説明

湿式媒体撹拌ミル

【課題】媒体ビーズの偏りによる分散不足やビーズパッキング現象、ビーズと液状原料の分離を防止しつつ、機内の温度上昇を抑えて安定的な運転を可能とする。
【解決手段】湿式媒体撹拌ミル1は、ベッセル11と、回転軸18及び回転ローター34を有する。回転ローター34は、ベッセル11底部に配置され、ペグ47を有する。ベッセル内壁11aには、ペグ47に対向してペグ48が設けられている。回転ローター34の上方には、分級羽根31が配置されている。回転ローター34とベッセル内壁11aの間には粉砕室35が、分級羽根31とベッセル内壁11aの間には分級室32が形成される。ベッセル11下方から液状原料2を供給し、粉砕室35にて液状原料2の粉砕、分散を行う。液状原料2と媒体ビーズ3は、分級羽根31の遠心力によって押し戻されつつ、粉砕室35に長時間滞留し粉砕、分散される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種インク等の液状原料をミクロンからナノサイズの微粒子に粉砕、分散するために使用する、湿式媒体撹拌ミル(「ビーズミル」ともいう)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種インクや重合法トナー、塗料、顔料、感光剤、液晶カラーフィルター、電子材料、カーボンナノチューブ、各種植物用細胞、金属粉、無機物、有機物などの各液状原料の粉砕、分散には、回転ローター等を用いた湿式の媒体撹拌ミルが用いられている。媒体撹拌ミルでは、回転ローターとそれに対向するベッセル(ステーター)にペグを植えたり、ローターやステーターの表面に凹凸をつけたりすることにより、あるいは、撹拌ディスクを設けたりすることにより、各種液状原料をミクロンサイズやナノサイズの粒子に粉砕、分散している。
【0003】
このような媒体撹拌ミルは、ローター・ステーター間など、原料液が流れる空間にジルコニアビーズ等の媒体ビーズを供給し、この媒体ビーズにより、被処理原料粒子にずり応力や剪断力を与えて原料の粉砕、分散を行う。この場合、原料液の流通空間には媒体ビーズが60〜90%の容積比率で供給され、流通空間内に供給された媒体ビーズは、ローター動作に伴って複雑な動きを示す。そして、流動する媒体ビーズ間を液状原料が通過するとき、被処理原料粒子にずり応力等が加わり、原料が粉砕、分散される。
【0004】
近年、電子材料を中心にして、原料をナノサイズまで粉砕または分散する要求が多くなっている。そのため、媒体撹拌ミルに使用される媒体ビーズも0.3mm以下の大きさものが多くなり、特に、0.1mm以下の微細媒体ビーズの使用が増加している。このような微細媒体ビーズを使用すると、液状原料と媒体ビーズの接触頻度が飛躍的に高くなり、余り強力でない、つまりマイルドな、ずり応力、剪断力によっても、ナノサイズまでの粉砕、分散が可能となる。
【0005】
一方、微細媒体ビーズを使う場合には、媒体撹拌ミルが持っている昔からの課題の解決が、より確実に求められる。つまり、媒体撹拌ミルでは、媒体ビーズが機械内部に容積比率で60〜90%も滞在し、液状原料の流れに同伴して移動するため、(1)媒体ビーズの偏りによる分散不足や、(2)ビーズパッキング現象、(3)ビーズと液状原料の分離、という3つの課題が従来より存在している。そして、微細媒体ビーズを用いた媒体撹拌ミルには、これらの課題をより確実に解決することが求められている。
【0006】
ここで、前述の(1),(2)の課題については、例えば、特許文献1のように、ベッセルの内径Uと長さL、による(L/U)比率を小さくすることにより、ビーズの偏りによるビーズパッキング現象や、分散性が不安定化する現象を防ぐ構成が提案されている。ここでは、ビーズパッキング現象等を防ぐと同時に、液状原料が機内を循環するような機構を設けることにより、液状原料のショートパスを防ぎ、分散性を確実にする方法が取られている。
【0007】
次に、(3)の課題については、特許文献2のように、円盤同士を対向させると共に、一方を回転側、他方を固定側として、液状の原料により生じる流体境膜の影響を減少させた微小ギャップスクリーンを採用した構成や、特許文献3のように、スクリーンそのものを廃止し、遠心分離機構により、媒体ビーズのみを液状原料から分離して排出させる方法などが提案されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−346667号公報
【特許文献2】特開平10−05563号公報
【特許文献3】特開2006−247557号公報
【特許文献4】特開2006−320898号公報
【特許文献5】特開2008−183518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記(1),(2)の課題を解決するために、ベッセル内部において液状原料を確実に循環させるためには、特許文献4,5のように、ベッセルの構造や回転ローターの機構が複雑化するという問題があった。また、液状原料が機内を循環する装置では、原料が循環することにより、媒体ビーズ自体も循環し、ベッセル表面と媒体ビーズ、回転ローター表面と媒体ビーズの接触回数が増大する。このため、ベッセル表面と媒体ビーズとの間の相対速度も増大し、媒体撹拌ミルの欠点である、媒体ビーズの摩耗によるコンタミが生じるおそれがあるという問題があった。
【0010】
一方、(3)の課題に関し、対向円盤を用いた装置では、0.1mmの媒体ビーズを想定した場合、回転円盤と固定円盤による微小ギャップスクリーンのギャップ(間隙)を30ミクロンから50ミクロンに設定する必要がある。このため、円盤や装置各部の工作精度や組立精度として非常に高い水準が求められ、装置コストが増大するという問題があった。また、液状原料の通過量を確保し、機内の圧力上昇を防ぐため、ギャップスクリーンの通過断面積を増やすと共にスクリーンを多段に設ける場合があるが、この場合、ますます工作精度と組立精度に高い水準が求められる。
【0011】
また、遠心分離機構を設けた装置では、回転羽根によって比重の大きい媒体ビーズを遠心力で飛ばし、液状原料は遠心力に逆らって、流れて排出される方式が一般的である。しかしながら、この方式を採用すると、0.1mm以下の微細な媒体ビーズを100%確実に分離できず、僅かな量のビーズが製品に混入される場合が多々ある。特に、粘性が少々高くなると、遠心分離機能が低下して、排出原料に媒体ビーズが混入する。粉砕・分散等を行った後の最終製品は、1個の媒体ビーズが混入することも許容されないが、このように排出原料に媒体ビーズが混入するおそれがある場合、再度、排出された製品から媒体ビーズを分離する工程が必要となる。このため、媒体撹拌ミルの他に、媒体ビーズを確実に分離する設備がさらに必要となるという問題もあった。
【0012】
本発明の目的は、(1)〜(3)の上記3つの課題を解決しつつ、機内の温度上昇を抑えて安定的な運転を可能とし、0.1mm以下の微細ビーズにも対応可能な湿式媒体撹拌ミルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の湿式媒体撹拌ミルは、有底円筒形状に形成され、内部に媒体ビーズと液状原料が収容されるベッセルと、前記ベッセル上方より該ベッセル内に延伸し、垂直方向に延びる回転軸と、前記回転軸に取り付けられ、前記ベッセル内に配置される回転ローターと、を有する湿式媒体撹拌ミルであって、前記ベッセルは、その下端部に、該ベッセル内部と連通し、前記液状原料が供給される原料供給口を有し、前記回転ローターは、前記ベッセル底部の前記原料供給口上方に配置され、その外周には径方向に向かって突出する複数個のペグを有し、前記ベッセルの内壁には、前記回転ローターの前記ペグに対向して配置され径方向に向かって突出する複数個のペグが設けられ、前記ベッセル内の前記回転ローターの上方には、前記回転ローターと共に回転する分級羽根が配置され、該分級羽根は、垂直方向に延びる複数個の羽根と、該羽根の内側に形成された環状空間を有し、前記回転ローターと前記内壁の間に、前記ペグにより、前記媒体ビーズと前記液状原料が混合され、前記液状原料が粉砕及び/又は分散される粉砕室を形成すると共に、前記分級羽根と前記ベッセルの内壁の間に、該回転羽根の回転に伴う遠心力により、前記媒体ビーズが前記液状原料と分離されて流入する分級室を形成したことを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、湿式媒体撹拌ミルのベッセル下方から液状原料を供給し、ベッセル下方に配置した粉砕室にて媒体ビーズと液状原料を混合し、液状原料の粉砕、分散を行う。粉砕室の液状原料と媒体ビーズは、分級羽根の遠心力によって押し戻されつつ、粉砕室に滞留し粉砕、分散される。粉砕室から上昇した液状原料と媒体ビーズは、分級羽根によって液状原料と媒体ビーズに分離され、媒体ビーズは分級室に導入される。
【0015】
前記撹拌媒体ミルにおいて、前記回転ローター外周に取り付けた前記ペグと前記ベッセルに取り付けたペグを、互いに干渉しないように軸方向にずらして交互に配置し、前記回転ローター側の前記ペグ先端の円周軌跡が、前記ベッセル側の前記ペグ先端の内周円内に入るようにしても良い。この場合、前記回転ローター側の前記ペグ先端の円周軌跡と、前記ベッセル側の前記ペグ先端の内周円との重合幅を、前記ベッセル内径に対して、2.5〜6.0%の範囲に設定しても良い。
【0016】
前記分級羽根の上方に前記環状空間と連通する上部空間を形成し、前記上部空間を、前記液状原料は通過するが前記媒体ビーズは通過し得ないスクリーンによって、前記環状空間と直接連通する内部空間と、原料排出口と連通する外部空間に隔離しても良い。この場合、前記ベッセル上部に、上方に向かって突出する円筒部を備えた上部ヘッドを載置し、円筒形状に形成した前記スクリーンを前記円筒部に配置し、前記円筒部内を前記内部空間と前記外部空間に区画し、前記円筒部の内側に位置する前記内部空間から、前記円筒部の外周側に位置する前記外部空間に向かって前記液状原料を流通させ、前記原料排出口から当該湿式媒体撹拌ミル外へ排出させるようにしても良い。また、前記円筒部に、前記回転軸を気密状態で上下方向に貫通させても良い。さらに、前記回転軸内に冷媒が流通する冷媒通路を設けると共に、前記回転ローター内に前記冷媒通路と連通する冷媒室を設け、前記冷媒室に対し前記冷媒通路を介して冷媒を供給するようにしても良い。特に、前記上部ヘッドの前記円筒部に、前記回転軸を気密状態で上下方向に貫通させることにより、前記回転軸内に冷媒通路を設けることが容易となる。
【0017】
一方、前記粉砕室における前記ベッセルの内径Uと、前記回転ローターの外径dの比(d/U)を0.4≦(d/U)≦0.6に設定しても良い。また、前記分級羽根の外径Gと、前記回転ローターの外径dと、前記回転ローターの前記ペグ先端の回転直径Dの関係を、D>G>dに設定しても良い。さらに、前記分級羽根の軸方向高さHと、前記回転ローターの軸方向長さLとの関係を1.0L≧H≧0.9Lに設定しても良い。発明者らの実験によれば、H/Lを0.9〜1.0に設定すると、液状原料の排出量や消費電力を安定的に維持できるが、H/Lを0.7に設定すると、流量が不安定となり、ビーズパッキング現象が生じやすく、消費動力も不安定となる。
【発明の効果】
【0018】
湿式媒体撹拌ミルのベッセル下方から液状原料を供給し、ベッセル下方にペグを用いた粉砕室を配置し、その上方に分級羽根を用いた分級室を配置したので、液状原料と媒体ビーズを分級羽根の遠心力によって押し戻しつつ粉砕室に滞留させることが可能となる。このため、媒体ビーズがベッセル内で過剰に移動せず、また、液状原料のベッセル内の滞留時間も長くなるため、液状原料の粉砕、分散効果を向上させつつ、媒体ビーズの摩耗も抑えられる。
【0019】
また、分級室に分級羽根を設け、その上方にスクリーンを設けることにより、スクリーンにおけるビーズ分離負荷を軽減しつつ、媒体ビーズを分級室とスクリーンの二段階にて液状原料から分離できるので、ビーズパッキング現象を抑えつつ、媒体ビーズを確実に分離することが可能となる。さらに、回転軸内に冷媒通路を設けて回転ローターを冷却することにより、機内の温度上昇を抑えることができ、温度条件に敏感な原料の処理も容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態である媒体撹拌ミルの断面構成を示す説明図である。
【図2】本発明の媒体撹拌ミルの一使用形態を示す概略説明図である。
【図3】図1に示す媒体撹拌ミルのA−A線に沿った断面図である。
【図4】図1に示す媒体撹拌ミルのB−B線に沿った断面図である。
【図5】図1に示す媒体撹拌ミルのC−C線に沿った断面図である。
【図6】分級羽根高さH=90(H/L=0.9)の試験機において、回転ローターの内部を冷却した場合と、行わない場合との比較試験結果を示すグラフである。
【図7】電動機容量5.5kwの試験機において、分級羽根外径Gの影響を調べた試験結果を示すグラフである。
【図8】本発明の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である媒体撹拌ミル1(以下、適宜、ミル1と略記する)の全体構成を示す説明図であり、当該ミルの断面構成を示している。また、図2は、本発明によるミル1の使用形態を示す概略説明図である。媒体撹拌ミル1はいわゆる湿式の撹拌ミルであり、ミル1内では、液状原料2と媒体ビーズ3が混合され、スラリー状となった両者の混合物が撹拌処理される。そして、媒体ビーズ3によるずり応力や剪断力によって、ミル1内の液状原料2がミクロンオーダーやナノオーダーの微細粒子に粉砕・分散される。
【0022】
図2に示すように、液状原料2は原料液タンク4に貯留されており、このタンク4内に滞留しながら撹拌機5によって常時撹拌されている。原料液タンク4内の液状原料2は、定量ポンプ6の吸引作用を受けてタンク4の下部から排出され、供給配管7を介して媒体撹拌ミル1に供給される。一方、媒体撹拌ミル1内にて粉砕、分散された液状原料2は、リターン配管8を介して、媒体撹拌ミル1から原料液タンク4に戻される。液状原料2は、原料液タンク4と媒体撹拌ミル1の間の循環を繰り返し、媒体撹拌ミル1にて何度も粉砕・分散作用を受けて、所望の製品となる。
【0023】
媒体撹拌ミル1は、液状原料2が供給され、媒体ビーズ3によって粉砕・分散処理が行われるベッセル11を備えている。ベッセル11は、底部が円錐台形となった円筒形状となっており、内部には媒体ビーズ3が収容されている。ベッセル11の底部中央には、液状原料2の原料供給口12が設けられており、供給配管7と接続されている。ベッセル11の上端側にはフランジ13が取り付けられており、フランジ13上には、円板状の上部ヘッド14が取り付けられている。上部ヘッド14の中央部には、円筒部15が上方に向かって突出形成されている。円筒部15の上端には、メカニカルシール16が取り付けられている。
【0024】
円筒部15とメカニカルシール16の中央には軸孔17が開口しており、この軸孔17には、回転軸18が取り付けられている。回転軸18は、軸受19によって、軸受筒20に回転自在に支持されている。軸受筒20は、ブラケット21によって適宜保持される。回転軸18は中空状となっており、中央部には軸孔22が長手方向(図中上下方向)に沿って貫通形成されている。軸孔22には、冷媒通路として冷却水管23が挿入されている。回転軸18の上端部は、図示しない回転継手を経由して外部の固定管に接続されており、冷却水等の冷媒24が冷却水管23に供給される。軸孔22と冷却水管23との間は空隙となっており、冷媒24のリターン流路25となっている。すなわち、回転軸18の内部は二重管構造となっており、冷却水管23によって供給された冷媒24がリターン流路25から排出されるようになっている。
【0025】
ベッセル11の側壁もまた、ベッセル冷却用に二重構造となっている。ベッセル11の外側には円筒状のジャケット26が取り付けられており、ジャケット26の内側には、冷却水等の冷媒が流通する冷媒流路27が形成されている。ジャケット26には、冷媒流路27に冷媒を供給する冷媒供給口28と、冷媒流路27から冷媒を排出する冷媒排出口29が設けられている。冷媒供給口28と冷媒排出口29は、図示しない冷媒供給系と接続されている。冷媒供給系から冷媒流路27に適宜冷却水等を供給することにより、ベッセル11は所望の温度条件にコントロールされる。
【0026】
回転軸18の下部には、分級羽根31が取り付けられている。図1に示すように、分級羽根31の外側には、ベッセル11の内壁11aとの間に分級室32が形成される。分級羽根31は、シロッコファン状の多翼ファンであり、図1,4に示すように、円形の底板上に、複数の羽根33を立設した構成となっている。回転軸18の下端部にはさらに、円筒形状の回転ローター34が取り付けられている。図1に示すように、回転ローター34の外側には、ベッセル11の内壁11aとの間に粉砕室35が形成される。つまり、当該ミル1では、ベッセル11内の上部に分級室32、下部に粉砕室35がそれぞれ形成されている。
【0027】
分級羽根31の中央ボス部とメカニカルシール16の下端部との間には、円筒状のディスタンスカラー41が取り付けられている。ディスタンスカラー41は、回転軸18に外挿された形で配されている。回転軸18の下端部は中空状となっており、軸孔42が形成されている。軸孔42内には、上方から冷却水管23が延伸しており、下端と上端にはそれぞれ、連通孔44,45が設けられている。軸孔42には、冷却水管23から冷媒24が流入する。冷媒24は、連通孔44から回転ローター34内の冷媒室46に流入・充満し、回転ローター34を冷却する。冷媒室46内の冷媒24は、連通孔45から軸孔42に入り、リターン流路25を介して、装置外に排出される。
【0028】
回転ローター34の外周部には、複数のペグ47が埋め込まれており、径方向に突出している。これに対し、回転ローター34に対向するベッセル11の内壁11aにも、複数個のペグ48が径方向に突設されている。図3に示すように、回転ローター34側のペグ47とベッセル11側のペグ48は、互いに干渉しないように、軸方向にずらして交互に配置されている。ペグ47先端の回転直径(ペグ47先端径)Dは、ペグ48の先端内径Pよりも若干小さくなっており、ペグ47の円周軌跡が、ペグ48先端の内周円内に入るように配置されている。つまり、両ペグ47,48は、その先端部同士が軸方向に僅かに重なり合う状態となっている。ミル1では、ベッセル11の内径U(約180mm)に対し、この重合幅は約2.5〜6.0%程度に設定されている。
【0029】
回転ローター34側とベッセル11側の両ペグ47,48は、両者が重なり合わないと、ペグによる粉砕・分散作用が不十分となる。その一方、両者の重合幅が大き過ぎると、液状原料2と媒体ビーズ3が過剰に接触し、媒体ビーズの摩耗によるコンタミが生じるおそれがある。そこで、本発明の発明者らは、試行錯誤の結果、上記の範囲内の重合幅に設定すると、ペグによる粉砕・分散作用とビーズ摩耗抑制のバランスが最も良いことを把握し、当該ミル1においても上記範囲に寸法を設定した。
【0030】
また、回転ローター34のローター外径dとベッセル11の内径Uとの比(d/U)は、0.4〜0.5の範囲に構成されている。さらに、ペグ47先端径Dとローター外径dは、分級羽根31の外径Gに対し、D≧G≫dの関係が成り立つように構成されている。加えて、回転ローター34の高さLは、分級羽根31の高さHに対し、H=L、若しくは、H≧0.9×Lの関係となるように構築されている。
【0031】
一方、図1に示すように、分級羽根31の内部と回転軸18の間には、比較的広い環状空間49が形成されている。上部ヘッド14の円筒部15の内部には上部空間51が形成されており、環状空間49はこの上部空間51と連通している。円筒部15の内部には、円筒状のスクリーン52が取り付けられており、上部空間51は、スクリーン52によって、内部空間51aと外部空間51bに隔離されている。円筒部15には、径方向に沿って原料排出口53が形成されており、原料排出口53は外部空間51bに連通している。
【0032】
スクリーン52には、一般にウェッジワイヤーと言われる断面三角形状のワイヤーを円筒状に巻いたスクリーンが採用される。また、多孔質発泡金属板や、焼結金属板を使って、板厚の薄いもので高い開口率(70〜80%)のスクリーンを採用することも可能である。このようなスクリーンを採用することにより、スクリーン部分での圧力損失を低く抑えることができ、液状原料を支障なく通過させ、微細な100ミクロン以下の媒体ビーズをスクリーン部分にて分離することも可能となる。
【0033】
次に、本発明によるミル1による粉砕、分散処理について説明する。当該ミル1の処理対象となる液状原料2は、前述のように、各種インクや重合法トナー、塗料等が挙げられる。また、媒体ビーズ3には、ジルコニア等のセラミックや、ガラス、金属などの球状の粉砕媒体が使用される。ここではまず、原料液タンク4から、供給配管7を介して液状原料2が媒体撹拌ミル1に供給される。液状原料2は、原料供給口12からベッセル11内に供給される。ベッセル11内には媒体ビーズ3が貯留されており、液状原料2は、ベッセル11内にて媒体ビーズ3と混合される。
【0034】
ベッセル11内では、液状原料2はまず粉砕室35に導入され、粉砕室35の下方中心部から、回転ローター34の外周に均一に分散されながら上昇していく。ここで、粉砕室35では、ペグ47,48の動きに同伴して、媒体ビーズ3が回転ローター34の周りを回転しつつ、ペグの作用によりランダムに回転し、その動きが過剰に規制されることなく、ベッセル11と回転ローター34の空間に滞留している。すなわち、ミル1では、ベッセル11に循環経路がなく、媒体ビーズ3は回転ローター34に同伴されて移動し、粉砕、分散作用を発揮する。よって、媒体ビーズ3は、粉砕室35内を軸方向に上下に移動循環することがなく、滞留して粉砕・分散処理に当たる。従って、媒体ビーズ3と、回転ローター34、ベッセル11及びペグ47,48との間の過剰な接触機会がなくなり、媒体ビーズ3の過剰摩耗が抑えられる。
【0035】
このように、媒体ビーズ3が粉砕室35に滞留した状態で原料供給口12から液状原料2を投入すると、回転ローター34とベッセル11の間の円筒状空間を液状原料2が均等に分散されながら上昇する。その際、液状原料2は、媒体ビーズ3同士の間を抜け、同時に剪断力とズリ応力が均一に与えられる。これにより、液状原料2は、短時間に均一に分散し、粉砕が進行する。その際、ミル1では、粉砕室35内における媒体ビーズ3の流動空間が大きい一方で、媒体ビーズ3が過剰に運動しないため、媒体ビーズ3の運動エネルギーが液状原料2に効率良く伝達される。このため、多量の媒体ビーズ3自体が疑似一体化した半固形物のような状態になり、回転ローター34に過剰なトルクが加わるいわゆるビーズパッキン現象が生じるのを抑えることができる。
【0036】
粉砕室35内にて、粉砕・分散された液状原料2は、ベッセル11内を上昇し、分級室32に流入しようとする。ところが、分級室32では、分級羽根31の回転作用による遠心力効果により、液状原料2と媒体ビーズ3は、粉砕室35側に押し戻され、粉砕室35にて更なる粉砕・分散処理を受ける。そして、粉砕室35にて充分な滞在時間を経過した後、液状原料2は、分級羽根31を抜けて環状空間49に導入される。このように、本発明のミル1では、分級羽根31によって発生する遠心力作用により、回転ローター34とベッセル11の間の円筒状粉砕空間に液状原料2が滞在する時間を長くすることが可能となる。
【0037】
環状空間49に導入された液状原料2と媒体ビーズ3のうち媒体ビーズ3は、分級羽根31の遠心力作用により、分級室32側に押し出される。一方、液状原料2は、環状空間49から回転軸18に沿って上昇し、上部ヘッド14の内側に円筒状に取り付けられているスクリーン52に到達する。この場合、ミル1では、分級羽根31の遠心力を充分働かせるために、羽根内部の環状空間49から充分な距離を置いたところにスクリーン52を設けている。これにより、媒体ビーズ3が分級羽根31により効果的に分離され、スクリーン52の表面には媒体ビーズ3が近接しにくくなる。つまり、スクリーンが分級羽根の内側近傍に存在すると、スクリーンの抵抗による流速増加が生じ、分級羽根の遠心力が影響を受けるため、ミル1では、スクリーン52を分級羽根31から距離を離して配置している。その結果、多くの媒体ビーズ3は、分級羽根31の遠心力作用により、分級室32側に押し出され粉砕室35側に戻される。但し、液状原料2の粘性が比較的高い場合には、粘性原料に同伴されて、媒体ビーズ3が環状空間49から内部空間51aに流入する場合がある。しかしながら、かかる場合も、スクリーン52によって媒体ビーズ3は完全に分離され、液状原料2に混入して機外に排出されることはない。
【0038】
スクリーン52に到達した液状原料2は、ここで媒体ビーズ3を完全に分離し、スクリーン52外側の外部空間51bに流入する。このように、当該ミル1では、媒体ビーズ3を分級羽根31によって分離した後、さらに、スクリーン52によって液状原料2と媒体ビーズ3を完全に分離する。その際、スクリーン52には、分級羽根31によって多くの媒体ビーズ3を分離した状態の液状原料2が流入する。このため、スクリーン52における媒体ビーズ3の分離負荷が軽減され、スクリーン部分に媒体ビーズ3が溜まり、ビーズパッキング現象が生じてしまうのを抑えることが可能となる。また、媒体ビーズ3を、分級羽根31とスクリーン52の二段構えにて分離するため、例えば、0.1mm以下の微細ビーズも、ビーズパッキングを抑えつつ確実に分離でき、装置の汎用性向上が図られる。
【0039】
ベッセル11内で充分に粉砕・分散作用を受け、かつ、媒体ビーズ3が完全に分離された液状原料2は、外部空間51bから、原料排出口53を介して機外に排出される。原料排出口53から排出された液状原料2は、リターン配管8を介して原料液タンク4に戻される。原料液タンク4に戻った液状原料2は、改めて供給配管7を介して媒体撹拌ミル1に供給され、繰り返し粉砕・分散処理が行われ、所望の粒径等を持つ製品が製造される。
【0040】
このように、当該ミル1では、粉砕室35に移動循環通路を設けず、分級羽根31の遠心力作用により、液状原料2を粉砕室35に長時間滞留させる構成としたので、ベッセル11内では、液状原料2は粉砕分散作用をほぼ常時に受けている状態となる。従って、未粉砕物が原料排出口53から出ていく確率が減少し、液状原料2の循環回数を減少させ、より短い時間で目的の粉砕または分散物を得ることが可能となる。これに対し、従来の循環型媒体撹拌ミルでは、多量の液状原料をミル内に投入し、目的の粒度または分散度を得るために、機械内部に循環機構を設け、液状原料を粉砕室部分に複数回通過させた後、排出する方式を取るため、装置構造が複雑化すると共に処理時間も長くなり、当該ミル1に比して、コスト的にも不利となる。
【0041】
一方、本発明によるミル1では、ベッセル11や回転ローター34が冷却された状態で、前述のような粉砕・分散処理が実行される。すなわち、ベッセル11は、ジャケット26を用いた二重構造となっており、ジャケット26内の冷媒流路27に適宜冷媒を流通させることにより、ベッセル11が冷却される。また、回転ローター34は、回転軸18を二重管構造とし、冷却水管23とリターン流路25により、回転ローター34内に冷媒24を循環させるようにしたので、ベッセル11内の部材である回転ローター34も冷却することができる。
【0042】
従来の多量循環型媒体撹拌ミルでは、分級室内の回転軸中心部を環状通路とし、その中に液状原料を導入すると共に、軸の端部にローターリージョイント(回転継手)を設け、そこから液状原料を排出する方法を採用している。これは、従来型のミルは、媒体ビーズと液状原料の分級に分級羽根の遠心力を利用しており、媒体ビーズを分級室の外周側に寄せつつ、液状原料を媒体ビーズから分離させる構成を採っているため、液状原料を軸中心分から排出することが求められるためである。しかしながら、軸中心の環状通路に液状原料を通過させると、回転ローターを冷却するための冷媒を流通させる通路が確保できなくなり、冷却能力が著しく劣ってしまう。
【0043】
これに対し、本発明のミル1は、回転軸18を二重管構造とし、軸中心に冷媒を通す通路を確保している。このため、液状原料2と媒体ビーズ3を分級室32の分級羽根31にて分離し、分級羽根31の中心部に液状原料2を導く構成でありながら、回転ローター34の冷却を可能にしている。これにより、温度条件に敏感な原料であっても、適切な温度環境にて処理を行うことができ、製品品質も良好に確保される。なお、当該ミル1では、軸中心の環状通路に代えて、回転軸18と分級羽根31の間の環状空間49から、上部空間51、スクリーン52、原料排出口53に至る原料流通ルートを構成し、液状原料2をスムーズに排出している。
【実施例1】
【0044】
本発明の媒体撹拌ミル1を用いて、炭酸カルシウム10%水溶液を以下に示す方法で、粉砕、分散する試験を行い、その性能を比較した。
【0045】
定量ポンプ6を起動後、媒体撹拌ミル1を起動し、循環系に液状原料が流れ出してから一定時間経過後に排出液を採取して粒度の測定を行った。粒度測定は、日機装株式会社製ナノトラックUPA-EXを使用し、動的光散乱式により測定した。処理条件は、次の通りである。
媒体撹拌ミル ベッセル容量:3リットル
ベッセル内径:U=173mm
ベッセル側ペグの本数:4本×2段
回転ローター外径:d=100mm
ローター側ペグの本数:4本×3段
回転ローター高さ:L=100
回転ローター回転数:1780rpm
送液量 10リットル/min
媒体ビーズ充填率 73%
ジルコニアビーズ直径 0.3mm
【0046】
(実施例1)
上記条件下にて、分級羽根31の高さHを変更して実験を行った。
H/Lが1.0及び0.9の場合、排出量は安定し、消費動力も安定していた。
H/Lが0.7の場合、分級羽根31によって液状原料や媒体ビーズを粉砕室側に押し戻す効果が少なくなった。また、流量が不安定となり、ビーズパッキング現象が生じやすく、消費動力が不安定となった。すなわち、H,Lを1.0L≧H≧0.9Lとすることにより、当該ミル1において、媒体ビーズ3の偏りによるビーズパッキング現象を抑えることが可能となる。
【0047】
(実施例2)
上記条件下にて、分級羽根高さH=90(H/L=0.9)の試験機において、回転ローター34の内部を冷却した場合と、行わない場合との比較試験を行った(図6)。図6に示すように、回転ローター34を冷却した場合の方が、原料の排出温度が明らかに低く、冷却構造の効果が確認できた。従って、当該ミル1は、温度条件に敏感な原料の処理に有効である。
【0048】
(実施例3)
実施例2と同条件下、回転ローター34側のペグ47先端の回転直径Dを140mmとした。電動機容量5.5kwの試験機において、分級羽根外径Gの影響を調べ、以下のデーターを得た(図7)。図7に示すように、100分経過時の液状原料の平均粒度は、Gが大きい方が小さいが(図7(b))、その分、消費電力は高くなる(図7(a))。従って、粒度と消費電力のバランスを考えると、回転ローター34のローター外径dより大きいが、120mm(つまり、1.2d)より小さい方が好ましい。
【0049】
本発明は前記実施形態や実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態における各種寸法は一例であり、装置のサイズ等は、前述の関係を逸脱しない限り任意の寸法を採用することができる。また、前述のミル1において、媒体ビーズ3が0.2mm以下になると、分級羽根31の遠心力の効果だけでは、媒体ビーズ3が液状原料から分離されずに、上部位置のスクリーン52の内面まで達する場合がある。このため、図8の湿式媒体撹拌ミル61のように、分級羽根31の軸中心部分にスパイラルスクリュー62を装備し、媒体ビーズ3を、スクリーン52のある上部空間51から分級羽根31のある環状空間49に向かって搬送しても良い。これにより、媒体ビーズ3が微小なものとなっても、スクリーン52の内周表面に媒体ビーズ3が集中することを防止できる。
【符号の説明】
【0050】
1 媒体撹拌ミル
2 液状原料
3 媒体ビーズ
4 原料液タンク
5 撹拌機
6 定量ポンプ
7 供給配管
8 リターン配管
11 ベッセル
11a 内壁
12 原料供給口
13 フランジ
14 上部ヘッド
15 円筒部
16 メカニカルシール
17 軸孔
18 回転軸
19 軸受
20 軸受筒
21 ブラケット
22 軸孔
23 冷却水管
24 冷媒
25 リターン流路
26 ジャケット
27 冷媒流路
28 冷媒供給口
29 冷媒排出口
31 分級羽根
32 分級室
33 羽根
34 回転ローター
35 粉砕室
41 ディスタンスカラー
42 軸孔
43 軸端円板
44 連通孔
45 連通孔
46 冷媒室
47 ペグ
48 ペグ
49 環状空間
51 上部空間
51a 内部空間
51b 外部空間
52 スクリーン
53 原料排出口
61 湿式媒体撹拌ミル
62 スパイラルスクリュー
D 回転ローター側ペグ先端径
P ベッセル側ペグ先端内径
U ベッセル内径
G 分級羽根外径
d 回転ローター外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒形状に形成され、内部に媒体ビーズと液状原料が収容されるベッセルと、
前記ベッセル上方より該ベッセル内に延伸し、垂直方向に延びる回転軸と、
前記回転軸に取り付けられ、前記ベッセル内に配置される回転ローターと、を有する湿式媒体撹拌ミルであって、
前記ベッセルは、その下端部に、該ベッセル内部と連通し、前記液状原料が供給される原料供給口を有し、
前記回転ローターは、前記ベッセル底部の前記原料供給口上方に配置され、その外周には径方向に向かって突出する複数個のペグを有し、
前記ベッセルの内壁には、前記回転ローターの前記ペグに対向して配置され径方向に向かって突出する複数個のペグが設けられ、
前記ベッセル内の前記回転ローターの上方には、前記回転ローターと共に回転する分級羽根が配置され、該分級羽根は、垂直方向に延びる複数個の羽根と、該羽根の内側に形成された環状空間を有し、
前記回転ローターと前記内壁の間に、前記ペグにより、前記媒体ビーズと前記液状原料が混合され、前記液状原料が粉砕及び/又は分散される粉砕室を形成すると共に、
前記分級羽根と前記ベッセルの内壁の間に、該回転羽根の回転に伴う遠心力により、前記媒体ビーズが前記液状原料と分離されて流入する分級室を形成したことを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。
【請求項2】
請求項1記載の撹拌媒体ミルにおいて、前記回転ローター外周に取り付けた前記ペグと前記ベッセルに取り付けたペグは、互いに干渉しないように軸方向にずらして交互に配置され、前記回転ローター側の前記ペグ先端の円周軌跡が、前記ベッセル側の前記ペグ先端の内周円内に入ることを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。
【請求項3】
請求項2記載の撹拌媒体ミルにおいて、前記回転ローター側の前記ペグ先端の円周軌跡と、前記ベッセル側の前記ペグ先端の内周円との重合幅が、前記ベッセル内径に対して、2.5〜6.0%の範囲であることを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の撹拌媒体ミルにおいて、
前記分級羽根の上方には、前記環状空間と連通する上部空間が形成され、
前記上部空間は、前記液状原料は通過するが前記媒体ビーズは通過し得ないスクリーンによって、前記環状空間と直接連通する内部空間と、原料排出口と連通する外部空間に隔離されることを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。
【請求項5】
請求項4記載の撹拌媒体ミルにおいて、
前記ベッセル上部に、上方に向かって突出する円筒部を備えた上部ヘッドを載置し、
円筒形状に形成した前記スクリーンを前記円筒部に配置し、前記円筒部内を前記内部空間と前記外部空間に区画し、
前記円筒部の内側に位置する前記内部空間から、前記円筒部の外周側に位置する前記外部空間に向かって前記液状原料を流通させ、前記原料排出口から当該湿式媒体撹拌ミル外へ排出させることを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。
【請求項6】
請求項5記載の撹拌媒体ミルにおいて、前記円筒部は、前記回転軸が気密状態で上下方向に貫通することを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の撹拌媒体ミルにおいて、前記回転軸内に冷媒が流通する冷媒通路を設けると共に、前記回転ローター内に前記冷媒通路と連通する冷媒室を設け、前記冷媒室に対し前記冷媒通路を介して冷媒を供給することを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の撹拌媒体ミルにおいて、前記粉砕室における前記ベッセルの内径Uと、前記回転ローターの外径dの比(d/U)が、0.4≦(d/U)≦0.6であることを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の撹拌媒体ミルにおいて、前記分級羽根の外径Gと、前記回転ローターの外径dと、前記回転ローターの前記ペグ先端の回転直径Dの関係が、D>G>dであることを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の撹拌媒体ミルにおいて、前記分級羽根の軸方向高さHと、前記回転ローターの軸方向長さLとの関係が、1.0L≧H≧0.9Lであることを特徴とする湿式媒体撹拌ミル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−179535(P2012−179535A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43469(P2011−43469)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000112912)フロイント産業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】