湿球ウィック
【課題】湿球ウィックを湿球温度用センサに装着する作業を容易にする。
【解決手段】湿球温度用センサ14が挿入される収納部4の開口端20側は、その開口サイズが開口端20へ向かって大きく形成されて、挿入される湿球温度用センサ14を、収納部4の奥側へ案内するガイド部とされ、一方の不織布1a1には、開口端20に連なる切欠き6が形成されている。これによって、開口サイズが大きい開口端20から湿球温度用センサ14を挿入し易くすると共に、ガイド部によって収納部4の奥側へ案内し、更に、切欠き6によって、湿球温度用センサ14を挿入する際に、一方の不織布1a1が他方の不織布1a2から離間し易くなって挿入のための開口が容易に開くようにしている。
【解決手段】湿球温度用センサ14が挿入される収納部4の開口端20側は、その開口サイズが開口端20へ向かって大きく形成されて、挿入される湿球温度用センサ14を、収納部4の奥側へ案内するガイド部とされ、一方の不織布1a1には、開口端20に連なる切欠き6が形成されている。これによって、開口サイズが大きい開口端20から湿球温度用センサ14を挿入し易くすると共に、ガイド部によって収納部4の奥側へ案内し、更に、切欠き6によって、湿球温度用センサ14を挿入する際に、一方の不織布1a1が他方の不織布1a2から離間し易くなって挿入のための開口が容易に開くようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対湿度を計測するための湿球温度を検出する湿球温度用センサに装着される湿球ウィックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、湿球ウィックは、棒状の湿球温度用センサに装着されて湿球温度用センサの周囲を常時濡れた状態に保つ機能を有し、湿球ウィックの下端は、下方に設けられたウィックパン内の水に浸漬され、毛細管現象によって水を吸い上げるようになっている。
【0003】
図11は、特許文献1に記載の従来例の湿球ウィックの使用状況を示す図である。この湿球ウィックは、一枚の布25を折り返して重ね、折り返し側の端部に、棒状の湿球温度用センサ26を包み込むような幅で、かつ、湿球温度用センサ26の挿入に必要な長さの部分まで縫い合せた袋状部27を形成し、袋状部27の下部を下方に垂らして水を補給するウィックパン28に浸漬させている。袋状部27に湿球温度用センサ26を密着した状態で収納するために、この袋状部27を開いたときに形成される開口のサイズは、小さくされている。
【0004】
湿球ウィックの袋状部27は、二枚の布が重ね合わされた状態に形成されているので、湿球温度用センサ26を、開口サイズの小さな袋状部27に挿入するのが困難となる。
【0005】
そこで、上記特許文献1では、図12(a)に示すように、袋状部27の入口側の端部を、縫い合わせないで開いた非袋状部29としたり、図12(b)に示すように、袋状部27の入口において、前面側布25aに切り込み30を形成して非袋状部29としたり、あるいは、図12(c)に示すように、袋状部27の入口において、前面側布25aに切欠き31を形成して非袋状部29としたり、更には、図12(d)に示すように、袋状部27の入口側において、後面側布25bを前面側布25aよりも延長して非袋状部29を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭57−19641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1では、袋状部の入口を、切り込みや切欠きなどを形成した非袋状部としているので、湿球温度用センサが挿入し易くなるが、袋状部を構成する二枚の布は密着して挿入のための開口が開きにくく、開口のサイズも従来と同様に小さいので、袋状部に湿球温度用センサを挿入するのは、依然として困難を伴うものであり、改善の余地があった。
【0008】
特に、湿球ウィックを装着する湿球温度用センサ及びウィックパンは、湿度を制御する環境試験装置などの試験室内の奥側上部の壁面から試験室内に水平に突出するように配設されている場合が多く、作業者は、試験室の奥側の手の届きにくい位置にある湿球温度用センサまで腕を伸ばして手探り状態で作業を行わねばならず、湿球温度用センサの先端部を袋状部に挿入させて装着するのは、容易ではない。
【0009】
また、湿球ウィックを湿球温度用センサに装着した後、湿球ウィックの下部を、ウィックパンの開口からウィックパンに挿入するのであるが、湿球温度用センサに装着された状態の湿球ウィックを、ウィックパンに挿入する際には、湿球ウィックの下部を屈曲させてウィックパンに挿入する必要がある。このとき、湿球ウィックの下部の二枚の布がめくれ上がって一方の布のみがウィックパンに入り、他方の布がウィックパンに入らない状態が発生しやすい。このため、手探り状態で作業を行っている場合には、一方の布しかウィックパンに入っていないにも拘らず、二枚の布がウィックパンに挿入されていると誤って認識し、正確な湿球温度が計測できなかったり、あるいは、ウィックパンへの挿入をやり直しているうちにウィックパンの水が試験室内に飛散して試料を濡らしてしまう場合がある。
【0010】
更に、湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着作業や湿球ウィックの下部をウィックパンに挿入する作業に手間取って作業時間が長くなったり、その間に作業者の手が、湿球ウィックに触れる箇所が多くなって雑菌が付着し、雑菌の繁殖の原因になるといった課題がある。
【0011】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着を容易にすることを主たる目的とし、更に、湿球ウィックの下部をウィックパンに容易に浸漬できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0013】
(1)本発明の湿球ウィックは、重ね合わされた布シートの一端側に、湿球温度用センサが収納される収納部を有し、他端側に、水に浸漬される浸漬部を有し、前記収納部の開口端から該収納部内に前記湿球温度用センサが挿入されるようにして、該湿球温度用センサに装着される湿球ウィックであって、
前記収納部の開口端側は、その開口サイズが前記開口端へ向かって大きく形成されて、挿入される前記湿球温度用センサを、前記収納部の奥側へ案内するガイド部とされ、前記重ね合わされた布シートの内の一方の布シートには、前記開口端に連なる切込み及び切欠きの少なくともいずれか一方が形成される。
【0014】
重ね合わされた布シートは、二枚の布シートを重ね合わせたものであってもよいし、一枚の布シートを折って重ね合わせたものであってもよい。
【0015】
開口サイズとは、収納部を構成する重ね合わされた二枚の布シートを広げたときに形成される開口のサイズをいう。
【0016】
収納部の開口サイズが大きく形成される開口端側とは、収納部の奥側の端部から開口端までにおいて、その中間位置よりも開口端寄りの位置をいう。
【0017】
本発明によれば、開口端から湿球温度用センサが挿入される収納部の開口サイズを、開口端側では、開口端へ向かって大きく形成したガイド部としているので、湿球温度用センサが、開口サイズが大きい開口端から挿入されてガイド部によって収納部の奥側へ案内されることになり、収納部への湿球温度用センサの挿入が容易となって、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が容易となる。
【0018】
しかも、重ね合わされた布シートの内の一方の布シートには、前記開口端に連なる切込み及び切欠きの少なくともいずれか一方が形成されるので、開口端から湿球温度用センサを挿入する際に、前記切込みや切欠きによって、重ね合わされた布シート間の開口が開き易くなって、湿球温度用センサを挿入し易くなり、これによって、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が一層容易となる。
【0019】
(2)本発明の湿球ウィックの好ましい実施態様では、前記重ね合わされた布シートの前記他端側には、重ね合わされた布シートの分離を防止する分離防止部が、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って複数形成される。
【0020】
この実施態様によると、重ね合わされた布シートの前記他端側、すなわち、ウィックパンの水に浸漬される浸漬部には、湿球温度用センサの挿入方向に沿って複数の分離防止部が形成されているので、湿球温度用センサに装着された状態の当該湿球ウィックの浸漬部を屈曲させてウィックパンに挿入する際に、重ね合わされた布シートがめくれ上がるといったことがなく、これによって、一方の布シートしかウィックパンに挿入されないといった誤挿入が防止されると共に、容易にウィックパンに浸漬させることができる。更に、ウィックパン内でも重ね合わされた二枚の布シートが分離することなく密着し、吸水性が安定したものとなる。
【0021】
(3)本発明の湿球ウィックの他の実施態様では、前記収納部は、前記重ね合わされた布シートの前記一端を、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って接着した第1接着部と、該第1の接着部よりも前記他端側の前記重ね合わされた布シートを、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って前記第1の接着部よりも短い長さに亘って接着した第2接着部と、前記重ね合わされた布シートを、前記第2接着部に連続するように、かつ、前記収納部の前記開口端側の開口サイズが前記開口端へ向かって大きくなるように接着した第3接着部とを有し、
前記第1接着部と前記第2接着部とが、前記収納部の奥側の端部で連続し、前記第3接着部が、挿入される前記湿球温度用センサを、前記第1接着部と前記第2接着部との間へ案内する前記ガイド部とされる。
【0022】
接着部は、重ね合わされた布シートを接着、すなわち、くっつけるものであればよく、溶着、圧着、あるいは、縫着などで接着するものであればよい。
【0023】
この実施態様によると、収納部の開口端から挿入される湿球温度用センサは、第2接着部に連なるガイド部としての第3接着部によって、第2接着部と第1接着部との間に案内されて収納部の奥側へ導かれるので、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が容易となる。
【0024】
(4)上記(3)の実施態様では、前記第3接着部を前記他端側に延ばして、前記分離防止部を兼用してもよい。
【0025】
この実施態様によると、第3接着部を前記他端側、すなわち、ウィックパンの水に浸漬される浸漬部側へ延ばして、収納部の開口サイズを大きくすると同時に、
重ね合わされた布シートが分離するのを防止することができ、分離防止部を形成する箇所を減らすことができる。
【0026】
(5)本発明の湿球ウィックの他の実施態様では、前記一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成され、該切欠きは、挿入される湿球温度用センサが前記開口端において、前記切欠きによって露出しない位置に形成される。
【0027】
この実施態様によると、重ね合わされた布シートの内の一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成されるので、開口端から湿球温度用センサを挿入する際に、切欠きによって、重ね合わされた布シート間の開口が開き易く、湿球温度用センサを挿入し易くなり、これによって、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が容易となる。
【0028】
しかも、この切欠きは、開口端における湿球温度用センサが、該切欠きによって露出しない位置に形成されているので、湿球温度用センサは、切欠きによって露出することなく、重ね合わされた布シートで覆われることになり、外気の影響や保水量の低下の影響を受けることがない。
【0029】
(6)本発明の湿球ウィックの更に他の実施態様では、前記一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成され、前記切欠きは、前記開口端側が大きく、前記湿球温度用センサの挿入方向に向かって小さく形成される。
【0030】
この実施態様によると、一方の布シートに形成された開口端に連なる切欠きは、湿球温度用センサの挿入方向に向かって小さく形成されているので、湿球温度用センサを開口端から挿入するにつれて一方の布シートが他方の布シートから離間して、重ね合わされた布シート間の開口が開き易くなって、湿球温度用センサを挿入し易くなり、これによって、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が一層容易となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ガイド部および一方の布シートに形成した切込みや切欠きによって、収納部への湿球温度用センサの挿入が容易となり、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が容易となる。
【0032】
更に、分離防止部によって、重ね合わされた布シートの下部がめくれ上がるといったことがなく、容易かつ確実にウィックパンに挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態の湿球ウィックを装着する湿球温度用センサを備えた環境試験装置の試験室の概略構成を示す図である。
【図2】湿球ウィックを湿球温度用センサに装着する状態を示す正面図である。
【図3】湿球ウィックの斜視図である。
【図4】湿球ウィックを湿球温度用センサに装着し、ウィックパンに浸漬した状態を示す正面図である。
【図5】湿球ウィックをウィックパン15に浸漬した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の湿球ウィックの他の実施形態の要部の正面図である。
【図7】本発明の湿球ウィックの他の実施形態の要部の正面図である。
【図8】本発明の湿球ウィックの更に他の実施形態の要部の正面図である。
【図9】本発明の湿球ウィックの他の実施形態の要部の正面図である。
【図10】本発明の湿球ウィックの他の実施形態の要部の正面図である。
【図11】従来例の使用状況を示す図である。
【図12】従来例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る湿球ウィック1が使用される環境試験装置の試験室101内の概略構成を示す図である。試験室101内には、湿球温度検出部10と、乾球温度検出部11とが備えられている。環境試験装置は、両温度検出部10、11によって試験室101内の乾球温度と湿球温度とを検出し、それらに基づいて相対湿度を算出し、試験室101内の湿度が設定湿度になるように制御している。
【0035】
乾球温度検出部11は、乾球温度用センサ13を有し、湿球温度検出部10は、湿球温度用センサ14とウィックパン15とを有する。乾球温度用センサ13と湿球温度用センサ14とは、共に棒状であり、乾球温度用センサ13を上にして試験室101の内壁面から室内に向けて水平に突出配置されている。ウィックパン15は、湿球温度用センサ14の下方に配置されている。
【0036】
湿球ウィック1は、ウィックの一端側(上端側)に湿球温度用センサ14を収納し、ウィックの他端側(下端側)を垂下して、ウィックパン15の貯留水に浸漬することで、毛細管現象によって貯留水を吸水してウィック全体で保水し、これにより湿球温度用センサ14全体を湿潤な状態に保持している。
【0037】
図2は、湿球ウィック1を湿球温度用センサ14に装着する状態を示す正面図であり、図3は、湿球ウィック1の斜視図であり、図4は、湿球ウィックを湿球温度用センサに装着すると共に、ウィックパン15に浸漬した状態を示す正面図である。
【0038】
この実施形態の湿球ウィック1は、布シートとしての1枚の不織布1aを、矩形状に折り重ねたものであって、図3に示すように手前側の不織布1a1と奥側の不織布1a2とが重ね合わされている。不織布1aの材質は、特に限定されず、湿球ウィックとして従来使用されている公知の材質を使用することができ、また、不織布に限らず、織布やその他であってもよい。
【0039】
重ね合わされた不織布1a1,1a2の一端側である上端側には、棒状の湿球温度用センサ14が収納される収納部4が形成されており、この収納部4は、湿球温度用センサ14の挿入方向に沿って(図2の左右方向に沿って)延びている。
【0040】
重ね合わされた不織布1a1,1a2の他端側である下端側は、ウィックパン15内の貯留水に浸漬される浸漬部5となっており、この実施形態の湿球ウィック1では、浸漬部5の一部が矩形に切り欠かかれ、第1の浸漬部51と、第2の浸漬部52となっている。なお、不織布の下部の浸漬部は、切り欠かれていなくてもよい。
【0041】
収納部4は、重ね合わされた不織布1a1,1a2の上端同士を、湿球温度用センサ14の挿入方向に沿って直線状に溶着した第1接着部3bと、この第1接着部3bに平行であって、第1接着部3bよりも短い長さに亘って、前記不織布1a1,1a2を直線状に溶着した第2接着部3a1と、この第2接着部3a1に連続して斜め下方へ前記不織布1a1,1a2を直線状に溶着した第3接着部3a2とを有し、第1接着部3bと第2接着部3a1とが、収納部4の奥側の端部で連続するように形成されている。なお、各接着部3b,3a1,3a2は、直線状に連続的に溶着してもよいし、直線状に多数の点で溶着してもよい。
【0042】
第1接着部3bとこれに平行な第2接着部3a1とによって構成される収納部4の開口サイズ、すなわち、第1接着部3bと第2接着部3a1とによって溶着された不織布1a1,1a2を拡開したときの開口サイズは、収納される湿球温度用センサ14との密着性を高めるために、湿球温度用センサ14を挿入できる程度のサイズとされている。
【0043】
これに対して、第1接着部3bとこれから離間するように斜め下方へ延びる第3接着部3a2とによって構成される収納部4の開口サイズは、湿球温度用センサ14の挿入口となる開口端20へ向って次第に大きくなっており、開口端20における収納部4の開口サイズは、湿球温度用センサ14のサイズに比べて十分に大きなサイズとなっている。
【0044】
これによって、開口サイズが大きい収納部4の開口端20からの湿球温度用センサ14の挿入が容易となる。
【0045】
更に、第3接着部3a2は、第2接着部3a1から開口端20へ向けて斜め下方へ延びているので、開口端20から挿入される湿球温度用センサ14の挿入先端は、第3接着部3a2によって上方の第2接着部3a1へと案内されて、第1接着部3bと第2接着部3a1とによって構成される収納部4の奥側へと導かれる。すなわち、第3接着部3a2は、湿球温度用センサ14の挿入先端を収納部4の奥側へと案内するガイド部としての機能を有しており、これによって、収納部4に湿球温度用センサ14を容易に挿入することが可能となり、当該湿球ウィック1を、湿球温度用センサ14に容易に装着することが可能となる。
【0046】
また、重ね合わされた不織布1a1,1a2の手前側の不織布1a1には、開口端20から湿球温度用センサ14の挿入方向に向って小さくなる三角形の切欠き6が形成されており、この三角形の一辺が開口端20とされると共に、他の一辺が、斜めに延びる第3接着部3a2と平行になるように形成されている。
【0047】
このように手前側の不織布1a1には、収納部4の開口端20から湿球温度用センサ14の挿入方向に向って三角形の切欠き6が形成されているので、奥側の不織布1a2を湿球温度用センサ14に当てがうようにして開口端20から湿球温度用センサ14が挿入される際に、手前側の不織布1a1が、奥側の不織布1a2から離間して挿入用の開口が開き易くなる。これによって、湿球温度用センサ14が収納部4へ容易に挿入されることになり、湿球ウィック1の湿球温度用センサ14への装着が一層容易となる。
【0048】
また、切欠き6は、第1接着部3bよりも下方の位置であって、第2接着部3a1を、第1接着部3bに平行に開口端20まで延長したと仮定した位置よりも下方の位置に形成されている。これによって、収納部4に収納される湿球温度用センサ14が、切欠き6によって露出することがない。すなわち、収納部4に収納される湿球温度用センサ14は、二枚の不織布1a1,1a2によって完全に覆われるので、外気の影響を受けたり、保水量が低下するといったことがない。
【0049】
更に、この実施形態では、ウィックパン15に浸漬される第1の浸漬部51と、第2の浸漬部52とには、重ね合わされた二枚の不織布1a1,1a2が分離するのを防止するための点状に溶着された分離防止部71,72が、それぞれ形成されている。第1の浸漬部51では、湿球温度用センサ14の挿入方向に沿う方向の略中間位置に分離防止部71が形成され、前記方向の長さが長い第2浸漬部52では、第1の浸漬部51側の端部に分離防止部72が形成されている。第2浸漬部52では、第3接着部3a2が下方へ延びているので、第3接着部3a2が上述のガイド部としての機能を有すると共に、分離防止部としての機能を有している。
【0050】
次に、上記構成を有する湿球ウィック1を湿球温度用センサ14に装着する手順及びそれに引き続くウィックパン15への浸漬の手順を、説明する。
【0051】
作業者は、切欠き6を手前にした状態の湿球ウィック1を持って試験室101内に手を入れて、奥側の不織布1a2を湿球温度用センサ14に当てがうようにして開口端20から湿球温度用センサ14が収納部4へ挿入されるように装着する。収納部4の開口サイズは、開口端20側が大きくなっていると共に、湿球温度用センサ14を、開口端20から収納部4の奥側へ案内するように傾斜した第3接着部3a2が形成されているので、湿球温度用センサ14が開口サイズの大きな開口端20から容易に挿入されて第3接着部3a2に沿って収納部4の奥側へ案内されるように、湿球ウィック1を、湿球温度用センサ14に装着することができる。
【0052】
しかも、手前側の不織布1a1には、開口端20から湿球温度用センサ14の挿入方向に沿って切欠き6が形成されているので、奥側の不織布1a2を湿球温度用センサ14に当てがうようにして開口端20から湿球温度用センサ14が収納部4へ挿入される際に、手前側の不織布1a1が、奥側の不織布1a2から離間して挿入用の開口が開き易くなる。これによって、湿球温度用センサ14が収納部4へ容易に挿入されることになり、湿球ウィック1の湿球温度用センサ14への装着が一層容易となる。
【0053】
このようにして湿球ウィック1を、湿球温度用センサ14に装着した後、湿球ウィック1の下部の第1,第2の浸漬部51,52を、ウィックパン15の貯留水に浸漬させる。その際には、第1,第2の浸漬部51,52を、ウィックパン15の上部開口15aからウィックパン15内に挿入する必要がある。ここで、ウィックパン15から貯留水が蒸発するのを抑制するためにウィックパン15の上部開口15aは、比較的小さくなっているので、湿球温度用センサ14に装着した状態で、浸漬部51,52を、ウィックパン15の貯留水に浸漬させるために、湿球ウィック1の下部を屈曲させなければならず、その際に、従来では、重ね合わされた二枚の不織布がめくれ上がってしまい、一枚の不織布しかウィックパン15内に挿入できない場合があった。
【0054】
しかしながら、本実施形態の湿球ウィック1では、第1,第2の浸漬部51,52には、二枚の不織布1a1,1a2が分離するのを防止する分離防止部71,72が形成されているので、湿球ウィック1を屈曲させても、二枚の不織布1a1,1a2が分離してめくれあがることがなく、図5の仮想線で示すように、一方の不織布1a2がウィックパン15に挿入できないといったことがない。
【0055】
そのため、湿球ウィック1を屈曲させて第1,第2の浸漬部51,52をウィックパン15内に容易に挿入することが可能となり、浸漬部の誤挿入、すなわち、一方の不織布をウィックパン15内に挿入できないといった事態を回避することができる。
【0056】
浸漬部の誤挿入は、湿球ウィック1で吸水が不足して正確に湿球温度測定ができない原因となるうえ、ウィックパン15の貯留水が試験室101内へ滴下する原因となるため、防止する必要がある。
【0057】
以上のように、この実施形態によれば、湿球ウィック1の湿球温度用センサ14への装着が容易になると共に、湿球ウィック1の下部をウィックパン 15に確実容易に挿入することが可能となる。
【0058】
これによって、湿球ウィック1の湿球温度用センサ14への装着作業及びウィックパン15への挿入作業の時間が短縮されるので、例えば、環境試験装置などにおいて、ウィック交換のために試験が中断される時間が短縮されることになり、試験に要する時間が長期化するのを防止することができる。
【0059】
また、湿球ウィック1の装着等の作業が長引くと、作業者の手から湿球ウィック1へ雑菌が付着する可能性が高まる。湿球ウィック1に雑菌が付着して繁殖すると、湿球ウィックの吸水性が低下し、湿球温度の正確な測定が行えず、また、湿球ウィックの耐久性が低下し、交換のサイクルが短くなるが、この実施形態によれば、作業時間が短くなるので、雑菌の付着を抑制することができる。
【0060】
更に、湿球ウィックの下部のウィックパンへの誤挿入、すなわち、二枚の布シートの一方の布シートのみがウィックパン内に挿入されるという事態を回避できるので、誤挿入の状態で湿球温度測定を行うといったことがない。
【0061】
また、湿球ウィックの下部がウィックパンに挿入された状態においても、二枚の布シートは、分離防止部によって密着した状態となるので、吸水が安定し、湿球温度測定を安定して行うことができる。
【0062】
また、収納部4に収納される湿球温度用センサ14は、開口端20に至る部分まで二枚の布シートで完全に覆われているので、外気の影響を受けたり、保水量が低下するといったことがない。
【0063】
(他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に限るものではなく、例えば、第3接着部3a2や切欠き6などは種々の変形が可能であり、この変形例のいくつかを説明する。
【0064】
手前側の不織布1a1に形成される三角形の切欠き6は、例えば、図6に示すように、開口端20を一辺とする直角三角形とし、直角をなす一辺を、第1接着部3bと平行であって、かつ、第2接着部3a1に沿うように形成してもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態では、第3接着部3a2を斜めの直線状としたが、例えば、図7(a),(b)に示すように、曲線状部分3a21と直線状部分3a22との組合せとしてもよいし、あるいは、図8(a),(b)に示すように、斜めに傾斜した直線状部分3a22と、第1接着部3bに平行な直線状部分3a22との
組合せとしてもよい。
【0066】
また、第3接着部3a2は、例えば、図9(a),(b)に示すように、開口端20に達する途中まで形成してもよく、この場合、開口端20は、下方が開放されたものとなる。
【0067】
また、上述した実施の形態では、手前側の不織布1a1には、三角形の切欠き6を形成したけれども、切欠き6に代えて、例えば、図7(a)、図8(b)、図9(b)、及び図10に示すように、直線状の切り込み8を形成してもよい。また、上述した実施の形態では、手前側の不織布1a1を三角形状に切り欠いたけれども、三角形状に限らず、例えば、図7(b)、図9(a)に示すように、U字状に切り欠いてもよく、あるいは、円弧状に切り欠いてもよい。
【0068】
また、上述の実施の形態では、一枚の布シートを折って、重ね合わせたけれども、二枚の布シートを重ね合わせてもよい。
【0069】
上述の実施形態では、手前側の不織布1a1に切欠きや切り込みを形成したけれども、手前側の不織布1a1に切欠きや切り込みを形成せずに、奥側の不織布1a2に切欠きや切り込みを形成してもよい。
【0070】
上述の実施形態では、切欠きや切り込みを第2接着部3a1の位置よりも下方に設けたが、上方に設けてもよい。
【0071】
上述の実施形態では第1接着部3bを設けたが、第1接着部3bを設けなくてもよい。
【0072】
上述の実施形態に記載の第3接着部3a2及び、切欠き又は切り込みの組合せに限定されず、適宜組合せて実施できる。
【符号の説明】
【0073】
1 湿球ウィック
1a 不織布(布シート)
3a1 第2接着部
3a2 第3接着部
3b 第1接着部
4 収納部
5 浸漬部
51 第1浸漬部
52 第2浸漬部
6 切欠き
71 第1分離防止部
72 第2分離防止部
8 切り込み
10 湿球温度検出部
11 乾球温度検出部
13 乾球温度用センサ
14 湿球温度用センサ
15 ウィックパン
20 開口端
101 試験室
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対湿度を計測するための湿球温度を検出する湿球温度用センサに装着される湿球ウィックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、湿球ウィックは、棒状の湿球温度用センサに装着されて湿球温度用センサの周囲を常時濡れた状態に保つ機能を有し、湿球ウィックの下端は、下方に設けられたウィックパン内の水に浸漬され、毛細管現象によって水を吸い上げるようになっている。
【0003】
図11は、特許文献1に記載の従来例の湿球ウィックの使用状況を示す図である。この湿球ウィックは、一枚の布25を折り返して重ね、折り返し側の端部に、棒状の湿球温度用センサ26を包み込むような幅で、かつ、湿球温度用センサ26の挿入に必要な長さの部分まで縫い合せた袋状部27を形成し、袋状部27の下部を下方に垂らして水を補給するウィックパン28に浸漬させている。袋状部27に湿球温度用センサ26を密着した状態で収納するために、この袋状部27を開いたときに形成される開口のサイズは、小さくされている。
【0004】
湿球ウィックの袋状部27は、二枚の布が重ね合わされた状態に形成されているので、湿球温度用センサ26を、開口サイズの小さな袋状部27に挿入するのが困難となる。
【0005】
そこで、上記特許文献1では、図12(a)に示すように、袋状部27の入口側の端部を、縫い合わせないで開いた非袋状部29としたり、図12(b)に示すように、袋状部27の入口において、前面側布25aに切り込み30を形成して非袋状部29としたり、あるいは、図12(c)に示すように、袋状部27の入口において、前面側布25aに切欠き31を形成して非袋状部29としたり、更には、図12(d)に示すように、袋状部27の入口側において、後面側布25bを前面側布25aよりも延長して非袋状部29を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭57−19641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1では、袋状部の入口を、切り込みや切欠きなどを形成した非袋状部としているので、湿球温度用センサが挿入し易くなるが、袋状部を構成する二枚の布は密着して挿入のための開口が開きにくく、開口のサイズも従来と同様に小さいので、袋状部に湿球温度用センサを挿入するのは、依然として困難を伴うものであり、改善の余地があった。
【0008】
特に、湿球ウィックを装着する湿球温度用センサ及びウィックパンは、湿度を制御する環境試験装置などの試験室内の奥側上部の壁面から試験室内に水平に突出するように配設されている場合が多く、作業者は、試験室の奥側の手の届きにくい位置にある湿球温度用センサまで腕を伸ばして手探り状態で作業を行わねばならず、湿球温度用センサの先端部を袋状部に挿入させて装着するのは、容易ではない。
【0009】
また、湿球ウィックを湿球温度用センサに装着した後、湿球ウィックの下部を、ウィックパンの開口からウィックパンに挿入するのであるが、湿球温度用センサに装着された状態の湿球ウィックを、ウィックパンに挿入する際には、湿球ウィックの下部を屈曲させてウィックパンに挿入する必要がある。このとき、湿球ウィックの下部の二枚の布がめくれ上がって一方の布のみがウィックパンに入り、他方の布がウィックパンに入らない状態が発生しやすい。このため、手探り状態で作業を行っている場合には、一方の布しかウィックパンに入っていないにも拘らず、二枚の布がウィックパンに挿入されていると誤って認識し、正確な湿球温度が計測できなかったり、あるいは、ウィックパンへの挿入をやり直しているうちにウィックパンの水が試験室内に飛散して試料を濡らしてしまう場合がある。
【0010】
更に、湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着作業や湿球ウィックの下部をウィックパンに挿入する作業に手間取って作業時間が長くなったり、その間に作業者の手が、湿球ウィックに触れる箇所が多くなって雑菌が付着し、雑菌の繁殖の原因になるといった課題がある。
【0011】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着を容易にすることを主たる目的とし、更に、湿球ウィックの下部をウィックパンに容易に浸漬できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0013】
(1)本発明の湿球ウィックは、重ね合わされた布シートの一端側に、湿球温度用センサが収納される収納部を有し、他端側に、水に浸漬される浸漬部を有し、前記収納部の開口端から該収納部内に前記湿球温度用センサが挿入されるようにして、該湿球温度用センサに装着される湿球ウィックであって、
前記収納部の開口端側は、その開口サイズが前記開口端へ向かって大きく形成されて、挿入される前記湿球温度用センサを、前記収納部の奥側へ案内するガイド部とされ、前記重ね合わされた布シートの内の一方の布シートには、前記開口端に連なる切込み及び切欠きの少なくともいずれか一方が形成される。
【0014】
重ね合わされた布シートは、二枚の布シートを重ね合わせたものであってもよいし、一枚の布シートを折って重ね合わせたものであってもよい。
【0015】
開口サイズとは、収納部を構成する重ね合わされた二枚の布シートを広げたときに形成される開口のサイズをいう。
【0016】
収納部の開口サイズが大きく形成される開口端側とは、収納部の奥側の端部から開口端までにおいて、その中間位置よりも開口端寄りの位置をいう。
【0017】
本発明によれば、開口端から湿球温度用センサが挿入される収納部の開口サイズを、開口端側では、開口端へ向かって大きく形成したガイド部としているので、湿球温度用センサが、開口サイズが大きい開口端から挿入されてガイド部によって収納部の奥側へ案内されることになり、収納部への湿球温度用センサの挿入が容易となって、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が容易となる。
【0018】
しかも、重ね合わされた布シートの内の一方の布シートには、前記開口端に連なる切込み及び切欠きの少なくともいずれか一方が形成されるので、開口端から湿球温度用センサを挿入する際に、前記切込みや切欠きによって、重ね合わされた布シート間の開口が開き易くなって、湿球温度用センサを挿入し易くなり、これによって、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が一層容易となる。
【0019】
(2)本発明の湿球ウィックの好ましい実施態様では、前記重ね合わされた布シートの前記他端側には、重ね合わされた布シートの分離を防止する分離防止部が、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って複数形成される。
【0020】
この実施態様によると、重ね合わされた布シートの前記他端側、すなわち、ウィックパンの水に浸漬される浸漬部には、湿球温度用センサの挿入方向に沿って複数の分離防止部が形成されているので、湿球温度用センサに装着された状態の当該湿球ウィックの浸漬部を屈曲させてウィックパンに挿入する際に、重ね合わされた布シートがめくれ上がるといったことがなく、これによって、一方の布シートしかウィックパンに挿入されないといった誤挿入が防止されると共に、容易にウィックパンに浸漬させることができる。更に、ウィックパン内でも重ね合わされた二枚の布シートが分離することなく密着し、吸水性が安定したものとなる。
【0021】
(3)本発明の湿球ウィックの他の実施態様では、前記収納部は、前記重ね合わされた布シートの前記一端を、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って接着した第1接着部と、該第1の接着部よりも前記他端側の前記重ね合わされた布シートを、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って前記第1の接着部よりも短い長さに亘って接着した第2接着部と、前記重ね合わされた布シートを、前記第2接着部に連続するように、かつ、前記収納部の前記開口端側の開口サイズが前記開口端へ向かって大きくなるように接着した第3接着部とを有し、
前記第1接着部と前記第2接着部とが、前記収納部の奥側の端部で連続し、前記第3接着部が、挿入される前記湿球温度用センサを、前記第1接着部と前記第2接着部との間へ案内する前記ガイド部とされる。
【0022】
接着部は、重ね合わされた布シートを接着、すなわち、くっつけるものであればよく、溶着、圧着、あるいは、縫着などで接着するものであればよい。
【0023】
この実施態様によると、収納部の開口端から挿入される湿球温度用センサは、第2接着部に連なるガイド部としての第3接着部によって、第2接着部と第1接着部との間に案内されて収納部の奥側へ導かれるので、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が容易となる。
【0024】
(4)上記(3)の実施態様では、前記第3接着部を前記他端側に延ばして、前記分離防止部を兼用してもよい。
【0025】
この実施態様によると、第3接着部を前記他端側、すなわち、ウィックパンの水に浸漬される浸漬部側へ延ばして、収納部の開口サイズを大きくすると同時に、
重ね合わされた布シートが分離するのを防止することができ、分離防止部を形成する箇所を減らすことができる。
【0026】
(5)本発明の湿球ウィックの他の実施態様では、前記一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成され、該切欠きは、挿入される湿球温度用センサが前記開口端において、前記切欠きによって露出しない位置に形成される。
【0027】
この実施態様によると、重ね合わされた布シートの内の一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成されるので、開口端から湿球温度用センサを挿入する際に、切欠きによって、重ね合わされた布シート間の開口が開き易く、湿球温度用センサを挿入し易くなり、これによって、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が容易となる。
【0028】
しかも、この切欠きは、開口端における湿球温度用センサが、該切欠きによって露出しない位置に形成されているので、湿球温度用センサは、切欠きによって露出することなく、重ね合わされた布シートで覆われることになり、外気の影響や保水量の低下の影響を受けることがない。
【0029】
(6)本発明の湿球ウィックの更に他の実施態様では、前記一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成され、前記切欠きは、前記開口端側が大きく、前記湿球温度用センサの挿入方向に向かって小さく形成される。
【0030】
この実施態様によると、一方の布シートに形成された開口端に連なる切欠きは、湿球温度用センサの挿入方向に向かって小さく形成されているので、湿球温度用センサを開口端から挿入するにつれて一方の布シートが他方の布シートから離間して、重ね合わされた布シート間の開口が開き易くなって、湿球温度用センサを挿入し易くなり、これによって、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が一層容易となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ガイド部および一方の布シートに形成した切込みや切欠きによって、収納部への湿球温度用センサの挿入が容易となり、当該湿球ウィックの湿球温度用センサへの装着が容易となる。
【0032】
更に、分離防止部によって、重ね合わされた布シートの下部がめくれ上がるといったことがなく、容易かつ確実にウィックパンに挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態の湿球ウィックを装着する湿球温度用センサを備えた環境試験装置の試験室の概略構成を示す図である。
【図2】湿球ウィックを湿球温度用センサに装着する状態を示す正面図である。
【図3】湿球ウィックの斜視図である。
【図4】湿球ウィックを湿球温度用センサに装着し、ウィックパンに浸漬した状態を示す正面図である。
【図5】湿球ウィックをウィックパン15に浸漬した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の湿球ウィックの他の実施形態の要部の正面図である。
【図7】本発明の湿球ウィックの他の実施形態の要部の正面図である。
【図8】本発明の湿球ウィックの更に他の実施形態の要部の正面図である。
【図9】本発明の湿球ウィックの他の実施形態の要部の正面図である。
【図10】本発明の湿球ウィックの他の実施形態の要部の正面図である。
【図11】従来例の使用状況を示す図である。
【図12】従来例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る湿球ウィック1が使用される環境試験装置の試験室101内の概略構成を示す図である。試験室101内には、湿球温度検出部10と、乾球温度検出部11とが備えられている。環境試験装置は、両温度検出部10、11によって試験室101内の乾球温度と湿球温度とを検出し、それらに基づいて相対湿度を算出し、試験室101内の湿度が設定湿度になるように制御している。
【0035】
乾球温度検出部11は、乾球温度用センサ13を有し、湿球温度検出部10は、湿球温度用センサ14とウィックパン15とを有する。乾球温度用センサ13と湿球温度用センサ14とは、共に棒状であり、乾球温度用センサ13を上にして試験室101の内壁面から室内に向けて水平に突出配置されている。ウィックパン15は、湿球温度用センサ14の下方に配置されている。
【0036】
湿球ウィック1は、ウィックの一端側(上端側)に湿球温度用センサ14を収納し、ウィックの他端側(下端側)を垂下して、ウィックパン15の貯留水に浸漬することで、毛細管現象によって貯留水を吸水してウィック全体で保水し、これにより湿球温度用センサ14全体を湿潤な状態に保持している。
【0037】
図2は、湿球ウィック1を湿球温度用センサ14に装着する状態を示す正面図であり、図3は、湿球ウィック1の斜視図であり、図4は、湿球ウィックを湿球温度用センサに装着すると共に、ウィックパン15に浸漬した状態を示す正面図である。
【0038】
この実施形態の湿球ウィック1は、布シートとしての1枚の不織布1aを、矩形状に折り重ねたものであって、図3に示すように手前側の不織布1a1と奥側の不織布1a2とが重ね合わされている。不織布1aの材質は、特に限定されず、湿球ウィックとして従来使用されている公知の材質を使用することができ、また、不織布に限らず、織布やその他であってもよい。
【0039】
重ね合わされた不織布1a1,1a2の一端側である上端側には、棒状の湿球温度用センサ14が収納される収納部4が形成されており、この収納部4は、湿球温度用センサ14の挿入方向に沿って(図2の左右方向に沿って)延びている。
【0040】
重ね合わされた不織布1a1,1a2の他端側である下端側は、ウィックパン15内の貯留水に浸漬される浸漬部5となっており、この実施形態の湿球ウィック1では、浸漬部5の一部が矩形に切り欠かかれ、第1の浸漬部51と、第2の浸漬部52となっている。なお、不織布の下部の浸漬部は、切り欠かれていなくてもよい。
【0041】
収納部4は、重ね合わされた不織布1a1,1a2の上端同士を、湿球温度用センサ14の挿入方向に沿って直線状に溶着した第1接着部3bと、この第1接着部3bに平行であって、第1接着部3bよりも短い長さに亘って、前記不織布1a1,1a2を直線状に溶着した第2接着部3a1と、この第2接着部3a1に連続して斜め下方へ前記不織布1a1,1a2を直線状に溶着した第3接着部3a2とを有し、第1接着部3bと第2接着部3a1とが、収納部4の奥側の端部で連続するように形成されている。なお、各接着部3b,3a1,3a2は、直線状に連続的に溶着してもよいし、直線状に多数の点で溶着してもよい。
【0042】
第1接着部3bとこれに平行な第2接着部3a1とによって構成される収納部4の開口サイズ、すなわち、第1接着部3bと第2接着部3a1とによって溶着された不織布1a1,1a2を拡開したときの開口サイズは、収納される湿球温度用センサ14との密着性を高めるために、湿球温度用センサ14を挿入できる程度のサイズとされている。
【0043】
これに対して、第1接着部3bとこれから離間するように斜め下方へ延びる第3接着部3a2とによって構成される収納部4の開口サイズは、湿球温度用センサ14の挿入口となる開口端20へ向って次第に大きくなっており、開口端20における収納部4の開口サイズは、湿球温度用センサ14のサイズに比べて十分に大きなサイズとなっている。
【0044】
これによって、開口サイズが大きい収納部4の開口端20からの湿球温度用センサ14の挿入が容易となる。
【0045】
更に、第3接着部3a2は、第2接着部3a1から開口端20へ向けて斜め下方へ延びているので、開口端20から挿入される湿球温度用センサ14の挿入先端は、第3接着部3a2によって上方の第2接着部3a1へと案内されて、第1接着部3bと第2接着部3a1とによって構成される収納部4の奥側へと導かれる。すなわち、第3接着部3a2は、湿球温度用センサ14の挿入先端を収納部4の奥側へと案内するガイド部としての機能を有しており、これによって、収納部4に湿球温度用センサ14を容易に挿入することが可能となり、当該湿球ウィック1を、湿球温度用センサ14に容易に装着することが可能となる。
【0046】
また、重ね合わされた不織布1a1,1a2の手前側の不織布1a1には、開口端20から湿球温度用センサ14の挿入方向に向って小さくなる三角形の切欠き6が形成されており、この三角形の一辺が開口端20とされると共に、他の一辺が、斜めに延びる第3接着部3a2と平行になるように形成されている。
【0047】
このように手前側の不織布1a1には、収納部4の開口端20から湿球温度用センサ14の挿入方向に向って三角形の切欠き6が形成されているので、奥側の不織布1a2を湿球温度用センサ14に当てがうようにして開口端20から湿球温度用センサ14が挿入される際に、手前側の不織布1a1が、奥側の不織布1a2から離間して挿入用の開口が開き易くなる。これによって、湿球温度用センサ14が収納部4へ容易に挿入されることになり、湿球ウィック1の湿球温度用センサ14への装着が一層容易となる。
【0048】
また、切欠き6は、第1接着部3bよりも下方の位置であって、第2接着部3a1を、第1接着部3bに平行に開口端20まで延長したと仮定した位置よりも下方の位置に形成されている。これによって、収納部4に収納される湿球温度用センサ14が、切欠き6によって露出することがない。すなわち、収納部4に収納される湿球温度用センサ14は、二枚の不織布1a1,1a2によって完全に覆われるので、外気の影響を受けたり、保水量が低下するといったことがない。
【0049】
更に、この実施形態では、ウィックパン15に浸漬される第1の浸漬部51と、第2の浸漬部52とには、重ね合わされた二枚の不織布1a1,1a2が分離するのを防止するための点状に溶着された分離防止部71,72が、それぞれ形成されている。第1の浸漬部51では、湿球温度用センサ14の挿入方向に沿う方向の略中間位置に分離防止部71が形成され、前記方向の長さが長い第2浸漬部52では、第1の浸漬部51側の端部に分離防止部72が形成されている。第2浸漬部52では、第3接着部3a2が下方へ延びているので、第3接着部3a2が上述のガイド部としての機能を有すると共に、分離防止部としての機能を有している。
【0050】
次に、上記構成を有する湿球ウィック1を湿球温度用センサ14に装着する手順及びそれに引き続くウィックパン15への浸漬の手順を、説明する。
【0051】
作業者は、切欠き6を手前にした状態の湿球ウィック1を持って試験室101内に手を入れて、奥側の不織布1a2を湿球温度用センサ14に当てがうようにして開口端20から湿球温度用センサ14が収納部4へ挿入されるように装着する。収納部4の開口サイズは、開口端20側が大きくなっていると共に、湿球温度用センサ14を、開口端20から収納部4の奥側へ案内するように傾斜した第3接着部3a2が形成されているので、湿球温度用センサ14が開口サイズの大きな開口端20から容易に挿入されて第3接着部3a2に沿って収納部4の奥側へ案内されるように、湿球ウィック1を、湿球温度用センサ14に装着することができる。
【0052】
しかも、手前側の不織布1a1には、開口端20から湿球温度用センサ14の挿入方向に沿って切欠き6が形成されているので、奥側の不織布1a2を湿球温度用センサ14に当てがうようにして開口端20から湿球温度用センサ14が収納部4へ挿入される際に、手前側の不織布1a1が、奥側の不織布1a2から離間して挿入用の開口が開き易くなる。これによって、湿球温度用センサ14が収納部4へ容易に挿入されることになり、湿球ウィック1の湿球温度用センサ14への装着が一層容易となる。
【0053】
このようにして湿球ウィック1を、湿球温度用センサ14に装着した後、湿球ウィック1の下部の第1,第2の浸漬部51,52を、ウィックパン15の貯留水に浸漬させる。その際には、第1,第2の浸漬部51,52を、ウィックパン15の上部開口15aからウィックパン15内に挿入する必要がある。ここで、ウィックパン15から貯留水が蒸発するのを抑制するためにウィックパン15の上部開口15aは、比較的小さくなっているので、湿球温度用センサ14に装着した状態で、浸漬部51,52を、ウィックパン15の貯留水に浸漬させるために、湿球ウィック1の下部を屈曲させなければならず、その際に、従来では、重ね合わされた二枚の不織布がめくれ上がってしまい、一枚の不織布しかウィックパン15内に挿入できない場合があった。
【0054】
しかしながら、本実施形態の湿球ウィック1では、第1,第2の浸漬部51,52には、二枚の不織布1a1,1a2が分離するのを防止する分離防止部71,72が形成されているので、湿球ウィック1を屈曲させても、二枚の不織布1a1,1a2が分離してめくれあがることがなく、図5の仮想線で示すように、一方の不織布1a2がウィックパン15に挿入できないといったことがない。
【0055】
そのため、湿球ウィック1を屈曲させて第1,第2の浸漬部51,52をウィックパン15内に容易に挿入することが可能となり、浸漬部の誤挿入、すなわち、一方の不織布をウィックパン15内に挿入できないといった事態を回避することができる。
【0056】
浸漬部の誤挿入は、湿球ウィック1で吸水が不足して正確に湿球温度測定ができない原因となるうえ、ウィックパン15の貯留水が試験室101内へ滴下する原因となるため、防止する必要がある。
【0057】
以上のように、この実施形態によれば、湿球ウィック1の湿球温度用センサ14への装着が容易になると共に、湿球ウィック1の下部をウィックパン 15に確実容易に挿入することが可能となる。
【0058】
これによって、湿球ウィック1の湿球温度用センサ14への装着作業及びウィックパン15への挿入作業の時間が短縮されるので、例えば、環境試験装置などにおいて、ウィック交換のために試験が中断される時間が短縮されることになり、試験に要する時間が長期化するのを防止することができる。
【0059】
また、湿球ウィック1の装着等の作業が長引くと、作業者の手から湿球ウィック1へ雑菌が付着する可能性が高まる。湿球ウィック1に雑菌が付着して繁殖すると、湿球ウィックの吸水性が低下し、湿球温度の正確な測定が行えず、また、湿球ウィックの耐久性が低下し、交換のサイクルが短くなるが、この実施形態によれば、作業時間が短くなるので、雑菌の付着を抑制することができる。
【0060】
更に、湿球ウィックの下部のウィックパンへの誤挿入、すなわち、二枚の布シートの一方の布シートのみがウィックパン内に挿入されるという事態を回避できるので、誤挿入の状態で湿球温度測定を行うといったことがない。
【0061】
また、湿球ウィックの下部がウィックパンに挿入された状態においても、二枚の布シートは、分離防止部によって密着した状態となるので、吸水が安定し、湿球温度測定を安定して行うことができる。
【0062】
また、収納部4に収納される湿球温度用センサ14は、開口端20に至る部分まで二枚の布シートで完全に覆われているので、外気の影響を受けたり、保水量が低下するといったことがない。
【0063】
(他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に限るものではなく、例えば、第3接着部3a2や切欠き6などは種々の変形が可能であり、この変形例のいくつかを説明する。
【0064】
手前側の不織布1a1に形成される三角形の切欠き6は、例えば、図6に示すように、開口端20を一辺とする直角三角形とし、直角をなす一辺を、第1接着部3bと平行であって、かつ、第2接着部3a1に沿うように形成してもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態では、第3接着部3a2を斜めの直線状としたが、例えば、図7(a),(b)に示すように、曲線状部分3a21と直線状部分3a22との組合せとしてもよいし、あるいは、図8(a),(b)に示すように、斜めに傾斜した直線状部分3a22と、第1接着部3bに平行な直線状部分3a22との
組合せとしてもよい。
【0066】
また、第3接着部3a2は、例えば、図9(a),(b)に示すように、開口端20に達する途中まで形成してもよく、この場合、開口端20は、下方が開放されたものとなる。
【0067】
また、上述した実施の形態では、手前側の不織布1a1には、三角形の切欠き6を形成したけれども、切欠き6に代えて、例えば、図7(a)、図8(b)、図9(b)、及び図10に示すように、直線状の切り込み8を形成してもよい。また、上述した実施の形態では、手前側の不織布1a1を三角形状に切り欠いたけれども、三角形状に限らず、例えば、図7(b)、図9(a)に示すように、U字状に切り欠いてもよく、あるいは、円弧状に切り欠いてもよい。
【0068】
また、上述の実施の形態では、一枚の布シートを折って、重ね合わせたけれども、二枚の布シートを重ね合わせてもよい。
【0069】
上述の実施形態では、手前側の不織布1a1に切欠きや切り込みを形成したけれども、手前側の不織布1a1に切欠きや切り込みを形成せずに、奥側の不織布1a2に切欠きや切り込みを形成してもよい。
【0070】
上述の実施形態では、切欠きや切り込みを第2接着部3a1の位置よりも下方に設けたが、上方に設けてもよい。
【0071】
上述の実施形態では第1接着部3bを設けたが、第1接着部3bを設けなくてもよい。
【0072】
上述の実施形態に記載の第3接着部3a2及び、切欠き又は切り込みの組合せに限定されず、適宜組合せて実施できる。
【符号の説明】
【0073】
1 湿球ウィック
1a 不織布(布シート)
3a1 第2接着部
3a2 第3接着部
3b 第1接着部
4 収納部
5 浸漬部
51 第1浸漬部
52 第2浸漬部
6 切欠き
71 第1分離防止部
72 第2分離防止部
8 切り込み
10 湿球温度検出部
11 乾球温度検出部
13 乾球温度用センサ
14 湿球温度用センサ
15 ウィックパン
20 開口端
101 試験室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わされた布シートの一端側に、湿球温度用センサが収納される収納部を有し、他端側に、水に浸漬される浸漬部を有し、前記収納部の開口端から該収納部内に前記湿球温度用センサが挿入されるようにして、該湿球温度用センサに装着される湿球ウィックであって、
前記収納部の開口端側は、その開口サイズが前記開口端へ向かって大きく形成されて、挿入される前記湿球温度用センサを、前記収納部の奥側へ案内するガイド部とされ、
前記重ね合わされた布シートの内の一方の布シートには、前記開口端に連なる切込み及び切欠きの少なくともいずれか一方が形成される、
ことを特徴とする湿球ウィック。
【請求項2】
前記重ね合わされた布シートの前記他端側には、重ね合わされた布シートの分離を防止する分離防止部が、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って複数形成される、
請求項1に記載の湿球ウィック。
【請求項3】
前記収納部は、前記重ね合わされた布シートの前記一端を、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って接着した第1接着部と、
該第1の接着部よりも前記他端側の前記重ね合わされた布シートを、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って前記第1の接着部よりも短い長さに亘って接着した第2接着部と、
前記重ね合わされた布シートを、前記第2接着部に連続するように、かつ、前記収納部の前記開口端側の開口サイズが前記開口端へ向かって大きくなるように接着した第3接着部とを有し、
前記第1接着部と前記第2接着部とが、前記収納部の奥側の端部で連続し、
前記第3接着部が、挿入される前記湿球温度用センサを、前記第1接着部と前記第2接着部との間へ案内する前記ガイド部とされる、
請求項1または2に記載の湿球ウィック。
【請求項4】
前記第3接着部を前記他端側に延ばして、前記分離防止部を兼用する、
請求項3に記載の湿球ウィック。
【請求項5】
前記一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成され、
該切欠きは、挿入される湿球温度用センサが前記開口端において、前記切欠きによって露出しない位置に形成される、
請求項1ないし4のいずれかに記載の湿球ウィック。
【請求項6】
前記一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成され、
前記切欠きは、前記開口端側が大きく、前記湿球温度用センサの挿入方向に向かって小さく形成される、
請求項1ないし5のいずれかに記載の湿球ウィック。
【請求項1】
重ね合わされた布シートの一端側に、湿球温度用センサが収納される収納部を有し、他端側に、水に浸漬される浸漬部を有し、前記収納部の開口端から該収納部内に前記湿球温度用センサが挿入されるようにして、該湿球温度用センサに装着される湿球ウィックであって、
前記収納部の開口端側は、その開口サイズが前記開口端へ向かって大きく形成されて、挿入される前記湿球温度用センサを、前記収納部の奥側へ案内するガイド部とされ、
前記重ね合わされた布シートの内の一方の布シートには、前記開口端に連なる切込み及び切欠きの少なくともいずれか一方が形成される、
ことを特徴とする湿球ウィック。
【請求項2】
前記重ね合わされた布シートの前記他端側には、重ね合わされた布シートの分離を防止する分離防止部が、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って複数形成される、
請求項1に記載の湿球ウィック。
【請求項3】
前記収納部は、前記重ね合わされた布シートの前記一端を、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って接着した第1接着部と、
該第1の接着部よりも前記他端側の前記重ね合わされた布シートを、前記湿球温度用センサの挿入方向に沿って前記第1の接着部よりも短い長さに亘って接着した第2接着部と、
前記重ね合わされた布シートを、前記第2接着部に連続するように、かつ、前記収納部の前記開口端側の開口サイズが前記開口端へ向かって大きくなるように接着した第3接着部とを有し、
前記第1接着部と前記第2接着部とが、前記収納部の奥側の端部で連続し、
前記第3接着部が、挿入される前記湿球温度用センサを、前記第1接着部と前記第2接着部との間へ案内する前記ガイド部とされる、
請求項1または2に記載の湿球ウィック。
【請求項4】
前記第3接着部を前記他端側に延ばして、前記分離防止部を兼用する、
請求項3に記載の湿球ウィック。
【請求項5】
前記一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成され、
該切欠きは、挿入される湿球温度用センサが前記開口端において、前記切欠きによって露出しない位置に形成される、
請求項1ないし4のいずれかに記載の湿球ウィック。
【請求項6】
前記一方の布シートには、前記開口端に連なる切欠きが形成され、
前記切欠きは、前記開口端側が大きく、前記湿球温度用センサの挿入方向に向かって小さく形成される、
請求項1ないし5のいずれかに記載の湿球ウィック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−53934(P2013−53934A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192489(P2011−192489)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
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