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湿式固形化粧料の製造方法および湿式固形化粧料
説明

湿式固形化粧料の製造方法および湿式固形化粧料

【課題】コストアップを抑制しつつ、定量充填性に優れ、かつ、均一な充填密度が得られる新規な湿式固形化粧料の製造方法を提供する。
【解決手段】中皿2を保持するための保持体1に設けられた収容スペース1a内に、中皿2をセットする。つぎに、保持体1によって保持された中皿2の開口部を塞ぐことなく、この開口部上に充填ノズル3を配置する。そして、スラリー状の充填物を充填ノズル3から吐出して、中皿2内に充填物を注入する。最後に、保持体1によって保持された中皿2内の充填物を、その上部を擦り切ることなくプレスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式固形化粧料の製造方法および湿式固形化粧料に係り、特に、中皿の開口部を密閉することなくスラリー状の充填物を充填・プレスする手法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった固形粉末化粧料は、乾式固形化粧料と、湿式固形化粧料とに分類される。後者の化粧料は、化粧料基材と揮発性溶剤とを混合したスラリー状の充填物(流動物)を中皿に充填し、揮発性溶剤を吸収乾燥させて成型したもので、乾式固形化粧料と比べて、しっとりした使用感が得られるといった特徴がある。湿式固形化粧料の製造方法の一つとしてフロント充填が知られているが、一般に、フロント充填では、充填物をプレス成型する際に揮発性溶剤を除去するため、充填量が中皿の体積以下であると、成型後に目減りしてしまい外観が悪くなるといった問題ある。これを改善するために、特許文献1に開示されたフロント充填では、図7に示すように、まず、中皿10を収容した保持体11(ホルダープレート)が充填ノズル12の真下に配置され、充填ノズル12の下端に設けられた平坦な蓋状部13によって、中皿10の開口部が塞がれる(覆い尽くされる)。そして、充填ノズル12より充填物14が吐出され、中皿10の容積を上回る密閉された充填空間内に充填物14が加圧充填される。つぎに、図8に示すように、充填ノズル12の平行移動によって充填空間内の充填物14を擦り切り、充填物14の上面を保持体11の上面に揃えることによって定量性が確保される。最後に、図9に示すように、保持体11の開口部にプレス枠15を嵌め込み、このプレス枠15内のプレスヘッド16を下降させる。これによって、充填空間内の充填物14がプレスされ、中皿10の容積一杯の成型品が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−199616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたフロント充填では、使用する中皿が同一であっても、処方によって化粧料基材の嵩高が異なるので、或いは、目的とする使用感を得るための揮発性溶剤の混合比や適正なプレス圧が異なるので、中皿の容積一杯の成型品を得るためには処方毎に治具(保持体等)を個別に用意しなければならない。このような治具の種類の増大は、製品のコストアップに繋がる。また、充填ノズルの下端に設けられた平坦な蓋状部による擦り切りを行うので、特に粘性の高い充填物の場合には、蓋状部(擦り切り部)に充填物が付着して定量性が得られ難い。さらに、充填空間を密閉した状態で充填を行うので、充填ノズルの直下の充填物に局所的に高負荷がかかってしまう。このため、充填密度の疎密による使用感のバラツキや落下強度(耐衝撃性)の低下を引き起こすこととなる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストアップを抑制しつつ、定量充填性に優れ、かつ、均一な充填密度が得られる新規な湿式固形化粧料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、中皿を保持するための保持体に設けられた収容スペース内に、中皿をセットする第1のステップと、保持体によって保持された中皿の開口部を塞ぐことなく、充填ノズルの下に中皿を配置するとともに、湿式固形化粧料の化粧料基材と、揮発性溶剤とを混合したスラリー状の充填物を充填ノズルから吐出して、中皿内に充填物を注入する第2のステップと、保持体によって保持された中皿内の充填物を、その上部を擦り切ることなくプレスする第3のステップとを有する湿式固形化粧料の製造方法を提供する。
【0007】
ここで、第1の発明において、上記第3のステップは、中皿内の充填物を所定のプレス圧で予備プレスするステップと、予備プレスされた充填物に対して、予備プレスのプレス圧よりも大きなプレス圧で本プレスするステップとを有していてもよい。
【0008】
また、第1の発明において、保持体の上面は、中皿の上端よりも高い位置に存在することが好ましく、保持体における収容スペースの上縁部には、中皿の内側面と面一になるように、収容スペースの内側に向かって突出した突出部が全周に亘って設けられていることが好ましい。この場合、上記第3のステップは、収容スペースの上開口部の形状と略同一のプレス面を有するプレス部材を用いて、中皿内の充填物をプレスするステップであることが望ましい。また、上記第2のステップは、収容スペースの上開口部よりも小さな外径を有する充填ノズルを用いて、中皿内に充填物を注入するステップであることが望ましい。この場合、上記第2のステップは、充填ノズルまたは中皿を動かしながら、中皿内に充填物を注入するステップであってもよい。
【0009】
第2の発明は、中皿を保持するための保持体に設けられ、中皿の高さよりも深さの大きい収容スペース収容スペース内に、中皿をセットする第1のステップと、保持体によって保持された中皿の開口部を塞ぐことなく、充填ノズルの下に中皿を配置するとともに、湿式固形化粧料の化粧料基材と、揮発性溶剤とを混合したスラリー状の充填物を充填ノズルから吐出して、中皿内に充填物を注入する第2のステップと、保持体によって保持された中皿内の充填物を、この充填物の上部を擦り切ることなくプレスする第3のステップとを有する方法によって製造され、中皿の上端と充填物の表面とが面一に成型された湿式固形化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0010】
第1および第2の発明によれば、充填物の擦り切りではなく、充填ノズルからの吐出量の制御を以て、様々な湿式固形化粧料の処方に対応する。すなわち、化粧料基材の嵩高や揮発性溶剤の混合比により、目的とする使用感を得るための適切なプレス圧が異なる場合でも、擦り切りのための治具等を用意する必要がないので、製品のコストアップを有効に抑制することができる。また、充填物の擦り切りを行わないので、これを行う場合と比較して、良好な定量充填性が得られる。さらに、中皿の開口部を塞ぐことなく充填を行うので、均一な充填密度で充填でき、仕上がり品においては均一な硬度が得られ、耐衝撃性に優れた湿式固形化粧料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】セット工程の説明図である。
【図2】保持体の外観斜視図である。
【図3】充填工程の説明図である。
【図4】充填工程の説明図である。
【図5】プレス工程の説明図である。
【図6】プレス工程の説明図である。
【図7】従来の湿式固形化粧料の製造方法の説明図である。
【図8】従来の湿式固形化粧料の製造方法の説明図である。
【図9】従来の湿式固形化粧料の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1から図6を参照しつつ、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった湿式固形化粧料を製造する方法について説明する。まず、図1および図2に示すように、保持体1に設けられた収容スペース1a内に、略矩形皿状の中皿2をセットする。この保持体1は、一連の作業工程において中皿2を適切に保持するために用いられる硬質な部材であり、収容スペース1aの深さは中皿2の高さよりも大きい。
【0013】
収容スペース1aの形状および大きさは、中皿2のそれに対応している。収容スペース1a内に中皿2がセットされている状態において、保持体1の上面1bは、中皿2の上端2aよりも高い位置に存在する。その理由は、後の工程で中皿2内に充填物を注入する際、注入された充填物が単に中皿2外に溢れないようにするためであり、従来技術のように定量性を確保するためではない。また、収容スペース1aの上縁部には、収容スペース1aの内側に向かって突出した突出部1cが全周に亘って設けられている。これにより、収容スペース1aの開口部は段差状に変化しており、上開口部の断面積はそれ以外の部位の断面積よりも小さくなっている。突出部1cの横方向への突出高は、中皿2の厚みと略同一に設定されている。これにより、中皿2がセットされている状態において、突出部1cの先端面と中皿2の内側面2bとが面一になり、収容スペース1aの上開口部と中皿2の開口部とが一致する。
【0014】
つぎに、図3に示すように、中皿2がセットされた保持体1を搬送して、充填ノズル3の下に中皿2を配置する。これにより、中皿2の開口部と、充填ノズル3の先端の吐出口とが対向する。充填ノズル3としては、例えば、流動物を脈動なく定量移送可能なモーノポンプを用いることができる。ここで、充填ノズル3の先端は、収容スペース1aの上開口部よりも小さな外径を有する。これにより、保持体1によって保持された中皿2は、その開口部が塞がれることなく、充填ノズル3と対向することになる。
【0015】
つぎに、図4に示すように、充填ノズル3を下降させる。そして、中皿2の開口部が塞がれていない状態で、湿式固形化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合したスラリー状の充填物を充填ノズル3から所定量を吐出する。これによって、中皿2を含む収容スペース1a内に充填物が注入される。この充填物の注入は、中皿2内における注入密度の均一性を高めるために、充填ノズル3または中皿2を動かしながら行ってもよい。充填物の注入量は処方に応じて予め設定されており、本実施形態では、この注入量によって定量充填性が確保される。所定量の吐出が終了したら、充填ノズル3を上昇させ、これによって充填工程が完了する。なお、この充填工程では、従来技術のように、充填された充填物の擦り切りは行われない。
【0016】
つぎに、図5に示すように、充填工程を経た保持体1を再び搬送して、プレス部材4の下に中皿2を配置する。このプレス部材4には、充填物に含まれている揮発性溶剤を吸引除去するために、上下を貫通する微小な吸引孔が多数形成されている。また、プレス部材4の下面に相当するプレス面の形状および大きさは、収容スペース1aの上開口部(および中皿2の開口部)のそれと略同一である。なお、中皿2とプレス部材4との間には、吸収性の高い紙や不織布等の吸収シート5が介在している。
【0017】
そして、図6に示すように、プレス部材4を処方に応じたプレス圧で押し下げることによって、中皿2に充填された充填物をプレスする。このプレス工程において、充填物より滲み出た揮発性溶剤は、中皿2とプレス部材4の間に介在する吸収シート5によって吸収されるとともに、吸収シート5を介して吸引孔に吸引される。吸引孔に吸引された揮発性溶剤は、図示しないチャンバを経て外部に放出される。なお、充填物からの揮発性溶剤の除去は、吸引孔による吸引ではなく、吸収シートのみで行ってもよい。このプレスは、プレス部材4のプレス面(下面)が中皿2の上端に到達するまで行われ、これによって、中皿の2上端と充填物の表面とが面一に成型される。その後、充填物内の残存揮発成分を乾燥除去することで、湿式固形粉末化粧料の製品(仕上がり品)が完成する。
【0018】
なお、湿式固形化粧料の処方に応じて、予備プレスおよび本プレスといった如く、プレスを複数回行ってもよい。例えば、予備プレスでは、中皿2内の充填物中の空隙を周囲の充填物で満たし、全体を均すことを目的として、比較的低めのプレス圧でプレスし、その後の本プレスでは、予備プレスよりも大きなプレス圧でプレスする。このような複数回のプレスは、湿式固形化粧料固有の問題であるヒビ割れを有効に防止する手法として有効である。
【0019】
このように、本実施形態によれば、中皿2の開口部を塞ぐことなく、中皿2内に充填物を注入するとともに、中皿2内の充填物を擦り切ることなくプレスしている。処方に応じた充填物の注入量は、従来技術のような擦り切りではなく、充填ノズル3による吐出量の制御によって行われる。これにより、化粧料基材の嵩高や揮発性溶剤の混合比により、目的とする使用感を得るための適切なプレス圧が異なる場合でも、擦り切りのための治具等を用意する必要がないので、製品のコストアップを有効に抑制することができる。また、充填物の擦り切りを行わないので、治具等への充填物の付着といった問題が生じないので、良好な定量充填性が得られる。さらに、中皿2の開口部を塞ぐことなく充填を行うので、これを塞いだ場合に生じる充填密度にバラツキが抑制でき、均一な充填密度および硬度を有する仕上がり品を得ることができる。
【0020】
また、本実施形態によれば、収容スペース1aの上縁部に突出部1cを予め形成されているので、プレス工程において、従来技術のようなプレス枠を保持体1の開口部に嵌め入れる必要がない。そのため、プレス枠の下端と中皿の上縁との間に充填物が残存し易いという従来の問題を有効に解消することができる。その結果、残存物に起因した成型品の見栄えの悪化を招くことなく、それを除去するための作業も必要なくなるといった効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように、本発明に係る湿式固形化粧料の製造方法は、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった各種の固形粉末化粧料のうち、流動性を有する湿式のものに対して広く適用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 保持体
1a 収容スペース
1b 上面
1c 突出部
2 中皿
2a 上端
2b 内側面
3 充填ノズル
4 プレス部材
5 吸引シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式固形化粧料の製造方法において、
中皿を保持するための保持体に設けられた収容スペース内に、前記中皿をセットする第1のステップと、
前記保持体によって保持された前記中皿の開口部を塞ぐことなく、充填ノズルの下に中皿を配置するとともに、前記湿式固形化粧料の化粧料基材と、揮発性溶剤とを混合したスラリー状の充填物を前記充填ノズルから吐出して、前記中皿内に充填物を注入する第2のステップと、
前記保持体によって保持された前記中皿内の充填物を、当該充填物の上部を擦り切ることなくプレスする第3のステップと
を有することを特徴とする湿式固形化粧料の製造方法。
【請求項2】
前記第3のステップは、
前記中皿内の充填物を所定のプレス圧で予備プレスするステップと、
前記予備プレスされた充填物に対して、前記予備プレスのプレス圧よりも大きなプレス圧で本プレスするステップと
を有することを特徴とする請求項1に記載された湿式固形化粧料の製造方法。
【請求項3】
前記保持体の上面は、前記中皿の上端よりも高い位置に存在し、
前記保持体における前記収容スペースの上縁部には、前記中皿の内側面と面一になるように、前記収容スペースの内側に向かって突出した突出部が全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載された湿式固形化粧料の製造方法。
【請求項4】
前記第3のステップは、
前記収容スペースの上開口部の形状と略同一のプレス面を有するプレス部材を用いて、前記中皿内の充填物をプレスするステップであることを特徴とする請求項3に記載された湿式固形化粧料の製造方法。
【請求項5】
前記第2のステップは、
前記収容スペースの上開口部よりも小さな外径を有する前記充填ノズルを用いて、前記中皿内に充填物を注入するステップであることを特徴とする請求項4に記載された湿式固形化粧料の製造方法。
【請求項6】
前記第2のステップは、前記充填ノズルまたは前記中皿を動かしながら、前記中皿内に充填物を注入するステップであることを特徴とする請求項5に記載された湿式固形化粧料の製造方法。
【請求項7】
湿式固形化粧料において、
中皿を保持するための保持体に設けられ、中皿の高さよりも深さの大きい収容スペース収容スペース内に、前記中皿をセットする第1のステップと、
前記保持体によって保持された前記中皿の開口部を塞ぐことなく、充填ノズルの下に中皿を配置するとともに、前記湿式固形化粧料の化粧料基材と、揮発性溶剤とを混合したスラリー状の充填物を前記充填ノズルから吐出して、前記中皿内に充填物を注入する第2のステップと、
前記保持体によって保持された前記中皿内の充填物を、当該充填物の上部を擦り切ることなくプレスする第3のステップとを有する方法によって製造され、
前記中皿の上端と前記充填物の表面とが面一に成型された湿式固形化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−260835(P2010−260835A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114367(P2009−114367)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】