測定装置
【課題】測定電流の到達範囲に依存する生体情報を高精度に測定する。
【解決手段】電極E1と電極E2とは間隔D12をあけて配置される。電極E3と電極E4とは間隔D34をあけて電極E1と電極E2との間に配置される。動作制御部44は、測定電流Iを電極E1と電極E2との間に流すとともに電極E3と電極E4との間の測定電圧Vを検出する第1測定モードと、測定電流Iを電極E3と電極E4との間に流すとともに電極E1と電極E2との間の測定電圧Vを検出する第2測定モードとを切替える。情報生成部42は、第1測定モードにおける測定電流Iと測定電圧Vとに応じて脂肪率Fを算定し、第2測定モードにおける測定電流Iと測定電圧Vとに応じて皮下脂肪厚Lfを算定する。
【解決手段】電極E1と電極E2とは間隔D12をあけて配置される。電極E3と電極E4とは間隔D34をあけて電極E1と電極E2との間に配置される。動作制御部44は、測定電流Iを電極E1と電極E2との間に流すとともに電極E3と電極E4との間の測定電圧Vを検出する第1測定モードと、測定電流Iを電極E3と電極E4との間に流すとともに電極E1と電極E2との間の測定電圧Vを検出する第2測定モードとを切替える。情報生成部42は、第1測定モードにおける測定電流Iと測定電圧Vとに応じて脂肪率Fを算定し、第2測定モードにおける測定電流Iと測定電圧Vとに応じて皮下脂肪厚Lfを算定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪率や皮下脂肪厚等の生体情報を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の電流印加用電極と一対の電圧測定用電極とを被験者の身体に接触させ、電流印加用電極間に流れる測定電流と電圧測定用電極間の電圧とに応じて各種の生体情報を測定する技術が従来から提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−050539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電流印加用電極間に流れる測定電流が身体内部で到達する範囲(身体表面からの深度)は電流印加用電極間の距離に依存するため、電流印加用電極間の距離によっては生体情報を正確に測定できない可能性がある。例えば、電流印加用電極間の距離が小さい場合には、測定電流が身体内部の浅い位置(例えば皮下脂肪)までしか到達しないから、表面から深い位置にある筋肉に関連する生体情報(例えば脂肪率)の測定精度が低下する。他方、電極印加用電極間の距離が大きい場合には、測定電流が身体内部の深い位置(例えば筋肉)まで到達するから、表面から浅い位置にある皮下脂肪のみに関連する生体情報(例えば皮下脂肪厚)の測定精度が低下する。以上の事情を背景として、本発明は、電極間の電流の到達範囲(身体内部の深度)に依存する生体情報を高精度に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、本発明の要素と後述の実施形態の要素との対応を括弧書で付記するが、本発明の範囲を実施形態の例示に限定する趣旨ではない。
【0006】
本発明の測定装置は、相互に間隔(例えば間隔D12)をあけて配置されて被験者の身体に接触する第1電極(例えば電極E1)および第2電極(例えば電極E2)と、第1電極と第2電極との間に相互に間隔(例えば間隔D34)をあけて配置されて被験者の身体に接触する第3電極(例えば電極E3)および第4電極(例えば電極E4)と、電極間に流れる電流(例えば測定電流I)を生成する電流生成手段(例えば電流生成部32)と、電極間の電圧(例えば測定電圧V)を検出する電圧検出手段(例えば電圧検出部34)と、電流生成手段が生成した電流を第1電極と第2電極との間に流すとともに第3電極と第4電極との間の電圧を電圧検出手段に検出させる第1測定モードと、電流生成手段が生成した電流を第3電極と第4電極との間に流すとともに第1電極と第2電極との間の電圧を電圧検出手段に検出させる第2測定モードとを切替える動作制御手段(例えば動作制御部44)と、電流生成手段が生成する電流と電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体情報(例えば脂肪率Fや皮下脂肪厚Lfや筋肉厚Lm)を第1測定モードおよび第2測定モードの各々にて生成する情報生成手段(例えば情報生成部42)とを具備する。
【0007】
以上の構成では、電流生成手段が生成する電流を供給する電極間の距離が相違する第1測定モードおよび第2測定モードの各々で生体情報が測定されるから、電流の供給点の間隔が固定された構成と比較して、電極間の電流の到達範囲(身体内部の深度)に依存する生体情報を高精度に測定できるという利点がある。
【0008】
本発明の好適な態様において、情報生成手段は、第1測定モードにて第1生体情報を生成し、第1生体情報とは種類が相違する第2生体情報を第2測定モードにて生成する。具体的には、情報生成手段は、第1測定モードでは、電流生成手段が生成する電流と電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体インピーダンス(例えば生体インピーダンスZ1)から皮下脂肪と筋肉とに関する第1生体情報(例えば脂肪率F)を生成し、第2測定モードでは、電流生成手段が生成する電流と電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体インピーダンス(例えば生体インピーダンスZ2)から皮下脂肪に関する第2生体情報(例えば皮下脂肪厚Lf)を生成する。以上の態様において、第1測定モードでは、第1電極と第2電極との間に電流を流すことで身体の深い位置まで電流が到達するから、例えば皮下脂肪だけでなく筋肉(さらには内臓脂肪)にも関連する第1生体情報を高精度に算定できる。他方、第2測定モードでは、第3電極と第4電極との間に電流を流すことで身体の浅い位置までしか電流が到達しないから、例えば皮下脂肪に関連する第2生体情報を高精度に算定できる。
【0009】
本発明の好適な態様において、情報生成手段は、第1測定モードで生成された第1生体情報と第2測定モードで生成された第2生体情報とから第3生体情報(例えば筋肉厚Lm)を生成する。以上の態様では、第1生体情報と第2生体情報とが高精度に測定されるから、第1生体情報と第2生体情報とに応じた第3生体情報も高精度に算定できる。
【0010】
本発明の好適な態様において、第1電極と第2電極と第3電極と第4電極とは、第1方向に長尺な形状に形成され、第1方向に直交する第2方向に相互に間隔をあけて配列する。以上の態様によれば、各電極を確実に被験者の身体に接触させることが可能である。
【0011】
以上の各態様に係る測定装置は、例えば演算処理装置とプログラム(ソフトウェア)との協働で実現される。本発明のプログラムは、相互に間隔をあけて配置されて被験者の身体に接触する第1電極と第2電極との間に電流を流すとともに第1電極と第2電極との間に相互に間隔をあけて配置されて被験者の身体に接触する第3電極および第4電極との間の電圧を検出する第1動作モードと、第3電極と第4電極との間に電流を流すとともに第1電極と第2電極との間の電圧を検出する第2測定モードとを切替える動作制御処理(例えば処理S1や処理S4)と、各電極間に流れる電流と各電極間の電圧とに応じた生体情報を第1測定モードおよび第2測定モードの各々にて生成する情報生成処理(例えば処理S3や処理S7や処理S10)とをコンピュータに実行させる。以上のプログラムによれば、本発明の測定装置と同様の作用および効果が実現される。本発明のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で利用者に提供されてコンピュータにインストールされるほか、通信網を介した配信の形態でサーバ装置から提供されてコンピュータにインストールされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る測定装置の外観図である。
【図2】測定装置の電気的な構成のブロック図である。
【図3】第1測定モードおよび第2測定モードの説明図である。
【図4】被験者の測定部位の内部における電流密度のグラフである。
【図5】制御部の動作のフローチャートである。
【図6】測定部位と各電極との模式図である。
【図7】生体インピーダンスと脂肪率の実測値との相関図である。
【図8】レジスタンスおよびリアクタンスの比と皮下脂肪厚の実測値との相関図である。
【図9】第2実施形態における制御部の動作のフローチャートである。
【図10】変形例における電極部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<A:第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る測定装置100の構成図である。測定装置100は、被験者の身体に関する生体情報(例えば体組成に関する指標)を測定する生体計測器であり、本体部12と電極部14とを具備する。本体部12と電極部14とはケーブル16を介して電気的に接続される。なお、本体部12と電極部14とを一体に構成することも可能である。
【0014】
電極部14(プローブ)は、利用者(被験者や測定者)が把持可能な筐体142と、筐体142の表面に形成された4個の電極E(E1〜E4)とを含んで構成される。各電極Eは、X方向に長尺な形状(略長方形状)に形成され、X方向に直交するY方向に相互に間隔をあけて配列する。電極E1と電極E2とは所定の間隔D12をあけて配置され、電極E3と電極E4とは電極E1と電極E2との間に所定の間隔D34(D34<D12)をあけて配置される。間隔D12は例えば8cm〜12cm程度に設定され、間隔D34は例えば2cm〜4cm程度に設定される。図1では電極E1〜E4を等間隔に配置した場合を例示した。利用者は、被験者の身体のうち測定対象となる任意の部位(以下「測定部位」という)に電極E1〜E4が接触するように電極部14を移動させることが可能である。
【0015】
図2は、測定装置100の電気的な構成のブロック図である。図2に示すように、本体部12は、制御部22と記憶部24と操作部26と表示部28とを具備する。制御部22(CPU)は、記憶部24に記憶されたプログラムの実行で測定装置100の各要素を制御する。記憶部24は、制御部22が実行するプログラムや制御部22が使用する各種のデータを記憶する記憶回路(例えばROMやRAM)であある。
【0016】
操作部26は、利用者からの指示を受付ける入力機器であり、図1に示すように複数の操作子を含んで構成される。例えば生体情報の測定開始が操作部26に対する操作で指示される。表示部28(例えば液晶表示装置)は、制御部22による制御のもとに各種の画像を表示する。例えば、表示部28は、測定装置100を利用した測定手順の案内や測定装置100の測定結果(生体情報)を表示する。
【0017】
図2に示すように、電極部14は、前述の4個の電極E1〜E4のほか、筐体142に収容された電流生成部32と電圧検出部34と電極切替部36とを具備する。なお、電流生成部32と電圧検出部34と電極切替部36とを本体部12に設置することも可能である。
【0018】
電流生成部32は、一対の電極E間に測定電流Iを供給する。測定電流Iは、被験者の身体を経由して一対の電極E間を流れる所定の周波数(例えば500kHzまたは6.25kHz)の交流電流である。電圧検出部34は、一対の電極E間の電圧(以下「測定電圧」という)Vを検出する。測定電圧Vは、A/D変換器(図示略)にてデジタル信号に変換されたうえで制御部22に供給される。
【0019】
電極切替部36は、電流生成部32および電圧検出部34の各々と4個の電極E1〜E4の各々との接続状態を切替える。第1実施形態の電極切替部36は、4個のスイッチSW1〜SW4を含んで構成される。スイッチSW1は、電流生成部32の端子TA1を電極E1および電極E3の一方に接続し、スイッチSW2は、電圧検出部34の端子TV1を電極E1および電極E3の一方に接続する。また、スイッチSW3は、電圧検出部34の端子TV2を電極E2および電極E4の一方に接続し、スイッチSW4は、電流生成部32の端子TA2を電極E2および電極E4の一方に接続する。
【0020】
図2の制御部22は、記憶部24に記憶されたプログラムの実行で複数の機能(情報生成部42,動作制御部44)を実現する。情報生成部42は、電流生成部32が供給する測定電流Iと電圧検出部34が検出する測定電圧Vとに応じて測定部位の生体情報を生成する。動作制御部44は、電極切替部36を制御することで、測定装置100の動作モードを第1測定モードと第2測定モードの一方に設定する。第1測定モードと第2測定モードとでは、電流生成部32による測定電流Iの供給対象となる各電極Eと、電圧検出部34による測定電圧Vの検出対象となる各電極Eとの組合せが相違する。
【0021】
図3の部分(A)は、第1測定モードにおける各電極Eの接続状態を示す模式図であり、図3の部分(B)は、第2測定モードにおける各電極Eの接続状態を示す模式図である。図3に示すように、測定装置100による測定の実行時には、被験者の身体のうち測定部位60の表面62に電極E1〜E4が接触する。測定部位60の表面62の内側には皮下脂肪64と筋肉66と内臓脂肪68とが存在する。
【0022】
第1測定モードは、図3の部分(A)に示すように、電流生成部32が生成した測定電流Iを電極E1と電極E2との間に流すとともに電極E3と電極E4との電位差を測定電圧Vとして電圧検出部34に検出させる動作モードである。すなわち、第1測定モードでは、スイッチSW1〜SW4の各々が図2の接点a側に制御され、電流生成部32の端子TA1と電極E1とが導通するとともに電流生成部32の端子TA2と電極E2とが導通し、かつ、電圧検出部34の端子TV1と電極E3とが導通するとともに電圧検出部34の端子TV2と電極E4とが導通するように、動作制御部44は電極切替部36(スイッチSW1〜SW4)を制御する。
【0023】
他方、第2測定モードは、図3の部分(B)に示すように、電流生成部32が生成した測定電流Iを電極E3と電極E4との間に流すとともに電極E1と電極E2との電位差を測定電圧Vとして電圧検出部34に検出させる動作モードである。すなわち、第2測定モードでは、スイッチSW1〜SW4の各々が図2の接点b側に制御され、電流生成部32の端子TA1と電極E3とが導通するとともに電流生成部32の端子TA2と電極E4とが導通し、かつ、電圧検出部34の端子TV1と電極E1とが導通するとともに電圧検出部34の端子TV2と電極E2とが導通するように、動作制御部44は電極切替部36(スイッチSW1〜SW4)を制御する。
【0024】
以上の説明から理解されるように、被験者の測定部位60のうち測定電流Iの供給点の間隔が第1測定モードと第2測定モードとでは相違する。すなわち、第1測定モード(図3の部分(A))では間隔D12だけ離間した電極E1と電極E2とを介して測定部位60に測定電流Iが供給され、第2測定モード(図3の部分(B))では、間隔D12と比較して小さい間隔D34だけ離間した電極E3と電極E4とを介して測定部位60に測定電流Iが供給される。測定電流Iの電流値や周波数は第1測定モードと第2測定モードとで共通する。
【0025】
図4は、測定電流Iの供給時における測定部位60の内部の電流密度(縦軸)のグラフである。図4の部分(A)は第1測定モードでの電流密度であり、図4の部分(B)は第2測定モードでの電流密度である。X軸は測定部位60の表面62での位置を意味し、Y軸は表面62からの深度を意味する。
【0026】
図3の部分(A)および図4の部分(A)から理解されるように、測定部位60の表面62にて間隔D12だけ離間した位置に測定電流Iを供給する第1測定モードでは、表面62の直下の皮下脂肪64だけでなく皮下脂肪64の下層の筋肉66にまで測定電流Iが到達する。したがって、電圧検出部34が検出する測定電圧Vには皮下脂肪64および筋肉66の双方の特性が反映される。
【0027】
他方、図3の部分(B)および図4の部分(B)から理解されるように、測定部位60の表面62にて間隔D34だけ離間した位置に測定電流Iを供給する第2測定モードでは、測定電流Iの殆どが皮下脂肪64に流れ、筋肉66に到達する電流は極僅かである。したがって、電圧検出部34が検出する測定電圧Vには皮下脂肪64の特性が支配的に反映される。
【0028】
以上の傾向から、第1測定モードは、皮下脂肪64および筋肉66の双方に関連する生体情報の測定に好適な動作モードであり、第2測定モードは、皮下脂肪64に関連する生体情報の測定に好適な動作モードであることが理解される。そこで、図2の情報生成部42は、第1測定モードでは、皮下脂肪64および筋肉66の双方に関連する生体情報(第1生体情報)である脂肪率Fを算定し、第2測定モードでは、皮下脂肪64に関連する生体情報(第2生体情報)である皮下脂肪厚Lfを算定する。すなわち、情報生成部42が生成する生体情報の種類は第1測定モードと第2測定モードとで相違する。皮下脂肪厚Lfは、図3に示すように皮下脂肪64の厚さである。
【0029】
図5は、制御部22の動作のフローチャートである。図5の処理は、電極部14の4個の電極E1〜E4が被験者の測定部位60の表面62に接触した状態で、操作部26に対する測定開始の指示(あるいは表面62に対する電極E1〜E4の接触)を契機として実行される。図5の処理S1〜S3は第1測定モードでの処理に相当し、処理S4〜S7は第2測定モードでの処理に相当する。
【0030】
図5の処理を開始すると、動作制御部44は、測定装置100の動作モードを第1測定モードに設定して電流生成部32および電圧検出部34を動作させる(S1)。すなわち、動作制御部44は、図3の部分(A)に示すように、電流生成部32が生成した測定電流Iを電極E1から測定部位60を経由して電極E2に流した状態で電極E3と電極E4との間の測定電圧Vを電圧検出部34に検出させる。情報生成部42は、電流生成部32が生成する測定電流Iと電圧検出部34が検出した測定電圧Vとの関係から生体インピーダンスZ1を算定し(S2)、生体インピーダンスZ1から測定部位60の脂肪率Fを算定する(S3)。
【0031】
図6は、測定部位60と電極E1および電極E2との関係を示す模式図である。測定部位60を経由して電極E1と電極E2との間に測定電流Iを流した場合の生体インピーダンスZ1は、以下の数式(1)で表現される。
Z1=ρ×D12/S ……(1)
数式(1)の記号Sは測定電流Iの電流経路の断面積を意味する。記号ρは測定部位60の抵抗率である。抵抗率ρと脂肪率Fとが比例することを考慮すると、脂肪率Fを表現する以下の数式(2)が導出される。
F∝ρ=Z1×S/D12 ……(2)
なお、数式(2)の断面積Sは、電流経路の幅Wと電流経路の高さHとの積に相当する(S=W×H)。幅Wは各電極EのX方向の寸法(長さ)に応じて選定され、高さHは、図3および図4を参照して説明したように電極E1と電極E2との間隔D12に応じて選定される。
【0032】
図7は、生体インピーダンスZ1と脂肪率Fの実測値(超音波を利用した計測値)との関係を示すグラフである。数式(2)で表現されるように生体インピーダンスZ1と脂肪率Fとが比例するという傾向が図7からも把握される。以上の傾向を考慮すると、脂肪率Fは以下の数式(3)で表現される。
F=a×Z1+b ……(3)
数式(3)の定数aおよび定数bは、電極E1と電極E2との間隔D12や測定電流Iの電流値等に応じて事前に選定される。図5の処理S3において、情報生成部42は、処理S2で算定した生体インピーダンスZ1について数式(3)の演算を実行することで脂肪率Fを算定する。
【0033】
以上の手順で脂肪率Fの算定が完了すると、動作制御部44は、測定装置100の動作モードを第2測定モードに設定して電流生成部32および電圧検出部34を動作させる(S4)。すなわち、動作制御部44は、図3の部分(B)に示すように、電流生成部32が生成した測定電流Iを電極E3から測定部位60を経由して電極E4に流した状態で電極E1と電極E2との間の測定電圧Vを電圧検出部34に検出させる。
【0034】
情報生成部42は、電流生成部32が生成する測定電流Iと電圧検出部34が検出した測定電圧Vとから生体インピーダンスZ2を算定する(S5)。図3および図4を参照して説明したように第1測定モードと第2測定モードとでは測定電流Iの電流経路(測定電流Iが到達する深度)が相違するから、第1測定モード(処理S2)で算定される生体インピーダンスZ1と第2測定モード(処理S5)で算定される生体インピーダンスZ2とは相違する。
【0035】
情報生成部42は、測定電流Iと測定電圧Vとの位相差θおよび生体インピーダンスZ2からレジスタンスR(生体インピーダンスの実数部)とリアクタンスX(生体インピーダンスの虚数部)とを算定したうえで両者の比R/Xを算定する(S6)。そして、情報生成部42は、処理S6で算定した比R/Xに応じた皮下脂肪厚Lfを算定する(S7)。
【0036】
皮下脂肪64は筋肉66と比較して測定電流Iと測定電圧Vとの位相差θを発生させ難いから、皮下脂肪厚Lfが大きい(測定電流Iの殆どが皮下脂肪64に流れる)ほど位相差θは小さくなる。したがって、皮下脂肪厚Lfが大きいほど比R/Xは大きくなるという傾向がある。
【0037】
図8は、比R/Xと皮下脂肪厚Lfの実測値(超音波を利用した計測値)との関係を示すグラフである。比R/Xと皮下脂肪厚Lfとが比例するという傾向が図8からも把握される。以上の傾向を考慮すると、皮下脂肪厚Lfは、定数cおよび定数dを含む以下の数式(4)で表現される。
Lf=−c−d×(R/X) ……(4)
図5の処理S7において、情報生成部42は、処理S6で算定した比R/Xについて数式(4)の演算を実行することで皮下脂肪厚Lfを算定する。制御部22は、処理S3で算定した脂肪率Fと処理S7で算定した皮下脂肪厚Lfとを測定結果として表示部28に表示させる(S8)。
【0038】
以上に説明した第1実施形態では、測定電流Iが供給される各電極Eの間隔(測定部位60の表面62における測定電流Iの供給点の間隔)が第1測定モードと第2測定モードとで相違するから、測定電流Iの供給点の間隔が固定された構成と比較して生体情報を高精度に測定できるという利点がある。
【0039】
具体的には、第1実施形態の第1測定モードでは、電極E1と電極E2との間に測定電流Iを流すことで測定電流Iを皮下脂肪64と筋肉66との双方に流した状態で脂肪率Fが測定されるから、測定電流Iを電極E3と電極E4との間に流した状態(すなわち測定電流Iの殆どが皮下脂肪64に流れる状態)で脂肪率Fを測定する構成と比較して、脂肪率Fを高精度に測定できる。他方、第1実施形態の第2測定モードでは、電極E3と電極E4との間に測定電流Iを流すことで測定電流Iの殆どを皮下脂肪64に流した状態で皮下脂肪厚Lfが測定されるから、測定電流Iを電極E1と電極E2との間に流した状態(すなわち測定電流Iが筋肉66にも到達する状態)で皮下脂肪厚Lfを測定する構成と比較して、皮下脂肪厚Lfを高精度に測定できる。
【0040】
ところで、測定電流Iの供給点の間隔を変化させる構成としては、電極間の距離が相違する複数の電極対を測定電流Iの供給用に配置して選択的に使用する構成も想定され得るが、電極数が増加する(ひいては製造コストが増大する)という問題がある。第1実施形態では、電極E1および電極E2に測定電流Iを供給する第1測定モードでは電極E3および電極E4が測定電圧Vの検出に利用され、電極E3および電極E4に測定電流Iを供給する第2測定モードでは電極E1および電極E2が測定電圧Vの検出に利用される。すなわち、各電極Eが測定電流Iの供給と測定電圧Vの検出とに兼用される。したがって、電極部14に形成される電極Eの総数を増加させずに(したがって製造コストを過度に増大させずに)、測定電流Iの供給点の間隔を変化させることが可能である。
【0041】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各構成において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0042】
図9は、第2実施形態における制御部22の動作のフローチャートである。図9に示すように、第2実施形態の制御部22(情報生成部42)は、第1実施形態と同様の処理S1〜S7の実行後に処理S10を実行する。処理S10において、情報生成部42は、処理S3で算定した脂肪率Fと処理S7で算定した皮下脂肪厚Lfとに応じた筋肉厚Lmを生体情報(第3生体情報)として算定する。筋肉厚Lmは、図3に示すように筋肉66の厚さである。
【0043】
測定部位60の脂肪率Fは、皮下脂肪厚Lfと筋肉厚Lmとを含む以下の数式(5)で表現される。
F=Lf/(Lf+Lm) ……(5)
数式(5)を変形することで、筋肉厚Lmを皮下脂肪厚Lfと脂肪率Fとで定義する以下の数式(6)が導出される。
Lm=(Lf/F)−Lf ……(6)
情報生成部42は、処理S3で算定した脂肪率Fと処理S7で算定した皮下脂肪厚Lfとを数式(6)に適用することで筋肉厚Lmを算定する(S10)。制御部22は、脂肪率Fおよび皮下脂肪厚Lfと、処理S10で算定した筋肉厚Lmとを表示部28に表示させる(S8)。
【0044】
第2実施形態でも第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、第1測定モードで測定された生体情報(脂肪率F)と第2測定モードで測定された生体情報(皮下脂肪厚Lf)とを利用して他の生体情報(例えば筋肉厚Lm)を算定できるという利点がある。
【0045】
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0046】
(1)変形例1
以上の各形態では第1測定モードで測定部位60の脂肪率Fを算定するとともに第2測定モードで測定部位60の皮下脂肪厚Lfを算定したが、第1測定モードおよび第2測定モードの各々で測定される生体情報は以上の例示に限定されない。例えば、前述の各形態で例示したように第1測定モードと第2測定モードとで相異なる種類の生体情報を測定する構成のほか、第1測定モードと第2測定モードとで同種の生体情報を測定する構成も採用され得る。すなわち、情報生成部42は、第1測定モードおよび第2測定モードの各々で生体情報を生成する要素(情報生成手段)として包括される。生体インピーダンス(Z1,Z2)や比R/Xを生体情報として算定する構成も採用される。ただし、測定電流Iを供給する各電極Eの間隔に応じて測定電流Iの到達する深度が変化するという前述の傾向を考慮すると、皮下脂肪64および筋肉66の双方に関連する第1生体情報(例えば脂肪率F)を第1測定モードにて測定し、皮下脂肪64に関連する第2生体情報(例えば皮下脂肪厚Lf)を第2測定モードにて測定する構成が格別に好適である。また、第1測定モードで測定された第1生体情報と第2測定モードで測定された第2生体情報とに応じて生成される第3生体情報は筋肉厚Lmに限定されない。
【0047】
(2)変形例2
以上の各形態では、測定電流Iの電流値や周波数を第1測定モードと第2測定モードとで共通させたが、測定電流Iの電流値や周波数を第1測定モードと第2測定モードとで相違させることも可能である。例えば、第2測定モードでの測定電流Iの電流値が第1測定モードでの電流値を下回る構成が採用され得る。
【0048】
(3)変形例3
以上の各形態では、第1測定モードによる脂肪率Fの測定と第2測定モードによる皮下脂肪厚Lfの測定との双方を実行したが、第1測定モードでの測定と第2測定モードでの測定とを択一的に実行する構成も採用され得る。例えば、脂肪率Fの測定が利用者から指示された場合には第1測定モードにて脂肪率Fを算定し、皮下脂肪厚Lfの測定が利用者から指示された場合には第2測定モードにて皮下脂肪厚Lfを算定することが可能である。
【0049】
(4)変形例4
電極部14の形態は任意である。例えば図10に例示された電極部14を採用することが可能である。図10の電極部14は、基体部72の両側に第1測定部74と第2測定部76とを接続した構造である。電流生成部32と電圧検出部34と電極切替部36とは基体部72に搭載される。第1測定部74および第2測定部76の各々は、複数(図10では3個)の可動部78を連結した構造である。各可動部78の角度は可変である。第1測定部74の先端側(基体部72から遠い側)の可動部78には電極E1が配置され、第1測定部74の基端側(基体部72に近い側)の可動部78には電極E3が配置される。同様に、第2測定部76の先端側の可動部78には電極E2が配置され、第2測定部76の基端側の可動部78には電極E4が配置される。すなわち、第1実施形態と同様に電極E1と電極E2との間に電極E3と電極E4とが位置する。基体部72を被験者の測定部位60の表面62上に載置すると、各可動部78が表面62に沿うように第1測定部74および第2測定部76の各々が自重により変形して電極E1〜E4が表面62に接触する。したがって、測定部位60の表面62が曲面である場合でも、被験者に負荷をかけることなく電極E1〜E4を確実に測定部位60に接触させることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
100……測定装置、12……本体部、14……電極部、142……筐体、E(E1〜E4)……電極、16……ケーブル、22……制御部、24……記憶部、26……操作部、28……表示部、32……電流生成部、34……電圧検出部、36……電極切替部、SW1〜SW4……スイッチ、42……情報生成部、44……動作制御部、60……測定部位、62……表面、64……皮下脂肪、66……筋肉、68……内臓脂肪。
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪率や皮下脂肪厚等の生体情報を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の電流印加用電極と一対の電圧測定用電極とを被験者の身体に接触させ、電流印加用電極間に流れる測定電流と電圧測定用電極間の電圧とに応じて各種の生体情報を測定する技術が従来から提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−050539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電流印加用電極間に流れる測定電流が身体内部で到達する範囲(身体表面からの深度)は電流印加用電極間の距離に依存するため、電流印加用電極間の距離によっては生体情報を正確に測定できない可能性がある。例えば、電流印加用電極間の距離が小さい場合には、測定電流が身体内部の浅い位置(例えば皮下脂肪)までしか到達しないから、表面から深い位置にある筋肉に関連する生体情報(例えば脂肪率)の測定精度が低下する。他方、電極印加用電極間の距離が大きい場合には、測定電流が身体内部の深い位置(例えば筋肉)まで到達するから、表面から浅い位置にある皮下脂肪のみに関連する生体情報(例えば皮下脂肪厚)の測定精度が低下する。以上の事情を背景として、本発明は、電極間の電流の到達範囲(身体内部の深度)に依存する生体情報を高精度に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、本発明の要素と後述の実施形態の要素との対応を括弧書で付記するが、本発明の範囲を実施形態の例示に限定する趣旨ではない。
【0006】
本発明の測定装置は、相互に間隔(例えば間隔D12)をあけて配置されて被験者の身体に接触する第1電極(例えば電極E1)および第2電極(例えば電極E2)と、第1電極と第2電極との間に相互に間隔(例えば間隔D34)をあけて配置されて被験者の身体に接触する第3電極(例えば電極E3)および第4電極(例えば電極E4)と、電極間に流れる電流(例えば測定電流I)を生成する電流生成手段(例えば電流生成部32)と、電極間の電圧(例えば測定電圧V)を検出する電圧検出手段(例えば電圧検出部34)と、電流生成手段が生成した電流を第1電極と第2電極との間に流すとともに第3電極と第4電極との間の電圧を電圧検出手段に検出させる第1測定モードと、電流生成手段が生成した電流を第3電極と第4電極との間に流すとともに第1電極と第2電極との間の電圧を電圧検出手段に検出させる第2測定モードとを切替える動作制御手段(例えば動作制御部44)と、電流生成手段が生成する電流と電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体情報(例えば脂肪率Fや皮下脂肪厚Lfや筋肉厚Lm)を第1測定モードおよび第2測定モードの各々にて生成する情報生成手段(例えば情報生成部42)とを具備する。
【0007】
以上の構成では、電流生成手段が生成する電流を供給する電極間の距離が相違する第1測定モードおよび第2測定モードの各々で生体情報が測定されるから、電流の供給点の間隔が固定された構成と比較して、電極間の電流の到達範囲(身体内部の深度)に依存する生体情報を高精度に測定できるという利点がある。
【0008】
本発明の好適な態様において、情報生成手段は、第1測定モードにて第1生体情報を生成し、第1生体情報とは種類が相違する第2生体情報を第2測定モードにて生成する。具体的には、情報生成手段は、第1測定モードでは、電流生成手段が生成する電流と電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体インピーダンス(例えば生体インピーダンスZ1)から皮下脂肪と筋肉とに関する第1生体情報(例えば脂肪率F)を生成し、第2測定モードでは、電流生成手段が生成する電流と電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体インピーダンス(例えば生体インピーダンスZ2)から皮下脂肪に関する第2生体情報(例えば皮下脂肪厚Lf)を生成する。以上の態様において、第1測定モードでは、第1電極と第2電極との間に電流を流すことで身体の深い位置まで電流が到達するから、例えば皮下脂肪だけでなく筋肉(さらには内臓脂肪)にも関連する第1生体情報を高精度に算定できる。他方、第2測定モードでは、第3電極と第4電極との間に電流を流すことで身体の浅い位置までしか電流が到達しないから、例えば皮下脂肪に関連する第2生体情報を高精度に算定できる。
【0009】
本発明の好適な態様において、情報生成手段は、第1測定モードで生成された第1生体情報と第2測定モードで生成された第2生体情報とから第3生体情報(例えば筋肉厚Lm)を生成する。以上の態様では、第1生体情報と第2生体情報とが高精度に測定されるから、第1生体情報と第2生体情報とに応じた第3生体情報も高精度に算定できる。
【0010】
本発明の好適な態様において、第1電極と第2電極と第3電極と第4電極とは、第1方向に長尺な形状に形成され、第1方向に直交する第2方向に相互に間隔をあけて配列する。以上の態様によれば、各電極を確実に被験者の身体に接触させることが可能である。
【0011】
以上の各態様に係る測定装置は、例えば演算処理装置とプログラム(ソフトウェア)との協働で実現される。本発明のプログラムは、相互に間隔をあけて配置されて被験者の身体に接触する第1電極と第2電極との間に電流を流すとともに第1電極と第2電極との間に相互に間隔をあけて配置されて被験者の身体に接触する第3電極および第4電極との間の電圧を検出する第1動作モードと、第3電極と第4電極との間に電流を流すとともに第1電極と第2電極との間の電圧を検出する第2測定モードとを切替える動作制御処理(例えば処理S1や処理S4)と、各電極間に流れる電流と各電極間の電圧とに応じた生体情報を第1測定モードおよび第2測定モードの各々にて生成する情報生成処理(例えば処理S3や処理S7や処理S10)とをコンピュータに実行させる。以上のプログラムによれば、本発明の測定装置と同様の作用および効果が実現される。本発明のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で利用者に提供されてコンピュータにインストールされるほか、通信網を介した配信の形態でサーバ装置から提供されてコンピュータにインストールされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る測定装置の外観図である。
【図2】測定装置の電気的な構成のブロック図である。
【図3】第1測定モードおよび第2測定モードの説明図である。
【図4】被験者の測定部位の内部における電流密度のグラフである。
【図5】制御部の動作のフローチャートである。
【図6】測定部位と各電極との模式図である。
【図7】生体インピーダンスと脂肪率の実測値との相関図である。
【図8】レジスタンスおよびリアクタンスの比と皮下脂肪厚の実測値との相関図である。
【図9】第2実施形態における制御部の動作のフローチャートである。
【図10】変形例における電極部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<A:第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る測定装置100の構成図である。測定装置100は、被験者の身体に関する生体情報(例えば体組成に関する指標)を測定する生体計測器であり、本体部12と電極部14とを具備する。本体部12と電極部14とはケーブル16を介して電気的に接続される。なお、本体部12と電極部14とを一体に構成することも可能である。
【0014】
電極部14(プローブ)は、利用者(被験者や測定者)が把持可能な筐体142と、筐体142の表面に形成された4個の電極E(E1〜E4)とを含んで構成される。各電極Eは、X方向に長尺な形状(略長方形状)に形成され、X方向に直交するY方向に相互に間隔をあけて配列する。電極E1と電極E2とは所定の間隔D12をあけて配置され、電極E3と電極E4とは電極E1と電極E2との間に所定の間隔D34(D34<D12)をあけて配置される。間隔D12は例えば8cm〜12cm程度に設定され、間隔D34は例えば2cm〜4cm程度に設定される。図1では電極E1〜E4を等間隔に配置した場合を例示した。利用者は、被験者の身体のうち測定対象となる任意の部位(以下「測定部位」という)に電極E1〜E4が接触するように電極部14を移動させることが可能である。
【0015】
図2は、測定装置100の電気的な構成のブロック図である。図2に示すように、本体部12は、制御部22と記憶部24と操作部26と表示部28とを具備する。制御部22(CPU)は、記憶部24に記憶されたプログラムの実行で測定装置100の各要素を制御する。記憶部24は、制御部22が実行するプログラムや制御部22が使用する各種のデータを記憶する記憶回路(例えばROMやRAM)であある。
【0016】
操作部26は、利用者からの指示を受付ける入力機器であり、図1に示すように複数の操作子を含んで構成される。例えば生体情報の測定開始が操作部26に対する操作で指示される。表示部28(例えば液晶表示装置)は、制御部22による制御のもとに各種の画像を表示する。例えば、表示部28は、測定装置100を利用した測定手順の案内や測定装置100の測定結果(生体情報)を表示する。
【0017】
図2に示すように、電極部14は、前述の4個の電極E1〜E4のほか、筐体142に収容された電流生成部32と電圧検出部34と電極切替部36とを具備する。なお、電流生成部32と電圧検出部34と電極切替部36とを本体部12に設置することも可能である。
【0018】
電流生成部32は、一対の電極E間に測定電流Iを供給する。測定電流Iは、被験者の身体を経由して一対の電極E間を流れる所定の周波数(例えば500kHzまたは6.25kHz)の交流電流である。電圧検出部34は、一対の電極E間の電圧(以下「測定電圧」という)Vを検出する。測定電圧Vは、A/D変換器(図示略)にてデジタル信号に変換されたうえで制御部22に供給される。
【0019】
電極切替部36は、電流生成部32および電圧検出部34の各々と4個の電極E1〜E4の各々との接続状態を切替える。第1実施形態の電極切替部36は、4個のスイッチSW1〜SW4を含んで構成される。スイッチSW1は、電流生成部32の端子TA1を電極E1および電極E3の一方に接続し、スイッチSW2は、電圧検出部34の端子TV1を電極E1および電極E3の一方に接続する。また、スイッチSW3は、電圧検出部34の端子TV2を電極E2および電極E4の一方に接続し、スイッチSW4は、電流生成部32の端子TA2を電極E2および電極E4の一方に接続する。
【0020】
図2の制御部22は、記憶部24に記憶されたプログラムの実行で複数の機能(情報生成部42,動作制御部44)を実現する。情報生成部42は、電流生成部32が供給する測定電流Iと電圧検出部34が検出する測定電圧Vとに応じて測定部位の生体情報を生成する。動作制御部44は、電極切替部36を制御することで、測定装置100の動作モードを第1測定モードと第2測定モードの一方に設定する。第1測定モードと第2測定モードとでは、電流生成部32による測定電流Iの供給対象となる各電極Eと、電圧検出部34による測定電圧Vの検出対象となる各電極Eとの組合せが相違する。
【0021】
図3の部分(A)は、第1測定モードにおける各電極Eの接続状態を示す模式図であり、図3の部分(B)は、第2測定モードにおける各電極Eの接続状態を示す模式図である。図3に示すように、測定装置100による測定の実行時には、被験者の身体のうち測定部位60の表面62に電極E1〜E4が接触する。測定部位60の表面62の内側には皮下脂肪64と筋肉66と内臓脂肪68とが存在する。
【0022】
第1測定モードは、図3の部分(A)に示すように、電流生成部32が生成した測定電流Iを電極E1と電極E2との間に流すとともに電極E3と電極E4との電位差を測定電圧Vとして電圧検出部34に検出させる動作モードである。すなわち、第1測定モードでは、スイッチSW1〜SW4の各々が図2の接点a側に制御され、電流生成部32の端子TA1と電極E1とが導通するとともに電流生成部32の端子TA2と電極E2とが導通し、かつ、電圧検出部34の端子TV1と電極E3とが導通するとともに電圧検出部34の端子TV2と電極E4とが導通するように、動作制御部44は電極切替部36(スイッチSW1〜SW4)を制御する。
【0023】
他方、第2測定モードは、図3の部分(B)に示すように、電流生成部32が生成した測定電流Iを電極E3と電極E4との間に流すとともに電極E1と電極E2との電位差を測定電圧Vとして電圧検出部34に検出させる動作モードである。すなわち、第2測定モードでは、スイッチSW1〜SW4の各々が図2の接点b側に制御され、電流生成部32の端子TA1と電極E3とが導通するとともに電流生成部32の端子TA2と電極E4とが導通し、かつ、電圧検出部34の端子TV1と電極E1とが導通するとともに電圧検出部34の端子TV2と電極E2とが導通するように、動作制御部44は電極切替部36(スイッチSW1〜SW4)を制御する。
【0024】
以上の説明から理解されるように、被験者の測定部位60のうち測定電流Iの供給点の間隔が第1測定モードと第2測定モードとでは相違する。すなわち、第1測定モード(図3の部分(A))では間隔D12だけ離間した電極E1と電極E2とを介して測定部位60に測定電流Iが供給され、第2測定モード(図3の部分(B))では、間隔D12と比較して小さい間隔D34だけ離間した電極E3と電極E4とを介して測定部位60に測定電流Iが供給される。測定電流Iの電流値や周波数は第1測定モードと第2測定モードとで共通する。
【0025】
図4は、測定電流Iの供給時における測定部位60の内部の電流密度(縦軸)のグラフである。図4の部分(A)は第1測定モードでの電流密度であり、図4の部分(B)は第2測定モードでの電流密度である。X軸は測定部位60の表面62での位置を意味し、Y軸は表面62からの深度を意味する。
【0026】
図3の部分(A)および図4の部分(A)から理解されるように、測定部位60の表面62にて間隔D12だけ離間した位置に測定電流Iを供給する第1測定モードでは、表面62の直下の皮下脂肪64だけでなく皮下脂肪64の下層の筋肉66にまで測定電流Iが到達する。したがって、電圧検出部34が検出する測定電圧Vには皮下脂肪64および筋肉66の双方の特性が反映される。
【0027】
他方、図3の部分(B)および図4の部分(B)から理解されるように、測定部位60の表面62にて間隔D34だけ離間した位置に測定電流Iを供給する第2測定モードでは、測定電流Iの殆どが皮下脂肪64に流れ、筋肉66に到達する電流は極僅かである。したがって、電圧検出部34が検出する測定電圧Vには皮下脂肪64の特性が支配的に反映される。
【0028】
以上の傾向から、第1測定モードは、皮下脂肪64および筋肉66の双方に関連する生体情報の測定に好適な動作モードであり、第2測定モードは、皮下脂肪64に関連する生体情報の測定に好適な動作モードであることが理解される。そこで、図2の情報生成部42は、第1測定モードでは、皮下脂肪64および筋肉66の双方に関連する生体情報(第1生体情報)である脂肪率Fを算定し、第2測定モードでは、皮下脂肪64に関連する生体情報(第2生体情報)である皮下脂肪厚Lfを算定する。すなわち、情報生成部42が生成する生体情報の種類は第1測定モードと第2測定モードとで相違する。皮下脂肪厚Lfは、図3に示すように皮下脂肪64の厚さである。
【0029】
図5は、制御部22の動作のフローチャートである。図5の処理は、電極部14の4個の電極E1〜E4が被験者の測定部位60の表面62に接触した状態で、操作部26に対する測定開始の指示(あるいは表面62に対する電極E1〜E4の接触)を契機として実行される。図5の処理S1〜S3は第1測定モードでの処理に相当し、処理S4〜S7は第2測定モードでの処理に相当する。
【0030】
図5の処理を開始すると、動作制御部44は、測定装置100の動作モードを第1測定モードに設定して電流生成部32および電圧検出部34を動作させる(S1)。すなわち、動作制御部44は、図3の部分(A)に示すように、電流生成部32が生成した測定電流Iを電極E1から測定部位60を経由して電極E2に流した状態で電極E3と電極E4との間の測定電圧Vを電圧検出部34に検出させる。情報生成部42は、電流生成部32が生成する測定電流Iと電圧検出部34が検出した測定電圧Vとの関係から生体インピーダンスZ1を算定し(S2)、生体インピーダンスZ1から測定部位60の脂肪率Fを算定する(S3)。
【0031】
図6は、測定部位60と電極E1および電極E2との関係を示す模式図である。測定部位60を経由して電極E1と電極E2との間に測定電流Iを流した場合の生体インピーダンスZ1は、以下の数式(1)で表現される。
Z1=ρ×D12/S ……(1)
数式(1)の記号Sは測定電流Iの電流経路の断面積を意味する。記号ρは測定部位60の抵抗率である。抵抗率ρと脂肪率Fとが比例することを考慮すると、脂肪率Fを表現する以下の数式(2)が導出される。
F∝ρ=Z1×S/D12 ……(2)
なお、数式(2)の断面積Sは、電流経路の幅Wと電流経路の高さHとの積に相当する(S=W×H)。幅Wは各電極EのX方向の寸法(長さ)に応じて選定され、高さHは、図3および図4を参照して説明したように電極E1と電極E2との間隔D12に応じて選定される。
【0032】
図7は、生体インピーダンスZ1と脂肪率Fの実測値(超音波を利用した計測値)との関係を示すグラフである。数式(2)で表現されるように生体インピーダンスZ1と脂肪率Fとが比例するという傾向が図7からも把握される。以上の傾向を考慮すると、脂肪率Fは以下の数式(3)で表現される。
F=a×Z1+b ……(3)
数式(3)の定数aおよび定数bは、電極E1と電極E2との間隔D12や測定電流Iの電流値等に応じて事前に選定される。図5の処理S3において、情報生成部42は、処理S2で算定した生体インピーダンスZ1について数式(3)の演算を実行することで脂肪率Fを算定する。
【0033】
以上の手順で脂肪率Fの算定が完了すると、動作制御部44は、測定装置100の動作モードを第2測定モードに設定して電流生成部32および電圧検出部34を動作させる(S4)。すなわち、動作制御部44は、図3の部分(B)に示すように、電流生成部32が生成した測定電流Iを電極E3から測定部位60を経由して電極E4に流した状態で電極E1と電極E2との間の測定電圧Vを電圧検出部34に検出させる。
【0034】
情報生成部42は、電流生成部32が生成する測定電流Iと電圧検出部34が検出した測定電圧Vとから生体インピーダンスZ2を算定する(S5)。図3および図4を参照して説明したように第1測定モードと第2測定モードとでは測定電流Iの電流経路(測定電流Iが到達する深度)が相違するから、第1測定モード(処理S2)で算定される生体インピーダンスZ1と第2測定モード(処理S5)で算定される生体インピーダンスZ2とは相違する。
【0035】
情報生成部42は、測定電流Iと測定電圧Vとの位相差θおよび生体インピーダンスZ2からレジスタンスR(生体インピーダンスの実数部)とリアクタンスX(生体インピーダンスの虚数部)とを算定したうえで両者の比R/Xを算定する(S6)。そして、情報生成部42は、処理S6で算定した比R/Xに応じた皮下脂肪厚Lfを算定する(S7)。
【0036】
皮下脂肪64は筋肉66と比較して測定電流Iと測定電圧Vとの位相差θを発生させ難いから、皮下脂肪厚Lfが大きい(測定電流Iの殆どが皮下脂肪64に流れる)ほど位相差θは小さくなる。したがって、皮下脂肪厚Lfが大きいほど比R/Xは大きくなるという傾向がある。
【0037】
図8は、比R/Xと皮下脂肪厚Lfの実測値(超音波を利用した計測値)との関係を示すグラフである。比R/Xと皮下脂肪厚Lfとが比例するという傾向が図8からも把握される。以上の傾向を考慮すると、皮下脂肪厚Lfは、定数cおよび定数dを含む以下の数式(4)で表現される。
Lf=−c−d×(R/X) ……(4)
図5の処理S7において、情報生成部42は、処理S6で算定した比R/Xについて数式(4)の演算を実行することで皮下脂肪厚Lfを算定する。制御部22は、処理S3で算定した脂肪率Fと処理S7で算定した皮下脂肪厚Lfとを測定結果として表示部28に表示させる(S8)。
【0038】
以上に説明した第1実施形態では、測定電流Iが供給される各電極Eの間隔(測定部位60の表面62における測定電流Iの供給点の間隔)が第1測定モードと第2測定モードとで相違するから、測定電流Iの供給点の間隔が固定された構成と比較して生体情報を高精度に測定できるという利点がある。
【0039】
具体的には、第1実施形態の第1測定モードでは、電極E1と電極E2との間に測定電流Iを流すことで測定電流Iを皮下脂肪64と筋肉66との双方に流した状態で脂肪率Fが測定されるから、測定電流Iを電極E3と電極E4との間に流した状態(すなわち測定電流Iの殆どが皮下脂肪64に流れる状態)で脂肪率Fを測定する構成と比較して、脂肪率Fを高精度に測定できる。他方、第1実施形態の第2測定モードでは、電極E3と電極E4との間に測定電流Iを流すことで測定電流Iの殆どを皮下脂肪64に流した状態で皮下脂肪厚Lfが測定されるから、測定電流Iを電極E1と電極E2との間に流した状態(すなわち測定電流Iが筋肉66にも到達する状態)で皮下脂肪厚Lfを測定する構成と比較して、皮下脂肪厚Lfを高精度に測定できる。
【0040】
ところで、測定電流Iの供給点の間隔を変化させる構成としては、電極間の距離が相違する複数の電極対を測定電流Iの供給用に配置して選択的に使用する構成も想定され得るが、電極数が増加する(ひいては製造コストが増大する)という問題がある。第1実施形態では、電極E1および電極E2に測定電流Iを供給する第1測定モードでは電極E3および電極E4が測定電圧Vの検出に利用され、電極E3および電極E4に測定電流Iを供給する第2測定モードでは電極E1および電極E2が測定電圧Vの検出に利用される。すなわち、各電極Eが測定電流Iの供給と測定電圧Vの検出とに兼用される。したがって、電極部14に形成される電極Eの総数を増加させずに(したがって製造コストを過度に増大させずに)、測定電流Iの供給点の間隔を変化させることが可能である。
【0041】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各構成において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0042】
図9は、第2実施形態における制御部22の動作のフローチャートである。図9に示すように、第2実施形態の制御部22(情報生成部42)は、第1実施形態と同様の処理S1〜S7の実行後に処理S10を実行する。処理S10において、情報生成部42は、処理S3で算定した脂肪率Fと処理S7で算定した皮下脂肪厚Lfとに応じた筋肉厚Lmを生体情報(第3生体情報)として算定する。筋肉厚Lmは、図3に示すように筋肉66の厚さである。
【0043】
測定部位60の脂肪率Fは、皮下脂肪厚Lfと筋肉厚Lmとを含む以下の数式(5)で表現される。
F=Lf/(Lf+Lm) ……(5)
数式(5)を変形することで、筋肉厚Lmを皮下脂肪厚Lfと脂肪率Fとで定義する以下の数式(6)が導出される。
Lm=(Lf/F)−Lf ……(6)
情報生成部42は、処理S3で算定した脂肪率Fと処理S7で算定した皮下脂肪厚Lfとを数式(6)に適用することで筋肉厚Lmを算定する(S10)。制御部22は、脂肪率Fおよび皮下脂肪厚Lfと、処理S10で算定した筋肉厚Lmとを表示部28に表示させる(S8)。
【0044】
第2実施形態でも第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、第1測定モードで測定された生体情報(脂肪率F)と第2測定モードで測定された生体情報(皮下脂肪厚Lf)とを利用して他の生体情報(例えば筋肉厚Lm)を算定できるという利点がある。
【0045】
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0046】
(1)変形例1
以上の各形態では第1測定モードで測定部位60の脂肪率Fを算定するとともに第2測定モードで測定部位60の皮下脂肪厚Lfを算定したが、第1測定モードおよび第2測定モードの各々で測定される生体情報は以上の例示に限定されない。例えば、前述の各形態で例示したように第1測定モードと第2測定モードとで相異なる種類の生体情報を測定する構成のほか、第1測定モードと第2測定モードとで同種の生体情報を測定する構成も採用され得る。すなわち、情報生成部42は、第1測定モードおよび第2測定モードの各々で生体情報を生成する要素(情報生成手段)として包括される。生体インピーダンス(Z1,Z2)や比R/Xを生体情報として算定する構成も採用される。ただし、測定電流Iを供給する各電極Eの間隔に応じて測定電流Iの到達する深度が変化するという前述の傾向を考慮すると、皮下脂肪64および筋肉66の双方に関連する第1生体情報(例えば脂肪率F)を第1測定モードにて測定し、皮下脂肪64に関連する第2生体情報(例えば皮下脂肪厚Lf)を第2測定モードにて測定する構成が格別に好適である。また、第1測定モードで測定された第1生体情報と第2測定モードで測定された第2生体情報とに応じて生成される第3生体情報は筋肉厚Lmに限定されない。
【0047】
(2)変形例2
以上の各形態では、測定電流Iの電流値や周波数を第1測定モードと第2測定モードとで共通させたが、測定電流Iの電流値や周波数を第1測定モードと第2測定モードとで相違させることも可能である。例えば、第2測定モードでの測定電流Iの電流値が第1測定モードでの電流値を下回る構成が採用され得る。
【0048】
(3)変形例3
以上の各形態では、第1測定モードによる脂肪率Fの測定と第2測定モードによる皮下脂肪厚Lfの測定との双方を実行したが、第1測定モードでの測定と第2測定モードでの測定とを択一的に実行する構成も採用され得る。例えば、脂肪率Fの測定が利用者から指示された場合には第1測定モードにて脂肪率Fを算定し、皮下脂肪厚Lfの測定が利用者から指示された場合には第2測定モードにて皮下脂肪厚Lfを算定することが可能である。
【0049】
(4)変形例4
電極部14の形態は任意である。例えば図10に例示された電極部14を採用することが可能である。図10の電極部14は、基体部72の両側に第1測定部74と第2測定部76とを接続した構造である。電流生成部32と電圧検出部34と電極切替部36とは基体部72に搭載される。第1測定部74および第2測定部76の各々は、複数(図10では3個)の可動部78を連結した構造である。各可動部78の角度は可変である。第1測定部74の先端側(基体部72から遠い側)の可動部78には電極E1が配置され、第1測定部74の基端側(基体部72に近い側)の可動部78には電極E3が配置される。同様に、第2測定部76の先端側の可動部78には電極E2が配置され、第2測定部76の基端側の可動部78には電極E4が配置される。すなわち、第1実施形態と同様に電極E1と電極E2との間に電極E3と電極E4とが位置する。基体部72を被験者の測定部位60の表面62上に載置すると、各可動部78が表面62に沿うように第1測定部74および第2測定部76の各々が自重により変形して電極E1〜E4が表面62に接触する。したがって、測定部位60の表面62が曲面である場合でも、被験者に負荷をかけることなく電極E1〜E4を確実に測定部位60に接触させることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
100……測定装置、12……本体部、14……電極部、142……筐体、E(E1〜E4)……電極、16……ケーブル、22……制御部、24……記憶部、26……操作部、28……表示部、32……電流生成部、34……電圧検出部、36……電極切替部、SW1〜SW4……スイッチ、42……情報生成部、44……動作制御部、60……測定部位、62……表面、64……皮下脂肪、66……筋肉、68……内臓脂肪。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に間隔をあけて配置されて被験者の身体に接触する第1電極および第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に相互に間隔をあけて配置されて被験者の身体に接触する第3電極および第4電極と、
電極間に流れる電流を生成する電流生成手段と、
電極間の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電流生成手段が生成した電流を前記第1電極と前記第2電極との間に流すとともに前記第3電極と前記第4電極との間の電圧を前記電圧検出手段に検出させる第1測定モードと、前記電流生成手段が生成した電流を前記第3電極と前記第4電極との間に流すとともに前記第1電極と前記第2電極との間の電圧を前記電圧検出手段に検出させる第2測定モードとを切替える動作制御手段と、
前記電流生成手段が生成する電流と前記電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体情報を前記第1測定モードおよび前記第2測定モードの各々にて生成する情報生成手段と
を具備する測定装置。
【請求項2】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードにて第1生体情報を生成し、前記第1生体情報とは種類が相違する第2生体情報を前記第2測定モードにて生成する
請求項1の測定装置。
【請求項3】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードでは、前記電流生成手段が生成する電流と前記電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体インピーダンスから皮下脂肪と筋肉とに関する前記第1生体情報を生成し、前記第2測定モードでは、前記電流生成手段が生成する電流と前記電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体インピーダンスから皮下脂肪に関する前記第2生体情報を生成する
請求項2の測定装置。
【請求項4】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードでは脂肪率を前記第1生体情報として生成し、前記第2測定モードでは皮下脂肪厚を前記第2生体情報として生成する
請求項3の測定装置。
【請求項5】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードで生成された前記第1生体情報と前記第2測定モードで生成された前記第2生体情報とから第3生体情報を生成する
請求項2から請求項4の何れかの測定装置。
【請求項6】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードにて前記第1生体情報として生成された脂肪率と前記第2測定モードにて前記第2生体情報として生成された皮下脂肪厚とに応じた筋肉厚を前記第3生体情報として生成する
請求項5の測定装置。
【請求項7】
前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極と前記第4電極とは、第1方向に長尺な形状に形成され、前記第1方向に直交する第2方向に相互に間隔をあけて配列する
請求項1から請求項6の何れかの測定装置。
【請求項1】
相互に間隔をあけて配置されて被験者の身体に接触する第1電極および第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に相互に間隔をあけて配置されて被験者の身体に接触する第3電極および第4電極と、
電極間に流れる電流を生成する電流生成手段と、
電極間の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電流生成手段が生成した電流を前記第1電極と前記第2電極との間に流すとともに前記第3電極と前記第4電極との間の電圧を前記電圧検出手段に検出させる第1測定モードと、前記電流生成手段が生成した電流を前記第3電極と前記第4電極との間に流すとともに前記第1電極と前記第2電極との間の電圧を前記電圧検出手段に検出させる第2測定モードとを切替える動作制御手段と、
前記電流生成手段が生成する電流と前記電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体情報を前記第1測定モードおよび前記第2測定モードの各々にて生成する情報生成手段と
を具備する測定装置。
【請求項2】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードにて第1生体情報を生成し、前記第1生体情報とは種類が相違する第2生体情報を前記第2測定モードにて生成する
請求項1の測定装置。
【請求項3】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードでは、前記電流生成手段が生成する電流と前記電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体インピーダンスから皮下脂肪と筋肉とに関する前記第1生体情報を生成し、前記第2測定モードでは、前記電流生成手段が生成する電流と前記電圧検出手段が検出する電圧とに応じた生体インピーダンスから皮下脂肪に関する前記第2生体情報を生成する
請求項2の測定装置。
【請求項4】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードでは脂肪率を前記第1生体情報として生成し、前記第2測定モードでは皮下脂肪厚を前記第2生体情報として生成する
請求項3の測定装置。
【請求項5】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードで生成された前記第1生体情報と前記第2測定モードで生成された前記第2生体情報とから第3生体情報を生成する
請求項2から請求項4の何れかの測定装置。
【請求項6】
前記情報生成手段は、前記第1測定モードにて前記第1生体情報として生成された脂肪率と前記第2測定モードにて前記第2生体情報として生成された皮下脂肪厚とに応じた筋肉厚を前記第3生体情報として生成する
請求項5の測定装置。
【請求項7】
前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極と前記第4電極とは、第1方向に長尺な形状に形成され、前記第1方向に直交する第2方向に相互に間隔をあけて配列する
請求項1から請求項6の何れかの測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−183253(P2012−183253A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49952(P2011−49952)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】
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