説明

測定装置および測定方法

【課題】打撃物と被打撃物の両方の速度をより正確に測定することができるようにする。
【解決手段】ドップラセンサ11aは、送信した第1の送信信号が打撃物に反射して戻ってきた第1のドップラ信号を受信する。ドップラセンサ11bは、送信した第2の送信信号が被打撃物に反射して戻ってきた第2のドップラ信号を受信する。マイクロホン14は、被打撃物が打撃物によって打撃された瞬間である打撃タイミングを検出する。データ処理装置2の演算部32は、打撃タイミングから所定期間前の時刻までの第1のドップラ信号に基づいて打撃物の速度を演算するとともに、打撃タイミングから所定期間後の時刻までの第2のドップラ信号に基づいて被打撃物の速度を演算する。本発明は、例えば、ゴルフにおける打撃物としてのゴルフクラブの速度と被打撃物としてのゴルフボールの速度を測定する測定装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置および測定方法に関し、特に、打撃物と被打撃物の両方の速度をより正確に測定することができるようにする測定装置および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野球、ゴルフ、テニス、サッカーなどのスポーツにおいて、例えば、プレーヤが用いるバットやゴルフクラブ、テニスラケット、あるいはサッカーにおけるプレーヤの脚部など、打撃物の速度を測定することは、そのプレーヤの持つパワー的な能力を測定するという意味で重要である。また、野球ボールやゴルフボール、テニスボール、サッカーボールなどの、被打撃物の速度を測定することも、プレーヤが行った打撃(ショット)の質、即ち、パフォーマンスレベルを測定するという意味で重要である。
【0003】
従って、スポーツにおいて打撃物と被打撃物の速度を同時に測定することは、基礎的な測定と言うことができ、各々の競技において技能の向上を図る上で重要である。これらの測定方法には、従来、映像を使った方法、磁気を使った方法、光学センサを用いた方法、ドップラセンサを用いた方法など、様々な方法があるが、最近では特に、簡便で安価であることなどから、ドップラセンサを用いる方法が多く利用されている。
【0004】
例えば、ドップラセンサを用いて、ゴルフにおいて、スイングしたときのクラブヘッドの速度を測定するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、ドップラセンサを用いて、ゴルフにおける打撃物としてのクラブヘッドの速度(ヘッドスピード)と被打撃物としてのゴルフボールの速度(ボールスピード)の両方を測定するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−326318号公報
【特許文献2】特開2010−025737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2で開示されている測定方法では、1個のドップラセンサにより取得したドップラ信号に基づいて、クラブヘッドの速度とゴルフボールの速度を測定している。この場合、1個のドップラセンサから取得したドップラ信号を、クラブヘッド側の信号と、ゴルフボール側の信号に適切に分離できるかが重要となるが、クラブヘッドとゴルフボールの速度が近い場合に正確に分離することが難しい。そのため、クラブヘッドとゴルフボールの速度を正確に測定できないことがあった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、打撃物と被打撃物の両方の速度をより正確に測定することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面の測定装置は、第1の送信信号を出力するとともに、前記第1の送信信号が打撃物に反射して戻ってきた信号である第1のドップラ信号を受信する第1のドップラセンサと、第2の送信信号を出力するとともに、前記第2の送信信号が被打撃物に反射して戻ってきた信号である第2のドップラ信号を受信する第2のドップラセンサと、前記被打撃物が前記打撃物によって打撃された瞬間である打撃タイミングを検出するタイミング検出手段と、前記タイミング検出手段により検出された前記打撃タイミングから所定期間前の時刻までの前記第1のドップラ信号に基づいて前記打撃物の速度を演算するとともに、前記打撃タイミングから所定期間後の時刻までの前記第2のドップラ信号に基づいて前記被打撃物の速度を演算する演算手段とを備える。
【0009】
本発明の一側面の測定方法は、第1のドップラセンサと、第2のドップラセンサと、タイミング検出手段と、演算手段とを備える測定装置の測定方法であって、前記第1のドップラセンサが、第1の送信信号を出力するとともに、前記第1の送信信号が打撃物に反射して戻ってきた信号である第1のドップラ信号を受信し、前記第2のドップラセンサが、第2の送信信号を出力するとともに、前記第2の送信信号が被打撃物に反射して戻ってきた信号である第2のドップラ信号を受信し、前記タイミング検出手段が、前記被打撃物が前記打撃物によって打撃された瞬間である打撃タイミングを検出し、前記演算手段が、前記タイミング検出手段により検出された前記打撃タイミングから所定期間前の時刻までの前記第1のドップラ信号に基づいて前記打撃物の速度を演算するとともに、前記打撃タイミングから所定期間後の時刻までの前記第2のドップラ信号に基づいて前記被打撃物の速度を演算する。
【0010】
本発明の一側面においては、第1の送信信号が出力されるとともに、第1の送信信号が打撃物に反射して戻ってきた信号である第1のドップラ信号が受信され、第2の送信信号が出力されるとともに、第2の送信信号が被打撃物に反射して戻ってきた信号である第2のドップラ信号が受信される。そして、被打撃物が打撃物によって打撃された瞬間である打撃タイミングが検出され、検出された打撃タイミングから所定期間前の時刻までの第1のドップラ信号に基づいて打撃物の速度が演算されるとともに、打撃タイミングから所定期間後の時刻までの第2のドップラ信号に基づいて被打撃物の速度が演算される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、打撃物と被打撃物の両方の速度をより正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した測定システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の測定システムの配置例を示す図である。
【図3】計測装置内の2個のドップラセンサとその測定範囲との関係について説明する図である。
【図4】インパクト測定モードによる測定処理について説明するフローチャートである。
【図5】本発明を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[測定システムの構成例]
図1は、本発明を適用した測定システムの一実施の形態の構成例を示している。
【0014】
図1の測定システムは、計測装置1、データ処理装置2、及び撮像装置3を有し、プレーヤ(被験者)がゴルフクラブをスイングして、所定の位置に置かれたゴルフボールを打撃したときの、打撃物であるゴルフクラブの速度と、被打撃物であるゴルフボールの速度を同時に測定するシステムである。
【0015】
なお、図1の測定システムは、ゴルフボールがゴルフクラブに打撃された瞬間のゴルフクラブとゴルフボールの速度を測定して表示するインパクト測定モード(第1の測定モード)と、ゴルフクラブとゴルフボールの速度の測定の他に、プレーヤのスイング動作全体の画像も撮影して表示する画像付き測定モード(第2の測定モード)とを有している。
【0016】
計測装置1は、ドップラセンサ11、コンパレータ12、及びADC(A/Dコンバータ)13を、それぞれ2個ずつ備えている。ドップラセンサ11は、マイクロ波の信号を送信信号として出力するとともに、出力した送信信号が所定の物体に反射して周波数が変更され、所定のドップラ周波数となった反射信号(以下、ドップラ信号という。)を受信する。ドップラセンサ11が出力する送信信号の周波数は、例えば、24.11GHzである。コンパレータ12は、ドップラセンサ11が受信したドップラ信号の出力レベルを、予め設定された基準レベルVTHと比較し、その出力レベルが基準レベルVTH以上である場合に、測定対象の物体を検出した検出信号K1またはK2を出力する。ADC13は、ドップラセンサ11が出力するドップラ信号を所定のビット数(例えば、16ビット)でAD変換し、AD変換後のデジタル化されたドップラ信号SIG1またはSIG2を出力する。
【0017】
2個のドップラセンサ11、コンパレータ12、及びADC13のうち、一方はゴルフクラブの速度検出用であり、他方はゴルフボールの速度検出用である。なお、2個のドップラセンサ11と、その出力を受けるコンパレータ12及びADC13のうち、ゴルフクラブとゴルフボールのどちらの速度を検出するかは、プレーヤが右打ち(右利き)であるか、または左打ち(左利き)であるかによって異なる。即ち、プレーヤが右打ちである場合、ドップラセンサ11a、コンパレータ12a、及びADC13aが、ゴルフクラブの速度を検出し、ドップラセンサ11b、コンパレータ12b、及びADC13bが、ゴルフボールの速度を検出する。プレーヤが左打ちである場合は、その反対となる。
【0018】
以下では、右打ちのプレーヤ用の設定がなされているものとして、ゴルフクラブの速度を検出するドップラセンサ11aをクラブ側センサ11aと称し、ゴルフボールの速度を検出するドップラセンサ11bをボール側センサ11bと称する。左打ちのプレーヤ用の設定にした場合の相違部分については必要に応じて適宜説明する。
【0019】
計測装置1は、マイクロホン14、バッファメモリ15、切替部16、表示部17、制御部19、及び入出力部20も有している。
【0020】
マイクロホン14は、被打撃物であるゴルフボールが打撃物であるゴルフクラブに打撃されたときの音声信号Mを取得することで、インパクトの瞬間、即ち、被打撃物であるゴルフボールが打撃物であるゴルフクラブに打撃された瞬間のタイミングを検出する。
【0021】
バッファメモリ15は、制御部19の制御により、クラブ側センサ11aから出力されたドップラ信号SIG1と、ボール側センサ11bから出力されたドップラ信号SIG2を、予め設定された測定時間に対応する所定のデータ量だけ記憶する。バッファメモリ15は、ドップラ信号SIG1を記憶するクラブ用データ領域と、ドップラ信号SIG2を記憶するボール用データ領域を有し、少なくともクラブ用データ領域はリングバッファとされている。即ち、クラブ用データ領域には、ドップラ信号SIG1が、例えば、アドレスの小さな方から順に書き込まれ、全てのデータ領域に対し書き込みがされた場合、データの古い方から(即ち、アドレスの小さな方から)再度上書きすることにより、一定量(一定時間)の最新のドップラ信号SIG1がクラブ用データ領域に記憶される。
【0022】
切替部16は、例えば、DIPスイッチ等により構成され、右打ちのプレーヤ用と、左打ちのプレーヤ用の動作設定を切り替える。なお、右打ちのプレーヤ用と、左打ちのプレーヤ用の動作設定を切り替えは、入出力部20を介してデータ処理装置2から供給される制御信号に基づいて行うようにしてもよい。この場合、切替部16は省略することができる。
【0023】
表示部17は、3つのLED18a乃至18cを備え、制御部19からの制御信号に基づいて、LED18a乃至18cを点灯または消灯させる。1番目のLED18aは、クラブ側センサ11aが物体(ゴルフクラブ)を検出したとき、点灯する。2番目のLED18bは、インパクトが検出されたとき、点灯する。3番目のLED18cは、クラブ側センサ11aが物体(ゴルフクラブ)を検出し、かつ、物体検出から所定時間内にインパクトが検出されたとき、点灯する。換言すれば、3番目のLED18cは、1番目のLED18aが点灯してから所定時間の間に2番目のLED18bが点灯したとき、点灯する。3番目のLED18cの点灯は、ゴルフクラブとゴルフボールの両方の速度を求めるための測定データがバッファメモリ15に蓄積されていることを意味する。
【0024】
なお、3つのLED18a乃至18cは、点灯の代わりに、点滅等の表示でもよい。また、3つのLED18a乃至18cの点灯を制御する制御信号をデータ処理装置2に送信し、LED18a乃至18cと同様の表示を、データ処理装置2の後述する表示部34に表示させるようにしてもよい。この場合、表示部17は省略される。
【0025】
制御部19は、ドップラ信号SIG1及びSIG2の制御を行う。即ち、制御部19は、コンパレータ12aから物体(ゴルフクラブ)を検出した旨の検出信号K1が供給された時点から、ADC13aから供給されるドップラ信号SIG1のバッファメモリ15(のクラブ用データ領域)への書き込みを開始する。そして、制御部19は、検出信号K1が供給されてから所定の時間内に、マイクロホン14からの音声信号Mによりインパクトの瞬間が検出されたとき、ドップラ信号SIG1のバッファメモリ15への書き込みを終了(停止)し、ADC13bから供給されるドップラ信号SIG2のバッファメモリ15(のボール用データ領域)への書き込みを開始する。ドップラ信号SIG2のバッファメモリ15への書き込み開始から所定時間経過後、ドップラ信号SIG2のバッファメモリ15への書き込みが、制御部19によって終了(停止)される。バッファメモリ15に蓄積されたドップラ信号SIG1及びSIG2は、データ処理装置2からの要求に応じて、入出力部20を介して、データ処理装置2に出力される。
【0026】
また、制御部19は、切替部16からの、右打ちと左打ちの動作設定を切り替える切り替え信号に基づいて、上述したドップラ信号SIG1及びSIG2の入出力制御動作を切り替える。即ち、制御部19は、右打ちのプレーヤ用の動作設定がなされている場合には、最初の測定対象のゴルフクラブがドップラセンサ11aにより検出されるので、上述したように、コンパレータ12aから物体(ゴルフクラブ)を検出した旨の検出信号K1が供給された時点から、バッファメモリ15への書き込みを開始する。一方、左打ちのプレーヤ用の動作設定がなされている場合には、最初の測定対象のゴルフクラブはドップラセンサ11bにより検出されるので、コンパレータ12bから物体(ゴルフクラブ)を検出した旨の検出信号K2が供給された時点から、バッファメモリ15への書き込みを開始する。
【0027】
従って、右打ちのプレーヤ用の動作設定がなされている場合には、コンパレータ12aがゴルフクラブを検出するために使用されるが、コンパレータ12bは使用されない。逆に、左打ちのプレーヤ用の動作設定がなされている場合には、コンパレータ12bがゴルフクラブを検出するために使用されるが、コンパレータ12aが使用されない。従って、コンパレータ12を1個とし、コンパレータ12の入力として、ドップラセンサ11aと11bの出力を必要に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0028】
さらに、制御部19は、表示部17のLED18a乃至18cの点灯を制御する。具体的には、制御部19は、第1に、クラブ側センサ11aが物体(ゴルフクラブ)を検出したとき、即ち、コンパレータ12aから検出信号K1が供給され、クラブ側センサ11aのドップラ信号SIG1の書き込みを開始したとき、LED18aを点灯させる。第2に、制御部19は、ゴルフボールがゴルフクラブで打撃された音声信号Mが取得されたとき、LED18bを点灯させる。さらに、制御部19は、検出信号K1が供給され、かつ、音声信号Mが取得されたとき、換言すれば、ボール側センサ11bのドップラ信号SIG2の書き込みを開始したとき、LED18cを点灯させる。制御部19は、バッファメモリ15に蓄積させた測定データ(ドップラ信号SIG1及びSIG2)をデータ処理装置2に出力したとき、LED18a乃至18cを消灯させる。
【0029】
このように、クラブ側センサ11aのドップラ信号SIG1の書き込み、インパクトの瞬間の検出、ボール側センサ11bのドップラ信号SIG2の書き込み、のそれぞれに対応してLED18a乃至18cを点灯させることにより、測定データが正常に取得できたか否かを一目で分かりやすくしている。
【0030】
データ処理装置2は、通信部31、演算部32、表示制御部33、及び表示部34により構成される。データ処理装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ等で構成することができる。
【0031】
通信部31は、計測装置1及び撮像装置3と所定のデータ形式によるデータの授受を行う。具体的には、通信部31は、計測装置1から供給される測定データ(ドップラ信号SIG1及びSIG2)を取得して、演算部32へ供給するとともに、画像付き測定モードにおいてはさらに撮像装置3から供給される、プレーヤのスイング動作を撮影して得られた動画像データも取得して、表示制御部33へ供給する。また、通信部31は、表示制御部33から供給される制御コマンドを、計測装置1または撮像装置3に送信する。
【0032】
演算部32は、通信部31を介して計測装置1から取得した、測定データに基づいて、ゴルフクラブの速度と、ゴルフボールの速度を演算して求める。ゴルフクラブ及びゴルフボールの速度vは、次のドップラ効果の公式により求めることができる。
v=(c・F)/(2・F
ここで、cは光速(299792485m/s)、Fは、受信したドップラ信号SIG1またはSIG2の周波数(ドップラ周波数)、Fは、ドップラセンサ11の出力周波数である。
【0033】
表示制御部33は、インパクト測定モードでは、演算部32で演算されたゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度の両方を表示部34に表示させる。また、表示制御部33は、画像付き測定モードでは、通信部31を介して撮像装置3から取得したプレーヤのスイング動作の動画像に、演算部32で求められたゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度を重畳させて、表示部34に表示させる。
【0034】
画像付き測定モードでは、例えば、インパクトが検出された旨のタイミング信号(音声信号M)が、計測装置1の制御部19から、入出力部20を介して、データ処理装置2に供給される。このとき、入出力部20は、タイミング信号をデータ処理装置2に出力すると同時に、内部カウンタによるカウント動作を開始する。データ処理装置2の表示制御部33は、通信部31を介してタイミング信号を取得して、インパクトが検出されたことを認識するとともに、入出力部20のカウント値を読み込み、通信による遅れ量(入出力部20がタイミング信号を出力してから表示制御部33が認識するまでの時間差)を取得する。そして、表示制御部33は、タイミング信号を受信した時刻から遅れ量だけ遡った時刻に、撮像装置3で撮像された画像を、インパクト時の画像とする。これにより、撮像装置3で撮像されたスイング動作全体の動画像のなかからインパクト時の画像を正確に特定することができ、表示制御部33は、インパクト時の画像を中心として前後に所定枚数の撮像画像を、スイング動作全体の動画像として表示部34に表示させる。
【0035】
また、表示制御部33は、ゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度の他に、ゴルフボールの速度(ボールスピード)[m/s]をゴルフクラブの速度(ヘッドスピード)[m/s]で除算して得られるミート率も表示部34に表示させるようにすることができる。さらに、表示制御部33は、ボールスピードを用いた所定の計算式で求められる標準的なゴルフボールの飛距離も併せて表示させるようにしてもよい。標準的なゴルフボールの飛距離は、例えば、(ボールスピード[m/s]×3.8)[yard]として計算することができる。
【0036】
表示部34は、例えば、液晶ディスプレイ等により構成され、インパクト測定モードでは、ゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度を表示する。また、画像付き測定モードでは、表示部34は、ゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度の他に、プレーヤのスイング動作の動画像も表示する。
【0037】
なお、演算結果の速度が前回の演算結果と全く同一である場合には、前回の測定表示のままなのか、新たに測定された結果であるのかが分からない場合もあり得る。そこで、最新の測定結果を表示する場合には、最初の一定時間、測定結果を点滅表示させることで、測定結果の表示が更新されたことを表すようにしてもよい。
【0038】
撮像装置3は、動画像を撮像可能なビデオカメラまたはビデオスチルカメラ等で構成され、画像付き測定モードにおいて、データ処理装置2の制御にしたがい撮像し、その結果得られる動画像データをデータ処理装置2に供給する。撮像装置3からデータ処理装置2に供給される動画像データには、動画像を構成する各画像の撮影時刻がメタデータとして含まれている。なお、インパクト測定モードのみで使用する場合、撮像装置3は省略することができる。
【0039】
[測定システムの配置例]
図2は、上面から見たときの、図1の測定システムと、ゴルフボール及びプレーヤ一との位置関係を示す図である。なお、図2は、プレーヤが右打ち(右利き)である場合の例である。
【0040】
プレーヤ(の足)41がゴルフボール42を正面にして位置したとき、プレーヤ41とゴルフボール42を結ぶ直線上の、ゴルフボール42より向こう側の離れた位置に計測装置1が配置され、さらに、計測装置1よりも向こう側の離れた位置に、撮像装置3が配置されている。換言すれば、プレーヤ41、ゴルフボール42、計測装置1、及び撮像装置3が、その順で略一直線上に配置されている。
【0041】
撮像装置3は、三脚43で固定されており、データ処理装置2は、計測装置1及び撮像装置3と、それぞれ、USBケーブル44及び45で接続されている。なお、データ処理装置2と計測装置1及び撮像装置3との間の接続方法は、例えば、RS-232C、LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信など、有線、無線を問わず、各種の接続方法を採用することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、データ処理装置2と撮像装置3を別々に設けたが、例えば、データ処理装置2としてのパーソナルコンピュータが撮像装置3としてのカメラを有している場合などのように、データ処理装置2と撮像装置3は1つの装置として構成することも可能である。
【0043】
[ドップラセンサ11と測定範囲との関係]
次に、図3を参照して、計測装置1内の2個のドップラセンサ11と、その測定範囲との関係について説明する。
【0044】
計測装置1内のマイクロホン14とゴルフボール42を結ぶ直線と、2個のドップラセンサ11aと11bを結ぶ直線は直交し、2個のドップラセンサ11aと11bを結ぶ直線上かつ2個のドップラセンサ11aと11bの中間にマイクロホン14が配置されている。従って、2個のドップラセンサ11aと11bは、ゴルフボール42とマイクロホン14を結ぶ直線に対して左右対称に配置されている。
【0045】
本実施の形態において、ドップラセンサ11a及び11bそれぞれのマイクロ波の放射角度は、例えば、80度であるとする。ドップラセンサ11aは、図3に示すように、80度の扇形の測定範囲が、ゴルフボール42が置かれた位置から、ゴルフボール42の飛球方向と反対方向(飛球方向の後ろ側)を向くように配置されている。一方、ドップラセンサ11bは、80度の扇形の測定範囲が、ゴルフボール42が置かれた位置から、飛球方向と同方向を向くように配置されている。
【0046】
このような位置関係においては、プレーヤが右打ちである場合、ドップラセンサ11aは、ゴルフボール42を打撃するまでのゴルフクラブの速度(ヘッドスピード)を測定するためのセンサとして機能し、ドップラセンサ11bは、ゴルフボール42で打撃された後のゴルフボール42の速度(ボールスピード)を測定するためのセンサとして機能する。
【0047】
一方、プレーヤが左打ちである場合には、ドップラセンサ11bが、ゴルフボール42を打撃するまでのゴルフクラブの速度を測定するためのセンサとして機能し、ドップラセンサ11aが、ゴルフボール42で打撃された後のゴルフボール42の速度を測定するためのセンサとして機能する。
【0048】
このように、ゴルフクラブの速度を測定するためのドップラセンサ11と、ゴルフボールの速度を測定するためのドップラセンサ11とを、測定範囲を切り分けるように別々に配置させることで、1個のドップラセンサ11のドップラ信号からクラブヘッドとゴルフボールの速度を求める場合と比べて、ゴルフクラブの測定データとゴルフボールの測定データを分離する必要が無く、また、ゴルフクラブ及びゴルフボールの一方の測定データを、他方の測定データとして誤って計算することもないので、より簡単かつ正確に、ゴルフクラブ及びゴルフボールの速度を測定することができる。
【0049】
なお、図3に示した例では、ゴルフボール42と計測装置1との距離が300mmに設定されているが、ゴルフボール42と計測装置1との距離としては300乃至600mm程度が適切である。
【0050】
[インパクト測定モードによる測定処理]
次に、図4のフローチャートを参照して、インパクト測定モードによる測定処理について説明する。なお、インパクト測定モードの動作設定は、この処理の開始前に既に行われているものとする。また、ドップラセンサ11a及び11bは、計測装置1の電源投入とともにマイクロ波の出力を開始している。
【0051】
初めに、ステップS1において、制御部19は、クラブ側センサ11aが物体、即ちゴルフクラブを検出したかを判定する。具体的には、コンパレータ12aから検出信号K1が供給されたかを判定することで、クラブ側センサ11aがゴルフクラブを検出したか否かを判定し、ゴルフクラブを検出したと判定するまでステップS1の判定処理が繰り返される。
【0052】
そして、ステップS1で、クラブ側センサ11aがゴルフクラブを検出したと判定された場合、処理はステップS2に進み、制御部19は、1番目のLED18aを点灯させ、時間のカウントを開始する。
【0053】
ステップS3において、制御部19は、ADC13aによってデジタル化されて供給されるクラブ側センサ11aのドップラ信号のバッファメモリ15への保存(書き込み)を開始する。クラブ側センサ11aのドップラ信号は、バッファメモリ15のなかのクラブ用データ領域に書き込まれる。
【0054】
ステップS4において、制御部19は、クラブ側センサ11aがゴルフクラブを検出してから所定の時間内にゴルフボールの打撃音を検出したかを判定する。より具体的には、制御部19は、ステップS2で開始したカウントが所定のカウント数となるまでの間に、マイクロホン14からゴルフクラブがゴルフボールを打撃した音声信号Mが供給されたかを判定する。
【0055】
ステップS4で、所定の時間内にゴルフボールの打撃音を検出していないと判定された場合、処理はステップS5に進み、制御部19は、クラブ側センサ11aのドップラ信号のバッファメモリ15への保存を終了し、ステップS6において、点灯している1番目のLED18aを消灯させ、測定処理を終了する。
【0056】
従って、図4の測定処理では、クラブ側センサ11aによりゴルフクラブが検出されてから、所定の時間内にゴルフボールの打撃音が検出されなかった場合、測定は行われない。
【0057】
一方、ステップS4で、所定の時間内にゴルフボールの打撃音を検出したと判定された場合、処理はステップS7に進み、制御部19は、2番目及び3番目のLED18b及び18cを点灯させる。
【0058】
そして、ステップS8において、制御部19は、クラブ側センサ11aのドップラ信号のバッファメモリ15(のクラブ用データ領域)への保存を終了し、ADC13bによってデジタル化されて供給されるボール側センサ11bのドップラ信号のバッファメモリ15への保存(書き込み)を開始する。ボール側センサ11bのドップラ信号は、バッファメモリ15のなかのボール用データ領域に書き込まれる。
【0059】
ステップS9において、制御部19は、ボール用データ領域に所定量の測定データが保存されたかを判定し、所定量の測定データが保存されたと判定されるまで処理を繰り返す。ステップS9では、ADC13bを介してボール側センサ11bから供給されたドップラ信号によって、ボール用データ領域の全てに対して書き込みが終了した場合、所定量の測定データが保存されたと判定される。または、ボール用データ領域への書き込みを開始してから所定時間経過後に、所定量の測定データが保存されたと判定してもよい。
【0060】
ステップS9で、所定量の測定データが保存されたと判定された場合、処理はステップS10に進み、制御部19は、ボール側センサ11bのドップラ信号のバッファメモリ15(のボール用データ領域)への保存を終了する。
【0061】
ステップS11において、制御部19は、入出力部20を介して、測定完了をデータ処理装置2に通知する。通信部31を介して測定完了の通知を受けたデータ処理装置2の表示制御部33は、ステップS12において、測定データを要求するデータ要求(コマンド)を計測装置1に送信する。
【0062】
ステップS13において、計測装置1の制御部19は、データ処理装置2からのデータ要求を受信し、バッファメモリ15のクラブ用データ領域とボール用データ領域に記憶されている測定データを、データ処理装置2に転送する。
【0063】
ステップS14において、制御部19は、1乃至3番目のLED18a乃至18cを消灯させる。
【0064】
ステップS15において、通信部31を介して、測定データを受信したデータ処理装置2の演算部32は、クラブ用データ領域の測定データに基づいてゴルフクラブの速度を演算し、ボール用データ領域の測定データに基づいてゴルフボールの速度を演算する。演算結果は、演算部32から表示制御部33に供給される。
【0065】
ステップS16において、表示制御部33は、演算結果であるゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度を表示部34に表示させ、処理を終了する。
【0066】
以上のように、インパクト測定モードによる測定処理では、インパクトの瞬間、即ち、ゴルフクラブによるゴルフボールの打撃音を検出した瞬間前後の所定期間の測定データ(ドップラ信号SIG1及びSIG2)が取得され、取得された測定データに基づいて、ゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度が、それぞれ、求められる。
【0067】
ゴルフクラブの速度(ヘッドスピード)が最高速になるのはゴルフボールに当たる直前であり、ゴルフボールの速度(ボールスピード)が最高速になるのは、ゴルフボールにゴルフクラブが当たった直後である。従って、ゴルフクラブによるゴルフボールの打撃音を検出することで、インパクトの瞬間を検出し、その前後の所定期間の測定データを基に速度を求めることで、精度の高い計測を行うことができる。
【0068】
インパクトの瞬間を検出する場合、単に音声信号のみを用いて打撃が行われたことを検出すると、ゴルフクラブによるゴルフボールの打撃以外の、関係のない音に反応してしまうことがある。一方、ドップラ信号を解析することでインパクトの瞬間を検出することは、短時間で高精度で求める必要があるため高価なプロセッサが必要となり、費用などの点で現実的ではない。そこで、本実施の形態では、コンパレータ12aから物体を検出した旨の検出信号K1が供給された時点から、即ち、クラブ側センサ11aがゴルフクラブを検出した時点から所定の時間内に、ゴルフボールの打撃音を検出したか否かを判定することで、高価なプロセッサを用いず、単に音声信号のみを用いて検出する場合より正確にインパクトの瞬間を特定している。即ち、図1の測定システムによれば、より安価、かつ、高精度に、ゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度を求めることができる。
【0069】
従来のゴルフクラブとゴルフボールの速度の測定では、プレーヤの一連のスイング動作の全てとゴルフボールが飛んでいる時間全部を格納するメモリ領域を確保し、記憶することが行われていた。これに対して、図1の測定システムでは、上述したようにインパクトの瞬間を正確に特定することができるので、インパクトの瞬間前後の所定期間の、速度の演算に最低限必要なメモリ容量だけメモリ領域を確保し、記憶させておけばよい。従って、バッファメモリ15として必要なメモリ領域を、ゴルフクラブとゴルフボールの速度を正確に測定できる最小のサイズとすることができる。例えば、インパクトの前後0.2秒間(トータル0.4秒間)の測定データを記憶する場合には、32Kバイトのメモリ領域があればよい。
【0070】
[本実施の形態の変形例]
上述した実施の形態では、インパクトの瞬間を検出する検出手段として、インパクト時の音を検出するマイクロホンを採用したが、これに限らず、その他のものを採用することができる。例えば、インパクトの瞬間を検出する検出手段としてラインセンサカメラを採用し、ラインセンサカメラが所定位置に置かれているゴルフボールを撮像し、撮像された画像に変化があった場合、即ち、撮像された画像からゴルフボールが消えた場合を、インパクトの瞬間として検出することができる。また、インパクトの瞬間を検出する検出手段として、透過型または反射型のレーザセンサを採用し、ゴルフボールに向けてレーザ光を照射し、透過してくるレーザ光の有無、または、反射してくるレーザ光の有無により、インパクトの瞬間を検出してもよい。
【0071】
また、上述した実施の形態では、画像付き測定モードにおいて、プレーヤのスイング動作全体の動画像に、インパクトの瞬間のみのゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度を重畳表示させるようにしたが、スイング動作全体の動画像に連動させて、スイング動作中の各ポジションにおけるゴルフクラブの速度を表示させるようにしてもよい。また、スイング動作中の各ポジションにおけるゴルフクラブの速度とゴルフボールの速度を、横軸を時間、縦軸を速度とする時系列データとしてグラフ表示してもよい。なお、このようにした場合、バッファメモリ15には、スイング動作中の全ての測定データを記憶するだけのメモリ領域を確保する必要がある。
【0072】
上述した実施の形態では、データ処理装置2からUSBケーブル44を介して計測装置1に電源を供給することができるため、計測装置1自身は電池やバッテリ(充電池)等の電源を備える必要がなかったが、計測装置1は、データ処理装置2と接続せず、バッテリ等を設けるようにしてもよい。この場合、計測装置1とデータ処理装置2との間のデータ授受は、無線通信により行うか、若しくは、計測装置1に着脱可能な半導体メモリ等を備え、半導体メモリに記憶された測定データをデータ処理装置2に読み込ませることにより行うようにすることができる。
【0073】
上述した例では、計測装置1とデータ処理装置2を別々に設けたが、計測装置1とデータ処理装置2は1つの装置として構成してもよい。例えば、インパクト測定モードのみを提供することとし、速度を表示する表示部34を小さく構成することで、計測装置1とデータ処理装置2を合体させた、携帯可能な小型の装置とすることが可能である。
【0074】
上述した実施の形態では、ゴルフにおける打撃物であるゴルフクラブの速度と被打撃物であるゴルフボールの速度を測定する例について説明したが、図1の測定システムは、ゴルフ以外のスポーツにおける打撃物と被打撃物の速度の測定に利用することができる。例えば、野球における打撃物であるバットと被打撃物である野球用ボールの速度の測定、フットボール(サッカー)における打撃物であるプレーヤの脚部と被打撃物であるサッカーボールの速度の測定、テニスにおける打撃物であるテニスラケットと被打撃物であるテニスボールの速度の測定などに利用することができる。ただし、被打撃物の速度は所定の位置に静止している状態から移動したときの速度に限定される。
【0075】
[コンピュータのハードウエア構成例]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0076】
図5は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータ(パーソナルコンピュータ)のハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0077】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0078】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、入力部106、出力部107、記憶部108、通信部109、及びドライブ110が接続されている。
【0079】
入力部106は、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる。出力部107は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部108は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部109は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ110は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体111を駆動する。
【0080】
撮像部121は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Mental Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子により構成される。撮像部121は、被写体を撮像し、撮像した被写体の画像データを、入出力インタフェース105を介してCPU101等に供給する。
【0081】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0082】
コンピュータ(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体111に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0083】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブル記録媒体111をドライブ110に装着することにより、入出力インタフェース105を介して、記憶部108にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部109で受信し、記憶部108にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM102や記憶部108に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0084】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0085】
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0086】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 計測装置, 2 データ処理装置, 3 撮像装置, 11a,11b ドップラセンサ, 12a,12b コンパレータ, 13a,13b ADC, 14 マイクロホン, 15 バッファメモリ, 17 表示部, 18a乃至18c LED, 19 制御部, 32 演算部, 33 表示制御部, 34 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送信信号を出力するとともに、前記第1の送信信号が打撃物に反射して戻ってきた信号である第1のドップラ信号を受信する第1のドップラセンサと、
第2の送信信号を出力するとともに、前記第2の送信信号が被打撃物に反射して戻ってきた信号である第2のドップラ信号を受信する第2のドップラセンサと、
前記被打撃物が前記打撃物によって打撃された瞬間である打撃タイミングを検出するタイミング検出手段と、
前記タイミング検出手段により検出された前記打撃タイミングから所定期間前の時刻までの前記第1のドップラ信号に基づいて前記打撃物の速度を演算するとともに、前記打撃タイミングから所定期間後の時刻までの前記第2のドップラ信号に基づいて前記被打撃物の速度を演算する演算手段と
を備える測定装置。
【請求項2】
前記第1のドップラ信号の信号レベルを所定の基準レベルと比較し、前記第1のドップラ信号の信号レベルが前記所定の基準レベル以上であることを検出する比較手段と、
前記第1のドップラ信号と前記第2のドップラ信号を記憶する記憶手段と
をさらに備え、
前記記憶手段は、前記比較手段により前記第1のドップラ信号の信号レベルが前記所定の基準レベル以上であることが検出されてから所定の時間内に前記打撃タイミングが検出された場合に、前記打撃タイミングから所定期間前の時刻までの前記第1のドップラ信号と、前記打撃タイミングから所定期間後の時刻までの前記第2のドップラ信号を記憶し、
前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された前記第1のドップラ信号に基づく前記打撃物の速度と、前記第2のドップラ信号に基づく前記被打撃物の速度を演算する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第1のドップラ信号と前記第2のドップラ信号の前記記憶手段への書き込みを制御する記憶制御手段をさらに備え、
前記記憶手段は、リングバッファで構成される第1の領域と、第2の領域とからなり、
前記記憶制御手段は、前記所定の基準レベル以上となった前記第1のドップラ信号を前記第1の領域に記憶させ、前記タイミング検出手段が前記打撃タイミングを検出した場合、前記第1のドップラ信号の前記第1の領域への書き込みを終了して、前記第2のドップラ信号の前記第2の領域への書き込みを開始し、所定時間経過後に、前記第2のドップラ信号の前記第2の領域への書き込みを終了する制御を行う
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記比較手段が前記所定の基準レベル以上であることを検出したことを提示する第1の提示手段と、
前記タイミング検出手段が前記打撃タイミングを検出したことを提示する第2の提示手段と、
前記打撃物と前記被打撃物の速度を求めるための前記第1のドップラ信号と前記第2のドップラ信号が前記記憶手段に記憶されたことを提示する第3の提示手段と
をさらに備える
請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
プレーヤが前記打撃物を用いて前記被打撃物を打撃するときの動作を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記動作の動画像と、前記演算手段の演算結果である前記打撃物の速度と前記被打撃物の速度を表示する表示手段と
をさらに備える
請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
前記打撃物はゴルフクラブであり、前記被打撃物はゴルフボールである
請求項1に記載の測定装置。
【請求項7】
第1のドップラセンサと、第2のドップラセンサと、タイミング検出手段と、演算手段とを備える測定装置の測定方法であって、
前記第1のドップラセンサが、第1の送信信号を出力するとともに、前記第1の送信信号が打撃物に反射して戻ってきた信号である第1のドップラ信号を受信し、
前記第2のドップラセンサが、第2の送信信号を出力するとともに、前記第2の送信信号が被打撃物に反射して戻ってきた信号である第2のドップラ信号を受信し、
前記タイミング検出手段が、前記被打撃物が前記打撃物によって打撃された瞬間である打撃タイミングを検出し、
前記演算手段が、前記タイミング検出手段により検出された前記打撃タイミングから所定期間前の時刻までの前記第1のドップラ信号に基づいて前記打撃物の速度を演算するとともに、前記打撃タイミングから所定期間後の時刻までの前記第2のドップラ信号に基づいて前記被打撃物の速度を演算する
測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−52845(P2012−52845A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193807(P2010−193807)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(391000896)株式会社フローベル (10)
【Fターム(参考)】