説明

溶出が良好なイルベサルタン含有医薬組成物および口腔内崩壊錠

【課題】本発明は、良好な溶出性を示すイルベサルタンを含有する医薬組成物を提供する。さらに本発明は、(1)特殊な製剤技術を必要とせず一般的な設備で容易に製造可能である、(2)流通過程で崩れない適度な強度を有する、(3)口腔内において速やかな崩壊性を有する、(4)良好な溶出性を示す、(5)良好な服用感を併せ持つ等の優れた特性を有する、イルベサルタンを含有する口腔内崩壊錠を提供する。
【解決手段】ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤を含むイルベサルタン含有医薬組成物。(1)D−マンニトール、(2)イルベサルタン、(3)クロスポビドン及びカルメロースから選ばれる1種以上の崩壊剤、(4)ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤、及び(5)フマル酸ステアリルナトリウム及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イルベサルタンを含有する溶出性が良好な経口医薬組成物、特に錠剤に関する。また本発明は、溶出性が良好で、かつ、口腔内で少量の水または水なしでも速い崩壊性或いは溶解性を有する、イルベサルタンを含有する速崩壊性錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イルベサルタン、すなわち2-Butyl-3-{4-[2-(1H-tetrazol-5-yl)phenyl]benzyl}-1,3-diazaspiro[4.4]non-1-en-4-oneは、高血圧症等の治療に有用な長時間作用型アンジオテンシンII受容体拮抗剤である。イルベサルタンは、式:
【0003】
【化1】

【0004】
で示される構造を有する(特許文献1)。イルベサルタンは、一般に、上記疾患の治療のためには、たとえば50〜300mgと比較的多量投与する必要がある。服用のし易さ等の観点からは小型の製剤が望まれるが、イルベサルタンは水との親和性が低いために、良好な錠剤製剤特性、特に良好な溶出性を有しつつ、錠剤を小型化してイルベサルタンを高濃度に含有させることに関して解決すべき課題があった。この課題の解決を目的とした製剤として、特許文献2、3には、それぞれ約20〜約70重量%、および70重量%を超えるイルベサルタンを含有し、USP規定の装置2を用いて、37℃に加温した0.1N塩酸1000mL、パドル速度50rpmで溶出試験を行うとき、約80%またはそれ以上が30分以内に溶出するという溶出挙動を示すイルベサルタンの経口製剤が示されている。
【0005】
一方、従来から、種々の経口用の医薬品剤形が知られているが、患者の飲み易さを考慮した剤形は少なく、特に薬剤の服用に問題の多い高齢者、小児及び重症患者に適した剤形が望まれている。例えば、錠剤やカプセル剤は、その定用量性または物理化学的安定性、更には製造コスト面から最も汎用されてきた剤形であるが、一方で飲み込みにくい、喉につかえる等の理由から服用を嫌がる患者も多い。散剤、顆粒剤では口腔内に残留し、嚥下しにくく、口中に不快感が残る。シロップ剤等の液剤は、高齢者や小児に適した剤形とされてきたが、計量による服用は、高齢者、小児及び重症患者には困難さを伴うし、正しい量の服用は期待できない。また、物理化学的な安定性にも問題を残していた。最近、錠剤やカプセル剤の有する定用量性や物理化学的安定性を保持し、かつシロップ剤のような飲み込み易さとを併せ持つ剤形として、口腔内で速やかに崩壊する製剤に関する技術が多く開示されている。
【0006】
しかし、上記技術は、比較的多量の水を使用するため薬物が不安定になりやすい、製剤の適度な強度を有しておらず流通過程において損傷する可能性がある、更には、製造過程で打錠する際にスティッキングやキャッピング等の打錠障害を起こす等取り扱いに困難さを有し、種々の問題点があった。前述の問題点を解決するために様々な添加物の組み合わせ、製造方法が検討されてきたが、たとえば、成型後の錠剤を加湿乾燥する方法や外部滑沢法等、製造方法が複雑で、特別な装置を必要とするものも多かった。
【0007】
比較的汎用性のある技術として特許文献4、特許文献5等が挙げられるが、いずれも口腔内での速やかな崩壊性を示し、適度な強度を持ちかつ特別な製造方法に依存しない口腔内崩壊錠の提供には更に検討を加える必要があった。
【0008】
特許文献6には、口腔内において速やかな崩壊性と良好な服用感を示し、かつ流通過程で崩れない適度な強度を有する錠剤が示されている。また、特許文献7には、直接圧縮可能生成物の形態で使用される可溶性希釈剤を用いた、口の中で迅速に分解(崩壊)する錠剤が示されている。しかしながら、これらの技術は、医薬活性成分の製剤中含有割合が高い場合に、口腔内で崩壊性が低下する等の課題があった。
【0009】
また、特許文献8には、1錠重量500mg中にイルベサルタンを125mg含有する口腔内崩壊錠が示されている。該製剤は錠剤としては大型であり、口腔内崩壊錠といえども服用性がよいとはいえない。更に、2.5kpの破壊力(錠剤硬度)は、製剤の取扱いにおいて十分な強度であるとはいえない。
【0010】
更に、前述のようにイルベサルタンのような水難溶性の医薬活性成分は、水との親和性が低いために、溶出性の良好な製剤の製造は一般に容易ではない。また、製剤の小型化を図るために、製剤中に高濃度で含有させると水との親和性が更に低下する。したがって、イルベサルタンを高濃度含有し、溶出性が良好な口腔内崩壊錠の製造は非常に困難である。
【特許文献1】米国特許第5270317号明細書
【特許文献2】米国特許第6342247号明細書
【特許文献3】特開2008−501680号公報
【特許文献4】特開平10−182436号公報
【特許文献5】特開平9−71523号公報
【特許文献6】国際公開第00/47233号パンフレット
【特許文献7】特開平11−35450号公報
【特許文献8】特開2001−302499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、良好な溶出性を示すイルベサルタンの医薬組成物を提供することである。また、本発明の別の課題は、(1)特殊な製剤技術を必要とせず一般的な設備で容易に製造可能である、(2)流通過程で崩れない適度な強度を有する、(3)口腔内において速やかな崩壊性を有する、(4)良好な溶出性を示す等の優れた特性を有するイルベサルタンを含有する口腔内崩壊錠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討を行った結果、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはポリビニルアルコールを用いると、良好な溶出性を示すイルベサルタンを含有する錠剤が得られることを見いだした。
更に、本発明者らは、(1)D−マンニトール、(2)イルベサルタン、(3)クロスポビドンおよび/またはカルメロース、(4)ヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはポリビニルアルコール、および(5)フマル酸ステアリルナトリウムおよび/またはショ糖脂肪酸エステルを組み合わせることで、従来の圧縮成形機では調製が困難と考えられていた口腔内で1分以内、更に好ましくは45秒以内に崩壊し、かつ実用的な硬度を有し、更に良好な溶出性を示すイルベサルタンを含有する錠剤が得られることを見いだした。
【0013】
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤を含むイルベサルタン含有医薬組成物(以下、「本発明のイルベサルタン含有医薬組成物」または「本発明組成物」ともいう。)。
〔2〕(1)賦形剤、(2)イルベサルタン、(3)崩壊剤、(4)ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤、および(5)滑沢剤を含有する、上記〔1〕記載の医薬組成物。
〔3〕賦形剤が乳糖水和物、無水乳糖およびD−マンニトールから選ばれる1種以上の化合物である、上記〔2〕記載の医薬組成物。
〔4〕滑沢剤がステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸およびタルクから選ばれる1種以上の化合物である、上記〔2〕または〔3〕に記載の医薬組成物。
〔5〕(1)D−マンニトール、(2)イルベサルタン、(3)クロスポビドンおよびカルメロースから選ばれる1種以上の崩壊剤、(4)ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤、および(5)フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠(以下、「本発明の口腔内崩壊錠」ともいう。)。
〔6〕崩壊剤がクロスポビドンである、上記〔5〕記載の口腔内崩壊錠。
〔7〕結合剤がヒドロキシプロピルセルロースである、上記〔5〕または〔6〕に記載の口腔内崩壊錠。
〔8〕ヒドロキシプロピルセルロースの粘度が2〜10mPa・sである、上記〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔9〕滑沢剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、上記〔5〕〜〔8〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔10〕クロスポビドンおよびカルメロースから選ばれる1種以上の崩壊剤の含量が1w/w%〜20w/w%である、上記〔5〕〜〔9〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔11〕ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤の含量が0.01w/w%〜2w/w%である、上記〔5〕〜〔10〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔12〕フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の滑沢剤の含量が0.01w/w%〜5w/w%である、上記〔5〕〜〔11〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔13〕D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく150μm以下である、上記〔5〕〜〔12〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔14〕D−マンニトールがβ型結晶である、上記〔5〕〜〔13〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔15〕さらに、デンプンを含有する、上記〔5〕〜〔14〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔16〕デンプンがトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、およびコムギデンプンから選ばれる1種以上である、上記〔15〕記載の口腔内崩壊錠。
〔17〕さらに、界面活性剤を含有する、上記〔5〕〜〔16〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔18〕イルベサルタンおよび界面活性剤を含有する顆粒と滑沢剤を混合する工程を含んで製造される口腔内崩壊錠であって、界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびポロクサマー類(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)から選ばれる1種以上である、上記〔17〕記載の口腔内崩壊錠。
〔19〕界面活性剤がポリソルベート類およびポロクサマー類から選ばれる1種以上である、上記〔18〕記載の口腔内崩壊錠。
〔20〕さらに、矯味剤を含む、上記〔5〕〜〔19〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔21〕矯味剤がアスパルテーム、タウマチン、スクラロース、アセスルファムKおよびネオテームから選ばれる1種以上である、上記〔20〕記載の口腔内崩壊錠。
〔22〕矯味剤がスクラロースである、上記〔21〕記載の口腔内崩壊錠。
〔23〕さらに、有機酸またはその塩あるいはそれらの溶媒和物を含む、上記〔5〕〜〔22〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔24〕有機酸がリンゴ酸、クエン酸、酒石酸およびアスコルビン酸から選ばれる1種以上である、上記〔23〕記載の口腔内崩壊錠。
〔25〕さらに、香料を含む、上記〔5〕〜〔24〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔26〕香料がコーヒー香料、グレープフルーツ香料およびチェリー香料から選ばれる1種以上である、上記〔25〕記載の口腔内崩壊錠。
〔27〕(1)平均粒子径が30μmより大きく150μm以下であるD−マンニトール、(2)20w/w%〜60w/w%であるイルベサルタン、(3)1w/w%〜20w/w%であるクロスポビドンおよび/またはカルメロース、(4)2w/w%以下であるヒドロキシプロピルセルロース、(5)5w/w%〜20w/w%であるデンプン、および(6)0.1w/w%〜5w/w%であるフマル酸ステアリルナトリウムを含有する、上記〔5〕〜〔26〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔28〕さらに、ポリソルベート80を0.01w/w%〜0.5w/w%含有する、上記〔5〕〜〔27〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔29〕口腔内で60秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が1.0N/mm以上である、上記〔5〕〜〔28〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔30〕口腔内で45秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が1.5N/mm以上である、上記〔5〕〜〔29〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔31〕イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒を用いて製造されることを特徴とする、上記〔5〕〜〔30〕のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
〔32〕D−マンニトール、イルベサルタンおよび崩壊剤を含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒を用いて製造されることを特徴とする、上記〔31〕記載の口腔内崩壊錠。
〔33〕イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒と、スクラロースを含有する顆粒を混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、上記〔31〕または〔32〕に記載の口腔内崩壊錠。
〔34〕イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒と、スクラロースと有機酸を含有する顆粒を混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、上記〔31〕または〔32〕に記載の口腔内崩壊錠。
〔35〕イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒を、スクラロースを含有する混合物と混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、上記〔31〕または〔32〕に記載の口腔内崩壊錠。
〔36〕第15改正日本薬局方の溶出第2液における溶出試験の結果、イルベサルタンが15分で70%以上溶出する、上記〔1〕〜〔35〕のいずれかに記載の医薬組成物または口腔内崩壊錠。
【発明の効果】
【0014】
本発明のイルベサルタン含有医薬組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1または2の結合剤を使用することにより、(1)イルベサルタンの含量が高く、小型化された錠剤を製造することができ、それによって患者の服薬コンプライアンスが高められ、(2)イルベサルタンの放出において優れた特性(良好な溶出性)を有する。
さらに、(1)D−マンニトール、(2)イルベサルタン、(3)クロスポビドンおよびカルメロースから選ばれる1種以上の崩壊剤、(4)ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤、および(5)フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の滑沢剤を含有する本発明の口腔内崩壊錠は、口腔内において速やかな崩壊性を示し、かつ流通過程で崩れない適度な強度を有し、イルベサルタンを高濃度に含有させた場合でも、良好な溶出性を示す。また、本発明の口腔内崩壊錠は、特別な装置を必要とせず、簡便に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明において、有効成分であるイルベサルタンとしては、取扱い性または溶出性の改善等、必要に応じて解砕物または粉砕物を用いてもよい。また、苦味マスキング、溶出制御、安定化等の目的でその表面の一部または全部を水溶性高分子等の結合剤またはコーティング剤で被覆しても良い。
本発明組成物中のイルベサルタンの含量は、通常65w/w%以下であり、好ましくは60w/w%以下が挙げられる。含量の下限は特に限定されないが、通常20w/w%以上であり、好ましくは30w/w%を超える量が挙げられる。更に好ましくは20w/w%以上60w/w%以下、より好ましくは30w/w%を超えて60w/w%以下が挙げられる。
【0016】
本発明組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤を含む。
本発明組成物に用いる上記結合剤は、イルベサルタンを含有する顆粒の造粒を促進するだけでなく、イルベサルタンの溶出性をも促進する。本発明組成物の結合剤として用いるヒドロキシプロピルセルロースは、好ましくは、2%水溶液の20℃における粘度が2〜10mPa・sのものが挙げられる。
ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤の本発明組成物中含量は特に限定されないが、10w/w%以下が挙げられる。好ましくは5w/w%以下が挙げられ、より好ましくは3w/w%以下が挙げられる。また、0.01w/w%以上、好ましくは0.05w/w%以上が挙げられる。より好ましくは0.01w/w%〜3w/w%が挙げられ、更に好ましくは0.05w/w%〜3w/w%が挙げられる。ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールを組合せて使用する場合は、それらの総含量として、上記範囲が例示される。
【0017】
本発明組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記以外の製剤分野において通常使用される無毒性かつ不活性な添加剤を添加することもできる。使用する添加剤としては、医薬的に許容されるものであればよく、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコール以外の結合剤、界面活性剤、甘味剤、矯味剤、有機酸、着香剤・香料、流動化剤、着色剤、安定化剤、コーティング剤、デンプン等が挙げられる。
【0018】
本発明組成物としては、例えば、(1)賦形剤、(2)イルベサルタン、(3)崩壊剤、(4)ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤、および(5)滑沢剤を含有する医薬組成物が例示される。
【0019】
本発明組成物に用いる賦形剤は、例えば、乳糖(乳糖水和物、無水乳糖)、白糖、ショ糖、果糖、フラクトオリゴ糖、ブドウ糖、マルトース、還元麦芽糖、粉糖、粉末飴、還元乳糖等の糖類、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、D−マンニトール等の糖アルコール類、カオリン、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等の天然デンプン)、結晶セルロース等が挙げられる。好ましくは、乳糖水和物、無水乳糖等の糖類、D−マンニトール等の糖アルコール、デンプン、結晶セルロースが挙げられる。
賦形剤の本発明組成物中含量は特に限定されないが、通常20w/w%〜75w/w%が挙げられ、好ましくは25w/w%〜50w/w%が挙げられる。賦形剤を2種以上使用する場合の賦形剤全量の本発明組成物中含量も上記と同量である。
【0020】
本発明組成物に用いる崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルメロース等が挙げられる。
崩壊剤の本発明組成物中含量は特に限定されないが、通常1〜20w/w%が挙げられ、好ましくは1w/w%〜15w/w%が挙げられる。崩壊剤を2種以上使用する場合の崩壊剤全量の本発明組成物中含量も上記と同量である。
【0021】
本発明組成物に用いる滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、カルナウバロウ、L−ロイシン、マクロゴール等が挙げられる。
滑沢剤の本発明組成物中含量は特に限定されないが、通常0.01w/w%〜5w/w%が挙げられ、好ましくは0.01w/w%〜4w/w%が挙げられる。滑沢剤を2種以上使用する場合の滑沢剤全量の本発明組成物中含量も上記と同量である。
【0022】
本発明組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコール以外の製剤分野において通常使用される結合剤を添加することもできる。該結合剤として例えば、α化デンプン、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、寒天、ゼラチン等が挙げられる。該結合剤は1種または2種以上を組合せて用いることができる。
ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコール以外の結合剤の本発明組成物中含量は本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、特に限定されない。
【0023】
本発明組成物は、更に界面活性剤を含有させることでより好ましい溶出性が得られる。界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のイオン性界面活性剤、または、ポリソルベート類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびポロクサマー類(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)等の非イオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは、ポリソルベート類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびポロクサマー類等の非イオン性界面活性剤が挙げられ、更に好ましくは、ポリソルベート類およびポロクサマー類が挙げられ、最も好ましくは、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポロクサマー188が挙げられる。界面活性剤は1種または2種以上を組合せて用いることができる。
本発明組成物中の界面活性剤の含量は、好ましくは0.01w/w%〜2w/w%、さらに好ましくは0.01w/w%〜0.5w/w%が挙げられる。
【0024】
本発明組成物に用いる流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。流動化剤は1種または2種以上を組合せて用いることができる。
本発明組成物中の流動化剤の含量は、好ましくは3w/w%以下、さらに好ましくは2w/w%以下が挙げられる。
【0025】
本発明組成物に用いる着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒色三二酸化鉄等が挙げられる。着色剤は、1種または2種以上を組み合わせて適宜適量添加することができる。
【0026】
本発明組成物(特に、以下に詳述する本発明の口腔内崩壊錠)は、良好な溶出性を有する。具体的には第15改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)に従った、溶出試験第2液での溶出試験において、15分時点におけるイルベサルタンの溶出率が通常65%以上、好ましくは70%以上である。
【0027】
本発明組成物の剤形としては、例えば、素錠、チュアブル錠、フィルムコーティング錠等の錠剤等が挙げられる。服用のし易さの見地からは、口腔内崩壊錠が好ましい。
【0028】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、賦形剤としてD−マンニトールが好ましい。D−マンニトールは、粒子径が小さすぎると圧縮成形性は向上するものの崩壊性が著しく低下する傾向があり、逆に粒子径が大きすぎると圧縮成形性が悪く、錠剤の強度が低くなる傾向にあり、かつ口腔内でざらつきを感じ、服用感が悪化する。本発明で用いられるD−マンニトールは、平均粒子径が10μmより大きく500μm以下が挙げられ、より好ましくは30μmより大きく200μm以下が挙げられ、更に好ましくは30μmより大きく150μm以下の範囲が挙げられる。
ここで、本明細書において、平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布計により乾式法にて測定した粒度分布より算出された、体積基準によるメジアン径をいう。
【0029】
また、D−マンニトールはα、β、δ型の結晶多形が存在することが知られており、本願においてはその結晶形は特に限定されないが、αおよびδ型は、温度や湿度によって比較的容易に結晶形が変化することから、最も安定形であるβ型を用いることが好ましい。D−マンニトールの製剤中含量は特に限定されないが、好ましくは20w/w%以上であり、更に好ましくは25w/w%以上である。含量の上限は特に限定されないが、75w/w%以下が挙げられ、好ましくは50w/w%以下が挙げられる。
【0030】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤の製剤中含量は、好ましくは2w/w%以下が挙げられ、より好ましくは1w/w%以下が挙げられ、更に好ましくは0.5w/w%以下が挙げられる。また、好ましくは0.01w/w%以上、より好ましくは0.05w/w%以上が挙げられる。好ましくは0.01w/w%〜2w/w%が挙げられ、より好ましくは0.01w/w%〜1w/w%が挙げられ、更に好ましくは0.05w/w%〜0.5w/w%が挙げられる。ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールを組合せて使用する場合は、それらの総含量として、上記範囲が例示される。
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、ヒドロキシプロピルセルロースとしては、2%水溶液の20℃における粘度が2〜10mPa・sのものを用いることが好ましい。
【0031】
また、本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコール以外の結合剤を添加することもできる。該結合剤としては、本発明組成物について前述したと同様のものが例示される。ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコール以外の結合剤の本発明製剤中含量は本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、特に限定されない。
【0032】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、崩壊剤としては、クロスポビドンおよびカルメロースが挙げられ、特に好ましくはクロスポビドンが挙げられる。クロスポビドンおよびカルメロースから選ばれる1種以上の崩壊剤の製剤中含量は特に限定されないが、好ましくは1〜20w/w%が挙げられ、さらに好ましくは1w/w%〜15w/w%が挙げられる。クロスポビドンおよびカルメロースを組合せて使用する場合は、それらの総含量として、上記範囲が例示される。
【0033】
また、本発明の口腔内崩壊錠は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記以外の製剤分野において通常使用される崩壊剤を添加することもできる。崩壊剤として例えば、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
クロスポビドンおよびカルメロース以外の崩壊剤の製剤中含量は本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、特に限定されない。
【0034】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、更にデンプンを含有させることでより好ましい崩壊性が得られる。デンプンとしては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等の天然デンプンが挙げられる。デンプンの製剤中含量は特に限定されないが1w/w%〜50w/w%が挙げられ、好ましくは5w/w%〜30w/w%が挙げられ、更に好ましくは5w/w%〜20w/w%が挙げられる。
【0035】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、滑沢剤としては、好ましくはフマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルが挙げられ、更に好ましくはフマル酸ステアリルナトリウムが挙げられる。フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の滑沢剤の製剤中含量は特に限定されないが、通常0.01w/w%〜5w/w%の範囲で用いられるが、好ましくは0.01〜4w/w%の範囲が挙げられる。また、外部滑沢装置を用いる場合は、0.01w/w%〜0.5w/w%の範囲が好ましく、また圧縮用組成物に混合する場合は、0.5w/w%〜4w/w%の範囲が好ましい。フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルを組合せて使用する場合は、それらの総含量として、上記範囲が例示される。また、フマル酸ステアリルナトリウムの場合は、0.1w/w%〜5w/w%が好ましく、1.5w/w%〜4w/w%がさらに好ましい。
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、滑沢剤は、イルベサルタンおよび任意の添加剤(例えば、界面活性剤)を含有する顆粒(好ましくは湿式造粒して得られる顆粒)を製造した後、混合して用いられることが好ましい。
【0036】
また、本発明の口腔内崩壊錠は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記以外の製剤分野において通常使用される滑沢剤を添加することもできる。滑沢剤として例えば、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、カルナウバロウ、L−ロイシン、およびマクロゴール等が挙げられる。フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステル以外の滑沢剤の製剤中含量は本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、特に限定されない。
【0037】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、更に界面活性剤を含有させることでより好ましい溶出性が得られる。界面活性剤としては、本発明組成物について前述したと同様のものが例示され、界面活性剤の含量は本発明組成物について前述した範囲が挙げられる。
【0038】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、有機酸またはその塩あるいはそれらの溶媒和物を含有させることが好ましい。有機酸としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等が挙げられ、好ましくはクエン酸、リンゴ酸が挙げられる。有機酸の塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、またはこれらの複塩が挙げられ、また、酸性水素が残存する酸性塩(例えば、クエン酸二ナトリウムなど)であってもよい。有機酸またはその溶媒和物としては、水和物等が挙げられる。有機酸またはその塩あるいはそれらの溶媒和物は1種または2種以上を組合せて用いることができる。
製剤中の有機酸またはその塩あるいはそれらの溶媒和物の含量は、好ましくは0.025w/w%〜7.5w/w%、さらに好ましくは0.25w/w%〜2.5w/w%が挙げられる。
【0039】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、甘味剤、矯味剤を含有させることが好ましい。甘味剤、矯味剤としては、例えば、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、タウマチン、スクラロース、アセスルファムK、ネオテーム等の高甘味度甘味料等が挙げられる。好ましい高甘味度甘味料として、アスパルテーム、タウマチン、スクラロース、アセスルファムK、およびネオテームが挙げられ、特に好ましい高甘味度甘味料として、スクラロースが挙げられる。甘味剤、矯味剤は、1種または2種以上を組み合わせて適宜適量添加することができる。
【0040】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、着香剤・香料を含有させることが好ましい。着香剤・香料としては、例えば、レモン、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘系香料、ペパーミント、スペアミント、メントール、パイン、チェリー、フルーツ、ヨーグルト、コーヒー等が挙げられ、好ましい着香剤・香料としては、レモン、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘系香料、チェリー、コーヒーが挙げられる。甘味剤、矯味剤と着香剤・香料の配合によって、より好ましい服用感が得られる場合がある。着香剤・香料は、1種または2種以上を組み合わせて適宜適量添加することができる。
【0041】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、(1)D−マンニトール、(2)イルベサルタン、(3)クロスポビドンおよびカルメロースから選ばれる1種以上の崩壊剤、(4)ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤、および(5)フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠が好ましい。
上記(1)〜(5)の成分を含有する本発明の口腔内崩壊錠は、本発明組成物について前述した良好な溶出性を有するだけでなく、口腔内で速やかな崩壊性を有し、かつ、流通過程で崩れない適度な強度を有する。具体的には、本発明の口腔内崩壊錠は、通常口腔内で60秒以内(好ましくは45秒以内)に崩壊し、かつ通常絶対硬度が1.0N/mm以上(好ましくは1.5N/mm以上)である。絶対硬度の上限は特に限定されないが通常4N/mm以下である。
本発明の口腔内崩壊錠は、イルベサルタンを20w/w%以上、好ましくは30w/w%を超える高濃度に含有させた場合でも、上記の良好な溶出性、崩壊性、適度な強度を有する点で有用である。
【0042】
本発明の口腔内崩壊錠としては、さらに、(1)平均粒子径が30μmより大きく150μm以下であるD−マンニトール、(2)20w/w%〜60w/w%(好ましくは30w/w%を超えて60w/w%以下)であるイルベサルタン、(3)1w/w%〜20w/w%であるクロスポビドンおよび/またはカルメロース、(4)2w/w%以下であるヒドロキシプロピルセルロース、(5)5w/w%〜20w/w%であるデンプン、および(6)0.1w/w%〜5w/w%であるフマル酸ステアリルナトリウムを含有する、口腔内崩壊錠が好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠としては、さらに、ポリソルベート80を0.01w/w%〜0.5w/w%含有する、口腔内崩壊錠が好ましい。
【0043】
本発明組成物の製剤化は、製剤分野において自体公知の方法により行なえばよい。
本発明において錠剤の製造方法は特に限定されないが、たとえば以下の方法により製造することが出来る。
イルベサルタンおよび任意の添加剤[例えば、賦形剤(例えば、D−マンニトール、結晶セルロース)、崩壊剤(例えば、クロスポビドン、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)、着色剤(例えば、黄色三二酸化鉄)等]を混合し、得られた混合物を、必要に応じて界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ポリソルベート188)を含有させた結合剤(ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤)の水溶液で造粒し、乾燥する。得られたイルベサルタンを含む造粒物に、任意の添加剤[例えば、滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム)、流動化剤(例えば、軽質無水ケイ酸)、甘味剤または矯味剤(例えば、スクラロース)、香料または着香剤(例えば、コーヒー香料、チェリー香料、グレープフルーツ香料)、有機酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)等]を混合して、圧縮成形することで錠剤を得ることができる。また、上記のイルベサルタンを含む造粒物に、任意の添加剤[例えば、甘味剤または矯味剤(例えば、スクラロース)、香料または着香剤(例えば、コーヒー香料、チェリー香料、グレープフルーツ香料)、有機酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)等]を含有する顆粒、および滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル)、流動化剤(例えば、軽質無水ケイ酸)等を混合して、圧縮形成してもよい。
イルベサルタンは、苦味マスキング、溶出制御、安定化等の目的でその表面の一部または全部を水溶性高分子等の結合剤またはコーティング剤で被覆して用いても良い。
【0044】
造粒方法としては、湿式造粒が好ましい。湿式造粒法としては、流動層造粒法、撹拌造粒法、押出し造粒法、練合造粒法、噴霧造粒法等が挙げられる。中でも、撹拌造粒法、練合造粒法が好ましい。使用する各成分が凝集性であったり、結晶や造粒物が大きなものである等、薬効成分の含量均一性を阻害する可能性がある場合は、各成分を混合前または混合後に粉砕等の手法を利用して、含量均一性を保証できる粒子径に整えることが望ましい。
【0045】
錠剤(口腔内崩壊錠)の成形方法については、特に限定されないが、商業的に製造する場合はロータリー式打錠機または単発打錠機を用いた圧縮成形法が用いられる。
なお、本発明の錠剤(口腔内崩壊錠)は、外部滑沢法を用いなくとも圧縮成型が可能であるが、勿論、外部滑沢法を用いても成型可能である。この場合には、滑沢剤を除く成分を混合した後、滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行うか、あるいは、滑沢剤の一部をあらかじめ混合した後、残りの滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行う。
圧縮成形力は、錠剤(口腔内崩壊錠)に十分な強度を与える程度であれば特に限定されないが、1kN(約100kgf)以上の圧縮力が好ましい。本発明で得られる錠剤(口腔内崩壊錠)の形状は、特に限定されず、円形錠、円形R錠、円形隅角錠、円形2段R錠や各種異形錠等いずれの形状でもよく、また分割錠としても良い。
【0046】
本発明組成物を口腔内崩壊錠とする場合には、特に限定されないが、イルベサルタンを含有する混合物(好ましくはイルベサルタン、D−マンニトール、崩壊剤を含有する混合物)を湿式造粒して得られる顆粒を用いて製造されることが好ましい。
本発明において、口腔内崩壊錠の製造方法としては、好ましくは以下の工程を含む。
(1)イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して顆粒を得る工程
(2)上記(1)で得られた顆粒と、スクラロースを含有する顆粒(好ましくは、スクラロースと有機酸を含有する顆粒)またはスクラロースを含有する混合物を混合する工程
(3)上記(2)で得られた混合物を成形する工程
【0047】
本発明において「口腔内崩壊錠」とは、口腔内の唾液のみで60秒以内、好ましくは45秒以内に崩壊し、水を摂取することなく口腔内で崩壊させて服用が可能な錠剤を意味する。この口腔内で崩壊する時間は、口腔内崩壊錠試験器(富山産業株式会社 型式ODT−101)を用いることでも、再現よく測定が可能である。
【0048】
本発明において「絶対硬度」とは、錠剤硬度を破断面積で除した値を示す。また、実用的な硬度とは、錠剤をPTPから取り出す際に壊れない程度というだけではなく、製造中および流通過程、更には調剤時の錠剤自動分包機も適用可能な強度を有することを指し、具体的には、絶対硬度として通常1.0N/mm2以上、好ましくは1.5N/mm2以上、更に好ましくは2.0N/mm2以上の強度が挙げられる。「錠剤硬度」は、錠剤硬度計(例えば、富山産業株式会社 型式TH−203MP)により測定することができる。本発明において、「破断面積」は、錠剤形状と錠剤厚みにより算出した値である。
【0049】
本発明のイルベサルタン含有医薬組成物、本発明の口腔内崩壊錠は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤として、高血圧症の治療等に有用である。
本発明のイルベサルタン含有医薬組成物、本発明の口腔内崩壊錠は、ヒト等の哺乳類に対して、安全に経口投与することができる。
投与量は、年齢、体重、疾患の重症度等によって適宜選択し得るが、例えば、成人に対して、1日当たり、50〜300mgを投与する。
【実施例】
【0050】
以下、実施例、比較例及び試験例をあげて本発明を更に詳しく説明するが、本発明を限定するものではない。
【0051】
[実施例1]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成工業製)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol、FMC社製)を小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に、仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達製)水溶液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、ステアリン酸マグネシウムを混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0052】
【表1】

【0053】
[実施例2]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成工業製)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol、FMC社製)を小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に、仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−05、日本合成化学製)水溶液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、ステアリン酸マグネシウムを混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0054】
【表2】

【0055】
[試験例1]
実施例1、2の錠剤について、第15改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)に従って、溶出試験第2液での溶出試験を実施し、15分時点における溶出率を求めたところ、いずれも70%以上であった(表3)。
【0056】
【表3】

【0057】
[実施例3]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)を小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達製)水溶液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101、フロイント産業製)およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径9mm、曲率半径14mmの円形錠用金型にて、約6kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0058】
【表4】

【0059】
[実施例4]
下記処方に従い、トウモロコシデンプン(造粒用)および黄色三二酸化鉄を予備混合したのち、イルベサルタン、D−マンニトール、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)とともに小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達製)水溶液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、スクラロース、トウモロコシデンプン(粉末混合用)、コーヒー香料、軽質無水ケイ酸およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0060】
【表5】

【0061】
[実施例5]
下記処方に従い、トウモロコシデンプン(造粒用)および黄色三二酸化鉄を予備混合したのち、イルベサルタン、D−マンニトール、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)とともに小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達製)水溶液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、スクラロース、トウモロコシデンプン(粉末混合用)、クエン酸、チェリー香料、軽質無水ケイ酸およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0062】
【表6】

【0063】
[実施例6]
下記処方に従い、トウモロコシデンプン(造粒用)および黄色三二酸化鉄を予備混合したのち、イルベサルタン、D−マンニトール、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)とともに小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達製)およびポリソルベート80(NIKKOL TO−10MV、日光ケミカルズ製)を水に溶解した液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、スクラロース、トウモロコシデンプン(粉末混合用)、リンゴ酸、グレープフルーツ香料、軽質無水ケイ酸およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0064】
【表7】

【0065】
[実施例7]
下記処方に従い、トウモロコシデンプン(造粒用)および黄色三二酸化鉄を予備混合したのち、イルベサルタン、D−マンニトール、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)を小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達製)およびポロクサマー188(プルロニックF68、株式会社ADEKA製)を水に溶解した液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、スクラロース、トウモロコシデンプン(粉末混合用)、リンゴ酸、グレープフルーツ香料、軽質無水ケイ酸およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0066】
【表8】

【0067】
[実施例8]
下記処方に従い、トウモロコシデンプン(造粒用)および黄色三二酸化鉄を予備混合したのち、イルベサルタン、D−マンニトール、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)を小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に、仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−05、日本合成化学製)およびポリソルベート80(NIKKOL TO−10MV、日光ケミカルズ製)を水に溶解した液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、スクラロース、トウモロコシデンプン(粉末混合用)、コーヒー香料、軽質無水ケイ酸およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0068】
【表9】

【0069】
[実施例9]
下記処方に従い、トウモロコシデンプン(造粒用)および黄色三二酸化鉄を予備混合したのち、イルベサルタン、D−マンニトール、カルメロース(NS−300、五徳薬品製)を小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に、仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達製)およびポリソルベート80(NIKKOL TO−10MV、日光ケミカルズ製)を水に溶解した液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、スクラロース、トウモロコシデンプン(粉末混合用)、コーヒー香料、軽質無水ケイ酸およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0070】
【表10】

【0071】
[実施例10]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol、FMC社製)を小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達製)水溶液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、軽質無水ケイ酸およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径9mm、曲率半径14mmの円形錠用金型にて、約6kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0072】
【表11】

【0073】
[比較例1]
下記処方に従い、トウモロコシデンプン(造粒用)および黄色三二酸化鉄を予備混合したのち、イルベサルタン、D−マンニトール、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)とともに小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に仕込み、混合した後、水を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、スクラロース、トウモロコシデンプン(粉末混合用)、コーヒー香料、軽質無水ケイ酸およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0074】
【表12】

【0075】
[比較例2]
下記処方に従い、トウモロコシデンプン(造粒用)および黄色三二酸化鉄を予備混合したのち、イルベサルタン、D−マンニトール、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)を小型万能混合機(調剤ミキサー、株式会社品川工業所製)に仕込み、混合した後、メチルセルロース(メトローズSM−15、信越化学製)水溶液を添加して練合した。練合物を乾燥し、整粒した。得られた造粒物に、スクラロース、トウモロコシデンプン(粉末混合用)、クエン酸、チェリー香料、軽質無水ケイ酸およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)を混合後、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約4kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
【0076】
【表13】

【0077】
[試験例2]
実施例3〜10および比較例1〜2の錠剤について、口腔内崩壊錠試験器(富山産業株式会社 型式ODT−101)を用いて、試験液:水(37±1℃)、錘質量:15g、回転数:25rpmの条件にて崩壊時間を測定した。また、錠剤硬度計(富山産業株式会社 TH−203MP)を用いて硬度を測定し、得られた硬度を錠剤の破断面の面積で除した値を絶対硬度として表した。更に、第15改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)に従って、溶出試験第2液での溶出試験を実施し、15分時点における溶出率を求めた。また、錠剤を口中に含み完全に崩壊させた際の服用感を判定した。これらの結果を表14に示した。
実施例3〜10の製剤はいずれも、15分溶出率が70%以上で良好であった。崩壊剤としてクロスポビドンまたはカルメロースを含有する実施例3〜9の製剤は、絶対硬度2.0N/mm以上かつ崩壊時間が45秒以内であり、口腔内崩壊錠として十分な崩壊性を有していた。また、スクラロースを含有する実施例4〜9の製剤は、服用可能なレベルまで苦味が軽減されており、良好な服用感を有していた。
比較例1の製剤は、崩壊時間が27秒と早かったものの、15分溶出率が61%で、良好な溶出性とはいえなかった。比較例2の製剤は、崩壊時間が95秒と遅く、更に、15分溶出率が62%であり、崩壊性、溶出性ともに不十分であった。
【0078】
【表14】

【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によって、良好な溶出性を示すイルベサルタン含有医薬組成物、および(1)特殊な製剤技術を必要とせず一般的な設備で容易に製造可能である、(2)流通過程で崩れない適度な強度を有する、(3)口腔内において速やかな崩壊性を有する、(4)良好な溶出性を示す等の優れた特性を有するイルベサルタンを含有する口腔内崩壊錠を提供することが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤を含むイルベサルタン含有医薬組成物。
【請求項2】
(1)賦形剤、(2)イルベサルタン、(3)崩壊剤、(4)ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤、および(5)滑沢剤を含有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
賦形剤が乳糖水和物、無水乳糖およびD−マンニトールから選ばれる1種以上の化合物である、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
滑沢剤がステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸およびタルクから選ばれる1種以上の化合物である、請求項2または3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
(1)D−マンニトール、(2)イルベサルタン、(3)クロスポビドンおよびカルメロースから選ばれる1種以上の崩壊剤、(4)ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤、および(5)フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠。
【請求項6】
崩壊剤がクロスポビドンである、請求項5記載の口腔内崩壊錠。
【請求項7】
結合剤がヒドロキシプロピルセルロースである、請求項5または6に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項8】
ヒドロキシプロピルセルロースの粘度が2〜10mPa・sである、請求項5〜7のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項9】
滑沢剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、請求項5〜8のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項10】
クロスポビドンおよびカルメロースから選ばれる1種以上の崩壊剤の含量が1w/w%〜20w/w%である、請求項5〜9のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項11】
ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤の含量が0.01w/w%〜2w/w%である、請求項5〜10のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項12】
フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の滑沢剤の含量が0.01w/w%〜5w/w%である、請求項5〜11のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項13】
D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく150μm以下である、請求項5〜12のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項14】
D−マンニトールがβ型結晶である、請求項5〜13のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項15】
さらに、デンプンを含有する、請求項5〜14のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項16】
デンプンがトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、およびコムギデンプンから選ばれる1種以上である、請求項15記載の口腔内崩壊錠。
【請求項17】
さらに、界面活性剤を含有する、請求項5〜16のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項18】
イルベサルタンおよび界面活性剤を含有する顆粒と滑沢剤を混合する工程を含んで製造される口腔内崩壊錠であって、界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびポロクサマー類から選ばれる1種以上である、請求項17記載の口腔内崩壊錠。
【請求項19】
界面活性剤がポリソルベート類およびポロクサマー類から選ばれる1種以上である、請求項18記載の口腔内崩壊錠。
【請求項20】
さらに、矯味剤を含む、請求項5〜19のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項21】
矯味剤がアスパルテーム、タウマチン、スクラロース、アセスルファムKおよびネオテームから選ばれる1種以上である、請求項20記載の口腔内崩壊錠。
【請求項22】
矯味剤がスクラロースである、請求項21記載の口腔内崩壊錠。
【請求項23】
さらに、有機酸またはその塩あるいはそれらの溶媒和物を含む、請求項5〜22のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項24】
有機酸がリンゴ酸、クエン酸、酒石酸およびアスコルビン酸から選ばれる1種以上である、請求項23記載の口腔内崩壊錠。
【請求項25】
さらに、香料を含む、請求項5〜24のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項26】
香料がコーヒー香料、グレープフルーツ香料およびチェリー香料から選ばれる1種以上である、請求項25記載の口腔内崩壊錠。
【請求項27】
(1)平均粒子径が30μmより大きく150μm以下であるD−マンニトール、(2)20w/w%〜60w/w%であるイルベサルタン、(3)1w/w%〜20w/w%であるクロスポビドンおよび/またはカルメロース、(4)2w/w%以下であるヒドロキシプロピルセルロース、(5)5w/w%〜20w/w%であるデンプン、および(6)0.1w/w%〜5w/w%であるフマル酸ステアリルナトリウムを含有する、請求項5〜26のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項28】
さらに、ポリソルベート80を0.01w/w%〜0.5w/w%含有する、請求項5〜27のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項29】
口腔内で60秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が1.0N/mm以上である、請求項5〜28のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項30】
口腔内で45秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が1.5N/mm以上である、請求項5〜29のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項31】
イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒を用いて製造されることを特徴とする、請求項5〜30のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
【請求項32】
D−マンニトール、イルベサルタンおよび崩壊剤を含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒を用いて製造されることを特徴とする、請求項31記載の口腔内崩壊錠。
【請求項33】
イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒と、スクラロースを含有する顆粒を混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、請求項31または32に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項34】
イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒と、スクラロースと有機酸を含有する顆粒を混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、請求項31または32に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項35】
イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒を、スクラロースを含有する混合物と混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、請求項31または32に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項36】
第15改正日本薬局方の溶出第2液における溶出試験の結果、イルベサルタンが15分で70%以上溶出する、請求項1〜35のいずれかに記載の医薬組成物または口腔内崩壊錠。

【公開番号】特開2010−53047(P2010−53047A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217042(P2008−217042)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】