説明

湿気硬化型樹脂組成物

【課題】速硬化性、接着性(特にエラストマーに対する接着性)に優れる湿気硬化型樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)反応性基としてジメトキシシリル基を有する有機重合体100質量部、(B)反応性基としてトリメトキシシリル基を有する、ヒマシ油由来のポリエステル1〜150質量部、及び(C)硬化触媒を0.1〜15質量部を含有する湿気硬化型樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿気硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ジメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレンは「MSポリマー」の呼称で知られており、建築用途のシーリング材や接着剤に広く使用されている。MSポリマーを使用した配合系(例えば特許文献1等)においては、その硬化時間をタックフリータイム(T.F.T.)で1時間程とするのが速硬化の限度であった。
一方、天然ゴムや各種合成ゴムなどのエラストマーは幅広い用途に使用されているが、他の部材との接着が困難であることが知られており、多くの場合ゴム加硫時に他部材(例えば金属等)と接着させる処方がとられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3435351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者はMSポリマーを使用した配合系が硬化速度が遅いことの他にもエラストマー接着性が低いという問題があることを見出した。
そこで、本発明は速硬化性、接着性(特にエラストマーに対する接着性)に優れる湿気硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、反応性基としてジメトキシシリル基を有する有機重合体を含有する組成物に対して、反応性基としてトリメトキシシリル基を有する、ヒマシ油由来のポリエステルを配合することによって、組成物が速硬化性、接着性(特にエラストマーに対する)に優れるものとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜4を提供する。
1.(A)反応性基としてジメトキシシリル基を有する有機重合体100質量部、
(B)反応性基としてトリメトキシシリル基を有する、ヒマシ油由来のポリエステル1〜150質量部、及び
(C)硬化触媒を0.1〜15質量部を含有する湿気硬化型樹脂組成物。
2. 前記(A)有機重合体の主鎖がオキシアルキレン重合体及び/又はビニル重合体である上記1に記載の湿気硬化型樹脂組成物。
3. 前記(C)硬化触媒が4価のスズ触媒を含む上記1又は2に記載の湿気硬化型樹脂組成物。
4. 前記有機重合体が、末端にジメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体及び/又は末端にジメトキシシリル基を有するビニル重合体を含む上記1〜3のいずれかに記載の湿気硬化型樹脂組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は速硬化性、接着性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物(本発明の組成物)は、
(A)反応性基としてジメトキシシリル基を有する有機重合体100質量部、
(B)反応性基としてトリメトキシシリル基を有する、ヒマシ油由来のポリエステル1〜150質量部、及び
(C)硬化触媒を0.1〜15質量部を含有する湿気硬化型樹脂組成物である。
【0009】
本発明の組成物に含有される、(A)反応性基としてジメトキシシリル基を有する有機重合体は、主鎖が有機重合体であり、反応性基としてジメトキシシリル基を有するポリマーであれば特に制限されない。
有機重合体の主鎖は、速硬化性、接着性により優れるという観点から、オキシアルキレン重合体及び/又はビニル重合体であるのが好ましい。
主鎖としてのオキシアルキレン重合体は単独重合体、共重合体のいずれであってもよく、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンとオキシプロピレンの(共)重合体が挙げられる。
主鎖としてのビニル重合体は反応性ビニル基の付加重合によって主鎖が形成されたポリマーであれば特に制限されない。例えば、(メタ)アクリル系重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールのようなビニル重合体の、単独重合体、共重合体が挙げられる。具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチルホモポリマー、(メタ)アクリル酸メチル/スチレンコポリマー、スチレンホモポリマーが挙げられる。
【0010】
有機重合体が有するジメトキシシリル基について、ケイ素原子に結合することができる残り1つの基は特に制限されず、炭化水素基とすることができる。炭化水素基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基のようなアルキル基;脂環式炭化水素基;芳香族炭化水素基;これらの組合わせが挙げられる。
ジメトキシシリル基は主鎖の末端もしくは両末端に、または、側鎖として結合することができる。主鎖が分岐している場合、各分岐の末端に結合することができる。ジメトキシシリル基の数は、速硬化性、接着性により優れるという観点から、有機重合体1分子当たり、1〜4個であるのが好ましい。
反応性基(ジメトキシシリル基)は主鎖と直接にまたは有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基が挙げられる。
有機重合体はジメトキシシリル基を有機重合体の主鎖の末端、両末端及び側鎖のうちの少なくとも1つに結合することができる。有機重合体としては例えば、ジメトキシシリル基を末端に有するもの、ジメトキシシリル基がランダムに導入されたものが挙げられる。
【0011】
有機重合体は、速硬化性、接着性により優れるという観点から、末端にジメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体(a−1)及び/又はジメトキシシリル基を有するビニル重合体(a−2)を少なくとも含むのが好ましい。有機重合体としてのジメトキシシリル基を有するビニル重合体(a−2)はジメトキシシリル基を主鎖の末端、両末端及び側鎖のうちの少なくとも1つに結合することができる。オキシアルキレン重合体(a−1)としては例えば、ジメトキシシリル基を末端に有するもの、ジメトキシシリル基がランダムに導入されたものが挙げられる。ビニル重合体(a−2)としては例えば、ジメトキシシリル基を末端に有するもの、ジメトキシシリル基がランダムに導入されたものが挙げられる。
【0012】
末端にジメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体(a−1)としては、例えば、下記式(III)で表される化合物が挙げられる。
【化1】

式中、R1、R2は炭素原子数2〜6のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基)であり、R3は炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基のようなアルキル基;脂環式炭化水素基;芳香族炭化水素基;これらの組合わせ)であり、nは50〜900の整数であり、mは1〜4の整数であり、Xは原料として使用される、ポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを製造する際に用いられる開始剤(例えば従来公知のもの)の残基である。なおm、nは下記に示す(A)成分の数平均分子量に対応する値とすることができる。
オキシアルキレン重合体(a−1)を製造する際に主鎖を構成するために使用されるモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0013】
ジメトキシシリル基を有するビニル重合体(a−2)としては、例えば、(メタ)アクリル系重合体(例えば(メタ)アクリル酸メチルホモポリマー)、ポリスチレン、これらの共重合体(例えば(メタ)アクリル酸メチル/スチレンコポリマー)が挙げられる。なかでも、速硬化性、接着性により優れるという観点から、(メタ)アクリル系重合体が好ましい。例えば、ジメトキシシリル基を末端に有する(メタ)アクリル系重合体、ジメトキシシリル基がランダムに導入された(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。本発明において(メタ)アクリルはアクリル及びメタアクリルのうちの片方または両方を意味する。
ジメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体は(メタ)アクリル系モノマーを用いて得られる重合体であれが特に制限されない。ジメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を製造する際に主鎖を形成するために使用される(メタ)アクリル系モノマーは特に制限されない。例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリルアルキルエステル;ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートのような脂環式または芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートのようなエーテル結合を有する(メタ)アクリレート;ジアセトン(メタ)アクリレート;コハク酸2−メタクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−メタクリロイルオキシエチル、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、t−オクチルアクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのようなジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレートのようなアミノ基を有する(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、α−メチルアクリロニトリルのようなニトリル系化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのようなエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物;アリル(メタ)アクリレートのようなビニル基を有する(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートのようなヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物;東亞合成化学工業社製の商品名:アロニックスM−102,M−111,M−114,M−117、日本化薬社製の商品名:カヤハードTC110S,R629,R644、大阪有機化学社製の商品名:ビスコート3700;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのグルシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート等の多官能性化合物;多官能性化合物の市販品としての、三菱化学社製の商品名:ユピマーUV,SA1002,SA2007、大阪有機化学社製の商品名:ビスコート700、日本化薬社製の商品名:カヤハードR604,DPCA−20,DPCA−30,DPCA−60,DPCA−120,HX−620,D−310,D−330、東亞合成化学工業社製の商品名:アロニックスM−210,M−215,M−315,M−325等が挙げられる。
【0014】
(メタ)アクリル系重合体を製造する際に使用される、ジメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系又はビニル系化合物としては、例えば、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン;ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体を製造する際に使用されるモノマーは(メタ)アクリル系モノマー、ジメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系又はビニル系化合物以外にこれと共重合可能なモノマーをさらに含むことができる。このようなモノマーとしては例えば、スチレン;ブタジエンのようなジエン系モノマーが挙げられる。
【0015】
有機重合体の数平均分子量は、速硬化性、接着性により優れるという観点から、3,000〜50,000であるのが好ましく、10,000〜30,000であるのがより好ましい。有機重合体の数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で求められた。
有機重合体がオキシアルキレン重合体(a−1)である場合その数平均分子量は、速硬化性、接着性により優れるという観点から、3,000〜50,000であるのが好ましく、10,000〜30,000であるのがより好ましい。
有機重合体がビニル重合体(a−2)である場合組成物の数平均分子量は、速硬化性、接着性により優れるという観点から、3,000〜30,000であるのが好ましく、3,000〜10,000であるのがより好ましい。
有機重合体はその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
【0016】
有機重合体はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。有機重合体が、オキシアルキレン重合体(a−1)及びビニル重合体(a−2)を含む場合、ビニル重合体(a−2)の量は、速硬化性、接着性により優れるという観点から、オキシアルキレン重合体(a−1)100質量部に対して、5〜100質量部であるのが好ましく、10〜50質量部であるのがより好ましい。
【0017】
本発明の組成物に含まれる、(B)反応性基としてトリメトキシシリル基を有する、ヒマシ油由来のポリエステル[以下これを(B)成分または(B)ポリエステルということがある。]は、反応性基としてトリメトキシシリル基を有し、主鎖がヒマシ油由来のポリエステルを少なくとも有する重合体である。本発明において、(B)ポリエステルは主鎖がヒマシ油由来のポリエステルを含んでいればよい。
本発明の組成物は(A)成分との相溶性に優れる(B)成分を含むことによって速硬化性、接着性に優れる。
【0018】
主鎖としてのポリエステルはヒマシ油骨格を有するものであれば特に制限されない。ヒマシ油骨格と他の骨格とのブロックポリマーであっても構わない。また、主鎖としてのポリエステルについて、ヒマシ油由来のポリエステルの例として、例えば、ヒマシ油(ポリエステルポリオール)を原料として、これとイソシアネート基含有化合物とを反応させて得られるウレタン結合を有するポリエステルを含むものとする。主鎖としてのポリエステルは直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。
トリメトキシシリル基は速硬化性、接着性により優れ、硬化物の伸度に優れるという観点から、主鎖の末端又は両末端に結合することが好ましい。主鎖が分岐している場合、トリメトキシシリル基は上記と同様の理由から各分岐の末端に結合することが好ましい。トリメトキシシリル基の数は、速硬化性、接着性により優れるという観点から、(B)ポリエステル1分子当たり、1〜4個であるのが好ましい。
反応性基は主鎖と直接にまたは有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基が挙げられる。
(B)反応性基としてトリメトキシシリル基を有するポリエステル(トリメトキシシリル基を含む全体)の数平均分子量は、(A)成分との相溶性に優れ、500〜5,000であるのが好ましく、1,000〜3,000であるのがより好ましい。本発明において(B)成分の数平均分子量はテトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算によって求められた。
【0019】
(B)ポリエステルはその製造について特に制限されない。例えば、原料としてのヒマシ油(ヒマシ油ポリオール)と、ヒドロキシ基と反応可能な、トリメトキシシリル基を有するシランカップリング剤とを反応させることによって製造することができる。シランカップリング剤としては、例えば、イソシアネートシラン、無水酸シラン(酸無水物基を有するシランカップリング剤)が挙げられる。シランカップリング剤が有する、ヒドロキシ基と反応可能な官能基としては例えば、イソシアネート基、酸無水物基が挙げられる。
イソシアネートシランとしては、例えば、イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネートアルキルトリメトキシシシランが挙げられる。
また、ヒマシ油(ヒマシ油ポリオール)とジイソシアネートを反応させ、末端をイソシアネート基に変性した後に、これをイソシアネート基と反応可能な官能基(例えばアミノ基)及びトリメトキシシリル基とを有するシランカップリング剤(例えばアミノ基含有トリメトキシシラン化合物)で末端をトリメトキシシリル化して(B)ポリエステルを製造する方法を採用することも可能である。ジイソシアネートはイソシアネート基を2個有する化合物であれば特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。アミノ基含有トリメトキシシラン化合物としては、例えば、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
また、(B)ポリエステルは例えば、ヒマシ油(ヒマシ油ポリオール)と他のポリオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリオール)とジイソシアネート化合物とを混合して反応させ、この反応物と、イソシアネート基と反応可能な官能基(例えばアミノ基)及びトリメトキシシリル基を有するシランカップリング剤(例えばアミノ基含有トリメトキシシラン化合物)とを反応させることによって、主鎖がヒマシ油骨格を主成分とするブロックポリマーを有し末端にトリメトキシシリル基を有するポリエステルとして製造することができる。
(B)ポリエステルはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、(B)ポリエステルの量は、速硬化性、接着性に優れるという観点から、(A)有機重合体100質量部に対して、1〜150質量部であり、2〜50質量部であるのが好ましく、5〜30質量部であるのがより好ましい。
【0020】
本発明の組成物に含有される(C)硬化触媒は、シラノール縮合触媒として使用されるものであれば特に制限されない。例えば、チタン系エステル類、錫化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、ビスマス化合物、アミン化合物が挙げられる。
なかでも、速硬化性、接着性に優れるという観点から、錫化合物が好ましく、4価の錫化合物を少なくとも含むのがより好ましい。
4価の錫化合物としては、例えば、4価のジメチルスズ化合物、4価のジオクチルスズ化合物;ジアルキルスズジカルボキシレート;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジアルキルスタノキサンジカルボキシレート;ジブチルスズジメトキシドのようなジアルキルスズアルコラート;(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物;ジブチルスズジアセチルアセトナートのようなキレート;ジオクチルスズオキサイドとフタル酸ジエステルとの反応生成物、ジオクチルスズ塩と正ケイ酸エチルとの反応混合物等が挙げられる。
【0021】
ジアルキルスズジカルボキシレートとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【化2】

式中、R1、R2はアルキル基(炭素数1〜8)であり、R3、R4はアルキル基(炭素数1〜20)である。炭素数1〜8のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基が挙げられる。炭素数1〜20のアルキル基としては例えば、上記の炭素数1〜8のアルキル基の他、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシル基が挙げられる。
ジアルキルスズジカルボキシレートとしては具体的には例えば、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテートが挙げられる。
【0022】
(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物としては、例えば、下記式(IV)で表される化合物が挙げられる。
【化3】

式中、R5、R6は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R5、R6は同一でも異なっていてもよい。また、式中、複数のR5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、同様に、複数のR6はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。mは0〜3の整数である。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基のようなアルキル基;脂環式炭化水素基;芳香族炭化水素基が挙げられる。
(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物としては、例えば、ジオクチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成混合物が挙げられる。
【0023】
(C)硬化触媒としては、市販品を用いることができ、その具体例としては、ネオスタンU−810、ネオスタンU−820、ネオスタンU−830、ネオスタンS−1(いずれも、日東化成社製)等が挙げられる。ネオスタンS−1は式(IV)で表される化合物を含む硬化触媒の一例である。ネオスタンU−820は式(1)で表される化合物を含む硬化触媒の一例である。
なかでも、速硬化性、接着性により優れるという観点から、ネオスタンS−1が好ましい。また、速硬化性、接着性により優れ、特にEPDMに対する接着性に優れるという観点から、ネオスタンU−820が好ましい。
硬化触媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
本発明の組成物において(C)硬化触媒の量は、(A)有機重合体100質量部に対して、0.1〜15質量部であり、0.5〜10質量部であるのが好ましく、0.5〜5質量であるのがより好ましい。
硬化触媒として式(IV)で表される化合物(例えばネオスタンS−1)を使用する場合、その量は、速硬化性、接着性により優れるという観点から、(A)有機重合体100質量部に対して0.5〜5質量であるのが好ましい。
硬化触媒として式(1)で表される化合物(例えばネオスタンU−820)を使用する場合、その量は、速硬化性、接着性により優れ、特にEPDMに対する接着性に優れるという観点から、(A)有機重合体100質量部に対して0.5〜10質量部であるのが好ましい。
【0025】
本発明の組成物は、接着性に優れるという観点から、反応性基としてトリメトキシシリル基を有する有機重合体(但し(B)成分を除く。)を実質的に含有しないのが好ましい。反応性基としてトリメトキシシリル基を有する有機重合体は、反応性基がトリメトキシシリル基であること以外は反応性基としてジメトキシシリル基を有する有機重合体と同様である。
反応性基としてトリメトキシシリル基を有する有機重合体としては、例えば、末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン、トリメトキシシリル基を有するビニル系共重合体が挙げられる。
反応性基としてトリメトキシシリル基を有する有機重合体を実質的に含有しないとは、反応性基としてトリメトキシシリル基を有する有機重合体の量が、(A)有機重合体100質量部に対して、10質量部以下であることをいう。
【0026】
本発明の組成物は、上記の成分の他に添加剤をさらに含むことができる。添加剤としては、例えば、シリカ、表面処理炭酸カルシウムのような充填剤、可塑剤、ビニルシランのような脱水剤、シランカップリング剤、チクソトロピー付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、接着付与剤、分散剤、溶剤、硬化剤、難燃剤が挙げられる。
【0027】
本発明の組成物は充填剤としてのシリカをさらに含むのが好ましい態様の1つとして挙げられる。本発明の組成物がさらにシリカを含有する場合、接着性により優れ、硬化物の機械物性(強度、伸び)に優れる。シリカとしては例えばヒュームドシリカが挙げられる。ヒュームドシリカは、貯蔵安定性に優れるという観点から、疎水性ヒュームドシリカであるのが好ましい。シリカ(例えばヒュームドシリカ)の平均粒径は、0.0005〜0.5μmである場合透明性に優れかつ、硬化物の機械物性を向上させることができ好ましい。またシリカ(例えばヒュームドシリカ)の表面処理剤としてオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物等を用いて処理されたものを使用することができる。
充填剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
充填剤の量は、作業性(組成物粘度)、硬化物の機械物性、透明性に優れるという観点から、(A)有機重合体100質量部に対して、0.5〜20質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。
【0029】
本発明の組成物は接着特性、貯蔵安定性を向上させる為にさらにシランカップリング剤を含むのが好ましい態様の1つとして挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、ビニルシランが挙げられる。
エポキシシランとしては例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
アミンシランとしては、例えば、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
ビニルシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが挙げられる。
シランカップリング剤の量は、接着特性、貯蔵安定性に優れるという観点から、(A)有機重合体100質量部に対して、1〜10質量部であるのが好ましい。
【0030】
本発明の組成物はその製造について特に制限されない。例えば、上述の各成分を窒素雰囲気下において混合ミキサー等の攪拌装置を用いて十分混練し、均一に分散させて製造する方法が挙げられる。
本発明の組成物は、1液型または2液型として製造することができる。
本発明の組成物は室温(5〜35℃)で硬化することができる。本発明の組成物は例えば大気中の湿気、組成物に含有することができる充填剤のような成分中に含まれる水分によって硬化することができる。
【0031】
本発明の組成物を適用することができる被着体は特に制限されない。例えば、金属、プラスチック、エラストマー(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム)、ガラス、セラミックが挙げられる。本発明の組成物を被着体に適用する方法は特に制限されない。
【0032】
本発明の組成物の用途としては、例えば、シーリング材、接着剤、コーティング材、プライマー、塗料、ポッティング材が挙げられる。本発明の組成物は、各種電気・電子分野用、建築物用、自動車用、土木用、音響部材、音響機材等に使用可能である。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<反応性基としてトリメトキシシリル基を末端に有するヒマシ油由来のポリエステル(化合物b−1)の製造>
ヒマシ油ポリオールHF−1300(数平均分子量1300、伊藤製油社製)を1000g計量し、これを110℃に昇温し減圧撹拌して12時間脱水した。その後、室温で40℃まで冷却し、これにイソシアネートシランY−5187(3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を300g計量して投入した。温度90℃で24時間反応させ、反応性基としてトリメトキシシリル基を末端に有する、ヒマシ油由来のポリエステルを得た。得られた化合物を化合物b−1とする。
【0034】
<反応性基としてトリメトキシシリル基を有するウレタンアクリレート(化合物b−2)の製造>
ウレタンアクリレート UV−3700B(エーテルタイプのウレタンアクリレート樹脂、日本合成社製、数平均分子量38000)を1000g計量し、これにアミノシランKBM573(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製)を13g計量して投入した。これらを温度90℃で24時間反応させ、反応性基としてトリメトキシシリル基を有するウレタンアクリレートを得た。得られた化合物を化合物b−2とする。
【0035】
<反応性基としてトリメトキシシリル基を有するポリエステル(化合物b−3)の製造>
アジピン酸/テレフタル酸と3メチル1,5ペンタジオールから得られるポリエステルポリオール P−2011(数平均分子量2000、クラレ社製)を1000g計量し、これを110℃に昇温し減圧撹拌して12時間脱水した。その後、室温で40℃まで冷却し、これにイソシアネートシランY−5187(3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を200g計量して投入した。温度90℃で24時間反応させ、反応性基としてトリメトキシシリル基を有するポリエステルを得た。得られた化合物を化合物b−3とする。
【0036】
<分子中に尿素結合を有し、反応性基としてトリメトキシシリル基を末端に有する、ヒマシ油由来のポリエステル(化合物b−4)の製造>
ヒマシ油ポリオールHF−1300(数平均分子量1300、伊藤製油社製)を1000g計量し、これを110℃に昇温し減圧撹拌して12時間脱水した。その後、室温で40℃まで冷却し、これにコスモネートT−80(トリレンジイソシアネート、三井化学社製)を260g計量して投入した。温度90℃で24時間反応させ、イソシアネート末端のポリエステルを得た。さらにアミノシランY−9669(3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を380g計量して投入した。温度90℃で24時間反応させ、分子中に尿素結合を有し、反応性基としてトリメトキシシリル基を末端に有する、ヒマシ油由来のポリエステルを得た。得られた化合物を化合物b−4とする。
【0037】
<ビニル重合体の製造>
105℃に加熱したトルエン50g中に、メチルメタクリレート14.5g、ブチルアクリレート68.5g、ステアリルメタクリレート15g、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン2g、2,2′―アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5g、トルエン20gを溶かした溶液を5時間かけて滴下し、その後1時間「後重合」を行って、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランがランダムに導入されたビニル系共重合体[(メタ)アクリル系重合体]を得た。ビニル重合体はメチルジメトキシシリル基を末端、両末端及び側鎖のうちの少なくとも1つに有する。ビニル重合体の数平均分子量は3500であった。ビニル重合体の数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で求められた。
【0038】
<ポリマー1>
S−303(DMSポリマー、カネカ社製)100gと上記のとおりにして得られたビニル重合体20gを混合し、溶剤を留去してポリマー1を得た。ポリマー1中のDMSポリマーとビニル重合体の質量比は100:20である。
<ポリマー2>
S−303(DMSポリマー、カネカ社製)100gと上記のとおりにして得られたビニル重合体50gを混合し、溶剤を留去してポリマー2を得た。ポリマー2中のDMSポリマーとビニル重合体の質量比は100:50である。
<ポリマー3>
SAX510(TMSポリマー、カネカ社製)100gと上記のとおりにして得られたビニル重合体20gを混合し、溶剤を留去してポリマー3を得た。ポリマー3中のTMSポリマーとビニル重合体の質量比は100:20である。
【0039】
<組成物の製造>
下記各表に示す成分を同表に示す量(質量部)で用いてこれらを混合して湿気硬化型樹脂組成物を製造した。
【0040】
<評価>
上記のようにして得られた湿気硬化型樹脂組成物を用いて、硬化性、接着性を以下に示す方法で評価した。結果を各表に示す。
1.硬化性(タックフリータイム)
上記のようにして得られた湿気硬化型樹脂組成物を23℃、50%RHの条件下に置き、組成物の表面をポリエチレンフィルムで触れてポリエチレンフィルムに材料が付着しなくなるまでの時間を測定した。
タックフリータイムは60分未満であるのが好ましく、30分以下であるのがより好ましく、25分以下であるのがさらに好ましい。
2.接着性(ハンドピール接着)
下記のようにして得られた湿気硬化型樹脂組成物をそれぞれの被着体[スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)]の上に膜厚約10mmとなるようにビード状に塗布した後、20℃、55%RHの条件下に7日間置いて養生させ試験体を得た。得られた試験体のビード部分をナイフカットしながら手で剥離し破壊モードを目視で確認した。評価結果を凝集破壊をCF、界面剥離をAFとして表示する。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
第1表に示されている各成分は、以下のとおりである。
・S−303:DMSポリマー。反応性基がメチルジメトキシシリル基であり、主鎖はポリオキシプロピレンであり、反応性基は主鎖の末端に結合する。S−303は商品名、カネカ社製
・ポリマー1〜3:上述のとおり製造したポリマー1〜3
・ポリマー4:DMSポリマー(主鎖:アクリル)。反応性基がメチルジメトキシシリル基であり、主鎖がアクリル系重合体であり、反応性基は主鎖の末端に結合する。商品名SA―100S、カネカ社製
・化合物b−1〜b−4:上述のとおり製造したもの
・R972:フュームドシリカ、エボニック・テグサ社製、平均粒径0.0016μm
・A−171:ビニルシラン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製
・KBM602:ジアミノシラン、信越化学社製
・ネオスタンS1:ジオクチル錫化合物(4価錫化合物)、ジオクチルスズ塩と正ケイ酸エチルとの反応混合物、日東化成社製
・ネオスタンU−820:ジオクチル錫ジアセテート、日東化成社製
【0044】
第1表に示す結果から明らかなように、(B)ポリエステルを含有しない比較例1、2は速硬化性、接着性が悪かった。トリメトキシシリル基を有する有機重合体を含有し、(B)ポリエステルを含有しない比較例3、4は接着性が低かった。(B)ポリエステルを含有せず代わりにウレタンアクリレート変性品を含有する比較例5は速硬化性、接着性が悪かった。(B)ポリエステル以外のポリエステルを含有する比較例6は組成物が分離し、このため速硬化性、接着性は評価できなかった。
これに対して実施例1〜9は速硬化性、接着性に優れる。
【0045】
また、実施例8、比較例2、5については被着体として上記のものの他にEPDMを用いるハンドピール接着を、被着体としてEPDMを用いる以外は上記のハンドピール接着の評価と同様に行った。EPDMは難接着性でありEPDMに適用される接着剤の強度は一般的に低い。
その結果、EPDMに対する接着性(ハンドピール接着)について、4価の錫化合物としてジオクチル錫ジアセテートを用いる実施例8の評価結果はCFであった。比較例2、5の評価結果はAFであった。4価の錫化合物として式(IV)で表される化合物を用いる場合その量が少量でも優れた速硬化性、接着性を得ることができる。4価の錫化合物として式(1)で表される化合物を用いる場合EPDMのような難接着性ポリマーに対して優れた接着性を得ることができる。
【0046】
また、実施例1〜8については被着体として上記のものの他に天然ゴム(NR)、陽極酸化アルミニウムを用いるハンドピール接着を、被着体着体として天然ゴム(NR)、陽極酸化アルミニウムを用いる以外は上記のハンドピール接着の評価と同様に行った。
その結果、天然ゴム(NR)、陽極酸化アルミニウムに対する接着性について、実施例1〜9の評価結果はCFであった。本発明の組成物はゴム、金属を接着させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)反応性基としてジメトキシシリル基を有する有機重合体100質量部、
(B)反応性基としてトリメトキシシリル基を有する、ヒマシ油由来のポリエステル1〜150質量部、及び
(C)硬化触媒を0.1〜15質量部を含有する湿気硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)有機重合体の主鎖がオキシアルキレン重合体及び/又はビニル重合体である請求項1に記載の湿気硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C)硬化触媒が4価のスズ触媒を含む請求項1又は2に記載の湿気硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
前記有機重合体が、末端にジメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体及び/又は末端にジメトキシシリル基を有するビニル重合体を含む請求項1〜3のいずれかに記載の湿気硬化型樹脂組成物。

【公開番号】特開2013−91754(P2013−91754A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236200(P2011−236200)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MSポリマー
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】