説明

湿式現像剤

【課題】トナー粒子を高分子分散剤を用いてキャリア液に分散してなる湿式現像剤であって、より少ない添加量で、分散安定性、電荷保持性及び定着性を満足させることの可能な湿式現像剤を提供する。
【解決手段】高分子分散剤は、モノマー構成単位として、少なくとも、塩基性のビニル系モノマー(I)と長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基を置換基として有するアルケン(II)とを含む共重合体である。キャリア液は、置換又は無置換の長鎖炭化水素から成る低揮発性の溶媒である。トナー粒子は、カルボキシル基を有するバインダー樹脂を含んでいる。高分子分散剤の長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基の炭素数をA、キャリア液の炭化水素の炭素数をBとすると、A/Bが0.5〜1.5である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複写機、プリンタ及びデジタル印刷機等の湿式電子写真方式を用いる湿式現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の対象とする湿式現像剤はトナー粒子を電気絶縁性で低揮発性の非水系のキャリア液に分散させたものである。分散性が悪いと、トナー粒子同士は凝集等の相互作用により、粘度が上昇する。このような湿式現像剤は、現像性、転写性、クリーニング性、そして画像均一性に悪影響を及ぼす。そのため、分散剤を用いてトナー粒子の分散安定性を確保している。分散剤はキャリア液と相溶し、かつ樹脂微粒子とも相溶する必要がある。非水系のキャリア液の場合、粒子同士の反発力は静電的な反発力が主体ではなく、立体的な反発力が主体となるため、一般的に高分子分散剤が用いられている。
【0003】
従来の高分子分散剤の例として、ビニルピロリドンとラウリルメタクリレートの共重合体が提案されている(特許文献1)。また、ポリビニルピロリドンも提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−114950号公報
【特許文献2】特表2002−522582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高分子分散剤をキャリア液に多く添加すれば、分散安定性を向上させるとともに粘度を低下させることが可能である。しかし多く添加すると、高分子分散剤がキャリア液を捕捉し、定着性を阻害するおそれがある。特に安全性の高い低揮発性のキャリア液に用いた場合には、その傾向は顕著である。また、キャリア液に溶け込んだ高分子分散剤がキャリア液の電気絶縁性を阻害し、電荷保持性を悪化させる可能性がある。そのため、高分子分散剤の添加量はできるだけ少なくする必要がある。しかしながら、従来の現像剤では、少ない高分子分散剤の添加量で、分散安定性、電荷保持性及び定着性のすべてを満足させることは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、より少ない添加量で、分散安定性、電荷保持性及び定着性を満足させることの可能な高分子分散剤を用いた湿式現像剤を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の湿式現像剤は、トナー粒子を高分子分散剤を用いてキャリア液に分散してなる湿式現像剤であって、上記高分子分散剤は、モノマー構成単位として、少なくとも、塩基性のビニル系モノマー(I)と長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基を置換基として有するアルケン(II)とを含む共重合体であり、上記キャリア液は、置換又は無置換の長鎖炭化水素から成る低揮発性の溶媒であり、上記トナー粒子は、カルボキシル基を有するバインダー樹脂を含んでおり、上記高分子分散剤の上記長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基の炭素数をA、上記キャリア液の上記長鎖炭化水素の炭素数をBとすると、A/Bが0.5〜1.5であることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、上記キャリア液に流動パラフィンを用いることができ、その場合、流動パラフィンを構成する炭化水素鎖の炭素数をBとする。
【0009】
また、上記キャリア液に植物油を用いることもでき、その場合、植物油を構成する高級脂肪酸の炭化水素基の炭素数をBとする。
【0010】
また、上記バインダー樹脂の酸価が、20mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましい。
【0011】
また、上記バインダー樹脂がポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0012】
また、上記ポリエステル樹脂が3官能以上の酸成分を含むことが好ましい。
【0013】
また、上記塩基性のビニル系モノマーが、ビニルピロリドンであることが好ましい。
【0014】
また、上記のビニル系モノマー(I)と上記のアルケン(II)との比率が、モル比でI:II=10:90〜30:70であることが好ましい。
【0015】
また、上記キャリア液が、炭素数14以上の長鎖炭化水素から成る低揮発性の溶媒であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の現像剤に用いる高分子分散剤は、モノマー構成単位として、少なくとも、塩基性のビニル系モノマー(I)と長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基を置換基として有するアルケン(II)とを含む共重合体である。アルケン(II)は、その長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基の炭素数をA、キャリア液に用いる置換又は無置換の長鎖炭化水素から成る低揮発性の溶媒の長鎖炭化水素の炭素数をBとした場合、A/Bが0.5〜1.5の範囲にあると、キャリア液に対して高い親和性を有する。また、塩基性のビニル系モノマー(I)は、分子内にカルボキシル基を有するバインダー樹脂に対し高い親和性を有するので、トナー粒子に容易に吸着することができる。このように、本発明で用いる高分子分散剤は、キャリア液とトナー粒子のいずれに対しても高い親和性を有しているので、少量の添加量でもトナー粒子同士の凝集を抑制して分散性を付与することが可能である。また、高分子分散剤を多く添加する必要がないので、定着性や電荷保持性も確保することができる。また、バインダー樹脂がカルボキシル基を有しているので、印字媒体である紙との接着強度を向上させて、定着性をさらに向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の湿式現像剤を用いる湿式画像形成装置の構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例で用いた電荷保持性の評価を行う装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の湿式現像剤は、トナー粒子を高分子分散剤を用いてキャリア液に分散してなる湿式現像剤である。
【0019】
(キャリア液)
キャリア液には、置換又は無置換の長鎖炭化水素から成る低揮発性の溶媒で、誘電率が3以下の電気的絶縁性の高い溶媒を用いる。ここで、長鎖炭化水素とは、炭素数が10以上、好ましくは14以上、より好ましくは16以上の飽和又は不飽和の炭化水素であり、置換基として、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、エーテル基等を1種以上含んでも良い。炭素数が10以上の長鎖炭化水素は、高分子分散剤のモノマー構成単位に含まれる長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基に対し高い親和性を有するからである。本発明で用いるキャリア液の具体例としては、流動パラフィン、植物油、動物油等を挙げることができるが、臭気、無公害性、コストの点から、流動パラフィン又は植物油が好ましい。より好ましくは流動パラフィンである。電荷保持性がより優れているからである。なお、本発明において低揮発性の溶媒とは、特に断らない限り、引火点70℃以上の溶媒である。
【0020】
流動パラフィンは、種々の長さのアルカンから成る長鎖炭化水素鎖の混合物からなる液状物質であり、具体例として、松村石油社製のホワイトオイル(例えば、P−40、P−70、P−120又はP−400)や、出光興産社製のIPソルベント(以下、IPSと略す。)(例えばIPS2028又は2835)等を挙げることができる。上記のホワイトオイルは炭素数が18〜30のアルカンの混合物であり、上記のIPソルベントは炭素数が16〜20のアルカンの混合物である。本発明では、流動パラフィンの長鎖炭化水素の炭素数として、流動パラフィンの平均分子量をメチレン基(−CH−)の分子量で割って得られる平均炭素数の値を用いる。本発明で用いる流動パラフィンの炭素数(平均炭素数)は、12〜30であり、好ましくは14〜25である。例えば、P−40の平均分子量は250であるので、炭素数は18となる。また、P−70の平均分子量は322であるので、炭素数は23となる。
【0021】
植物油は、高級脂肪酸の混合物である。高級脂肪酸は、炭素数12以上の1価のカルボン酸であり、具体例として、炭素数12〜25の飽和及び不飽和脂肪酸の混合物である、大豆油、アマニ油及びキリ油等の植物油を挙げることができる。例えば、大豆油は、パルミチン酸(C15)、ステアリン酸(C17)、オレイン酸(C18)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)の混合物である。本発明では、植物油を構成する高級脂肪酸の炭化水素基の炭素数として、混合物の炭化水素基の平均分子量をメチレン基(−CH−)の分子量で割って得られる平均炭素数の値を用いる。本発明で用いる植物油の炭素数(平均炭素数)は、12〜25であり、好ましくは15〜20である。
【0022】
(高分子分散剤)
本発明に用いる高分子分散剤は、モノマー構成単位として、少なくとも、塩基性のビニル系モノマー(I)と長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基を置換基として有するアルケン(II)とを含む共重合体であり、以下の一般式で表すことができる。
【0023】
【化1】

ここで、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1から4のアルキル基もしくは水素原子を表す。
【0024】
(I)のXは塩基性の官能基で、例えば、アミン基、アルキル置換アミノ基、アミド基、アルキル置換アミド基、含窒素複素環基及びアルキル置換含窒素複素環基等である。(I)の具体例としては、(メタ)アクリルアミド及びそのN−アルキル及びN,N−ジアルキル誘導体、アリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル,N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルカルバゾール、ビニルピロール、ビニルピペリジン、ビニルモルフォリン、ビニルピペリドン、ビニルピラゾール等を挙げることができる。好ましくは、ビニルピロリドンである。
【0025】
(II)のアルケンは、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、n−ブチレン等を用いることができるが、エチレンが好ましい。
【0026】
また、Yは置換基を有してもよい、炭素数10〜40の長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基である。その置換基としては、炭素数1から4のアルキル基を挙げることができる。長鎖アルキル基の具体例としては、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基、エイコサニル基、ヘンイコサニル基、ヘンエイコサニル基、ドコサニル基、トリコサニル基、テトラコサニル基、ペンタコサニル基、ヘプタコサニル基、オクタコサニル基、ノナコサニル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基及びテトラコンチル基である。また、長鎖アルキレン基の具体例としては、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ヘンエイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基、ヘントリアコンテニル基、ドトリアコンテニル基、トリトリアコンテニル基、テトラトリアコンテニル基、ペンタトリアコンテニル基、ヘキサトリアコンテニル基及びテトラコンテニル基である。
【0027】
ここで、mとnの比率はm:n=10:90〜30:70、好ましくは15:85〜25:75である。mの比率が10より小さくなると、すなわち、塩基性のビニル系モノマーの比率が10より小さくなると、カルボキシル基を有するバインダー樹脂に対する親和性が低下し、分散性が低下するからである。また、mの比率が30より大きくなると、すなわち、長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基を置換基として有するアルケン(II)の比率が低下して、キャリア液に対する親和性が低下し、分散性が低下するからである。
【0028】
ない、本発明で用いる高分子分散剤は、上記の(I)と(II)以外に、1種以上のモノマー構成単位を含んでもよい。その1種以上のモノマー構成単位としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルからなる群から選択された1種以上のモノマーを用いることができる。
【0029】
本発明では、高分子分散剤の上記長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基Yの炭素数をA、キャリア液の長鎖炭化水素の炭素数をBとすると、A/Bが0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3である。A/Bの値が0.5よりも小さくなったり、1.5よりも大きくなると、分散性が低下する。
【0030】
従来の湿式現像剤では、例えば、高分子分散剤としてポリビニルピロリドンを用いた場合、その分散剤量は、トナー粒子30重量部に対して少なくとも3重量部程度を添加していた。これに対し、本発明ではより少ない添加量とすることができ、分散剤量はトナー粒子30重量部に対して、0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.5重量部〜3重量部である。ここで、10重量部を超えると、定着性、電荷保持性に対して悪影響を及ぼす恐れがあり、また、0.1重量部未満では、十分な分散性が得られないからである。
【0031】
また、必要に応じて、上記以外の高分子分散剤や金属石鹸を添加することもできる。
【0032】
(トナー粒子)
本発明に用いるトナー粒子は少なくとも着色剤とバインダー樹脂を含むものである。バインダー樹脂には、カルボキシル基を有する樹脂を用いる。バインダー樹脂の酸価は、20mgKOH/g〜100mgKOH/gが好ましい。20mgKOH/gより小さいと、高分子分散剤との親和性が低下し、100mgKOH/gより大きいとバインダー樹脂が架橋して硬くなり定着性を阻害するからである。
【0033】
バインダー樹脂としては、モノマー構成単位としてアクリル酸やメタクリル酸のようなカルボキシル基含有モノマーを含むビニル系樹脂やポリエステル樹脂を用いることができる。ビニル系樹脂としては、上記のようなモノマーにメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のモノマーを共重合させた樹脂が好ましい。バインダー樹脂としてはポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂はシャープメルト性を有し、定着性がビニル系樹脂に比べて確保しやすいからである。
【0034】
ポリエステル樹脂は多塩基酸と多価アルコールの重縮合によって得られる。多塩基酸として、分子内に3個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸(以下、3官能以上の芳香族カルボン酸という。)をモノマー構成単位として用いる。3官能以上の芳香族カルボン酸を含有させることによりバインダー樹脂のカルボキシル基の数が増え、高分子分散剤に対する親和性が向上し、分散性が向上する。
【0035】
3官能以上の芳香族カルボン酸としては、トリメリット酸、トリメシン酸及びピロメリット酸からなる群から選択された1種を用いることができる。好ましくはトリメリット酸である。
【0036】
3官能以上の芳香族カルボン酸の含有量は、全多塩基酸の5重量%〜70重量%、好ましくは10重量%〜50重量%である。5重量%より少ないと十分な着色剤の分散性が得られず、70重量%より多いとポリエステル樹脂の架橋が進み過ぎて所望の熱特性が得られないからである。
【0037】
3官能以上の芳香族カルボン酸以外の多塩基酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、及びその酸無水物からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。好ましくは、イソフタル酸及び/又はテレフタル酸である。
【0038】
多価アルコールとしては、これに限るものではないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2−プロピレングリコール等のプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、4−ブタンジオール等のブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール(脂肪族グリコール)及びこれらのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール等のビスフェノール類及びこれらのアルキレンオキサイド付加物のフェノール系グリコール類、単環或いは多環ジオール等の脂環式及び芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0039】
以上の多塩基酸と多価アルコールを重縮合することにより所望のポリエステル樹脂を重合する。重縮合の方法としては、通常公知の重縮合の方法を用いることができる。原料モノマーの種類によっても異なるが、一般的には150℃〜300℃程度の温度下で行う。また、雰囲気ガスとして不活性ガスを用いたり、各種の溶媒を使用したり、反応容器内圧力を常圧又は減圧にする等、任意の条件で行うことができる。反応促進のためにエステル化触媒を用いてもよい。エステル化触媒としては、テトラブチルジルコネート、ジルコニウムナフテネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、3/1しゅう酸第1スズ/酢酸ナトリウムのような金属有機化合物等を使用できるが、生成物であるエステルを着色しないものが好ましい。また、アルキルホスフェイト、アリルホスフェイト等を触媒又は色相調整剤として使用してもよい。
【0040】
生成物であるポリエステル樹脂の分子量を制御するためには、重合温度、反応系圧力、反応時間等を調整すればよい。また、反応させるカルボン酸とアルコールとのモル比、重合体の分子量等により酸価を制御できる。また、バインダー樹脂にはポリエステル樹脂の他、必要に応じてスチレンーアクリル共重合体樹脂、スチレンーアクリル変性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン共重合体(特にエチレン系共重合体)、エポキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、パラフィンワックス等の樹脂を全重量の30重量%以下の範囲において適量混合して用いても構わない。
【0041】
本発明に用いる着色剤には、公知の顔料や染料を用いることができる。
顔料としては、ファーネストブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、C.I.ピグメントブラック、オルトアニリンブラック、トルイジンオレンジ、パーマネントカーミンFB、ファーストイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントイエロー、ジオキサンバイオレット、ピクトリアピュアブルー、アルカリブルートナー、アルカリブルーRトナー、ファーストイエロー10G、オルトニトロアニリンオレンジ、トルイジンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、アンソシン3Bレーキ、ローダミン6Bレーキ、メチルバイオレットレーキ、ベーシックブルー6Bレーキ、ファーストスカイブルー、レフレックスブルーG、ブリリアントグリーンレーキ、フタロシアニングリーンG、紺青、群青、酸化鉄粉、亜鉛華、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、アルミニウム粉、昼光蛍光顔料、パール顔料等が挙げられる。
【0042】
また、バインダー樹脂に対する顔料の分散性を向上させるため、顔料誘導体を用いることができる。顔料誘導体としては、所望の官能基、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基、アミド基等を有する顔料を用いることができる。顔料に官能基を導入する方法としては、有機顔料の場合、例えば、顔料を、種々の酸性化合物又は塩基性化合物と反応させて顔料分子の末端基に官能基を直接あるいはスペーサ基を介して間接的に結合させる方法を用いることができる。また、無機顔料の場合、顔料をアミノシランカップリング剤等の酸性基又は塩基性基含有カップリング剤と反応させ、顔料表面に酸性基又は塩基性基含有カップリング剤を結合させる方法を用いることができる。
【0043】
顔料は、樹脂に分散され、その二次粒径が50nm〜1μm、好ましくは50nm〜300nmとなるように分散されることが好ましい。1μmより大きくなると、十分な着色力、隠ぺい力、定着後の透明性が得られにくくなるからである。
【0044】
また、着色剤の配合量は、バインダー樹脂100重量部に対して8重量部〜50重量部、好ましくは10重量部〜30重量である。8重量部よりも少ないと所望の画像濃度が得られず、50重量部より多いとバインダー樹脂への分散性や定着性を損なう恐れがあるからである。好適な量は色種によって異なり、例えばシアン顔料では10重量部〜40重量部、マゼンタ顔料では15重量部〜50重量部、イエロー顔料では8重量部〜30重量部が好ましい。
【0045】
(現像剤の製造方法)
バインダー樹脂と着色剤等からなる着色剤混練物をカッターミル、ジェットミル等を用いて粗粉砕し、この粗粉砕トナーに対し、さらにキャリア液中で湿式粉砕を施し、トナー粒子の体積平均粒径が0.1〜10μm程度、好ましくは0.5〜4μm程度になるまで微粉砕して濃厚液体現像剤を得る。このようにして得られた濃厚液体現像剤を、必要に応じて、荷電制御剤、分散剤(分散安定剤)等の添加剤等を含むキャリア液で適当な濃度になるまで希釈・分散処理をして湿式現像剤を得る。なお、製造方法は粉砕法に限定されず、液中での重合法、溶解蒸発法等の造粒法を用いることもできる。
【実施例】
【0046】
本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限られるものではない。なお、以下の実施例中「部」とあるのは特に断らない限り「重量部」を表し、「Mw」とあるのは「重量平均分子量」を表し、「Mn」とあるのは「数平均分子量」を表し、「Tg」とあるのは「ガラス転移温度」を表す。
【0047】
以下の実施例において、Mw及びMnは、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィーの結果から算出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーは、高速液体クロマトグラフポンプ TRI ROTAR−V型(日本分光社製)、紫外分光検出器 UVIDEC−100−V型(日本分光社製)、50cm長さのカラム Shodex GPC A−803(昭和電工社製)を用いて行い、そのクロマトグラフィーの結果から、被検試料の分子量をポリスチレンを標準物質として算出することにより、ポリスチレン換算Mw及びMnとして求めた。なお、被検試料はバインダー樹脂0.05gを20mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させたものを用いた。
【0048】
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計DSC−20(セイコー電子工業(株)製)を用い、試料量35mg、昇温速度10℃/minの条件で測定した。酸価は、JIS K5400法の条件で測定した。
【0049】
(バインダー樹脂の製造)
製造例1
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を1600部とテレフタル酸(TPA)を890部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにしてポリエステル樹脂Iを得た。
【0050】
得られたポリエステル樹脂Iは、Mwが4500、Mnが1800、Tgが52.3℃、酸価が24.0mgKOH/gであった。
【0051】
製造例2
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を1600部とテレフタル酸(TPA)を550部(多価塩基酸)、トリメリット酸(TMA)を340部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにしてポリエステル樹脂IIを得た。
【0052】
得られたポリエステル樹脂IIは、Mwが10000、Mnが3000、Tgが69.3℃、酸価が64.0mgKOH/gであった。
【0053】
製造例3
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、アクリル酸(AC)5重量部、メタクリル酸(MAC)5重量部、メチルメタクリレート(MMA)40重量部、ブチルアクリレート(BA)50重量部、AIBN2重量部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度でラジカル重合を行った。生成したアクリル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重合を停止させた。このようにしてビニル系樹脂IIIを得た。
【0054】
得られたビニル系樹脂IIIは、Mwが100000、酸価が22mgKOH/g、Tgが55℃であった。
【0055】
製造例4
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、メチルメタクリレート(MMA)50重量部、ブチルアクリレート(BA)50重量部、AIBN2重量部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度でラジカル重合を行った。反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重合を停止させた。このようにしてビニル系樹脂IVを得た。
【0056】
得られたビニル系樹脂IVは、Mwが110000、Tgが57℃であった。ビニル系樹脂IVはカルボキシル基を実質的にカルボキシル基を含まないバインダー樹脂であり、比較例に用いた。
【0057】
(高分子分散剤)
実施例に用いた分散剤は以下の通りであり、ISP社製のものを用いた。
分散剤I
【0058】
【化2】

【0059】
ここで、上記高分子分散剤は、ビニルピロリドンとドデセンの共重合体であり、Rは炭素数10のデシル基、Mwは2000、mは0.2、nは0.8である。
【0060】
分散剤II
ビニルピロリドンとヘキサデセンの共重合体であり、上記のRは炭素数14のテトラデシル基であり、Mwは3000、mは0.2、nは0.8である。
【0061】
分散剤III
ビニルピロリドンとエイコセンの共重合体であり、上記のRは炭素数18のオクタデシル基であり、Mwは2300、mは0.2、nは0.8である。
【0062】
分散IV
ビニルピロリドンとヘプタコセンの共重合体であり、上記のRは炭素数25のペンタコシル基であり、Mwは2800、mは0.2、nは0.8である。
【0063】
分散剤V
ビニルピロリドンとドトリアコンテンの共重合体であり、上記のRは炭素数30のトリアコンチル基であり、Mwは2800、mは0.2、nは0.8である。
【0064】
分散剤VI
ビニルピロリドンとエイコセンの共重合体であり、上記のRは炭素数18のオクタデシル基であり、Mwは2700、mは0.3、nは0.7である。
【0065】
分散剤VII
ビニルピロリドンとエイコセンの共重合体であり、上記のRは炭素数18のオクタデシル基であり、Mwは2100、mは0.1、nは0.9である。
【0066】
分散剤VIII
ビニルピロリドンとエイコセンの共重合体であり、上記のRは炭素数18のオクタデシル基であり、Mwは2100、mは0.05、nは0.95である。
【0067】
分散剤IX
ビニルピロリドンとエイコセンの共重合体であり、上記のRは炭素数18のオクタデシル基であり、Mwは270、mは0.4、nは0.6である。
【0068】
分散剤X
上記のRがエステル基(COOC1225)であり、mは0.05、nは0.95である。
【0069】
(キャリア液)
キャリア液には、以下の流動パラフィン及び大豆油を用いた。
I:IPS2028(炭素数16) 引火点86℃
II:P−40(炭素数18) 引火点144℃
III:P−70(炭素数23) 引火点180℃
IV:P−120(炭素数26) 引火点200℃
V:大豆油(炭素数18) 引火点328℃
【0070】
(現像剤の製造)
実施例1
以下の混合比で、樹脂Iと着色剤を混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後、粗粉砕した。そしてジェット粉砕機に微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
樹脂I:100重量部
銅フタロシアニン(15:3):20重量部
このトナー粒子を30重量部、高分子分散剤Iを1重量部、キャリア液としてIPS2028を70重量部、ジルコニアビーズを100重量部混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤を得た。得られた現像剤の平均粒径は2.1μmであった。
【0071】
実施例2〜15
表1に記載した配合比に基づき、実施例1と同様の方法を用いて現像剤を調製した。
【0072】
比較例1〜7
表1に記載した配合比に基づき、実施例1と同様の方法を用いて現像剤を調製した。
【0073】
【表1】

【0074】
以上の現像剤について、湿式画像形成装置の実験機を用いて実写試験を行った。
図1は、本発明の湿式画像形成装置の実験機を示す概略構成図である。ドラム状の像担持体201の周囲には、矢印で示す回転方向に順に、帯電装置203、露光装置204、現像ローラ103、中間転写体301、像担持体クリーニングブレード204がそれぞれ配設され、中間転写体301の周囲には、1次転写ローラ302、スクイズローラ303、スクイズローラのクリーニングブレード304、二次転写ローラ307、テンションローラ308が配設されている。
【0075】
像担持体201の表面を帯電装置205により、所定の表面電位に一様に帯電し、その後、露光装置206により画像情報の露光を行い、像担持体201の表面に静電潜像を形成する。次いで、像担持体201の静電潜像は、現像ローラ103によりトナー及びキャリア液を含む現像液で現像され像担持体201の表面にトナー像が形成される。この時、トナーだけでなくキャリア液も像担持体201の表面に付着する。
【0076】
次に像担持体201上のトナー像は、302に所定の電圧が印加することのよって、中間転写体301に転写される。302にはトナーと逆極性の電圧が印加され、このとき像担持体との電位差は300V〜3kVである。
【0077】
中間転写体301は、図1のようなベルトや、ローラ(不図示)でもかまわない。中間転写体がベルトの場合、ベルト材質は樹脂や弾性体であり、ラフ紙への転写性を考えると弾性体が望ましく、また耐熱性があるものが望ましい。厚さは50μm〜1mm、体積抵抗率は10〜1012 Ω・cm、表面抵抗率は10〜1012 Ω/□が望ましい。樹脂としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、フッ素系樹脂、ポリフェニルサルフェート等、弾性体としては、シリコンゴム、フッ素ゴム、EPDM、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が開示できるが、これに限らない。搬送の安定性を考えると、樹脂基体の上に弾性体がある複層タイプのベルトが望ましい。この場合、樹脂基体の厚さは50〜200μm、弾性体の厚さは200μm〜1mmが望ましい。また、最表層は、離型性が高いことが望まれ、そのため、表層はフッ素系、シリコン系等の低表面エネルギーの重合体や、プラズマ処理等で1μm以下の硬い層を設ける方が好ましい。
【0078】
中間転写体に転写された現像剤は、二次転写部(306、307)でメディアに転写される。307にトナーと逆極性の電圧が印加されている。309、310は熱ローラで、トナーが定着される。
【0079】
評価1(分散性評価)
現像剤の一次粒径と二次粒径を測定した。一次粒径とは、粒子が凝集して二次粒子を形成する前の平均粒径をいい、二次粒径は二次粒子の平均粒径をいう。
現像剤を乾燥後、SEM写真を撮影し、撮影画像から一次粒径(D1)を測定した。一方、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−1100(島津製作所製)を用いて二次粒径(D2)を測定した。D2/D1の値により、以下の基準で分散性を評価した。結果を表2に示す。
D2/D1 評価
1.1未満 ◎
1.1以上1.4未満 ○
1.4以上1.6未満 △
1.6以上 ×
【0080】
また、それぞれの現像剤をアルミ板上にトナー量換算で2g/mの塗布量となるように塗布して、目視にて薄層の均一性を評価した。評価結果は上記のD2/D1を用いた評価結果と良く対応しており、D2/D1の値が小さいものほど、薄層の均一性は高くなった。
【0081】
評価2(定着性評価)
評価する現像剤を図1の装置の102に入れ、メディア上のトナー量が5g/mになるようにソリッド画像を現像、転写条件を調整した。システム速度は400mm/sec、熱ローラの温度は200℃、NIP通過時間は20msecの条件にて画像サンプルをだした。定着性を測定する際、メディアとしては128g/mの上質紙(三菱製紙社製金菱128g/m)を使用した。
【0082】
定着性はスミア試験により行った。定着画像の上に上質紙(64g/m Jペーパー)を置き、その上に1kgの錘(圧力350kg/m)をのせて、十往復させた。その後、上にのせた紙の汚れを反射濃度により評価した。反射濃度(ID)は、マクベス濃度計(X−rite社製)を用いて測定した。反射濃度が0.1を○、0.1以上0.2未満を△、0.2以上を×とした。結果を表2に示す。
【0083】
評価3(電荷保持性評価)
図2の装置を用いて電荷保持性の評価を行った。図2中、回転可能に支持されたアルミ管10(φ100)の表面に現像剤をトナー量換算で2g/mの塗布量で塗布して現像剤層11を形成し、チャージャー13により現像剤層11に電荷を付与した後、アルミ管10の回転を止め表面電位計12とオシロスコープ14により表面電位の減衰を測定した。回転停止直後の表面電位Vと停止後5秒後の表面電位Vの比率V/Vを測定した。V/Vの値が高いほど、電荷保持性が良好である。V/Vの値が0.7以上を○、0.5以上0.7未満を△、0.5未満を×とした。結果を表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
表2に示すように、実施例1から15の湿式現像剤は、分散性、定着性及び電荷保持性のいずれも満たしていた。これに対し、A/Bが0.5より小さい、あるいは1.5より大きい、比較例1から4は、分散性、定着性及び電荷保持性のすべてを充足することはできなかった。また、カルボキシル基を含まないバインダー樹脂を用いた場合(比較例5)、分散性と定着性が不十分であった。また、長鎖アルキル基ではなくエステル基を置換基として有するアルケンを用いた場合(比較例6)、分散性が不十分であった。また、高分子分散剤を添加しない場合(比較例7)、2次粒子径が大きく増大し、分散性が悪化した。
【符号の説明】
【0086】
10 アルミ管
11 現像剤層
12 表面電位計
13 チャージャー
14 オシロスコープ
100 現像槽
101 規制ブレード
102 現像液
103 現像ローラ
201 像担持体
202 クリーニングブレード
203 帯電装置
204 露光装置
301 中間転写体
302 1次転写ローラ
305 ベルト搬送ローラ
306 対向ローラ
307 二次転写ローラ
308 テンションローラ
309 熱ローラ
310 熱ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子を高分子分散剤を用いてキャリア液に分散してなる湿式現像剤であって、
上記高分子分散剤は、モノマー構成単位として、少なくとも、塩基性のビニル系モノマー(I)と長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基を置換基として有するアルケン(II)とを含む共重合体であり、
上記キャリア液は、置換又は無置換の長鎖炭化水素から成る低揮発性の溶媒であり、
上記トナー粒子は、カルボキシル基を有するバインダー樹脂を含んでおり、
上記高分子分散剤の上記長鎖アルキル基又は長鎖アルキレン基の炭素数をA、上記キャリア液の上記炭化水素の炭素数をBとすると、A/Bが0.5〜1.5であることを特徴とする湿式現像剤。
【請求項2】
上記キャリア液が流動パラフィンであり、該流動パラフィンを構成する炭化水素鎖の炭素数をBとする、請求項1記載の湿式現像剤。
【請求項3】
上記キャリア液が植物油であり、該植物油を構成する高級脂肪酸の炭化水素基の炭素数をBとする、請求項1記載の湿式現像剤。
【請求項4】
上記バインダー樹脂の酸価が、20mgKOH/g〜100mgKOH/gである請求項1記載の湿式現像剤。
【請求項5】
上記バインダー樹脂がポリエステル樹脂である請求項1記載の湿式現像剤。
【請求項6】
上記ポリエステル樹脂が3官能以上の酸成分を含む請求項5記載の湿式現像剤。
【請求項7】
上記塩基性のビニル系モノマーが、ビニルピロリドンである請求項1記載の湿式現像剤。
【請求項8】
上記のビニル系モノマー(I)と上記のアルケン(II)との比率が、モル比でI:II=10:90〜30:70である請求項1記載の湿式現像剤。
【請求項9】
上記キャリア液が、炭素数14以上の長鎖炭化水素から成る低揮発性化合物である請求項1記載の湿式現像剤。

【図1】
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【図2】
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