説明

湯水供給装置

【課題】 シャワーモードからミストモードへの切換えを自動化でき、手動による複雑な切換操作を不要とし、そのうえ異なる2種類の入浴環境を簡便且つ安価につくりだす。
【解決手段】 湯水が供給される切換え手段の下流側にそれぞれ吐水口を有する複数の分岐水路3を接続すると共に、切換え手段の切換えで複数の分岐水路3のうち任意の分岐水路3に選択的に湯水を流す湯水供給装置4である。複数の分岐水路3は、複数のシャワー用吐水口2aを有するシャワー用分岐水路3aと複数のミスト用吐水口2eを有するミスト用分岐水路3eとを少なくとも備えている。切換え手段は、最初に湯水をシャワー用分岐水路3aに供給するシャワーモードとし且つ一定時間経過後に湯水をシャワー用分岐水路3aからミスト用分岐水路3eに自動的に切換えてミストモードにする自動切換機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水供給装置に関し、詳しくはシャワーモードからミストモードに自動的に切換えるようにする自動切換機能を有する湯水供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数種類の吐水口を備えたシャワー装置であるシャワー装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このシャワー装置は図7に示すようなもので、正面中央に鏡40を設置した収納ユニット41の両側部にシャワー用吐水口42である複数のシャワー吐水口を備えたアーム43を垂直な回転軸を介して横方向に回転するように設置し、また、収納ユニット41の一側方には収納棚45を設置し、他方には通常のハンドシャワー46を設置し、更に、収納ユニット41の下方に洗い場用吐水口47を有する水栓を備えたカウンターを設置すると共に、洗い場用吐水口47の下方に洗面器を載置する可倒式の洗面器台48を設置した構成となっており、着座してシャワー浴を行うときは洗面器台48を倒した状態で、収納ユニット41の前に置いた椅子に着座してシャワーを浴びるものである。また、洗面等の洗面器を使用する入浴作業を行う時は洗面器台48を起こし、その上に洗面器を載置して入浴作業を行うようになっている。更に、通常のハンドシャワー46を使用する時はハンドシャワー46のシャワーヘッドを手に持ってシャワー浴等を行うようになっている。
【0003】
図8には前記従来例の配管ブロック図であり、図中50は水を供給する給水管、51は湯を供給する給湯管であり、52は給水管50、給湯管51からの水と湯を混合する温度調節ハンドル53を備えたサーモバルブであり、図8の従来例ではサーモバルブ52で混合した湯水を止水弁54を介してシャワー用吐水口42に供給するようにし、また、サーモバルブ52で混合した湯水を別経路で切換え弁55側に供給し、切換え弁55を介してハンドシャワー46のハンドシャワー用吐水口56と洗い場用吐水口47とに選択的に切換えて供給できるようになっている。
【0004】
しかしながら前記特許文献1に示されるシャワー装置では、着座してシャワー用吐水口42からのシャワー浴、ハンドシャワー46によるシャワー浴、洗い場用吐水口47から洗面器台48の湯水の供給に限られていた。
【0005】
そこで最近は、浴室内に湯水をミスト状に噴出することによって、浴室においてサウナ効果を得ることができるようにしたシャワー装置が開発されている。これは、水を加熱し、ミストノズルより少量の水をミスト状に噴霧することで、浴室内でミストサウナ浴ができるようにしたものであり、人為操作式のスイッチなどによる起動指令に基づいて、シャワーモードからミストモードへの切換えを行なうものである。
【0006】
ところが、従来ではシャワーモードからミストモードへの切換操作、及び、湯温の切換操作はそれぞれリモコンスイッチ等による手動操作が必要であり、特に着座してのシャワー浴の後でミストサウナ浴に切換える場合のスイッチの切換操作が非常に煩わしく、快適性が損なわれるものであった。また、シャワー浴においては、シャワーノズルから噴出される湯水は粒径が大きいことから、その温熱エネルギーの殆どを人体に与えることが可能であり、早期に温熱効果が得られるのが特徴である。一方、ミストサウナ浴においては、ミストノズルから噴出される湯水は粒径が小さいため、その温熱エネルギーの一部を浴室空間に放出し、周囲の空気を温めながら人体の体表面に対して相対的にゆっくりと温熱効果を与えるのが特徴である。このため従来のようにスイッチ切換でシャワーモードからミストモードに切り換える場合にあっては、シャワー運転時の湯温と同じ温度でミスト運転が行なわれるため、ミストの体感温度がシャワーと比較して低いため、身体にひんやり感を与えてしまい、発汗作用を促すどころか、かえって不快になることがある。そのため、ミスト温度を適切な温度に制御することもミストサウナ浴を快適に実施するためには重要である。
【特許文献1】特開2001−204644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、シャワーモードからミストモードへの切換えを自動化でき、手動による複雑な切換操作を不要とし、そのうえ異なる2種類の入浴環境を簡便且つ安価につくりだすことができる湯水供給装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために請求項1記載の発明は、湯水が供給される切換え手段1の下流側にそれぞれ吐水口2を有する複数の分岐水路3を接続すると共に、切換え手段1の切換えで複数の分岐水路3のうち任意の分岐水路3に選択的に湯水を流すようにした湯水供給装置において、前記複数の分岐水路3は、複数のシャワー用吐水口2aを有するシャワー用分岐水路3aと複数のミスト用吐水口2eを有するミスト用分岐水路3eとを少なくとも備えており、前記切換え手段1は、最初に湯水をシャワー用分岐水路3aに供給するシャワーモードとし且つ一定時間経過後に湯水をシャワー用分岐水路3aからミスト用分岐水路3eに自動的に切換えてミストモードにする自動切換機能を有することを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることで、最初のシャワーモードでは複数のシャワー用吐水口2aから微細水流(シャワー)が人体の体表面を包み込むように噴出するシャワー浴により温熱効果が得られ、引き続いてミストモードでは複数のミスト用吐水口2eから微細霧状のミストが人体の体表面を包み込むように噴出するミストサウナ浴によりスチームサウナ的な入浴感が得られ、発汗作用が促進され、入浴後の快適性を高めることができる。しかも切換え手段1にてシャワーモードからミストモードへの切換えを自動化することにより、手動による複雑な切換操作をすることなく、2種類の吐水口2a,2eから得られる人体への効果特性を十分に発揮できるようになる。そのうえ、切換え手段1の自動切換機能は分岐水路3を自動的に切換えるものであるので、異なる2種類の入浴環境を簡便且つ安価につくりだすことができる。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1においてシャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、湯温をシャワー運転時よりも高い所定温度まで上昇させるための湯温調整手段34gを備えていることを特徴としており、この場合、仮りに湯温をシャワーモードとミストモードとで同じ温度であると、ミストの方が体感温度が低いためひんやり感を与え、不快になることがあるが、本発明のようにミストモードへの切換えに連動して、ミスト温度をシャワー温度よりも所定温度だけ高めることで、シャワー浴に引き続いてひんやり感のない高温ミストが浴びられるようになり、より快適に発汗作用を促進させることができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1においてシャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、湯温をシャワー運転時の湯温よりも低い所定温度まで低下させるための湯温調整手段34gを備えていることを特徴としており、この場合、ミストモードへの切換えに連動して、ミスト温度をシャワー温度よりも所定温度だけ低くすることで、シャワー浴でほてった体を低温ミストで冷やしてクールダウンすることができ、入浴後の継続発汗や蒸暑感を抑制して、入浴後の快適性を向上させることができる。しかも、水風呂や冷水シャワーと比較して使用者の心身への負担をなくすことができ、より快適なクールダウンが可能となる。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、請求項1においてシャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、最初に湯温をシャワー運転時よりも高い所定温度まで上昇させ且つ一定時間経過後に湯温をシャワー運転時の湯温よりも低い所定温度まで低下させるための湯温調整手段34gを備えていることを特徴としており、この場合、高温ミストと低温ミストとを順に得るに際して手動によるミスト温度の調整操作が不要となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る湯水供給装置は、シャワーモードからミストモードへの切換えを自動化でき、手動による複雑な切換操作が不要となり、しかも異なる2種類の入浴環境を簡便且つ安価につくりだすことができるものである。
【0014】
また本発明では、シャワー浴後に、ひんやり感のない高温ミストによって快適に発汗作用を促進させることができるものである。
【0015】
また本発明では、使用者の心身への負担を減らしながら、低温ミストによる快適なクールダウンが可能となる。
【0016】
また本発明では、高温ミストと低温ミストとを順に得るに際して手動によるミスト温度の調整操作が不要となり、一層の快適感が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0018】
図1〜図3は本発明の湯水供給装置4の一実施形態としてシャワー装置の例を示している。このシャワー装置は、浴室の壁7に取付けられるもので、図1に示すように、両側部に合成樹脂により略直方形状に成形されたノズルユニット8が配置してあり、左右のノズルユニット8の前面上部には、人体の主に肩に向かって衝撃的な水流を噴出するマッサージ用吐水口2dが配置してあり、前面下部には人体の主に腰部に向かって微細水流(シャワー)を噴出するシャワー用吐水口2aがそれぞれ配置してある。
【0019】
左右のノズルユニット8の外側部には上端部を支点として略上下方向に回動自在で且つ任意の角度で保持が可能なように略直方体形状のノズルアーム9がそれぞれ設置してある。左右のノズルアーム9は連結バー(図示せず)で連結することにより一方のノズルアーム9を回動すれば他方のノズルアーム9も同時に連動して回動するような構成となっている。
【0020】
ノズルアーム9の裏面には微細水流(シャワー)を人体を包み込むように噴出する複数のシャワー用吐水口2aと、ミスト状の水流を人体全体を包み込むように噴出するミスト用吐水口2eとがノズルアーム9のほぼ全長にわたり所定の間隔で交互に配設してある。
【0021】
ここで、シャワーノズルに設けられるシャワー用吐水口2aは概ね粒径が1mm以下の湯水を噴出するものであり、一方、ミストノズルに設けられるミスト用吐水口2eは概ね粒径が300μm以下の微細な霧状のミストを噴出するものである。
【0022】
また、左右のノズルユニット8の間に位置する開放面12の前面に左右のノズルユニット8の上下端部に枢支し、左右に開閉自在な背もたれカバー10が設置してある。
【0023】
図2に示すように左右に開閉自在な背もたれカバー10を開いた状態にすると、左右のノズルユニット8の間に位置する開放面12の上部には鏡13が設置してあり、鏡13の下端部には下方に向かって吐水する洗い場用吐水口2bが設置してある。また、背もたれカバー10を開いた状態にすると、図2に示すように左右のノズルユニット8、左右のノズルアーム9が背もたれカバー10で覆われ、この状態では左右のノズルユニット8、左右のノズルアーム9に設けたシャワー用吐水口2a、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2eからの吐水による本来の使用はしない非使用状態である。このように、カバー10の開閉によりシャワー用吐水口2a、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2eの使用が区別できるようになっている。
【0024】
着座してシャワー浴(つまり微細水流浴)を行うときは開放面12を閉じることにより鏡13のほぼ全面と洗い場用吐水口2bを背もたれカバー10で隠蔽することができ、この状態ではノズルユニット8の前面と背もたれカバー10の前面とがほぼ面一となるように構成してある。
【0025】
図1において開放面12の下方にはノズルユニット8の下端とほぼ等しい高さの着座手段14が設置してある。着座手段14の上面14aはほぼフラットな形状をしていてシャワー浴で使用する場合は使用者が着座手段14に着座し、通常の入浴作業の時は図2に示すように洗面器15等の入浴用品を載置するカウンター機能として使用できる。
【0026】
また、本例の湯水供給装置4であるシャワー装置にはハンドシャワー5が設けてあり、図1に示す実施形態ではハンドシャワー5のフレキシブルなシャワーホース5aが着座手段14に設けた所定のハンドシャワー接続口16に接続してあり、該ハンドシャワー5のヘッドは一方のノズルユニット8の外側方の浴室の壁7に設けた引掛け手段(図示せず)に着脱自在に引掛け係止してある。該ハンドシャワー5のヘッドにはハンドシャワー用吐水口2cが設けてある。なお、着座手段14の側面には、供給する湯水の止水と流量を制御する流量制御手段17が設置してあり、ハンドル17aの操作で吐水停止及び流量を制御できるようになっている。
【0027】
また、本例では、図3に示すように、湯を供給する給湯管19と水を供給する給水管20とが温度制御手段18に連通接続してあり、更に温度制御手段18の下流側に配管21を介して流量制御手段17を連通接続してあり、流量制御手段17の下流側に配管22を介して、複数の分岐水路3(添付図面に示す実施形態ではシャワー用分岐水路3a、洗い場用分岐水路3b、ハンドシャワー用分岐水路3c、マッサージ用分岐水路3d、ミスト用分岐水路3e)が連通接続してあり、各分岐水路3の先端にはそれぞれシャワー用吐水口2a(図1)、洗い場用吐水口2b(図2)、ハンドシャワー用吐水口2c(図1)、マッサージ用吐水口2d(図1)、ミスト用吐水口2e(図1)という複数種類の吐水口2が設けられている。
【0028】
さらに上記各分岐水路3a〜eには、それぞれ、シャワー側電磁弁33a、洗い場用分岐水路33b、ハンドシャワー側電磁弁33c、マッサージ側電磁弁33d、ミスト側電磁弁33eが介在されている。各電磁弁33a〜33eは、切換え手段1からの制御信号によって開閉制御されるようになっている。切換え手段1には、座シャワー用制御回路34a、洗い場吐水口用制御回路34b、ハンドシャワー用制御回路34c、マッサージ用制御回路34d、ミスト用制御回路34e、シャワーモードからミストモードへ自動切換機能を有する自動切換用制御回路34f、及び、湯温調整用制御回路34gとが設けられている。湯温調整用制御回路34gは、シャワーモードからミストモードへの切換時に湯温をシャワー時よりも所定温度まで上昇或いは下降させるための湯温調整手段を構成する。
【0029】
また、浴室の壁7にはリモコン6が引掛け手段(図示せず)に着脱自在に引掛け係止してある。リモコンコード6aは着座手段14の背後に設けた接続口(図示せず)を介して切換え手段1に接続してある。図3に示すように、リモコン6には、上記各制御回路34a〜34gにそれぞれ信号を送るためのマッサージスイッチ35d、ハンドシャワースイッチ35c、洗い場吐水口スイッチ35b、座シャワースイッチ35a、ミストスイッチ35e、自動切換スイッチ35f、温度調整スイッチ35g、流量調整スイッチ35hが設けられている。これらスイッチ35a〜35hを操作することで、切換え手段1を介して、前記複数種類の吐水口2(図3の実施形態では、シャワー用吐水口2a、洗い場用吐水口2b、ハンドシャワー用吐水口2c、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2e)のうち1箇所を選択して湯水を供給できるようになっている。
【0030】
しかして、リモコン6の「マッサージスイッチ35d」、「ハンドシャワースイッチ35c」、「洗い場吐水口スイッチ35b」、「座シャワースイッチ35a」、「ミストスイッチ35e」のいずれか1つを押したときは、マッサージモード、ハンドシャワーモード、洗い場吐水口モード、シャワーモード、ミストモードのいずれかが1つが実行される。このとき温度調整スイッチ35gにて湯温を調整できる。なお温量は流量調整スイッチ35hにて調整できる。
【0031】
一方、リモコン6の「自動切換スイッチ35f」を押したときは、自動切換用制御回路34fからの信号により、最初にシャワー側電磁弁33aのみが開いて湯水をシャワー用分岐水路3aに供給するシャワーモードとなり、且つ一定時間経過後に、シャワー側電磁弁33aが閉じてミスト側電磁弁33eのみが開いて湯水をミスト用分岐水路3eに自動的に切換えてミストモードとなる。具体的には、先ずタイマーが作動すると共に、座シャワー用制御回路34aがシャワー側電磁弁33aをONし、ノズルユニット8とノズルアーム9のシャワー吐水口2bから微細水流が人体の肩、腰、手の先から足の先までを包み込むように噴出するシャワーモードが実行され、その後、一定時間が経過すると、タイマー、切換え手段1により、図4に示すように、シャワー側電磁弁33aが閉じ、ミスト側電磁弁33eが開く。このとき、電磁弁33a→33eの切換時間のため若干のインターバルを設けて切換える。切換え後は、ノズルアーム9のミスト用吐水口2eからミストが噴出する。このとき、例えばノズルアーム9を回動させてほぼ水平角度にすることで、上方から人体の全表面を包み込むようにしてミストを降らせることができる。
【0032】
ここで、着座してのシャワー浴においては、シャワーノズルから噴出される湯水は粒径が大きいことから、その温熱エネルギーの殆どを人体に与えることが可能であり、しかも湯水が供給されるノズルアーム9の先端の複数個所に湯水噴出手段となる複数種類のノズルが設けられているため、例えば着座姿勢にて首から下の人体部分に一度にシャワーを浴びることができるようになり、雨が当たっているような感触で全身一度に湯水を浴びることにより早期に温熱効果が得られる。さらに、着座している人体の腰の後ろにもシャワー用ノズルが設けられる場合は、着座姿勢にて背部を効果的に温めることが可能である。
【0033】
一方、ミストサウナ浴においては、ミスト用吐水口2eから噴出される湯水は粒径が小さいため、その温熱エネルギーの一部を浴室空間に放出し、周囲の空気を温めながら人体の体表面に対して相対的にゆっくりと温熱効果を与えることができ、これにより、ミストの温度をシャワー温度よりも高く設定することが可能であり、しかも粒径が小さいことから霧雨に全身が包まれているような感触を生み出し、人体の周囲温度と一緒に温めることから、スチームサウナのような入浴感が得られ、発汗促進作用があると考えられる。
【0034】
なお、ミストモード実行中に、ミストをもっと熱くしたいとき、或いはもっと冷たくしたいときは、リモコン6の温度調整スイッチ35g(図3)で調整すればよく、またミスト噴霧量をもっと増やしたいとき、或いはもっと減らしたいときは、リモコン6の流量調整スイッチ35h(図3)で調整すればよい。
【0035】
上記のように、切換え手段1の自動切換機能によりシャワーモードからミストモードへの切換えが自動化されるので、最初のシャワーモードでは高い温熱効果が得られ、その後のミストモードではスチームサウナ的な入浴感が得られ、発汗作用が促進され、入浴後の快適性を高めることができる。しかも2種類のノズルから得られる人体への効果特性を、手動による複雑な切換操作をすることなく、十分に発揮することができるものであり、そのうえ、切換え手段1の自動切換機能は複数の分岐水路3を自動的に切換えるものであるから、異なる2種類の入浴環境を簡便且つ安価につくりだすことができる効果もある。
【0036】
また本例の切換え手段1に設けた湯温調整用制御回路34gは、シャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、図4に示すように、自動的に湯温をシャワー運転時の湯温よりも高くして発汗促進用の高温ミストを噴出させる機能も有している。つまり、シャワーモード後に若干のインターバルを設けてミストモードに切換えるときに、図示省略した切換えスイッチ(例えばリミットスイッチ等)がオンになり、その信号が温度制御手段34gに送られ、この段階で湯温調整用制御回路34gは温度検知部36にて検知したシャワー温度よりも数℃(3〜4℃)高い温度となるように温度制御手段18を制御する。ちなみに、シャワーモードとミストモードとが同じ湯温であると、ミストの方が体感温度が低いため、ひんやり感を与え、かえって不快になる。そこで、ミストモードへ切換えた時に、ミスト温度をシャワー時の湯温よりも自動的に高くすることで、ひんやり感のない高温ミストを浴びることができ、より快適に発汗作用を促すことができる。
【0037】
一方、入浴でほてった体を低温ミストで冷やしてクールダウンすることにより、入浴後の快適性を向上させることも有効である。つまり、シャワー浴を浴びたままで出浴するよりも、一旦クールダウンしてから出浴したほうが、入浴後の継続発汗や蒸暑感を抑制できる点で有効である。例えばリモコン6のスイッチ(図示せず)でクールダウンコースが選択されたときには、湯温調整用制御回路34gは、図5に示すように、自動的に湯温をシャワー運転時の湯温(温度検知部36にて検知された温度)よりも数℃低くする。実験によれば、平静時の体温よりもやや低めの温度、36℃ぐらいがクールダウンに適切であることがわかった。なお、30℃ぐらいまで下げた場合は体温より低くなりすぎて、冷たすぎて不快となり、心臓負担も大きくなる。また、シャワー運転後に、ゆっくりとミスト温度を下げていくよりも、すぐに36℃まで下げた方が好ましい。その理由は、体が既に発汗等でほてっている状態なので、ミスト温度をゆっくり下げるとかえって不快となり、すぐに下げた方が体感上よいことがわかった。また、すぐに下げても36℃ぐらいまでであるため、負担は体感上感じられないので、問題はない。またクールダウンは夏季に限らず、冬季でも体感上好ましいことが実験からもわかった。ところで、なお、シャワー浴後に、水風呂に入ったり冷水シャワーを浴びて身体を冷やすことも可能であるが、使用者の心身への負担が大きくなる。そのため、本例のように低温ミストを浴びることにより、使用者への心身の負担を少なくしながら、快適なクールダウンができるようになる。
【0038】
更に、前記湯温調整用制御回路34gは、シャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、図6に示すように、自動的に最初に湯温をシャワー運転時の湯温よりも高くして発汗促進用の高温ミストを噴出させ且つ一定時間経過後に湯温をシャワー運転時の湯温よりも低くしてクールダウン用の低温ミストを噴出させるモードを選択できるようにしてもよい。この場合、高温ミストと低温ミストとを順に得るに際して手動によるミスト温度の調整操作が不要となり、手動による煩わしい操作をなくすことができ、一層の快適感が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の湯水供給装置の一実施形態であるシャワー装置の着座使用状態の斜視図である。
【図2】同上のシャワー装置の通常使用状態の斜視図である。
【図3】同上の配管ブロック図である。
【図4】同上のシャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、湯温をシャワー運転時よりも高い所定温度まで上昇させる場合のタイムチャートである。
【図5】同上のシャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、湯温をシャワー運転時の湯温よりも低い所定温度まで低下させる場合のタイムチャートである。
【図6】同上のシャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、最初に湯温をシャワー運転時よりも高い所定温度まで上昇させ且つ一定時間経過後に湯温をシャワー運転時の湯温よりも低い所定温度まで低下させる場合のタイムチャートである。
【図7】従来例のシャワー装置の正面図である。
【図8】従来例のシャワー装置の配管ブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 切換え手段
2 吐水口
2a シャワー用吐水口
2e ミスト用吐水口
3 分岐水路
3a シャワー用分岐水路
3e ミスト用分岐水路
4 湯水供給装置
34g 湯温調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水が供給される切換え手段の下流側にそれぞれ吐水口を有する複数の分岐水路を接続すると共に、切換え手段の切換えで複数の分岐水路のうち任意の分岐水路に選択的に湯水を流すようにした湯水供給装置において、前記複数の分岐水路は複数のシャワー用吐水口を有するシャワー用分岐水路と複数のミスト用吐水口を有するミスト用分岐水路とを少なくとも備えており、前記切換え手段は、最初に湯水をシャワー用分岐水路に供給するシャワーモードとし且つ一定時間経過後に湯水をシャワー用分岐水路からミスト用分岐水路に自動的に切換えてミストモードにする自動切換機能を備えていることを特徴とする湯水供給装置。
【請求項2】
前記シャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、湯温をシャワー運転時よりも高い所定温度まで上昇させるための湯温調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の湯水供給装置。
【請求項3】
前記シャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、湯温をシャワー運転時の湯温よりも低い所定温度まで低下させるための湯温調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の湯水供給装置。
【請求項4】
前記シャワーモードからミストモードへの切換えに連動して、最初に湯温をシャワー運転時よりも高い所定温度まで上昇させ且つ一定時間経過後に湯温をシャワー運転時の湯温よりも低い所定温度まで低下させるための湯温調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の湯水供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−346360(P2006−346360A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179736(P2005−179736)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(505154956)松下電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】