説明

測定装置

【課題】樹脂製容器の、内面側と外面側との電位差を測定する。
【解決手段】樹脂製の台上に載せられた金属製の容器内に液体を満たし、この液体中に、、内部に飲料が充填された樹脂製容器を配置する。樹脂製容器の飲料内に第1電極を挿入し、コンテナの液体中に第2電極を挿入して、これら両電極を接続する回路を形成し、この回路を連通遮断するスイッチを設ける。さらに、前記回路にオシロスコープを接続するとともに、このオシロスコープと並列に抵抗を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製容器の帯電量の測定、特に、樹脂製容器の内面と外面の電位差を測定する測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂製容器が帯電することは従来から知られている。例えば、特許文献1のように、容器搬送装置によって搬送されている樹脂製容器を、電子線照射装置の前面側を通過させる間に、電子線照射装置の照射窓から電子線を照射して殺菌を行うと、図4に示すように、樹脂製容器2の壁体の内部には、マイナスの電荷が滞留し、樹脂製容器2の外側の表面2aと内側の表面2bにはプラスの電荷を持つイオンが付着した状態になる。特に、この図4の状態では、電子線の照射を直接受けた外面2a側の方が内面2b側よりも電位が高い状態になっており(外面2a側の電位をC1、内面2b側の電位をC2で示す)、外面2aと内面2bとの間に電位差Vが生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−162651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように樹脂製容器の壁面の内部に電荷が滞留すると、外側の表面と、内部側の表面に滞留する電荷が異なって、内面と外面との間に電位差が発生すると、この樹脂製容器内に手や口が触れると、静電気が発生する場合がある。そこで、樹脂製容器の壁体の内外面の電位差がどのように存在しているかを測定する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、樹脂製容器の内面と外面の電位差を測定する測定装置であって、液体が充填された樹脂製容器と、内部に液体が満たされ、その液体内に前記樹脂製容器が配置されるコンテナと、樹脂製容器内に充填されている液体に接続される第1電極と、コンテナ内に満たされている液体に接続される第2電極と、前記第1電極と第2電極とを連通する回路と、この回路に接続され、この回路内を流れる電圧を測定する電圧測定手段とを備えたものである。
【0006】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記電圧測定手段と並列に抵抗を配置したことを特徴とするものである。
【0007】
さらに、第3の発明に係る測定方法は、樹脂製容器の内面と外面の電位差を測定する測定方法であって、樹脂製容器の内面と外面とをそれぞれ電導性の媒体に接触させた後に、内面に接触させた電導性の媒体と外面に接触させた電導性の媒体とを接続する回路を形成し、この回路内を流れる電圧を測定することにより樹脂製容器の内面と外面の電位差を測定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の測定装置は、液体を満たしたコンテナ内に、液体を充填した樹脂製容器を配置し、両容器内の液体にそれぞれ電極を挿入し、両電極を接続してスイッチによりオンオフ可能な電気回路を形成し、この電気回路内に測定手段を接続するという簡単な構成で、樹脂製容器の壁体の内面側と外面側との電位差を正確に測定することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は樹脂製容器の内外面の電位差を測定する測定装置を簡略化して示す構成図である。(実施例1)
【図2】図2は図1に示す測定装置の測定時の状態を示す図である。
【図3】図3は電圧測定手段であるオシロスコープによって測定した電圧波形を示すグラフである。
【図4】図4は樹脂製容器に電子線を照射して殺菌したときに、樹脂製容器の壁体に滞留した電荷と内外面の電位差の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
内部に液体を満たした状態でコンテナを設置し、内部に飲料等の液体が充填された樹脂製容器を前記コンテナの液体内に配置する。樹脂製容器内に充填されている液体内に第1電極を挿入するとともに、コンテナ内の液体には第2電極を挿入し、これら第1電極と第2電極を接続する電気回路を形成して、スイッチによりオンオフできるようにしている。コの電気回路にオシロスコープを接続して回路内の電圧を測定する。このような簡単な構成により、簡単な操作で樹脂製容器の内面と外面との間の電位差を測定するという目的を実現した。
【実施例1】
【0011】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。何らかの操作により、その壁体に電荷が滞留し、しかもその電荷に偏りがある樹脂製容器2は、例えば、樹脂製容器2の外面2a側と内面2b側との間に電位差が生じている。この実施例に係る測定装置はその電位差を測定する装置である。
【0012】
この測定装置は、樹脂製の土台4と、この土台4上に載せられ、内部に液体6が満たされた金属製のコンテナ8と、内部に液体10が充填され、前記コンテナ8内に満たされている液体6内に配置された樹脂製容器2と、樹脂製容器2内に充填されている液体10内に挿入されている第1電極12と、前記コンテナ8内に満たされている液体6内に挿入されている第2電極14と、これら第1電極12と第2電極14とを連通するとともに一端がアース16されている電気回路18と、この電気回路18に接続され、電気回路18内の電圧を測定する電圧測定手段としてのオシロスコープ20とを備えている。この電気回路18はスイッチ22によってオンオフされる。さらに、この電気回路18に接続されたオシロスコープ20と並列に接続された抵抗24を有している。
【0013】
前記測定装置のスイッチ22をオンにすると(図2に示す状態)、電気回路18が接続され、樹脂製容器2内に充填されている液体10が接している樹脂製容器2の内面2b側と、金属容器8内に満たされている液体6が接している樹脂製容器2の外面2a側との電位差(電圧)が、前記オシロスコープ20に表示される。図3は、オシロスコープ20に表示された電圧波形であり、樹脂製容器2の壁体の内面2b側と外面2a側との電位差が測定される。また、この図3に示すように、電気回路18が接続されることによって樹脂製容器2の内外面2a、2bに不均衡に滞留していた電荷が流れてほぼ等しくなり、電位差がなくなる(図2の符号0は、測定前の電位差V(図1参照)が消滅したことを示している)。
【0014】
この測定装置によって樹脂製容器2の電位差を測定する場合に、スイッチ22をオンにすると瞬間的に電位差が低下するため測定しづらいので、この実施例では抵抗24を介在させて反応速度を遅くしている。また、抵抗24を介しているので、抵抗値から電流値を求め、電流値がどのくらいの時間流れるかを計測することにより電荷の量を算出することもできる。
【0015】
なお、前記実施例では、コンテナ8を鉄やステンレス等の金属製としたが、金属製に限らず樹脂製等であってもよい。また、金属製のコンテナ8の場合には、電極(第2電極14)を内部に満たされた液体6とコンテナ8のいずれかに接続すればよいが、樹脂製のコンテナ8の場合には、電極14は内部の液体に接続しなければならない。コンテナ8内に入れる液体6および樹脂製容器2内に充填される液体10は、導電性をある程度有する液体であればどのような液体を使用してもよい。また、前記コンテナ8を載せる土台4は省略することもできる。
【0016】
前記実施例では、電気回路22の連通遮断を行うスイッチ22を、図示の位置に設けたが、例えば、図1中に符号Aで示す位置にスイッチを設けるようにしてもよい。但し、この位置にスイッチを設けた場合には、コンテナが樹脂製の場合には問題ないが、金属製のコンテナの場合には、床面に直接設置すると樹脂製容器内とコンテナが連通してしまうので、非電導性の土台を設ける必要がある。なお、この実施例では、電導性の媒体として水などの液体6、10を用いたが、このような液体以外の電導性の媒体として、例えば、銅やアルミニウムの薄膜を用いることもできる。これら薄膜を樹脂製容器2の内面と外面に貼り付けても前記実施例と同様に電位差を測定することができる。
【符号の説明】
【0017】
2 樹脂製容器
2a 樹脂製容器の外面
2b 樹脂製容器の内面
8 コンテナ
12 第1電極
14 第2電極
18 回路
20 電圧測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製容器の内面と外面の電位差を測定する測定装置であって、
液体が充填された樹脂製容器と、内部に液体が満たされ、その液体内に前記樹脂製容器が配置されるコンテナと、樹脂製容器内に充填されている液体に接続される第1電極と、コンテナ内に満たされている液体に接続される第2電極と、前記第1電極と第2電極とを連通する回路と、この回路に接続され、この回路内を流れる電圧を測定する電圧測定手段とを備えた測定装置。
【請求項2】
前記電圧測定手段と並列に抵抗を配置したことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
樹脂製容器の内面と外面の電位差を測定する測定方法であって、
樹脂製容器の内面と外面とをそれぞれ電導性の媒体に接触させた後に、内面に接触させた電導性の媒体と外面に接触させた電導性の媒体とを接続する回路を形成し、この回路内を流れる電圧を測定することにより樹脂製容器の内面と外面の電位差を測定することを特徴とする測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−93254(P2012−93254A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241175(P2010−241175)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)