説明

湿式造粒製薬の調製方法

アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する組成物を湿式造粒法にて製剤化する工程を含むことを特徴とする固形製剤の製造方法に関する。本発明の方法によって得ることができる固形製剤は、改善された溶出性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含む固形製剤の調製方法であって、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含む組成物を湿式造粒によって調製する工程を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カルシウム拮抗剤及びアンジオテンシンII受容体拮抗剤は高血圧症の治療及び予防のための薬として広く臨層使用されている。カルシウム拮抗剤は、血管拡張作用に加え、ナトリウム排泄増加作用をも及ぼすため、流体保留によって生じる高血圧症(レニン非依存性)に対して有効である。他方、アンジオテンシンII受容体拮抗剤は、レニン依存性高血圧症に対して特に有効であり、優れた器官保護効果を有する。したがって、カルシウム拮抗剤とアンジオテンシンII受容体拮抗剤との併用が、高血圧の原因を問わず、安定かつ効果的な抗高血圧症治療を可能にするものと期待される。
【0003】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含む数多くの併用薬が以下の特許文献1乃至4のような従来技術で発案されている。しかし、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム遮断薬を含む固形製剤を調製するための、湿式造粒工程を含む方法の開示は従来技術には存在しない。
【特許文献1】国際公開公報WO92/10097
【特許文献2】国際公開公報WO92/20342
【特許文献3】国際公開公報WO00/02543
【特許文献4】国際公開公報WO2004/067003
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含む、溶出性が改善された固形製剤の調製方法ならびに当該方法によって得ることができる固形製剤を提供することである。
【0005】
本発明者らは、前述の課題を解決するために広範な研究を実施した結果、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含む組成物を調製するための湿式造粒工程をその調製に含めることにより、当該アンジオテンシンII受容体拮抗剤及び当該カルシウム拮抗剤を含む固形製剤の溶出性が改善されるということを見いだし、それによって本発明の完成に至った。
【0006】
本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含む固形製剤の調製方法であって、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含む組成物を湿式造粒によって調製する工程を含む方法、当該方法によって得ることことができる、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含む固形製剤(特に、高血圧症の予防又は治療のための剤形)、前述の固形製剤(特に、高血圧の予防又は治療のための剤形)を製造するためのアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤の使用、ならびに薬理学的に有効量のアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含む前述の固形製剤を温血動物(特にヒト)に投与する、疾病(特に高血圧症)を予防又は治療する方法を提供する。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する固形製剤の製剤化方法であって、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する組成物を湿式造粒法にて製剤化する工程を含む方法、
(2)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンもしくはイルベサルタン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩もしくはエステルである(1)に記載の方法、
(3)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンである(1)に記載の方法、
(4)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルである(1)に記載の方法、
(5)カルシウム拮抗剤が、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン、バルニジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、ニソルジピン、エホニジピン、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラニジピンもしくはプラニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である(1)−(4)に記載の方法、
(6)カルシウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である(1)−(4)に記載の方法、
(7)カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である(1)−(4)に記載の方法、
(8)カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンである(1)−(4)に記載の方法、
(9)製剤が、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤又は錠剤である固形製剤を調製するための(1)乃至(8)に記載の方法、
(10)錠剤を調製するための(1)−(8)に記載の方法
を提供する。
【0008】
さらに、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を(2)−(4)から、カルシウム拮抗剤を(5)−(8)からそれぞれ選択し、これらを任意に組み合わせて得られる固形製剤の調製方法も好適であり、例えば、以下のものを挙げることができる。
(11)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である(1)に記載の方法、
(12)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンでる(1)に記載の方法、
(13)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤が、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン、バルニジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、ニソルジピン、エホニジピン、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラニジピンもしくはプラニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である(1)に記載の方法、
(14)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である(1)に記載の方法、
(15)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である(1)に記載の方法。

(16)前記アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、前記カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンである(1)に記載の方法、
(17)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、その固形製剤が錠剤である(1)に記載の方法、及び
(18)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンであり、その固形製剤が錠剤である(1)に記載の方法。
【0009】
固形製剤を調製するための上記方法(1)−(18)は、固形製剤が1種又は2種以上の水溶性高分子をさらに含有するように実施してもよく、工程中の湿式造粒工程は、多数の異なる技術を使用して実施してもよい。これら両方について詳細に後述する。例えば、以下の方法を挙げることができる。
(19)固形製剤が1種又は2種以上の水溶性高分子をさらに含有する(1)−(18)に記載の方法、
(20)水溶性高分子が、セルロース誘導体及び合成高分子から選択される化合物の1種又は2種以上である(19)に記載の方法、
(21)水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である(19)に記載の方法、
(22)水溶性高分子が、セルロース誘導体から選択される化合物の1種又は2種以上のである(19)に記載の方法、
(23)水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースから選択される化合物の1種又は2種以上である(19)に記載の方法、
(24)水溶性高分子がメチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースである(19)に記載の方法、
(25)水溶性高分子がマクロゴールである(19)に記載の方法、
(26)流動層造粒法、高速混合撹拌造粒法、押し出し造粒法、混合撹拌造粒法又は転動造粒法を使用して湿式造粒工程を実施する(1)−(25)に記載の方法、及び
(27)高速混合撹拌造粒法を使用して湿式造粒工程を実施する(1)−(25)に記載の方法。
【0010】
本発明の方法を使用すると、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する、溶出性の改善された固形製剤を得ることができる。そのような固形製剤もまた、本発明の一部を構成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の方法を使用して得ることができる固形製剤の有効成分は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤と、カルシウム拮抗剤である。
【0012】
本発明の方法を使用して得ることができる固形製剤の有効成分の一つである「アンジオテンシンII受容体拮抗剤」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は本発明の効果を奏する適宜の薬剤を選択することが可能である。そのようなアンジオテンシンII受容体拮抗剤としては、例えば、ロサルタン(好適にはロサルタンカリウム)、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、好適には、オルメサルタンメドキソミルである。なお、特にオルメサルタンメドキソミルは特許第2082519号公報(米国特許第5,616,599号公報)等に記載の方法に従い、容易に製造することができる。
【0013】
本発明の固形製剤における有効成分の一つである「カルシウム拮抗剤」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は本発明の効果を奏する適宜の薬剤を選択することが可能である。そのようなカルシウム拮抗剤として、例えば、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン(好適には塩酸マニジピン)、バルニジピン(好適には塩酸バルニジピン)、ニトレンジピン、ベニジピン(好適には塩酸ベニジピン)、ニカルジピン(好適には塩酸ニカルジピン)、レルカニジピン(好適には塩酸レルカニジピン)、アムロジピン(好適にはベシル酸アムロジピン)、ニソルジピン、エホニジピン(好適には塩酸エホニジピン)、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラニジピン又はプラニジピンであり、好適にはベシル酸アムロジピンである。なお、アムロジピン及びベシル酸アムロジピンをはじめとするその塩は、先行技術で開示されている方法、例えば、日本国特許第1401088号(米国特許第4,572,909号に対応)に記載の方法に従い、容易に製造することができる。
【0014】
上記のアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤の薬理学的に許容しうる塩は特に限定されず、そのような塩は当業者が選択することができる。適当な薬理学的に許容しうる塩としては、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはリチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩もしくはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩もしくはコバルト塩のような金属塩;アンモニウム塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩もしくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のようなアミン塩;フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩;過塩素酸塩;硫酸塩;リン酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩もしくはエタンスルホン酸塩のような場合によってはハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルカンスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩のような場合によってはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリールスルホン酸塩;酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩もしくはマレイン酸塩のようなC1〜C6脂肪族酸塩;またはグリシン塩、リシン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩もしくはアスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩がある。
【0015】
上記のアンジオテンシンII受容体拮抗剤の薬理学的に許容しうるエステルは特に限定されず、当業者が選択することができる。当該エステルの場合、そのようなエステルは、インビボでの加水分解のような生物学的プロセスによって開裂させることができることが好ましい。エステルを構成する基(そのエステルが−COORと表される場合にRとして示される基)は、たとえば、メトキシエチル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−(イソプロポキシ)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、1,1−ジメチル−1−メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチルもしくはt−ブトキシメチルのようなC1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;2−メトキシエトキシメチルのようなC1〜C4アルコキシル化C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;フェノキシメチルのようなC6〜C10アリールオキシC1〜C4アルキル基;2,2,2−トリクロロエトキシメチルもしくはビス(2−クロロエトキシ)メチルのようなハロゲン化C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;メトキシカルボニルメチルのようなC1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基;シアノメチルもしくは2−シアノエチルのようなシアノC1〜C4アルキル基;メチルチオメチルもしくはエチルチオメチルのようなC1〜C4アルキルチオメチル基;フェニルチオメチルもしくはナフチルチオメチルのようなC6〜C10アリールチオメチル基;2−メタンスルホニルエチルもしくは2−トリフルオロメタンスルホニルエチルのような、場合によってはハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキルスルホニルC1〜C4低級アルキル基;2−ベンゼンスルホニルエチルもしくは2−トルエンスルホニルエチルのようなC6〜C10アリールスルホニルC1〜C4アルキル基;ホルミルオキシメチル、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、バレリルオキシメチル、イソバレリルオキシメチル、ヘキサノイルオキシメチル、1−ホルミルオキシエチル、1−アセトキシエチル、1−プロピオニルオキシエチル、1−ブチリルオキシエチル、1−ピバロイルオキシエチル、1−バレリルオキシエチル、1−イソバレリルオキシエチル、1−ヘキサノイルオキシエチル、2−ホルミルオキシエチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−ピバロイルオキシエチル、2−バレリルオキシエチル、2−イソバレリルオキシエチル、2−ヘキサノイルオキシエチル、1−ホルミルオキシプロピル、1−アセトキシプロピル、1−プロピオニルオキシプロピル、1−ブチリルオキシプロピル、1−ピバロイルオキシプロピル、1−バレリルオキシプロピル、1−イソバレリルオキシプロピル、1−ヘキサノイルオキシプロピル、1−アセトキシブチル、1−プロピオニルオキシブチル、1−ブチリルオキシブチル、1−ピバロイルオキシブチル、1−アセトキシペンチル、1−プロピオニルオキシペンチル、1−ブチリルオキシペンチル、1−ピバロイルオキシペンチルもしくは1−ピバロイルオキシヘキシルのようなC1〜C7脂肪族アシルオキシC1〜C4アルキル基;シクロペンチルカルボニルオキシメチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、1−シクロペンチルカルボニルオキシエチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル、1−シクロペンチルカルボニルオキシプロピル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシプロピル、1−シクロペンチルカルボニルオキシブチルもしくは1−シクロヘキシルカルボニルオキシブチルのようなC5〜C6シクロアルキルカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;ベンゾイルオキシメチルのようなC6〜C10アリールカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;メトキシカルボニルオキシメチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ブチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、エトキシカルボニルオキシメチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ブチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、プロポキシカルボニルオキシメチル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)ブチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)ブチル、ブトキシカルボニルオキシメチル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)ブチル、イソブトキシカルボニルオキシメチル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)ブチル、t−ブトキシカルボニルオキシメチル、1−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル、ペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルもしくは1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピルのようなC1〜C6アルコキシカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)ブチル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピルもしくは1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ブチルのようなC5〜C6シクロアルキルオキシカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−プロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−イソプロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルもしくは(5−ブチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルのような[5−(C1〜C4アルキル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基;(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、[5−(4−メチルフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチルもしくは[5−(4−クロロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチルのような[5−(場合によってはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ又はハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基;又はフタリジル、ジメチルフタリジルもしくはジメトキシフタリジルのような、場合によってはC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4アルコキシ基で置換されていてもよいフタリジル基でもよい。
【0016】
本発明の一つの好ましい態様では、本発明の方法によって得ることができる固形製剤は、さらに1種又は2種以上の「水溶性高分子」、すなわち水に対して親和性を有する高分子を含有していてもよい。本発明における使用に好ましい「水溶性高分子」は、水溶性である高分子である。水溶性高分子の配合により、溶出性がより改善された固形製剤が得られる。使用される水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のようなセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、マクロゴール(すなわちポリエチレングリコール)等のような合成高分子;HA「三共」(ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート16〜26重量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 50〜75重量%、ステアリン酸12〜17重量%及びフマル酸1.5〜2.3重量%の混合物を含むプレミックスコーティング剤)、アラビアゴム、寒天、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができ、好適にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、マクロゴール、HA「三共」、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールであり、さらに好適にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール、カルボキシメチルセルロースナトリウムであり、特に好適にはメチルセルロースである。本発明においては、これらを単独で用いることもできるし、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明の処方中に1種又は2種以上の水溶性高分子が存在する場合、その水溶性高分子は、好ましくは処方重量の1〜90重量%、さらに好ましくは5〜85重量%の範囲内で含有してもよい。1種又は2種以上の水溶性高分子は、医薬組成物全体に均一に分散させてもよいし、その医薬組成物の一部分だけに適用してもよい。医薬組成物に1種又は2種以上のフィルムコーティング層があれば、1種又は2種以上の水溶性高分子をそのフィルムコーティング層に含んでもよい。
【0017】
本発明の方法を使用して得ることができる固形製剤は、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤等の添加剤を含むことができる。
【0018】
使用される「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール若しくはソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−澱粉若しくはデキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;又はプルランのような有機系賦形剤;或いは、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム若しくはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;又は、硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができる。
【0019】
使用される「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーズワックス若しくはゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;D,L−ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム若しくはラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸若しくは珪酸水和物のような珪酸類;又は、上記澱粉誘導体を挙げることができる。
【0020】
使用される「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、又は、前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。
【0021】
使用される「崩壊剤」としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム若しくは内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;架橋ポリビニルピロリドン;又は、カルボキシメチルスターチ若しくはカルボキシメチルスターチナトリウムのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
【0022】
使用される「乳化剤」としては、例えば、ベントナイト若しくはビーガムのようなコロイド性粘土;水酸化マグネシウム若しくは水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸ナトリウム若しくはステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル若しくはショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤を挙げることができる。
【0023】
使用される「安定剤」としては、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール若しくはフェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール若しくはクレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又は、ソルビン酸を挙げることができる。
【0024】
使用される「矯味矯臭剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム若しくはアスパルテームのような甘味料;クエン酸、リンゴ酸若しくは酒石酸のような酸味料;又は、メントール、レモン若しくはオレンジのような香料を挙げることができる。
【0025】
使用される「希釈剤」としては、例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、スクロース、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性セルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0026】
本発明の方法を使用して得ることができる「固形製剤」は、1種又は2種以上の薬理学的有効成分を固形剤として患者に送達するために当業者によって使用される任意の剤形を含む。使用される固形製剤は当業者には周知であり、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、チュワブル剤、トローチ剤等を挙げることができ、好適には散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤又は錠剤であり、最も好適には錠剤である。
【0027】
造粒とは、粉状、塊状、溶液或いは溶融液状などの原料からほぼ均一な形状と大きさを持つ粒を造る操作をいい、顆粒剤、散剤、細粒剤などの最終製品を作る造粒や、錠剤やカプセル剤などの製造用中間製品を作る造粒がある。本発明における「湿式造粒法」とは、水又は水とアルコール等の混合液を造粒用溶剤として粉体を造粒し製剤化する方法であり、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (Third Edition)(Leon Lachman他:LEA & FEBIGER 1986)や、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets volume 1(Second Edition)(Herbert A.Lieberman他:MARCEL DEKKER INC. 1989)のような刊行物に記載されている。
【0028】
湿式造粒法としては、例えば、流動層造粒法、高速混合攪拌造粒法、押し出し造粒法、混合攪拌造粒法、転動造粒法などが挙げられ、高速混合撹拌造粒法が特に好ましい。
【0029】
流動層造粒法とは、空気流により原料粉末の流動層を形成させ、乾燥しながらその層中に結合剤溶液を噴霧し、液体架橋により粒子同志を付着凝集させて造粒する方法であり、フローコーター(フロイント産業)、スパイラルフロー(フロイント産業)、ニューマルメライザー(不二パウダル)などを使用することができる。
【0030】
高速混合攪拌造粒法とは、原料粉末を高速で混合、攪拌、流動しながら結合剤溶液を加えて造粒する方法であり、スーパーミキサー(川田製作所)、スーパーファインマトリックス(奈良機械製作所)、ターボスフェア(モリッツ−ミューチュアル)、グラル(コレット−不二パウダル)などを使用することができる。
【0031】
押し出し造粒法とは、原料粉末に結合剤溶液を加えて練合し、結合物をダイスやスクリーン面に押し付け、押し出して成形造粒する方法であり、バスケット式造粒機、スクリュー型押出造粒機、オシレーティング式造粒機などを使用することができる。
【0032】
混合攪拌造粒法とは、原料粉末に結合剤溶液を加えて、混合、攪拌しながら造粒する方法であり、品川式混合機(ダルトン)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン)、トポグラニュレータ(コレット−不二パウダル)などを使用することができる。
【0033】
転動造粒法とは、転動させた原料に結合剤を噴霧するか、または被覆することによって球形の粒子を作る方法であり、遠心流動型造粒コーティング装置(フロイント産業)、ロート・プロセッサー(エロマティック−富士産業)、マルメライザー(不二パウダル)、VGコーター(菊水製作所)などを使用することができる。
【0034】
造粒の際に使用する溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、水、あるいはこれらの混合液等が挙げられる。
【0035】
このように得られた造粒物は所望の粒子径に整粒し、散剤、細粒剤、顆粒剤の形態の製剤とすることができる。これら製剤はカプセルに充填してカプセル剤とすることもでき、或いは、さらに崩壊剤、滑沢剤等を必要に応じて添加し、打錠機等により圧縮成形することで錠剤形態の製剤にすることもできる。混合や造粒等の操作は、いずれも製剤技術分野において汎用されており、当業者は適宜実施することができる。また、錠剤には少なくとも1層のフィルムコーティングを設けてもよい。
【0036】
コーティングは、例えば、フィルムコーティング装置を用いて行われ、フィルムコーティング基剤としては、例えば、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
【0037】
糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、プルラン、などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0038】
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン及びマクロゴールなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
【0039】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース誘導体;メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーSなどのアクリル酸誘導体;セラックなどの天然物などが挙げられる。
【0040】
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース誘導体;アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・共重合体乳濁液などのアクリル酸誘導体などが挙げられる。
【0041】
上記コーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される可塑剤、賦形剤、滑沢剤、隠蔽剤、着色剤、防腐剤等の添加剤を含むことができる。
【0042】
本発明の固形製剤の有効成分であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗剤の投与量と投与比率は、個々の薬剤の活性、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により変化し得る。その投与量は症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、各々、一日あたり0.001mg/kg(好適には 0.01mg/kg)、上限 10mg/kg(好適には 1mg/kg)であり、これを一日1乃至6回症状に応じて投与することができる。
【0043】
また、本発明の固形製剤の有効成分であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗剤の投与量の比率も、また、大幅に変わりうるが、例えばアンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗剤の投与量比率は、重量比で、1 : 1000 乃至 1000 : 1 の範囲内であり得、好適には、1 : 100 乃至 100 : 1 であり、更に好適には、1 : 10 乃至 10 : 1 である。
【0044】
本発明の固形製剤は、例えば、高血圧症又は高血圧症に由来する疾患(より具体的には、高血圧症、心臓疾患[狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全若しくは心肥大]、腎臓疾患[糖尿病性腎症、糸球体腎炎若しくは腎硬化症]又は脳血管性疾患[脳梗塞若しくは脳出血])等の予防又は治療に有効である。
【実施例】
【0045】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
(1)オルメサルタンメドキソミル、ベシル酸アムロジピン、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを、それぞれ下記表1の1の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した後、精製水(混合末に対する水添加量 34%)で練合した。得られた練合物を真空乾燥機により乾燥させた後、30メッシュ篩(500μm)で篩過し、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウムを添加してメノウ乳鉢で2分間混合し、混合顆粒を得た。
【0046】
次に、得られた混合顆粒140mgをφ7.0mm臼に投入した後、油圧式単発打錠機にて、φ7.0mm平面の杵、錠剤重量140mg、打錠圧力10kNで打錠した。得られた錠剤について試験した結果を下記表2に示す。
比較例1
オルメサルタンメドキソミル、ベシル酸アムロジピン、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウムを、それぞれ下記表1の2の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した後、油圧式単発打錠機を用いて、φ7mm平面の杵で、錠剤重量140mg、打錠圧力10kNで打錠した。得られた錠剤について試験した結果を下記表2に示す。
実施例2
オルメサルタンメドキソミル、ベシル酸アムロジピン、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムを、それぞれ下記表1の3の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した後、精製水(混合末に対する水添加量 56%)で練合した。得られた練合物を真空乾燥機により乾燥させた後、30メッシュ篩(500μm)で篩過し、ステアリン酸マグネシウムを添加してメノウ乳鉢で2分間混合し、混合顆粒を得た。
【0047】
次に、得られた混合顆粒140mgをφ7.0mm臼に投入した後、油圧式単発打錠機にて、φ7.0mm平面の杵、錠剤重量140mg、打錠圧力10kNで打錠した。得られた錠剤について試験した結果を下記表2に示す。
比較例2
オルメサルタンメドキソミル、ベシル酸アムロジピン、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを、それぞれ下記表1の4の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した後、油圧式単発打錠機を用いて、φ7mm平面の杵で、錠剤重量140mg、打錠圧力10kNで打錠した。得られた錠剤について試験した結果を下記表2に示す。
試験例
日本薬局方第14改正の項に記載されている溶出試験法第2法(パドル法)に従い、毎分50回転、試験液として日局第2液(JP-2)900mLを用い、試験を行った。試験開始から30分(60分)後の試験液を採取し、吸光度測定法によりオルメサルタンメドキソミルの溶出率及び溶解量を測定した。〔富山産業(株):溶出試験器、(株)島津製作所:分光光度計〕。試験は2錠について行い、その平均値を示す。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
表2に示したように、湿式造粒工程を有する本発明の方法を使用して得られた固形製剤は、湿式造粒工程なしの固形製剤に比較して、アンジオテンシンII受容体拮抗剤(オルメサルタンメドキソミル)の溶出性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する、溶出性の改善された固形製剤を得る方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する固形製剤の製剤化方法であって、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する組成物を湿式造粒法にて製剤化する工程を含む方法。
【請求項2】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンもしくはイルベサルタン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩もしくはエステルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
カルシウム拮抗剤が、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン、バルニジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、ニソルジピン、エホニジピン、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラニジピンもしくはプラニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である請求項1乃至4に記載の方法。
【請求項6】
カルシウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である請求項1乃至4に記載の方法。
【請求項7】
カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である請求項1乃至4に記載の方法。
【請求項8】
カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンである請求項1乃至4に記載の方法。
【請求項9】
製剤が、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤又は錠剤である固形製剤を調製するための請求項1乃至8に記載の方法。
【請求項10】
錠剤を調製するための請求項1乃至8に記載の方法。
【請求項11】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンでる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤が、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン、バルニジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、ニソルジピン、エホニジピン、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラニジピンもしくはプラニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、前記カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンである請求項1に記載の方法。
【請求項17】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、その固形製剤が錠剤である請求項1に記載の方法。
【請求項18】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシウム拮抗剤がベシル酸アムロジピンであり、その固形製剤が錠剤である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
固形製剤が1種又は2種以上の水溶性高分子をさらに含有する請求項1乃至18に記載の方法。
【請求項20】
水溶性高分子が、セルロース誘導体及び合成高分子から選択される化合物の1種又は2種以上である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、マクロゴール、HA 「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項19に記載の方法。
【請求項22】
水溶性高分子が、セルロース誘導体から選択される化合物の1種又は2種以上である請求項19記載の方法。
【請求項23】
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項19に記載の方法。
【請求項24】
水溶性高分子がメチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースである請求項19に記載の方法。
【請求項25】
水溶性高分子がマクロゴールである請求項19に記載の方法。
【請求項26】
流動層造粒法、高速混合撹拌造粒法、押し出し造粒法、混合撹拌造粒法又は転動造粒法を使用して湿式造粒工程を実施する請求項1乃至25に記載の方法。
【請求項27】
高速混合撹拌造粒法を使用して湿式造粒工程を実施する請求項1乃至25に記載の方法。
【請求項28】
請求項1乃至27に記載の方法によって得ることができるアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する固形製剤。
【請求項29】
高血圧症の予防又は治療のための請求項28に記載の固形製剤。
【請求項30】
請求項1乃至28に記載の方法によって得ることができる固形製剤であって、高血圧症の予防又は治療のための薬剤の製造における、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤の使用。
【請求項31】
高血圧症の予防又は治療を要する患者における高血圧症の予防又は治療の方法であって、薬理学的有効量のアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を、請求項1乃至28に記載の方法によって得ることができる固形製剤として前記患者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2008−543727(P2008−543727A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558254(P2007−558254)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/JP2006/313174
【国際公開番号】WO2007/001065
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】