説明

溶剤組成物、および前記組成物を用いた光学的記録媒体の製造方法、および光学的記録媒体

【課題】光学的記録媒体の製造方法において有用な新規溶剤組成物を提供する。
【解決手段】すべて溶液の重量を基準にして、スペクトル領域300〜800nmにおいて固相吸収帯極大を有する染料0.1〜20重量%、式(I)


(式中、R〜Rは、H、CH、またはCであるが、ただし、R〜R中の炭素原子の総数が、0、1、または2であるという条件がある)の化合物0.5〜99.9重量%、および場合により1種以上の他の成分0〜99.4重量%を含む新規液体組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的記録媒体の製造方法において有用な新しい溶剤組成物に関する。より詳しくは、本溶剤組成物によって、市販されているコンパクトディスクレコーダーおよびプレーヤーを用いて、大容量の情報を記録および再生(play)することができる単一記録層型の光学的記録媒体であって、驚くほど広い範囲の駆動速度において優れた性能を有する光学的記録媒体の製造を可能にする。
【0002】
光学的記録媒体として、情報が前もって記録されており、かつ再生のみが可能な読み取り専用媒体、情報を記録することができ、かつ再生することができる書き込み可能媒体、および情報を記録することができ、かつこのようにして記録された情報を再生し、消去するか、または上書きすることができる書き換え可能媒体が知られている。これらのうち、書き込み可能(1回書き込み)媒体は、一般的に安価であり、書き換え可能媒体と比較して、耐久性において優れている。したがって書き込み可能媒体は、大容量のデータ、例えば音楽および画像の記録および保存のために広く用いられている。
【0003】
光学的に書き込み可能な媒体は、基体上に記録層を有し、これは最も普通には、金属、例えばTeまたはBi、シアニンまたはフタロシアニン染料などから成る。フタロシアニン染料は、一般に、シアニン染料と比較した場合、光、熱、および湿度に対してはるかに優れた安定性を有する。レーザー光線を照射し、層に物理的または化学的変化(ピット情報)を引起こすことによって、情報を記録層に記録することができる。これらのピットは、記録のために用いられるエネルギーよりも低いエネルギーを有するレーザー光線で読み出され、これによって情報を再生することができる。
【0004】
光学的に書き込み可能な媒体のうち、オーディオレコーダーを包含する、いわゆるCD−RおよびCD−RWレコーダーによって記録可能であり、かつこれらのレコーダーおよび読み取り専用コンピュータドライブ、ならびに商品として入手可能なコンパクトディスク(CD)プレーヤーによって読み出すことができる、CD−Rと呼ばれる媒体が開発されている。
【0005】
CDプレーヤーによって読み出すことができる書き込み可能媒体は、例えばOptical Data Storage 1、989、Technical Digest Series Vol.1、45(1989)、欧州公開特許第0353393号、および欧州公開特許第0410879号に記載されている。これらの媒体は、溝構造を有する基体、有機染料から構成された記録層、金属反射層、および保護層を含む、単一記録層型のものである。
【0006】
本発明の目的は、製造方法、および改良された反射率、信号変調、および広い範囲の記録速度にわたるパワーマージンを有する記録媒体を提供することである。
【0007】
先に述べた媒体の染料は、通常、この方法の良好な均一性および経済性のために、スピンコーティングされる。この染料がスピンコーティングされるために、染料は、有機溶剤中に適切な濃度で可溶でなければならない。この染料溶液は、基体をそのエリア全体にわたって均質にコーティングできるものでなければならず、そして基体中の溝の適切な充填を与えることができるものでなければならず、高品質媒体を得るために、溝エリアといわゆるランドエリアとの間で、反射率において必要とされる差を生じるものでなければならない。しかしながら、溶剤は、基体の溝に損傷を与えるべきでなく、または最小限にしか損傷を与えないものであるべきであり、この基体は、一般的には、ポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレートである。しかしながら、染料についての高い可溶化力と基体への低い損傷との間で、妥協点を見出すことは非常に難しい。
【0008】
非極性有機溶剤が、フタロシアニン染料のために提案されてきた。例えば脂肪族炭化水素、例えばメチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、またはエーテル、例えばジ−n−ブチルエーテルである。助溶剤は、このような非極性第一溶剤とブレンドすることができ、これには例えば、アルコール、例えばプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ケトン、例えばメチルイソブチルケトン、ジ−イソブチルケトン、シクロヘキサノン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、エチルベンゼン、キシレン、およびトリメチルベンゼン、および非常に最近ではエステル、例えばメチルラクテート(第CH2002829/02号)が含まれる。
【0009】
欧州公開特許第0373643号は、ポリカーボネート光ディスク上にフタロシアニン染料をコーティングするための溶剤としての、ジブチルエーテル、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、およびキシレンの使用を開示している。
【0010】
米国特許第4,943,681号は、ポリカーボネート光ディスク上にフタロシアニン染料をスピンコーティングするための溶剤としての、シクロヘキセンの使用を開示している。
【0011】
欧州公開特許第0511598号は、180℃またはそれ以下の沸点、ならびに8.5またはそれ以下のヒルデブランド溶解性パラメーターを有する溶剤および溶剤系を開示している。これらの「非極性」溶剤系は、好ましくは、非極性可溶性フタロシアニン染料に適用される。これらは、フタロシアニン発色団(chromophor)に付着されたアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、およびトリアルキルシリル置換基を有する。低い溶解性パラメーターを有する溶剤(そのうちのn−オクタンおよびメチルシクロヘキサンがここでもまた開示されている)は、より高い溶解性パラメーターを有する溶剤(そのうちのエチルベンゼン)と混合して用いられてもよい。染色後、該層中に残留する少量の溶剤は、感受性およびジターを改良すると言われている。
【0012】
台湾公開特許第448440号は、Ciba Specialty Chemicals Inc.によって製造されているパラジウムフタロシアニン染料であるCiba IRGAPHOR(登録商標)SupergreenOSが好ましくは、第一溶剤として、低級アルコール、エーテル、または脂環式炭化水素(例えばメチルシクロヘキサン)中への溶解によって、次いでヘプタノール、オクタノール、ノナノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフラン、およびアセトニトリルから選択された極性第二溶剤を混合することによって使用されることを教示している。
【0013】
米国特許第6,348,250号は、メチルシクロヘキサンまたはジブチルエーテル90容量%と1−プロパノール10容量%との混合物を開示している。国際公開公報第00/09522号は、メチルシクロヘキサンまたはジ−n−ブチルエーテル98容量%と、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン2容量%との混合物を開示している。
【0014】
米国特許第6,452,899号は、溝充填指数0.2〜0.4を有するDVD−Rの幾何学形状(geometry)を開示している。これは、溝の中、およびその近くのランド上の両方での染料の大きい厚さに対応する。
【0015】
したがって多種多様な溶剤および溶剤の組み合わせが、当技術分野において提案されてきた。しかしながら、これまで知られている溶剤のどれも、染料の優れた溶解性、溶液の安定性、コーティングおよび染色特性、ならびに基体溝の高い溝充填の組み合わせの点で、十分に満足すべきものではない。
【0016】
既知の溶剤系中の有機溶剤可溶性非極性フタロシアニン染料の既知のスピンコーティング方法は、より低い記録速度または限定された多段速度範囲に適した記録媒体を生じるが、このような方法は、2×または1×さえから、今日のレコーダーの非常に高い速度(48×、52×、およびそれを越える)までの、今日のより広い速度範囲にとって、もはや完全に満足すべきものではない。
【0017】
フタロシアニン染料のスピンコーティングにとって、驚くほどより良好な全体的な特性を有する溶剤組成物が、今や作製された。この新しい溶剤組成物は、溝充填、すなわち、溝の中の染料対ランド上の染料の厚さの比を、現在使用されているあらゆる既知の溶剤系のもの以上に実質的に増加させることができる。溝の中により多くの染料があり、ランドエリアにより少ない染料がある。溝充填の増加の結果、記録された反射率および信号変調の増加、および同様な層厚さを有するディスクに対するより幅広いパワーマージンを生じる。
【0018】
同様にこの増加した溝充填によって、基体の溝の深さも増加させることができ、規格において心地良いことであるが、深さとともに低下する、記録された反射率を維持しつつ、更に信号変調を改良する。所望であれば、溝の幅も同時に減少させることができる。これまで知られている溶剤系を用いた場合、溝の深さにおける可能な増加は、染料による不十分な溝充填が原因で、規格限度以下の反射率の低下によって非常に多く制限された。変調は、極端に高いかまたは低い記録速度において、原則(principle)限定的パラメーター特徴の1つであるので、この可能性は、結果として生じる媒体の多段速度記録能力を高める。
【0019】
所定の溝の深さの場合、改良された溝充填はまた、1ディスクあたりの染料の量の減少に導くことができ、このようにして工業的ディスク生産の経済を改良する。
【0020】
更には、空気および光および高温に長時間接触した時の過酸化物の形成は、工業的使用の場合まれではないが、酸化防止剤および/またはラジカルスカベンジャーを添加しなくても、完全に回避されるか、または許容できる低レベルまで減少される。
【0021】
したがって本発明は、すべて溶液の重量を基準にして、スペクトル領域300〜800nmにおいて固相吸収帯極大を有する染料0.1〜20重量%、式:
【化3】


(式中、R〜Rは、H、CH、またはCであるが、ただし、R〜R中の炭素原子の総数が、0、1、または2であるという条件がある)の化合物0.5〜99.9重量%、および場合により1種以上の他の成分0〜99.4重量%を含む液体組成物に関する。
【0022】
式(I)の化合物は、例えばクメン、o−シメン、m−シメン、p−シメン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、2−ペンチルベンゼン、イソペント−2−イルベンゼン、またはtert−アミルベンゼン、またはこれらの混合物、例えば同族体、位置異性体、および/または適用可能な場合は鏡像異性体の混合物である。式(I)の化合物は、好ましくは、大気圧下、150〜180℃の沸点を有する。最も好ましくは、sec−ブチルベンゼン、特にtert−ブチルベンゼンである。R〜R中の炭素原子の総数は、好ましくは、1または2、より好ましくは1である。
【0023】
300〜800nmのスペクトル領域に固相吸収帯極大を有する染料は、好ましくはフタロシアニンであり、最も好ましくは非極性フタロシアニンである。
【0024】
他の任意成分は、当技術分野において既知であるいかなるものであってもよいが、好ましくは染料が25℃で可溶な液体を含み、この液体は更に、最も適切には、式(I)の化合物の沸点よりも低い沸点を有する。他の液体媒質の量は、好ましくは、この組成物の重量を基準にして少なくとも20重量%である。好ましい他の液体は、線状、分岐状、および/または環状非芳香族炭化水素であり、これらは、飽和されていてもよく、場合により1〜3個の二重結合を有していてもよい。最も好ましくは脂環式炭化水素、特に1個以上のC〜Cアルキル基によって置換されるか、および/または≦170℃の沸点を有するシクロアルカン、特にメチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、またはエチルシクロヘキサンである。
【0025】
液体組成物として、これは、透明溶液であるか、または0.2μmフィルターを通過するのに十分なほど細かいサイズの縣濁粒子、好ましくは約10μg以下の質量(球形粒子の場合、約54nm以下のサイズに対応する)の粒子を含む溶液であってもよい溶液と理解される。
【0026】
他の好ましい実施態様(preferences)が、本発明の他の態様との関連において開示される。
【0027】
更に非極性溶剤を含む組成物も新しい。したがって本発明は、すべて溶液の重量を基準にして、スペクトル領域300〜800nmにおいて固相吸収帯極大を有する染料0.1〜20重量%、式:
【化4】


(式中、R〜Rは、H、CH、またはCであるが、ただし、R〜R中の炭素原子の総数が、0、1、または2であるという条件がある)の化合物0.5〜79.9重量%、線状、分岐状、および/または環状非芳香族炭化水素20〜99.4重量%、および場合により1種以上の他の成分0〜79.4重量%を含む液体組成物に関する。
【0028】
本発明によれば、溝の付いている側を有する基体、該溝の付いている側にある基体の上にある記録層、該記録層の上にある反射層、および該反射層の上にある保護層を含む光学的記録媒体の製造方法であって、該記録層が、すべて溶液の重量を基準にして、スペクトル領域300〜800nmにおいて固相吸収帯極大を有する染料0.1〜20重量%、式:
【化5】


(式中、R〜Rは、H、CH、またはCであるが、ただし、R〜R中の炭素原子の総数が、0、1、または2であるという条件がある)の化合物0.5〜99.9重量%、および場合により1種以上の他の成分0〜99.4重量%を含む液体組成物をコーティングすることによって生成される方法が提供される。
【0029】
該記録層のための染料溶液は、好ましくはまた、線状、分岐状、および/または環状非芳香族炭化水素、特に脂環式炭化水素20〜99.4重量%を、式(I)の化合物に対する好ましい重量比4:1〜99:1、最も好ましくは17:1〜76:1において含む。
【0030】
該光学的記録媒体は、好ましくは単一記録層を有する。
【0031】
本発明の光学的記録媒体の構造は、適切には、レーザー光線を吸収することによってピットを形成できる記録層が、溝を有する透明基体上に備えられ、反射層が、反射率を高めるように該記録層の上に備えられ、更には保護層が、記録層および反射層を保護するために反射層上に形成されているようなものである。
【0032】
基体用の材料として、例えば780、635、658、または405nmにおいてレーザー光線を送ることができ、かつ光学的記録媒体用に適した、あらゆる材料を用いることができる。適切な基体材料の例には、ポリマー、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂、および無機材料、例えばガラスが含まれる。これらの材料は、射出成形によって、または感光性ポリマーを用いる方法によって、溝を有する基体中に形成される。大部分の通常の基体は、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂などである。この発明による溶剤系は、これらの基体材料を溶解も膨潤もさせず、したがって溝に損傷を与えず、染料での優れた溝充填を与える。
【0033】
本発明の記録層に用いられる染料として、非極性溶剤可溶性置換フタロシアニン染料が、記録可能CD(CD−R)にとって好ましいが、その理由は、これらの光学的性質と、一般的には780nmである最も通常の半導体レーザー波長との良好な適合性、および過酷な条件下のこれらの優れた光安定性、湿度および光抵抗性のためである。
【0034】
非極性溶剤可溶性置換フタロシアニン染料として、例えば、アルキル置換フタロシアニン、アルコキシ置換フタロシアニン、アルキルチオ置換フタロシアニン、トリアルキルシリル置換フタロシアニン、先に述べた置換フタロシアニンに由来するハロゲン化フタロシアニン、およびフタロシアニンの発色団に付着されたメタロセニル基を有するフタロシアニンを挙げることができる。これらのうち、アルコキシ置換フタロシアニン、アルキルチオ置換フタロシアニン、ハロゲン化フタロシアニン、およびこれらの置換フタロシアニンに由来するフェロセニル基置換フタロシアニンが好ましい。最も好ましくは、これらのフタロシアニンは、4〜10個の同一または異なる置換基を有する。
【0035】
より詳しくは、このような置換フタロシアニン染料は、例えば欧州公開特許第0337209号、欧州公開特許第0373643号、米国特許第6,399,768号、欧州公開特許第0600427号、米国特許第5,693,396号、および欧州特許第0519419号に記載されている。これらの置換フタロシアニンは、単独または組合わせて、特に異性体および/または同族体の混合物として用いることができる。好ましくは、金属フタロシアニン、最も好ましくは銅またはパラジウムフタロシアニンである。
【0036】
本液体組成物中の染料の濃度は、通常、この組成物を基準にして、0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%、最も好ましくは1〜2重量%である。本発明の効果が悪影響を受けないかぎり、例えば既知の芳香族または不飽和脂肪族ジアミン型金属錯体、芳香族または不飽和脂肪族ジオール型金属錯体、メタロセン型化合物、例えばベンゾイルフェロセン、アセチルフェロセン、プロピルフェロセンなど、ポリメチン染料、アゾ染料、他の型のフタロシアニン染料、およびアゾ金属錯体染料、記録層の着色用の染料、ポリマーバインダー、湿潤剤などが、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%の量で更に添加されてもよい。
【0037】
先に述べた成分は、基体の溝側上の薄い規則的な層中に形成され、記録層が、好ましくはスピンコーティングによって形成される。記録層を形成する時、その厚さは、反射層を形成した後、十分な反射率を得るように、コーティングパラメーターを変えることによって調節される。本組成物は、低粘度および迅速な蒸発速度を有し、したがってこれらは、今日の生産において必要な、基体の迅速なコーティングに非常に適している。特に非極性染料とともに使用される時、これらは一般に、基体の満足すべき湿潤、および適切に均一な染料分布を与える。これを、当業者なら、コーティング条件を変えることによって、日常的に更に最適化する。
【0038】
図1は、溝セグメントの透視図を示し、これは、空の溝の深さdsub、この溝の中の染料層の厚さdgroove、ディスクのランドエリアの上の染料層の厚さdland、および溝の中の染料層の表面と、ディスクのランドエリアの上の染料層の表面との間の深さの差dabsを示している。溝充填値(GF)および溝充填グレード(GF)は、それぞれ
【数1】


として規定することができる。
【0039】
GFは、寸法がない(dimensionless)ので、dsubおよびdabsはどちらも、nmで示されるべきである。この発明による実施例についての典型的な範囲は例えば、dsubについては200〜225nm、dabsについては100〜125nm、およびOPDについては0.21〜0.27である(フタロシアニン染料を含むCD−R媒体に対して最適な値)。
【0040】
記録媒体の平均光学密度(OPD)は、この記録媒体が、記録されるのに適しており、かつ例えばBiref126(商標)スキャナー(Dr.Shenk)を用いて得ることができる波長よりも110nm低い波長において、溝、および溝の縁部から1μmまでの距離内の溝を取囲んでいるランドエリアの両方を含む、記録媒体全体の平均値である。
【0041】
光学密度は、染料コーティングされた基体を通して送られる光の検出量の−log10であり、分光測定法によって直接測定可能である。染料層についての溝充填を決定することも非常に望ましい。所定の溝の幾何学形状の場合、溝充填は、溝の中の染料の厚さ(dgroove)対ランド上の染料厚さ(dland)の比を決定する。これらの特徴は、実際に正確に測定することが難しいので、パラメーター、例えば溝の深さ(dsub)、染料層の光学密度OPD、および吸収体によって保持された溝の深さ(dabs)によって、この関係を規定することが慣習的である。dabsは、染料付着後に溝の中に保持された深さについての値であり、回折光ビームの0および1程度の強度から、既知の方法で計算することができる。
【0042】
現行光学密度範囲において、所定の溝の幾何学形状および溶剤系について、染料層光学密度とdabsとの間の関係は、ほぼ直線的である。dabsは吸光度が増加するにつれて減少する。dabsとOPDとの間の関係は、2つの現溶剤系および1つの比較溶剤系について図2に示されている。三角形(▲)は、メチルシクロヘキサン/tert−ブチルベンゼン98:2(1.5%IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMX)について、正方形(■)は、メチルシクロヘキサン/tert−ブチルベンゼン99:1(1.5%IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMX)について、バツ印(×)はジ−n−ブチルエーテル/2,6−ジメチル−4−ヘプタノン93:7(3.0%IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMX)についてのものである。
【0043】
異なる溶剤系は、異なる溝充填能力を有し、この染料を溝の中およびランド上に異なる比で付着させる。所定の光学密度について溝の中により多くの染料がある時、dabsは、より低く、溝充填は増加し、その逆もある(conversely)。同じ溶剤および光学密度でコーティングされるが、異なる溝の深さを有する基体は、異なるdabs値を生じる。
【0044】
本発明は、有利には、360〜600、好ましくは380〜500の溝充填値GFを有するか、または溝充填グレードGFが85〜100、好ましくは90〜100、最も好ましくは95〜100である、改良された光学的記録媒体を生じる。このような媒体は、これまでのところ手が届かなかった。
【0045】
したがって本発明はまた、溝の付いている側を有する基体、該溝の付いている側にある基体の上にある記録層、該記録層の上にある反射層、および該反射層の上にある保護層を含む光学的記録媒体であって、360〜600の溝充填値GFを有することを特徴とする光学的記録媒体にも関する。この光学的記録媒体の記録層は、好ましくは、フタロシアニン染料またはフタロシアニン染料の混合物を含む。好ましくは、これは、フタロシアニン染料またはフタロシアニン染料の混合物少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%から成る。
【0046】
本発明の更に他の実施態様において、先で記載した方法は、溝を有する基体および記録層を含む光学的記録媒体であって、溝充填グレードGFが、85〜100、好ましくは90〜100、最も好ましくは、95〜100であることを特徴とする光学的記録媒体を生じる。好ましくはこのような媒体はまた、反射層および/または保護層を、例えば上記のような配列においてであるが、同様に代替または逆配列において、例えば300〜700nm、好ましくは約405〜約658nmのレーザー波長で使用できる、DVD−R、(商標)Blu−Rayまたは(商標)Blue Laser記録媒体において慣習的な配列において含む。
【0047】
本発明の好ましい実施態様において、先に記載した方法は、更に、基体中の溝(dsub)が、200〜225nmの深さであり、半分の深さにおいて580〜700nm、好ましくは620〜680nmの幅であり、染料フィルム平均光学密度が、0.21〜0.27、好ましくは0.21〜0.25であり、染料層における深さdabsは、100〜125nmの範囲にある(平均光学密度およびdabsは、Dr.SchenkのBiref126(商標)スキャナーを用いて670nmで測定することができる)。独立して、または特に先の溝の幾何学形状と組合わせて、染料フィルムは、Perkin Elmer Lamda2分光光度計で適切に測定された場合、λmaxにおいて0.37〜0.57の平均吸光度を有する。フタロシアニン染料を含み、かつ780nmで操作されるCR−R装置の場合、通常、λmaxは約730nmであり、OPDは670nmにおいて測定される。
【0048】
当然ながら、この方法および溝の幾何学形状はまた、他の波長、例えば658または405nmにおいて記録可能な光学媒体のために最適化することができる。これらは、他の記録染料および他の溝の幾何学形状を含む。より高い溝充填を用いて反射率および信号変調を改良する利点は、CD−Rに対する場合と同様にDVD−Rに対しても有効である。
【0049】
記録層のスピンコーティング後、コーティングされた基体は、場合により乾燥される。基体または記録層が損傷を受けないかぎり、広い範囲の乾燥条件が適用可能である。通常、インライン乾燥が、工業的製造ラインで実施されるが、同様に、残留溶剤を除去するために、オフラインバッチ乾燥も適用することができる。乾燥条件は、単なる例としてであって、まったく限定的ではないが、50℃〜110℃、乾燥時間5分〜数時間である。
【0050】
次いで反射層がコーティングされるか、または記録層上に付着される。一般的にこの反射層は、薄い金属層であり、好ましくはAu、Ag、Pt、Cu、Alからのものである。この金属は、これらの金属の1種以上を含有する合金であってもよい。最も好ましくはAgおよびAg合金、およびAuおよびAu合金である。更には、先に述べた金属に加えて、他の金属、例えばCr、Ni、Si、Ge、Pb、Pd、Sn、Sbが、補助成分として用いられてもよい。
【0051】
金属層を形成するために、通常は、真空蒸着、例えばスパッタリングが適用される。反射層の厚さは、通常、約20〜200nmである。
【0052】
最後に、保護層は、反射層の上にコーティングされる。この保護層は、反射層および記録層を保護することができるかぎり、いかなる種類の保護層であってもよい。例えば保護層は、ポリマー材料、例えばポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、または無機コーティングから構成されていてもよい。保護層は、接着剤を用いて反射層上にグルーすることができるか、またはこれは、ラミネートされ、スピンコーティングされ、UV硬化されてもよく、または無機コーティングの場合には、蒸着されてもよい。UV硬化アクリル樹脂が好ましい。1つ以上の保護層を組合わせることができる。保護層の厚さは、通常、2〜50μmである。最後に、ラベルまたはあらゆる所望のパターンを、保護コーティング上にプリントすることができる。
【0053】
場合により、例えば当技術分野において既知である追加層、例えば中間層がいくつあってもよい。
【0054】
次の実施例は、本発明を例証するが、限定的なものではない。異なった特定がなされていないかぎり、すべての部およびパーセンテージは重量である。市販されているフタロシアニン染料(IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMX、Ciba Specialty Chemicals,Inc.)が、下記の溶剤系中に適切な濃度で溶解され、より詳細に下に記載されているようにポリカーボネート基体上にコーティングされ、平均光学密度0.234〜0.251の染料層が得られ(λmaxにおける吸光度=0.45〜0.51)、これは基体上の同じ平均染料厚さを示している。
【0055】
〔実施例1〕
トラックピッチ1.5μm、溝の深さ200nm、および1/2深さでの溝の幅680nm(AFM)を有する螺旋溝が備えられた、直径120mm、厚さ1.2mmのポリカーボネート基体を、IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMX1.9部、メチルシクロヘキサン(MCH)93.7部、およびtert−ブチルベンゼン(TBB)4.4部の溶液でコーティングして、記録可能層を生じた。この染料層OPDは0.237であり、溝充填値は400であった。乾燥記録層を、CD1900スパッターコーターで、Agの85nmでスパッタリングし、UV硬化ラッカー650−030(DSM)で保護した。
【0056】
これらのディスクに、2×〜48×の速度で商用レコーダーで記録し、これらの結果をCDCATSSA3(Audio Developmentによって製造されている)で読み取った。反射率Rtop(=R×Itop/I、Orange Book,PartII:CDR/Volume2に規定されている)および信号変調I11/Itopを、2×および48×の両方の記録速度について測定した。反射率および信号変調の両方の高い値が望ましい。
【0057】
CDD3610での2×、およびLTR48125Wでの48×からの結果、すなわち記録された反射率、および最長の記録されたマーク(I11)の信号幅、すなわち記録されていない溝の反射率と記録されたマークの反射率との間の差(I11LAND−I11PIT)を、表1にまとめた。CDCATSは、YamahaCRW6416で1×記録されたデータの読み取りに失敗した。
【0058】
パワーマージンについては、これらのディスクに、DDU1000(日本国Plustec Corp.によって製造されている)で、52×記録速度に相当する62.4m/秒線速度で、様々なレーザーパワーで記録し、データは、CDCATSSA3で読み返した。レーザーパワーマージンは、非対称0〜非対称−10のLand3Tジターの増加として規定することができる。最小増加が好ましい。10ns以上のジターの増加は望ましくない。
【0059】
光学密度、2×および48×反射率、2×および48×I11、ならびに52×パワーマージンについての結果も、表1に示した。溝充填グレード(GF)は、非常に良好であった。非対称とLand3TまたはPit3Tジターとの間の傾向は、それぞれ図3および4に示した。これらの値は、実施例1については三角形(▲)、実施例2については正方形(■)、実施例3については菱形(◆)、実施例4については円(●)、比較例2については星印(*)、比較例3についてはバツ印(×)によって示した。非対称(%で表示)は、I11とIセンターレベルとの間の関係についての測定値であり、Philips Reference測定方法Specification Guidelinesバージョン1.0/1999年5月において、次のように規定されている。
【0060】
【数2】

【0061】
〔実施例2〕
光学媒体を、実施例1にしたがって調製した。ただし、メチルシクロヘキサン95.9部およびtert−ブチルベンゼン2.2部を用いた。染料層OPDは0.234であり、溝充填値(GF)は400であり、溝充填グレード(GF)は、非常に良好であった。実施例1のような記録実験からの結果を、表1にまとめた。
【0062】
〔実施例3〕
光学媒体を、実施例1にしたがって調製した。ただし、メチルシクロヘキサン97.0部およびtert−ブチルベンゼン1.1部のみを用いた。染料層OPDは0.247であり、溝充填値(GF)は370であり、溝充填グレード(GF)は、はるかに満足すべきものであった。実施例1のような記録実験からの結果を、表1にまとめた。
【0063】
〔実施例4〕
光学媒体を、実施例2にしたがって調製した。ただし基体は、溝の深さ220nm、および1/2深さにおける溝の幅660nm(AFM)を有した。染料層OPDは0.251であり、溝充填値(GF)は430であり、溝充填グレード(GF)は、優れていた(ランド上の染料の無視できる量)。YamahaCRW6416で1×速度で記録されたデータを、CDCATSにおいて首尾よく読み取った。I11は0.56Vであり、I11/Itopは0.61であり、反射率は72.4%であった。実施例1のような記録実験からの結果を、表1にまとめた。
【0064】
〔比較例1〕
基体を、実施例1に記載されているのと同様な方法で、IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMX染料溶液でコーティングした。ただし、メチルシクロヘキサン98.1部を用いるが、助溶剤としてのtert−ブチルベンゼンを用いなかった。染料層OPDは0.282であり、溝充填値(GF)は230であり、溝充填グレード(GF)は、非常に低かった。はるかに高い染料層吸光度によって示された、厚すぎる染料コーティングが得られた。したがって意味のある比較ディスク評価は不可能であった。
【0065】
〔比較例2〕
光学媒体を、実施例1にしたがって調製した。ただし、染料3.7部、ジ−n−ブチルエーテル(DBE)89.2部、および2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(DMH、通常の溶剤混合物)7.0部を用いた。染料層OPDは0.250であり、溝充填値(GF)は350であり、溝充填グレード(GF)は、不満足なものであった。実施例1のような記録実験からの結果を、表1にまとめた。
【0066】
〔比較例3〕
光学媒体を、実施例1にしたがって調製した。ただし、染料3.7部、ジ−n−ブチルエーテル93.2部、および2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(通常の溶剤混合物)3.0部を用いた。染料層OPDは0.250であり、溝充填値(GF)は330であり、溝充填グレード(GF)は、不満足なものであった。実施例1のような記録実験からの結果を、表1にまとめた。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例1〜3は、特に低速(2×)記録において、記録された反射率および信号変調I11/Itopを改良した。レーザーパワーマージンは、実施例1および2においても同様に有意に拡大された。特に顕著であるのは、実施例4の改良された溝の幾何学形状による(due)、1×、2×、および48×記録速度をもって得られた優れた結果であった。
【0069】
本利点はまた、図3および4にも示されている。これらの図面は、非対称の関数として、それぞれL3Tジター(52×パワーマージン)およびP3Tの変動を描いている。実施例2および4の結果の比較は、220nmのより大きい溝の深さ、および1/2深さにおける660nmのわずかに減少した溝の幅が、結果として、わずかに幅広いより浅い溝の深さについてよりも良好な信号変調(I11/Itop)を生じることを示している。したがって最適化された溝の幾何学形状(幅および深さ)と、360〜600の範囲の値GFでの高い溝充填との組み合わせは、有意に改良された完全な多段速度媒体性能を生じた。
【0070】
〔実施例5〜8〕
これは、実施例1〜4と非常に類似した方法で行なうが、IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMXの代わりに、IRGAPHOR(登録商標)SupergreenOS(Ciba Specialty Chemicals Inc.)を用いることにおいて異なった。これらの結果は満足すべきものであった。
【0071】
〔実施例9〜12〕
これは、実施例1〜4と非常に類似した方法で行なうが、IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMXの代わりに、HR250(商標)(Mitui Chem.)を用いることにおいて異なった。
【0072】
〔実施例13〜16〕
これは、実施例1〜4と非常に類似した方法で行なうが、IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMXの代わりに、OPTLION(登録商標)OPM298(Toyo Ink Manufacturing Co.)を用いることにおいて異なった。
【0073】
〔実施例17〜20〕
これは、実施例1〜4と非常に類似した方法で行なうが、IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMXの代わりに、MY317(商標)(Mitsui Chem.)を用いることにおいて異なった。
【0074】
〔実施例21〜24〕
これは、実施例1〜4と同様に行なうが、IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMXの代わりに、赤い染料HRS340(商標)(Mitsui Chem.)を用いることにおいて異なった。
【0075】
〔実施例25〜28〕
これは、実施例1〜4と非常に類似した方法で行なうが、IRGAPHOR(登録商標)UltragreenMXの代わりに、欧州特許第1,104,431号の実施例15による染料を用いることにおいて異なった。これらの結果は、満足すべきものであった。
【0076】
〔実施例29〜32〕
これは、実施例25〜28と非常に類似した方法で行なうが、欧州特許第1,104,431号の実施例15による染料の代わりに、国際公開公報第02/083796号の実施例3による染料を用いることにおいて異なった。これらの結果は優れていた。
【0077】
〔実施例33〕
エチルシクロヘキサンとtert−ブチルベンゼンとの二成分混合物(32:3重量)100g中のDVD−R染料HRS340(商標)(Mitsui Chem.)3.0gの溶液を、172nmの溝の深さを有する基体上にスピンコーティングすると、λmaxにおける76〜79nmのdabsおよび0.79〜0.84の光学密度の染料フィルムを生じた(dabsは、ARGUS/Aeco Ltd., Powys, UKによって測定し、吸光度は、分光測定的に測定した)。溝充填グレード(GF)は良好であった。
【0078】
〔比較例4〕
これは、実施例33と非常に類似した方法で行なうが、スピンコーティング用の溶剤として、エチルシクロヘキサンとシクロオクタンとの先行技術の二成分混合物を用いることにおいて異なった。dabsは、λmaxにおいて78〜91nmであった。溝充填グレード(GF)は不満足であった。
【0079】
〔実施例34〕
(溝の損傷)
メチルシクロヘキサン95容量部、および示されている芳香族助溶剤5容量部から成る溶剤混合物1ミリリットルを、予め形成された溝をその上に有するポリカーボネートディスク上に、同一時間の間スピンコーティングした。4半径(four radii)における溝の深さを、溶剤洗浄の前後に測定し、溝の深さの差を、表2に順序よくまとめた。
【0080】
【表2】

【0081】
同様なヒルデブランド溶解性パラメーター(カッコ内)にもかかわらず、式(I)の本化合物sec−ブチルベンゼン(8.4)およびtert−ブチルベンゼン(8.4)は、驚いたことに、n−ブチルベンゼン(8.5)よりも、脂環式化合物と組合わせて、ポリカーボネート基体へはるかに良好な不活性を与えた。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、溝セグメントの透視図である。
【図2】図2は、光学密度とdabsとの関係を示す図である。
【図3】図3は、52×パワーマージン;L3Tジターを示す図である。
【図4】図4は、52×パワーマージン;P3Tジターを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべて溶液の重量を基準にして、スペクトル領域300〜800nmにおいて固相吸収帯極大を有する染料0.1〜20重量%、式:
【化1】


(式中、R〜Rは、H、CHまたはCであるが、ただし、R〜R中の炭素原子の総数が、0、1または2である)の化合物0.5〜99.9重量%、および場合により1種以上の更なる成分0〜99.4重量%を含む液体組成物。
【請求項2】
すべて溶液の重量を基準にして、スペクトル領域300〜800nmにおいて固相吸収帯極大を有する染料0.1〜20重量%、式:
【化2】


(式中、R〜Rは、H、CHまたはCであるが、ただし、R〜R中の炭素原子の総数が、0、1または2である)の化合物0.5〜79.9重量%、線状、分岐状、および/または環状非芳香族炭化水素20〜99.4重量%、ならびに場合により1種以上の更なる成分0〜79.4重量%を含む液体組成物。
【請求項3】
〜R中の炭素原子の総数が、1または2である、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
式(I)の化合物が、o−シメン、m−シメン、p−シメン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、2−ペンチルベンゼン、イソペント−2−イルベンゼン、またはtert−アミルベンゼン、またはこれらの混合物、好ましくはsec−ブチルベンゼンまたはtert−ブチルベンゼン、最も好ましくはtert−ブチルベンゼンである、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
該染料が、フタロシアニン、好ましくは非極性フタロシアニン、最も好ましくは銅またはパラジウムフタロシアニンである、請求項1、2、3または4記載の組成物。
【請求項6】
該炭化水素が、脂環式であり、炭化水素対式(I)の化合物の重量比が、好ましくは4:1〜99:1、最も好ましくは17:1〜76:1である、請求項1〜5記載の組成物。
【請求項7】
該炭化水素が、1個以上のC〜Cアルキル基によって置換され、および/または≦170℃の沸点を有するシクロアルカン、好ましくはメチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサンまたはエチルシクロヘキサンから選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
溝の付いている側を有する基体、該溝の付いている側で基体の上にある記録層、該記録層の上にある反射層および該反射層の上にある保護層を含み、該記録層が、請求項1〜7のいずれか一項記載の液体組成物をコーティングすることによって生成される、光学的記録媒体の製造方法。
【請求項9】
溝の付いている側を有する基体、該溝の付いている側にある基体の上にある記録層、該記録層の上にある反射層および該反射層の上にある保護層を含み、360〜600の溝充填値GFを有することを特徴とする光学的記録媒体。
【請求項10】
該基体中の溝(dsub)が、深さ200〜225nmであり、半分の深さにおける幅が580〜700nm、好ましくは620〜680nmであり、染料フィルム平均光学密度が、0.21〜0.27、好ましくは0.21〜0.25であり、染料層の深さdabsが、100〜125nmの範囲内にある、請求項9記載の光学的記録媒体。
【請求項11】
溝充填グレードGFが、85〜100、好ましくは90〜100、最も好ましくは95〜100であることを特徴とする、溝を有する基体および記録層を含む光学的記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−64547(P2009−64547A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−237457(P2008−237457)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【分割の表示】特願2003−536816(P2003−536816)の分割
【原出願日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】