説明

溶接条件設定方法、溶接条件設定装置及び溶接システム

【課題】強度及び変形量(変形角度)の双方を満足するT形継手構造材Wを容易に算出可能な溶接条件設定方法、溶接条件設定方法装置、溶接システムを提供すること。
【解決手段】T形継手構造材Wを形成するための溶接条件設定方法であって、第1の板材と第2の板材の材質及び板厚と前記T形継手構造材Wに要求される要求強度とを入力手段を介して演算部に入力する工程S1と、前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と前記要求強度とに基づいて、前記第1の板材と第2の板材の脚長及び溶込み率を前記演算部が算出する工程S2と、前記脚長及び前記溶込み率を形成するための溶接条件を前記演算部が算出する工程S3と、前記溶接条件に基づいて溶接した場合に前記T形継手構造材Wにおいて生じる前記第1の板材の変形角度を前記演算部が算出する工程S4とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にT形継手構造材に適用され、T形継手構造材に生じる角変形を効率的に抑制することが可能な溶接条件設定方法、溶接条件設定装置及び溶接システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板状に形成された第1の板材の加工面に略直交して配置された第2の板材を隅肉溶接して構成されるT形継手構造材は、構造物において重要な継手構造とされ、種々の外力を支持する場合に一般的に用いられている。例えば、橋梁、船舶などの大型構造物を構成するブロックを溶接して組み立てる際には、溶接姿勢を確保するため、溶接する構造物同士の位置関係を確定した後で溶接が行なわれている。
ところが、かかるT形継手構造材は、溶接時の熱等により変形(溶接変形)が生じるため、指示通りの溶接が行なわれた場合でも完成形状に変形が生じたり、複数の溶接工程の中間段階において構造物の形状に変形が生じる場合があり、その結果、T形継手構造材としての強度が低下する場合がある。
【0003】
従来、このような溶接変形の対策として、溶接変形を予め予測し、これを見越して構造物の製作を行う、拘束治具を用いて変形を防止する、溶接線の裏面を加熱して局部的な熱収縮や温度差の発生を抑止する等の方策が採られており、溶接変形を予測する技術としては、例えば特許文献1が提供されている。
また、さらに、溶接条件、施工者、設備、施工方法等、種々の複数の因子における変形の予測精度を向上するために、例えば特許文献2が提供されている。
【特許文献1】特開2003−80393号公報
【特許文献2】特開2005−349422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、T形継手構造材を構造物に用いる場合、溶接変形が許容範囲内であることが重要であるとともに、T形継手構造材が使用される条件において受ける引張、せん断等の荷重に対する強度が確保されていることが必要とされ、上記従来の技術では、溶接による変形が許容範囲を超えた場合には、強度が確保可能な脚長、溶け込み率等を再び決定して変形量をシミュレーションする必要があり、強度と、変形量の双方を満足するT形継手構造材を効率的に設計したいという技術的要請があった。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものであり、強度及び変形量(変形角度)の双方を満足するT形継手構造材を容易に算出可能な溶接条件設定方法、溶接条件設定方法装置、溶接システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
請求項1に記載の発明は、第1の板材と、該第1の板材に略直交配置された第2の板材と、を溶接してT形継手構造材を形成するための溶接条件設定方法であって、前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される要求強度とを入力手段を介して演算部に入力する工程と、前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記要求強度と、に基づいて、前記第1の板材と第2の板材の脚長及び溶込み率を前記演算部が算出する工程と、前記脚長及び前記溶込み率を形成するための溶接条件を前記演算部が算出する工程と、前記溶接条件に基づいて溶接した場合に前記T形継手構造材において生じる前記第1の板材の変形角度を前記演算部が算出する工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る溶接条件設定方法によれば、第1の板材及び第2の板材の材質及び板厚と、T形継手構造材に要求される強度とに基づき、これらを溶接する場合の溶接条件からT形継手構造材において生じる第1の板材の変形角度を算出するので、要求強度を満足させたT形継手構造材における変形角度を容易に得ることができる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、第1の板材と該第1の板材に略直交配置された第2の板材とを溶接してT形継手構造材を形成するための溶接条件を設定する溶接条件設定装置であって、前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される要求強度とを入力する入力手段と、前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される要求強度と、前記T形継手構造材における前記第1の板材と第2の板材の脚長及び溶込み率の相関関係データを有する第1のデータベースと、前記脚長及び前記溶込み率と、前記脚長及び前記溶込み率を形成するための入熱量及び溶接条件の相関関係データを有する第2のデータベースと、前記溶接条件と、前記溶接条件により溶接した場合に前記T形継手構造材において前記第1の板材に生じる変形角度の相関関係データを有する第3のデータベースとを備え、入力された前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記要求強度とを、前記第1のデータベース、前記第2のデータベース及び前記第3のデータベースと対照して前記T形継手構造材における前記第1の板材の変形角度を算出するように構成されている演算部を備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る溶接条件設定装置によれば、第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、T形継手構造材に要求される要求強度とを、第1のデータベースに対照することでT形継手構造材における第1の板材と第2の板材の脚長及び溶込み率を算出し、この脚長及び溶込み率を第2のデータベースと対照することによりの入熱量及び溶接条件を算出し、この溶接条件を第3のデータベースと対照することによりT形継手構造材において生じる第1の板材の変形角度を算出する。第1から第3のデータベースを用いて変形角度を算出するので、溶接における種々の複雑な因子による影響を考慮してT形継手構造材における変形角度を容易に得ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の溶接条件設定方法であって、前記変形角度が許容範囲内であるかどうかを前記演算部が判定する変形角度判定工程を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の溶接条件設定装置であって、前記演算部は、前記変形角度が、予め設定された変形角度の許容値の範囲内であるかどうかを判定する変形角度判定部を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る溶接条件設定方法及び溶接条件設定装置によれば、要求強度を満足させてT形継手構造材を形成する場合に、その溶接条件により溶接した場合に生じるT形継手構造材における第1の板材の変形角度が許容範囲であるかどうか容易に確認できる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、第1の板材と、該第1の板材に略直交配置された第2の板材と、を溶接してT形継手構造材を形成するための溶接条件設定方法であって、前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される変形角度とを入力手段を介して演算部に入力する工程と、前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記変形角度と、に基づいて、前記演算部が前記第1の板材と第2の板材の入熱パラメータを算出する工程と、前記入熱パラメータから溶接条件及び対応する溶接形状パターンを前記演算部が算出する工程と、前記溶接形状パターンに基づいて前記T形継手構造材において得られる強度を前記演算部が算出する工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、第1の板材と該第1の板材に略直交配置された第2の板材とを溶接してT形継手構造材を形成するための溶接条件を設定する溶接条件設定装置であって、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される変形角度とを入力する入力手段と、前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される変形角度と、前記T形継手構造材における変形角度と入熱パラメータとの相関関係データを有する入熱パラメータデータベースと、前記入熱パラメータと溶接条件及び対応する溶接形状パターンの相関関係データを有する溶接形状パターンデータベースと、前記溶接形状パターンと、前記T形継手構造材において得られる強度の相関関係データを有する強度データベースとを備え、入力された前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記要求強度とを、前記入熱パラメータデータベース、前記溶接形状パターンデータベース及び前記強度データベースと対照して前記T形継手構造材において得られる強度を算出するように構成されている演算部を備えていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る溶接条件設定方法及び溶接条件設定装置によれば、第1の板材及び第2の板材の材質及び板厚と、T形継手構造材に要求される変形角度とに基づいて、変形角度を満足したT形継手構造材における強度を容易に得ることができる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の溶接条件設定方法であって、前記強度が許容範囲内であるかどうかを前記演算部が判定する強度判定工程を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の溶接条件設定装置であって、前記演算部は、前記強度が、予め設定された強度の許容値の範囲内であるかどうかを判定する強度判定部を備えることを特徴とする。
【0018】
この発明に係る溶接条件設定方法及び溶接条件設定装置によれば、変形角度を満足するT形継手構造材を形成する場合に第1の板材の強度が許容範囲であるかどうか容易に確認できる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の溶接条件設定方法であって、前記変形角度が許容範囲外である場合に、前記変形角度が許容範囲内となるまで、前記第1の板材と前記第2の板材の材質と板厚と前記要求強度とに基づいて、前記演算部が前記脚長及び溶込み率から前記変形角度を算出することを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の溶接条件設定装置であって、前記演算部は、前記変形角度判定部による前記変形角度の判定が、許容範囲外である場合には、前記変形角度が許容範囲内となるまで、前記第1の板材と前記第2の板材の材質と板厚と前記要求強度とに基づいて、前記脚長及び溶込み率を変化させながら前記変形角度を算出することを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の溶接条件設定方法であって、前記強度が許容範囲外である場合に、前記強度が許容範囲内となるまで、前記入熱パラメータに基づいて、前記溶接形状パターンを前記演算部が算出することを特徴とする。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の溶接条件設定装置であって、前記演算部は、前記強度判定部による前記強度の判定が、許容範囲外である場合には、前記強度が許容範囲内となるまで、入熱パラメータに係る要因を変化させながら前記強度を算出することを特徴とする。
【0023】
この発明に係る溶接条件設定方法及び溶接条件設定装置によれば、T形継手構造材において要求強度及び変形角度を満足する脚長及び溶け込み率を容易に得ることができる。
【0024】
請求項13に記載の発明は、請求項4から請求項6又は請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の溶接条件設定装置であって、得られた結果が、前記許容値の範囲以内である場合には溶接工程に移行させることを特徴とする。
【0025】
この発明に係る溶接条件設定装置によれば、得られた結果が許容範囲である場合に溶接工程に移行するように構成されているので、溶接条件を算出した後に自動で溶接を開始することが可能とされる。また、得られた結果が要件を満足しない場合には溶接を開始されることが抑制される。
【0026】
請求項14に記載の発明は、溶接システムであって、請求項4から請求項7又は請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の溶接条件設定装置を備えることを特徴とする。
【0027】
この発明に係る溶接システムによれば、要求強度と変形角度の双方を満足する溶接条件が容易に得られるのでT形継手構造材を効率的に溶接、製作することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る溶接条件設定方法及び溶接条件設定装置によれば、要求強度と、変形角度とを満足するT形継手構造材を容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の第1の実施形態に係る溶接システムを、図1から図7を参照して説明する。図1は、溶接システムの概略を示す図であり、符号1は溶接システムを示している。
溶接システム1は、溶接装置2と、制御装置3と、制御装置3に接続され溶接装置3の溶接条件を設定する溶接条件設定装置4とを備えておりT形継手構造材Wを溶接、製作の対象としている。
【0030】
T形継手構造材Wは、図3(A)に示すように、第1の板材PAと第1の板材PAに略直交に配置された第2の板材PBとを、その角部を隅肉溶接することにより構成されている。
図3(A)において、符号SSは第1の板材PAの脚長を、符号SRは第2の板材PBの脚長を、符号dsは第1の板材PAの板厚との比率において溶込み率を、符号drは第2の板材PBの板厚との比率において溶込み率を表しており、これらのすべて又はいずれかによってT形継手構造材Wの溶込み形状パターンを表している。
【0031】
溶接装置2は、例えば、ロボット等の駆動部を有する駆動装置本体21と、溶接トーチ22と、溶接トーチ22により第1、2の板材PA、PBを溶接・接合する溶接機23とを有し、駆動装置本体21と溶接機23とは、インターフェイスIFにより制御装置3と接続され制御装置3からの制御信号により制御されるようになっている。
【0032】
0
溶接機23は、例えば、溶接トーチ22からアルゴンガス等(不活性ガス)を噴出して周囲を不活性ガス雰囲気にするとともに溶接トーチ22から溶接用ワイヤ(図示せず)を供給し、この溶接用ワイヤ、第1、2の板材PA、PBとの間にアークを発生させて第1、2の板材PA、PB及び溶接用ワイヤを溶融して溶接するMIG溶接機と、この溶接用ワイヤが供給される位置にレーザ光を照射して溶接時の溶込深さを向上させるためのレーザ溶接機とを備えたレーザ・アークハイブリッド溶接機とされている。
なお、レーザ・アークハイブリッド溶接機に代えて、レーザ溶接機、MIG溶接機、TIG溶接機等、他の溶接機による溶接に適用してもよい。
【0033】
制御装置3は、例えばコンピュータにより構成され、溶接装置2を駆動させるとともに、溶接条件設定装置4から送信された溶接条件に基づいて溶接機23を制御して第1、2の板材PA、PBからT形継手構造材Wを形成するようになっている。
【0034】
溶接条件設定装置4は、図2に示すように、入力部(入力手段)41と、メモリ42と、演算部43と、ハードディスク装置44と、出力部46と、通信線47とを備え、演算部43、メモリ42、入力部41、ハードディスク装置44、出力部46は通信線47により相互にデータ等を通信可能に接続され、ハードディスク装置44にはデータベース45が格納されている。
【0035】
入力部41は、例えば、キーボード等のデータ入力機器により構成され、例えば、第1の板材PAと第2の板材PBの材質及び板厚、T形継手構造材に要求される要求強度等を演算部43に出力するようになっている。
【0036】
変形角度δは、図3(B)に示すように、T形継手構造材Wにおいて、第1の板材PAが、第2の板材PBが延在する側に溶接時の熱で歪曲した場合に、歪がなかった場合の第1の板材PAに対する角度で表されるようになっている。
【0037】
また、T形継手構造材Wには、例えば、図3(B)に示すような第2の板材PBを第1の板材PAから離間させる方向の引張力T1、T2、隅肉溶接が伸びる方向に沿って第1の板材PA及び第2の板材PBに作用するせん断力S1、S2が代表的に作用するが、この実施の形態における要求強度は引張力T1、T2を対象としている。
【0038】
演算部43は、例えば、メモリ42のROMに格納されたプログラムを読み込んで、入力部41からの入力に基づいて第1の板材PAの材質及び板厚と、第2の板材PBの材質及び板厚を決定し、データベース45と対照してT形継手構造材Wにおける第1の板材PAの変形角度が許容範囲内となる溶接条件を算出し、出力部46に出力するようになっている。
また、出力部46は溶接条件を制御装置3に出力可能とされている。
【0039】
データベース45は、第1のデータベース45aと、第2のデータベース45bと、第3のデータベース45cとを備え、演算部43が第1のデータベース45a、第2のデータベース45b、第3のデータベース45cと順次対照することにより、入力された第1の板材PAと第2の板材PBの材質及び板厚、要求強度に基づいてT形継手構造材Wにおける第1の板材PAの変形角度δを算出可能に構成されている。
【0040】
第1のデータベース45aには、第1の板材PAの材質及び板厚と、第2の板材PBの材質及び板厚と、T形継手構造材Wに要求される要求強度とが、第1の板材PA及び第2の板材PBからT形継手構造材Wを形成する場合の第1、第2の板材PA、PBの脚長及び溶込み率の相関関係データとして格納されている。
【0041】
図4は、第1のデータベース45aに格納される相関関係データの一例を示す図であり、例えば、図4(A)に示すように、第1の板材PAの板厚(板厚1、2、・・・)と材質(材質1、2、3・・・)、及び第2の板材PBの板厚(板厚1、2、・・・)と材質(材質1、2、3・・・)からなるデータテーブルを有している。
【0042】
また、第1のデータベース45aは、図4(A)に示した第1の板材PAの板厚と材質、及び第2の板材PBの板厚と材質からなるデータテーブルにおいて組み合わせ可能とされるデータごとに、図4(B)のグラフにおいて曲線により示したように「非溶け込み率」と「引張強度」とを対比したグラフに基づくデータテーブル(図示せず)を有している。そして、これらデータテーブルは、図4(C)に示すような、第1の板材PAの板厚と材質、及び第2の板材PBの板厚と材質に対応する溶込み形状パターン(第1の板材PAの脚長SS、第2の板材PBの脚長SR、第1の板材PAの溶込み率ds、第2の板材PBの溶込み率dr)を取得することができるように構成されている。
なお、図4(B)に示す非溶け込み率と引張強度に関するグラフにおいて、引張強度は引張り強さに対する引張強度の比を指標としており、例えば、実験、有限要素法を用いた構造解析等により取得される。なお、非溶込み率は、例えば、図3の場合には((第2の板材PBの板厚−2dr)/第2の板材PBの板厚)で示され、第2の板材側溶込みが左右で異なる場合には、((第2の板材PBの板厚うち溶込みがされていない部分の幅)/第2の板材PBの板厚)が非溶込み率とされる。
【0043】
第2のデータベース45bには、T形継手構造材Wを形成する場合の第1、第2の板材PA、PBの脚長及び溶込み率と入熱量の関係と、この脚長及び溶込み率を形成するための溶接条件との相関関係データが格納されている。
【0044】
図5は、第2のデータベース45bに格納される相関関係データの一例を示す図である。
第2のデータベース45bは、図5(A)に例示するような溶込み率(1−非溶込み率)に対応する溶込み形状パターン(図の斜線で示した部分)と入熱量の関係を示す表と、図5(B)に例示するような各溶け込み形状に対応する溶接条件表とを備えており、第1のデータベース45aで算出した非溶込み率に基づき、それに対応する溶込み形状パターンにおける入熱量、溶接条件を算出できるようになっている。
なお、図5(A)では、識別が容易なNo.1からNo.3の3パターンの溶込み形状パターンと対応する溶接条件の一部を例示しているが、データベース化する溶込み形状パターンは、要求強度及び変形角度δの大きさに基づいて任意に設定可能である。
なお、図5(B)に示したデータは、広義の溶接条件であり、母材加工、溶接材料等を含んで示しているが、これら条件のうち予め定められている場合には、定められていない溶接条件について取得することが可能であることはいうまでもない。
【0045】
第3のデータベース45cには、図6のグラフにおいて曲線により示したように、例えば、上記溶接条件によりT形継手構造材Wを溶接して形成した場合の溶接条件に係る入熱パラメータと、この入熱パラメータに対応するT形継手構造材Wにおいて第1の板材PAに生じる変形角度δの相関関係データが格納されている。
なお、この実施形態における入熱パラメータは、((ΣQ/2)/t)(J/mm)(Qは入熱量、tは第1の板材PAの板厚)としたが、これに代えて他のパラメータを用いてもよい。
【0046】
次に、図7を参照して、T形継手構造材Wを溶接するための溶接条件を溶接条件設定装置4により設定する手順(溶接条件設定方法)について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る溶接条件設定手順を実行するためのプログラムの一例を示すフロー図である。
【0047】
溶接条件の設定は、例えば、以下の手順で行なわれる。
1)まず、演算部43は、入力部41を介して入力された第1の板材PAの材質及び板厚と、第2の板材PBの材質及び板厚と、第1の板材PA及び第2の板材PBにより構成されるT形継手構造材Wの要求強度とを決定する。(S1)
このとき、変形角度δの許容範囲に関しても入力部41を介して入力されるようにし、演算部43が変形角度δの許容範囲についても決定するように構成してもよい。
2)次に、演算部43は、決定した第1の板材PAの材質及び板厚、第2の板材PBの材質及び板厚、要求強度に基づき、第1のデータベース45aの図4(B)で示したグラフ及び図4(C)で示した表と対応するデータと対照してT形継手構造材における第1の板材PAと第2の板材PBの脚長及び溶込み率を算出する。(S2)
具体的には、例えば、図4(B)から、要求強度を満足可能な非溶込み率の限界値を導出し、その限界値に対応する第1の板材側溶込み及び第2の板材側溶込みを算出する。
例えば、図4(B)に示した例では、非溶込み率が約0.8、すなわち80%を超えると要求強度が満足できないことを示している。
3)次いで、演算部43は、第1のデータベース45aと対照して得た第1の板材PAと第2の板材PBの脚長及び溶込み率を、第2のデータベース45bの図5(A)で示した対応表と対照して入熱量を求めるとともに、図5(B)に示されるようなその溶込み形状パターンにおける溶接条件を算出する。(S3)
溶接条件の算出は、例えば、強度の確保に有利な、非溶け込み率が小さいほうから選択してゆき、図5(A)の例では、No3の溶込み形状パターンに係る溶接条件を選択する。
ここで算出した溶接条件を、例えば、メモリ42に一時的に格納する。
4)次に、演算部43は、S3において算出した溶接条件を第3のデータベース45cと対照して、この溶接条件でT形継手構造材Wを形成した場合にT形継手構造材Wにおいて生じる第1の板材PAの変形角度δを算出する。(S4)
5)演算部43は、プログラムのS5(変形角度判定部)を実行して変形角度δが予め設定した許容範囲内であるかどうかを判定する。
変形角度δが許容範囲内である場合には、プログラムを終了して溶接条件を決定する。
このとき、S3においてメモリ42に格納した溶接条件をモニタ等の出力手段に表示してもよい。また、前記溶接条件のうち、電流、電圧、トーチ速度、トーチ角度、ワイヤ突出し量等の溶接条件に関するデータを制御装置3に転送して次工程(例えば、溶接工程)で使用してもよい。
6)また、S5を実行して得た変形角度δの判定結果が、許容範囲外の場合には、S2で算出した非溶込み率の限界値の範囲内において別の形状パターンを変更(S6)してS2を実行する。第1の実施形態では、No.3の溶込み形状パターンに次いで有利なNo2の溶込み形状パターンを選択する。
演算部43は、変形角度δが許容範囲内となるまでプログラムを繰り返して実行する。また、第1の板材PAの脚長と第2の板材PBの脚長及び溶け込み率を変更する場合、変形角度δの大きさ等を考慮して数値変更することが好適である。
【0048】
溶接システム1及び溶接条件設定装置4によれば、演算部43が、第1のデータベース45aから第3のデータベース45cと対照して要求強度及び変形角度δを満足する溶接条件を算出するので、多くの因子が関連する場合、又これら因子が段階的に影響しあう場合であっても、溶接条件を正確かつ容易に算出することができる。
【0049】
溶接システム1及び溶接条件設定装置4によれば、変形角度δが満足されるまで溶接条件を算出するので、T形継手構造材Wにおいて要求強度及び変形角度を満足する脚長及び溶け込み率を効率的に得ることができる。
【0050】
溶接システム1及び溶接条件設定装置4によれば、変形角度が許容範囲である場合に溶接工程に移行するように構成されているので、要求強度及び変形角度δを満足する溶接条件が得られた場合、自動で溶接作業に移行することが可能とされる。また、変形角度を満足しない場合に誤って溶接作業を開始することが抑制される。
【0051】
溶接システム1によれば、溶接条件設定装置4により要求強度、変形角度δの双方を満足する溶接条件を容易に得られるので、T形継手構造材Wを効率的に製造することができる。
【0052】
次に、この本発明の第2の実施形態に係る溶接システムについて説明する。
図8は、第2の実施形態に係る溶接条件設定手順を実行するためのプログラムの一例を示すフロー図である。
第2の実施形態に係る溶接システム1が第1の実施形態と異なるのは、ハードディスク装置44にデータベース45に代えてデータベース145が格納されていて、第1の実施形態に係る溶接システム1では、第1の板材PAの材質及び板厚と、第2の板材PBの材質及び板厚と、第1の板材PA及び第2の板材PBにより構成されるT形継手構造材Wの要求強度に基づいて、T形継手構造材Wにおいて生じる第1の板材PAの変形角度δを算出する構成とされていたのに対して、第2の実施形態では、T形継手構造材Wにおいて生じる第1の板材PAの変形角度δに基づいて要求強度を算出し、要求強度が満足された場合に溶接条件設定装置による算出を完了するようになっている点である。また、入力部41には、T形継手構造材Wに要求される要求強度に代えて変形角度δを入力部41から入力するようになっている。
【0053】
また、データベース145は、入熱パラメータデータベース145aと、溶接形状パターンデータベース145bと、強度データベース145cとを備えており、入熱パラメータデータベース145a、溶接形状パターンデータベース145b、強度データベース145cには、それぞれ第1の実施形態における第3のデータベース45c、第2のデータベース45b、第1のデータベース45aに相当する数値データが格納されている。
その他は、第1の実施形態に係る溶接条件設定装置4と同様であるので同一の符号を用いて説明を省略する。
【0054】
次に、図8を参照して、T形継手構造材Wを溶接するための溶接条件を溶接条件設定装置4により設定する手順(溶接条件設定方法)の一例について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る溶接条件設定手順を実行するためのプログラムの一例を示すフロー図である。
【0055】
1)まず、演算部43は、入力部41を介して入力された第1の板材PAの材質及び板厚と、第2の板材PBの材質及び板厚と、第1の板材PA及び第2の板材PBにより構成されるT形継手構造材Wの変形角度δとを決定する。(S11)
このとき、要求強度の許容範囲に関しても入力部41を介して入力されるようにし、演算部43が変形角度δの許容範囲についても決定するように構成してもよい。
2)次に、演算部43は、第1の板材PAの変形角度δを、入熱パラメータデータベース145aの図6で示したグラフに対応するデータと対照して入熱パラメータを算出する。(S12)
3)次いで、演算部43は、入熱パラメータデータベース145aと対照して得た入熱パラメータに基づいて溶接形状パターンデータベース145bと対照して、図5で示した溶込み形状パターン及び溶接条件を算出する。(S13)
ここで算出した溶接条件を、例えば、メモリ42に一時的に格納する。
4)次に、演算部43は、S13において算出した溶込み形状パターンに係る非溶込み率を強度データベース145cの図4(B)で示したグラフと対照して、S13で算出した溶接条件により形成するT形継手構造材Wの強度を算出する。(S14)
5)演算部43は、S15(強度判定部)を実行することにより得た強度が予め設定した許容範囲内であるかどうかを判定する。
強度が許容範囲内である場合には、プログラムを終了して溶接条件を決定する。
このとき、S13においてメモリ42に格納した溶接条件をモニタ等の出力手段に表示してもよい。また、溶接条件のうち、電流、電圧、トーチ速度、管理項目等の溶接条件に関するデータを制御装置3に転送して次工程(例えば、溶接工程)で使用してもよい。
6)また、S15を実行して得た強度の判定結果が、許容範囲外の場合には、S12で算出した入熱パラメータの限界値の範囲内において別の形状パターンに変更(S16)し、S13を実行する。
演算部43は、強度が許容範囲内となるまでプログラムを繰り返して実行する。
【0056】
第2の実施形態に係る溶接条件設定装置4によれば、変形角度δを満足するT形継手構造材Wを形成する場合に第1の板材PAの強度が許容範囲であるかどうか容易に確認することができる。
【0057】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、データベース45が、T形継手構造材Wを構成する第2の板材PBを、第2の板材PBが第1の板材PAに溶接された面に垂直にこの面から離間する方向に引っ張る場合の引張り強度に関するデータを有している場合について説明したが、例えば、T形継手構造材Wを構成する際に第2の板材PBと第1の板材PAとを隅肉溶接部が伸びる方向に沿ってせん断力を与えるせん断強度に関する相関関係データを有する構成としてもよいし、これら相関関係データを複数有していて対照可能な構成としてもよい。
【0058】
また、溶接システム1及び溶接条件設定装置4が対象とする第1、第2の板材PA、PBの材質については、鋼材、ステンレス鋼、アルミ又はアルミ合金等、種々の材質を対象としてもよい。
また、上記実施の形態においては、溶接条件設定装置4が溶接システム1に設けられる場合について説明したが、溶接条件設定装置4を溶接システム1の一部としてオンラインで用いるか、又は溶接システム1と独立してオフラインで用いるかは自在に設定可能である。
【0059】
また、上記実施の形態においては、データベース45、145がハードディスク装置44に格納されている場合について説明したが、ハードディスク以外にも、例えば、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等に格納してもよい。
また、第1のデータベース45aから第3のデータベース45cのすべて又はいずれかを別々のハードディスクに格納し又は別の記憶媒体に格納してもよい。また、入熱パラメータデータベース145a、溶接形状パターンデータベース145b、強度データベース145cに関しても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る溶接システムの概略を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る溶接条件設定装置の概略構成を示す図である。
【図3】(A)はT形継手構造材の隅肉溶接部が延在する方向と直交する断面を、(B)はT形継手構造材が受ける力と変形角度を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る第1のデータベースの構成を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る第2のデータベースの構成を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る第3のデータベースの構成を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る溶接条件設定方法の手順を示すフロー図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る溶接条件設定方法の手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0061】
δ 変形角度
PA 第1の板材
PB 第2の板材
SS、SR 脚長
ds、dr 溶込み深さ(溶込み率)
W T形継手構造材
S5 変形角度判定部
S15 強度判定部
1 溶接システム
2 溶接装置
4 溶接条件設定装置
41 入力部(入力手段)
43 演算部
45、145 データベース
45a 第1のデータベース
45b 第2のデータベース
45c 第3のデータベース
145a 入熱パラメータデータベース
145b 溶接形状パターンデータベース
145c 強度データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板材と、該第1の板材に略直交配置された第2の板材と、を溶接してT形継手構造材を形成するための溶接条件設定方法であって、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される要求強度とを入力手段を介して演算部に入力する工程と、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記要求強度と、に基づいて、前記第1の板材と第2の板材の脚長及び溶込み率を前記演算部が算出する工程と、
前記脚長及び前記溶込み率を形成するための溶接条件を前記演算部が算出する工程と、
前記溶接条件に基づいて溶接した場合に前記T形継手構造材において生じる前記第1の板材の変形角度を前記演算部が算出する工程と、
を備えることを特徴とする溶接条件設定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の溶接条件設定方法であって、
前記変形角度が許容範囲内であるかどうかを前記演算部が判定する変形角度判定工程を備えることを特徴とする溶接条件設定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の溶接条件設定方法であって、
前記変形角度が許容範囲外である場合に、前記変形角度が許容範囲内となるまで、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質と板厚と前記要求強度とに基づいて、前記演算部が前記脚長及び溶込み率から前記変形角度を算出することを特徴とする溶接条件設定方法。
【請求項4】
第1の板材と該第1の板材に略直交配置された第2の板材とを溶接してT形継手構造材を形成するための溶接条件を設定する溶接条件設定装置であって、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される要求強度とを入力する入力手段と、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される要求強度と、前記T形継手構造材における前記第1の板材と第2の板材の脚長及び溶込み率の相関関係データを有する第1のデータベースと、
前記脚長及び前記溶込み率と、前記脚長及び前記溶込み率を形成するための入熱量及び溶接条件の相関関係データを有する第2のデータベースと、
前記溶接条件と、前記溶接条件により溶接した場合に前記T形継手構造材において前記第1の板材に生じる変形角度の相関関係データを有する第3のデータベースと、
を備え、
入力された前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記要求強度とを、前記第1のデータベース、前記第2のデータベース及び前記第3のデータベースと対照して前記T形継手構造材における前記第1の板材の変形角度を算出するように構成されている演算部を備えていることを特徴とする溶接条件設定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の溶接条件設定装置であって、
前記演算部は、
前記変形角度が、予め設定された変形角度の許容値の範囲内であるかどうかを判定する変形角度判定部を備えることを特徴とする溶接条件設定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の溶接条件設定装置であって、
前記演算部は、
前記変形角度判定部による前記変形角度の判定が、
許容範囲外である場合には、前記変形角度が許容範囲内となるまで、前記第1の板材と前記第2の板材の材質と板厚と前記要求強度とに基づいて、前記脚長及び溶込み率を変化させながら前記変形角度を算出することを特徴とする溶接条件設定装置。
【請求項7】
第1の板材と、該第1の板材に略直交配置された第2の板材と、を溶接してT形継手構造材を形成するための溶接条件設定方法であって、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される変形角度とを入力手段を介して演算部に入力する工程と、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記変形角度と、に基づいて、前記演算部が前記第1の板材と第2の板材の入熱パラメータを算出する工程と、
前記入熱パラメータから溶接条件及び対応する溶接形状パターンを前記演算部が算出する工程と、
前記溶接形状パターンに基づいて前記T形継手構造材において得られる強度を前記演算部が算出する工程と、
を備えることを特徴とする溶接条件設定方法。
【請求項8】
請求項7に記載の溶接条件設定方法であって、
前記強度が許容範囲内であるかどうかを前記演算部が判定する強度判定工程を備えることを特徴とする溶接条件設定方法。
【請求項9】
請求項8に記載の溶接条件設定方法であって、
前記強度が許容範囲外である場合に、前記強度が許容範囲内となるまで、
前記入熱パラメータに基づいて、前記溶接形状パターンを前記演算部が算出することを特徴とする溶接条件設定方法。
【請求項10】
第1の板材と該第1の板材に略直交配置された第2の板材とを溶接してT形継手構造材を形成するための溶接条件を設定する溶接条件設定装置であって、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される変形角度とを入力する入力手段と、
前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記T形継手構造材に要求される変形角度と、前記T形継手構造材における変形角度と入熱パラメータとの相関関係データを有する入熱パラメータデータベースと、
前記入熱パラメータと溶接条件及び対応する溶接形状パターンの相関関係データを有する溶接形状パターンデータベースと、
前記溶接形状パターンと、前記T形継手構造材において得られる強度の相関関係データを有する強度データベースと、
を備え、
入力された前記第1の板材と前記第2の板材の材質及び板厚と、前記要求強度とを、前記入熱パラメータデータベース、前記溶接形状パターンデータベース及び前記強度データベースと対照して前記T形継手構造材において得られる強度を算出するように構成されている演算部を備えていることを特徴とする溶接条件設定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の溶接条件設定装置であって、
前記演算部は、
前記強度が、予め設定された強度の許容値の範囲内であるかどうかを判定する強度判定部を備えることを特徴とする溶接条件設定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の溶接条件設定装置であって、
前記演算部は、
前記強度判定部による前記強度の判定が、
許容範囲外である場合には、前記強度が許容範囲内となるまで、入熱パラメータに係る要因を変化させながら前記強度を算出することを特徴とする溶接条件設定装置。
【請求項13】
請求項4から請求項6又は請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の溶接条件設定装置であって、
得られた結果が、前記許容値の範囲以内である場合には溶接工程に移行させることを特徴とする溶接条件設定装置。
【請求項14】
請求項4から請求項7又は請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の溶接条件設定装置を備えることを特徴とする溶接システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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