8)
該投射面が円弧状の断面形状をそなえ、その円弧中心が該ミラー面における該測定光の反射位置に合致するように該凹面投射部が配置されたことを特徴とする、付記1〜付記7のいずれか1項に記載の測定装置。
(付記9)
該凹面投射部が、該投射面における複数位置のそれぞれが、該ミラー面における該測定光の反射位置から互いに異なる距離を有するように配置されていることを特徴とする、付記2記載の測定装置。
【0274】
(付記10)
該投射面が円弧状の断面形状をそなえ、該凹面投射部が、該投射面の円弧中心が該ミラー面における該測定光の反射位置からずれた位置に配置されたことを特徴とする、付記9記載の測定装置。
(付記11)
該凹面投射部が、該投射面における投射光点移動方向に沿って反射光の光学特性を変化させうる光学特性変更部を複数そなえ、
該測定部が、該受光部によって受光された反射光における光学特性の変化数に基づき、該ミラーシステムの特性を測定することを特徴とする、付記2又は付記3記載の測定装置。
【0275】
(付記12)
該凹面投射部において、該投射面における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで、該複数の光学特性変更部の配置が異なるパターンを構成し、
該測定部が、該パターンの違いに基づいて、該ミラー面の傾きの変化方向を判断することを特徴とする、付記11記載の測定装置。
【0276】
(付記13)
ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定方法であって、
該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、
該照射ステップにおいて照射された該測定光を該ミラー面で反射した反射光を、凹面形状の投射面をそなえた凹面投射部の該投射面に照射して反射させる反射ステップと、
該反射ステップにおいて反射された反射光を受光する受光ステップと、
該受光ステップが受光した光を元に該ミラーシステムの特性を測定する測定ステップと
をそなえることを特徴とする、測定方法。
【0277】
(付記14)
前記測定用光源は、前記凹面投射部への照射位置を変更可能であり、
該受光ステップにおいて、前記測定用光源から複数の照射位置における前記凹面投射部の反射光を夫々受光すると共に、
該受光ステップにおいて受光された、複数の反射光の各光学特性に基づいて、該ミラーシステムの特性を測定する測定ステップをそなえることを特徴とする、付記13記載の測定方法。
【0278】
(付記15)
該ミラー面の傾きを制御する制御ステップをそなえ、
該測定ステップにおいて、該受光ステップにおいて受光された反射光の各光学特性に基づいて、それぞれ該凹面投射部の該投射面における前記測定用光源が照射した照射位置を求め、該制御ステップにおいて制御された該ミラー面の傾きの変更に伴って移動する該投射光点の位置を判断し、該ミラーシステムの特性を測定することを特徴とする、付記14記載の測定方法。
【0279】
(付記16)
該凹面投射部が、該投射面における複数位置において互いに異なる反射特性を有していることを特徴とする、付記14又は付記15記載の測定方法。
(付記17)
該反射特性が反射率であることを特徴とする、付記16記載の測定方法。
【0280】
(付記18)
該反射特性が反射偏光特性であることを特徴とする、付記16記載の測定方法。
(付記19)
該凹面投射部が、該投射面における複数位置において互いに異なる高さの突起を有していることを特徴とする、付記16記載の測定方法。
【0281】
(付記20)
該投射面が円弧状の断面形状をそなえ、その円弧中心が該ミラー面における該測定光の反射位置に合致するように該凹面投射部が配置されたことを特徴とする、付記13〜付記19のいずれか1項に記載の測定方法。
(付記21)
該凹面投射部が、該投射面における複数位置のそれぞれが、該ミラー面における該測定光の反射位置から互いに異なる距離を有するように配置されていることを特徴とする、付記14又は付記15記載の測定方法。
【0282】
(付記22)
該投射面が円弧状の断面形状をそなえ、該凹面投射部が、該投射面の円弧中心が該ミラー面における該測定光の反射位置からずれた位置に配置されたことを特徴とする、付記21記載の測定方法。
(付記23)
該凹面投射部が、該投射面における投射光点移動方向に沿って反射光の光学特性を変化させうる光学特性変更部を複数そなえ、
該測定ステップにおいて、該受光ステップにおいて受光された反射光における光学特性の変化数に基づき、該ミラーシステムの特性を測定することを特徴とする、付記14又は付記15記載の測定方法。
【0283】
(付記24)
該凹面投射部において、該投射面における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで、該複数の光学特性変更部の配置が異なるパターンを構成し、
該測定ステップにおいて、該パターンの違いに基づいて、該ミラー面の傾きの変化方向を判断することを特徴とする、付記23記載の測定方法。
【0284】
(付記25)
ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの製造方法であって、
該ミラーシステムを製造する製造ステップと、
該製造ステップにおいて製造された該ミラーシステムを検査する検査ステップとをそなえ、
該検査ステップが、
該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、
該照射ステップにおいて照射された該測定光を該ミラー面で反射した反射光を、凹面形状の投射面をそなえた凹面投射部の該投射面に照射して反射させる反射ステップと、
該反射ステップにおいて反射された反射光を受光する受光ステップと、
該受光ステップが受光した光を元に該ミラーシステムの特性を測定する測定ステップと
をそなえることを特徴とする、ミラーシステムの製造方法。
【符号の説明】
【0285】
10−1,10−2,10−3,10−4,10−41,10−42,10−5,10−51,10−6 測定装置
11 ミラー面
12 MEMSミラー(ミラーシステム)
14 測定用光源
16−1,16−2,16−3,16−4,16−41,16−42,16−5,16−51,16−6 管理部
17 ハーフミラー
18 ピンホール
20a−1,20a−2,20a−3,20a−4,20a−41,20a−42,20a−5,20a−51,20a−6 投射面
20−1,20−2,20−3,20−4,20−41,20−42,20−5,20−51,20−6 ドーム型反射ミラー(凹面投射部)
20a−3H,20a−5H 頂面
20a−3L,20a−5L 底面
20a−4A 第1鏡面部
20a−4B 第2鏡面部
20a−4C 第3鏡面部
20a−4D 第4鏡面部
20a−4E 第5鏡面部
20a−51S 斜面
20a−51T 鉛直面
20a−6A 第1鏡面部
20a−6B 第2鏡面部
23 内側フレーム
24 外側フレーム
25 第1トーションバー(回転軸)
26 第2トーションバー(回転軸)
27 偏向ミラー駆動部
28 測定光
29 第1反射光
30 第2反射光
31 第3反射光
33 ミラー
33a ミラー面
34 ハーフミラー
35 1/4波長板
36 偏光板
101 光量値演算部
102 偏向角度算出部
103 メモリ
104 測定制御部(測定部,制御部)
105 計数部
106 角度検出処理部
191 光量検知器(受光部)
192,193 光量検知器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー面の傾きが変更可能なミラーシステムの特性を測定する測定装置であって、
該ミラー面に測定光を照射する測定用光源と、
該測定用光源から照射された該測定光が該ミラー面で反射された光を反射する凹面形状の投射面を備えた凹面投射部と、
凹面投射部の投射面において反射された光を受光する受光部と、
該受光部が受光した光を元に該ミラーシステムの特性を測定する測定部と
を有することを特徴とする、測定装置。
【請求項2】
前記測定用光源は、前記凹面投射部への照射位置を変更可能であり、
該受光部は、前記測定用光源から複数の照射位置における前記凹面投射部の反射光を夫々受光すると共に、
該受光部によって受光された、複数の反射光の各光学特性に基づいて、該ミラーシステムの特性を測定する測定部をそなえることを特徴とする、請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
該ミラー面の傾きを制御する制御部をそなえ、
該測定部が、該受光部によって受光された反射光の各光学特性に基づいて、それぞれ該凹面投射部の該投射面における前記測定用光源が照射した照射位置を求め、該制御部によって制御された該ミラー面の傾きの変更に伴って移動する該投射光点の位置を判断し、該ミラーシステムの特性を測定することを特徴とする、請求項2記載の測定装置。
【請求項4】
該凹面投射部が、該投射面における複数位置において互いに異なる反射特性を有していることを特徴とする、請求項2又は請求項3記載の測定装置。
【請求項5】
該反射特性が反射率であることを特徴とする、請求項4記載の測定装置。
【請求項6】
該凹面投射部が、該投射面における複数位置のそれぞれが、該ミラー面における該測定光の反射位置から互いに異なる距離を有するように配置されていることを特徴とする、請求項2記載の測定装置。
【請求項7】
該投射面が円弧状の断面形状をそなえ、該凹面投射部が、該投射面の円弧中心が該ミラー面における該測定光の反射位置からずれた位置に配置されたことを特徴とする、請求項6記載の測定装置。
【請求項8】
該凹面投射部が、該投射面における投射光点移動方向に沿って反射光の光学特性を変化させうる光学特性変更部を複数そなえ、
該測定部が、該受光部によって受光された反射光における光学特性の変化数に基づき、該ミラーシステムの特性を測定することを特徴とする、請求項2又は請求項3記載の測定装置。
【請求項9】
該凹面投射部において、該投射面における投射光点移動方向に沿った一方向とその逆方向とで、該複数の光学特性変更部の配置が異なるパターンを構成し、
該測定部が、該パターンの違いに基づいて、該ミラー面の傾きの変化方向を判断することを特徴とする、請求項8記載の測定装置。
【請求項10】
ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定方法であって、
該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、
該照射ステップにおいて照射された該測定光を該ミラー面で反射した反射光を、凹面形状の投射面をそなえた凹面投射部の該投射面に照射して反射させる反射ステップと、
該反射ステップにおいて反射された反射光を受光する受光ステップと、
該受光ステップが受光した光を元に該ミラーシステムの特性を測定する測定ステップと
をそなえることを特徴とする、測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2010−216937(P2010−216937A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62932(P2009−62932)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】