説明

溶媒を含まない生物由来のエマルション

【課題】生物由来のアモルファスポリエステルを有機溶剤を用いずに入荷させ、水中に分散したナノサイズの粒子(ラテックス)を作成する組成物及びプロセスを提供する。
【解決手段】生物由来のポリエステルと任意要素の可塑剤を接触させ、混合物を作成する、混合物を中和する、混合物を溶融混合する、溶融混合物と水を接触させ、ラテックスをを含む水中油エマルジョンを作成する、ラッテクスを回収することとを含む、プロセス。生物由来のポリエステル樹脂が、天然トリグリセリド植物油、フェノール系植物油、これらの組み合わせからなる群から選択される材料から誘導される、プロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トナーを製造する際に有用な樹脂エマルションを製造するためのプロセスに関する。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、トナーを製造するプロセス、およびそれによって製造されるトナーを提供する。いくつかの実施形態では、本開示のプロセスは、少なくとも1つの生物由来のアモルファスポリエステル樹脂と、任意要素の可塑剤とを接触させ、あらかじめ混合した混合物を作成することと、このあらかじめ混合した混合物を中和剤で中和することと、このあらかじめ混合した混合物と界面活性剤とを接触させることと、このあらかじめ混合した混合物を溶融混合することと、この溶融混合した混合物と脱イオン水とを接触させ、ラテックスを含む水中油エマルションを作成することと、このラテックスを回収することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】本開示の実施形態にかかる生物由来の樹脂ラテックスを調製するための押出機の概略図である。
【図2】本開示の実施例1で作成されたエマルションの粒径分布を示すグラフである。
【図3】本開示の実施例2で作成されたエマルションの粒径分布を示すグラフである。
【図4】本開示の実施例3で作成されたエマルションの粒径分布を示すグラフである。
【図5】本開示の実施例4で作成されたエマルションの粒径分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
EAトナーを製造するために、生物由来の樹脂を用いる従来のプロセスは、まず、この樹脂を水性分散物(ラテックス)に変換することを含む。しかし、生物由来の樹脂は、毒性のある有機溶媒(例えば、ジクロロメタン)にしか溶解せず、実験室のスケールでは、安定化剤として界面活性剤を用い、フラッシュ式溶媒蒸留プロセスを経て乳化させることができるのみである。しかし、フラッシュ式溶媒蒸留による乳化プロセスは、10対1の比率の溶媒と樹脂とを使用し、固体含有量が15%未満の低いバッチ収率を有する。この溶媒除去プロセスでは、乳化終了時には蒸発させるべき大量の溶媒を必要とし、これを完結させるのに長い時間がかかる。さらに、毒性のある有機溶媒を用いることは、環境的に問題があり、この溶媒プロセスは、製造スケールでは適用されない可能性がある。
【0005】
本開示は、押出プロセスによって、有機溶媒を用いずに生物由来の樹脂を乳化させ、水中に分散したナノサイズの粒子(ラテックス)を作成するための新規配合物およびプロセスを提供する。生物由来の生成物は、本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、全体または顕著な一部分が、米国環境行政局によって規定されているような、生体産物または再生可能な国内の農業用材料(植物、動物または海洋材料を含む)、および/または森林材料で構成されていてもよい、商業的および/または産業的な生成物を含む(食品または餌以外)。
【0006】
本開示のラテックスエマルションを作成する際に、任意の樹脂を利用してもよい。いくつかの実施形態では、樹脂は、アモルファス樹脂、結晶性樹脂、および/またはこれらの組み合わせであってもよい。さらなる実施形態では、樹脂は、ポリエステル樹脂であってもよい。また、適切な樹脂は、アモルファスポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との混合物を含んでいてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、樹脂は、任意要素の触媒が存在する状態で、ジオールと二塩基酸とを反応させることによって生成するポリエステル樹脂であってもよい。
【0008】
結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、これらの混合物などが挙げられる。特定の結晶性樹脂は、ポリエステルに由来するものであってもよく、例えば、ポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(プロピレン−アジペート)、ポリ(ブチレン−アジペート)、ポリ(ペンチレン−アジペート)、ポリ(ヘキシレン−アジペート)、ポリ(オクチレン−アジペート)、ポリ(エチレン−スクシネート)、ポリ(プロピレン−スクシネート)、ポリ(ブチレン−スクシネート)、ポリ(ペンチレン−スクシネート)、ポリ(ヘキシレン−スクシネート)、ポリ(オクチレン−スクシネート)、ポリ(エチレン−セバケート)、ポリ(プロピレン−セバケート)、ポリ(ブチレン−セバケート)、ポリ(ペンチレン−セバケート)、ポリ(ヘキシレン−セバケート)、ポリ(オクチレン−セバケート)、ポリ(デシレン−セバケート)、ポリ(デシレン−デカノエート)、ポリ(エチレン−デカノエート)、ポリ(エチレンドデカノエート)、ポリ(ノニレン−セバケート)、ポリ(ノニレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−セバケート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−ドデカノエート)、コポリ(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール−デカノエート)−コポリ(ノニレン−デカノエート)、ポリ(オクチレン−アジペート)であってもよい。ポリアミドの例としては、ポリ(エチレン−アジポアミド)、ポリ(プロピレン−アジポアミド)、ポリ(ブチレン−アジポアミド)、ポリ(ペンチレン−アジポアミド)、ポリ(ヘキシレン−アジポアミド)、ポリ(オクチレン−アジポアミド)、ポリ(エチレン−スクシンイミド)、ポリ(プロピレン−セバカミド)が挙げられる。ポリイミドの例としては、ポリ(エチレン−アジピミド)、ポリ(プロピレン−アジピミド)、ポリ(ブチレン−アジピミド)、ポリ(ペンチレン−アジピミド)、ポリ(ヘキシレン−アジピミド)、ポリ(オクチレン−アジピミド)、ポリ(エチレン−スクシンイミド)、ポリ(プロピレン−スクシンイミド)、ポリ(ブチレン−スクシンイミド)が挙げられる。
【0009】
結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約1〜約50重量%、または約5〜約35重量%の量で存在していてもよい。結晶性樹脂は、種々の融点を有していてもよく、例えば、約30℃〜約120℃、例えば、約50℃〜約90℃の融点を有していてもよい。結晶性樹脂は、数平均分子量(M)が、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定する場合、例えば、約1,000〜約50,000、または約2,000〜約25,000であってもよく、重量平均分子量(M)は、例えば、ポリスチレン標準を用いてゲル透過クロマトグラフィーで測定する場合、約2,000〜約100,000、または約3,000〜約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(M/M)は、例えば、約2〜約6、または約3〜約4であってもよい。
【0010】
場合により、以下に示すようなアモルファス樹脂と組み合わせて利用可能な、適切な結晶性樹脂としては、米国特許公開第2006/0222991号に開示されているものが挙げられる。いくつかの実施形態では、適切な結晶性樹脂としては、以下の式を有する、エチレングリコールと、ドデカン二酸およびフマル酸コモノマーの混合物とから作られる樹脂を挙げることができ、
【化1】

(I)
式中、bは、約5〜約2000であり、dは、約5〜約2000である。いくつかの実施形態では、適切な結晶性樹脂としては、ドデカン二酸と1,9−ノナンジオールモノマーとから作られる樹脂を挙げることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示にしたがって利用される樹脂は、生物由来のアモルファス樹脂も含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、生物由来の樹脂は、石油化学の代わりに、植物油のような生体源から誘導される樹脂または樹脂配合物である。環境への影響が少ない再生可能なポリマーの場合、このポリマーの主な利点は、限りある石油化学資源への依存を減らすことであり、これらのポリマーが、大気から炭素を捕まえることである。生物由来の樹脂としては、いくつかの実施形態では、例えば、樹脂の少なくとも一部分が天然の生体材料(例えば、動物、植物、これらの組み合わせなど)から誘導された樹脂が挙げられる。いくつかの実施形態では、樹脂の少なくとも一部分は、天然トリグリセリド植物油(例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ油)またはフェノール系植物油(例えば、カシューナッツ殻液(CNSL)、これらの組み合わせ)などのような材料から誘導されてもよい。適切な生物由来のアモルファス樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリイソブチレート、ポリオレフィン、これらの組み合わせなどが挙げられる。ある実施形態では、生物由来の樹脂は、生分解性でもある。
【0012】
利用可能な生物由来のアモルファスポリマー樹脂の例としては、大豆油、D−イソソルビド、および/またはアミノ酸、例えば、L−チロシン、グルタミン酸の脂肪族ダイマー二酸またはジオールを含むモノマーから誘導されるポリエステルが挙げられる。いくつかの実施形態において、上の組み合わせを利用してもよい。適切な生物由来のアモルファス樹脂としては、Advanced Image ResourcesからBIOREZ(商標)13062、BIOREZ(商標)15062、BIOREZ(商標)AIR−64−116の商品名で市販されているものが挙げられる。いくつかの実施形態では、利用可能な、適切な生物由来のアモルファスポリマー樹脂としては、大豆油、イソソルビド(トウモロコシデンプンから得られてもよい)のダイマー二酸を含み、この生物由来のアモルファスポリマー樹脂の残りの部分が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)および/またはテレフタル酸ジメチル(DMT)であるものを挙げることができる。いくつかの実施形態では、生物由来のポリマー樹脂は、イソソルビドと、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とを含んでいてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、適切な生物由来のアモルファス樹脂は、ガラス転移点が約45℃〜約70℃、または約50℃〜約65℃であってもよく、重量平均分子量(Mw)が約2,000〜約200,000、いくつかの実施形態では、約5,000〜約100,000であってもよく、数平均分子量(Mn)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定した場合、約1,000〜約10,000、または約2,000〜約8,000であってもよく、分子量分布(Mw/Mn)は、約2〜約20、または約3〜約15であってもよく、約130℃での粘度は、約10PaS〜約100000PaS、または約50PaS〜約10000PaSであってもよい。
【0014】
生物由来のアモルファス樹脂は、例えば、トナー成分の約1〜約95重量%、または約5〜約50重量%の量で存在していてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、生物由来のアモルファスポリエステル樹脂は、粒径が、直径で約50nm〜約500nm、または約75nm〜約300nmであってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、適切なラテックス樹脂粒子は、上述の1つ以上の結晶性樹脂と、1つ以上の生物由来のアモルファス樹脂(例えば、本明細書に記載のBIOREZ(商標)樹脂)とを含んでいてもよい。
【0017】
1種類、2種類またはそれ以上の樹脂を用いてもよい。いくつかの実施形態では、2種類以上の樹脂を用いる場合、樹脂は、任意の適切な比率(例えば、重量比)、例えば、約1%(第1の樹脂)/99%(第2の樹脂)〜約99%(第1の樹脂)/1%(第2の樹脂)、または約4%(第1の樹脂)/96%(第2の樹脂)〜約96%(第1の樹脂)/4%(第2の樹脂)であってもよい。コア樹脂が、結晶性樹脂と、生物由来のアモルファス樹脂と、別のアモルファス樹脂とを含む場合、これら3種類の樹脂の重量比は、約98%(アモルファス樹脂):約1%(結晶性樹脂):約1%(生物由来のアモルファス樹脂)〜約0%(アモルファス樹脂):約15%(結晶性樹脂):約85%(生物由来のアモルファス樹脂)であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、樹脂は、縮重合方法によって作成してもよい。他の実施形態では、樹脂は、乳化重合方法によって作成してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、上述の樹脂に可塑剤を加えてもよい。押出機への経路で適切な粘度になるように樹脂を軟化させるために、可塑剤を用いてもよい。軟化した樹脂は、室温では自由に流れないほど十分に粘性であるが、押出機によって混合するのに十分なほど柔らかくてもよい。軟化した樹脂(本明細書では、時に、いくつかの実施形態では、あらかじめ混合した混合物と呼ぶ)の複素粘度は、約130℃で約10PaS〜約1,000PaS、いくつかの実施形態では、約50PaS〜約500PaSであってもよい。樹脂のあらかじめ混合した混合物の複素粘度は、任意の適切なレオメーターを用いて測定することができる。例えば、約0.5グラムのあらかじめ混合した混合物を、圧力を約10,000lbsかけて成形することによって25mmのサンプルディスクを調製することができ、種々の温度および剪断速度での複素粘度の応答は、Rheometric Scientific Corporation Model ARESのような平行板式レオメーターを用いて決定することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、樹脂を軟化させるための可塑剤としてワックスを用いてもよい。ワックスは、ワックス分散物の状態で与えられてもよく、1種類のワックスを含んでいてもよく、2種類以上の異なるワックスを含んでいてもよい。ワックスが含まれる場合、ワックスは、例えば、樹脂の約1重量%〜約25重量%、または約5重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、ポリエステル樹脂が生物由来のアモルファス樹脂である場合、結晶性ポリエステル樹脂を可塑剤として用いてもよく、結晶性ポリエステル樹脂は、アモルファス樹脂の軟化点を水の沸点付近の温度まで下げ、溶融混合物の粘度は、エマルションを作成するのに十分なほど低い。
【0022】
いくつかの実施形態では、樹脂を弱塩基または中和剤とあらかじめ混合しておいてもよい。いくつかの実施形態では、塩基を、固体として、または水溶液の状態で樹脂と接触させてもよい。樹脂および中和剤を、同時供給プロセスを介して同時に供給してもよく、このプロセス全体で押出機への塩基および樹脂の供給速度を療法とも正確に制御してもよく、次いで、溶融混合した後、乳化させてもよい。このプロセスを利用すると、塩基濃度を制御することができ、もっと効率的なプロセスが可能になる。同時供給によって、プロセスの再現性および安定性を可能にし、初期の開始時の廃棄物を少なくすることができる場合がある。
【0023】
いくつかの実施形態では、樹脂中の酸基を中和するために中和剤を用いてもよく、そのため、本明細書では、中和剤は、「塩基性中和剤」と呼ばれることもある。任意の適切な塩基性中和試薬を、本開示にしたがって用いてもよい。いくつかの実施形態では、適切な塩基性中和剤は、無機塩基性薬剤と有機塩基性薬剤の両方を含んでいてもよい。
【0024】
塩基性薬剤を、固体(例えば、水酸化ナトリウムフレーク)として、樹脂の約0.001重量%〜50重量%、約0.01重量%〜約25重量%、または約0.1重量%〜5重量%の量で存在するように利用してもよい。
【0025】
上述のように、塩基性中和剤を、酸基を有する樹脂に加えてもよい。したがって、塩基性中和剤を加え、酸基を有する樹脂を含むエマルションのpHを約5〜約12、いくつかの実施形態では、約6〜約11に上げてもよい。酸基の中和は、いくつかの実施形態では、エマルションの生成を促進する場合がある。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示のプロセスは、溶融混合する前または溶融混合している間に、界面活性剤を高温で樹脂に加えることを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、固体の界面活性剤を樹脂および中和剤と同時に押出機に供給してもよい。いくつかの実施形態では、溶融混合する前に、固体の界面活性剤を樹脂および中和剤に加え、あらかじめ混合した混合物を作成してもよい。利用される場合、樹脂エマルションは、1種類、2種類、またはそれ以上の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、イオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤から選択されてもよい。アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤は、用語「イオン系界面活性剤」に包含される。いくつかの実施形態では、界面活性剤を固体として、または溶液として約5重量%〜約100重量%(純粋な界面活性剤)の濃度で、いくつかの実施形態では、約10重量%〜約95重量%の濃度で加えてもよい。いくつかの実施形態では、樹脂の約0.01重量%〜約20重量%、いくつかの実施形態では、約0.1重量%〜約16重量%、いくつかの実施形態では、約1重量%〜約14重量%の量で存在するように、界面活性剤を利用してもよい。
【0027】
上述のように、本発明のプロセスは、押出機中、生物由来の樹脂と、任意要素の可塑剤と、固体または水溶液の界面活性剤と、中和剤とを含む混合物を高温で溶融混合することを含む。この高温は、約30℃〜約200℃、約50℃〜約150℃、または約70℃〜約100℃であってもよい。いくつかの実施形態では、本開示のプロセスは、連続的であってもよい。
【0028】
図1を参照すると、樹脂の溶融混合は、押出機30中で行われてもよく、押出機30は、ツインスクリュー式押出機、ニーダー(例えば、Haakeミキサー)、バッチ式反応器、またはほぼ均一な混合物を作成するための、粘性材料を十分に混合することが可能な任意の他のデバイスであってもよい。必須ではないが、ラテックスの作成を促進するために、撹拌を利用してもよい。
【0029】
ラテックスを作成する際に、2種類以上の樹脂を利用してもよい。上述のように、樹脂は、生物由来のアモルファス樹脂、結晶性樹脂、またはこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、樹脂は、結晶性樹脂であってもよく、上述の高温は、結晶性樹脂の結晶化温度よりも高い温度であってもよい。いくつかの実施形態では、樹脂は、結晶性樹脂であってもよく、上述の高温は、結晶性樹脂の融点よりも高い温度であってもよい。さらなる実施形態では、樹脂は、アモルファス樹脂と結晶性樹脂との混合物であってもよく、上述の温度は、混合物のガラス転移点よりも高い温度であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、樹脂と、可塑剤と、中和剤とを、溶融混合する前にあらかじめ混合しておいてもよい。いくつかの実施形態では、樹脂と可塑剤とを、タンブラー10中、毎分約1回転(rpm)〜約20rpm、または約5rpm〜約15rpmのローター速度で約10分〜約60分、または約15分〜約30分混合し、あらかじめ混合した混合物を作成してもよい。
【0031】
あらかじめ混合した樹脂混合物を、押出機30に接続したスクリューフィーダ20を介して供給する。あらかじめ混合した樹脂混合物を、別個のフィーダ(示さない)を介して供給される固体形態(例えば、フレークまたはペレット)の中和剤とともに押出機30に同時に供給してもよい。中和剤を水溶液の状態で用いる場合、容器45中で、溶解した中和剤を界面活性剤および水とあらかじめ混合しておき、ポンプ55を介して押出機の注入口75に同時に供給してもよく、注入口75に別個に供給してもよい。中和剤を、樹脂の約0.2重量%〜約5重量%、いくつかの実施形態では、約0.4重量%〜約2重量%の濃度になるような速度で供給してもよい。流速および供給速度は、処理装置(例えば、押出機30)の大きさによってさまざまに変わるため、望ましい組成物を得るために、上述の成分の速度ではなく、上述の成分の濃度が与えられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、固体の界面活性剤を利用し、押出機の供給ホッパに樹脂とともに同時に供給してもよい。溶融混合する前、溶融混合している間、または溶融混合した後で、中和剤を加える前、加えている間、または加えた後に、界面活性剤を樹脂組成物に加えてもよい。または、界面活性剤は、水溶液の状態であってもよい。詳細には、あらかじめ混合した樹脂混合物が押出機30を下に向かって流れるため、界面活性剤の溶液を、容器45からダイアフラム式ポンプ55を介して押出機の注入口75に向けて供給し、熱交換器65を介して加熱してもよい。固体の中和剤を利用する場合、界面活性剤を樹脂とともに溶融混合し、中和した樹脂の均質な混合物を製造している間に、界面活性剤中の水が、中和剤を活性化する。界面活性剤は、樹脂の約0.5重量%〜約20重量%、いくつかの実施形態では、約2重量%〜約15重量%の濃度になるような速度で供給される。
【0033】
いくつかの実施形態では、可塑剤を押出機30に直接投入し、押出機30の中で樹脂と可塑剤とを混合してもよく、これによって、あらかじめ混合する必要性がなくなる。可塑剤を、容器40からダイアフラム式ポンプ50を介して押出機注入口70に向けて投入し、熱交換器60を介して加熱してもよい。可塑剤を、樹脂の約1重量%〜約100重量%、いくつかの実施形態では、約10重量%〜約50重量%の濃度になるような速度で投入してもよい。注入口70は、押出機30の第1セクションIに配置されていてもよく、このセクションは、溶融ゾーンとして作用し、注入口75の前にあり、界面活性剤溶液を供給する。注入口75は、第1セクションの後にある第2セクションIIに配置されていてもよく、その結果、押出機30中で、可塑剤が樹脂と混合した後に、界面活性剤が混合物に加えられる。いくつかの実施形態では、注入口70および75は、押出機30の同じセクション、例えば、第1セクションに配置されていてもよく、その結果、可塑剤および界面活性剤が同時に供給される。
【0034】
樹脂、可塑剤、中和剤、界面活性剤を溶融混合したら、次いで、得られた分散混合物を水と接触させ、水中油のラテックスエマルションを作成してもよい。例えば、脱イオン水(DIW)を加え、固体含有量が約5重量%〜約50重量%、いくつかの実施形態では、約10重量%〜約40重量%のラテックスを作ってもよい。いくつかの実施形態では、水温は、約20℃〜約110℃、いくつかの実施形態では、約60℃〜約100℃であってもよい。
【0035】
水と樹脂混合物との接触は、押出機の水注入口によって達成されてもよい。図1に示されているように、溶融混合した樹脂混合物が押出機30を下に向かって流れるため、あらかじめ加熱しておいたDIWを、その後にある押出機30のセクションIIIの3つの注入口110、140、170に加えてもよい。DIWをタンク80に保存していてもよく、押出機の注入口110、140、170に、ダイアフラムポンプ90、120、150を経て供給してもよい。DIWは、それぞれ、熱交換器100、130、160で加熱される。
【0036】
油中水エマルションから水中油エマルションへの転移がゆっくり起こり、相分離ではなく、物質が混合した状態が続き、押出機でのエマルション生成が最適になるように水を加えることが有益である。いくつかの実施形態では、上述の注入口は、あらかじめ加熱しておいた脱イオン水を、約1g/分〜約400g/分、いくつかの実施形態では、約5g/分〜約200g/分の速度で押出機に注入してもよく、その結果、ラテックスの最終的な固体含有量は、約10%〜約40%、いくつかの実施形態では、約15%〜約35%である。
【0037】
押出機から出た生成物は、ラテックス流を含んでいてもよく、このラテックス流が、タンク80からダイアフラムポンプ180を経て、熱交換器190で加熱され、さらにDIWが加えられ、穏やかに撹拌されながら蒸気捕捉タンク200で集められ、望ましい固形分をもつ最終生成物が得られる。所望のラテックスが得られたら、貯蔵し、その後で以下に記載する凝集/融着プロセスで使用するために、ラテックスをラテックス流210として取り出す。
【0038】
生成するラテックスエマルションの粒径を、ポリエステル樹脂に対する可塑剤、界面活性剤、および/または中和剤の濃度比率によって制御することができる。ラテックスの固体濃度を、水に対する樹脂混合物の比率によって制御することができる。
【0039】
本開示によれば、本明細書のプロセスによって、乳化した生物由来の樹脂粒子を製造することができることがわかる。
【0040】
水系媒体に乳化した樹脂粒子は、粒径が、約1500nm以下、例えば、約10nm〜約1200nm、約30nm〜約1,000nmであってもよい。本開示のラテックスの粒度分布は、約60nm〜約300nm、いくつかの実施形態では、約125nm〜約200nmであってもよい。本開示のラテックスの粗粒子含有量は、約0重量%〜約1重量%、いくつかの実施形態では、約0.1重量%〜約0.5重量%であってもよい。本開示のラテックスの固体含有量は、約5重量%〜約74重量%、いくつかの実施形態では、約30重量%〜約50重量%であってもよい。
【0041】
乳化させた後、エマルションを希釈するために、場合により、さらなる界面活性剤、水および/または中和剤を加えてもよい。乳化させた後、エマルションを室温まで、例えば、約20℃〜約25℃に冷却してもよい。
【0042】
本開示のプロセスを利用すると、種々の利点を得ることができる。例えば、本明細書に開示したプロセス、配合物、材料は、痕跡量の溶媒も含まない生物由来の樹脂から誘導される、溶媒を含まないラテックスであり、溶媒を含まない生物由来のラテックスが望ましいような、マーキング材料の分野、および多くのコーティング用途、食品用途、医薬品用途(塗料、膜、食品、薬物の包装)といった広範囲の用途を有する、新しい種類の生物由来のエマルションを作成し、環境的および商業的に魅力的な(費用対効果の高い)、スケールアップ可能なプロセスで製造され、特定の生物由来の樹脂から環境にやさしい様式でラテックスを作成する唯一知られた方法である。
【0043】
いくつかの実施形態では、本開示のラテックスエマルションを、トナーを製造するために利用することができる。
【0044】
樹脂混合物を水と接触させて上述のようなエマルションを作ったら、次いで、得られた生物由来の樹脂ラテックスを利用し、当業者の常識の範囲内にある任意の方法によってトナーを作成してもよい。生物由来のラテックスエマルションを、着色剤(場合により、分散物の状態の着色剤)と、他の添加物と接触させ、適切なプロセス、いくつかの実施形態では、乳化凝集、融着プロセスによって、超低融点トナーを作ってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、さらなる樹脂、例えば、結晶性樹脂、着色剤、ワックス、他の添加剤を含む、トナー組成物のさらなる任意原料を、樹脂を溶融混合する前、溶融混合中、またはその後に加え、本開示のラテックスエマルションを作ってもよい。さらなる成分を、ラテックスエマルションを作る前、作っている最中、またはその後に加えてもよい。さらなる実施形態では、界面活性剤を加える前に着色剤を加えてもよい。
【0046】
加えられる着色剤としては、種々の既知の適切な着色剤、例えば、染料、顔料、染料混合物、顔料混合物、染料と顔料の混合物などが、トナーに含まれてもよい。着色剤は、トナーの約0.1〜約35重量%、約1〜約15重量%、または約3〜約10重量%の量で加えられてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、着色剤は、顔料、染料、これらの組み合わせ、カーボンブラック、マグネタイト、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー、ブラウン、これらの組み合わせが、トナーに望ましい色を付与するのに十分な量で含まれていてもよい。他の有用な着色剤は、本開示に基づいて容易に明らかになることを理解されたい。
【0048】
いくつかの実施形態では、顔料または着色剤は、トナー粒子の固形分を基準として、約1重量%〜約35重量%、いくつかの実施形態では、約5重量%〜約25重量%の量で使用されてもよい。
【0049】
場合により、トナー粒子を作るときに、ワックスを樹脂および着色剤と組み合わせてもよい。ワックスは、ワックス分散物の状態で与えられてもよく、1種類のワックスを含んでいても、2種類以上の異なるワックスの混合物を含んでいてもよい。例えば、特定のトナーの特性、例えば、トナー粒子の形状、トナー粒子表面にワックスが存在すること、およびトナー粒子表面のワックスの量、帯電特性および/または融合特性、光沢、ストリッピング、オフセットの特性を高めるために、1種類のワックスをトナー配合物に加えてもよい。または、トナー組成物に複数の特性を付与するために、ワックスの組み合わせを加えてもよい。
【0050】
ワックスが含まれる場合、ワックスは、トナー粒子の約1重量%〜約25重量%、または約5重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。
【0051】
ワックス分散物を用いる場合、ワックス分散物は、乳化凝集トナー組成物で従来から用いられている種々の任意のワックスを含んでいてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、ワックスを、1つ以上の水系エマルションの形態または固形ワックスを水に分散した形態でトナーに組み込んでもよく、ここで、固形ワックスの粒径は、約100nm〜約300nm、または約125nm〜約275nmであってもよい。
【0053】
トナー粒子は、当業者の常識の範囲内にある任意の方法によって調製されてもよい。いくつかの実施形態では、トナー組成物およびトナー粒子は、小さな粒径の樹脂粒子を適切なトナー粒子径になるまで凝集させ、次いで、最終的なトナー粒子の形状および形態が得られるまで融着する、凝集および融着プロセスによって調製されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、トナー組成物は、乳化凝集プロセス(例えば、任意要素の着色剤と、任意要素のワックスと、任意の他の望ましい添加剤または必要な添加剤と、上述の樹脂を含むエマルションとの混合物を、場合により、上述のような界面活性剤中で凝集させることと、この凝集混合物を融着させることとを含むプロセス)によって調製されてもよい。混合物は、着色剤と、場合によりワックスまたは他の材料(場合により、界面活性剤を含む分散剤であってもよい)とをエマルションに加えることによって調製されてもよく、樹脂を含む2つ以上のエマルションの混合物であってもよい。得られた混合物のpHを酸、例えば、酢酸、硝酸などによって調節してもよい。いくつかの実施形態では、混合物のpHを約2〜約5に調節してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、混合物は均質であってもよい。混合物が均質化される場合、均質化は、毎分約600回転〜約6,000回転で混合することによって行われてもよい。
【0055】
上述の混合物を調製した後、凝集剤を混合物に加えてもよい。任意の適切な凝集剤を利用し、トナーを作成してもよい。適切な凝集剤としては、例えば、二価カチオン材料または多価カチオン材料の水溶液が挙げられる。凝集剤は、例えば、ポリアルミニウムハロゲン化物、例えば、ポリアルミニウムクロリド(PAC)または対応する臭化物、フッ化物またはヨウ化物、ポリアルミニウムシリケート、例えば、アルミニウムスルホシリケート(PASS)、塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、亜硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、硫酸銅を含む水溶性金属塩、およびこれらの組み合わせのような無機カチオン凝集剤であってもよい。いくつかの実施形態では、樹脂のガラス転移点(Tg)よりも低い温度で、凝集剤を混合物に加えてもよい。
【0056】
有機カチオン凝集剤の適切な例としては、例えば、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルピリジニウム、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0057】
凝集剤を、トナーを作成するために利用される混合物に、例えば、混合物中の樹脂の約0〜約10重量%、約0.2〜約8重量%、または約0.5〜約5重量%の量で加えてもよい。この量は、凝集させるのに十分な量の薬剤を与えるべきである。
【0058】
粒子を、所定の望ましい粒径が得られるまで凝集させてもよい。所定の望ましい粒径は、配合する前に決定される場合、得られるべき望ましい粒径を指し、このような粒径に到達するまで成長プロセス中でモニタリングされる粒径を指す。成長プロセス中にサンプルを採取し、例えば、Coulter Counterを用い、平均粒径を分析してもよい。したがって、凝集した粒子を得るために、撹拌を維持しつつ、高温に維持することによって、または、例えば、約40℃〜約100℃の温度までゆっくりと上げ、混合物をこの温度に約0.5時間〜約6時間、または約1〜約5時間維持することによって、凝集を進めてもよい。所定の望ましい粒径に到達したら、成長プロセスを止める。
【0059】
凝集剤を加えた後に、粒子の成長および成形は、任意の適切な条件下で行われてもよい。例えば、成長および成形は、凝集が融着とは別に起こるような条件で行われてもよい。別個の凝集段階および融着段階では、凝集プロセスは、剪断条件下、高温、例えば、約40℃〜約90℃、または約45℃〜約80℃で行われてもよく、この温度は、上述の樹脂のガラス転移点よりも低い温度であってもよい。
【0060】
トナー粒子の望ましい最終粒径に到達したら、塩基を用いて混合物のpHを約3〜約10、または約5〜約9の値になるまで調節してもよい。pHを調節することによって、トナーの成長を凍結させ、すなわち、止めてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、凝集した後で融着する前に、樹脂コーティングを凝集粒子に塗布し、粒子の上にシェルを作成してもよい。上述の任意の樹脂をシェルとして利用してもよい。いくつかの実施形態では、上述のような生物由来のポリエステルアモルファス樹脂ラテックスが、シェルに含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、上述のポリエステルアモルファス樹脂ラテックスを異なる樹脂と合わせてもよく、次いで、樹脂コーティングとして粒子に加え、シェルを作成してもよい。
【0062】
シェル樹脂を当業者の技術の範囲内にある任意の方法によって凝集粒子に塗布してもよい。いくつかの実施形態では、シェルを作成するために利用される樹脂は、上述の任意の界面活性剤を含むエマルションであってもよい。樹脂を含むエマルションを、シェルが凝集粒子の上に形成されるように、上述の凝集粒子と合わせてもよい。
【0063】
凝集粒子の上にシェルを形成することは、約30℃〜約80℃、または約35℃〜約70℃の温度まで加熱しながら行ってもよい。シェルの形成は、約5分間〜約10時間、または約10分間〜約5時間行われてもよい。
【0064】
望ましい粒径になるまで凝集させ、任意要素の任意のシェルを塗布した後、次いで、粒子を望ましい最終形状になるまで融着させてもよく、融着は、例えば、混合物を、約45℃〜約100℃、または約55℃〜約99℃の温度(この温度は、トナー粒子を作成するために利用される樹脂のガラス転移点であってもよく、ガラス転移点より高い温度であってもよい)まで加熱し、および/または撹拌を例えば約1000rpm〜約100rpm、または約200rpm〜約800rpmまで遅くすることによって達成されてもよい。融着は、約5〜8、または約6〜7のpHで行われてもよい。融着は、約0.01〜約9時間、または約0.1〜約4時間行われてもよい。
【0065】
凝集および/または融着の後、混合物を、室温、例えば、約20℃〜約25℃まで冷却してもよい。冷却した後、トナー粒子を、場合により、水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、トナー粒子は、所望な場合、または必要な場合、他の任意要素の添加剤も含んでいてもよい。例えば、トナーは、正電荷または負電荷の制御剤を、例えば、トナーの約0.1〜約10重量%、例えば、約1〜約3重量%の量で含んでいてもよい。
【0067】
また、流動補助添加剤を含む配合の後に、トナー粒子に外部添加剤粒子を混合してもよく、この場合、添加剤は、トナー粒子表面に存在していてもよい。
【0068】
押出プロセスによって、BIOREZ(商標)AIR−64−116をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)およびNaOHで乳化。
【0069】
約88グラムのBIOREZ(商標)AIR−64−116樹脂(Advanced Image Resourcesから市販されている)、約13.2グラムのSDBS、約1.76グラムの粉砕したNaOH粉末を250mLプラスチックビーカーに秤量した。この混合物を、スパテラを用いて約2分間混合した。この混合物を約16.7グラム/分の速度で押出機(Leistritz MICRO 18押出機)に供給した。押出機を、約120rpmのスクリュー速度、8セクションに分けた特殊なバレル温度プロフィール(冷却/130℃/130℃/130℃/125℃/99℃/99℃/99℃/99℃)、ダイプレートを用いて操作した。材料がスクリューを下に移動し、溶融するにつれて、6番目の注入口から、あらかじめ加熱しておいた脱イオン水を約15グラム/分の速度で押出機に注入した。押出機を出た生成物は、ラテックス流を含んでおり、小さなビーカーにこれを集め、穏やかに撹拌しながら所定量の脱イオン水で希釈した。製造したラテックスの粒径分布を図2に示している。
【0070】
押出プロセスによって、BIOREZ(商標)AIR−64−116をSDBSおよびピペラジンで乳化。
【0071】
上の実施例1で記載した約120グラムのBIOREZ(商標)AIR−64−116樹脂、約18グラムのSDBS、約2.4グラムの粉砕したピペラジン粉末を500mLプラスチックビーカーに秤量した。この混合物を、スパテラを用いて約2分間混合した。この混合物を約16.7グラム/分の速度で、実施例1に記載の押出機に供給した。押出機を、約120rpmのスクリュー速度、8セクションに分けた特殊なバレル温度プロフィール(冷却/130℃/140℃/140℃/140℃/99℃/99℃/99℃/99℃)、ダイプレートを用いて操作した。材料がスクリューを下に移動し、溶融するにつれて、6番目の注入口から、あらかじめ加熱しておいた脱イオン水を約15グラム/分の速度で押出機に注入した。押出機を出た生成物は、ラテックス流を含んでおり、小さなビーカーにこれを集め、穏やかに撹拌しながら所定量の脱イオン水で希釈した。製造したラテックスの粒径分布を図3に示している。
【0072】
押出プロセスによって、BIOREZ(商標)AIR−64−116をラウリル硫酸ナトリウム(SLS)およびNaOHで乳化。
【0073】
上の実施例1で記載した約120グラムのBIOREZ(商標)AIR−64−116樹脂、約18グラムのSLS、約2.4グラムの粉砕したNaOH粉末を500mLプラスチックビーカーに秤量した。この混合物を、スパテラを用いて約2分間混合した。この混合物を約16.7グラム/分の速度で、実施例1に記載の押出機に供給した。押出機を、約120rpmのスクリュー速度、8セクションに分けた特殊なバレル温度プロフィール(冷却/130℃/140℃/140℃/135℃/109℃/109℃/109℃/109℃)、ダイプレートを用いて操作した。材料がスクリューを下に移動し、溶融するにつれて、6番目の注入口から、あらかじめ加熱しておいた脱イオン水を約15グラム/分の速度で押出機に注入した。押出機を出た生成物は、ラテックス流を含んでおり、小さなビーカーにこれを集め、穏やかに撹拌しながら所定量の脱イオン水で希釈した。製造したラテックスの粒径分布を図4に示している。
【0074】
押出プロセスによって、BIOREZ(商標)AIR−64−116をラウリル硫酸ナトリウム(SLS)およびピペラジンで乳化。
【0075】
上の実施例1で記載した約240グラムのBIOREZ(商標)AIR−64−116樹脂、約36グラムのSLS、約4.8グラムの粉砕したピペラジン粉末を500mLプラスチックビーカーに秤量した。この混合物を、スパテラを用いて約2分間混合した。この混合物を約25グラム/分の速度で、実施例1に記載の押出機に供給した。押出機を、約120rpmのスクリュー速度、8セクションに分けた特殊なバレル温度プロフィール(冷却/130℃/140℃/140℃/135℃/99℃/99℃/99℃/99℃)、ダイプレートを用いて操作した。材料がスクリューを下に移動し、溶融するにつれて、3番目および6番目の注入口から、あらかじめ加熱しておいた脱イオン水をそれぞれ約10グラム/分および約25グラム/分の速度で押出機に注入した。押出機を出た生成物は、ラテックス流を含んでおり、小さなビーカーにこれを集め、穏やかに撹拌しながら所定量の脱イオン水で希釈した。約250グラムのエマルションが生成した。製造したラテックスの粒径分布を図5に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの生物由来のアモルファスポリエステル樹脂と、任意要素の可塑剤とを接触させ、あらかじめ混合した混合物を作成することと、
前記混合した混合物を中和剤で中和することと、
前記混合した混合物と界面活性剤とを接触させることと、
前記混合した混合物を溶融混合することと、
前記溶融混合した混合物と脱イオン水とを接触させ、ラテックスを含む水中油エマルションを作成することと、
前記ラテックスを回収することとを含む、プロセス。
【請求項2】
前記生物由来のポリエステル樹脂が、天然トリグリセリド植物油、フェノール系植物油、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料から少なくとも部分的に誘導される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記生物由来のアモルファスポリエステル樹脂が、脂肪族ダイマージオール、脂肪族ダイマー二酸、D−イソソルビド、L−チロシン、グルタミン酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記生物由来のアモルファスポリエステル樹脂が、イソソルビドと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記中和剤が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、有機アミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される固体の中和剤を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルスルホネート、ジアルキルベンゼンアルキルスルホネート、アビエチン酸、アルキルジフェニルオキシドジスルホネート、分枝鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、臭化セチルピリジニウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記界面活性剤が水溶液である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記中和剤が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ピペラジン、トリス−ヒドロキシメチル−アミノメタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、少なくとも1つのポリエステル樹脂の約0.1重量%〜約5重量%の濃度で加えられ、前記中和剤が、前記エマルションのpHを約5〜約12まで上げる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ラテックス中の粒子が、約60nm〜約300nmの粒径を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
天然トリグリセリド植物油、フェノール系植物油、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料から少なくとも部分的に誘導される少なくとも1つの生物由来のアモルファスポリエステル樹脂と、任意要素の可塑剤とを、押出機の第1セクションで接触させ、樹脂混合物を作成することと、
前記押出機の第2セクションで、この樹脂混合物を、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ピペラジン、トリス−ヒドロキシメチルアミノメタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される中和剤で中和することと、
前記押出機中で、前記樹脂混合物と界面活性剤とを接触させることと、
前記押出機中で、前記樹脂混合物を溶融混合することと、
前記押出機中で、前記溶融混合した混合物と脱イオン水とを接触させ、前記ラテックスを含む水中油エマルションを作成することと、
前記ラテックスを前記押出機から回収することとを含む、プロセス。
【請求項10】
前記ラテックスと、任意要素の結晶性樹脂、着色剤、任意要素のワックスとを接触させ、第2の混合物を作成することと、
前記混合物を凝集させて粒子を作成することと、
前記混合物のpHを約3〜約10に調節し、前記粒子の成長を止めることと、
前記粒子を約5〜約8のpHで融着させ、トナー粒子を作成することと、
前記ラテックスを回収することとをさらに含む、請求項9に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−126898(P2012−126898A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259837(P2011−259837)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】