説明

満水検知器

【課題】赤水対策を施し、かつ、屋外設置のポンプに装備可能な満水検知器を提供する。
【解決手段】本体ハウジング10内に空気通路と2本以上の電極棒13を備えた電極棒室12とが一体化して設けられ、電極棒13は上端側が本体ハウジング上を突き出て、該突き出し部分が電極カバー20で覆われており、本体ハウジング10が防錆材質から作られるまたは防錆構成が施されており、電極カバー20には電極棒13に配線するケーブルを内蔵した電線管24が取り付けられる電線管カバー22が取り付けられ、電極カバー20は本体ハウジング10に、電線管カバー22は電極カバー20にそれぞれパッキン21,23を介して取り付けられているとともに、電極カバー20及び電線管カバー22がステンレス材から作られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプの空運転等を防止する満水検知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、満水検知器はポンプの吐出圧力側に取り付けられ、ポンプ内が渇水状態になると、満水検知器内部も落水しポンプの異常を検知するものである。かかる満水検知器の検知方法は種々提案されているが、特許文献1にも記載されているように、ハウジング内に空気の通路に併設した電極棒室の電極棒で検知するものが知られており、コスト、精度等の点で有利であり好まれて使用されている。
【0003】
しかしながら、この種の満水検知器においては取扱水が飲用水である場合が多く、このとき使用年数に伴って発生する内部の鉄赤錆による赤水問題の対策を講じなければならない。さらに、この種の満水検知器はポンプの頂部に配置しており、ポンプの保守点検に係る監視人及び見学者方の目の高さに設置される場合が多いので、万一にも部品の合わせ面等から高圧水の噴出を避けねばならない。さらにまた、この種の満水検知器は屋内仕様であるため屋外で使用できないが、近年では主ポンプが屋外または水噴霧にさらされる場所で使用される場合に採用することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−230050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、赤水対策を施し、かつ、屋外設置のポンプに装備可能な満水検知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、本体ハウジング内に空気通路と2本以上の電極棒を備えた電極棒室とが一体化して設けられ、前記電極棒は上端側が本体ハウジング上を突き出て、該突き出し部分が電極カバーで覆われるとともに電気的配線が施されている満水検知器において、前記本体ハウジングが防錆材質から作られるまたは防錆構成が施されており、前記電極カバーには前記電極棒に配線するケーブルを内蔵した電線管が取り付けられる電線管カバーが取り付けられ、該電極カバーは前記本体ハウジングに、前記電線管カバーは電極カバーにそれぞれパッキンを介して取り付けられているとともに、前記電極カバー及び電線管カバーがステンレス材から作られていることを特徴とする満水検知器を提案する。
【0007】
なお、本発明は、前記電極カバーは前記本体ハウジングに、前記電線管カバーは電極カバーにそれぞれゴム製パッキンを介してビス止めされていると有利である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経年使用しても赤水問題が発生せず、風雨に対する防水効果が絶大で構造により屋外での使用を支障なく可能とした満水検知器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】満水検知器の使用状態の一例を示す概略説明図である。
【図2】本発明に係る満水検知器の断面説明図である。
【図3】図2に示す満水検知器の平面説明図である。
【図4】電極カバーの平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好ましい実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る満水検知器を備えた押し込み式揚水装置を示す概略図である。
【0011】
図1において、符号1は押し込み水槽であり、水位Hの水槽1は出口に続いたバルブ2を開くと、貯えられた水がポンプ3内に流れ込み、さらに上昇して満水検知器4まで達する。そして、満水検知器4が満水を検知すると、それよりも重力方向の下方に位置するポンプ3に水槽1の水が達しているものとしてポンプ3が作動し、水がパイプ5を介してヘッター管6に送られる。なお、図1において、7はポンプ3の駆動装置、8はポンプ3の駆動を制御する配電盤である。
【0012】
図2は、本発明に係る満水検知器4の全体構造を示す断面説明図である。
図2において、満水検知器4は中空の側壁で形成した本体ハウジング10内に空気通路11と隣接して電極棒室12とが一体的に設けられ、電極棒室12内には本実施形態では図2及び図3に示すように、3本の電極棒13が鉛直方向に配設されている。また、空気通路11にはフロート15が上下移動可能に内蔵されたフロート室14が設けられており、フロート15は水が送られるまではフロート室14下部の送水口14aに着座しており、水が送られると鎖線で示すように浮上してフロート室14上部の排気口14bを覆うように構成されている。なお、本体ハウジング10には図3に示すように、電極棒室12内の状態等を視認することができる覗き窓16が設けられている。
【0013】
また、電極棒13の上部は本体ハウジング10より突出しているが、その突出部分は図2及び図4に示すように、電極カバー20によって覆われて保護され、電極カバー20はゴムパッキン21を介して本体ハウジング10にビス止めされている。この電極カバー20には、電線管カバー22がゴムパッキン23を介してビス25で止められており、電気部分に風雨からの侵入を防御できる構造になっている。そして、電極棒13からの配線は電線管カバー22に取り付けた規格の電線管24によって接続することができる。
【0014】
この満水検知器4は、フロート室14と電極棒室12とが連通状態にあり、水が送られてくると、フロート15は排気口14bを覆い、かつ電極棒13が水に浸り水がポンプ3に達していることを検知する。この検知信号により満水検知器4よりも重力方向下方にあるポンプ3に水が達しているので、ポンプの作動を開始して揚水することができる。
【0015】
このように構成される満水検知器4において、本体ハウジング10が防錆材質であるステンレス材から作られており、さらに電極カバー20及び電線管カバー22もともにステンレス材から作られている。
【0016】
このように構成された満水検知器4は、電極カバー20及び電線管カバー22がステンレス材から作られ、しかも電極カバー20は厚手のシートパッキン21を介して本体ハウジング10にビス止めされ、電線管カバー22がゴムパッキン23を介して電極カバー20にビス25で止められているので、電気部分に風雨からの侵入を防御でき、屋外での使用に耐え得る構造になっている。
【0017】
したがって、満水検知器4は飲用水を揚水するポンプ設備に採用した場合、経年と共にポンプの付属部品である満水検知器内部の接水部に微量でもさびが発生すると赤水問題になるが、本実施形態では本体ハウジング10を含めて全ステンレス化されているので赤水問題が発生しない。なお、本体ハウジング10はステンレスで作るのではなく、例えば、ナイロンコーティング等の防錆構成を施してもほぼ同様の効果が得られる。
【0018】
また、従来の満水検知器において、電極カバーは金属板の溶接構造で風雨に対する防水構造になっていないが、本実施形態の電極カバー20はステンレス精密鋳造による下面にフランジ面付構造で本体ハウジング10にゴムパッキン21を介して取り付け、その上部側部にはゴムパッキン23を介して電線管カバー22をビス止めできるようになっており、内部の電極棒13からの配線は電線管カバー22に取り付けた規格の電線管によって接続することができるので、風雨に対する防水効果が絶大となり、屋外での使用を可能にしている。
【0019】
なお、電極カバー20は配線ケーブルに電線管24、電線管カバー22、パッキンを通して各電極棒13に各電線を接続してからの取り付けると作業が簡単である。
【符号の説明】
【0020】
3 ポンプ
4 満水検知器
10 本体ハウジング
13 電極棒
20 電極カバー
22 電線管カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジング内に空気通路と2本以上の電極棒を備えた電極棒室とが一体化して設けられ、前記電極棒は上端側が本体ハウジング上を突き出て、該突き出し部分が電極カバーで覆われるとともに電気的配線が施されている満水検知器において、
前記本体ハウジングが防錆材質から作られるまたは防錆構成が施されており、
前記電極カバーには前記電極棒に配線するケーブルを内蔵した電線管が取り付けられる電線管カバーが取り付けられ、
該電極カバーは前記本体ハウジングに、前記電線管カバーは電極カバーにそれぞれパッキンを介して取り付けられているとともに、
前記電極カバー及び電線管カバーがステンレス材から作られていることを特徴とする満水検知器。
【請求項2】
請求項1に記載の満水検知器において、前記電極カバーは前記本体ハウジングに厚手のシートパッキンを、前記電線管カバーは電極カバーにゴム製パッキンをそれぞれ介してビス止めされていることを特徴とする満水検知器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−80858(P2011−80858A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233239(P2009−233239)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(591079753)株式会社熊谷鉄工所 (6)
【Fターム(参考)】