説明

溶存気体含有量測定装置のセンサー洗浄装置

【課題】 液体中の溶存ガス測定装置のガスセンサーを簡単な操作で洗浄することのできる溶存気体含有量測定装置の洗浄装置を提供する。
【解決手段】 溶存気体含有量測定装置は液体を採取するノズルと、採取された液体中の溶存ガス濃度を測定するガスセンサーと、採取した液体を前記ガスセンサーに導き、測定後の液体を排出する液体通路を備える。洗浄装置30はノズル4が挿入され、頂部に形成されたノズル挿入穴31aと、洗浄水が導入される導入口31bを上部に有する洗浄容器31と、前記導入口より洗浄液を供給する手段32を備える。洗浄に際しては、ノズル4を洗浄容器31内に挿入し、導入口31bより洗浄水を供給する。洗浄水はノズル4の下端よりノズル内に導入され、溶存ガス測定装置の液体採取通路に導かれ排出される。洗浄水が液体採取s通路を通過する過程で通路及びガスデンサーが洗浄される。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、容器内の液体を採取して液体中の溶存酸素などの溶存ガス量測定する溶存ガス測定装置のセンサー洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビール、発泡酒、日本酒、ワインなどのアルコール飲料や緑茶、紅茶などの茶類飲料は、製造時(容器への充填工程を含む)に。これらの飲料に混入する空気(酸素)により、時間経過に伴って酸化が進行し、飲料の持つ香味を徐々に劣化させる。
【0003】
この酸化を防止するために、飲料製造工程中において空気の混入を防止するために様々な対策がなされており、また、これら対策が十分機能しているか否かを確認するために飲料中の溶存酸素量を確認(酸素濃度の測定)することが行われている。
【0004】
図1は飲料中の溶存酸素を測定する測定装置の一例を示す概略構成図であり、この溶存酸素測定装置1は、検査される容器2内の飲料3を採取するノズル4を備え、ノズル4によって採取された飲料はホース5を経て検出部6に送られる。
検出部6は酸素センサ8を有し、採取されて送られた飲料は酸素ガスセンサ8に送られ、ホース9を通して流量計10を経由して排出口11より排出されるように構成される。酸素センサ8で測定された測定値は、それぞれ表示部12に表示されるようにしている。
【0005】
溶存酸素測定装置1は、また、容器2内の飲料3をノズル4により採取するため、容器2内に圧送ガスとして使用する炭酸ガス又は窒素ガスを供給するためのガスボンベ13を備える。ガスボンベ13からの炭酸ガスはホース14により圧送用ガス入口15に送られる。
【0006】
上記構成により、ガスボンベ13よりホース14、圧送ガス入口15に送られる炭酸ガスは容器2内に導入され、容器2内を加圧して容器2内の飲料3をノズル4、ホース5を通して検出部6に送出する。
【0007】
図2は、図1におけるノズル4の支持部の具体的構成を示す図である。図2(a)は容器2にノズルを挿入する前の状態を、図2(b)は容器2内にノズルを挿入した状態を示す。ノズル4はは架台20に設けられた取付部21に上下方向に移動可能に支持されたノズル組立体22に支持されている。ノズル4は、また、ノズル組立体22に対して上下に移動可能なノズル操作部4aに取り付けられており、このノズル操作部4aを把持してノズルを上下動させることができる。
【0008】
また、ノズル組立体22は下端部にカッター支持部23を備える。カッター支持部23は架台20に対し上下昇降可能とされ、ハンドル付きレバー24の回動操作により上下に昇降できるようにされている。図3は図2における円C部の部分拡大図であり、カッター支持部23の詳細を示す。図3(a)は図2(a)の状態に、図3(b)は図2(b)の状態に対応する。カッター支持部23は基部25とその下部に取り付けられたカッター26とカッター26のを覆うようにして設けられた円筒状のシール27からなる。カッター26は中空管状の刃部26aを有する。
【0009】
基部25の中央にはノズル4が貫通する貫通穴25a,25bが形成され、ノズル4が基部25及びカッター26の刃部26a内を出入り可能とされている。
【0010】
基部25の内部には空室25cが形成され、空室25cはガスガス入口を有し、この入口が図1に示される圧送用ガス入口15となる。
【0011】
図1及び図2に示される溶存酸素測定装置を使用する場合、図2(a)に示されるように検査されるべき容器2をノズル4の下方の所定位置に設置し、ハンドル付きレバー24を回動する。レバー24の回動操作によりカッター支持部23が下降し、容器2の王冠2aに当接し、さらに下降してカッター26の刃部26aが王冠2aを貫通して穴をあける。この状態でノズル操作部4aを下方に移動させることによりノズル4を容器2内に挿入する。
【0012】
容器2内にノズル4が挿入されると、図1にて説明したように、圧送ガスをホース14を通して圧送ガス入口15に送る。供給されたガスは、図3に示した基部25の空室25cを経てカッターの刃部26aとノズル4の間の空隙を通して容器2内に導入される。容器2内の飲料3はガスにより圧送されて前述のように検出部6に送られ酸素センサ8により飲料中の酸素濃度が測定される。
【0013】
なお、測定装置は使用するセンサーを変更することにより他のガス(例えば、炭酸ガス、窒素ガス等)の溶存量も測定することができる。したがって、正確な名称として溶存酸素量測定装置よりも溶存気体含有量測定装置が適している。
【0014】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、上記構成の溶存酸素測定装置1を使用してサンプリングされた検査対象の容器内の飲料中の溶存酸素濃度を測定する場合、測定精度を保つために、定期的に、あるいは検査対象の容器が変わる毎に、飲料の容器内からサンプリングされる飲料の通路や通路経路に設けられる炭酸ガスセンサ又は窒素センサ7や酸素センサー8を洗浄する必要がある。
【0015】
従来、これらのセンサーを洗浄する場合、予め用意した洗浄液を収容した容器を使用し、前述の容器内の飲料中の溶存酸素濃度を測定する方法と同様な方法で洗浄液を検出部6に送り、サンプル排出口11より排出させることによりセンサやサンプリング通路を洗浄する方法が採用されていた。
【0016】
しかしながら、従来の洗浄方法は、洗浄用に別の容器を用意する必要があり、洗浄する際には、実際に測定するときと同様に圧送ガスを容器に供給する必要があり、操作に手間がかかるといった問題がある。
【0017】
本考案は、これらの問題点に鑑み、洗浄作業が容易で装置がきわめて簡単な溶存気体含有量測定装置の洗浄装置を提供することを課題としてなされたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本考案の以下の手段により達成される。
【0019】
請求項1の考案溶存ガス測定装置のセンサー洗浄装置は、液体を採取するノズルと、採取された液体中の溶存ガス濃度を測定するガスセンサーと、採取した液体を前記ガスセンサーに導き、測定後の液体を排出する液体通路を備える溶存ガス測定装置におけるのガスセンサーの洗浄装置であって、 前記ノズルが挿入され、頂部に形成されたノズル挿入穴と、洗浄水が導入される導入口を上部に有する洗浄容器と、 前記導入口より洗浄液を供給する手段を備えた構成である。
【0020】
本考案の洗浄装置の使用に際しては、洗浄容器の上部穴よりノズルを洗浄容器内に挿入し、容器の上部に形成された洗浄水導入口より洗浄水を供給する。上部より供給された洗浄水は洗浄容器内部の底部近くまで挿入されたノズルの下端よりノズル内に導入され、センサーに向かう液体通路をとおり、排出口より排出される。洗浄水が液体通路を通過する過程で通路及びガスセンサーの洗浄が行われる。
【0021】
請求項2の考案の溶存ガス測定装置のセンサー洗浄装置は、請求項1に記載の溶存ガス測定装置のセンサー洗浄装置において、前記容器の底部には洗浄水排出用の小孔が形成されたことを特徴とする。
【0022】
請求項3の考案は、請求項1又は請求項2に記載の溶存ガス測定装置のセンサー洗浄装置において、前記ガスセンサは酸素測定用のセンサーである溶存ガス測定装置のセンサー洗浄装置である。
【0023】
【考案の実施の形態】
以下、本考案をより詳細に説明するために実施例を図面に基づいて説明する。
【0024】
なお、ここでは、溶存ガス測定装置として図1に示した溶存酸素測定装置を例として説明するが、本考案は溶存酸素測定装置に限らず、他の種類のガス測定装置の洗浄装置に適用することができる。
【0025】
図4は本考案の実施例に係る溶存酸素測定装置の洗浄装置30を示す。
【0026】
洗浄装置30は、洗浄容器31と、洗浄容器31に洗浄水を供給する洗浄水供給管32から構成される。
【0027】
洗浄容器31は上部に溶存酸素測定装置1のカッターの刃部26aが挿通することのできるノズル挿入穴31aと、洗浄水を洗浄容器31内導入する開口部31bを有する。開口部31bの洗浄容器外側には管を接続するためのソケット31cが取り付けられている。洗浄容器31の底部には小孔31が形成され、使用時にはこの小孔より洗浄水が噴射されて、測定時にサンプル容器を設置するサンプル置台を洗浄するために用いられ、使用後は容器31内に残る水抜き孔として使用される。
【0028】
ソケット31cには洗浄水供給管32が連結具32aにより連結される。洗浄水供給管32は洗浄水供給源(図示せず)に接続され、管路の途中には開閉バルブ32b、流量調節弁32cが設けられている。なお、洗浄水源は洗浄水供給管32に所定の水圧で洗浄水を供給可能なものであればよい。
【0029】
洗浄容器31は支持アーム33により支持され、支持アーム33は支柱34に取り付けられた取付管35に固定され、取付管35はばねにより上方に付勢されて摺動自在に支持されている。これにより、不使用時には洗浄位置(溶存酸素測定時にはサンプル容器の設置位置となる)から離れた位置にあり、使用時にはばねに抗して洗浄容器31を回動させて前記洗浄位置に持ち来すように構成されている。なお、図示されていないが、容器31を洗浄位置でロックする手段を設けると洗浄操作が容易となる。
【0030】
上記洗浄装置30の使用に際しては、溶存酸素測定装置1のノズル下方に洗浄容器31を配置し、測定時と同様に、カッター支持部23を下降し、洗浄容器31の上部に円筒状シール27を当接させるとともに、カッターの刃部26aをノズル挿入穴31a内に挿入し、更に、ノズル4を洗浄容器31内に下端部が洗浄容器31の底部近くまで位置するように挿入する。この状態で、開閉バルブ32bを開け、流量調節弁32cを調節して適宜の流量として洗浄水を洗浄容器31内に供給する。洗浄容器31内に導入された洗浄水はノズル4の下端よりノズル4内に導入され、図1で示すホース5を経て検出部6に送られ、排出口11より排出される。洗浄水が検出部6を通過する過程で、酸素センサー8とサンプル液の通路であるホース5及びホース9を洗浄する。
【0031】
洗浄水を洗浄容器31内に供給している際、洗浄容器31の頂部のノズル挿入穴31aはシール27により覆われるため、穴31aより外部に飛散することはない。
【0032】
本実施例の洗浄装置30は、洗浄容器31内に洗浄水を供給するだけの簡単な操作で測定装置のサンプル液通路と各センサーを洗浄することが可能となる。
【0033】
【考案の効果】
本考案によれば、洗浄容器とこれに洗浄水を供給する手段を設けた簡単な構成により洗浄装置を構成ができ、また、溶存酸素測定装置の洗浄を簡単な操作で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】飲料中の溶存酸素測定測定装置の概略構成図を示す図である。
【図2】溶存酸素測定装置の使用状態を説明する図である。(a)はノズル挿入前の状態を、(b)はノズルを挿入した状態を示す。
【図3】容器に挿入されるノズル部分の部分拡大図である。(a)はノズル挿入前の状態を、(b)はノズル挿入後の状態を示す。
【図4】本考案による洗浄装置を示す図である。
【符号の説明】
1 溶存酸素測定装置
4 ノズル
26 カッター
26a 刃部
30 洗浄装置
31 洗浄容器
31a ノズル挿入穴
31b 洗浄水導入口
31c ソケット
31d 小孔
32 洗浄水供給管

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 液体を採取するノズルと、採取された液体中の溶存気体含有量を測定する気体センサーと、採取した液体を前記気体センサーに導き、測定後の液体を排出する液体通路を備える溶存気体含有量測定装置におけるの気体センサーの洗浄装置であって、頂部に形成され前記ノズルを挿入するためのノズル挿入穴と、加圧された洗浄水が導入される導入口を上部に有する洗浄容器と、前記導入口より加圧洗浄液を供給する手段を備えた溶存気体含有量測定装置のセンサー洗浄装置。
【請求項2】 前記容器の底部には洗浄水排出用の小孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の溶存ガス測定装置のセンサー洗浄装置。
【請求項3】 前記容器は、支持アームを介して固定された支柱に回動自在に支持されており、少なくとも前記容器が前記測定装置の前記センサーの洗浄位置と該洗浄位置から離れた位置とを取り得るようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶存気体含有量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】実用新案登録第3077879号(U3077879)
【登録日】平成13年3月14日(2001.3.14)
【発行日】平成13年6月8日(2001.6.8)
【考案の名称】溶存気体含有量測定装置のセンサー洗浄装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2000−8313(U2000−8313)
【出願日】平成12年11月22日(2000.11.22)
【出願人】(000002196)サッポロビール株式会社 (7)