説明

溶剤型および無溶媒のエマルジョン化によるポリエステルラテックス製造方法

【課題】最適な工程条件、且つより危険でない原料を有するトナー生成の改善した方法を提供する。
【解決手段】ラテックス粒子を連続的に回収する工程を含む方法であって、トナー組成物に適したラテックスエマルジョン生成の工程は、樹脂混合物を形成するために少なくとも一つの有機溶媒および相転移剤と少なくとも一つのポリエステル樹脂を接触させる工程と、前記樹脂混合物に少なくとも第一級アミンを含む中和剤を添加する工程と、樹脂溶液を形成するために、前記樹脂を溶解する工程と、ラテックス粒子を含むラテックスエマルジョンを提供するために、前記混合物に水を添加する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
数々のプロセスが当業者の用いるトナー調製の範囲内である。エマルジョン凝集(EA)はこのうちの一つの方法である。
【背景技術】
【0002】
低い溶解特性を示すポリエステルトナーを例えば米国特許出願公開第2008/0153027号明細書に図解するように、非結晶性および結晶性ポリエステル樹脂を利用して調整した。
【0003】
ポリエステルトナー製造のために、使用される樹脂を水性の分散物またはエマルジョン中にエマルジョン化することができる。二つの工程をしばしばポリエステル樹脂のエマルジョン化に使用する。第一の方法である相転移エマルジョン(PIE)は、水酸化アンモニウム(NH溶液10重量%)を中和剤として、ポリエステル樹脂の酸末端基と反応し、アニオン基を形成するために使用した。これらのアニオン基はエマルジョンの形成を促進し、水相におけるエマルジョン粒子を安定させ、そして最終エマルジョン粒子サイズの調節に重要である。しかしながら、水酸化アンモニウムは水中のアンモニアの揮発性溶液であるため、蒸気が溶液から直ちに漏れ、塩基性溶液の濃度が常に変化する原因となり、従って常に測定してPIE工程最中に正確な濃度を確かめる必要がある。さらに、水酸化アンモニウムおよびその蒸気にさらすことは、この工程を実施している実施者全員に化学物質過敏症を引き起こすため、危険な健康状態の原因となる。従って、苛性溶液およびアンモニアガスから実施者を守るため、余分な注意を必要とすべきである。
【0004】
第二の方法は、例えば米国特許出願公開第2009/0208864号明細書および米国特許出願公開第2009/0246680号明細書に図解するように、界面活性剤溶液、水、そして熱で軟化された樹脂を含むエマルジョンの調製のために、中和剤として水酸化ナトリウム(NaOH)の添加によるバッチまたは押し出し工程のいずれかによって形成する無溶媒エマルジョン化工程を含む。しかしながら、NaOHはポリエステル樹脂の分解を導く、強塩基および求核試薬である。従って、この分解が起こらないように保証するため、厳しい制限が必要である。
【0005】
従って、これらの無溶剤ラテックスエマルジョンはまた第二級アミン、例えば米国特許出願第12/485,415号明細書に図解するように、例えば中和剤としてピペラジンを使用して、これらの工程において従来使用されてきた比較的に揮発性のある水酸化塩基に置換して形成した。NaOHと異なって、第二級アミンはポリエステル樹脂に混和性があり、融点約106℃を有し、従って中和剤として、溶解された樹脂に直接、水の必要性もなく働くことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、無溶剤工程は高分子量のポリエステル樹脂からの樹脂エマルジョンの生成に、効果が弱いことがある。
【0007】
最適な工程条件、且つより危険でない原料を有するトナー生成の改善した方法が依然として望まれる。この様な方法は、前記トナーの製造コストを減少し、環境にやさしくすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の工程は、樹脂混合物の形成のために、少なくとも一つのポリエステル樹脂に少なくとも一つの有機溶媒および位相反転剤を接触する工程と;少なくとも第一級アミンを樹脂混合物に添加する工程と;樹脂を樹脂混合物に溶解する工程と;ラテックス粒子を含有するラテックスエマルジョンを提供するために、水を混合物に添加する工程と;連続的にラテックス粒子を回収する工程とを含む。
【0009】
本開示のトナーは少なくとも一つのポリエステル樹脂;少なくとも一つの第一級アミン;水;そして任意に一つ以上のトナー組成物のさらなる原料を含むものを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本開示の実施例1に従って製造されたラテックスの粒子径分布のグラフを描く。
【図2】図2は本開示の実施例2に従って製造されたラテックスの粒子径分布のグラフを描く。
【発明を実施するための形態】
【0011】
水中に分散された(即ち、エマルジョン)ナノスケール粒子を形成するために、本開示はポリエステル樹脂のエマルジョン化を提供する。本開示に従って、水酸化アンモニウムを、PIEによるポリエステルエマルジョンの調製で中和剤として、第一級アミン、例えば実用的且つ実施上の利点をもたらすトリスヒドロキシメチルアミノメタン等(“トリス”として下記参照)と置換した。同様に、無溶媒エマルジョン化押し出し工程において、第一級アミン、例えばトリスをNaOHに置換し、ポリエステルエマルジョンを形成するために利用することができる。水酸化塩基の代わりにトリスおよび他の第一級アミンの使用することは、エマルジョンまたは製造されたいずれかのトナーの性能に影響がない。
【0012】
実施形態において、溶媒に基づく相転移工程を提供し、少なくとも一つのポリエステル樹脂に少なくとも一つの有機溶媒および相転移剤を樹脂混合物形成のために接触させる工程と;中和剤、例えば第一級アミンを樹脂混合物に添加する工程と;水をラテックス粒子を含有するラテックスエマルジョンを提供するために添加する工程と;そして連続的にラテックス粒子を回収する工程とを含む。
【0013】
本開示はまた有機溶媒の不存在下において、混合物を形成するために、少なくとも一つのポリエステル樹脂に中和剤、例えば第一級アミンを接触させる工程と;混合物を溶融混合する工程と;混合物に高濃度の界面活性剤を添加する工程と;ラテックス粒子を含むラテックスエマルジョンを提供するために、水を混合物に添加する工程と;任意に一つ以上のトナー組成物のさらなる原料を混合物に添加する工程と;連続的にラテックス粒子を回収する工程とを含む無溶媒のラテックスエマルジョンの生成工程を提供する。
【0014】
本開示はまた少なくとも一つのポリエステル樹脂;少なくとも一つの第一級アミン;水;および任意に一つ以上のさらなるトナー組成物の原料を有するトナーを提供する。
【0015】
第一級アミンは揮発性でないため、簡単且つ安全に取り扱うことができる。第一級アミンはまた無臭で、低濃度の溶液で使用することができる。水酸化アンモニウムの代わりに中和剤としての第一級アミンの使用は、簡単で、相転移エマルジョン化工程の間に、中和溶液の調製を改善することができる。
【0016】
いずれかの樹脂を、トナー形成および本開示の工程において、使用することができる。実施形態において、樹脂は非結晶性樹脂、結晶性樹脂、および/またはそれらの組み合わせであることができる。実施形態において、樹脂は高分子量の非結晶性樹脂であることができる。
【0017】
非結晶性樹脂はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の数均分子量(M)約1,000から約10,000まで、実施形態において約2,000から約8,000までを有することができる。非結晶性樹脂の分子量分布(M/M)は、例えば約1.5から約50まで、実施形態において約3から約25までであることができる。
【0018】
実施形態において、樹脂は任意の触媒の存在下におけるジオールと二塩基酸の反応において形成するポリエステル樹脂であることができる。
【0019】
結晶性樹脂は、例えばトナー組成物の約3から約50重量%まで、実施形態においてトナー組成物の約5から約35重量%までにおいて存在することができる。
【0020】
一つ、二つまたはそれを超える樹脂を使用することができる。
【0021】
実施形態において、樹脂は酸性基を有することができ、実施形態において、樹脂の末端に存在することができる。カルボン酸基等を含む酸性基が存在することができる。カルボン酸基の数は樹脂および反応条件の形成において利用される材料によって調節することができる。
【0022】
実施形態において、樹脂は酸価を樹脂の約2mgKOH/g樹脂から樹脂の約200mgKOH/g、実施形態において樹脂の約5mgKOH/gから樹脂の約500mgKOH/gを有するポリエステル樹脂であることができる。酸を含む樹脂をテトラヒドロフラン溶液に溶解することができる。酸価はフェノールフタレインを指示薬として含むKOH/メタノール溶液によって検出することができる。酸価をその後、滴定の終点を同定することで、樹脂上の全酸性基を中和するために必要とするKOH/メタノールの当量に基づいて算出することができる。
【0023】
一度得られたとき、樹脂を上昇した温度の無溶媒の工程(またはPIE工程において溶解する)において、弱い塩基または中和剤の添加と溶融混合することができる。実施形態において、塩基は固体であることができる。
【0024】
実施形態において、中和剤は樹脂の酸性基を中和のために使用することができ、従って本明細書における中和剤はまた塩基の中和剤等として参照することができる。いずれかの適した塩基中和剤を本開示に従って使用することができる。実施形態において、適した塩基中和剤は無機塩基剤および有機塩基剤を共に含むことができる。
【0025】
上記のように、酸性基を有する樹脂に塩基中和剤を添加することができる。塩基中和剤の添加は、従って酸性基約5から約12まで、実施形態において約6から約11までを有する樹脂を含むエマルジョンのpHを上昇することができる。酸性基の中和は、実施形態においてエマルジョンの形成を向上することができる。
【0026】
塩基溶媒のエマルジョン化工程における、上記塩基中和剤と酸性基を有する樹脂との組み合わせの使用において、中和率約50%から約500%まで、実施形態において、約70%から約300%までを達成することができる。実施形態において、中和率は以下の式を使用して算出することができる:
等量の30%トリス(g)の中和率/樹脂(g)/樹脂の酸価/7.21000
【0027】
実施形態において、本開示に従って形成されるエマルジョンはまた少量の水、実施形態において脱イオン水(DIW)約30%から約95%まで、実施形態において約35%から約60%まで、樹脂をPIE工程、無溶媒における樹脂の溶解または軟化に基づいて溶媒に溶解できる温度約25℃から約140℃まで、実施形態において約35℃から約120℃までを含むことができる。
【0028】
無溶媒エマルジョン工程において、第一級アミン、例えばトリスはポリエステル樹脂に混和性があり、従って直接溶解した樹脂が均一な混合物を形成するために、中和剤として働くことができる。さらに第一級アミンは、比較的に揮発性のあるNaOH塩基のように、樹脂を分解しない。さらに、実施形態において、トリスは室温で固体であるので、簡単に樹脂と予備混合して、押し出し乾燥供給(extruder dry feed)の一部を形成する。
【0029】
これら第一級アミン、例えばトリスの性質は、それらが流体、例えば有機溶媒を押し出し機内に供給する必要性を除外するため、無溶媒のエマルジョン化工程を非常に簡単にする。流体を押し出し機に注ぎ込むことは、実施では完全に解決することができないため、しばしば所望の使用範囲外の生成物を導き、いくつかの難問をもたらす。押し出し機の供給ホッパーの供給材料の焼結(水噴出およびその後の蒸気形成の理由)、水/乾燥した供給料の下手な比率調整、詰まった噴射ノズル、およびポンプの故障が、ラテックス製造の間に直面する少々の失敗形態にすぎない。
【0030】
トリスおよび他の第一級アミンによるNaOHの置換はこれら工程における失敗形態を、トナー性能に景況を与えることなく、排除することができる。
【0031】
実施形態において、本開示の方法は溶融混合前またはその最中に界面活性剤を上昇した温度の樹脂に添加することを含むことができる。実施形態において、界面活性剤を上昇した温度において樹脂の溶融混合前に加えることができる。使用する場合には、樹脂エマルジョンは一つ、二つまたはそれ以上の界面活性剤を含むことができる。
【0032】
以下にポリエステル樹脂の相転移エマルジョン化を概説する。特定の温度で、溶媒混合物、例えばMEKおよびIPA内で樹脂を溶解;
(a)トリス溶液および/または他の第一級アミン溶液を上記樹脂溶液に添加することによる酸性基の中和;
(b)脱イオン水を上記混合物に添加することによるエマルジョン化;
(c)室温で溶媒の蒸発または密封された化学反応装置で真空蒸留工程による溶媒の除去。
【0033】
ポリエステルエマルジョンの所望の特徴(すなわち、粒子径、固体の割合、および残留溶媒レベル)を溶媒割合、中和の割合および工程パラメターの調整によって達成することができる(すなわち、化学反応炉、真空および工程時間)。
【0034】
同様に、第一級アミンをまたNaOHの中和剤の代わりに、無溶媒の押し出し工程に使用することができる。第一級アミンはNaOHより弱い塩基で、従ってポリエステル樹脂の分解を限定する。第二に、第一級アミンは、NaOHと異なって、樹脂中に混和し、中和剤として直接、溶解樹脂に均一な混合物を形成するために働く。最後に、第一級アミンの大半、例えばトリスは、細かくしたNaOH粉と比較して、比較的簡単且つ安全に取り扱うことができる微細粒材料である。
【0035】
以下にラテックスエマルジョン生成の無溶媒工程による方法を概説する。
(a)トリスおよび/または他の第一級アミンを押し出し機に、有機溶媒の不存在下で添加することによる樹脂の酸性基の中和;
(b)界面活性剤との溶融混合;
(c)脱イオン水の注入によるエマルジョン化。
【0036】
本明細書において使用される“有機溶媒の不存在下”とは、実施形態において、例えば有機溶媒をエマルジョン化のために、樹脂溶解に使用されないことを含む。しかしながら、このような少量の溶媒が、ラテックス形成の工程において、それらの使用の結果として、前記樹脂を存在することができることが分かる。
【0037】
本明細書において“高濃度の界面活性剤”とは、実施形態において、例えば固形濃度約10%から約100%まで、実施形態において約12%から約98%までを有する界面活性剤を含有する。しかしながら、このような低濃度な固形が、本開示に従った界面活性剤の使用において存在することができると知られている。
【0038】
一つ以上の樹脂を、エマルジョン形成において使用することができる。上記のように、樹脂は非結晶性樹脂、結晶性樹脂またはそれらの組み合わせであることができる。実施形態において、樹脂とは非結晶性樹脂であることができ、そして高温度とは樹脂のガラス転移温度を超える温度であることができる。
【0039】
従って、実施形態において、本開示の工程は、ポリエステル樹脂に中和剤および高濃度な界面活性剤を溶融混合する工程と、ラテックスエマルジョンを形成するために、脱イオン水を樹脂混合物に注入する工程と、連続的にラテックス粒子を回収する工程とを含むことができる。上記記載のように、適した中和剤は第一級アミンを含む。実施形態において、樹脂を溶融混合前に前もって混合(pre−blend)することができる。
【0040】
添加より前に中和剤をいずれかの適温、室温約20℃から約25℃まで、または上昇した温度、例えば上記の上昇した温度を含むことができる。
【0041】
実施形態において、中和剤を10分間ごとに樹脂の約0.01重量%から約10重量%まで、実施形態において、10分間ごとに樹脂の約0.1重量%から約5重量%まで、他の実施形態において、10分間ごとに樹脂の約0.5重量%から約4重量%までの速度で添加することができる。中和剤の添加速度は一定である必要はなく、変更することができる。
【0042】
実施形態において、中和剤を約0.4g/分から約400g/分まで、実施形態において約1g/分から約100kg/分までの速度で添加することができる。
【0043】
これら第一級アミンの使用は、高温での押し出し機の実施を可能とし、上昇した工程の処理量という結果となることができる。
【0044】
実施形態において、界面活性剤を溶融前、その最中、またはその後、一つ以上の樹脂組成物の原料に添加することができる。実施形態において、界面活性剤を中和剤の添加前、その最中またはその後に加えることができる。実施形態において、界面活性剤を溶融前、その最中、またはその後、一つ以上の樹脂組成物の原料に添加することができる。
【0045】
上記加熱において、上昇した温度は約25℃から約300℃まで、実施形態において約50℃から約200℃まで、他の実施形態において約70℃から約150℃までであることができる。
【0046】
溶融混合は押し出し機、すなわち2軸押し出し機、Haake混合機のようなニーダー、バッチ反応機、または近い均一な混合物を作り出すために粘着性物質を密接に混合することができるいずれか他の装置で実行することができる。
【0047】
樹脂、中和剤、および任意の活性剤を溶融混合した時点で、その後混合物を水と接触させ、ラテックスエマルジョンを形成することができる。
【0048】
水および樹脂の混合物との間の接触は、いずれか適切な方法、例えば容器または連続の管路で達成することができる。
【0049】
相転移工程において、ラテックスエマルジョン生成の工程は、少なくとも一つの樹脂と有機溶媒および相転移剤を接触させる工程と、樹脂混合物を高温にまで加熱する工程と、混合物を撹拌する工程と、樹脂の酸性基を中和する中和剤を添加する工程と、相転移が相転移ラテックスエマルジョンの形成を生じるまで混合物内に水を添加する工程とを含むことができる。
【0050】
上記記載の、非結晶性および/または結晶性ポリエステル樹脂を低温沸騰有機溶媒に、例えば酢酸エチル、メチルエチルキトンまたはいずれか他の上記本明細書に記載の溶媒に、溶解することができ、溶媒は水に混合しないかまたはわずかに混合し、溶媒に樹脂の約1重量%から約75重量%まで、実施形態において、溶媒に樹脂の約5重量%から約60重量%までの濃度である。樹脂混合物をその後約25℃から約150℃まで、実施形態において約30℃から約85℃までの温度に加熱した。加熱は一定温度に保持する必要はなく、様々であることができる。例えば、加熱は加熱最中、所望の温度を達成するまで、ゆっくりまたは徐々に上昇することができる。
【0051】
ポリエステルラテックスを、分散および溶媒のストリッピング工程を必要とする二つの溶媒PIE工程を使用して得た。この工程において、少なくとも一つのポリエステル樹脂を二つの有機溶媒の組み合わせ、実施形態においてMEKおよびIPAに溶解し、均一な有機相を生成した。塩基溶液(例えばトリス)の固定量を、その後有機相に添加し、ポリエステル鎖の酸性末端基を中和し、その後脱イオン水の添加によって均一なポリエステル粒子の分散が水に相転移として形成した。有機溶媒はこの段階において、ポリエステル粒子および水相の両方として残る。真空蒸留によって、溶媒を取り除いた。
【0052】
他の実施形態において、上記記載のPIE工程は溶媒の不存在下において実施することができる。実施形態において、使用することができる中和剤は、上記の薬剤を含むことができる。実施形態において、使用される任意の界面活性剤は、上記本明細書のいずれかの界面活性剤であり、適切な樹脂の中和が生じ低い粗容量で高品質ラテックスに導くことを確実にする。
【0053】
実施形態において、連続した相転移エマルジョンを形成することができる。相転移は水性のアルカリ性溶液または塩基剤、任意の界面活性剤および/または水の組成物を連続して添加することによって、樹脂組成物の融解原料を有する水滴を含有する分散相を含む相転移エマルジョン、界面活性剤および/または水組成物を含む連続した相を生成するため、達成することができる。
【0054】
分解はガラスケトルと固定された羽根または密接に粘着性物質を混合することができる、いずれか他の装置によって、均一に近い混合物を作ることを実施することができる。
【0055】
必須としない撹拌をラテックス形成の向上に使用することができる。いずれか適切な撹拌装置を利用することができる。
【0056】
相転移点はエマルジョンの組成物、過熱の温度、撹拌速度等によって異なるが、相転移は塩基中和剤、任意の界面活性剤および/または水の添加によって実施することができ、結果として得られた樹脂はエマルジョンの約5重量%から約70重量%まで、実施形態においてエマルジョンの約10重量%から約65重量%まで、他の実施形態においてエマルジョンの約15重量%から約60重量%までである。
【0057】
相転移後、さらなる界面活性剤、水および/または水性アルカリ性溶液を任意に相転移エマルジョンの希釈のため、添加することができるが、これは必須ではない。相転移後、相転移エマルジョンを室温、例えば約20℃から約25℃までに冷却することができる。
【0058】
実施形態において、有機溶媒の撹拌による蒸留は樹脂エマルジョン粒子と平均粒径、例えば実施形態において、約50nmから約500nmまで、他の実施形態において約120から約250nmを提供するために実施した。
【0059】
水性のエマルジョン化樹脂粒子は、サブミクロンの大きさ、例えば約500nm以下、例えば約10nmから約500nmまで、実施形態において約50nmから約400nmまで、他の実施形態において約100nmから約300nmまで、いくつかの実施形態において約200nmを有することができる。
【0060】
本開示のラテックスの粒子径分布は約30nmから約500nmまで、実施形態において約80nmから約400nmまでであることができる。
【0061】
本開示に従って、本明細書の工程は、同等な電荷および溶解性能を含む開始樹脂と同様な分子量特性を保持するエマルジョン化樹脂粒子を生成することができることを見出した。
【0062】
本開示のラテックスエマルジョンをその後エマルジョン凝集超低溶解工程に適した、粒子生成に使用することができる。
【0063】
樹脂混合物に水を接触させて、上記のようにエマルジョンを形成してから、結果として得られるラテックスをその後、当業者の用いるいずれかのトナー形成の範囲内において、使用することができる。ラテックスエマルジョンに着色剤、任意に分散剤および他の添加剤を、超低溶解トナー形成のため、適した工程、実施形態においてエマルジョン凝集および合体工程によって接触することができる。
【0064】
実施形態において、任意のトナー組成物のさらなる成分は、着色剤、ワックスおよび他の添加剤を含み、樹脂の溶融前、その間、またはその後に添加して、自己エマルジョン化顆粒を形成することができる。自己エマルジョン化顆粒を水に接触させる条件下において、さらなる原料をラテックスエマルジョンの形成前、その最中、またはその後、添加することができる。さらなる実施形態において、着色剤を界面活性剤の添加前に加えることができる。
【0065】
着色剤を添加する際、様々な既知の適した着色剤、例えば染料、顔料、染料の混合物、顔料の混合物、染料および顔料の混合物等をトナーに含有することができる。
【0066】
実施形態において、着色剤は顔料、染料それらの組み合わせ、カーボンブラック、マグネタイト、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー、ブラウン、それらの組み合わせをトナーに所望の色彩を与えるのに十分量含むことができる。他の実用的な着色剤が、本開示に基づき、すぐに分かると理解されている。
【0067】
実施形態において、顔料または着色剤はトナー粒子の固体分の約1重量%から約35重量%、他の実施形態において、約5重量%から約25重量%までの量において実施することができる。しかしながら、実施形態において、これらの範囲外の量においてもまた使用することができる。
【0068】
任意に、ワックスはまたトナー粒子の形成のために、樹脂および着色剤と組み合わせることができる。ワックスは一種のワックスまたは二つ以上の異なったワックスの混合物を含むことができるワックス分散物に提供することができる。単一のワックスをトナー処方に、例えば特定のトナー粒子の改善のため、例えばトナー粒子形態、トナー粒子表面上のワックスの存在および量、電荷および/または定着性質、光沢、除去、裏移り特徴等のため、添加することができる。別のワックスの組み合わせをトナー組成物の複数の性質を提供するため、添加することができる。
【0069】
ワックス分散物を使用するとき、ワックス分散物を、従来使用されてきたエマルジョン凝集トナー組成物中に、いずれかの様々なワックスを含むことができる。
【0070】
実施形態において、ワックスを一つ以上の水性エマルジョンまたは水中の固形ワックスの分散物の形状のトナーに組み込むことができ、ここで固形ワックス粒子径は約100から約300nmまでの範囲であることができる。
【0071】
トナー粒子を当業者に周知の範囲のいずれかの方法において調製することができる。トナー粒子製造に関する実施形態をエマルジョン凝集工程に関して以下に記載するが、米国特許第5,290,654号明細書および米国特許第5,302,486号明細書に開示の化学的方法、例えば懸濁およびカプセル化工程を含むトナー粒子調整のいずれか適切な方法を使用することができる。実施形態において、トナー組成物およびトナー粒子を、凝集および合体の工程によって調製することができ、ここで小型の樹脂粒子を適したトナー粒子の大きさに凝集し、その後最終トナー粒子の形状および形態を達成するために合体した。
【0072】
実施形態において、トナー組成物をエマルジョン凝集工程、例えば任意の着色剤、任意のワックスおよびいずれか他の所望のまたは必要な添加剤および上記記載の樹脂を含むエマルジョン、上記記載の任意な界面活性剤の混合物を凝集し、その後凝集混合物を合体した。混合物は、樹脂を含む二つ以上のエマルジョンの混合物であることができるエマルジョンに着色剤および任意のワックスまたはさらに界面活性剤を含む任意の分散物であることができる他の材料を加えることによって調製することができる。結果として得られたpHは酸、例えば酢酸、硝酸等によって調整することができる。実施形態において、混合物のpHは約2から約5までに調整することができる。さらに、実施形態において、混合物は均質であることができる。混合物が均一であるとき、均一化は約600から約6,000回転毎分によって混合することによって達成することができる。均一化は、例えばIKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザーを含むいずれかの適した方法によって達成することができる。
【0073】
上記混合物の調整に続いて、凝集剤を混合物に添加することができる。
【0074】
凝集剤をトナー形成に使用される混合物に、例えば混合物中の樹脂の約0重量%から約10重量%まで、実施形態において、約0.2重量%から約8重量%まで、他の実施形態において約0.5重量%から約5重量%までにおいて添加することができるが、しかし凝集剤の量はこれらの範囲外であることもできる。これは凝集に十分な量の薬剤を提供すべきである。
【0075】
粒子は所定の所望粒子の大きさが得られるまで凝集を可能とした。所定の所望のサイズとは、形成前に決定した得られる所望の粒子径、成長工程の最中にそのような粒子径を達成するまで観測される粒子径を参照する。サンプルを成長プロセス中に得て、例えばコールターカウンターにて平均粒子径を解析することができる。凝集は従って上昇した温度を保持するか、またはゆっくり温度を約40℃から約100℃まで上げて、混合物をこの温度に約0.5時間から約6時間まで、実施形態において約1時間から約5時間まで持続する一方、撹拌を維持し、その一方凝集粒子を提供することができる。所定の所望の粒子の大きさを達成したとき、その後成長プロセスを中止した。
【0076】
粒子の成長および形状に続く凝集剤の添加をいずれかの適切な条件下において達成することができる。例えば、成長および形状は凝集が合体から別途に実施される条件下において実施することができる。別途の凝集および合体の段階に関して、凝集工程はせん断条件下の上昇した温度、例えば約40℃から約90℃まで、実施形態において約45℃から約80℃までで実施することができ、上記記載の樹脂のガラス転移温度未満である。
【0077】
所望の最終トナー粒子径を達成したとき、混合物のpHは塩基によって約3から約10まで、実施形態において約5から約9までの値に塩基で調整することができる。pHの調製は凍結によるトナー成長の停止を利用することができる。
【0078】
本開示のトナーは粒子径約2μから約10μまで、実施形態において約3μから約8μまでを有することができる。
【0079】
本開示のトナーは平均粒子径の体積分布約1から約1.8まで、実施形態において約1.2から約1.6までを有することができ、数均粒子径分布指数約1から約1.8まで、実施形態において約1.2から約1.6まで、真円度約0.6から約1.0まで、実施形態において約0.8から約0.998までを有することができる。
【0080】
実施形態において、凝集後であるが合体より前に、樹脂コーティングを凝集粒子の周りにシェルを形成するために、凝集粒子に適応することができる。コア樹脂の形成に適切な上記記載のいずれかの樹脂をシェルに使用することができる。実施形態において、上記記載のポリエステル非結晶性樹脂ラテックスをシェルに含むことができる。また他の実施形態において、上記記載のポリエステル非結晶性樹脂ラテックスをコア形成に使用することができる樹脂と組み合わせることができ、その後粒子に樹脂コーティングとしてシェル形成のため添加することができる。
【0081】
実施形態において、シェル形成のために使用することができる樹脂は、制限しないが、コアとしての使用のため、上記記載の結晶性樹脂ラテックスおよび/または上記記載の非結晶性樹脂を含む。実施形態において、本開示に従ってシェル形成に使用される非結晶性樹脂は、非結晶性ポリエステル、任意に上記の結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを含有することができる。複数の樹脂をいずれかの適量において使用することができる。実施形態において、第一の非結晶性ポリエステル樹脂、例えば上記一般式Iの非結晶系樹脂は、総シェル樹脂の約20重量%から約100重量%まで、実施形態において総シェル樹脂の約30重量%から約90重量%までの量において存在することができる。従って、実施形態において、第二の樹脂はシェル中に総シェル樹脂の約0重量%から約80重量%まで、実施形態において樹脂の約10重量%から約70重量%までの量において存在することができる。
【0082】
シェル樹脂を当業者の用いるいずれかの方法の範囲内で、凝集粒子に適応することができる。実施形態において、シェル形成のために利用される樹脂は、いずれかの上記界面活性剤を含むエマルジョンであることができる。樹脂を有するエマルジョンは、任意に上記トリスと中和させる無溶媒ポリエステル樹脂ラテックスまたは溶媒に基づくポリエステル樹脂ラテックスを上記凝集粒子と組み合わせ、その結果凝集粒子の周りにシェルを形成することができる。
【0083】
凝集粒子の周りのシェルの形成は、約30℃から約80℃まで、実施形態において約35℃から約70℃までの温度において加熱しているときに発生することができる。シェルの形成は約5分から約10時間、実施形態において約10分から約5時間の一定時間に起きることができる。
【0084】
所望の粒子径までの凝集およびいずれか任意のシェルの適応に続いて、粒子をその後所望の最終形状に合体させ、合体は例えば混合物をトナー粒子形成のために使用される樹脂のガラス転移温度以上の約45℃から約100℃まで、実施形態において約55℃から約99℃までの温度まで加熱し、そしてまたは撹拌を例えば約100rpmから約1,000rpmまで、実施形態において約200rpmから800rpmまでに減少することによって達成することができる。温度は結合剤に使用される樹脂の方程式として理解されるような、高いかまたは低い温度を使用することができる。合体を約0.01から約9時間、実施形態において約0.1から約4時間の一定時間に達成することができる。
【0085】
凝集および/または合体後、混合物を室温、例えば約20℃から約25℃までに冷却することができる。冷却は要望に応じて、迅速または遅いことができる。適した冷却方法は化学反応炉の周りのジャケットに冷水を導入することを含むことができる。冷却後、トナー粒子を任意に水で洗浄し、その後乾燥させた。乾燥は、いずれかの適した方法における乾燥、例えば凍結乾燥法によって達成することができる。
【0086】
実施形態において、トナー粒子はまた要望または要求に応じて、他の任意の添加剤を含むことができる。
【0087】
トナー粒子の表面上に存在することができる添加剤であるトナー粒子外部添加剤粒子の形成後に混合することができる。
【0088】
一般的に、シリカをトナー表面にトナー流動、摩擦強化、混合調製、改善した成長および転写安定および高いトナーブロッキング温度のために、適応することができる。
【0089】
これらそれぞれの外部添加剤をトナーの約0.1重量%から約5重量%まで、実施形態においてトナーの約0.25重量%から約3重量%までの量で存在することができるが、添加剤の量はこの範囲外であることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂混合物を形成するために、少なくとも一つの有機溶媒および相転移剤と少なくとも一つのポリエステル樹脂を接触させる工程と、
前記樹脂混合物に少なくとも第一級アミンを含む中和剤を添加する工程と、
樹脂溶液を形成するために、前記樹脂を溶解する工程と、
ラテックス粒子を含むラテックスエマルジョンを提供するために、前記混合物に水を添加する工程と、
前記ラテックス粒子を連続的に回収する工程とを
含む方法。
【請求項2】
混合物を形成するために、有機溶媒の不存在下において、トリス(2−アミノエチル)アミン、メチルアミン、エタノールアミン、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキサミド、1,2,4,5−ベンゼンテトラミン四塩酸塩、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,3−ジアミノアセトン二塩酸塩一水和物、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,9−ジアミノノナン、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン−3,9−ジプロパンアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノ−4−クロロピリミジン1−オキサイド、2,6−ジアミノプリン、2,6−ジアミノトルエン、2−アミノフェニルジスルフィド、3,3’−メチレンジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−(1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイルジオキシ)ジアニリン、4,4’−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(1,3−フェニレンジオキシ)ジアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェニル−1,1’−ジイルジオキシ)ジアニリン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)ジアニリン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、4−アミノフェニルジスルフィド、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、5,5’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジ−o−トルイジン、6−クロロ−3,5−ジアミノ−2−ピラジンカルボキサミド、Dytek(登録商標)EPジアミン、ポリ(1,4−ブタンジオール)ビス(4−アミノ安息香酸塩)、ポリ(1,4−ブタンジオール)ビス(4−アミノ安息香酸塩)、p−キシリレンジアミン、エチルアミン、1−ベンゾフラン−2−アミン、キノリン−4−アミン、4−アミノ安息香酸、ビス−(2−アミノエチル)エーテルおよびそれらの組み合わせを含む群から選択された中和剤と、少なくともポリエステル樹脂を接触させる工程と、
前記混合物を溶融させる工程と、
前記混合物に濃縮界面活性剤を添加する工程と、
ラテックス粒子を含むラテックスエマルジョンを提供するために、前記混合物に水を添加する工程と、
任意に、一つ以上のトナー組成物の付加成分を混合物に添加する工程と、
ラテックス粒子を連続的に回収する工程とを
含むポリエステルエマルジョンを製造する方法。
【請求項3】
溶融を約25℃から約300℃の温度で、約10rpmから約5,000rpmの速度で実施する工程と、
水を添加する工程は約25℃から約140℃までの温度で実施する、請求項9に記載の方法。
【請求項4】
少なくともポリエステル樹脂と、
少なくとも第一級アミンと、
水と、
任意に一つ以上のトナー組成物の付加成分とを
含む、トナー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−168780(P2011−168780A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23312(P2011−23312)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】