説明

湿度測定装置

【課題】低湿度及び高湿度の環境下において、湿度の測定精度を向上させる。
【解決手段】出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間が予め設定された設定時間よりも早い場合、通常湿度用、低湿度用及び高湿度用の積分回路のうち、選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より大きい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路が選択される。出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間が予め設定された設定時間よりも遅い場合、選択されている積分回路を、湿度測定用の積分回路に決定をする。通常湿度用、低湿度用及び高湿度用のテーブルのうち、湿度測定用に決定された積分回路に割り当てられたテーブルと、積分回路の出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間と、温度センサーにより測定された温度とを用いて、湿度を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗変化型の湿度センサー素子を用いた湿度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像形成装置では、用紙に印刷する画像の画質の低下を防止するために、画像形成装置内の湿度に応じて、画像形成動作を制御している。例えば、アモルファスシリコンを材料とする感光体ドラムの場合、高湿度の環境下では、画像のかすれ等が発生しやすい。そこで、湿度に応じて感光体ドラムを加熱する制御をすることにより、画質が低下するのを防止している。
【0003】
画像形成装置に適用できる湿度測定装置として、抵抗変化型の湿度センサー素子を用いた湿度測定装置が知られている。この装置は、湿度センサー素子の抵抗値が湿度に応じて変化する原理を利用して湿度を測定する。従来の湿度測定装置として、抵抗変化型の湿度センサー素子の抵抗値と湿度との関係を示すテーブルを用意し、湿度センサー素子の抵抗値を算出し、この値とテーブルとを基にして湿度を決定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−270355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
抵抗変化型の湿度センサー素子は、低湿度及び高湿度の環境下、抵抗値と湿度との関係がリニアにならないので、湿度の測定誤差が大きくなり、その結果、湿度の測定精度が低下する。
【0006】
本発明は、低湿度及び高湿度の環境下において、湿度の測定精度を向上させることが可能な湿度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の一の局面に係る湿度測定装置は、湿度変化に応じて抵抗値が変化する湿度センサー素子と、通常湿度用のコンデンサーと前記湿度センサー素子とを含む通常湿度用の積分回路と、前記通常湿度用のコンデンサーの容量より小さい容量を有する低湿度用のコンデンサーと、前記湿度センサー素子とを含む低湿度用の積分回路と、前記通常湿度用のコンデンサーの容量より大きい容量を有する高湿度用のコンデンサーと、前記湿度センサー素子とを含む高湿度用の積分回路と、前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用の積分回路から一つの積分回路を選択する回路選択部と、前記回路選択部により選択されている積分回路によって、予め設定された設定電圧を積分させることにより、当該積分回路から出力される出力電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧測定部により測定される前記出力電圧について、立ち上がり開始から予め設定された電圧値に到達するまでの時間を計測する時間計測部と、(a)前記立ち上がり開始から予め設定された制限時間内に前記出力電圧が前記電圧値に到達しない場合、前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用の積分回路のうち、前記回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より小さい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を前記回路選択部に選択させ、(b)前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間が予め設定された設定時間よりも早い場合、前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用の積分回路のうち、前記回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より大きい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を前記回路選択部に選択させ、(c)前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間が前記予め設定された設定時間よりも遅い場合、前記回路選択部により選択されている積分回路を、湿度測定用の積分回路に決定をする回路決定部と、湿度と、前記通常湿度用の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記通常湿度用の積分回路に割り当てられた通常湿度用のテーブルと、湿度と、前記低湿度用の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記低湿度用の積分回路に割り当てられた低湿度用のテーブルと、湿度と、前記高湿度用の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記高湿度用の積分回路に割り当てられた高湿度用のテーブルと、温度センサーと、前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用のテーブルのうち、前記回路決定部により湿度測定用に決定された積分回路に割り当てられたテーブルと、前記時間計測部により計測された前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間と、前記温度センサーにより測定された温度とを用いて、湿度を決定する湿度決定部と、を備える。
【0008】
積分回路の出力電圧について、立ち上がり開始から予め設定された電圧値に到達するまでの時間(以下、単に「到達時間」と記載する場合がある)は、積分回路の時定数(τ=R×C)に応じて変化する。湿度センサー素子の抵抗値Rは湿度に応じて変化するので、到達時間は湿度に応じて変化することになる。本発明では、湿度と到達時間とを対応させたテーブルを温度別に予め用意し、測定した温度に割り当てられているテーブルを用いて、到達時間から湿度を決定する。
【0009】
しかし、低湿度の環境下では湿度センサー素子の抵抗値Rが大きくなるので、積分回路の時定数が大きくなる。その結果、積分回路の出力電圧が予め設定された電圧値に到達できないので、湿度を決定できなくなる。一方、高湿度の環境下では湿度センサー素子の抵抗値Rが小さくなるので、積分回路の時定数が小さくなる。その結果、到達時間が早くなりすぎる。到達時間が早すぎると、到達時間どうしの差が小さくなり、湿度の測定精度が低下する。本発明では、到達時間が早くなりすぎるのを、予め設定された設定時間よりも早い場合とする。
【0010】
そこで、本発明の一の局面に係る湿度測定装置では、(a)出力電圧の立ち上がり開始から予め設定された制限時間内に、出力電圧が予め定められた電圧値に到達しない場合、通常湿度用、低湿度用及び高湿度用の積分回路のうち、回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より小さい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を、回路選択部に選択させる。これにより、時定数がより小さい積分回路が選択されるので、予め設定された制限時間内に出力電圧が、予め設定された電圧値に到達することが可能となる。一方、(b)出力電圧が予め設定された電圧値に到達するまでの時間が、予め設定された設定時間よりも早い場合(言い換えれば、到達時間が早すぎる場合)、通常湿度用、低湿度用及び高湿度用の積分回路のうち、回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より大きい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を回路選択部に選択させる。これにより、時定数がより大きい積分回路が選択されるので、予め設定された電圧値に到達する時間を遅らせることができる。そして、(c)出力電圧が予め設定された電圧値に到達するまでの時間が、予め設定された設定時間よりも遅い場合、回路選択部により選択されている積分回路を、湿度測定用の積分回路に決定をする。
【0011】
以上のように、本発明の一の局面に係る湿度測定装置は、通常温度用、低湿度用及び高湿度用の積分回路、並びに、通常温度用、低湿度用及び高湿度用のテーブルを用意している。そして、通常湿度の環境下であれば通常湿度用の積分回路及び通常湿度用のテーブル、低湿度の環境下であれば低湿度用の積分回路及び低湿度用のテーブル、高湿度の環境下であれば高湿度用の積分回路及び高湿度用のテーブルを用いて、湿度を測定する。従って、低湿度及び高湿度の環境下でも湿度の測定精度を向上させることができる。
【0012】
上記構成において、前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用の積分回路の中から、前記回路選択部により最初に選択される積分回路を、予め設定できる回路設定部を備えることができる。
【0013】
上述したように本発明の一の局面に係る湿度測定装置によれば、通常湿度の環境下では、湿度測定用の積分回路として通常湿度用の積分回路が回路決定部により決定され、低湿度の環境下では、湿度測定用の積分回路として低湿度用の積分回路が回路決定部により決定され、高湿度の環境下では、湿度測定用の積分回路として高湿度用の積分回路が回路決定部により決定されることになる。この構成によれば、通常湿度の環境下では、回路選択部により最初に選択される積分回路として、通常湿度用の積分回路を予め設定でき、低湿度の環境下では、回路選択部により最初に選択される積分回路として、低湿度用の積分回路を予め設定でき、高湿度の環境下では、回路選択部により最初に選択される積分回路として、高湿度用の積分回路を予め設定できる。従って、湿度測定用の積分回路の決定を高速化することができるので、湿度の測定結果を速く得ることができる。
【0014】
通常湿度、低湿度、高湿度のそれぞれについて、さらに細かく分けると積分回路の数が増える。例えば、通常湿度を二段階、低湿度を二段階、高湿度を二段階に分けると、積分回路が6個となる。よって、積分回路の数が多い場合、この構成は特に有効となる。
【0015】
上記構成において、前記電圧測定部は、前記回路選択部により選択されている積分回路にクロック信号が入力することにより、当該積分回路から出力される前記出力電圧を測定することができる。
【0016】
この構成によれば、クロック信号を積分回路に入力させるので、湿度センサー素子の分極(言い換えれば、電気分解)を防止することができる。
【0017】
上記構成において、前記電圧値は、前記クロック信号の波高値電圧の値の63%の大きさである。
【0018】
この構成によれば、積分回路の出力電圧において、立ち上がり開始から予め設定された電圧値に到達するまでの時間が、その積分回路の時定数となる。従って、例えば、時間計測部として時定数の測定装置を利用できる効果が生じる。
【0019】
本発明の他の局面に係る湿度測定装置は、湿度変化に応じて抵抗値が変化する湿度センサー素子と、第1のコンデンサーと前記湿度センサー素子とを含む第1の積分回路と、前記第1のコンデンサーの容量と異なる容量を有する第2のコンデンサーと、前記湿度センサー素子とを含む第2の積分回路と、前記第1及び前記第2の積分回路から一つの積分回路を選択する回路選択部と、前記回路選択部により選択されている積分回路によって、予め設定された設定電圧を積分させることにより、当該積分回路から出力される出力電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧測定部により測定される前記出力電圧について、立ち上がり開始から予め設定された電圧値に到達するまでの時間を計測する時間計測部と、(a)前記立ち上がり開始から予め設定された制限時間内に前記出力電圧が前記電圧値に到達しない場合、前記第1及び前記第2の積分回路のうち、前記回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より小さい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を前記回路選択部に選択させ、(b)前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間が予め設定された設定時間よりも早い場合、前記第1及び前記第2の積分回路のうち、前記回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より大きい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を前記回路選択部に選択させ、(c)前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間が前記予め設定された設定時間よりも遅い場合、前記回路選択部により選択されている積分回路を、湿度測定用の積分回路に決定をする回路決定部と、湿度と、前記第1の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記第1の積分回路に割り当てられた第1のテーブルと、湿度と、前記第2の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記第2の積分回路に割り当てられた第2のテーブルと、温度センサーと、前記第1及び前記第2のテーブルのうち、前記回路決定部により湿度測定用に決定された積分回路に割り当てられたテーブルと、前記時間計測部により計測された前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間と、前記温度センサーにより測定された温度とを用いて、湿度を決定する湿度決定部と、を備える。
【0020】
本発明の他の局面に係る湿度測定装置では、(a)出力電圧の立ち上がり開始から予め設定された制限時間内に、出力電圧が予め定められた電圧値に到達しない場合、第1及び第2の積分回路のうち、回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より小さい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を、回路選択部に選択させる。これにより、時定数がより小さい積分回路が選択されるので、出力電圧が予め設定された制限時間内に、予め設定された電圧値に到達することが可能となる。一方、(b)出力電圧が予め設定された電圧値に到達するまでの時間が、予め設定された設定時間よりも早い場合(言い換えれば、到達時間が早すぎる場合)、第1及び第2の積分回路のうち、回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より大きい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を回路選択部に選択させる。これにより、時定数がより大きい積分回路が選択されるので、予め設定された電圧値に到達する時間を遅らせることができる。そして、(c)出力電圧が予め設定された電圧値に到達するまでの時間が、予め設定された設定時間よりも遅い場合、回路選択部により選択されている積分回路を、湿度測定用の積分回路に決定をする。
【0021】
以上のように、本発明の他の局面に係る湿度測定装置は、第1の積分回路及び第1のテーブルの組と第2の積分回路及び第2のテーブルの組とのうち、一方の組を低湿度用、他方の組を高湿度用にすることができる。従って、低湿度及び高湿度の環境下でも湿度の測定精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低湿度及び高湿度の環境下において、湿度の測定精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る湿度測定装置を適用できる画像形成装置の内部構造の概略を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る湿度測定装置を構成するハードウェアを示す図である。
【図4】本実施形態に係る湿度測定装置に備えられる回路決定部、テーブル及び湿度決定部を示すブロック図である。
【図5】積分回路の入力電圧と出力電圧との関係を示すグラフ(その1)である。
【図6】積分回路の入力電圧と出力電圧との関係を示すグラフ(その2)である。
【図7】積分回路の入力電圧と出力電圧との関係を示すグラフ(その3)である。
【図8】低湿度1用、低湿度2用、通常湿度1用、通常湿度2用、高湿度1用、高湿度2用のそれぞれの積分回路のコンデンサーの容量の具体例を示す図である。
【図9】低湿度1用のテーブルの一例を示す図である。
【図10】本実施形態に係る湿度測定装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る湿度測定装置を適用できる画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び装置本体100の上部前面に配置された操作部400を備える。
【0025】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0026】
原稿読取部200は、露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、不図示のCCD(Charge Coupled Device)センサー及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサーにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサーにより読み取る。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0027】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラ109の駆動により、用紙搬送路111へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0028】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0029】
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像は用紙に定着される。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。
【0030】
操作部400は操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0031】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー405、テンキー407、ストップキー409、リセットキー411、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー413等が設けられている。
【0032】
スタートキー405はコピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキー407はコピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。ストップキー409はコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキー411は設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0033】
機能切換キー413はコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0034】
図2は、図1に示す画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500及び通信部600がバスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
【0035】
制御部500はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリ等を備える。CPUは画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、装置本体100等の画像形成装置1の上記構成要素に対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリは画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
【0036】
通信部600はファクシミリ通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリ通信部601は相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部601は電話回線605に接続される。
【0037】
ネットワークI/F部603はLAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
【0038】
本実施形態に係る湿度測定装置11は、湿度センサー素子13を含む。湿度センサー素子13は、抵抗変化型であり、湿度変化に応じて抵抗値が変化する。湿度センサー素子13は、例えば、基板と、基板の上に形成された電極と、電極の上に塗布された高分子材料からなる感湿膜と、を備える。制御部500は、湿度測定装置11で測定される湿度に応じて、画像形成部103の画像形成動作を制御する。例えば、画像を用紙に転写する転写動作、静電潜像を現像する現像動作、並びに、感光体ドラム113の回転及び温度制御を、湿度に応じて変える。
【0039】
湿度測定装置11を詳細に説明する。湿度センサー素子13とコンデンサーとにより構成される積分回路の出力電圧について、立ち上がり開始から予め定められた電圧値に到達するまでの時間(以下、単に「到達時間」と記載することもある)は、その積分回路の時定数(τ=R×C)に応じて変化する。湿度センサー素子13の抵抗値Rは湿度に応じて変化するので、到達時間は湿度に応じて変化することになる。湿度測定装置11では、湿度と到達時間とを対応させたテーブルを温度別に予め用意し、測定した温度に割り当てられているテーブルを用いて、到達時間から湿度を決定する。
【0040】
図3は、湿度測定装置11を構成するハードウェアを示す図である。湿度測定装置11は、CPU15、RAM17、ROM19、I/Oポート21、ASIC23、湿度センサー素子13、電圧測定部27、時間計測部29、回路選択部31、コンデンサーC1〜C6及び温度センサー25を備える。CPU15、RAM17、ROM19、I/Oポート21及びASIC23は、図2に示す制御部500を構成する要素である。CPU15、RAM17及びROM19により、後で説明する回路決定部35、テーブル37及び湿度決定部39が実現される。
【0041】
ASIC23は、温度センサー25を制御する。ASIC23は、湿度センサー素子13に印加するクロック信号CLKを生成するクロック生成部33を備える。
【0042】
湿度センサー素子13には、低湿度1用のコンデンサーC1、低湿度2用のコンデンサーC2、通常湿度1用のコンデンサーC3、通常湿度2用のコンデンサーC4、高湿度1用のコンデンサーC5、高湿度2用のコンデンサーC6が、それぞれ直列に接続されている。これらのコンデンサーを区別する必要がなければ、コンデンサーCと記載する。
【0043】
湿度センサー素子13と低湿度1用のコンデンサーC1とにより、低湿度1用の積分回路RC1が構成される。湿度センサー素子13と低湿度2用のコンデンサーC2とにより、低湿度2用の積分回路RC2が構成される。湿度センサー素子13と通常湿度1用のコンデンサーC3とにより、通常湿度1用の積分回路RC3が構成される。湿度センサー素子13と通常湿度2用のコンデンサーC4とにより、通常湿度2用の積分回路RC4が構成される。湿度センサー素子13と高湿度1用のコンデンサーC5とにより、高湿度1用の積分回路RC5が構成される。湿度センサー素子13と高湿度2用のコンデンサーC6とにより、高湿度2用の積分回路RC6が構成される。これらの積分回路を区別する必要がなければ、積分回路RCと記載する。
【0044】
本実施形態では、湿度が高くなるに従って、選択される積分回路が、積分回路RC1、積分回路RC2、積分回路RC3、積分回路RC4、積分回路RC5、積分回路RC6へと変わる。
【0045】
低湿度1用のコンデンサーC1には、スイッチング素子SW1が接続されている。低湿度2用のコンデンサーC2には、スイッチング素子SW2が接続されている。通常湿度1用のコンデンサーC3には、スイッチング素子SW3が接続されている。通常湿度2用のコンデンサーC4には、スイッチング素子SW4が接続されている。高湿度1用のコンデンサーC5には、スイッチング素子SW5が接続されている。高湿度2用のコンデンサーC6には、スイッチング素子SW6が接続されている。これらスイッチング素子を区別する必要がなければ、スイッチング素子SWと記載する。スイッチング素子SWとして、例えば、バイポーラトランジスタを用いることができる。
【0046】
I/Oポート21から出力された選択信号SG1によりスイッチング素子SW1がオンすると、低湿度1用の積分回路RC1が選択される。I/Oポート21から出力された選択信号SG2によりスイッチング素子SW2がオンすると、低湿度2用の積分回路RC2が選択される。I/Oポート21から出力された選択信号SG3によりスイッチング素子SW3がオンすると、通常湿度1用の積分回路RC3が選択される。I/Oポート21から出力された選択信号SG4によりスイッチング素子SW4がオンすると、通常湿度2用の積分回路RC4が選択される。I/Oポート21から出力された選択信号SG5によりスイッチング素子SW5がオンすると、高湿度1用の積分回路RC5が選択される。I/Oポート21から出力された選択信号SG6によりスイッチング素子SW6がオンすると、高湿度2用の積分回路RC6が選択される。これらのスイッチング素子SWにより回路選択部31が構成される。
【0047】
電圧測定部27は、積分回路RC1〜RC6のうち、回路選択部31により選択されている積分回路RCによって、予め設定された設定電圧を積分させることにより、その積分回路RCから出力される出力電圧を測定する。具体的に説明すると、電圧測定部27は、積分回路RC1〜RC6のうち、回路選択部31により選択されている積分回路RCにクロック信号CLKが入力することにより、その積分回路RCから出力される出力電圧を測定する。クロック信号CLKの波高値電圧Vccが、予め設定された設定電圧となる。電圧測定部27により測定された出力電圧を示す信号SG7は、I/Oポート21に入力される。
【0048】
時間計測部29は、クロック生成部33で生成されるクロック信号CLKがHレベルになると、時間の計測を開始し、Lレベルになると時間の計測をリセットする。これにより、時間計測部29は、電圧測定部27により測定される出力電圧について、立ち上がり開始から予め設定された電圧値に到達するまでの時間(到達時間)を計測する。本実施形態では、予め設定された電圧値を、0.63Vccとしている。Vccは、回路選択部31により選択されている積分回路RCの入力電圧(クロック信号CLKの波高値電圧)である。従って、選択されている積分回路RCの出力電圧の立ち上がり開始から0.63Vccに到達するまでの時間は、その積分回路RCの時定数となる。時間計測部29により計測された時間を示す信号SG8は、I/Oポート21に入力される。
【0049】
温度センサー25は、湿度測定装置11が配置されている環境下での温度を測定する。温度センサー25により測定された温度を示す信号SG9は、I/Oポート21に入力される。
【0050】
図4は、湿度測定装置11に備えられる回路決定部35、テーブル37及び湿度決定部39を示すブロック図である。これらは、図3に示すCPU15、RAM17及びROM19により実現される。
【0051】
まず、回路決定部35について説明する。図5〜図7は、積分回路RCの入力電圧と出力電圧との関係を示すグラフである。積分回路RCの入力電圧は、クロック生成部33により生成され、湿度センサー素子13に印加されるクロック信号CLKの波高値電圧Vcc(例えば、3.3V)である。その積分回路RCの出力電圧の波形は、湿度センサー素子13の抵抗値に応じて変化し、図では四つの波形W1〜W4が示されている。出力電圧は電圧測定部27により測定される。
【0052】
時間計測部29は、選択されている積分回路RCの出力電圧の立ち上がりにより、計測を開始し、クロック信号CLKの半周期(T/2)が経過すると、時間の計測を終了し、リセットする。選択された積分回路RCの時定数がクロック信号CLKの半周期を超えると、その積分回路RCの出力電圧は0.63Vccに到達できない(図5)。クロック信号CLKの半周期は、予め設定された制限時間の一例である。
【0053】
従って、図8に示すように、低湿度1用、低湿度2用、通常湿度1用、通常湿度2用、高湿度1用、高湿度2用のそれぞれの積分回路RCの時定数が、クロック信号CLKの半周期(T/2)以内になるように、コンデンサーCの容量が決定される。抵抗の欄には、選択された積分回路RCにおいて、湿度センサー素子13の抵抗値の範囲を示している。
【0054】
回路決定部35は、選択された積分回路RCの出力電圧の立ち上がり開始から、0.63Vcc(予め設定された電圧値の一例)に到達するまでの時間を基にして、次の(a)、(b)、(c)の動作を実行する。
【0055】
(a)回路選択部31により選択されている積分回路RCの出力電圧が、立ち上がり開始からクロック信号CLKの半周期内(予め設定された制限時間内)に、0.63Vccに到達しない場合(図5)、積分回路RC1〜RC6のうち、回路選択部31により選択されている積分回路RCを構成するコンデンサーCの容量より小さい容量を有するコンデンサーCによって構成される積分回路RCを、回路選択部31に選択させる。これにより、積分回路RCの時定数が小さくなるので、回路選択部31により選択されている積分回路RCの出力電圧が、0.63Vccに到達する可能性が高くなる。この新たに選択された積分回路RCの出力電圧が、0.63Vccに到達しなければ、さらに小さい容量を有するコンデンサーCによって構成される積分回路RCを、回路選択部31に選択させる。
【0056】
(b)回路選択部31により選択されている積分回路RCの出力電圧が、0.63Vccに到達するまでの時間が予め設定された設定時間s0よりも早い場合(図6)、積分回路RC1〜RC6のうち、回路選択部31により選択されている積分回路RCを構成するコンデンサーCの容量より大きい容量を有するコンデンサーCによって構成される積分回路RCを回路選択部31に選択させる。これは、出力電圧の立ち上がり開始から0.63Vccに到達するまでの時間(到達時間)が早すぎると、到達時間どうしの差(言い換えれば、時定数どうしの差)が小さくなり、湿度の測定精度が低下する。コンデンサーCの容量を大きくすると、時定数τはRとCとを掛けた値なので、時定数どうしの差(到達時間どうしの差)を大きくすることができる。本実施形態では、到達時間が早すぎるのを、予め設定された設定時間よりも早い場合とする。予め設定された設定時間s0とは、例えば、クロック信号CLKの半周期の1/10である。
【0057】
この新たに選択された積分回路RCの出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間が、予め設定された設定時間s0よりも早い場合、さらに大きい容量を有するコンデンサーCによって構成される積分回路RCを、回路選択部31に選択させる。
【0058】
(c)回路選択部31により選択されている積分回路の出力電圧が、0.63Vccに到達するまでの時間が予め設定された設定時間s0よりも遅い場合(図7)、回路選択部31により選択されている積分回路RCを、湿度測定用の積分回路RCに決定をする。後で説明するように、積分回路RCの出力電圧の立ち上がり開始から、0.63Vccに到達するまでの時間(時間s1,s2,s3,s4)を基にして、湿度が決定される。
【0059】
次に、テーブル37について説明する。テーブル37は、低湿度1用のテーブル37a、低湿度2用のテーブル37b、通常湿度1用のテーブル37c、通常湿度2用のテーブル37d、高湿度1用のテーブル37e及び高湿度2用のテーブル37fを含む。
【0060】
低湿度1用のテーブル37aは、低湿度1用の積分回路RC1に割り当てられており、湿度と、低湿度1用の積分回路RC1の出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間と、を対応させたテーブルである。
【0061】
同様に、低湿度2用のテーブル37bは、低湿度2用の積分回路RC2に割り当てられており、湿度と、低湿度2用の積分回路RC2の出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間と、を対応させたテーブルである。通常湿度1用のテーブル37cは、通常湿度1用の積分回路RC3に割り当てられており、湿度と、通常湿度1用の積分回路RC3の出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間と、を対応させたテーブルである。通常湿度2用のテーブル37dは、通常湿度2用の積分回路RC4に割り当てられており、湿度と、通常湿度2用の積分回路RC4の出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間と、を対応させたテーブルである。高湿度1用のテーブル37eは、高湿度1用の積分回路RC5に割り当てられており、湿度と、高湿度1用の積分回路RC5の出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間と、を対応させたテーブルである。高湿度2用のテーブル37fは、高湿度2用の積分回路RC6に割り当てられており、湿度と、高湿度2用の積分回路RC6の出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間と、を対応させたテーブルである。
【0062】
これらのテーブルの具体例について、低湿度1用のテーブル37aを用いて説明する。図9は、低湿度1用のテーブル37aの一例を示す図である。温度tと出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間sとが決まることにより、湿度を決定できる。例えば、温度tが5≦t<10で、かつ出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間sが、s16≦s<s17であれば、湿度が55%となる。
【0063】
この湿度の決定は湿度決定部39が実行する。すなわち、湿度決定部39は、テーブル37a〜37fのうち、回路決定部35により湿度測定用に決定された積分回路RCに割り当てられたテーブルと、時間計測部29により計測された出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間と、温度センサー25により測定された温度とを用いて、湿度を決定する。
【0064】
次に、本実施形態に係る湿度測定装置11の動作を説明する。図10はその動作を説明するフローチャートである。図3に示すように、湿度測定装置11は6個の積分回路RC1〜RC6を含むが、説明を簡単にするために、低湿度1用の積分回路RC1、通常湿度1用の積分回路RC3、高湿度1用の積分回路RC5を用いて説明する。
【0065】
ASIC23は、温度センサー25を制御し、湿度測定装置11が位置する環境下での温度を測定させる(ステップS1)。温度センサー25により測定された温度を示す信号SG9は、I/Oポート21に入力される。
【0066】
回路決定部35は、最初に選択する積分回路として通常湿度1用の積分回路RC3を選択するために、選択信号SG3を出力する。これにより、スイッチング素子SW3がオンして、通常湿度1用の積分回路RC3が選択される(ステップS3)。
【0067】
ASIC23は、クロック信号CLKを湿度センサー素子13に印加する。これにより、電圧測定部27は、通常湿度1用の積分回路RC3の出力電圧を測定し、かつ時間計測部29は、通常湿度1用の積分回路RC3の出力電圧の立ち上がり開始から時間の計測を開始する(ステップS5)。電圧測定部27により測定された電圧値を示す信号SG7及び時間計測部29により計測された時間を示す信号SG8は、I/Oポート21に送られる。
【0068】
回路決定部35は、クロック信号CLKの半周期以内に、通常湿度1用の積分回路RC3の出力電圧が0.63Vccに到達したか判断する(ステップS7)。
【0069】
回路決定部35が、クロック信号CLKの半周期以内に、通常湿度1用の積分回路RC3の出力電圧が0.63Vccに到達したと判断しない場合(ステップS7でNo)、回路決定部35は、次に選択する積分回路RCとして低湿度1用の積分回路RC1を選択するために、選択信号SG1を出力する。これにより、スイッチング素子SW1がオンして、低湿度1用の積分回路RC1が選択される(ステップS9)。そして、ステップS5に戻る。
【0070】
回路決定部35が、クロック信号CLKの半周期以内に、通常湿度1用の積分回路RC3の出力電圧が0.63Vccに到達したと判断した場合(ステップS7でYes)、回路決定部35は、その出力電圧が0.63Vccに到達した時間が、予め設定された設定時間s0より遅いか否か判断する(ステップS11)。
【0071】
回路決定部35は、通常湿度1用の積分回路RC3の出力電圧が0.63Vccに到達した時間が、予め設定された設定時間s0より遅くないと判断した場合(ステップS11でNo)、言い換えれば、予め設定された設定時間s0より早いと判断した場合、回路決定部35は、次に選択する積分回路として高湿度1用の積分回路RC5を選択するために、選択信号SG5を出力する。これにより、スイッチング素子SW5がオンして、高湿度1用の積分回路RC5が選択される(ステップS13)。そして、ステップS5に戻る。
【0072】
回路決定部35は、通常湿度1用の積分回路RC3の出力電圧が0.63Vccに到達した時間が、予め設定された設定時間s0より遅いと判断した(ステップS11でYes)、回路決定部35は、現在選択されている積分回路RC(この場合は、通常湿度1用の積分回路RC3)を、湿度測定用の積分回路RCに決定する(ステップS15)。
【0073】
電圧測定部27は、湿度測定用に決定された積分回路RCの出力電圧を測定し、かつ時間計測部29は、湿度測定用に決定された積分回路RCの出力電圧の立ち上がり開始から時間の計測を開始する(ステップS17)。電圧測定部27により測定された電圧値を示す信号SG7及び時間計測部29により計測された時間を示す信号SG8は、I/Oポート21に送られる。
【0074】
湿度決定部39は、電圧測定部27により測定された電圧値を示す信号SG7、時間計測部29により計測された時間を示す信号SG8、及び、温度センサー25により測定された温度tを示す信号SG9を基にして、湿度を決定する(ステップS19)。
【0075】
本実施形態の主な効果を説明する。本実施形態に係る湿度測定装置11では、(a)積分回路RCの出力電圧が0.63Vccに到達しない場合(図5)、積分回路RC1〜RC6のうち、回路選択部31により選択されている積分回路RCを構成するコンデンサーの容量より小さい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路RCが選択される。これにより、時定数がより小さい積分回路RCが選択されるので、出力電圧が0.63Vccに到達することが可能となる。一方、(b)出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間が、予め設定された設定時間よりも早い場合、言い換えれば、到達時間が早すぎる場合(図6)、積分回路RC1〜RC6のうち、回路選択部31により選択されている積分回路RCを構成するコンデンサーの容量より大きい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路RCが選択される。これにより、時定数がより大きい積分回路RCが選択されるので、0.63Vccに到達する時間を遅らせることができる。そして、(c)出力電圧が0.63Vccに到達するまでの時間が、予め設定された設定時間よりも遅い場合(例えば、図7)、回路選択部31により選択されている積分回路RCを、湿度測定用の積分回路RCに決定をする。
【0076】
以上のように、本実施形態は、低湿度用の積分回路(積分回路RC1,RC2)、通常湿度用の積分回路(積分回路RC3,RC4)、及び、高湿度用の積分回路(積分回路RC5,RC6)、並びに、低湿度用のテーブル(テーブル37a,37b)、通常湿度用のテーブル(テーブル37c,37d)、高湿度用のテーブル(テーブル37e,37f)を用意している。そして、低湿度の環境下であれば、低湿度1用の積分回路RC1及び低湿度1用のテーブル37a(又は低湿度2用の積分回路RC2及び低湿度2用のテーブル37b)、通常湿度の環境下であれば、通常湿度1用の積分回路RC3及び通常湿度1用のテーブル37c(又は通常湿度2用の積分回路RC4及び通常湿度2用のテーブル37d)、高湿度の環境下であれば、高湿度1用の積分回路RC5及び高湿度1用のテーブル37e(又は高湿度2用の積分回路RC6及び高湿度2用のテーブル37f)を用いて、湿度を測定する。従って、低湿度及び高湿度の環境下でも湿度の測定精度を向上させることができる。
【0077】
さらに、本実施形態によれば、低湿度、通常湿度、高湿度のそれぞれについて二段階の積分回路及びテーブルを用意している。すなわち、低湿度を例に説明すると、低湿度1用の積分回路RC1及び低湿度1用のテーブル37a(低湿度において湿度が比較的低い場合の積分回路及びテーブル)と、低湿度2用の積分回路RC2及び低湿度2用のテーブル37b(低湿度において湿度が比較的高い場合の積分回路及びテーブル)と、を用意している。従って、湿度の測定精度をさらに向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、積分回路RCの出力電圧において、予め設定された電圧値を、クロック信号CLKの波高値電圧Vccの値の63%の大きさにしている。よって、積分回路RCの出力電圧において、立ち上がり開始から予め設定された電圧値に到達するまでの時間が、その積分回路RCの時定数となる。従って、例えば、時間計測部29として時定数の測定装置を利用できる効果が生じる。
【0079】
本実施形態では、予め設定された電圧値を、クロック信号CLKの波高電圧Vccの値の63%の大きさにしている。本発明はこれに限定されず、湿度の測定精度が低下しない程度に到達時間どうしに差が生じれば、予め設定された電圧値にすることができる。
【0080】
本実施形態の変形例を説明する。変形例は、積分回路RC1〜RC6の中から、回路選択部31により最初に選択される積分回路RCを、予め設定できる回路設定部を備える。回路設定部は、図3に示すCPU15、RAM17及びROM19により実現される。
【0081】
変形例によれば、通常湿度の環境下では、回路選択部31により最初に選択される積分回路RCとして、通常湿度1用の積分回路RC3又は通常湿度2用の積分回路RC4を予め設定でき、低湿度の環境下では、回路選択部31により最初に選択される積分回路として、低湿度1用の積分回路RC1又は低湿度2用の積分回路RC2を予め設定でき、高湿度の環境下では、回路選択部31により最初に選択される積分回路として、高湿度1用の積分回路RC5又は高湿度2用の積分回路RC6を予め設定できる。従って、湿度測定用の積分回路RCの決定を高速化することができるので、湿度の測定結果を速く得ることができる。
【0082】
通常湿度、低湿度、高湿度のそれぞれについて、さらに細かく分けると積分回路RCの数が増える。例えば、本実施形態のように、通常湿度を二段階、低湿度を二段階、高湿度を二段階に分けると、積分回路RCが6個となる。よって、積分回路RCの数が多い場合、変形例は特に有効となる。
【符号の説明】
【0083】
11 湿度測定装置
13 湿度センサー素子
25 温度センサー
27 電圧測定部
29 時間計測部
31 回路選択部
35 回路決定部
37 テーブル
39 湿度決定部
CLK クロック信号
C1〜C6 コンデンサー
RC1〜RC6 積分回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度変化に応じて抵抗値が変化する湿度センサー素子と、
通常湿度用のコンデンサーと前記湿度センサー素子とを含む通常湿度用の積分回路と、
前記通常湿度用のコンデンサーの容量より小さい容量を有する低湿度用のコンデンサーと、前記湿度センサー素子とを含む低湿度用の積分回路と、
前記通常湿度用のコンデンサーの容量より大きい容量を有する高湿度用のコンデンサーと、前記湿度センサー素子とを含む高湿度用の積分回路と、
前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用の積分回路から一つの積分回路を選択する回路選択部と、
前記回路選択部により選択されている積分回路によって、予め設定された設定電圧を積分させることにより、当該積分回路から出力される出力電圧を測定する電圧測定部と、
前記電圧測定部により測定される前記出力電圧について、立ち上がり開始から予め設定された電圧値に到達するまでの時間を計測する時間計測部と、
(a)前記立ち上がり開始から予め設定された制限時間内に前記出力電圧が前記電圧値に到達しない場合、前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用の積分回路のうち、前記回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より小さい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を前記回路選択部に選択させ、(b)前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間が予め設定された設定時間よりも早い場合、前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用の積分回路のうち、前記回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より大きい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を前記回路選択部に選択させ、(c)前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間が前記予め設定された設定時間よりも遅い場合、前記回路選択部により選択されている積分回路を、湿度測定用の積分回路に決定をする回路決定部と、
湿度と、前記通常湿度用の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記通常湿度用の積分回路に割り当てられた通常湿度用のテーブルと、
湿度と、前記低湿度用の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記低湿度用の積分回路に割り当てられた低湿度用のテーブルと、
湿度と、前記高湿度用の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記高湿度用の積分回路に割り当てられた高湿度用のテーブルと、
温度センサーと、
前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用のテーブルのうち、前記回路決定部により湿度測定用に決定された積分回路に割り当てられたテーブルと、前記時間計測部により計測された前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間と、前記温度センサーにより測定された温度とを用いて、湿度を決定する湿度決定部と、を備える湿度測定装置。
【請求項2】
前記通常湿度用、前記低湿度用及び前記高湿度用の積分回路の中から、前記回路選択部により最初に選択される積分回路を、予め設定できる回路設定部を備える請求項1に記載の湿度測定装置。
【請求項3】
前記電圧測定部は、前記回路選択部により選択されている積分回路にクロック信号が入力することにより、当該積分回路から出力される前記出力電圧を測定する請求項1又は2に記載の湿度測定装置。
【請求項4】
前記電圧値は、前記クロック信号の波高値電圧の値の63%の大きさである請求項3に記載の湿度測定装置。
【請求項5】
湿度変化に応じて抵抗値が変化する湿度センサー素子と、
第1のコンデンサーと前記湿度センサー素子とを含む第1の積分回路と、
前記第1のコンデンサーの容量と異なる容量を有する第2のコンデンサーと、前記湿度センサー素子とを含む第2の積分回路と、
前記第1及び前記第2の積分回路から一つの積分回路を選択する回路選択部と、
前記回路選択部により選択されている積分回路によって、予め設定された設定電圧を積分させることにより、当該積分回路から出力される出力電圧を測定する電圧測定部と、
前記電圧測定部により測定される前記出力電圧について、立ち上がり開始から予め設定された電圧値に到達するまでの時間を計測する時間計測部と、
(a)前記立ち上がり開始から予め設定された制限時間内に前記出力電圧が前記電圧値に到達しない場合、前記第1及び前記第2の積分回路のうち、前記回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より小さい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を前記回路選択部に選択させ、(b)前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間が予め設定された設定時間よりも早い場合、前記第1及び前記第2の積分回路のうち、前記回路選択部により選択されている積分回路を構成するコンデンサーの容量より大きい容量を有するコンデンサーによって構成される積分回路を前記回路選択部に選択させ、(c)前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間が前記予め設定された設定時間よりも遅い場合、前記回路選択部により選択されている積分回路を、湿度測定用の積分回路に決定をする回路決定部と、
湿度と、前記第1の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記第1の積分回路に割り当てられた第1のテーブルと、
湿度と、前記第2の積分回路の前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間とを、対応させたテーブルが温度別に設けられ、前記第2の積分回路に割り当てられた第2のテーブルと、
温度センサーと、
前記第1及び前記第2のテーブルのうち、前記回路決定部により湿度測定用に決定された積分回路に割り当てられたテーブルと、前記時間計測部により計測された前記出力電圧が前記電圧値に到達するまでの時間と、前記温度センサーにより測定された温度とを用いて、湿度を決定する湿度決定部と、を備える湿度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−50317(P2013−50317A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186916(P2011−186916)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】