説明

湿度センサを備えたメリヤス製品

【課題】湿度を検知できるメリヤス製品を提供する。
【解決手段】ある素材の糸を少なくとも一本含むメリヤス生地から構成されるメリヤス織物であって、前記糸の電気抵抗が湿度の影響を受けて変化する織物には、間隔を空けて配置された少なくとも2個の導電性電極を有する組込型の湿度センサが備えられる。メリヤス生地の編目の行または列は、電極の間に配置される。電極のそれぞれは、少なくとも1本の導電性の糸を含み、前記導電性の糸は、前記メリヤス生地に編み込まれ、外部からアクセス可能な電気接続手段に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚糸を組み合わせてなるメリヤス生地で構成されるメリヤス製品に関する。知られていることではあるが、メリヤス生地には、所定の使用目的に応じた何らかのパターンおよび/またはデザインが備えられている。
【背景技術】
【0002】
介護施設、特に高齢者を介護する施設では、寝たきり患者のベッドが濡れてから、長時間が経過した後に、やっと介護者が気付くという問題がしばしば生じる。ベッドの濡れは就寝中にもしばしば生じるので、ベッドの濡れに煩わされる当人たちも、数時間後にやっと気付く。そのため、このような患者は、数時間の間、湿った、あるいは濡れたベッドに、横臥することになる。これによって、床ずれが生じて不快感が相当に高まる。この結果、患者の悩みが追加されるが、それとは別に、これらの患者のために必要とされる労力が追加されるので、ヘルスケアに掛かるコストが高くなる。
【0003】
もし、濡れを速やかに介護従事者に報告できれば、直ちに患者を介護することができる。そうすれば、湿った、あるいは濡れたベッドに、患者が数時間横臥することがなくなるので、患者に床ずれが生じにくくなるだろう。
【0004】
基本的に同様の問題は、発汗が強い場合にも、例えば、メリヤスのセーター類またはメリヤスの下着などの衣類において発生する場合がある。また、これらの場合、病気の状態によっては、発汗あるいはこれに類する現象を詰め所に直接通報して、適切な処置が取られるようにする必要がある場合がある。同様に、ベビーベッドは、マットレスライナーや掛け布団を備えて、これらが時折びしょ濡れになるので、該ベビーベッドに置かれた幼児にも、類似の問題が発生する。
【0005】
織物生地から構成された織物の湿度感知装置がある。織物生地には、導電性に乏しい糸が導電性の糸の間に置かれるように、導電性の糸と導電性に乏しい糸が織り込まれている。湿度が変化すると電気抵抗が変化するので、メリヤス織物中において、導電性の糸の間の電気伝導度を監視すれば、織物内に湿気が発生したことを検知できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
織物生地は、緯糸と経糸を交差させた織組織を備え、緯糸と経糸は接結点で他方に強く組み合わされるだけでなく、織物の耳側からのアクセスを容易にして、電線を取り付けられるようにしている。しかしながら、織物生地はメリヤス生地に比べて、特に下着に使う場合に、非現実的であり、あるいは不都合がある。メリヤス生地、つまり不織布を見ると、それぞれの糸で形成された編目は、該編目のループが互いにヒンジ状に結合されるので、力が加えられると、該編目の大きさと該編目の相互の関係を変えることができる。そのため、織物製品について得られた知見や経験を、そのままメリヤス製品に適用することはできない。
【0007】
本発明の目的は、メリヤス織物において、および、特にメリヤス製品を含む衣類およびこれに類するもの、あるいは全てが、または一部がこのようなメリヤス製品から作られた衣類およびこれに類するものにおいて、前述した課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、本発明に係るメリヤス製品は、請求項1に記載の特徴を示す。
【0009】
既に言及したように、メリヤス製品は、少なくとも1本の糸で構成されるメリヤス生地を使って製造され、該糸の電気抵抗値は、湿度の影響を受けて変化する。メリヤス製品には、湿度センサが備えられていて、該湿度センサには、少なくとも2個の導電性電極が、間隔を空けて配置される。該電極の間には、メリヤス生地の編目の行または列が配置される。前記各電極は、メリヤス生地に編まれる導電性の糸を少なくとも1本含み、該導電性の糸は、外部からアクセス可能な電気接続手段に電気的に接続される。
【0010】
電極の少なくとも一部は、メリヤス生地の編目の列方向および/または行方向に延びていてもよく、そして、前記少なくとも1本の導電性の糸が、前記部分に編目状に編み込まれてもよい。好適な実施形態では、少なくとも2個の電極を、櫛状に配置してもよい。前記電極は、編目の行方向に延びる第1の部分と、そこから編目の列方向に延びる第2の部分を備える。この場合、2個の電極の前記第2の部分は、互いに噛み合うように配置される。
【0011】
編目の列方向に延びる電極部分の少なくとも一部は、編目によって形成されてもよい。前記編目には導電性の糸が編み込まれていて、編目は互いに繋がっている。該電極部分は、1または複数の編目の列に属する編目によって作られる。この電極部分は、電極全体を構成してもよい。前記編目には、導電性の糸が含まれていて、該導電性の糸は、メリヤス織物の編目構造によって、編目に機械的に取り付けられる。また、前記編目は、互いに導電接触して固定されるので、連続する電気的な接触経路が形成される。このようにして、導電性の糸の小片のそれぞれを、編目の列方向に延びる電極部分の編目の列の少なくとも1つに属する編目に編み込むことができ、そして、編目の集合体内において、隣接する編目に属する糸の小片を、先に述べたように互いに導電接触できる。
【0012】
導電性の糸は、少なくとも各電極の領域において、メリヤス生地の地糸にメッキされてもよい。一般に、これにより、少なくとも編目の列方向に延びる電極部分の領域において、導電性の糸の端部が切断される。電極の少なくとも一部は、インタルジア技術を用いて編まれている、つまり、導電性の糸が編み込まれ、インタルジア技術でメリヤス生地に結合される編目を含んでいる場合、このような糸端の切断を避けることができる。ここで、知られていることではあるが、インタルジア技術は、公知の編物技術である。このようなインタルジア技術の例は、例えば、Eduard Dubied & Cie.S.A著、「Strickerei−Lehrgang Dubied」(Dubied knitting course),Neuchatel,Switzerland,1967に見られる。
【0013】
基本的には、導電性の糸を含む電極は、何らかのそれぞれ実用的なパターン、つまり、分散型の編目やデザインされた編目で編まれてもよいことに注目する必要がある。このような場合、導電性の糸は、編目の列方向または行方向で、1または複数の編目の上方で浮くように(floating over)配置されてもよい。
【0014】
新規なメリヤス織物を、湿気の影響が監視されるべき衣類の一部にすると、特に有益である。この衣類は、湿度センサが組み込まれたメリヤス織物を、クロッチ領域に備えるパンツであってもよい。クロッチ領域において湿度センサが組み込まれたメリヤス織物は、少なくとも一方の側が、例えば、綿糸からなる水透過性の織物生地で覆われてもよい。
【0015】
新規なメリヤス製品の湿度センサの電極用の電気接続手段は、各適用分野において好適なものであればよい。前記接続手段には、クランプ、つまり、電線を接続できるコネクタ素子などが含まれる。これらには、小型発信機の形、つまり、ブルートゥース(登録商標)装置などの形で、信号を直接発信する発信機も含まれる。これらは、衣類に直接固定でき、適合する受信機で受信できる無線信号を発信する。先に述べたパンツが失禁パンツと呼ばれる場合があることを考えると、電気接続手段は、電極の導電性の糸と好適に導電接触する電線である。各電線が、周囲に電気絶縁性の撚糸が編まれた導電性の撚糸を有すると好都合である。一般に、パンツの湿度センサと監視ユニットの間を電気的に接続するには、2本の電線が必要なので、少なくとも2本の電線を、保護用のメリヤスの被覆材で一緒に覆うように構成すると都合がよい。前記電極のそれぞれは、導電性の撚糸と、可撓性を有し、複数のリード線を備える織物ケーブルを形成する電気絶縁性の糸からなるメリヤスの被覆材から構成される。このようにして、2本のリード線または複数本のリード線を有する織物の「導電ワイヤ」が得られる。このワイヤは、電気的な接続をなすように使用される。他の公知のコードまたはラインと比べると、この織物の導電ワイヤの利点は、織物の性質を有することにある。織糸から構成されるので、導電性ワイヤは極めて柔軟であり、弾性も有する。また、導電性ワイヤの曲率半径は非常に小さいので、最悪の場合でも、まるで紐であるかのように感じられる。
【0016】
導電性の撚糸あるいは織物の導電ワイヤまたは導電ケーブルは、種々の方法で電極に接続できる。完全に電気的に密に接触させることだけが要求される。このような場合、電線の導電性の撚糸は、各電極の導電性の糸に結び付けられてもよい。導電性の撚糸を含む導電ワイヤの端部は、例えば、面ファスナーを用いて、電極の導電性の撚糸の端部に接続されてもよいし、あるいは、導電性の撚糸が、ここで幾つかの特定の実施形態で言及するように、電極に固く縫いつけられてもよい。
【0017】
湿度センサの電極の構成は、それぞれの適用分野で想定される湿度の影響に合致するように選ばれる必要がある。前記電極は、導電性の糸を編目状に編んで形成されるので、所定の使用目的に適したあらゆるパターンをメリヤス織物に施すことができる。前記パターンによって、導電性の糸を、監視対象の領域内において、最適に局在化、あるいは分散化して配置できる。前述の櫛状に噛み合わせた電極とは別に、編目の行および列に渡って延びる小さな分岐部が電極にあってもよい。また、メリヤス織物内に導電性の糸で形成される電極の導電路は、編目の列方向または行方向に正確に延びている必要は必ずしもない。適切なパターニングによって、編目の列および編目の行に対して斜めに延びる導電路、あるいは円形または波状の導電路を安価に形成することもできる。
【0018】
以下の図面は、本発明の主題についての例示的な実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るメリヤス織物のクロッチ部材が挿入されたパンツを概念的に示す斜視図である。
【図2】図1に係るパンツのクロッチ部材の実施形態を概念的に示す平面図である。
【図3】図1に係るパンツのクロッチ部材の別の実施形態を概念的に示す平面図である。
【図4】図3に係るクロッチ部材を概念的に示す側面図である。
【図5】電極領域において、図2または3に係るクロッチ部材の編目パターンの外観を詳細に示す図であり、導電性の糸がメッキされた状態を示している。
【図6】図2または3に係る編目パターンの外観を詳細に示す図であり、インタルジア技術で編まれた導電性の糸を示している。
【図7】図1に係るパンツの湿度センサの電気接続線を概念的に示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、湿度センサを組み込んで形成されるパンツ1を示しており、いわゆる失禁パンツと呼ばれるものを示している。この失禁パンツは、特定の機能を有する織物生地、好ましくは不織布から構成され、2個の脚部2とウエストバンド3を備える。クロッチ部材4は、2個の脚部2の間に配置されたクロッチ領域に挿入され、前記クロッチ部材は、図5、6に示されるメリヤス織物から構成される。前記メリヤス織物には、湿度センサ5が組み込まれている。メリヤスのクロッチ部材4は、パンツ1に縫いつけられたり、この目的に適した他の方法でパンツの継ぎ目に取り付けられる。
【0021】
クロッチ部材4は、例えば、図5、6に詳細に示されるように、地糸6を左右方向に結び付けて編むことによって構成されるメリヤス生地を含んでいる。地糸6は、湿度の影響を受けて電気抵抗を変化させる繊維材で構成される。このような繊維材は、例えば、綿から構成される。繊維の導電性は、主に、含水量によって決まり、湿度が上昇するにつれ、電気抵抗は減少する。同様の特性を示す繊維材には、例えば、ビスコース、アセテート、麻繊維(リネン)に加えて、合成繊維材が挙げられる。
【0022】
間隔を空けて配置された2個の電極7は、地糸6で編まれたメリヤス生地に編み込まれる。基本的な設計パターンの2つの具体例を、図2および3に示す。電極7にはそれぞれ、図5、6中で黒く示された導電性の糸8が含まれる。種々の具体的な導電性の織糸は、市販されている。一般に、導電性の織糸は、撚糸の形態で形成され、該撚糸には、小さな径(例えば、10から30μm未満)を有する銅や銀のモノフィラメントと、織糸が含まれていて、これらは必要に応じて互いに撚り合わされる。例えば、このような導電性の撚糸は、欧州特許第0 816 543 B1号明細書および国際公開第093/24689号に開示されている。メリヤス生地の編目の列および/または編目の行は、2個の電極7の間に配置されるので、クロッチ部材4の領域内において、パンツ1の湿気は、どのようなものであっても、電極7によって検出できる。これは、2個の電極7の間の電気抵抗の測定により実現される。何故なら、先に述べたように、湿度の上昇につれて、電極7の間に配置される部分(前記部分は、メリヤス生地の地糸6から構成される)内の繊維材の導電性が増す、つまり、電極7の間で測定される電気抵抗が減少するからである。
【0023】
電極7の導電性の糸のそれぞれは、外部からアクセス可能な電気接続手段に電気的に接続される。前記接続手段は、同様に、監視および/または信号ステーションに接続される。電極7の間で測定される電気抵抗が低下して閾値を下回ると、信号が、例えば、介護施設のナースステーションに直接送信されるようにしてもよい。
【0024】
電極を地糸6からなるメリヤス生地に編み込むのには、種々の技術を用いることができる。前記技術のうちの2つが、図6、7に示される。
【0025】
図2および3に示した、湿度センサ5の電極7の導電性の導体路の概念図から明らかなように、各電極7は、メリヤス生地の編目の列方向に延びて、パンツのウエストバンド3上の接点9まで至る長尺状の第1の部分80を有する。この例では、数個の第2の電極部分10が、この第1の電極部分80から直角に延びている。図5、6から明らかなように、前記第2の電極部分10は、編目の行方向に延びている。2個の電極7の第2の電極部分10は、櫛状に配置されて噛み合っている。クロッチ部材4に配列される電極7の外観は、例えば、図2のように設計され、各電極7の第2の電極部分10の長さは同じになる。図3に示した変形例では、第2の電極部分10は、湿度センサ5を含む上方のクロッチ領域11だけは同じ長さを有し、隣接する下方の股領域12では徐々に短くなって、クロッチ部材4の下方のテーパ形状に合致するように配置される。言うまでもないが、別のパターンを選択することも考えられる。
【0026】
図5および6のそれぞれには、電極7の詳細、例えば、図3の領域13における電極7の詳細が示されていて、第2の電極部分10は、第1の電極部分80から延びている。この図には、電極7の作成に用いる編物技術が示されている。
【0027】
図5に係る実施形態では、導電性の糸8は、地糸6にメッキされる。編目の列方向に延びる第1の電極部分80は、導電性の糸8の分離された小片が組み合われて、前記小片は、隣接する2列の編目の列14に属する編目に編み込まれる。この糸の小片の長さは、電極7の領域における糸の小片が、編目の行のそれぞれに属する隣接する2つの編目を実質的に横切って延びる長さのことである。前記領域は、第1の電極部分80だけで構成される。一方で、横方向に延びる第2の電極部分10の領域では、糸の小片は、例えば、隣接する2つの編目の列において、第2の電極部分10のそれぞれに相当する編目の数の長さを横切って延びる。
【0028】
編目の列14に属する編目に配置された導電性の糸8の糸の小片は、互いに導電接触した状態で、編目の集合体によってメリヤス生地に固定されるので、編目の列14の長さに沿って、図2の接点9まで、連続する電気導体路が形成される。各編目では、編目内の交差部を横切る編目の列方向に導電接触が生じる。
【0029】
一般に、導電性の銅または銀フィラメントの径は小さいので、導電性の糸8の切断された糸の小片の糸端の取り扱いは難しくない。もっとも、これらの糸端による摩擦点の形成を避けて、メリヤス織物の表面を平滑にすることが重要な場合、図6に示したように、インタルジア編物技術を用いて、電極7のパターンを形成するようにしてもよい。
【0030】
電極7は、編目の列方向に延びる第1の電極部分80と、編目の行方向に延びる第2の電極部分10を有し、導電性の糸8を一本だけ用いたパターンで編まれる。耳の部分の編目のパターンについては、導電性の糸8は、公知のインタルジア技術の特徴を有するように、地糸6で形成されたメリヤス生地の隣接する編目とともに、ループを形成する。
【0031】
図示された実施形態を参照すると、電線16は、2本のリード線17を有し、リード線17は、電極7の導電性の糸8によって接点9に導電接続され、湿度センサ5の電極7と、図1中において15で示されるような、電気抵抗測定装置を備える監視ユニット15との間を電気的に接続するように取り付けられる。本発明によれば、電線16は、織物の特殊な線として構成される。電線16は、導電性の撚糸18からなる芯部を有し(図7参照)、電線16の後部には、2本のリード線17が形成され、短絡を防止するために、電気絶縁性の撚糸19からなるメリヤス織物によって被覆される。2本のリード線17は、このように互いに絶縁されており、絶縁材と一緒に、別のメリヤスの被覆材20で包まれている。他の公知のコードまたはラインと比べると、このように作られた2本あるいはさらに多数のリード線を有する織物の線は、紛れもなく織物の性質を有するという利点を有することを特徴とする。前記線は織糸からなるので、極めて柔軟であり、弾性も有する。また、前記線の曲率半径は、非常に小さい。
【0032】
既に述べたように、リード線17は、接点9上の電極7に、種々の方法で接続することができる。例えば、電線16のリード線の導電性の撚糸18は、各電極7の導電性の糸8の端部19(図5、6)と一緒に編んでもよい。また、導電性の糸8の端部19は、図5中に21で示されるように、面ファスナーによって、電線16のリード線を構成する導電性の撚糸18に接続されてもよい。また、リード線の導電性の撚糸18の端部は、電極部分80の端部と一緒に縫合するだけでもよく、この場合、縫合部が電気接触部となる。
【0033】
図7で参照された前述の電線16は、そのまま湿度センサとして使用されてもよい。この場合、前記電線は、メリヤス生地内に直接編み込まれる。2本のリード線17の織物部の絶縁性は、水を透過できる程度であるので、2本のリード線17の間の電気抵抗は、絶縁性の被覆材19、20内の湿度の関数として表される。織物の線のある部分が濡れるようになると、2本のリード線17の間の電気抵抗は、それに応じて減少するようになる。その結果、メリヤス生地内の電線16の全体は、湿度センサとして機能する。湿度センサの電極は、電線の編み方に応じて、編目の行方向にも編目の列方向にも延びていてよい。
【0034】
ベッドで発生する何らかの湿気をこのように検知するために、このようなセンサまたは湿度センサを備えた前述の形式のメリヤス織物を、ベッド、例えば、シーツの下に配置することも考えられる。このシステムの利点は、パンツなどを介して、患者を、監視ユニット15と接続する必要がないことにある。
【実施例】
【0035】
図1に示されたパンツ1は、下着として編まれる。クロッチの外層と同様にパンツの設計は、以下通りである。
・キャリア糸:白色のEL/PA 22−22f7×1
・メッキ糸:Nmが34/1である白色のコーマCO
クロッチ部材4の設計は以下の通りである。
・キャリア糸:白色のEL/PA 22−22f7×1
・第1のメッキ糸:湿度センサ用の「地糸」6を形成し、キャリア糸にメッキされるNmが34/1である白色のコーマCO
・第2のメッキ糸(電極用):チンマーマン製のシールデックス(Shieldex、登録商標)撚糸、つまり巻糸であって、20テクスのELと44デシテックスのPA6.6を44デシテックスにFD織りした導電性の糸
電線16の設計は以下の通りである。
・リード線の撚糸18を形成する導電性の芯部の糸:チンマーマン製のシールデックス(Shieldex、登録商標)撚糸、つまり巻糸であって、20テクスのELと44デシテックスのPA6.6を44デシテックスにFD織りした導電性の糸
・被覆材20の糸:PP78f25×6
凡例は、EL=エラスタン(Elastane)、PA=ポリアミド、CO=綿、PP=ポリプロピレンである。
【0036】
図5および6に参照されて示されたメリヤス織物を使用する場合、クロッチ部材4は、パンツ1に直接挿入されてもよい。もっとも、外的要因による短絡を避けるために、例えば、クロッチ部材4を3層に形成し、前記クロッチ部材をパンツ1に3層で縫い合わせると有効である。図1では、縫い目を20で示している。図4で概念的に示されるように、綿で編まれる外層4a、4bは、例えば、センサ7を含む中央層4を覆っている。
【符号の説明】
【0037】
1 パンツ
2 脚部
3 ウエストバンド
4 クロッチ部材
4a、4b 外層
5 湿度センサ
6 地糸
7 電極
8 導電性の糸
9 接点
10 第2の電極部分
11 上方のクロッチ領域
12 下方のクロッチ領域
13 領域
14 編目の列
15 監視ユニット
16 電線
17 リード線
18 撚糸
19、20 被覆材
21 面ファスナー
80 第1の電極部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある素材の糸(6)であって、湿度の影響を受けて電気特性が変化する糸を少なくとも1本含むメリヤス生地を備え、
間隔を空けて配置された少なくとも2個の導電性電極(7)を有する組込型の湿度センサ(5)を備えて、
前記導電性電極の間には、前記メリヤス生地の編目の行または列が配置され、
前記導電性の電極のそれぞれは、少なくとも1本の導電性の糸(8)を含み、前記導電性の糸は、前記メリヤス生地に編み込まれ、外部からアクセス可能な電気接続手段(16)に電気的に接続されるメリヤス織物。
【請求項2】
前記電極(7)は、メリヤス生地の編目の列方向に延びる部分(80)を少なくとも備え、
前記部分には、前記導電性の糸(8)が少なくとも1本編み込まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載のメリヤス織物。
【請求項3】
前記電極(7)は、メリヤス生地の編目の行方向に延びる部分(10)を少なくとも備え、
前記部分には、前記導電性の糸(8)が少なくとも1本編み込まれる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のメリヤス織物。
【請求項4】
少なくとも2本の前記電極(7)は櫛状に延びており、
前記電極は、編目の列方向に延びる第1の部分(80)と、そこから編目の行方向に延びる第2の部分(10)を備え、
前記2本の電極の前記第2の部分(10)は、互いに噛み合うように配置される、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のメリヤス織物。
【請求項5】
編目の列方向に延びる電極部分(80)の少なくとも一部は、編目状に形成され、
前記編目には、前記導電性の糸(8)が編み込まれていて、前記編目は互いに繋がっている、
ことを特徴とする請求項2に記載のメリヤス織物。
【請求項6】
導電性の糸(8)の小片のそれぞれは、編目の列方向に延びる電極部分の少なくとも1個の編目の列に属する編目に編み込まれ、
編目の集合体内において隣接する編目の糸の小片は、互いに導電接触する、
ことを特徴とする請求項5に記載のメリヤス織物。
【請求項7】
前記導電性の糸(8)は、各電極の少なくとも1個の領域において、メリヤス生地の地糸(6)にメッキされる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のメリヤス織物。
【請求項8】
前記電極(7)の少なくとも一部には、前記導電性の糸(8)が編み込まれ、
前記電極は、インタルジア技術によってメリヤス生地に結合される編目を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のメリヤス織物。
【請求項9】
前記導電性の糸(8)は、編目の列方向または行方向にある少なくとも1個の編目の上方で浮くように(floating over)配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のメリヤス織物。
【請求項10】
前記メリヤス織物は、衣類の一部をなす、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のメリヤス織物。
【請求項11】
前記衣類は、組込型の湿度センサ(5)を有するメリヤス織物が、クロッチ領域(4)に備えられたパンツ(1)である、
ことを特徴とする請求項10に記載のメリヤス織物。
【請求項12】
前記股領域において、前記組込型の湿度センサ(5)を有するメリヤス織物の少なくとも一方の側は、水透過性の織物材(4a、4b)で覆われる、
ことを特徴とする請求項11に記載のメリヤス織物。
【請求項13】
前記電気接続手段には、前記電極(7)の前記導電性の糸(8)に接続される電線(16)が含まれる、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のメリヤス織物。
【請求項14】
前記電線には、導電性を有する柔軟な撚糸(18)が含まれ、
前記導線性の撚糸(18)の周りには、電気絶縁性の撚糸(19)が編まれる、
ことを特徴とする請求項13に記載のメリヤス織物。
【請求項15】
少なくとも2本の電線はそれぞれ、導電性の撚糸(18)と、可撓性を有し、複数のリード線を備える織物ケーブルを形成する電気絶縁性の糸からなるメリヤスの被覆材(19)から構成され、
前記電線は、保護用のメリヤスの被覆材(20)の内部で、一緒に覆われる、
ことを特徴とする請求項14に記載のメリヤス織物。
【請求項16】
前記電線(16)は、各電極に縫い付けられる、
ことを特徴とする請求項14または15に記載のメリヤス織物。
【請求項17】
前記電線(16)の導電性の撚糸(18)は、各電極(7)の導電性の糸(8)に結び付けられる、
ことを特徴とする請求項13または14に記載のメリヤス織物。
【請求項18】
前記電線(16)は、面ファスナー(21)によって、各電極に接続される、
ことを特徴とする請求項13または14に記載のメリヤス織物。
【請求項19】
前記電極(7)には、導電性の糸として、少なくとも1本の導電性の織物の撚糸(18)が含まれ、
前記撚糸は、電気接続手段として、メリヤス織物の外部から案内され、メリヤス織物の外部に位置する領域内で、メリヤスの電気絶縁性の撚糸(20)で覆われる、
ことを特徴とする請求項1に記載のメリヤス織物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−106084(P2011−106084A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254286(P2010−254286)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(510301596)クナート ファッション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント カンパニー コマンディートゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】