説明

溶剤系美爪料

【課題】爪に対する付着性が高く、経時での化粧持ち、爪に塗布したときの均一性に優れ、またのびひろがりが良いことに起因する重ね付けのしやすさを併せ持った溶剤系美爪料を提供するものである。
【解決手段】 すなわち本発明は、次の成分(A)〜(D);(A)ニトロセルロース、(B)特定のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体、(C)含フッ素単量体とアルコキシ基含有単量体を必須に含む単量体を共重合体して得られる特定の含フッ素共重合体で表面処理した粉体、(D)非芳香族系溶剤を配合することを特徴とする溶剤系美爪料に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶剤系美爪料に関し、さらに詳しくは、爪に対する付着性が高く、経時での化粧持ち、爪に塗布したときの均一性に優れ、またのびひろがりの良さによる重ね付けのしやすさを併せ持った溶剤系美爪料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に溶剤系美爪料は、酢酸エステル類等の有機溶媒、ニトロセルロース等の皮膜形成性樹脂、褪色防止剤、着色粉体等から構成されており、化粧持ちや安定性向上、つや感の向上等を目的に様々な検討がなされてきた。例えば、特定のシリコーン樹脂とニトロセルロースを皮膜形成剤として組み合わせて使用することで、乾燥速度が速く、爪への塗りやすさに優れた溶剤系美爪料を得る技術(例えば、特許文献1参照)や、フルオロアルキル基を有する化合物で表面処理した粉体を用いることで安定性、及び化粧持ちに優れた美爪料を得る技術(例えば、特許文献2参照)、また、特定のシロキシ基含有アクリル酸系共重合体と皮膜形成剤を組み合わせて使用することで爪に対する閉塞感が少なく、塗布膜の平滑性、ツヤ感に優れた溶剤系美爪料を得る技術(例えば、特許文献3参照)等が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特許第2923669号公報
【特許文献2】特許第3030515号公報
【特許文献3】特開2006−306867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特定のシリコーン樹脂とニトロセルロースを皮膜形成剤として組み合わせて使用することで、乾燥速度を上げ、爪への塗りやすさを向上させることができるものの、シリコーン樹脂を多量に配合するとのび広がりが悪化し、重ね付けする際に均一に塗布することができず、化粧膜の薄い部分からのはがれや欠けといった化粧持ちの点で満足のいくものが得られなかった。また、フルオロアルキル基を有する化合物で表面処理した粉体を用いることで安定性、及び化粧持ちに優れた美爪料を得ることができるが、フッ素化合物で表面処理した粉体を多量に配合すると爪への付着性が低下し、均一な化粧膜の形成や重ね付けしたときの均一性の点で満足のいくものが得られなかった。さらに、特定のシロキシ基含有アクリル酸系共重合体と皮膜形成剤を組み合わせて使用することで爪に対する閉塞感が少なく、塗布膜の平滑性、ツヤ感に優れた溶剤系美爪料を得ることができるものの、重ね付けする場合に、付着性が足りず、均一な化粧膜を形成するといった点で満足のいくものが得られなかった。また、美爪料はその発色や、化粧持ちを重ね付けすることでコントロールすることができることから、重ね付けをすることが一般的であり、重ね付けがしやすい美爪料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる事情に鑑み、本発明者らはニトロセルロース、特定構造をもつシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を配合した溶剤系美爪料に、重ね付けをした時の、付着性や化粧膜の均一性を得る為に、分散性にすぐれた特定の含フッ素共重合体で表面処理した粉体に着目し、鋭意検討した結果、経時での化粧持ち、爪に塗布したときの均一性、さらに重ね付けのしやすさを向上させることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(D)を含有することを特徴とする溶剤系美爪料である。
(A)ニトロセルロース
(B)下記一般式(1)で示される単量体(b1)55〜65質量%と、下記一般式(2)で示される単量体(b2)20〜30質量%と、単量体(b3)として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸15〜20質量%とを重合してなる、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体;
【化3】

[式中、RはH又はCH、aは2〜6の整数である。]
【化4】

[式中、RはH又はCH、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である。]
(C)下記一般式(3)で表される含フッ素単量体(c1)と、下記一般式(4)で表されるアルコキシ基含有単量体(c2)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体で表面処理した粉体;
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH)−Z−]−(CH)−Rf
・・・・(3)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO2−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]

CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−R ・・・(4)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子又は炭素数1〜22の不飽和又は飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
(D)非芳香族系溶剤
【発明の効果】
【0007】
本発明の溶剤系美爪料は、爪に対する付着性が高く、経時での化粧持ち、爪に塗布したときの均一性、重ね付けのしやすさを併せ持った溶剤系美爪料に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の溶剤系美爪料に用いられる、成分(A)のニトロセルロースは、爪への付着性、及び化粧膜を強靭にし、経時での化粧持ちを付与する成分である。市販品としては、例えば、硝化綿H1/2、H1/4、L1/2、L1/4(旭化成工業製)等が挙げられる。
成分(A)のニトロセルロースの配合量は、特に限定されないが、0.5〜40質量%(以下、単に「%」と略す。)であり、好ましくは、10〜35%である。この範囲であれば、爪への付着性が良好であり、経時での化粧持ち、爪に塗布したときの均一性に優れた溶剤系美爪料が得られる。
【0009】
本発明の溶剤系美爪料に用いられる、成分(B)のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は、爪に塗布したときの均一性、重ね付けのしやすさを付与する成分である。成分(B)のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を構成するモノマー(b1)は、共重合体に気体透過性を付与する成分であり、その構造は、下記一般式(1)で示される。
【0010】
【化5】

[式中、RはH又はCH、aは2〜6の整数である。]
【0011】
上記モノマー(b1)は特に制限無いが、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルヘキシルメタクリレート等が好ましく、特にトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートが好ましい。このモノマー(b1)としては各種市販品を使用することができる。
【0012】
モノマー(b2)は、共重合体に適度な硬さと柔軟性、他の化粧料成分との相溶性を付与する成分であり、その構造は、下記一般式(2)で示される。
【0013】
【化6】

[式中、RはH又はCH、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である。]
【0014】
モノマー(b2)は特に制限されないが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、フェニルアクリレート等が好ましく、成分(B)の共重合体においては、美爪料に用いる溶剤への溶解性を考慮すると、特にメチルメタクリレートが好ましい。このモノマー(b2)としては各種市販品を使用することができる。
【0015】
モノマー(b3)は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸であり、共重合体の皮膜形成性を向上させ、親水性を付与するための成分であり、成分(B)の共重合体においては、本発明の溶剤系美爪料に用いる溶剤への溶解性を考慮すると、メタクリル酸であることが好ましい。
【0016】
成分(B)のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は、これらのモノマーを仕込み量で、(b1)55〜65%、(b2)20〜30%、(b3)15〜20%の割合で添加し、共重合することにより得られるが、気体透過性や皮膜形成性等を損なわない範囲で、上記(b1)〜(b3)のモノマー以外に、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーを任意に添加し、共重合することができる。
【0017】
成分(B)の重合方法としては、例えば、各モノマーを溶媒中に溶解し、重合開始剤を添加し、窒素雰囲気中で加熱攪拌する、溶液重合法等が挙げられる。前記重合方法において使用する溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールやアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が挙げられ、これらを適宜混合して用いる。その重合反応は、通常50〜180℃、好ましくは60〜120℃の温度範囲内において行うことができ、この条件下に5〜15時間程度で完結させることができる。
【0018】
本発明において、成分(B)のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を製造する方法の好ましい一態様としては、まず、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、メタクリル酸及びメチルメタクリレートと、酢酸ブチル、酢酸エチル及びイソプロパノール等の溶媒及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤をフラスコ等の反応容器に入れ、窒素ガスバブリング等で反応容器中の溶存酸素を除き、密封する。次に、反応容器を恒温槽中に移し、60℃程度で攪拌しながら15時間程度かけて重合を行う方法が挙げられる。
【0019】
このようにして製造されるシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は、GPCにおけるポリスチレン換算の重量平均分子量において、約3,000〜約200,000、特に約5,000〜約100,000の範囲にあることが好ましく、また−30〜+60℃の範囲のガラス転移温度を持つことが好ましい。
【0020】
このような成分(B)のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体としては、例えば、下記一般式(5)で示される構造を有する(アクリレーツ/メタクリル酸トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)コポリマー等が挙げられる。
【0021】
【化7】

[但し、式中のbは35〜50の整数、cは20〜30の整数、dは30〜40の整数であり、Rは下記一般式(6)で表される基である。]
【0022】
【化8】

【0023】
本発明の溶剤系美爪料における、成分(B)のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は1種又は2種以上を組み合わせて配合することもでき、その配合量は、特に制限されないが、0.1〜10%、更に好ましくは1〜8%である。この範囲であれば、爪に塗布したときの均一性、重ね付けのしやすさを持った溶剤系美爪料を得ることができる。
【0024】
本発明の溶剤系美爪料に使用される成分(C)の含フッ素共重合体で表面処理した粉体は、親水基と撥水基を併せ持つことにより、爪に対する付着性、経時での化粧持ち、爪に塗布したときの均一性、及び重ね付けのしやすさを演出するものである。
成分(C)の表面処理に用いられる含フッ素共重合体は、下記一般式(3)で表される含フッ素単量体(c1)と、下記一般式(4)で表されるアルコキシ基含有単量体(c2)とを必須に含む単量体を共重合して得られるものである。
【0025】
含フッ素単量体(c1)は、下記一般式(3)で表される。
【0026】
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH)−Z−]−(CH)−Rf
・・・・(3)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0027】
アルコキシ基含有単量体(c2)は、下記一般式(4)で表わされる。
CH=C(R)−COO−(RO)−R ・・(4)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子又は炭素数1〜22の不飽和又は飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0028】
上記一般式(1)において、pが0であることが好ましい。Xの好ましい例は水素原子である。
【0029】
上記一般式(1)において、Rfは一般にはパ−フルオロアルキル基及び/又は部分的にフッ素化されたフルオロアルキル基を表し、パ−フルオロアルキル基であることが好ましい。Rfのアルキル基の炭素数は1〜6であり、4、5又は6が好ましく、特に6が好ましい。Rfの例は、−CF、−CFCF、−CFCFCF、CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF等が挙げられる。
【0030】
(d1)の含フッ素単量体は単独で使用することはもちろんのこと、2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
含フッ素単量体(d1)としては、例えば、次のものが挙げられる。
CH=C(−X)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−X)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−X)−COO−(CH−Rf
CH=C(−X)−CO−NH−(CH−Rf
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0032】
上記一般式(3)のさらに具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(−H)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−Rf
CH=C(−H)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCH(OCOCH)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCH(OCOCH)CH−Rf
【0033】
CH=C(−F)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−Rf
CH=C(−F)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−CO−NH−(CH−Rf
【0034】
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CN)−CO−NH−(CH−Rf
【0035】
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−Rf
CH=C(−F)−CO−NH−(CH−Rf
【0036】
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
【0037】
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
[上記式中、Rfは、1〜6のフルオロアルキル基である。]
【0038】
これらのうち、特に
CH=C(−H)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−Rf
が好ましい。
【0039】
アルコキシ基含有単量体(c2)は、非フッ素単量体であり、下記一般式(4)で表される化合物(アルキレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト)である。
【0040】
CH=C(R)−COO−(RO)−R ・・・・(4)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子又は炭素数1〜22の不飽和又は飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0041】
一般式(4)において、Rは水素原子が好ましい。
また、qは1〜30が好ましく、より好ましくは2〜10であり、特に2〜5であることが好ましい。
【0042】
さらにまた、一般式(4)において、Rは、エチレン又はプロピレンが好ましく、特にエチレンであることが好ましい。一般式(4)中のRは1種又は2種類以上のアルキレンの組み合わせであっても良い。その場合、少なくともRの一つはエチレンであることが好ましい。Rの組合せとしては、例えば、エチレン基/プロピレン基の組合せ、エチレン基/ブチレン基の組合せが挙げられる。
【0043】
アルコキシ基含有単量体(c2)は、2種類以上の混合物であっても良い。
【0044】
アルコキシ基含有単量体(c2)の具体例は、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(R)−COO−(CHCHO)−R
(以下、「CHCHO」を「CO」と記載する場合がある)
CH=C(R)COO−(CHCH(CH)O)−R
CH=C(R)COO−(CO)q’−(CHCH(CH)O)q”−R
[式中、q’+q”=q]
【0045】
さらにより具体的な例としては、以下のもの等が挙げられる。
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)30−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)23−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)50−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(H)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−CH
【0046】
これらのうち、特に
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−CHCHO−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
が好ましい。
【0047】
本発明の成分(C)の表面処理剤として用いられる含フッ素共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記一般式(3)で表される含フッ素単量体(c1)と、上記一般式(4)で表されるアルコキシ基含有単量体(c2)と、他の共重合可能な単量体(c3)とを共重合して得られる共重合体であってもよい。
他の共重合可能な単量体(c3)としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸アミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸アシッドホスホアキシアルキル等の重合性酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル等の重合性エステル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン等の重合性ビニル誘導体、シリコーンマクロマー、ポリアクリルマクロモノマー、ポリエステルマクロモノマー、ポリアミドマクロモノマー、ポリオキシアルキレンマクロモノマー等の重合性マクロモノマーや、重合性糖、スチレン等を挙げることができる。
【0048】
また、他の共重合可能な単量体(c3)としては、さらに架橋性単量体を含んでもよい。
架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基及び/又は炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物とすることができる。架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、及び少なくとも1つの反応性基を有する化合物とすることができる。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネ−ト、カルボキシル基などである。本発明においては、アミノ基を有する単量体を使用しない。
【0049】
架橋性単量体は非フッ素架橋性単量体であることが好ましく、ジ(メタ)アクリレ−トであることがより好ましい。
【0050】
架橋性単量体は、一般式(7)で示される化合物(アルキレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト)であることが特に好ましい。
CH=C(R)−COO−(RO)−CO−C(R)=CH ・・(7)
[式中、それぞれのRは水素原子又はメチル基であり;Rは水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基であり;sは1〜50の整数である。]
なお、Rの炭素数は、2〜10、例えば2〜6、特に2〜4であることが好ましく、Rが、エチレン基であることが好ましい。
【0051】
本発明の成分(C)に用いられる含フッ素共重合体を構成する各モノマ−の分子量やモル比をコントロ−ルすることで、含フッ素共重合体の粉体粒子への被覆特性や皮膜形成能、粉体粒子の分散能、吸湿・保湿能等を付与できる。成分(C)に用いられる含フッ素共重合体の重量平均分子量は、1000〜1000000程度、好ましくは5000〜500000程度とすることができる。1000未満であると皮膜形成能が弱く本発明の効果を有する表面処理に適さず、1000000より大きいとポリマーの溶解性が悪くなるばかりか表面処理粉体の分散性が悪化する場合がある。なお、この重量平均分子量は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−によりポリスチレン換算で求めた値である。
【0052】
本発明の成分(C)に用いられる含フッ素共重合体において含フッ素単量体(c1)100質量部に対するアルコキシ基含有単量体(c2)の量は、10〜400質量部、好ましくは25〜150質量部、より好ましくは43〜100質量部である。
(c2)の量が少ないと親水性が得られない場合があり、大きいと撥油性が低下する場合がある。
また、他の共重合可能な単量体(c3)を用いる場合は、その割合は共重合体に対し30質量%未満が好ましい。
特に、架橋性単量体を含有させる場合、架橋性単量体の量は、含フッ素単量体(c1)100質量部に対し、30質量部以下、例えば0.1〜20質量部、特に0.5〜10質量部が好ましい。30質量部より大きいと硬い皮膜になり使用感触が悪くなる場合がある。
【0053】
成分(C)に用いられる含フッ素共重合体の重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々の方法を選択できる。例えば一般的には有機溶剤を用いた溶液重合や、水又は有機溶剤と水を併用する乳化重合が選定される。さらに一般的には、重合後に水で希釈したり、乳化剤を加えて水に乳化することで処理液に調製される。
具体的には、例えば、特開2000−290640号公報やWO2009/142047号パンフレットの共重合体の製造例として開示される方法で製造可能であるがこれに限定されるものではない。
【0054】
成分(C)の表面処理方法は特に制限なく、公知の方法で実施できる。表面処理方法は大別すると乾式法と湿式法がある。例えば、ヘンシルミキサーやボールミル、ジェットミル、ニーダー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、サンドミル、アトライター、リボンブレンダー、ディスパーミキサー、ホモミキサー、エクストルーダー等の攪拌機や粉砕機、混合機、分散機を用いて本発明において使用する表面処理剤と粉体を一定時間混合接触することにより処理される。この時にメカノケミカル的な機械力、プラズマ、火炎、紫外線、電子線、過熱水蒸気、レーザー光、電磁波等のエネルギーを与えながら処理しても構わない。湿式法としては、水や溶剤、超臨界流体(水、CO等)に粉体と表面処理剤を分散させ混合接触させてその後溶媒を蒸発させることより処理が可能である。例えばWO2009/142047に記載の方法に従って処理することも出来る。
【0055】
また、成分(C)は本発明の効果を損なわない範囲で、成分(C)に用いられる含フッ素共重合体以外のフッ素化合物やシリコーン系油剤、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、金属石ケン、界面活性剤等の表面処理剤で複合的に表面処理してあってもよい。
【0056】
複合的に表面処理する場合、特定の含フッ素共重合体を先に表面処理した後、当該特定の含フッ素共重合体以外の他の表面処理剤成分を表面処理する方法、特定の含フッ素共重合体と当該特定の含フッ素共重合体以外の他の表面処理剤成分を同時に表面処理する方法、特定の含フッ素共重合体以外の他の表面処理剤成分を先に表面処理した後、特定の含フッ素共重合体を表面処理する方法等が挙げられる。
【0057】
好ましい表面処理方法は、前記特定の含フッ素共重合体のみで表面処理する場合及び複合的に表面処理する場合の何れにおいても、処理される粉体粒子を予め空気中や液中で又は他の粉体と共存下で分散した後表面処理するか同時に表面処理する方法である。
【0058】
本発明における成分(C)に用いられる含フッ素共重合体はその分子中に撥油性基と親水性基を有するため粉体粒子表面より撥油性基のみを露出させると撥水撥油性が発現する。撥油性を有する表面処理粉体の化粧料製剤に配合される他の成分との優れた親和性や分散性を得るためには親水撥油性が有利である。本発明の特定の含フッ素共重合体は被覆方法や被覆量により粉体粒子表面上に撥油性基と親水性基の両方を露出させることができこれにより親水撥油性が発現する。
【0059】
成分(C)における含フッ素共重合体で表面処理した粉体の処理量は粉体100質量部に対して0.05〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましい。この範囲であれば処理剤同士の縮合や未反応の処理剤の残存による感触や流動性への悪影響などが起きることなく、本発明品の溶剤系美爪料中での分散性を十分に付与することができる。
【0060】
成分(C)の前記含フッ素共重合体で表面処理される粉体としては通常化粧料に用いられるものであればいずれのものでもよく、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、酸化チタン処理ガラス末、酸化鉄酸化チタン処理ガラス末、アルミニウムパウダー、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は1種又は2種以上の複合化したものを用いても良い。
なかでも、有色顔料及び光輝性粉体を表面処理することにより、粉体の持つ色や光輝性を顕著に演出する溶剤系美爪料が得られるため好ましい。
【0061】
成分(C)の含フッ素共重合体で表面処理した粉体における含フッ素共重合体の処理量は粉体100質量部に対して0.05〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部の範囲がより好ましい。この範囲であれば処理剤同士の縮合や未反応の処理剤の残存による感触や流動性への悪影響などが起きることなく、溶剤系美爪料中の分散性を十分に付与することができる。尚、前記粉体は本発明の効果を損なわない範囲で成分(C)に用いられる含フッ素共重合体以外のフッ素化合物やシリコーン系油剤、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、金属石ケン、界面活性剤などの他のコーティング剤で前処理又は同時に処理したものを使用することが出来る。
また、成分(C)は本発明の効果を損なわない範囲で、成分(C)の基剤として用いられる粉体の未処理のものや、一般油剤、シリコーン系油剤、界面活性剤等で処理したものと組み合わせて使用することもできる。
【0062】
本発明の溶剤系美爪料における、成分(C)の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.1%〜30%、さらに好ましくは0.5%〜15%がより好ましい。この範囲であれば、爪に塗布したときの均一性、及び重ね付けのしやすさを顕著に演出する溶剤系美爪料が得られる。
【0063】
本発明における成分(D)の非芳香族系溶剤は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素以外の有機溶剤を広く指称するものであり、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等が例として挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらは、爪に塗布したときの均一性、及び重ね付けのしやすさを演出することができる。
【0064】
本発明の溶剤系美爪料における、成分(D)の非芳香族系溶剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは、溶剤系美爪料中に対し、30〜80%、さらに好ましくは、45〜70%の範囲である。この範囲であれば、爪に塗布したときの均一性、及び重ね付けのしやすさに優れた溶剤系美爪料が得られる。
【0065】
また、本発明の溶剤系美爪料には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記記必須成分の他に、通常の溶剤系美爪料に使用される希釈剤、成分(D)以外の粉体、粘度調整剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、保湿剤、薬剤、香料、水、無機酸、有機酸等も適量配合することができる。
【0066】
本発明の溶剤系美爪料の用途としては、ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコートが挙げられ、性状としては、液状が好ましい。
【0067】
本発明の溶剤系美爪料の製造方法は、特に限定されないが、成分(A)及び成分(B)を成分(D)に溶解し、成分(C)を添加して、ディスパーやホモミキサー等の機器を用いて均一に混合する方法等が挙げられる。
【0068】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0069】
本発明の成分(B)のシロキシ基含有メタクリル酸共重合体の合成例を以下に示す。
[合成例1]シロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン溶液1
500mLフラスコに、モノマー成分としてのトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート60質量部、メタクリル酸15部、メチルメタクリレート25質量部と、溶媒としての酢酸ブチル110質量部、酢酸エチル70質量部及びイソプロパノール30質量部と、反応開始剤である2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部とを仕込んだ。溶存酸素を除くため、このフラスコを窒素ガスでバブリングを行い、密封した。反応容器を恒温槽中に移し、60℃で攪拌しながら15時間かけて重合を行った。重合終了後、ジメチルポリシロキサン(SH200C−6cs:東レ・ダウシリコーン社製)へ溶媒置換を行い、シロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液1(固形分濃度20%)を得た。このシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は前記一般式(5)において、b=45、c=25,d=30で示される構造を有するものであった。また、この重合体のGPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量は約20,000であった。
【0070】
[合成例2]シロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン溶液2
合成例1において、モノマー成分としてのトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート55質量部、メタクリル酸15質量部、メチルメタクリレート30質量部に替える以外は、合成例1と同様に製造してシロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液2(固形分濃度20%)を得た。
【0071】
成分(C)の表面処理に用いられる含フッ素共重合体の合成例
[合成例3]
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、含フッ素モノマ−CH=C(H)COO−CHCH13を18.6g、ヒドロキシエチルアクリレ−ト(東京化成工業社製)を2.5g、ポリエチレングリコ−ルアクリレ−トCH=C(H)COO−(CHCHO)−H(BLEMMER AE200 日油株式会社製 nの平均値は4.5)を8.0g、ポリエチレングリコ−ルジアクリレ−トCH=C(H)COO−(CHCHO)−CO−CH=CH(BLEMMER ADE300 日油株式会社製 nの平均値は7.0)を0.9gとIPAを45g仕込んで、30分間窒素バブリングした。窒素気流下で内温を50−65℃に昇温後、PVを0.4g添加し、60〜65℃で6時間反応させた。得られた溶液を減圧条件下にて70℃でIPAを除去し、淡黄色の共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて16280であった。
【0072】
[合成例4]
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、含フッ素モノマ−CH=C(H)COO−CHCH13を18.6g、ヒドロキシエチルアクリレ−ト(東京化成工業社製)を3.5g、ポリエチレングリコ−ルアクリレ−トCH=C(H)COO−(CHCHO)−H(BLEMMER AE200 日油株式会社製 nの平均値は4.5)を7.2g、ポリエチレングリコ−ルジアクリレ−トCH=C(H)COO−(CHCHO)−CO−CH=CH(BLEMMER ADE300 日油株式会社製 nの平均値は7.0)を0.7gとIPAを45g仕込んで、参考製造例5と同様の重合反応を行い、淡黄色の共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて17200であった。
【0073】
成分(D)の含フッ素共重合体で表面処理した粉体の製造例
[製造例1]含フッ素共重合体3%赤色220号
赤色220号(癸巳化成社製)100gに含フッ素化合物(合成例1)を固形分で3.0gとなるようにIPAにて希釈し、加えた。ミキサーで15分間混合後、250℃の加熱水蒸気を導入し、ミキサー内が200℃に達した時点で攪拌を止め、含フッ素共重合体3%赤色220号を得た。
[製造例2]含フッ素共重合体5%酸化チタン
製造例1記載の方法と同様に、TIPAQUE CR−50(石原産業社製)100gと含フッ素化合物(合成例2)を固形分で5.0gを混合し、250℃の加熱水蒸気を導入し、ミキサー内が200℃に達した時点で攪拌を止め、含フッ素共重合体5%酸化チタンを得た。
[製造例3]含フッ素共重合体5%処理雲母チタン
製造例1記載の方法と同様に、チミロンスーパーシーン MP−1001(メルク社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で5.0gを混合し、含フッ素共重合体3%処理雲母チタンを得た。
[製造例4]含フッ素共重合体5%処理ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末
製造例1記載の方法と同様に、アルミフレークシルバー0.15mm(角八魚鱗箔社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で5.0g混合し、含フッ素共重合体5%処理ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末を得た。
[製造例5]含フッ素共重合体0.5%処理酸化チタン被覆ガラス末
実施例1記載の方法と同様に、メタシャイン1080RC−S(日本板硝子社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で0.5g混合し、含フッ素共重合体0.5%処理酸化チタン被覆ガラス末を得た。
[製造例6]含フッ素共重合体10%処理無水ケイ酸
実施例1記載の方法と同様に、サイリシア350(富士シリシア化学社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で10.0g混合し、含フッ素共重合体10%処理無水ケイ酸を得た。
[製造例7]含フッ素共重合体3%処理ベンガラ処理無水ケイ酸
製造例1記載の方法と同様に、XIRONA INDIAN SUMMER(メルク社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で3.0gを混合し、含フッ素共重合体3%処理ベンガラ処理無水ケイ酸を得た。
[製造例8]含フッ素共重合体1%処理雲母チタン
製造例1記載の方法と同様に、TIMIRON SUPER RED(メルク社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で1.0gを混合し、含フッ素共重合体1%処理雲母チタンを得た。
[製造例9]含フッ素共重合体5%処理ベンガラ
製造例1記載の方法と同様に、ベンガラ七宝(三好化成社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で5.0g混合し、含フッ素共重合体5%処理ベンガラを得た。
【0074】
実施例1〜8及び比較例1〜5:ネイルエナメル
表1に示す処方のネイルエナメルを調製し、爪に塗布し、(イ)爪に対する付着性、(ロ)爪に塗布したときの均一性、(ハ)重ね付けのしやすさ、(ニ)化粧持ち、の各項目について以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定した。結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
※1 NAGELLITE 3050(TELECHEMISCHE社製)
※2 赤色202号(癸巳化成社製)
※3 TIPAQUE CR−50(石原産業社製)
※4 チミロンスーパーシーンMP−1001(メルク社製)
※5 赤色202号(癸巳化成社製)にメチルハイドロジェンポリシロキサン3%処理を施したもの
※6 TIPAQUE CR−50(石原産業社製)にメチルハイドロジェンポリシロキサン5%処理を施したもの
※7 チミロンスーパーシーンMP−1001(メルク社製)にメチルハイドロジェンポリシロキサン5%処理を施したもの
※8 赤色202号(癸巳化成社製)にパーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩3%処理を施したもの
※9 TIPAQUE CR−50(石原産業社製)にパーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩5%処理を施したもの
※10 チミロンスーパーシーンMP−1001(メルク社製)にパーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩5%処理を施したもの
※11 ベントン27(NLインダストリー社製)
※12 アエロジル300(日本アエロジル社製)
(製造方法)
成分(1)〜(5)を成分(6)〜(11)に添加しディスパーにて溶解し、さらに成分(12)〜(28)を添加しディスパーにて均一に混合分散したものを容器に充填し、ネイルエナメルを得た。
【0077】
(評価方法)
20名の化粧品評価専門パネルに、上記の実施例及び比較例のネイルエナメルを使用してもらい、各々に対して、前記評価項目の(イ)爪に対する付着性、(ロ)爪に塗布したときの均一性、(ハ)重ね付けのしやすさ、(ニ)化粧持ち、について、下記の(1)評価基準に基づき7段階評価し、各パネルの評点の平均点より、下記(2)判定基準に従って判定した。尚、評価項目(イ)爪に対する付着性については、爪に1回塗布し、5分乾燥後、先端部を別の指の爪で削った時のはがれにくさを評価、(ハ)重ね付けのしやすさについては、爪に1回塗布後、5分乾燥し、その上に再度塗布したときの塗りやすさを評価、(ニ)化粧持ちについては2回重ね付けした後、パネルに通常の生活をしてもらい、6時間後の塗布状態について評価した。
(1)評価基準:
(評価):(評点)
非常に良好:6
良好 :5
やや良好 :4
普通 :3
やや不良 :2
不良 :1
非常に不良:0
(2)判定基準:
(評点の平均点) :(判定)
5点以上 :◎
3.5点以上5点未満 :○
1.5点以上3.5点未満:△
1.5点未満 :×
【0078】
表1に示す評価結果より、本発明の実施例1〜8は、爪に対する付着性、爪に塗布したときの均一性、重ね付けのしやすさ、及び化粧持ちの点で優れたものであった。
成分(B)のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を配合しない比較例1は、重ね付けするときに下の塗布膜を引っ張ってしまい、均一な塗布膜を得られず、使用感にも劣るものであり、満足のいくものが得られなかった。成分(A)のニトロセルロースを配合しない比較例2では、爪に対する付着性が弱く、化粧持ちも悪いものとなり、爪に対する付着性、化粧持ちの点で満足のいくものが得られなかった。成分(D)の含フッ素共重合体で処理した粉体のかわりに、未処理の粉体を使用した比較例3、シリコーン処理粉体を配合した比較例4、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩で処理した粉体を配合した比較例5では、いずれも重ね付けする際に滑ったような感触があり、重ね付けの膜厚が得られず、発色や光輝性が、実施例に比べて満足のいくものが得られなかった。
【0079】
実施例9:エナメルトップコート
(成分) (%)
1.ニトロセルロース 20
2.合成例2のシロキシ基含有メタクリル酸共重合体の
ジメチルポリシロキサン溶液2 0.1
3.酢酸エチル 20
4.酢酸ブチル 56.65
5.ヘプタン 10
6.ジブチルフタレート 1
7.トリメチルシロキシケイ酸 1
8.イソプロピルアルコール 5
9.イソ酪酸酢酸スクロース 5
10.エタノール 0.2
11.製造例5の含フッ素共重合体0.5%処理酸化チタン被覆ガラス末 1
12.ローズマリーエキス 0.05
(製造方法)
成分(1)〜(10)をディスパーにて溶解し、さらに成分(11)〜(12)を添加しディスパーにて均一に混合分散したものを容器に充填し、エナメルトップコートを得た。

本発明のエナメルトップコートは、爪に対する付着性、爪に塗布したときの均一性、重ね付けのしやすさ、及び化粧持ちの点で優れたものであった。
【0080】
実施例10:エナメルベースコート
(成分) (%)
1.ニトロセルロース 3
2.合成例1のシロキシ基含有メタクリル酸共重合体の 1
2.酢酸エチル ジメチルポリシロキサン溶液1 10
3.酢酸ブチル 38.9
4.ポリブテン 1
5.クエン酸アセチルトリブチル 15
6.製造例6の含フッ素共重合体10%処理無水ケイ酸 2
7.製造例7の含フッ素共重合体3%処理ベンガラ処理無水ケイ酸 10
8.製造例8の含フッ素共重合体1%処理雲母チタン 15
9.製造例9の含フッ素共重合体5%処理ベンガラ 2
10.紫色201号 0.1
11.ナイロン繊維※13 1
12.メタクリル変性メチルポリシロキサン50%酢酸ブチル溶液※14 1
※13 0.5デニール0.3mm
※14 シリコンKP−543(信越化学工業社製)
(製造方法)
成分(1)〜(5)をディスパーにて溶解し、さらに成分(6)〜(12)を添加しディスパーにて均一に混合分散したものを容器に充填し、エナメルベースコートを得た。
本発明のエナメルベースコートは、爪に対する付着性、爪に塗布したときの均一性、重ね付けのしやすさ、及び化粧持ちの点で優れたものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D);
(A)ニトロセルロース;
(B)下記一般式(1)で示される単量体(b1)55〜65質量%と、下記一般式(2)で示される単量体(b2)20〜30質量%と、単量体(b3)として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸15〜20質量%とを重合してなる、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体;
【化1】

[式中、RはH又はCH、aは2〜6の整数である。]
【化2】

[式中、RはH又はCH、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である。]
(C)下記一般式(3)で表される含フッ素単量体(c1)と、下記一般式(4)で表されるアルコキシ基含有単量体(c2)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体で表面処理した粉体;
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH)−Z−]−(CH)−Rf
・・・・(3)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX1X2基(但し、X1及びX2は、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO2−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]

CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−R ・・・(4)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子又は炭素数1〜22の不飽和又は飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
(D)非芳香族系溶剤;
を配合したことを特徴とする溶剤系美爪料。
【請求項2】
前記成分(C)の表面処理される粉体が、有色顔料及び/又は高輝性粉体であることを特徴とする請求項1に記載の溶剤系美爪料。

【公開番号】特開2011−207810(P2011−207810A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77253(P2010−77253)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】