湿式化粧料の充填装置および湿式化粧料の充填方法
【課題】大径化された充填口から吐出される湿式化粧料自体を密な均一状態にすることで、充填密度の均一性を高める。
【解決手段】貯留室６ａには、供給管３から供給された湿式化粧料が貯留される。この貯留室６ａは、供給管３に対して屈曲して連通しており、供給管の流路径よりも大きな流路径を有する。充填口７ａは、貯留室６ａ内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する。この充填口７ａは、供給路３の流路径よりも大きく、かつ、貯留室６ａの流路径よりも小さな流路径を有する。
【解決手段】貯留室６ａには、供給管３から供給された湿式化粧料が貯留される。この貯留室６ａは、供給管３に対して屈曲して連通しており、供給管の流路径よりも大きな流路径を有する。充填口７ａは、貯留室６ａ内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する。この充填口７ａは、供給路３の流路径よりも大きく、かつ、貯留室６ａの流路径よりも小さな流路径を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、湿式化粧料の充填装置および湿式化粧料の充填方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、化粧皿を含む充填空間の上部が擦切面で塞がれた状態で、擦切面に設けられた充填口から充填空間内に湿式化粧料を充填する充填ノズルが開示されている。この充填ノズルの上部には、垂直方向に延在する供給管が接続されており、この供給管から充填ノズルに湿式化粧料が供給される。充填ノズルの内部に形成された湿式化粧料の流路は、供給管と一直線状になるように垂直方向に延在しており、この流路の下端、すなわち擦切面に充填口が設けられている。また、供給管から充填口に至る流路は、その途中で段差状に拡径しており、供給管に対して充填口が大径化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００６−１９９６１６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
一般に、湿式化粧料は、伸びの悪いバルクや加圧によって揮発成分が分離し易いバルクといったように、処方に応じた様々な特性を有している。そのため、処方によっては、充填口より吐出された湿式化粧料が化粧皿を含む充填空間の隅々まで十分に行き渡らず、充填物に密な部分と疎な部分とが生じてしまうことがある。このような充填物の疎密は、充填圧力を高めることである程度解消できるが、この場合には、湿式化粧料に含まれる揮発成分が加圧によって分離してしまうといった別の問題が生じ得る。揮発成分の分離は、色混ざりや色境界の乱れといった外観不良に直結する多色化粧料において、特に顕著な問題となる。
【０００５】
特許文献１は、その旨が明示的には記載されていないが、供給管よりも大径化された充填口が図示されている点で、充填物の疎密の低減を意図していると考えることもできる。しかしながら、小径な供給管から大径な充填口に至る途中で流路が段差状、すなわち非連続に拡径しているので、充填口から吐出される吐出物自体の疎密が生じ易い。具体的には、充填口近傍における中央部分が密になり易い反面、その周辺部分が疎になり易いという傾向がある。充填物の密度の均一性を高めるという観点でいえば、吐出物自体が密な均一状態であることが好ましい。
【０００６】
そこで、本発明の目的は、大径化された充填口から吐出される吐出物を密な均一状態にすることで、充填物の密度の均一性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
かかる課題を解決すべく、第１の発明は、供給路と、貯留室と、充填口とを有し、湿式化粧料を化粧皿内に充填する湿式化粧料の充填装置を提供する。供給路には、湿式化粧料が供給される。貯留室は、供給路から供給された湿式化粧料を貯留する。この貯留室は、供給路に対して屈曲して連通しており、供給路の流路径よりも大きな流路径を有する。充填口は、貯留室内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する。この充填口は、供給路の流路径よりも大きく、かつ、貯留室の流路径よりも小さな流路径を有する。
【０００８】
ここで、第１の発明において、充填空間を塞ぐとともに、化粧皿との相対的な変位によって、充填空間内に充填された湿式化粧料を擦り切る擦切面をさらに設けてもよい。この場合、充填口は、擦切面に設けられていることが好ましい。また、湿式化粧料の充填によって加圧された充填空間の圧力を外部空間に逃がすために、擦切面に設けられた少なくとも一つの逃げ穴をさらに有していてもよい。
【０００９】
第２の発明は、以下の第１から第３のステップを有する湿式化粧料の充填方法を提供する。第１のステップでは、供給路に湿式化粧料を供給する。第２のステップでは、貯留室内に、供給路から供給された湿式化粧料を貯留する。この貯留室は、供給路に対して屈曲して連通しており、供給路の流路径よりも大きな流路径を有する。第３のステップでは、貯留室内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する。この充填口は、供給路の流路径よりも大きく、かつ、貯留室の流路径よりも小さな流路径を有する。
【００１０】
ここで、第２の発明において、上記第３のステップは、充填空間が擦切面によって塞がれた状態で、擦切面に設けられた充填口から湿式化粧料の充填を行うステップであってもよい。この場合、擦切面と、化粧皿との相対的な変位によって、充填空間内に充填された湿式化粧料を擦り切る第４のステップをさらに設けてもよい。また、上記第３のステップは、擦切面に設けられた少なくとも一つの逃げ穴を介して、湿式化粧料の充填によって加圧された充填空間内の圧力を外部空間に逃がすステップを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【００１１】
第１または第２の発明によれば、供給路から貯留室内に流入した湿式化粧料は、供給路に対して屈曲した貯留室の内壁によって流れが規制され、その流入方向とは異なる方向に導かれる。密な部分から疎な部分に流れるという流体の特性上、流入した湿式化粧料は、大径な貯留室内の疎密を低減する方向で、貯留室内を不規則に流れる。これによって、貯留室全体における湿式化粧料が密な状態に均一化され、この状態で貯留された湿式化粧料が充填口から吐出される。充填口は供給路よりも大径で、かつ、貯留室よりも小径なので、湿式化粧料の吐出が密な均一状態のまま行われる。その結果、伸びの悪いバルクや揮発成分の分離が生じ易いバルク等に対応するために、充填口を大径化した場合であっても、充填空間内に充填された湿式化粧料を密な状態で均一化できる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】湿式化粧料の充填装置の展開斜視図
【図２】充填装置の流路の概略図
【図３】化粧皿のセット工程を示す図
【図４】湿式化粧料の充填工程を示す図
【図５】化粧皿を含む充填空間内における湿式化粧料の拡がり方の説明図
【図６】湿式化粧料の擦切り工程を示す図
【発明を実施するための形態】
【００１３】
図１は、本実施形態に係る湿式化粧料の充填装置の展開斜視図である。この充填装置１は、充填ノズル２と、供給管３とを主体に構成されている。充填ノズル２は、化粧皿を含む充填空間の上部を塞いだ上で、充填空間内に湿式化粧料を充填するとともに、充填された湿式化粧料を擦り切ることによって、湿式化粧料を定量充填する。この充填ノズル２の上部には、ネジやボルトといった締結部材によって固定された取付部材４を介して、供給管３が一体的に取り付けられている。この供給管３は、水平な充填ノズル２に対して垂直方向に延在しており、充填ノズル２の内部に形成された流路と連通している。図示しない充填ポンプ等を用いて圧送された湿式化粧料は、供給管３内の流路（供給路）を介して、充填ノズル２に供給される。
【００１４】
充填ノズル２は、切削加工や穿設加工が施された金属製のプレート部材５〜７を主体に構成されている。上プレート部材５には、流入口５ａと、複数の調整穴５ｂと、複数の取付穴５ｃとが設けられており、これらは上プレート部材５の上下を貫通している。流入口５ａは、供給管３と連通し、かつ、供給管３と同じ流路径を有する。ここで、「流路径」とは、流路の断面積を意味し、流路断面は丸状である必要はない（矩形状等であってもよい）。それぞれの調整穴５ｂは、湿式化粧料が充填される充填空間の上部に位置するように設けられている。これらの調整穴５ｂは、中プレート部材６および下プレート部材７のそれぞれに形成された貫通孔と連通して、湿式化粧料の充填によって加圧された充填空間内の圧力を外部空間に逃がす逃げ穴としての役割を担っている。この逃げ穴としての隙間の広さは、それぞれの調整穴５ｂに圧力調整用のネジ（図示せず）を取り付けることによって、任意に調整することができる。また、取付穴５ｃは、上プレート部材５の四隅に設けられている。
【００１５】
中プレート部材６には、貯留室６ａと、複数の調整穴６ｂと、複数の取付穴６ｃ，６ｄと、流出口６ｅとが設けられており、貯留室６ａ以外は中プレート部材６の上下を貫通している。貯留室６ａは、中プレート部材６の上面を凹状に陥没させることによって形成され、水平方向に延在している。この貯留室６ａの一端は、上プレート部材５の流入口５ａが位置するとともに、その他端には、中プレート部材６の下面に至る流出口６ｅが形成されている。それぞれの調整穴６ｂは、上プレート部材５の調整穴５ｂと位置的に対応しており、調整穴５ｂと同様に逃げ穴としての役割を担っている。また、取付穴６ｃは、中プレート部材６の四隅近傍に設けられており、上プレート部材５の取付穴５ｃと位置的に対応している。また、それぞれの取付穴６ｃの近傍には、取付穴６ｄが設けられている。
【００１６】
下プレート部材７には、充填口７ａと、複数の逃げ穴７ｂと、擦切面７ｃと、複数の取付穴７ｄ，７ｅとが設けられており、これらは下プレート部材７の上下を貫通している。充填口７ａは、中プレート部材６の流出口６ｅと位置的に対応しており、流出口６ｅと同じ流路径を有する。また、それぞれの逃げ穴７ｂは、その上方に位置する調整穴６ｂ，６ｂと位置的に対応しているとともに、それぞれの取付穴７ｄは、その上方に位置する取付穴６ｄと位置的に対応している。また、下プレート部材７の下面の一部は、略直方体状に突出しており、その突出した平坦な面によって擦切面７ｃが形成されている。この擦切面７ｃは、後述する化粧皿を含む充填空間の開口部分よりも広い面積を有しており、充填空間を塞ぐ役割と、充填された湿式化粧料を擦り切る役割とを担っている。充填口７ａは、擦切面７ｃの略中央に位置し、その周囲に複数の逃げ穴７ｂが位置している。充填口７ａおよび逃げ穴７ｂは、湿式化粧料の充填時に、充填空間の開口部分の直上に位置するように配置されている。
【００１７】
充填ノズル２の組み立ては、取付穴６ｄ，７ｄに挿入されたボルト等の締結部材によって、中プレート部材６と下プレート部材７とを締結した後、取付穴５ｃ，６ｃに挿入された締結部材によって、上プレート部材５と中プレート部材６と締結することによって行われる。充填ノズル２が組み立てられた状態において、貯留室６ａの一端は、流入口５ａと対向するとともに、その他端は、流出口６ｅを介して充填口７ａと対向する。なお、充填ノズル２は、下プレート部材７の取付穴７ｅに挿入された締結部材によって、図示しない昇降機の可動部位に締結され、これによって充填ノズル２が昇降制御される。
【００１８】
図２は、充填装置１における湿式化粧料の流路の概略図である。水平方向に延在する貯留室６ａは、垂直方向に延在する供給管３に対して屈曲して連通しているとともに、垂直方向に延在する充填口７ａに対しても屈曲して連通している。上述した充填ノズル２の構造から明らかなように、本実施形態では、供給管３および充填口７ａのそれぞれが貯留室６ａに対して直角に屈曲しているが、直角である必要性は必ずしもなく、供給管３の延在方向とは異なっていれば足りる。また、これらの流路３，６ａ，７ａの流路径（流路の断面積）は、供給管３の流路径をＳ１、貯留室６ａの流路径をＳ２、充填口７ａの流路径をＳ３とすると、Ｓ１＜Ｓ３＜Ｓ２の関係になっている。
【００１９】
このような流路３，６ａ，７ａの屈曲構造および流路径の関係より、充填ポンプ等によって圧送された湿式化粧料は以下のような挙動で流路内を流れる。まず、供給管３を下方に流れた湿式化粧料は貯留室６ａに流れ込む。その際、供給管３に対して貯留室６ａが屈曲しているので、流れ込んだ湿式化粧料は、供給管３の正面に位置する貯留室６ａの内壁によって、その方向での流れが規制され、流れる方向が変化する。そして、供給管３の流路径Ｓ１よりも大きな流路径Ｓ２を有する貯留室６ａ内を充填口７ａに向かって流れる。ここで、湿式化粧料を含む流体の一般的な特性として、流体は密な部分から疎な部分に流れることが知られている。このような特性から、貯留室６ａに流れ込んだ湿式化粧料は、その疎密を低減して密度を均一化する方向で、貯留室６ａ内を不規則に流れる。これによって、貯留室６ａの流路径Ｓ２が供給管３の流路径Ｓ１より大きくても、貯留室６ａ全体における湿式化粧料が密な状態に均一化される。
【００２０】
その後、貯留室６ａ内に一時的に貯留された湿式化粧料は、上流における流路内の加圧によって、充填口７ａから吐出される。その際、充填口７ａの流路径Ｓ３は貯留室６ａの流路径Ｓ２よりも小さいので、湿式化粧料の密な均一状態を損なうことなく、そのまま充填口７ａから吐出される。その結果、伸びの悪いバルクや揮発成分の分離が生じ易いバルク等に対応するために、充填口７ａを大径化（Ｓ３＞Ｓ１）した場合であっても、充填圧力をあまり高めることなく、充填空間内に充填された湿式化粧料を密な状態で均一化できる。
【００２１】
つぎに、上述した充填装置１を用いた湿式化粧料の充填方法を図３から図６を参照しつつ説明する。湿式化粧料は、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった粉末固形メイクアップ化粧料のうち、スラリー（化粧料の流動体）中の揮発成分を吸収・乾燥させて固化したものである。スラリーとしては、化粧料基材と、エタノール、水、流動パラフィン、イソパラフィン、イソプロピルアルコール等の揮発性溶剤とを混合したものが用いられる。湿式化粧料は、乾式化粧料と比べて粒子密度が疎であることに起因して、しっとりサラサラにした使用感が得られるという特性がある。
【００２２】
まず、図３に示すように、収容部８の収容空間に化粧皿９が収容され、これが充填ノズル２の直下にセットされる。化粧皿９を含む収容空間が湿式化粧料の充填空間となる。なお、収容部８の上面は化粧皿９の上縁部よりも高くなっているが、その理由は、後に行われるプレスによって湿式化粧料の高さが減少する分を予め見越しているからである。
【００２３】
つぎに、図４に示すように、昇降機によって充填ノズル２を下降させて、擦切面７ｃを収容部８の上面に接触させる。これによって、充填空間の上部が擦切面７ｃによって塞がれる。そして、この状態で、充填ノズル２の充填口７ａから流動性を有する湿式化粧料（吐出物）が吐出され、充填空間内に湿式化粧料が充填される。上述したように、充填口７ａからの吐出は、貯留室６ａ内に貯留された湿式化粧料が密な均一状態のままで行われる。なお、湿式化粧料の充填にともない充填空間が加圧されるが、擦切面７ｃに設けられた逃げ穴７ｂと、これと連通した調整穴５ｂ，６ｂとを介して、充填空間内部の圧力が外部空間に逃がされる。
【００２４】
図５は、化粧皿９を含む充填空間内における湿式化粧料（充填物）の拡がり方の説明図であり、同図（ａ）は、本実施形態のように大径な充填口７ａ（流路径＝Ｓ３）、同図（ｂ）は、比較例として小径な充填口７ａ（流路径＝Ｓ１）をそれぞれ示す。両者の比較から明らかなように、大径な充填口７ａの方が、充填口７ａの外周から化粧皿９の外枠に至るまでの距離、換言すれば、充填された湿式化粧料が充填空間の隅々まで行き渡るのに必要な距離が短くなる。それとともに、大径な充填口７ａの方が、湿式化粧料が充填空間の隅々まで行き渡るのに必要な充填圧力や充填時間も少なくて済む。したがって、充填口７ａの大径化は、湿式化粧料の均一充填を行う上で好ましい。このことは、充填対象となる湿式化粧料が、伸びの悪い特性や加圧によって揮発成分が分離し易い特性を有する場合において、特に有利である。
【００２５】
そして、湿式化粧料の充填終了後、図６に示すように、充填ノズル２に対して化粧皿９を相対的に変位させる。これによって、充填空間内に充填された湿式化粧料が擦切面７ｃによって擦り切られ、湿式化粧料が定量充填される。最後に、充填ノズル２を上昇させることによって、一連の充填工程が終了する。その後、湿式化粧料のプレス工程および乾燥工程を経て、製品としての湿式化粧料が完成する。
【００２６】
このように、本実施形態によれば、供給管３に対して貯留室６ａを屈曲させることで、供給管３よりも流路径が大きな貯留室６ａ内に貯留される湿式化粧料を密な状態で均一化できる。そして、貯留室内に貯留された湿式化粧料を貯留室６ａよりも流路径が小さな充填口７ａから吐出することで、湿式化粧料の吐出を密な均一状態のまま行うことができる。その結果、伸びの悪いバルクや揮発成分の分離が生じ易いバルク等に対応するために、充填口７ａを大径化した場合であっても、充填空間内に充填された湿式化粧料を密な状態で均一化できる。
【００２７】
なお、上述した実施形態では、単色の湿式化粧料の充填について説明したが、本発明は、湿式化粧料を多色化した場合であっても同様に適用可能である。多色化粧料に適用する場合には、処方の異なる化粧料毎に流路を独立させ、それぞれの流路に上述したような屈曲した貯留室６ａを設ければよい。これにより、湿式化粧料の充填圧力を抑えることで、湿式化粧料に含まれる揮発成分が加圧によって分離してしまうことを抑制できるので、色混ざりや色境界の乱れといった外観不良の発生を有効に防止できる。
【００２８】
さらに、上述した実施形態では、充填空間を塞がれた状態で上方より湿式化粧料を充填するフロント充填について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、塞がれた充填空間内に化粧皿底部の貫通孔より湿式化粧料を充填するバック充填や、塞がれた充填空間の側壁または化粧皿側部の貫通孔より湿式化粧料を充填するサイド充填等にも適用することも可能である。ただし、化粧皿に貫通孔を設けるこれらの手法では、貫通孔からの湿式化粧料の漏れを防止するという観点から、貫通孔をあまり大きくできないという制約を伴う点に留意されたい。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
以上のように、本発明に係る湿式化粧料の充填装置および製造方法は、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった様々な湿式化粧料に広く適用できるが、特に、伸びの悪いバルクや加圧によって揮発成分が分離し易いバルクといったように、充填条件がシビアな処方に対して有効である。
【符号の説明】
【００３０】
１ 充填装置
２ 充填ノズル
３ 供給管
４ 取付部材
５ 上プレート部材
６ 中プレート部材
７ 下プレート部材
８ 収容部
９ 化粧皿
【技術分野】
【０００１】
本発明は、湿式化粧料の充填装置および湿式化粧料の充填方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、化粧皿を含む充填空間の上部が擦切面で塞がれた状態で、擦切面に設けられた充填口から充填空間内に湿式化粧料を充填する充填ノズルが開示されている。この充填ノズルの上部には、垂直方向に延在する供給管が接続されており、この供給管から充填ノズルに湿式化粧料が供給される。充填ノズルの内部に形成された湿式化粧料の流路は、供給管と一直線状になるように垂直方向に延在しており、この流路の下端、すなわち擦切面に充填口が設けられている。また、供給管から充填口に至る流路は、その途中で段差状に拡径しており、供給管に対して充填口が大径化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００６−１９９６１６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
一般に、湿式化粧料は、伸びの悪いバルクや加圧によって揮発成分が分離し易いバルクといったように、処方に応じた様々な特性を有している。そのため、処方によっては、充填口より吐出された湿式化粧料が化粧皿を含む充填空間の隅々まで十分に行き渡らず、充填物に密な部分と疎な部分とが生じてしまうことがある。このような充填物の疎密は、充填圧力を高めることである程度解消できるが、この場合には、湿式化粧料に含まれる揮発成分が加圧によって分離してしまうといった別の問題が生じ得る。揮発成分の分離は、色混ざりや色境界の乱れといった外観不良に直結する多色化粧料において、特に顕著な問題となる。
【０００５】
特許文献１は、その旨が明示的には記載されていないが、供給管よりも大径化された充填口が図示されている点で、充填物の疎密の低減を意図していると考えることもできる。しかしながら、小径な供給管から大径な充填口に至る途中で流路が段差状、すなわち非連続に拡径しているので、充填口から吐出される吐出物自体の疎密が生じ易い。具体的には、充填口近傍における中央部分が密になり易い反面、その周辺部分が疎になり易いという傾向がある。充填物の密度の均一性を高めるという観点でいえば、吐出物自体が密な均一状態であることが好ましい。
【０００６】
そこで、本発明の目的は、大径化された充填口から吐出される吐出物を密な均一状態にすることで、充填物の密度の均一性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
かかる課題を解決すべく、第１の発明は、供給路と、貯留室と、充填口とを有し、湿式化粧料を化粧皿内に充填する湿式化粧料の充填装置を提供する。供給路には、湿式化粧料が供給される。貯留室は、供給路から供給された湿式化粧料を貯留する。この貯留室は、供給路に対して屈曲して連通しており、供給路の流路径よりも大きな流路径を有する。充填口は、貯留室内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する。この充填口は、供給路の流路径よりも大きく、かつ、貯留室の流路径よりも小さな流路径を有する。
【０００８】
ここで、第１の発明において、充填空間を塞ぐとともに、化粧皿との相対的な変位によって、充填空間内に充填された湿式化粧料を擦り切る擦切面をさらに設けてもよい。この場合、充填口は、擦切面に設けられていることが好ましい。また、湿式化粧料の充填によって加圧された充填空間の圧力を外部空間に逃がすために、擦切面に設けられた少なくとも一つの逃げ穴をさらに有していてもよい。
【０００９】
第２の発明は、以下の第１から第３のステップを有する湿式化粧料の充填方法を提供する。第１のステップでは、供給路に湿式化粧料を供給する。第２のステップでは、貯留室内に、供給路から供給された湿式化粧料を貯留する。この貯留室は、供給路に対して屈曲して連通しており、供給路の流路径よりも大きな流路径を有する。第３のステップでは、貯留室内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する。この充填口は、供給路の流路径よりも大きく、かつ、貯留室の流路径よりも小さな流路径を有する。
【００１０】
ここで、第２の発明において、上記第３のステップは、充填空間が擦切面によって塞がれた状態で、擦切面に設けられた充填口から湿式化粧料の充填を行うステップであってもよい。この場合、擦切面と、化粧皿との相対的な変位によって、充填空間内に充填された湿式化粧料を擦り切る第４のステップをさらに設けてもよい。また、上記第３のステップは、擦切面に設けられた少なくとも一つの逃げ穴を介して、湿式化粧料の充填によって加圧された充填空間内の圧力を外部空間に逃がすステップを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【００１１】
第１または第２の発明によれば、供給路から貯留室内に流入した湿式化粧料は、供給路に対して屈曲した貯留室の内壁によって流れが規制され、その流入方向とは異なる方向に導かれる。密な部分から疎な部分に流れるという流体の特性上、流入した湿式化粧料は、大径な貯留室内の疎密を低減する方向で、貯留室内を不規則に流れる。これによって、貯留室全体における湿式化粧料が密な状態に均一化され、この状態で貯留された湿式化粧料が充填口から吐出される。充填口は供給路よりも大径で、かつ、貯留室よりも小径なので、湿式化粧料の吐出が密な均一状態のまま行われる。その結果、伸びの悪いバルクや揮発成分の分離が生じ易いバルク等に対応するために、充填口を大径化した場合であっても、充填空間内に充填された湿式化粧料を密な状態で均一化できる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】湿式化粧料の充填装置の展開斜視図
【図２】充填装置の流路の概略図
【図３】化粧皿のセット工程を示す図
【図４】湿式化粧料の充填工程を示す図
【図５】化粧皿を含む充填空間内における湿式化粧料の拡がり方の説明図
【図６】湿式化粧料の擦切り工程を示す図
【発明を実施するための形態】
【００１３】
図１は、本実施形態に係る湿式化粧料の充填装置の展開斜視図である。この充填装置１は、充填ノズル２と、供給管３とを主体に構成されている。充填ノズル２は、化粧皿を含む充填空間の上部を塞いだ上で、充填空間内に湿式化粧料を充填するとともに、充填された湿式化粧料を擦り切ることによって、湿式化粧料を定量充填する。この充填ノズル２の上部には、ネジやボルトといった締結部材によって固定された取付部材４を介して、供給管３が一体的に取り付けられている。この供給管３は、水平な充填ノズル２に対して垂直方向に延在しており、充填ノズル２の内部に形成された流路と連通している。図示しない充填ポンプ等を用いて圧送された湿式化粧料は、供給管３内の流路（供給路）を介して、充填ノズル２に供給される。
【００１４】
充填ノズル２は、切削加工や穿設加工が施された金属製のプレート部材５〜７を主体に構成されている。上プレート部材５には、流入口５ａと、複数の調整穴５ｂと、複数の取付穴５ｃとが設けられており、これらは上プレート部材５の上下を貫通している。流入口５ａは、供給管３と連通し、かつ、供給管３と同じ流路径を有する。ここで、「流路径」とは、流路の断面積を意味し、流路断面は丸状である必要はない（矩形状等であってもよい）。それぞれの調整穴５ｂは、湿式化粧料が充填される充填空間の上部に位置するように設けられている。これらの調整穴５ｂは、中プレート部材６および下プレート部材７のそれぞれに形成された貫通孔と連通して、湿式化粧料の充填によって加圧された充填空間内の圧力を外部空間に逃がす逃げ穴としての役割を担っている。この逃げ穴としての隙間の広さは、それぞれの調整穴５ｂに圧力調整用のネジ（図示せず）を取り付けることによって、任意に調整することができる。また、取付穴５ｃは、上プレート部材５の四隅に設けられている。
【００１５】
中プレート部材６には、貯留室６ａと、複数の調整穴６ｂと、複数の取付穴６ｃ，６ｄと、流出口６ｅとが設けられており、貯留室６ａ以外は中プレート部材６の上下を貫通している。貯留室６ａは、中プレート部材６の上面を凹状に陥没させることによって形成され、水平方向に延在している。この貯留室６ａの一端は、上プレート部材５の流入口５ａが位置するとともに、その他端には、中プレート部材６の下面に至る流出口６ｅが形成されている。それぞれの調整穴６ｂは、上プレート部材５の調整穴５ｂと位置的に対応しており、調整穴５ｂと同様に逃げ穴としての役割を担っている。また、取付穴６ｃは、中プレート部材６の四隅近傍に設けられており、上プレート部材５の取付穴５ｃと位置的に対応している。また、それぞれの取付穴６ｃの近傍には、取付穴６ｄが設けられている。
【００１６】
下プレート部材７には、充填口７ａと、複数の逃げ穴７ｂと、擦切面７ｃと、複数の取付穴７ｄ，７ｅとが設けられており、これらは下プレート部材７の上下を貫通している。充填口７ａは、中プレート部材６の流出口６ｅと位置的に対応しており、流出口６ｅと同じ流路径を有する。また、それぞれの逃げ穴７ｂは、その上方に位置する調整穴６ｂ，６ｂと位置的に対応しているとともに、それぞれの取付穴７ｄは、その上方に位置する取付穴６ｄと位置的に対応している。また、下プレート部材７の下面の一部は、略直方体状に突出しており、その突出した平坦な面によって擦切面７ｃが形成されている。この擦切面７ｃは、後述する化粧皿を含む充填空間の開口部分よりも広い面積を有しており、充填空間を塞ぐ役割と、充填された湿式化粧料を擦り切る役割とを担っている。充填口７ａは、擦切面７ｃの略中央に位置し、その周囲に複数の逃げ穴７ｂが位置している。充填口７ａおよび逃げ穴７ｂは、湿式化粧料の充填時に、充填空間の開口部分の直上に位置するように配置されている。
【００１７】
充填ノズル２の組み立ては、取付穴６ｄ，７ｄに挿入されたボルト等の締結部材によって、中プレート部材６と下プレート部材７とを締結した後、取付穴５ｃ，６ｃに挿入された締結部材によって、上プレート部材５と中プレート部材６と締結することによって行われる。充填ノズル２が組み立てられた状態において、貯留室６ａの一端は、流入口５ａと対向するとともに、その他端は、流出口６ｅを介して充填口７ａと対向する。なお、充填ノズル２は、下プレート部材７の取付穴７ｅに挿入された締結部材によって、図示しない昇降機の可動部位に締結され、これによって充填ノズル２が昇降制御される。
【００１８】
図２は、充填装置１における湿式化粧料の流路の概略図である。水平方向に延在する貯留室６ａは、垂直方向に延在する供給管３に対して屈曲して連通しているとともに、垂直方向に延在する充填口７ａに対しても屈曲して連通している。上述した充填ノズル２の構造から明らかなように、本実施形態では、供給管３および充填口７ａのそれぞれが貯留室６ａに対して直角に屈曲しているが、直角である必要性は必ずしもなく、供給管３の延在方向とは異なっていれば足りる。また、これらの流路３，６ａ，７ａの流路径（流路の断面積）は、供給管３の流路径をＳ１、貯留室６ａの流路径をＳ２、充填口７ａの流路径をＳ３とすると、Ｓ１＜Ｓ３＜Ｓ２の関係になっている。
【００１９】
このような流路３，６ａ，７ａの屈曲構造および流路径の関係より、充填ポンプ等によって圧送された湿式化粧料は以下のような挙動で流路内を流れる。まず、供給管３を下方に流れた湿式化粧料は貯留室６ａに流れ込む。その際、供給管３に対して貯留室６ａが屈曲しているので、流れ込んだ湿式化粧料は、供給管３の正面に位置する貯留室６ａの内壁によって、その方向での流れが規制され、流れる方向が変化する。そして、供給管３の流路径Ｓ１よりも大きな流路径Ｓ２を有する貯留室６ａ内を充填口７ａに向かって流れる。ここで、湿式化粧料を含む流体の一般的な特性として、流体は密な部分から疎な部分に流れることが知られている。このような特性から、貯留室６ａに流れ込んだ湿式化粧料は、その疎密を低減して密度を均一化する方向で、貯留室６ａ内を不規則に流れる。これによって、貯留室６ａの流路径Ｓ２が供給管３の流路径Ｓ１より大きくても、貯留室６ａ全体における湿式化粧料が密な状態に均一化される。
【００２０】
その後、貯留室６ａ内に一時的に貯留された湿式化粧料は、上流における流路内の加圧によって、充填口７ａから吐出される。その際、充填口７ａの流路径Ｓ３は貯留室６ａの流路径Ｓ２よりも小さいので、湿式化粧料の密な均一状態を損なうことなく、そのまま充填口７ａから吐出される。その結果、伸びの悪いバルクや揮発成分の分離が生じ易いバルク等に対応するために、充填口７ａを大径化（Ｓ３＞Ｓ１）した場合であっても、充填圧力をあまり高めることなく、充填空間内に充填された湿式化粧料を密な状態で均一化できる。
【００２１】
つぎに、上述した充填装置１を用いた湿式化粧料の充填方法を図３から図６を参照しつつ説明する。湿式化粧料は、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった粉末固形メイクアップ化粧料のうち、スラリー（化粧料の流動体）中の揮発成分を吸収・乾燥させて固化したものである。スラリーとしては、化粧料基材と、エタノール、水、流動パラフィン、イソパラフィン、イソプロピルアルコール等の揮発性溶剤とを混合したものが用いられる。湿式化粧料は、乾式化粧料と比べて粒子密度が疎であることに起因して、しっとりサラサラにした使用感が得られるという特性がある。
【００２２】
まず、図３に示すように、収容部８の収容空間に化粧皿９が収容され、これが充填ノズル２の直下にセットされる。化粧皿９を含む収容空間が湿式化粧料の充填空間となる。なお、収容部８の上面は化粧皿９の上縁部よりも高くなっているが、その理由は、後に行われるプレスによって湿式化粧料の高さが減少する分を予め見越しているからである。
【００２３】
つぎに、図４に示すように、昇降機によって充填ノズル２を下降させて、擦切面７ｃを収容部８の上面に接触させる。これによって、充填空間の上部が擦切面７ｃによって塞がれる。そして、この状態で、充填ノズル２の充填口７ａから流動性を有する湿式化粧料（吐出物）が吐出され、充填空間内に湿式化粧料が充填される。上述したように、充填口７ａからの吐出は、貯留室６ａ内に貯留された湿式化粧料が密な均一状態のままで行われる。なお、湿式化粧料の充填にともない充填空間が加圧されるが、擦切面７ｃに設けられた逃げ穴７ｂと、これと連通した調整穴５ｂ，６ｂとを介して、充填空間内部の圧力が外部空間に逃がされる。
【００２４】
図５は、化粧皿９を含む充填空間内における湿式化粧料（充填物）の拡がり方の説明図であり、同図（ａ）は、本実施形態のように大径な充填口７ａ（流路径＝Ｓ３）、同図（ｂ）は、比較例として小径な充填口７ａ（流路径＝Ｓ１）をそれぞれ示す。両者の比較から明らかなように、大径な充填口７ａの方が、充填口７ａの外周から化粧皿９の外枠に至るまでの距離、換言すれば、充填された湿式化粧料が充填空間の隅々まで行き渡るのに必要な距離が短くなる。それとともに、大径な充填口７ａの方が、湿式化粧料が充填空間の隅々まで行き渡るのに必要な充填圧力や充填時間も少なくて済む。したがって、充填口７ａの大径化は、湿式化粧料の均一充填を行う上で好ましい。このことは、充填対象となる湿式化粧料が、伸びの悪い特性や加圧によって揮発成分が分離し易い特性を有する場合において、特に有利である。
【００２５】
そして、湿式化粧料の充填終了後、図６に示すように、充填ノズル２に対して化粧皿９を相対的に変位させる。これによって、充填空間内に充填された湿式化粧料が擦切面７ｃによって擦り切られ、湿式化粧料が定量充填される。最後に、充填ノズル２を上昇させることによって、一連の充填工程が終了する。その後、湿式化粧料のプレス工程および乾燥工程を経て、製品としての湿式化粧料が完成する。
【００２６】
このように、本実施形態によれば、供給管３に対して貯留室６ａを屈曲させることで、供給管３よりも流路径が大きな貯留室６ａ内に貯留される湿式化粧料を密な状態で均一化できる。そして、貯留室内に貯留された湿式化粧料を貯留室６ａよりも流路径が小さな充填口７ａから吐出することで、湿式化粧料の吐出を密な均一状態のまま行うことができる。その結果、伸びの悪いバルクや揮発成分の分離が生じ易いバルク等に対応するために、充填口７ａを大径化した場合であっても、充填空間内に充填された湿式化粧料を密な状態で均一化できる。
【００２７】
なお、上述した実施形態では、単色の湿式化粧料の充填について説明したが、本発明は、湿式化粧料を多色化した場合であっても同様に適用可能である。多色化粧料に適用する場合には、処方の異なる化粧料毎に流路を独立させ、それぞれの流路に上述したような屈曲した貯留室６ａを設ければよい。これにより、湿式化粧料の充填圧力を抑えることで、湿式化粧料に含まれる揮発成分が加圧によって分離してしまうことを抑制できるので、色混ざりや色境界の乱れといった外観不良の発生を有効に防止できる。
【００２８】
さらに、上述した実施形態では、充填空間を塞がれた状態で上方より湿式化粧料を充填するフロント充填について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、塞がれた充填空間内に化粧皿底部の貫通孔より湿式化粧料を充填するバック充填や、塞がれた充填空間の側壁または化粧皿側部の貫通孔より湿式化粧料を充填するサイド充填等にも適用することも可能である。ただし、化粧皿に貫通孔を設けるこれらの手法では、貫通孔からの湿式化粧料の漏れを防止するという観点から、貫通孔をあまり大きくできないという制約を伴う点に留意されたい。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
以上のように、本発明に係る湿式化粧料の充填装置および製造方法は、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった様々な湿式化粧料に広く適用できるが、特に、伸びの悪いバルクや加圧によって揮発成分が分離し易いバルクといったように、充填条件がシビアな処方に対して有効である。
【符号の説明】
【００３０】
１ 充填装置
２ 充填ノズル
３ 供給管
４ 取付部材
５ 上プレート部材
６ 中プレート部材
７ 下プレート部材
８ 収容部
９ 化粧皿
【特許請求の範囲】
【請求項１】
湿式化粧料を化粧皿内に充填する湿式化粧料の充填装置において、
湿式化粧料が供給される供給路と、
前記供給路に対して屈曲して連通し、前記供給路の流路径よりも大きな流路径を有し、かつ、前記供給路から供給された湿式化粧料を貯留する貯留室と、
前記供給路の流路径よりも大きく、かつ、前記貯留室の流路径よりも小さな流路径を有するとともに、前記貯留室内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、前記化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する充填口と
を有することを特徴とする湿式化粧料の充填装置。
【請求項２】
前記充填空間を塞ぐとともに、前記化粧皿との相対的な変位によって、前記充填空間内に充填された湿式化粧料を擦り切る擦切面をさらに有し、
前記充填口は、前記擦切面に設けられていることを特徴とする請求項１に記載された湿式化粧料の充填装置。
【請求項３】
湿式化粧料の充填によって加圧された前記充填空間の圧力を外部空間に逃がすために、前記擦切面に設けられた少なくとも一つの逃げ穴をさらに有することを特徴とする請求項１または２に記載された湿式化粧料の充填装置。
【請求項４】
湿式化粧料の充填方法において、
供給路に湿式化粧料を供給する第１のステップと、
前記供給路に対して屈曲して連通し、かつ、前記供給路の流路径よりも大きな流路径を有する貯留室内に、前記供給路から供給された湿式化粧料を貯留する第２のステップと、
前記供給路の流路径よりも大きく、かつ、前記貯留室の流路径よりも小さな流路径を有する充填口から、前記貯留室内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、前記化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する第３のステップと
を有することを特徴とする湿式化粧料の充填方法。
【請求項５】
前記第３のステップは、前記充填空間が擦切面によって塞がれた状態で、前記擦切面に設けられた前記充填口から湿式化粧料の充填を行うステップであり、
前記擦切面と、前記化粧皿との相対的な変位によって、前記充填空間内に充填された湿式化粧料を擦り切る第４のステップをさらに有することを特徴とする請求項４に記載された湿式化粧料の充填方法。
【請求項６】
前記第３のステップは、
前記擦切面に設けられた少なくとも一つの逃げ穴を介して、湿式化粧料の充填によって加圧された前記充填空間内の圧力を外部空間に逃がすステップを含むことを特徴とする請求項４または５に記載された湿式化粧料の充填方法。
【請求項１】
湿式化粧料を化粧皿内に充填する湿式化粧料の充填装置において、
湿式化粧料が供給される供給路と、
前記供給路に対して屈曲して連通し、前記供給路の流路径よりも大きな流路径を有し、かつ、前記供給路から供給された湿式化粧料を貯留する貯留室と、
前記供給路の流路径よりも大きく、かつ、前記貯留室の流路径よりも小さな流路径を有するとともに、前記貯留室内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、前記化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する充填口と
を有することを特徴とする湿式化粧料の充填装置。
【請求項２】
前記充填空間を塞ぐとともに、前記化粧皿との相対的な変位によって、前記充填空間内に充填された湿式化粧料を擦り切る擦切面をさらに有し、
前記充填口は、前記擦切面に設けられていることを特徴とする請求項１に記載された湿式化粧料の充填装置。
【請求項３】
湿式化粧料の充填によって加圧された前記充填空間の圧力を外部空間に逃がすために、前記擦切面に設けられた少なくとも一つの逃げ穴をさらに有することを特徴とする請求項１または２に記載された湿式化粧料の充填装置。
【請求項４】
湿式化粧料の充填方法において、
供給路に湿式化粧料を供給する第１のステップと、
前記供給路に対して屈曲して連通し、かつ、前記供給路の流路径よりも大きな流路径を有する貯留室内に、前記供給路から供給された湿式化粧料を貯留する第２のステップと、
前記供給路の流路径よりも大きく、かつ、前記貯留室の流路径よりも小さな流路径を有する充填口から、前記貯留室内に貯留された湿式化粧料を吐出することによって、前記化粧皿を含む充填空間内に湿式化粧料を充填する第３のステップと
を有することを特徴とする湿式化粧料の充填方法。
【請求項５】
前記第３のステップは、前記充填空間が擦切面によって塞がれた状態で、前記擦切面に設けられた前記充填口から湿式化粧料の充填を行うステップであり、
前記擦切面と、前記化粧皿との相対的な変位によって、前記充填空間内に充填された湿式化粧料を擦り切る第４のステップをさらに有することを特徴とする請求項４に記載された湿式化粧料の充填方法。
【請求項６】
前記第３のステップは、
前記擦切面に設けられた少なくとも一つの逃げ穴を介して、湿式化粧料の充填によって加圧された前記充填空間内の圧力を外部空間に逃がすステップを含むことを特徴とする請求項４または５に記載された湿式化粧料の充填方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１２−６８６３（Ｐ２０１２−６８６３Ａ）
【公開日】平成２４年１月１２日（２０１２．１．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１４３６０３（Ｐ２０１０−１４３６０３）
【出願日】平成２２年６月２４日（２０１０．６．２４）
【出願人】（０００１５８７８１）紀伊産業株式会社 (327)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１月１２日（２０１２．１．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年６月２４日（２０１０．６．２４）
【出願人】（０００１５８７８１）紀伊産業株式会社 (327)
【Ｆターム（参考）】
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