説明

溶剤組成物および線材用被覆材

エタノール、芳香族炭化水素または炭化水素混合物、高沸点溶剤を含む溶剤組成物、この溶剤組成物を含有する、ポリビニルホルマールを基礎とする線材用エナメル配合物、製造法および使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ドイツ連邦共和国特許出願第102009026343.8号の優先権の記載内容の特許保護を請求するものである。
【0002】
この優先権の刊行物は、その全体が参照のために本明細書に援用される。
【0003】
本出願において引用された全ての文献は、参考として全面的に本開示内容に組み込まれている。
【0004】
本発明は、特殊な溶剤組成物、結合剤としてのポリビニルホルマールおよび前記溶剤組成物を含有する線材用被覆材ならびに製造方法および使用に関する。
【0005】
従来技術:
現在、通常使用される線材用被覆材は、一般的にクレゾール溶剤中の、場合により市販の炭化水素希釈剤と組合せた典型的な結合剤、例えばポリビニルホルマール、ポリエステル、ポリエステルイミドおよびポルウレタン樹脂の溶液である。
【0006】
ポリビニルホルマールを基礎とする線材用被覆材は、久しく公知である。結合剤は、ポリビニルアルコールからなり、このポリビニルアルコールは、アルデヒドと反応され、ポリビニルホルマールに変わった。このポリマーは、なおポリビニルアルコールへのポリビニルアセテートの加水分解からの残留エステル基ならびにアルデヒドと反応しなかった遊離OH基を有する。このOH基により別の樹脂を用いて架橋が行なわれ、熱硬化性皮膜が銅線材上に形成される。
【0007】
英国特許第578882号明細書には、メラミン樹脂と組み合わせたポリビニルホルマール樹脂からなる線材用エナメルが記載されている。
【0008】
ポリビニルホルマール樹脂とフェノール樹脂との組合せは、英国特許第810359号明細書および英国特許第862165号明細書中に記載されている。
【0009】
英国特許第938119号明細書の対象は、ブロック化されたイソシアネートでのポリビニルホルマール樹脂の架橋である。
【0010】
全ての記載された架橋剤の組合せは、英国特許第975455号明細書および英国特許第1112186号明細書中に記載されている。
【0011】
全てのポリビニルホルマール線材用エナメルに共通することは、20〜30%の範囲内にある、線材用エナメルの固体含量が低いことである。この溶剤の組成は、しばしばクレゾールとソルベントナフサにあり、多くの場合に比は、1:1である。このクレゾール系溶剤は、通常、種々のクレゾール異性体とキシレノール異性体との工業用混合物であり、この工業用混合物は、フェノールを含有していてもよい。希釈剤として、キシレン、ソルベントナフサ、トルエン、エチルベンゼン、クメン、重質ベンゼン、種々のソルベッソおよびシェルゾール(Shellsol)グレードならびにデアゾール(Deasol)が使用される。この線材用エナメルは、20〜22%の固体含量でしばしば3000〜6000mPa.sの範囲内の粘度を有する。固体含量の増大は、粘度の著しい上昇をまねき、それによってエナメルは、もはや塗布不可能になる。更に、クレゾールは、毒性を有し、それによって環境的および操作上の視点から不利である。
【0012】
更に、ポリビニルホルマール樹脂を基礎とする公知の線材用被覆材の欠点は、このポリビニルホルマール樹脂が低い固体含量および高い粘度を有し、ならびに大量のクレゾールを溶剤として含有することにある。クレゾール不含の線材用エナメルは、実際に公知であり、例えばドイツ連邦共和国特許第4133161号明細書および米国特許第7521498号明細書中に記載されている。しかし、ポリビニルホルマールを基礎とする線材用エナメルには、当てはまらない。刊行物中には、しばしば他の選択可能な溶剤として、ジメチルグリコール、エチルグリコール、イソプロピルグリコール、ブチルグリコール、メチルジグリコール、エチルジグリコール、ブチルジグリコールが記載されている。グリコールエーテルエステル、例えばメチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテートおよびメトキシプロピルアセテートもこれに該当する。他の例は、環式カーボネート、例えばポリプロピレンカーボネート、環式エーテル、γ−ブチロラクトンならびにジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンである。更に、場合により記載された溶剤と組み合わせた、芳香族溶剤、ベンジルアルコールが使用されてもよい。
【0013】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第2740215号明細書A1の記載から、ポリビニルホルマール樹脂を基礎とする線材用エナメルは、公知であり、この線材用エナメルは、一定のグリコールエーテルを溶剤線分として含有しなければならない。
【0014】
これまでの公知技術水準からはなおポリビニルホルマールを基礎とする線材用エナメル配合物に最適の溶剤は、全く公知でない。
【0015】
課題:
本発明には、提示された欠点を有さず、クレゾールなしに配合することができ、それによって性能特性に不利な影響が及ぼされることがない、ポリビニルホルマールを基礎とする線材用エナメルを開発するという課題が課された。
【0016】
更に、本発明の課題は、特に良好な性質を有し、殊にできるだけ殆ど毒性でなく、ポリビニルホルマールを基礎とする被覆材、殊に線材用エナメルを卓越して溶解することができる、新しい種類の溶剤組成物を提供することであった。
【0017】
解決手段:
この課題は、一定の溶剤組成物によって、ならびに一定の溶剤組成物を含有する、ポリビニルホルマールを基礎とする線材用エナメル配合物によって解決され、この場合溶剤組成物は、エタノールを含有する。
【0018】
用語の定義:
本発明の範囲内で、全ての量の記載は、別記しない限り、質量の記載と解される。
【0019】
本発明の範囲内で、"室温"との用語は、23℃の温度を意味する。温度値は、別記しない限り、摂氏温度(℃)で記載される。
【0020】
他に示されない限りにおいて、述べられる反応若しくは工程段階は、標準圧力/雰囲気圧力、すなわち、1013ミリバールで実施される。
【0021】
(メタ)アクリルとの表記は、本発明の範囲内で、メタクリルならびにアクリルまたは双方の混合物を包含している。
【0022】
本発明の範囲内で本明細書中および以下、固体含量は、生じる生成物の固体の硬化後に形成される、線材配合物の成分の総和であると解される。
【0023】
本発明の範囲内で沸点が少なくとも160℃(1013ミリバールの圧力で)であるものは、高い沸点を有する溶剤/高沸点溶剤と呼称される。
【0024】
発明の詳細な説明:
本発明は、
エタノール、芳香族炭化水素または炭化水素混合物、高沸点溶剤を含む溶剤組成物、
溶剤組成物の使用、
前記溶剤組成物を含有する、ポリビニルホルマールを基礎とする線材用エナメル配合物、
前記線材用エナメル配合物の製造法および
前記線材用エナメル配合物の使用に関する。
【0025】
本発明による溶剤組成物は、次の成分:
エタノール5〜40質量部、有利に10〜30質量部、特に有利に12〜25質量部、
芳香族炭化水素または炭化水素混合物10〜55質量部、有利に15〜45質量部、特に有利に18〜40質量部、
高沸点溶剤0〜50質量部、有利に5〜40質量部、特に有利に8〜35質量部から構成されている。
【0026】
本発明の変法において、溶剤組成物は、3つの記載された成分(エタノール、芳香族炭化水素または炭化水素混合物および高沸点溶剤)と付加的にフェノールを含有していてもよい、種々のクレゾール異性体およびキシレノール異性体の工業用混合物であることができる、他の溶剤、例えばクレゾール系溶剤0〜3質量部から構成されている。
【0027】
更に、本発明の変法において、溶剤組成物は、3つの記載された成分(エタノール、芳香族炭化水素または炭化水素混合物および高沸点溶剤)と付加的にフェノールを含有していてもよい、種々のクレゾール異性体およびキシレノール異性体の工業用混合物であることができる、他の溶剤、例えばクレゾール系溶剤0〜5質量部から構成されている。
【0028】
芳香族炭化水素として、キシレン、ソルベントナフサ、トルエン、エチルベンゼン、クメン、重質ベンゼン、種々のソルベッソおよびシェルゾール(Shellsol)グレードならびにデアゾール(Deasol)を含めて、殊にトルエンおよび工業用芳香族化合物含有炭化水素希釈剤が適している。
【0029】
本発明によれば、トルエンが最も好ましい。
【0030】
高い沸点を有する溶剤として、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコールを含めて、高沸点アルコールが有利であることが証明された。同様に、ジメチルフタレート、ジメチルアジペート、ジメチルスクシネート、ジメチルグルタレートを含めて高沸点エステルが使用可能である。ブチルグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテートを含めてグリコールエステルは、同様に高沸点物として有利であることが証明され、および本発明による溶剤組成物中に使用可能である。
【0031】
好ましい変法において、高い沸点を有する溶剤として、ジメチルフタレート、ジメチルアジペート、ジメチルスクシネート、ジメチルグルタレートを含めて高沸点エステルが使用される。
【0032】
同様に、記載された高沸点エステルの混合物が使用可能である。
【0033】
本発明によれば、ジメチルフタレートが最も好ましい。
【0034】
本発明によれば、エタノール、トルエンおよびジメチルフタレートからなる溶剤組成物は、特に好ましい。
【0035】
本発明の変法において、使用されるエタノールは、バイオエタノールであることができ、それによって本発明による溶剤組成物のCO2バランス、ひいては環境的利点は、さらに改善される。
【0036】
本発明による溶剤組成物は、環境、操作および安全性の視点からクレゾール含有溶剤と比較して極めて十分に良好である。それというのも、本発明による溶剤組成物は、クレゾールと比較して毒性でない(危険性物質の分類の範囲内で)からである。
【0037】
本発明による溶剤組成物は、多種多様の結合剤および架橋剤を溶解するのに適している。
【0038】
この本発明による溶剤組成物は、意外なことに、被覆材、特に線材用エナメル、殊にポリビニルホルマールを基礎とする線材用エナメル組成物に殊に好適である。
【0039】
それに応じて、本発明による溶剤組成物は、有利に被覆材、特に有利に線材用エナメル、殊に有利にポリビニルホルマールを基礎とする線材用エナメル組成物に使用される。
【0040】
本発明による線材用エナメル配合物は、自体公知であり、およびこの本発明による線材用エナメル配合物が本発明による溶剤組成物を含有することによって公知技術水準のものと単に区別される。
【0041】
本発明の範囲内で結合剤として前記の工業的分野で常用の全ての結合剤が使用されてよい。
【0042】
本発明によれば、ポリビニルホルマール樹脂を基礎とする線材用エナメル配合物を配合することは、好ましい。
【0043】
市場で常用のポリビニルホルマール樹脂は、分子量、OH価およびエステル基含量によって区別され:この場合、本発明によれば、市場で入手可能な全てのポリビニルホルマール樹脂ならびにこれらの混合物が使用可能である。
【0044】
純粋な結合剤以外に、本発明の範囲内でなお架橋剤が使用される。
【0045】
本発明の範囲内で架橋剤として次の物質が使用される:ブロック化されたポリイソシアネート、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等、殊にブロック化されたポリイソシアネート、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択されたもの。
【0046】
架橋剤として、特に有利にクレゾールブロック化されたポリイソシアネート、フェノール樹脂およびメラミン樹脂からの組合せ物が使用される。
【0047】
本発明よれば、特に好ましいポリイソシアネートは、トリメチロールプロパンにより分枝化されており、および4,4−メチレンジフェニルジイソシアネートを含有する。
【0048】
本発明によれば、アルキル化されたレゾールを基礎とするフェノール樹脂は、同様に使用可能であり、このフェノール樹脂を公知技術水準からのOHポリエステルの硬化のために使用することは、公知である。
【0049】
更に、本発明によるメラミン樹脂は、使用可能である。この本発明によるメラミン樹脂は、同様にOHポリエステルを架橋するための公知技術水準から公知である。
【0050】
本発明による線材用エナメルは、結合剤、架橋剤および溶剤と共に、染料、流量調整(助)剤、触媒およびこれらの混合物から選択された他の成分をなお含有することができる。
【0051】
特に良好な性質を有する線材用エナメル配合物は、次の組成:
エタノール5〜40質量%、有利に10〜30質量%、特に有利に12〜25質量%、
芳香族炭化水素または炭化水素混合物10〜55質量%、有利に15〜45質量%、特に有利に18〜40質量%、
高沸点溶剤0〜50質量%、有利に5〜40質量%、特に有利に8〜35質量%、
結合剤および架橋剤10〜40質量%、有利に15〜35質量%、特に有利に20〜30質量%を有し、
この場合、前記記載は、それぞれ100質量%である、線材用エナメル配合物の全質量に関するものであり、および合計して100質量%になる。
【0052】
本発明の変法において、線材用エナメル配合物は、4つの記載された成分(エタノール、芳香族炭化水素または炭化水素混合物、高沸点溶剤および結合剤および架橋剤)と付加的にフェノールを含有していてもよい、種々のクレゾール異性体およびキシレノール異性体の工業用混合物であることができる、他の溶剤、例えばクレゾール系溶剤0〜3質量部から構成されている。また、この場合、前記記載は、それぞれ100質量%である、線材用エナメル配合物の全質量に関するものであり、および合計して100質量%になる。
【0053】
更に、本発明の変法において、線材用エナメル配合物は、4つの記載された成分(エタノール、芳香族炭化水素または炭化水素混合物、高沸点溶剤および結合剤および架橋剤)と付加的にフェノールを含有していてもよい、種々のクレゾール異性体およびキシレノール異性体の工業用混合物であることができる、他の溶剤、例えばクレゾール系溶剤0〜5質量部から構成されている。また、この場合、前記記載は、それぞれ100質量%である、線材用エナメル配合物の全質量に関するものであり、および合計して100質量%になる。
【0054】
本発明による溶剤組成物は、意外なことに、上記の線材用エナメル組成物に最適な溶剤として製造されたものであり、この場合には、エタノール、トルエンおよびジメチルフタレートからなる特に好ましい溶剤組成物が殊に良好に好適である。
【0055】
線材用エナメル配合物を製造するための本発明による方法は、
a)溶剤組成物を予め装入し、
b)その中で高められた温度でポリビニルホルマール樹脂を溶解し、
c)冷却し、残りの成分を添加し、および
d)線材用エナメルを均質化し、場合によっては濾過することによって特徴付けられる。
【0056】
引続き、さらになお線材用エナメル配合物は、望ましい適用粘度に希釈され、このために好ましくは、本発明による溶剤組成物が利用される。
【0057】
工程d)での均質化は、有利に攪拌によって実現されるが、しかし、別の均質化法、例えば超音波を用いての均質化法も可能である。
【0058】
工程d)での濾過は、本発明の変法において5〜10μmのフィルターによって行なわれる。
【0059】
本発明によるポリビニルホルマール線材用エナメルは、通常の線材用エナメル塗工機を用いて施与および硬化することができる。この場合、それぞれ必要とされるエナメル膜厚は、少なくとも1〜10回の個々の塗工によって形成させることができ、この場合それぞれの個々のエナメル塗膜は、再度のエナメル塗工の前に息の吹き付けなしに硬化される。通常のエナメル塗工機は、被覆すべき線材の厚さに応じて、5〜180m/分の取出し速度で作業される。典型的な炉温度は、300〜550℃である。
【0060】
この場合、本発明の種々の態様、例えば種々の従属請求項の態様は、任意のやり方で互いに組み合わせてよい。
【0061】
本発明を、次の非限定的な例に関連して、これから詳説する。
【実施例】
【0062】
例1−PUR架橋剤:
p−クレゾール29.5gおよび4,4−メチレンジフェニルジイソシアネート27.8gを、攪拌機、還流冷却器、窒素導入管を装備した三口フラスコ中で110℃で反応させた。30分後、トリメチロールプロパン5.5gおよびジブチル錫ジラウレート0.01gを添加し、および130℃で2時間維持した。バッチ量をm.p−クレゾール18.0gおよびソルベッソ(Solvesso)100 20gで希釈した。架橋剤は、6280mPa.sの粘度の際に40.3%の固体含量を有していた。
【0063】
例2−ポリビニルホルマール線材用エナメル1:
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管を装備した三口フラスコ中にエタノール20.0gおよびジメチルフタレート19.5gを予め装入し、および75℃に加熱した。75℃でポリビニルホルマール樹脂13.5g(Vinylec(登録商標))を添加した。2時間後60℃に冷却した。このバッチ量に実施例1からのPUR架橋剤3.9g、市販のレゾール8.6g(ブタノール中で80%)(Phenodur(登録商標)PR612)および市販のメラミン樹脂0.5g(Priam(登録商標)RMF 7960)を添加した。トルエン5.0gで粘度を2800mPa.sに調節した。21.0%の固体含量が測定された。
【0064】
例3−ポリビニルホルマール線材用エナメル2:
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管を装備した三口フラスコ中にトルエン34.9g、エタノール23.0gおよびジメチルフタレート10.3gを予め装入し、および75℃に加熱した。75℃でポリビニルホルマール樹脂13.5g(Vinylec(登録商標))を添加した。2時間後60℃に冷却した。このバッチ量に実施例1からのPUR架橋剤3.9g、市販のレゾール8.6g(ブタノール中で80%)(Phenodur(登録商標)PR612)および市販のメラミン樹脂0.5g(Priam(登録商標)RMF 7960)を添加した。トルエン5.0gで粘度を2450mPa.sに調節した。20.7%の固体含量が測定された。
【0065】
例4−ポリビニルホルマール線材用エナメル3:
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管を装備した三口フラスコ中にトルエン20.5g、エタノール13.7gおよびジメチルフタレート34.3gを予め装入し、および75℃に加熱した。75℃でポリビニルホルマール樹脂13.5g(Vinylec(登録商標))を添加した。2時間後60℃に冷却した。このバッチ量に実施例1からのPUR架橋剤3.9g、市販のレゾール8.6g(ブタノール中で80%)(Phenodur(登録商標)PR612)および市販のメラミン樹脂0.5g(Priam(登録商標)RMF 7960)を添加した。トルエン5.0gで粘度を3480mPa.sに調節した。21.2%の固体含量が測定された。
【0066】
例5−比較例 クレゾール系ポリビニルホルマール線材用エナメル:
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管を装備した三口フラスコ中にp−クレゾール30gを予め装入し、および75℃に加熱した。75℃でポリビニルホルマール樹脂13.5g(Vinylec(登録商標))を添加した。2時間後60℃に冷却した。このバッチ量に実施例1からのPUR架橋剤3.9g、市販のレゾール8.6g(80%)(Phenodur(登録商標)PR612)および市販のメラミン樹脂0.5g(Priam(登録商標)RMF 7960)を添加した。ソルベッソ(Solvesso)100 44.0gで粘度を6500mPa.sに調節した。固体含量は、20.8%であった。
【0067】
例6−エナメル塗工の結果:
ポリビニルホルマール線材用エナメル1を産業上で常用の垂直型エナメル塗工機上で次のエナメル塗工条件で塗布した:
線材直径:4.124mm
直径の増加率:0.097mm
通過数:10回
試験をIEC 851により行なった。
破断時の伸び:37%
破壊電圧:14300V
外側繊維の伸び:39%+3×d
熱衝撃(30%+1×d):200℃/30分間で満足
ピンホール:なし。
【0068】
ポリビニルホルマールエナメル2および3ならびにクレゾール系エナメルは、同一のエナメル塗工の結果を生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の組成:
エタノール5〜40質量%、
芳香族炭化水素または炭化水素混合物10〜55質量%、
高沸点溶剤0〜50質量%、
ポリビニルホルマール樹脂を基礎とする結合剤および架橋剤10〜40質量%を有し、この場合、前記記載は、それぞれ100質量%である、線材用エナメル配合物の全質量に関するものであり、および合計して100質量%になり、およびこの場合
高沸点溶剤は、高沸点アルコール、高沸点エステルまたは少なくとも160℃の沸点を有するグリコールエステルである、ポリビニルホルマールを基礎とする線材用エナメル配合物。
【請求項2】
芳香族炭化水素がトルエンである、請求項1記載の線材用エナメル配合物。
【請求項3】
高沸点溶剤がジメチルフタレート、ジメチルアジペート、ジメチルスクシネートおよび/またはジメチルグルタレートから選択された高沸点エステルである、請求項1記載の線材用エナメル配合物。
【請求項4】
高沸点溶剤がジメチルフタレートである、請求項3記載の線材用エナメル配合物。
【請求項5】
巻線を製造するための請求項1から4までのいずれか1項に記載の線材用エナメル配合物の使用。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の線材用エナメル配合物を製造する方法において、
a)溶剤組成物を予め装入し、
b)その中で高められた温度でポリビニルホルマール樹脂を溶解し、
c)冷却し、残りの成分を添加し、および
d)線材用エナメルを均質化し、場合によっては濾過することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の線材用エナメル配合物を製造する方法。
【請求項7】
エタノール5〜40質量部、
芳香族炭化水素または炭化水素混合物10〜55質量部、
高沸点溶剤0〜50質量部からなる溶剤組成物であって、
この場合この高沸点溶剤は、高沸点アルコール、高沸点エステルまたは少なくとも160℃の沸点を有するグリコールエステルである、上記溶剤組成物。
【請求項8】
被覆材、殊に線材用エナメル、含浸用エナメルを溶解するための請求項7記載の溶剤組成物の使用。

【公表番号】特表2013−501329(P2013−501329A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523271(P2012−523271)
【出願日】平成22年7月19日(2010.7.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060428
【国際公開番号】WO2011/015447
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(511204407)エランタス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】ELANTAS GmbH
【住所又は居所原語表記】Abelstr. 43, D−46483 Wesel, Germany
【Fターム(参考)】