説明

溶接構造

【課題】位置決め用の治具を用いることなく、第1の板材と第2の板材とを精度よく位置決めした状態で溶接すること。
【解決手段】溶接構造体11は、水平鋼板12と垂直鋼板13とが溶接されることで構成されている。水平鋼板12にはスロット16が設けられている。垂直鋼板13にはスロット16に対して嵌め込まれる突起15が設けられている。そして、スロット16には、第2基準面18と、第2基準面18とは反対側に設けられたクランプ部20とが設けられている。そして、クランプ部20には第2基準面18側の側部に傾斜面が設けられ、スロット16に突起15が嵌め込まれた状態では、クランプ部20は第2基準面18側とは反対側に曲げ変形し、突起15は第2基準面18に押し付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の板と第2の板とが溶接されることでなる溶接構造に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの板材が溶接されることでなる溶接構造は、例えば、一方の板材の端面を他方の板材の表面に対して突き合わせて所定の位置に位置決めし、その状態を保持しつつ2つの板材を溶接することで得られる。
【0003】
このとき、例えば、2つの板材のそれぞれに描かれた基準線を合わせるようにして位置決めするとともに、人の手で当該2つの板材を保持し、その状態で板材同士を溶接して溶接構造を得る場合がある。
【0004】
また、人の手によって2つの板材を位置決め保持する代わりに、専用の治具を用いて2つの板材の位置決めと保持を行い、そのうえで2つの板材を溶接することで溶接構造を得る場合もある。例えば、このような2つの板材の位置決め及び保持を行うための治具としては、第2の鋼材を着脱自在に磁着するマグネット部と、マグネット部を前後方向と左右方向に移動させる移動機構部と、移動機構部が装着されるとともに、第1の鋼材を着脱自在に挟持するクランプ部とを備えた溶接用補助具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の溶接用補助具では、移動機構部が操作されると、マグネット部は前後方向と左右方向に移動し、第2の鋼材の基準線と第1の鋼材の基準線とが合わされることで第1の鋼材と第2の鋼材とが所定の溶接位置に位置決めされ、その状態で第1の鋼材と第2の鋼材の位置が保持される。
【特許文献1】特開2003−211290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の溶接用補助具を用いて溶接構造を得る場合、溶接用補助具を設置するための設置スペースを確保する必要があり、特に大型の板材同士を溶接する場合はその溶接用補助具もかなり大きなものになってしまい、溶接用補助具の設置スペースの増大やコストの増大などの不具合が発生する。また、人手によって2つの板材を保持し、基準線を合わせることで板材同士を位置合わせして溶接構造を得る場合、位置決めの精度が低くなってしまうという欠点がある。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、位置決め用の治具を用いることなく、第1の板材と第2の板材とが精度よく位置決めされた状態で溶接された溶接構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1の板と第2の板とが位置決めされた状態で溶接されることにより構成される溶接構造において、前記第1の板の端面には第1基準面を有する突起が形成され、前記第2の板には貫通孔が形成され、前記第1の板の前記突起が前記第2の板の前記貫通孔に嵌入されることで前記第1の板と前記第2の板との位置決めがなされ、前記第2の板における前記貫通孔の内面には、前記突起の前記第1基準面が当接し、かつ、前記第2の板に対する前記第1の板の位置を規定する基準面と、前記基準面と対向する側において前記第2の板に形成された曲げ変形可能な梁構造のクランプ部と、が設けられ、前記クランプ部は、前記貫通孔に前記突起が嵌め込まれることにより前記基準面側とは反対側に曲げ変形し、前記突起の前記第1基準面は前記クランプ部によって前記貫通孔の前記基準面へ押し付けられ、前記第1の板の前記端面が前記第2の板の表面に当接された状態で前記第1の板と前記第2の板とが溶接されていることを要旨とする。
【0008】
この発明では、第1の板と第2の板とを溶接するために第1の板の突起を第2の板の貫通孔に嵌め込んだとき、クランプ部が突起によって押され、クランプ部は基準面側とは反対側に曲がる。そして、それによってクランプ部は突起に対して基準面側への付勢力を付与するようになるため、突起の第1基準面は第2基準面に押し付けられて、第1の板と第2の板とは位置決め保持されるようになる。したがって、溶接を行う際に治具を用いなくとも、第1の板と第2の板とを位置決め保持した状態にでき、その状態で第1の板と第2の板とを溶接できるため、治具を省略できる分だけ溶接作業を行うために要するスペースを縮小化することができる。
【0009】
また、突起の第1基準面はクランプ部によって第2基準面に押し付けられているため、第1の板と第2の板との間で位置ずれが生じることは抑制され、その状態で溶接されている。したがって、第1の板及び第2の板は精度よく位置決めされた状態で溶接される。
【0010】
請求項2に記載の発明のように、前記クランプ部は、片持ち梁構造であると、クランプ部を簡単に曲げ変形させて、貫通孔に対する突起の嵌め込みを簡単に行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1の板材には前記突起が複数設けられ、前記第2の板材には前記突起と同数の前記貫通孔が設けられ、前記各突起は前記突起の突出長が前記クランプ部の基端側に寄るにつれて長くなるように先端面が傾斜状に形成されていることを要旨とする。
【0011】
この発明では、貫通孔に突起を嵌め込むとき、突起を貫通孔に対して傾けなくとも、突起の先端部は貫通孔に対して傾いており、突起の先端は、クランプ部の基端と基準面との間から挿入されるようになる。そして、突起が貫通孔に挿入されるにつれて、突起はクランプ部の先端側を押すようになり、クランプ部は曲げ変形する。したがって、第1の板を傾けなくとも、クランプ部の基端と基準面との間から突起を挿入することができるため、貫通孔に対する突起の嵌め込み作業を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、位置決め用の治具を用いることなく、第1の板材と第2の板材とは精度よく位置決めされた状態で溶接される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1には、本実施形態における溶接構造体11の斜視図を示す。図2には、溶接構造体11の分解斜視図を示す。図3(a)には、溶接構造体11の平面図を、図3(b)には溶接構造体11の正面図を、図3(c)には溶接構造体11の右側面図を示す。
【0014】
図1及び図2に示すように、溶接構造体11は、第2の板としての水平鋼板12と、第1の板としての垂直鋼板13を備えており、水平鋼板12及び垂直鋼板13は略矩形状をなしている。
【0015】
図2に示すように、垂直鋼板13の端面14には突起(タブ)15が形成されるとともに水平鋼板12には貫通孔としてのスロット16が形成されている。溶接構造体11は、図2に示すように、垂直鋼板13の突起15を水平鋼板12のスロット16に嵌入して垂直鋼板13の端面14を水平鋼板12の表面17に当接させ、水平鋼板12の表面17に対して垂直鋼板13が垂直に立設した状態で当該水平鋼板12と垂直鋼板13とがすみ肉溶接にて溶接されることにより構成されている。
【0016】
図3(a)〜(c)に示すように、垂直鋼板13は、水平鋼板12に対して前後方向(X方向)中央に位置するとともに左右方向(Y方向)に沿うように起立している。したがって、水平鋼板12と垂直鋼板13とは、T字状に継ぎ手接合されている。
【0017】
図4は水平鋼板12の平面、及びスロット16の一部拡大した図を示す。図4に示すように、スロット16は、水平鋼板12に一対形成され、一対のスロット16は左右方向(Y方向)に間隔を空けて配列されている。この一対のスロット16は、レーザー加工により水平鋼板12の一部を切り取られることで形成されている。
【0018】
水平鋼板12におけるスロット16は略長方形状をなし、長辺が左右方向(Y方向)に延び、短辺が前後方向(X方向)に延びている。よって、水平鋼板12におけるスロット16の内面は対向する面18,19を有し、この面18,19は長方形のスロット16の長辺に対応している。対向する面18,19のうちの一方の面18は、垂直鋼板13の突起15の第1基準面である一側面15a(図2参照)が当接し、かつ、水平鋼板12に対する垂直鋼板13の位置を規定する第2基準面となっている。また、スロット16の内面は、面18と面19とを接続するとともにスロット16の短辺に対応する面27,28を有している。そして、面27,28のうちのクランプ部20の基端20a側の面27は、垂直鋼板13の突起15(図5参照)の基準面である面15d(図5参照)が当接し、突起15の左右方向(Y方向)の位置を規定する基準面となっている。
【0019】
水平鋼板12のスロット16において、第2基準面18に対向する側には、水平鋼板12に形成された曲げ変形可能な梁構造のクランプ部20が設けられている。クランプ部20は、スロット16に垂直鋼板13の突起15が嵌め込まれた際に第2基準面18側とは反対側に曲げ変形する。(図4において2点鎖線で示す位置に変形する。)そして、図5に示すように、垂直鋼板13の突起15はクランプ部20によって第2基準面18へ押し付けられている。
【0020】
図4に示すように、クランプ部20は水平鋼板12に形成した切り込み溝21により区画形成されている。切り込み溝21は水平鋼板12に対してL字状にレーザー加工を施すことで形成されている。切り込み溝21は、始端がスロット16に開口するとともに前後方向(X方向)に沿って延びる第1溝22と、第1溝22の終端から連続し水平鋼板12の左右方向(Y方向)に沿って延びる第2溝23とによって構成されている。そして、クランプ部20は、スロット16の内面のうちの面19に切り込み溝21が形成されることで片持ち梁構造となっている。
【0021】
一方、図2及び図3(b)に示すように、垂直鋼板13の端面14において突設する一対の突起15は、左右方向(Y方向)において一対のスロット16と同じ間隔を空けて設けられている。突起15は、左右方向(Y方向)の幅Rがスロット16の左右方向(Y)方向の幅S1よりも若干小さく形成されている。突起15は、突起15の突出長Tがクランプ部20の基端20a側(左側)に寄るにつれて長くなるように先端面15bが傾斜状に形成されている。
【0022】
また、クランプ部20は、図4に示すように、基端20aと第2基準面18との間の間隔S2が、垂直鋼板13の突起15の厚みP(図2参照)よりも若干大きくなるように形成されている。一方、クランプ部20の第2基準面18側の側部は、クランプ部20の基端20aよりも第2基準面18側に張り出しており、第2基準面18との間の間隔を狭める傾斜面24が設けられている。傾斜面24は、クランプ部20の先端20b側(自由端側)に向かうにつれて第2基準面18との間の間隔が徐々に小さくなるように形成されている。そして、スロット16に突起15が挿入されていない状態において、傾斜面24と第2基準面18との間の最小間隔S3は、垂直鋼板13の突起15の厚みP(図2参照)よりも狭くなっている。図5に示すように、突起15がスロット16に嵌め込まれている状態において、面15dは面27に当接している。また、クランプ部20の傾斜面24は突起15の他側面15cによって第2基準面18側とは反対側に押されている。そのため、クランプ部20には、第2基準面18側への弾性力が生じ、その弾性力を突起15に付与している。したがって、スロット16に突起15が嵌め込まれた状態では、突起15の一側面15aはスロット16の第2基準面18に押し付けられ、水平鋼板12及び垂直鋼板13は位置決め保持された状態で溶接接合されている。
【0023】
切り込み溝21及びクランプ部20の上には、被せられるように溶接ビード26が形成されている。従って、溶接構造体11では、溶接ビード26は、水平鋼板12の切り込み溝21及びクランプ部20を隠している。
【0024】
次に、前記の溶接構造体11の製造方法について説明する。
まず、水平鋼板12と垂直鋼板13とを準備し、垂直鋼板13を水平鋼板12に対して垂直な姿勢に保ちつつ垂直鋼板13の突起15を水平鋼板12のスロット16に挿入する。このとき、垂直鋼板13の突起15は水平鋼板12のクランプ部20の基端20a寄りから先に挿入され、徐々にクランプ部20の先端20b側が挿入されるようになる。また、垂直鋼板13の突起15を挿入する際には、突起15の面15dを水平鋼板12のスロット16のY方向基準面である面27に当接させながら挿入する。そして、スロット16に突起15が嵌め込まれる途中で、突起15の他側面15cはクランプ部20の傾斜面24に当接してクランプ部20を第2基準面18側とは反対側に押すようになり、クランプ部20は第2基準面18側とは反対側に曲がった状態となる。垂直鋼板13の端面14が水平鋼板12の表面17に当接すると、突起15がスロット16に対して嵌め込まれた状態となる。このとき、クランプ部20は垂直鋼板13の突起15の他側面15cに対して押圧力を付与し、突起15の一側面15aはスロット16の第2基準面18に押し付けられる。その結果、垂直鋼板13は水平鋼板12に対して位置決め保持された状態となる。
【0025】
そして、その後、溶接棒を水平鋼板12の表面17と垂直鋼板13との継ぎ目部分に当てながら溶接作業を行うことで溶接ビード26が形成され、水平鋼板12と垂直鋼板13とは溶接される。
【0026】
この実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)水平鋼板12にはスロット16が設けられている。垂直鋼板13の端面14には、スロット16に対して嵌め込まれる突起15が設けられている。そして、スロット16に突起15が嵌め込まれた状態において、クランプ部20は、第2基準面18側とは反対側に曲がり、突起15を第2基準面18に押し付けている。これにより、垂直鋼板13と水平鋼板12とは位置決め保持されている。したがって、水平鋼板12と垂直鋼板13とを溶接する際に、治具を用いなくとも、スロット16に突起15を嵌め込めば、水平鋼板12と垂直鋼板13とを位置決め保持した状態で溶接できるため、治具を省略できる分だけ、溶接作業を行うために要するスペースを縮小化することができる。また、垂直鋼板13の水平鋼板12に対する位置ずれが抑制された状態で、水平鋼板12と垂直鋼板13とは溶接されている。したがって、貫通孔に突起が嵌め込まれただけの溶接構造体に比べて、溶接構造体11における水平鋼板12及び垂直鋼板13の位置決め精度を向上させることができる。
【0027】
(2)クランプ部20は、切り込み溝21によって、基端20aが水平鋼板12に接続されるとともに先端20bが水平鋼板12から分離され、片持ち梁構造になっている。したがって、クランプ部20は曲げ変形し易くなり、スロット16に突起15を嵌め込むときに、垂直鋼板13に大きな力をかけなくとも、クランプ部20を簡単に曲げ変形させることができ、スロット16に対する突起15の嵌め込みを簡単に行うことができる。
【0028】
(3)2つの突起15及び2つのスロット16を有する溶接構造体11であって、垂直鋼板13の端面14からの突起15の突出長Tがクランプ部20の基端20a側寄りになるにつれて長くなるように、突起15の先端面15bは傾斜している。したがって、垂直鋼板13を傾けなくとも、傾斜面24によって狭められていないスロット16の部分から先に突起15が挿入されるようになり、突起15がスロット16に嵌め込まれる途中で、突起15が傾斜面24を押してクランプ部20を曲げ変形させるようになる。したがって、突起15がスロット16に嵌め込まれるときに、突起15の先端がクランプ部20の傾斜面24に引っ掛かることを抑制でき、スロット16に対して突起15を簡単に嵌め込むことができる。
【0029】
(4)クランプ部20の第2基準面18側の側部には、先端20b側に寄るにつれて第2基準面18との間の間隔を狭める傾斜面24が形成されている。したがって、突起15をスロット16に挿入する場合、クランプ部20は基端20a側から徐々に押されるようになる。したがって、突起15をスロット16に挿入するときに、突起15がクランプ部20に引っ掛かることを抑制でき、支障なく突起15をスロット16に挿入することができる。
【0030】
(5)溶接ビード26は、クランプ部20及び切り込み溝21の上に被さるように形成されている。したがって、水平鋼板12に形成されたクランプ部20及び切り込み溝21を溶接ビード26によって隠すことができ、溶接構造体11の見栄えをよくすることができる。
【0031】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように構成してもよい。
○ クランプ部20の数を変更してもよく、一つのスロット16に対して複数のクランプ部20を設けてもよい。例えば、スロット16の内面のうち、第2基準面18に対向する面19に対して2つの切り込み溝21を形成し、2つのクランプ部20を形成してもよい。この場合、突起15の先端面15bに2つの傾斜面を形成し、突起15の突出長が、2つのクランプ部20それぞれの基端に寄るにつれて長くなるように構成してもよい。
【0032】
○ クランプ部20の位置を変更してもよい。例えば、図6(a)に示すように、スロット16の内面のうち、スロット16の短辺に対応する面の一方を第2基準面18として構成するとともに、第2基準面18と対向するスロット16の他方の面19に切り込み溝21を切り込んで、クランプ部20を形成してもよい。このように構成すれば、クランプ部20は、第2基準面18とは反対側に形成される。そして、この場合、図6(b)に示すように、突起15の先端面15bが後側に傾くように形成し、突起15の突出長Tは前側から後側になる程(クランプ部20の基端20a側に寄るにつれて)長くなるように設定するとよい。このように構成すれば、スロット16に突起15を嵌め込むとき、突起15をスロット16に対して傾けなくとも、クランプ部20の基端20aと第2基準面18との間の間隔に先に突起15を挿入することができるため、スロット16に対する突起15の嵌め込み作業を簡単に行うことができる。
【0033】
○ クランプ部20の形状を変更してもよい。例えば、クランプ部20の先端20bを延長して、クランプ部20の先端20bを水平鋼板12に接続することで、クランプ部20を両持ち梁構造にしてもよい。ただし、この場合、突起15がスロット16に嵌め込まれるとき、クランプ部20は、第2基準面18との間に突起15を挿入可能な間隔ができるまで曲げ変形できるように、クランプ部20を構成する必要がある。
【0034】
○ 突起15及びスロット16の数は2つであったが、1つにしてもよいし、3つ以上にしてもよい。
○ 溶接ビード26を形成する箇所を変更してもよい。例えば、水平鋼板12の表面17と垂直鋼板13の継ぎ目部分のうち、垂直鋼板13の長手方向両端部寄りにのみ溶接ビード26を形成してもよい。すなわち、溶接ビード26を形成する箇所は、水平鋼板12と垂直鋼板13との接合強度や、生産性等を考慮して適宜変更してもよい。
【0035】
○ 本発明では、溶接によって構成される構造物に適用されるのであれば、その他の用途についてはとくに限定しない。例えば、フォークリフトのフレーム構造に対して適用してもよいし、自動車のフレーム構造に対して適用してもよい。
【0036】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(イ)前記クランプ部の前記基準面側の側面は、先端側に寄るにつれて前記基準面との間の間隔を狭めるように傾斜している請求項3に記載の溶接構造。
【0037】
(ロ)前記第1の板と前記第2の板とを接合する溶接ビードは、前記クランプ部の上に被さるように形成されている請求項1〜請求項4、及び(イ)のいずれか一項に記載の溶接構造。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態における溶接構造体の斜視図。
【図2】溶接構造体の分解斜視図。
【図3】(a)は溶接構造体の平面図、(b)は溶接構造体の正面図、(c)は溶接構造体の側面図。
【図4】水平鋼板の平面図。
【図5】図3(b)のA−A線に沿った部分拡大断面図。
【図6】(a)は別の実施形態における水平鋼板の平面図、(b)は図6(a)のB−B線部分断面図。
【符号の説明】
【0039】
T…突起の突出長、11…溶接構造体、12…水平鋼板、13…垂直鋼板、14…端面、15…突起、15a…第1基準面としての一側面、16…スロット、17…表面、18…第2基準面、20…クランプ部、20a…基端、20b…先端、26…溶接ビード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板と第2の板とが位置決めされた状態で溶接されることにより構成される溶接構造において、
前記第1の板の端面には第1基準面を有する突起が形成され、
前記第2の板には貫通孔が形成され、
前記第1の板の前記突起が前記第2の板の前記貫通孔に嵌入されることで前記第1の板と前記第2の板との位置決めがなされ、
前記第2の板における前記貫通孔の内面には、前記突起の前記第1基準面が当接し、かつ、前記第2の板に対する前記第1の板の位置を規定する第2基準面と、前記第2基準面と対向する側において前記第2の板に形成された曲げ変形可能な梁構造のクランプ部と、が設けられ、
前記クランプ部は、前記貫通孔に前記突起が嵌め込まれることにより前記第2基準面側とは反対側に曲げ変形し、
前記突起の前記第1基準面は前記クランプ部によって前記貫通孔の前記第2基準面へ押し付けられ、
前記第1の板の前記端面が前記第2の板の表面に当接された状態で前記第1の板と前記第2の板とが溶接されていることを特徴とする溶接構造。
【請求項2】
前記クランプ部は、片持ち梁構造である請求項1に記載の溶接構造。
【請求項3】
前記第1の板には前記突起が複数設けられ、前記第2の板には前記突起と同数の前記貫通孔が設けられ、
前記各突起は、前記突起の突出長が前記クランプ部の基端側に寄るにつれて長くなるように先端面が傾斜状に形成されている請求項2に記載の溶接構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−89155(P2010−89155A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264387(P2008−264387)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)