説明

湿式洗浄破砕選別技術を応用した建設廃棄物の高度なリサイクル処理システム

【課題】建設廃棄物の中間処理において、概ね20〜30%はふるい残渣が生成される。
この建設廃棄物由来のふるい残渣は、従来技術で選別しても、純度の高い砂を回収することができない。
【解決手段】従来技術の乾式破砕選別処理技術に加えて、水を使った摩砕・破砕洗浄及び水処理施設を活用して、リサイクル原料(砂及びセメント混合土)を抽出することにより、建設廃棄物のリサイクルの向上に寄与する。
さらに、湿式の摩砕破砕洗浄設備を応用することで、同時に汚染土壌の浄化を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設廃棄物の中間処理過程において発生する細かい粒度の残渣の高度なリサイクル処理システムである。
本技術は、湿式洗浄破砕選別技術を用いて、洗浄・選別することで、主成分である砂分を回収し、建設廃棄物のリサイクルを促進に寄与するものである。
また、洗浄水に移行する細粒土分は、水処理施設にて浄化し、汚泥として排出され、セメントと混合し、造粒固化することにより、再生建材としてリサイクルする。さらに、湿式洗浄破砕選別技術は、汚染土壌の浄化技術として応用されていることから、建設廃棄物の湿式選別と汚染土壌の洗浄の2つの処理を可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
建設廃棄物の中間処理過程で発生するふるい残渣の選別処理には、従来技術として、乾式選別(風力や比重差)などを利用した技術が用いられている。
本発明においては、従来、砕石の製造工程などに利用されている技術を応用して、廃棄物と土砂分を分離して、分離後、ごみ取り機(浮力利用)により、比重が1.0を下回るプラスチック、紙、木、繊維などを除去して、砂及び礫分を回収するものである。
また、摩砕洗浄技術は、重金属類により汚染された土壌の洗浄技術として利用されており、廃棄物だけではなく、重金属類汚染土壌の洗浄処理を併用して行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【0003】
書籍名 廃棄物処理・資源化ハンドブック
出版社 産業調査会出版部,1986
建設系産業廃棄物として、処理施設に搬入された段階で、乾式の風力選別や比重差選別などの選別技術を使い砂礫を抽出している。
付着する土砂分や砂礫分と、廃棄物を取り扱う過程で廃棄物同士がぶつかりあることにより発生する破砕分、さらに、破砕機等を利用して意図的に破砕する過程で生じ、主にふるい工程で発生することから、ここでは、「ふるい残渣」という。
このふるい残渣は、前記したように土砂や砂分に加え、取り扱い及び破砕工程を経ることにより、紙、木、繊維、プラスチックなどが混入しているため、そのままの状態では、他の建材や燃料として、リサイクルすることができないため、そのままの状態では、混合物として、産業廃棄物管理型最終処分場において埋立処分せざるを得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業活動、主に建設工事において生じるいわゆる「建設廃棄物」を破砕・選別などの中間処理に伴い、粒度の比較的小さい(一般的には40〜100mmより小さい粒度)の廃棄物(以下「ふるい残渣」という)が生じる。
このふるい残渣は、施設への投入量に対して、20〜30%の割合で生成される。
ふるい残渣には、プラスチック、紙、木、砂など様々な成分の廃棄物が粉状において混合しており、そのままではリサイクルはもとより、産業廃棄物安定型最終処分場においても埋立処分することができない。
過去に、そのふるい残渣を産業廃棄物安定型最終処分場で埋め立て処分している実態が発覚し、このふるい残渣の不適正処理の問題が表面化している。
このため、現在の乾式技術では、砂礫分に紙、木、プラスチックなどの廃棄物が多く混入し、リサイクル建材として利用できない場合が多く、結局、産業廃棄物管理型最終処分場で埋め立て処分しなければならない状況にあり、このような建設廃棄物処理の実態から鑑み、ふるい残渣の高度な選別技術を組み込んだリサイクルが期待されているところである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
乾式選別に加えて、従来技術である湿式の洗浄選別及び水処理施設を加えることにより、プラスチックなどの廃棄物を除去し、リサイクル可能な砂礫を抽出する。さらに、洗浄水に移行する土砂分を水処理施設にて沈降後、脱水処理することにより、脱水汚泥として回収する。
その脱水汚泥は、セメントと混合して、建設資材としてリサイクルする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、従来の乾式における選別に加え、湿式の洗浄選別を行うことで、より純度の高いリサイクル可能な砂礫及び土砂分を抽出することができ、従来技術に比べて、飛躍的にリサイクル率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の処理技術のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態について説明する。
建設リサイクル法に基づき、建設現場における建設廃棄物の分別が推奨されている。しかしながら、建設(解体)現場においては、工事現場に十分なスペースが無い、分別することがもともと困難な建材があるなど、混合廃棄物の発生は避けられない。
このため、本発明は、そのような混合した廃棄物を破砕選別することにより、従来処理技術よりも、高度なリサイクル機能を発揮することができる。
また、他の中間処理施設において、課題の項で述べたように従来技術では、リサイクルができないふるい残渣を受け入れて、洗浄破砕選別処理を行うことで、良質な砂や礫を抽出することに利用することができる。
以下、本実施例の一つにつき、図1で説明する。
本発明の処理技術は、乾式工程と湿式工程の2つに大別できる。
順番にその工程を説明する。
展開・人力選別〜1は資源物の抽出
一次粒度選別〜2はトロンメルやふるい機を用いて、粉分(40〜100mm以下)とそれ以上の粒度に分類する。
選別ライン〜3は一次粒度選別に残った原料を、人間による目視選別と風力選別と磁選機により、資源物の抽出(廃プラ・紙・木・繊維・鉄・がれき・ガラス陶磁器)の回収を行う。
破砕機〜4は選別ラインで残った原料は、破砕機により概ね40mm以下の粒度に破砕する。
二次粒度選別〜5は一次粒度選別において、落下した残渣(ふるい残渣)を、二次粒度選別においてふるい選別を行い、5mm以下のダスト分とそれ以上に分類される。
風力選別〜6は二次粒度選別において、5mm以上の原料を、風力選別において、紙、木、プラなどの可燃物を除去し、重量物のみを次の工程に送る。
磁力選別機〜7は破砕機を経た原料と風力選別を経たふるい残渣から、磁力選別により、鉄分を除去する。
摩砕施設〜8は磁力選別を経た原料を、さらに細かく粉砕し、複合素材を単一素材に剥離していく。
ここで使用される粉砕機は、水を使った湿式と乾式があるが、どちらでも良い。
三次粒度選別〜9は粉砕された原料は、ふるい(3mm目)を使い、3mm以下の細粒分とそれより大きい原料に分類される。
一次浮遊選別〜10は3mmより大きい原料には、可燃物が含まれることから、水の浮力を使った浮遊選別機により、重量物(砂礫分)と軽量物(可燃物)に分類する。
二次粉砕機〜11は一次浮遊選別により、選別した重量物(砂礫分)は、粉砕機を用いて、概ね3mm以下に粉砕する。
二次浮遊選別〜12は三次粒度選別及び二次粉砕機を経た3mm以下の原料を、二次浮遊物選別機により、軽量物と重量物に選別する。
四次粒度選別〜13は三次浮遊選別において、選別された重量物は、砂分と微細分(0.75μmm以下)に分類する。
砂分は、砂として、建材利用でき、微細分は、水処理施設で汚泥として回収する。
水処理施設〜14は水処理施設で、湿式洗浄選別工程で使用した汚水と微細分を物理処理(凝集沈殿)などにより、SS分を除去し、再度、洗浄水として利用する。
SS分は、可燃物などの軽量物と、土砂分に分類され、土砂分は、脱水する。
セメント混合〜15は脱水された土砂分を、セメントと混合して、埋め戻し材などの建材として利用することができる。
【符号の説明】
【0009】
2 一次粒度選別 4 破砕機 8 摩砕施設
14 水処理施設 15 セメント混合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業活動、主に建設工事などによって生じる建設廃棄物を従来の破砕選別を主体とした中間処理に加え、湿式洗浄破砕選別技術を応用した高度な選別工程を加えた処理システム。
【請求項2】
湿式洗浄破砕選別技術を応用することで、同じ処理ラインにおいて、建設廃棄物の湿式選別に加え、汚染土壌の浄化の処理を可能とする処理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2013−86091(P2013−86091A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240651(P2011−240651)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(596090041)株式会社八幡 (3)
【Fターム(参考)】