説明

溶射装置

【課題】ワークを外側から把持せずに簡単に位置決めできる上に、溶射中風圧により動くことがないように、ワークを確実に固定することができる溶射装置を提供する。
【解決手段】ターンテーブル2に、ワークWを支持するワーク支持具26A〜26Dを回転自在に支持する。ターンテーブルの回転中心軸線Oに沿って昇降する昇降台32を設けて、この昇降台の上にワーク位置決め装置を取り付ける。ワーク位置決め装置は、ワーク支持具26A〜26Dの支持台21A〜21Dの上にそれぞれ載せられたワーク相互間に介在するように設けられた位置決めブロック33AB,33BC,33CD,33DAを備えていて、位置決めブロック33AB,33BC,33CD,33DAのそれぞれに設けられたワーク位置決め部が各位置決めブロックの両側のワークWの外周面に接触させることにより各ワークの中心軸線をワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させるように位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒面状の外周面を有する扁平なワークに溶射を施すのに好適な溶射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外で使用される金属製品に自然環境に対する耐性を持たせるために、製品の外面に溶射により保護皮膜を形成することが行なわれている。例えば、柱上変圧器のケースにおいては、円筒状に形成されたケース本体とその上端の開口部を閉じるカバーとに、亜鉛とアルミニウムとを溶射して保護被覆を形成している。
【0003】
ワークに対して溶射を行なう際には多量の粉塵が発生するため、溶射作業は密閉されたブース内で行なわれる。ワークへの溶射が完了した直後はブース内に多量の粉塵が舞っているため、作業者は、溶射が完了した後すぐにブースに入ることはできず、溶射が完了した後、ブース内でワークの搬出と新たなワークのセットとを行なうまでの間には、相当の待ち時間をおく必要がある。そのため、溶射の作業能率を向上させるためには、一度に複数のワークを溶射装置にセットし得るようにしておいて、ブース内の粉塵がおさまるまでの待ち時間が、実際に溶射を行なう時間と待ち時間とを含む全溶射作業時間に対して占める割合を少なくしておくことが望ましい。
【0004】
複数のワークをセットし得るようにした溶射装置として、特許文献1に示されたものが知られている。特許文献1に示された溶射装置は、ターンテーブルと、該ターンテーブルに回転自在に支持された複数のワーク支持具とを備えている。各ワーク支持具は、チャックを備えていて、このチャックでワークを外側から把持することにより各ワークの固定と位置決めとを行なうようになっている。
【0005】
特許文献1に示された溶射装置では、ターンテーブルの回転により、複数のワーク支持具を順次溶射ステーションに移動させ、溶射ステーションに移動させられたワーク支持具に支持されたワークに対して、溶射ロボットにより溶射を施すようにしている。
【特許文献1】特開平6−277971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
柱上変圧器用ケースのカバーに保護被覆を生成する際には、その上面だけでなく、外周面及び内周面の外周寄りの部分(パッキンが取り付けられる部分)にも溶射を施す必要がある。このようなワークに溶射を施す場合には、特許文献1に示されているように、ワークをチャックにより外側から把持する方法を採用することはできない。ワークをチャックにより外側から把持するようにした場合には、ワークの外周面の内、チャックにより把持されている部分に溶射皮膜を形成することができないため、ワークの外周に保護被覆が形成されない部分が生じてしまう。
【0007】
そこで、変圧器用ケースのカバーのようなワークに溶射を施す場合に、ワークの下面の中央部付近にのみ接する支持台をワーク支持具に設けて、該支持台の上にワークを載せて支持することが考えられる。しかしながら、このように構成した場合には、ワークをセットする際にワークの回転中心とワーク支持具の回転中心とを簡単に合わせることができないため、溶射ステーションでワーク支持具を回転させた際にワークが偏心した状態で回転し、溶射皮膜をきれいに形成することができなくなることがある。ワークの偏心回転を防止するために、作業者がワークをセットする際に、目測でワークの中心とワーク支持具の回転中心とを合わせることも考えられるが、そのようにした場合には、ワークをワーク支持具にセットする際に時間がかかるため、作業能率が低下する。またワークを支持台の上に正しくセットできたとしても、単にワークを支持台の上に載せただけでは、溶射の際に生じる風圧によりワークが動くおそれがあり、好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、ワークを外側から把持せずにワークの位置決めを簡単に行なうことができるようにするとともに、溶射中ワークが風圧により動くことがないように、ワークを確実に固定することができるようにした溶射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、回転中心軸線を垂直方向に向けて支持されたターンテーブルと、前記ターンテーブルの回転中心軸線の回りに等角度間隔で配置されて回転中心軸線を垂直方向に向けた状態で前記ターンテーブルに回転自在に支持されたn個(nは2以上の整数)のワーク支持具と、ワーク支持具を回転させる回転駆動装置と、n個のワーク支持具を順次溶射ステーションに移動させるべくターンテーブルを回転駆動するターンテーブル駆動機構と、溶射ステーションに移動させられたワーク支持具に支持されたワークに溶射を施すために溶射ステーションに配置された溶射ガンとを備えて、n個のワーク支持具のそれぞれに円筒面状の外周面を有するワークを支持して各ワークに溶射を施す溶射装置を対象とする。
【0010】
本発明においては、ターンテーブルの回転中心軸線に沿って昇降し得るように設けられた昇降台と、該昇降台の上面に取り付けられたワーク位置決め装置とが設けられる。
【0011】
また本発明においては、各ワーク支持具が、ターンテーブルに回転自在に支持された回転軸の上端に取り付けられて1つのワークが載せられる支持台と、該支持台の上に載せられたワークを吸引して該支持台に対して固定する固定動作と該ワークを固定状態から開放する開放動作とを行なうワーク固定手段とを備えていて、ターンテーブルの上面よりも高い位置でワークを支持するように構成される。
【0012】
上記昇降台は、n個のワーク支持具にそれぞれ設けられたn個の支持台にそれぞれ載せられたn個のワークに下方から接近した状態になる位置決め作用位置とn個のワーク支持具の下方に設定された退避位置との間を昇降し得るように設けられる。
【0013】
またワーク位置決め装置は、各ワーク支持具に対応するワーク位置決め部を有して、昇降台が位置決め作用位置にあるときにワーク位置決め部が対応するワーク支持具の支持台の上に載せられたワークに接触して該ワークの中心軸線を対応するワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させるように構成されている。
【0014】
上記のように構成すると、ワークをワーク支持具の支持台の上に載せる際に、ワークをワーク位置決め装置のワーク位置決め部に接触させるだけでワークの中心軸線をワーク支持具の回転中心軸線にほぼ合わせることができるため、ワークのセットを能率よく行なうことができる。また各ワーク支持具には、支持台の上に載せられたワークを吸引して支持台に対して固定するワーク固定手段が設けられているため、溶射を行なう際には、ワークを支持台に対して強固に固定して、ワークが風圧により動いて溶射不良が生じるのを防ぐことができる。
【0015】
上記の構成では、複数のワーク支持具がターンテーブルに支持されているとしたが、等角度間隔で配置されて回転中心軸線を垂直方向に向けた状態で支持フレームに回転自在に支持されたn個(nは2以上の整数)のワーク支持具と、各ワーク支持具を回転させる回転駆動装置と、各ワーク支持具に支持されたワークに溶射を施す際に各ワーク支持具に相応する位置に移動させられる溶射ガンとを備えて、n個のワーク支持具のそれぞれに円筒面状の外周面を有するワークを支持して各ワークに溶射を施す溶射装置にも本発明を適用することができる。
【0016】
この場合には、昇降台と、昇降台の上面に取り付けられたワーク位置決め装置とが設けられるが、昇降台は支持フレームに昇降自在に支持される。
【0017】
また各ワーク支持具は、支持フレームに回転自在に支持された回転軸の上端に取り付けられて1つのワークが載せられる支持台と、該支持台の上に載せられたワークを吸引して支持台に対して固定する固定動作と該ワークを固定状態から開放する開放動作とを行なうワーク固定手段とを備えて、支持フレームよりも高い位置でワークを支持するように構成される。
【0018】
また昇降台は、n個のワーク支持具にそれぞれ設けられたn個の支持台にそれぞれ載せられたn個のワークに下方から接近した状態になる位置決め作用位置とn個のワーク支持具の下方に設定された退避位置との間を昇降し得るように設けられ、ワーク位置決め装置は、各ワーク支持具に対応するワーク位置決め部を有して、昇降台が位置決め作用位置にあるときにワーク位置決め部が対応するワーク支持具の支持台の上に載せられたワークに接触して該ワークの中心軸線を対応するワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させるように構成されている。
【0019】
本発明の好ましい態様では、ワーク位置決め装置のワーク位置決め部が、対応するワーク支持具の支持台の上のワークの外周面に少なくとも2カ所で点接触または線接触して該ワークを位置決めするように設けられる。
【0020】
本発明の他の好ましい態様では、ワーク位置決め装置のワーク位置決め部が、対応するワーク支持具の支持台の上のワークの外周面に面接触して該ワークを位置決めするように設けられる。
【0021】
本発明の好ましい態様では、上記ワーク位置決め装置が、n個のワーク支持具の支持台の上にそれぞれ載せられたn個のワーク相互間に介在するように設けられた位置決めブロックを備えていて、各位置決めブロックがその両側のワークの外周に接するワーク位置決め部を有している。
【0022】
上記のように位置決めブロックを設ける場合、各位置決めブロックは、昇降台の上に着脱可能な状態で取り付けるのが好ましい。
【0023】
このように構成しておくと、位置決めブロックを交換することにより、種々の外径を有するワークに対応することができる。
【0024】
上記ワーク固定手段としては、真空力を利用してワークの下面を吸引する真空吸引パッドを用いることができる。またワークが強磁性材料により構成される場合には、ワーク固定手段として、ワークを支持台に対して固定する際にワークに磁気吸引力を作用させるように設けられた磁石を用いることができる。
【0025】
本発明は、円筒面状の外周面を有する扁平なワーク(例えば柱上変圧器ケースのカバー)に溶射を施す場合に特に有用であるが、必ずしも扁平なワークを溶射する場合に限定されるものではなく、円筒面上の外周面を有して、溶射を行なう際に支持具の上に支持した状態で回転させる必要があるものをワーク(被加工物)とする場合に適用することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、ワークをワーク支持具の支持台の上に載せる際に、ワークをワーク位置決め装置のワーク位置決め部に接触させるだけでワークの中心をワーク支持具の回転中心に合わせることができるようにしたため、ワークのセットを能率よく行なうことができる。
【0027】
また本発明においては、支持台の上に載せられたワークを吸引して支持台に対して固定する吸引固定手段が各ワーク支持具に設けられているため、溶射を行なう際にワークを支持台に対して強固に固定して、ワークが風圧により動いて溶射不良が生じるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1ないし図5は本発明の実施形態を示したもので、図1は同実施形態における溶射装置の構成を示す上面図、図2は同溶射装置のワーク位置決め時の状態を示す正面図、図3は同溶射装置のワーク位置決め完了後の状態を示す正面図である。また図4は同溶射装置で用いるワーク支持具と該ワーク支持具に支持されたワークとを示した拡大断面図、図5は本実施形態で溶射を行なうワーク(被加工物)の断面図である。
【0029】
図5に示されたように、本実施形態の溶射装置で溶射を行なうワークWは、柱上変圧器のケースの上端の開口部を閉じるカバー(変圧器カバー)で、中央よりの部分が外側にふくらむように変形された円盤状の天井部Waと、天井部Waの外周部から下方に突出するように設けられた周壁部Wbとを一体に有している。このカバーに耐候性を持たせるためには、天井部Waの外面W1と、周壁部Wbの外周面W2及び内周面W3(パッキンの取付面)と、天井部Waの内面の外周寄りの部分W4と、外周面W2及びW3の境界部である周壁部の端面W5とに亜鉛・アルミニウム等の金属を溶射して耐食性を有する保護被覆Fを形成する必要がある。
【0030】
図1ないし図3において、1は固定フレーム、2は回転中心軸線O−Oを垂直方向に向けて固定フレーム1に回転自在に支持された円板状のターンテーブルである。図示の例では、固定フレーム1に主軸3が回転自在に支持され、主軸3の上方に主軸3と中心軸線を共有するように配置されたターンテーブル2が、支柱4を介して主軸3に固定されている。主軸3には歯車5が取り付けられ、固定フレーム1に取り付けられたターンテーブル駆動用サーボモータ6により減速機7を介して駆動される駆動歯車8が歯車5に噛み合わされている。歯車5と、サーボモータ6と、減速機7と、歯車8とによりターンテーブル駆動機構9が構成され、サーボモータ6の回転によりターンテーブル2が回転駆動される。
【0031】
ターンテーブル2の外周寄りの位置には、ターンテーブルの回転中心軸線の回りに等角度間隔(図示の例では90°間隔)で並ぶ4個の回転軸10Aないし10Dが、それぞれの回転中心軸線O′−O′を垂直方向に向けた状態で軸受装置11により回転自在に支持されている。各回転軸を支持する軸受装置11は、ターンテーブル2に下端が固定されたシリンダ12と、シリンダ12の上端及び下端の内側に保持された軸受13及び14とからなっている。回転軸10Aないし10Dはそれぞれに対して設けられた軸受装置11のシリンダ12を貫通した状態で配置されて、それぞれの軸受装置のシリンダ12内に保持された軸受13及び13′により回転自在に支持されている。溶射を行なう際に粉塵がシリンダ12の上端開口部から軸受け13,13′側に侵入するのを防ぐため、シリンダ12の上端部を僅かな隙間を介して覆う円筒状のカバー14が各回転軸に取り付けられている。
【0032】
回転軸10Aないし10Dのそれぞれの下端はターンテーブル2の下面側に導出されており、ターンテーブルの下面側に導出された回転軸10Aないし10Dのそれぞれの下端にはスプロットギア15が取り付けられている。回転軸10Aないし10Dのそれぞれに対して設けられたカバー回転用モータ16がターンテーブル2の下面の外周寄りの部分に固定され、回転軸10Aないし10Dのそれぞれに対して設けられたカバー回転用モータ16の出力軸に取り付けられたスプロケットギア17と、回転軸10Aないし10Dのそれぞれの下端に取り付けられたスプロケットギア15とがチェーン18を介して結合されている。
【0033】
図4に示されているように、回転軸10Aないし10Dの上端には、円筒状の周壁部20を有するカップ状の支持台21Aないし21Dが、それぞれの開口部を上方に向け、かつそれぞれの中心軸線を対応する回転軸の中心軸線O′−O′と一致させた状態で固定されている。支持台21Aないし21Dのそれぞれの周壁部20の内径は回転軸10Aないし10Dのそれぞれの外径よりも大きく設定され、各ワークWの天井部の中央寄りの部分を各支持台の上に載せることにより、各ワークWを支持台の上に保持し得るようになっている。
【0034】
回転軸10Aないし10Dの上端にはまた、支持台21Aないし21Dの内側に位置させた状態で真空吸引パッド22Aないし22Dが取り付けられている。各真空吸引パッドは、ゴム等の柔軟性を有する材料からなる吸盤を備えて、該吸盤の内側を真空引きすることにより対象物(本発明においてはワーク)を吸引する周知のものである。真空吸引パッド22Aないし22Dはそれぞれ、支持台21Aないし21Dの上にワークWが載せられた際に、ワークWの下面に接するように設けられている。真空吸引パッド22Aないし22Dは、回転軸10Aないし10Dのそれぞれの軸心部を貫通させて設けられた真空導入孔23に接続されている。
【0035】
回転軸10Aないし10Dのそれぞれの下端にはロータリシール24が取り付けられ、回転軸10Aないし10Dのそれぞれの軸心部に形成された真空導入孔23が、回転軸10Aないし10Dのそれぞれの下端に取り付けられたロータリシール24と管路25とを通して図示しない真空ポンプに接続されている。この例では、真空吸引パッド22Aないし22Dと、ロータリシール24と、図示しない真空ポンプとにより、ワークWを支持台側に吸引してワークWを支持台に対して固定した状態にする固定動作と、ワークを固定状態から開放する開放動作とを行なうワーク固定手段が構成されている。
【0036】
また支持台21Aないし21Dと、それぞれの支持台の内側に設けられた上記ワーク固定手段とにより、ターンテーブル2の回転中心軸線O−Oの回りに等角度間隔で配置されて回転中心軸線O′−O′を垂直方向に向けた状態でターンテーブルに回転自在に支持されたワーク支持具26Aないし26Dが構成されている。
【0037】
更にワーク支持具26Aないし26Dに対してそれぞれ設けられた回転軸10Aないし10Dと、これらの回転軸のそれぞれに対して設けられたワーク回転用モータ16、スプロケットギア15,17及びチェーン18とにより、ワーク支持具26Aないし26Dを回転させる回転駆動装置19が構成されている。
【0038】
なおロータリシール24は、回転軸10Aないし10Dの回転を許容しつつ、真空ポンプにつながる管路25と回転軸10Aないし10D内の真空導入孔23との接続部の気密を保持するるシール具であり、市販のものを入手し得る。
【0039】
ターンテーブル2にはまた、該ターンテーブルの回転中心軸線と平行な方向(垂直方向)に軸線を向けた複数の昇降軸30が軸受装置31を介して昇降自在に支持されている。複数の昇降軸30はターンテーブルの回転中心軸線O−Oの回りに等角度間隔で配置されていて、これらの昇降軸30の上端に昇降台32が取り付けられている。
【0040】
図示の昇降台32は回転軸10Aと回転軸10Bとの間及び回転軸10Bと回転軸10Cとの間にそれぞれ配置された腕部32AB及び32BCと、回転軸10Cと回転軸10Dとの間及び回転軸10Dと回転軸10Aとの間にそれぞれ配置された腕部32CD及び32DAとを備えた十字形の金属板からなっていて、腕部32AB,32BC,32CD及び32DAの上にそれぞれ位置決めブロック33AB,33BC,33CD及び33DAが取り付けられている。位置決めブロック33AB,33BC,33CD及び33DAは、直方体状のブロックからなっていて、それぞれを幅方向に2等分する垂直平面がターンテーブルの中心軸線を含むように配置されている。
【0041】
各位置決めブロックを昇降台32に着脱可能な状態で固定するため、各位置決めブロックに対して2本のピン34が設けられて、各位置決めブロックに対応するピン34が昇降台32の所定位置に固定され、各位置決めブロックに設けられたピン嵌合孔に対応するピン34が嵌合された状態で、各位置決めブロックが所定位置に固定されている。このような構造で位置決めブロックを取り付けるようにしておくと、位置決めブロックを簡単に交換することができるため、種々の外径を有するワークにそれぞれ対応する大きさの位置決めブロックを用意しておいて、ワークに応じて適合する位置決めブロックを昇降台に取り付けることにより、種々の寸法のワークに対応することができる。
【0042】
昇降台32は、ワーク支持具26Aないし26Dにそれぞれ設けられた支持台21Aないし21Dにそれぞれ載せられたワークWに下方から接近した状態になる位置決め作用位置(図2に示した位置)とワーク支持具の下方に設定された退避位置(図3に示した位置)との間を昇降し得るように設けられている。昇降台32の位置決め作用位置は、該昇降台の上に取り付けられた位置決めブロック33AB,33BC,33CD及び33DAがそれぞれの両側のワーク支持具の支持台に載せられたワークの外周面に接触し得る状態になる位置である。また昇降台32の退避位置は、位置決めブロック33AB,33BC,33CD及び33DAがワーク支持具26A,26B,26C及び26Dの上に支持されたワークの回転を妨げないようにワークよりも十分に下方に下がった状態になる位置である。
【0043】
本実施形態では、位置決めブロック33AB,33BC,33CD及び33DAによりワーク位置決め装置が構成されている。このワーク位置決め装置は、各ワーク支持具に対応するワーク位置決め部を有して、昇降台32が位置決め作用位置にあるときにワーク位置決め部が対応するワーク支持具の支持台の上に載せられたワークに当接して該ワークの中心軸線を対応するワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させるように構成されている。本実施形態では、各ワーク位置決め部が対応するワークの外周に線接触するように構成されているため、各ワークに対して2つのワーク位置決め部が設けられている。
【0044】
本実施形態では、昇降台32が位置決め作用位置にあるときに、位置決めブロック33AB,33BC,33CD及び33DAがワーク支持具26Aないし26Dの支持台21Aないし21Dの上にそれぞれ載せられたワーク相互間に介在するように設けられていて、各位置決めブロックの両側面にその両側のワークの外周に接するワーク位置決め部が設けられている。
【0045】
図示の例では、位置決めブロック33ABのワーク支持具26A側の先端角部及び位置決めブロック33DAのワーク支持具26A側の先端角部がそれぞれワーク支持具26Aの支持台21A上に載せられたワークWに対応するワーク位置決め部PA及びPA′を構成し、支持台21A上に載せられたワークWの外周面がワーク位置決め部PA及びPA′に線接触することにより支持台21A上のワークWの中心軸線がワーク支持具26Aの回転中心軸線にほぼ一致させられる。
【0046】
また位置決めブロック33BCのワーク支持具26B側の先端角部及び位置決めブロック33ABのワーク支持具26B側の先端角部がそれぞれワーク支持具26Bの支持台21B上に載せられたワークWに対応するワーク位置決め部PB及びPB′を構成しており、支持台21B上に載せられたワークWの外周面がワーク位置決め部PB及びPB′に線接触することにより支持台21B上のワークWの中心軸線がワーク支持具26Bの回転中心軸線にほぼ一致させられる。
【0047】
同様に、位置決めブロック33CDのワーク支持具26C側の先端角部及び位置決めブロック33BCのワーク支持具26C側の先端角部がそれぞれワーク支持具26Cの支持台21C上に載せられたワークWに対応するワーク位置決め部PC及びPC′を構成しており、位置決めブロック33DAのワーク支持具26D側の先端角部及び位置決めブロック33CDのワーク支持具26D側の先端角部がそれぞれワーク支持具26Dの支持台21D上に載せられたワークWに対応するワーク位置決め部PD及びPD′を構成している。
【0048】
なおワークWの寸法誤差により、上記のようにワークをワーク位置決め部に接触させてもワークの中心軸線とワーク支持具の回転中心軸線とを厳密に一致させることができないことがあるが、ワークWを回転させながら該ワークに対して溶射を施す際にワークWに生じる芯振れを許容範囲内に抑えるようにワークを位置決めできればよいので、ワークWの位置決めに多少の誤差が生じても差し支えはない。
【0049】
ターンテーブル2の下面中央部にエアシリンダ35が取り付けられてこのエアシリンダのピストンロッド35aがターンテーブル2の上面側に導出され、このピストンロッド35aと昇降台32との間が連結ロッド36により連結されている。この例では、エアシリンダ35と、連結ロッド36とにより、ワーク支持具26Aないし26Dにそれぞれ設けられた支持台の上に載せられたワークWに下方から接近した状態になる位置決め作用位置(図2に示された位置)とワーク支持具の下方に設定された退避位置(図3に示された位置)との間で、昇降台32の昇降動作を行なわせるように昇降台32を駆動する昇降台駆動機構が構成されている。
【0050】
ターンテーブル2の側方の特定位置には溶射ステーションSが設けられ、この溶射ステーションに溶射ガン40を備えた溶射ロボットが配置されている。溶射ロボットは、一連の溶射作業を自動的に行なうように、予め定められたプログラムに従って溶射ガン40の位置及び姿勢を制御する制御機構を備えた公知のもので、溶射ステーションに停止させられたワーク支持具に支持されたワークWの必要箇所に溶射ガン40から微粒子化された溶融金属を吹き付けることにより溶射を行なう。ワークWに耐食性の保護被覆を形成する場合には、例えば、亜鉛ワイヤとアルミニウムワイヤとを溶射ガン40に供給して両ワイヤの間にアークを発生させることにより両ワイヤを溶融させるとともに、アーク発生部にガスを供給することにより、亜鉛及びアルミニウムの溶融微粒子を発生させ、これらの微粒子をワークWに照射することにより、ワークWの表面に亜鉛・アルミニウム溶射被膜を形成する。
【0051】
本実施形態の溶射装置を用いて溶射を行なう際には、先ずエアシリンダ35を駆動して昇降台32を図2に示した位置決め作用位置まで上昇させる。次いでワーク支持具21Aないし21Dの支持台22Aないし22Dの上に天井部Waを上に向けたワークWを載せ、各ワークを対応する2つのワーク位置決め部に接触させることにより、各ワークの中心軸線を各ワークを支持するワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させる。
【0052】
上記のようにして各ワーク支持具にワークWを支持した後、真空吸引パッド22Aないし22Bを真空引きして各ワーク支持具の支持台の上に載せられているワークWを支持台に対して固定する。その後ターンテーブル駆動用サーボモータ6を制御してターンテーブル2を回転させ、ワークWを支持した1つのワーク支持具を溶射ステーションSに移動させて停止させる。
【0053】
次いで溶射ステーションに設置されている溶射ロボットを制御して、ワークWに対する溶射を行う。ワークWに溶射を施す際には、周方向に連続して溶射を行うのが好ましい箇所に対して溶射を行う過程でワーク回転用モータ16を駆動してワーク支持具を回転させることによりワークWを回転させる。図示のワークWに対して溶射を行う場合には、図5に示した天井部Waの外面W1の外周寄りの環状の領域(周壁部に近い環状領域)と周壁部Wbの外周面W2とに溶射を施す際、及び周壁部Wbの端面W5とパッキン取り付け面W3,W4とに溶射を施す際にモータ16を駆動してワークWを一方向に回転させる。ワークWの天井部Waの外面W1の残りの部分に溶射を施す際にはワークWを停止させて、溶射ガン40を走査することにより全面にむらなく溶射を行う。
【0054】
1つのワーク支持具に支持されワークに対する溶射が終了した後、ターンテーブル2を90°回転させて次のワーク支持具を溶射ステーションに移動させ、上記と同じようにしてワークWに対する溶射を行う。
【0055】
溶射が終了したワークWは、そのワークを支持台に対して固定している真空吸引パッドに対して与えられていた真空吸引力を除去することにより固定状態を開放した後、支持台の上から取り外して搬出する。
【0056】
各ワーク支持具へのワークのセット及び各ワーク支持具からのワークの取り外しと搬出は図示しない自動機械により行ってもよく、作業者が手作業により行ってもよい。
【0057】
上記の実施形態では、ターンテーブル2に4個のワーク支持具を取り付けたが、ターンテーブルに取り付けるワーク支持具の数は2以上で、かつターンテーブルの大きさとの関係で設置可能な数以下であればよく、ワーク支持具の数は上記の例に限定されない。
【0058】
ターンテーブルに取り付けられた各ワーク支持具の支持台の上に載せられるワークの中心軸線をワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させるためのワーク位置決め装置は、各ワーク支持具の支持台に載せられた各ワークと位置決めブロックとを少なくとも2箇所で線接触または点接触させるか、各ワークを位置決めブロックに少なくとも1箇所で面接触させるように位置決めブロックを設けることにより構成することができる。
【0059】
ターンテーブルに取り付けられるワーク支持具の数が4,3及び2の場合について、ワーク位置決め装置を構成する位置決めブロックの設け方を示す説明図をそれぞれ図6ないし図8に示した。図6はワーク支持具の数が4である場合の位置決めブロックの設け方を示したもので、前述の実施形態のように、ワークと線接触する矩形状の位置決めブロック33AB,33BC,33CD及び33DAを隣り合うワーク相互間に設けることにより各ワークの位置決めをする場合には、各位置決めブロックのワーク位置決め部相互間の距離dを下記の式により決めればよい。
d=c−2r (1)
ここで、cは隣り合うワーク支持具の回転中心軸線間の距離であり、rはワークの半径である。また図に破線で示したような台形状の位置決めブロック33AB′,33BC′,33CD′及び33DA′を用いて、隣り合うワーク支持具の回転中心軸線相互間を結ぶ直線に対して角度θをなす各ワークの半径と各ワークの外周との交点で位置決めブロックを各ワークに接触させるようにする場合には、各位置決めブロックのワーク位置決め部相互間の距離Xを下記の式により決めればよい。
b=r−a (2)
a=rcosθ (3)
X=d+2b
=d+2(r−rcosθ) (4)
【0060】
またワーク支持具の数が3である場合には、図7に示したように、ワークと線接触する矩形状の位置決めブロック33AB,33BC及び33CAを隣り合うワーク相互間に設けることにより各ワークの位置決めをすることができる。この場合も各位置決めブロックのワーク位置決め部相互間の距離dは(1)式により決めればよい。また図に破線で示したような台形状の位置決めブロック33AB′,33BC′及び,33CA′を用いて、隣り合うワーク支持具の回転中心軸線相互間を結ぶ直線に対して角度θをなす各ワークの半径と各ワークの外周との交点で位置決めブロックを各ワークに接触させるようにする場合には、各位置決めブロックのワーク位置決め部相互間の距離Xを(4)式により決めればよい。
【0061】
更にワーク支持具の数が2である場合には、図8に示したように、ワークと線接触する2個の台形状の位置決めブロック33′,33′を2つのワークWの間に配置して、各位置決めブロック33′を隣り合うワーク支持具の回転中心軸線相互間を結ぶ直線に対して角度θをなす各ワークの半径と各ワークの外周との交点で各ワークに接触させることにより、ワークの位置決めを行なうことができる。この場合も、各位置決めブロックのワーク位置決め部相互間の距離Xは(4)式により決めればよい。
【0062】
なお図6ないし図8においては、隣り合うワーク支持具の回転中心軸線相互間を結ぶ直線に対して角度θをなす各ワークの半径と各ワークの外周との交点で各ワークの外周面を位置決めブロックに線接触させる場合に、位置決めブロックの形状を台形状としたが、この場合に用いる位置決めブロックの形状は、隣り合うワーク支持具の回転中心軸線相互間を結ぶ直線に対して角度θをなす各ワークの半径と各ワークの外周との交点で各ワークの外周面に線接触する形状であればよく、台形状には限定されない。例えば矩形状の上面の短辺の長さがXに等しくなるように形成された直方体状の位置決めブロックを用いて、この位置決めブロックの一端側の角部を、隣り合うワーク支持具の回転中心軸線相互間を結ぶ直線に対して角度θをなす各ワークの半径と各ワークの外周との交点で、隣り合うワーク支持具の支持台上に載せられたワークWに接触させるようにしてもよい。
【0063】
またワークの外周に線接触する位置決めブロックとしては、例えば図9(A)に示したような俵状の輪郭形状を有するものを用いることもできる。
【0064】
上記の実施形態では、各位置決めブロックの位置決め部を対応するワークの外周に線接触させるとしたが、各位置決めブロックの位置決め部を対応するワークの外周に実質的に点接触させるように(針状の形状を呈するように)、各位置決め部を形成してもよい。
【0065】
上記の実施形態では、位置決め装置の位置決め部が2カ所でワークの外周に接触するように設けられているが、位置決め部をワークの外周に線接触または点接触させる場合、位置決め部は少なくとも2カ所でワークに接触するように設けられていればよく、例えば3カ所でワークの外周面に接触するように位置決め部を設けてもよい。
【0066】
上記の説明では、位置決め装置の位置決め部を少なくとも2カ所でワークの外周に接触させるとしたが、位置決め装置の位置決め部を、少なくとも1カ所でワークに面接触させることによりワークの中心軸線をワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させるようにしてもよい。ワークの外周に面接触する位置決めブロックとしては、例えば図9(B)に示したような鼓状の輪郭形状を有するものを用いることができる。
【0067】
上記の実施形態では、位置決めブロックのワーク位置決め部をワークWの外周面に接触させているが、ワーク位置決め部は、ワークの一部に接触してワークを位置決めするものであればよいので、例えば、ワークWの周壁部Wbの開口端を嵌合させる溝部または凹部をワーク位置決め部としたり、ワークWの周壁部Wbの内周面に接触してワークを位置決めするようにワーク位置決め部を設けたりすることもできる。
【0068】
上記の実施形態では、ワーク相互間に介在させる位置決めブロックを複数に分割して設けたが、複数の位置決めブロックを一体化したものに相当する1つの位置決めブロックを用いてもよい。また溶射を行なうワークの寸法が変更されることがない場合には、昇降台32の上面に位置決めブロックを一体に設けるようにしてもよい。
【0069】
上記の実施形態では、ワークWを各ワーク支持具の支持台に対して固定するワーク固定手段として真空吸引パッドを用いたが、真空吸引パッドに代えて、電磁石または永久磁石をワーク固定手段として用いることもできる。電磁石をワーク固定手段として用いる場合は、該電磁石を支持台の内側に配置して支持台の上に載せられたワークに対向し得るようにしておく。
【0070】
またワーク固定手段を永久磁石により構成する場合には、例えば図2において、回転軸10Aないし10Bの軸心部をスライド自在に貫通した磁石支持軸を設けて、この磁石支持軸の上端に永久磁石を取り付け、磁石支持軸を上下させることにより、支持台上のワークWを支持台に対して固定するのに十分な磁気吸引力をワークに与えることができる程度までワークに接近した状態になるワーク吸引位置と、ワークWを支持台から容易に持ち上げることができる程度まで支持台上のワークに作用する磁気吸引力を弱めるように、支持台上のワークから十分に離れた状態になる退避位置とに、永久磁石を変位させ得るようにすればよい。
【0071】
上記の実施形態では、複数のワーク支持具をターンテーブルに回転自在に支持するとしたが、複数のワーク支持具をそれぞれ固定された部材に回転自在に支持して、溶射ガンを備えた溶射ロボットを各ワーク支持具の位置まで移動させることにより、各ワーク支持具に支持されたワークに溶射を施すようにしてもよい。
【0072】
この場合は、図1において、ターンテーブル2を固定の支持フレームで置き換え、溶射ガン40を備えた溶射ロボット側をターンテーブル2の外周に沿って溶射を行なうワークが支持されたワーク支持具の位置まで移動させるようにすればよい。
【0073】
即ち、本発明は、等角度間隔で配置されて回転中心軸線を垂直方向に向けた状態で支持フレーム(図1のターンテーブル2を固定部材としたものに相当)に回転自在に支持されたn個(nは2以上の整数)のワーク支持具と、各ワーク支持具を回転させる回転駆動装置と、各ワーク支持具に支持されたワークに溶射を施す際に各ワーク支持具に相応する位置に移動させられる溶射ガンとを備えて、n個のワーク支持具のそれぞれに円筒面状の外周面を有するワークを支持して各ワークに溶射を施す溶射装置にも適用することができる。
【0074】
この場合も、支持フレームに昇降自在に支持された昇降台と、昇降台の上面に取り付けられたワーク位置決め装置とが設けられ、各ワーク支持具は、支持フレームに回転自在に支持された回転軸の上端に取り付けられて1つのワークが載せられる支持台と、該支持台の上に載せられたワークを吸引して該支持台に対して固定する固定動作と該ワークを固定状態から開放する開放動作とを行なうワーク固定手段とを備えて、支持フレームよりも高い位置でワークを支持するように構成される。また昇降台は、n個のワーク支持具にそれぞれ設けられたn個の支持台にそれぞれ載せられたn個のワークに下方から接近した状態になる位置決め作用位置とn個のワーク支持具の下方に設定された退避位置との間を昇降し得るように設けられ、ワーク位置決め装置は、各ワーク支持具に対応するワーク位置決め部を有して、昇降台が位置決め作用位置にあるときにワーク位置決め部が対応するワーク支持具の支持台の上に載せられたワークに接触して該ワークの中心軸線を対応するワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態の溶射装置の構成を示す上面図である。
【図2】同溶射装置のワーク位置決め時の状態を示す正面図である。
【図3】同溶射装置のワーク位置決め完了後の状態を示す正面図である。
【図4】同溶射装置で用いるワーク支持具と該ワーク支持具に支持されたワークとを示した拡大断面図である。
【図5】本発明に係わる溶射装置で溶射を行なうワーク(被加工物)の一例を示した断面図である。
【図6】本発明に係わる溶射装置において、ターンテーブルに取り付けられるワーク支持具の数が4である場合について、ワーク位置決め装置を構成する位置決めブロックの設け方を示した説明図である。
【図7】本発明に係わる溶射装置において、ターンテーブルに取り付けられるワーク支持具の数が3である場合について、ワーク位置決め装置を構成する位置決めブロックの設け方を示した説明図である。
【図8】本発明に係わる溶射装置において、ターンテーブルに取り付けられるワーク支持具の数が2である場合について、ワーク位置決め装置を構成する位置決めブロックの設け方を示した説明図である。
【図9】(A)及び(B)はそれぞれ本発明に係わる溶射装置において用いることができる位置決めブロックの異なる変形例を示した上面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 固定フレーム
2 ターンテーブル
3 主軸
6 ターンテーブル駆動用サーボモータ
9 ターンテーブル駆動機構
10Aないし10D 回転軸
16 カバー回転用モータ
19 回転駆動装置
21Aないし21D 支持台
22Aないし22D 真空吸引パッド
26Aないし26D ワーク支持具
32 昇降台
33AB,33BC,33CD及び33DA 位置決めブロック
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心軸線を垂直方向に向けて支持されたターンテーブルと、前記ターンテーブルの回転中心軸線の回りに等角度間隔で配置されて回転中心軸線を垂直方向に向けた状態で前記ターンテーブルに回転自在に支持されたn個(nは2以上の整数)のワーク支持具と、前記ワーク支持具を回転させる回転駆動装置と、前記n個のワーク支持具を順次溶射ステーションに移動させるべく前記ターンテーブルを回転駆動するターンテーブル駆動機構と、前記溶射ステーションに移動させられたワーク支持具に支持されたワークに溶射を施すために前記溶射ステーションに配置された溶射ガンとを備え、前記n個のワーク支持具のそれぞれに円筒面状の外周面を有するワークを支持して各ワークに溶射を施す溶射装置であって、
前記ターンテーブルの回転中心軸線に沿って昇降し得るように設けられた昇降台と、前記昇降台の上面に取り付けられたワーク位置決め装置とを具備し、
各ワーク支持具は前記ターンテーブルに回転自在に支持された回転軸の上端に取り付けられて1つのワークが載せられる支持台と、該支持台の上に載せられたワークを吸引して該支持台に対して固定する固定動作と該ワークを固定状態から開放する開放動作とを行なうワーク固定手段とを備えて、前記ターンテーブルの上面よりも高い位置でワークを支持するように設けられ、
前記昇降台は、前記n個のワーク支持具にそれぞれ設けられたn個の支持台にそれぞれ載せられたn個のワークに下方から接近した状態になる位置決め作用位置と前記n個のワーク支持具の下方に設定された退避位置との間を昇降し得るように設けられ、
前記ワーク位置決め装置は、各ワーク支持具に対応するワーク位置決め部を有して、前記昇降台が前記位置決め作用位置にあるときに前記ワーク位置決め部が対応するワーク支持具の支持台の上に載せられたワークに接触して該ワークの中心軸線を対応するワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させるように構成されていること、
を特徴とする溶射装置。
【請求項2】
等角度間隔で配置されて回転中心軸線を垂直方向に向けた状態で支持フレームに回転自在に支持されたn個(nは2以上の整数)のワーク支持具と、前記ワーク支持具を回転させる回転駆動装置と、各ワーク支持具に支持されたワークに溶射を施す際に各ワーク支持具に相応する位置に移動させられる溶射ガンとを備え、前記n個のワーク支持具のそれぞれに円筒面状の外周面を有するワークを支持して各ワークに溶射を施す溶射装置であって、
前記支持フレームに昇降自在に支持された昇降台と、前記昇降台の上面に取り付けられたワーク位置決め装置とを具備し、
各ワーク支持具は前記支持フレームに回転自在に支持された回転軸の上端に取り付けられて1つのワークが載せられる支持台と、該支持台の上に載せられたワークを吸引して該支持台に対して固定する固定動作と該ワークを固定状態から開放する開放動作とを行なうワーク固定手段とを備えて、前記支持フレームよりも高い位置でワークを支持するように設けられ、
前記昇降台は、前記n個のワーク支持具にそれぞれ設けられたn個の支持台にそれぞれ載せられたn個のワークに下方から接近した状態になる位置決め作用位置と前記n個のワーク支持具の下方に設定された退避位置との間を昇降し得るように設けられ、
前記ワーク位置決め装置は、各ワーク支持具に対応するワーク位置決め部を有して、前記昇降台が前記位置決め作用位置にあるときに前記ワーク位置決め部が対応するワーク支持具の支持台の上に載せられたワークに接触して該ワークの中心軸線を対応するワーク支持具の回転中心軸線にほぼ一致させるように構成されていること、
を特徴とする溶射装置。
【請求項3】
前記ワーク位置決め装置のワーク位置決め部は、対応するワーク支持具の支持台の上のワークの外周面に少なくとも2カ所で点接触または線接触して該ワークを位置決めするように設けられている請求項1または2に記載の溶射装置。
【請求項4】
前記ワーク位置決め装置のワーク位置決め部は、対応するワーク支持具の支持台の上のワークの外周面に面接触して該ワークを位置決めするように設けられている請求項1または2に記載の溶射装置。
【請求項5】
前記ワーク位置決め装置は、前記n個のワーク支持具の支持台の上にそれぞれ載せられたn個のワーク相互間に介在するように設けられた位置決めブロックを備えていて、各位置決めブロックがその両側のワークの外周面に接するワーク位置決め部を有している請求項1に記載の溶射装置。
【請求項6】
前記位置決めブロックは、前記昇降台の上に着脱可能な状態で取り付けられている請求項5に記載の溶射装置。
【請求項7】
前記ワーク固定手段は、真空力を利用して前記ワークの下面を吸引する真空吸引パッドからなっている請求項1ないし6のいずれか1つに記載の溶射装置。
【請求項8】
前記ワークは強磁性材料により形成されており、
前記ワーク固定手段は、前記ワークを支持台に対して固定する際に前記ワークに磁気吸引力を作用させるように設けられた磁石からなっている請求項1ないし6のいずれか1つに記載の溶射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−89799(P2006−89799A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275618(P2004−275618)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】