溶接溝封止構造及びその溶接方法
【課題】
羽根が芯板表面に接続されていて、羽根が溶接される側板の羽根側と反対側表面に溝が加工されている。溝の裏面に羽根が配置され、溝が加工されている面からレーザを照射して、側板と羽根を溶接する。溶接するために側板に加工した溝内にパウダーを溶かして埋めたのでは、熱変形が生じてしまう。また、溝を空けたままにしたのでは、流体性能を低下させてしまうという問題がある。
【解決手段】
羽根と溝が加工されている側板を溶接後、溝の羽根と反対側の表面に部材を設置する。あるいは溝を樹脂等の側板の材質とは異なる材質で埋める。このような構成にすることにより、流体性能を低下させることなく、溶接熱による変形を低減することができる。この方法は羽根が芯板ではなく側板表面に形成されていて、羽根と芯板をレーザで溶接後、芯板に加工した溝に対しても適用することができる。
羽根が芯板表面に接続されていて、羽根が溶接される側板の羽根側と反対側表面に溝が加工されている。溝の裏面に羽根が配置され、溝が加工されている面からレーザを照射して、側板と羽根を溶接する。溶接するために側板に加工した溝内にパウダーを溶かして埋めたのでは、熱変形が生じてしまう。また、溝を空けたままにしたのでは、流体性能を低下させてしまうという問題がある。
【解決手段】
羽根と溝が加工されている側板を溶接後、溝の羽根と反対側の表面に部材を設置する。あるいは溝を樹脂等の側板の材質とは異なる材質で埋める。このような構成にすることにより、流体性能を低下させることなく、溶接熱による変形を低減することができる。この方法は羽根が芯板ではなく側板表面に形成されていて、羽根と芯板をレーザで溶接後、芯板に加工した溝に対しても適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接溝封止構造及びその溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機等に取付けられる羽根車は、羽根を側板に接合する場合一般的には溶接が用いられる。この溶接にて羽根車を製作するには、羽根高さや羽根の形状に制限がある。
【0003】
例えば、手が届かず溶接できない羽根車を製作するためには特許文献1,2に記載されているような液相拡散接合が用いられる場合がある。また、複雑な羽根車を製作する場合にはレーザスロット溶接が用いられる場合がある。
【0004】
これらの溶接では、羽根が溶接される側板あるいは芯板の羽根と反対側の表面に溝を加工しておき、この溝側からレーザを照射して側板あるいは芯板と羽根を溶かして溶接するものである。ただし、この方法は羽根と側板あるいは芯板を溶接後、パウダーを投下しながらレーザを照射して溶かしたパウダーで溝を埋めるという肉盛作業が必要になる。これは溝を空けたままでは羽根車の流体性能を著しく低下させてしまうからである。
【0005】
【特許文献1】特開平5−202701号公報
【特許文献2】特開平6−272696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術によると、羽根と側板あるいは芯板をレーザで溶接後、レーザ溶接のために側板あるいは芯板に加工した溝を肉盛して埋めると、肉盛による熱変形が生じてしまう。また、溝を空けたままにしておくと流体性能が低下するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、流体性能を低下させることなく熱変形を低減させることができる遠心圧縮機等の溶接溝封止構造及びその溶接方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、前記側板をレーザ溶接後の溝の前記羽根と反対側の表面に側板とは異なる部材を設置して、前記溝が前記側板と同一平面となるようにしたことにより達成される。
【0009】
また上記目的は、前記羽根と前記側板をレーザ溶接後に前記溝を途中まで埋めた後に、前記溝の表面に前記側板とは異なる部材を設置したことにより達成される。
【0010】
また上記目的は、前記側板とは異なる部材は前記側板に溶接されることにより達成される。
【0011】
また上記目的は、前記側板とは異なる部材は前記側板にネジで固定されることにより達成される。
【0012】
また上記目的は、前記側板とは異なる部材は前記側板にロウ付けで固定されることにより達成される。
【0013】
また上記目的は、円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、前記側板に加工した溝を樹脂で封止したことにより達成される。
【0014】
また上記目的は、前記樹脂の上部を前記側板とは異なる部材で覆ったことにより達成される。
【0015】
また上記目的は、前記溝を封止する樹脂材は繊維強化樹脂であることにより達成される。
【0016】
また上記目的は、円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、前記側板に加工した溝を金属とロウを混合した材料で封止したことにより達成される。
【0017】
また上記目的は、前記金属とロウを混合した材料の上部を前記側板とは異なる部材で覆ったことにより達成される。
【0018】
また上記目的は、円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接方法において、前記羽根が当接する前記側板の面の反対面に溝を形成する工程と、前記溝に向かってレーザを照射して前記羽根を溶かして前記側板と溶接する工程と、前記溝内に投入したパウダーを前記レーザで溶かして肉盛する工程と、前記肉盛された面を研削して前記側板と同一面に仕上げる工程とを備えたことにより達成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、流体性能を低下させることなく熱変形を低減させることができる遠心圧縮機等の溶接溝封止構造及びその溶接方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図に従い本発明の実施例を説明する。
【0021】
ところで、遠心圧縮機等の羽根車には芯板に取付けられた羽根の外周側に側板が取付けられたクローズドタイプと、側板がないオープンタイプとがある。オープンタイプでは芯板に羽根を溶接するにあたり、側板がないので羽根全長にわたり溶接作業者の手が届きアーク溶接等を用いることが可能である。
【0022】
しかし、クローズドタイプでは側板があることから羽根と芯板との溶接はおろか、羽根と側板との溶接も溶接作業者の手が届かずアーク溶接ができないという問題がある。この問題は遠心圧縮機だけでなくポンプや水車にも共通したことが言える。
【0023】
そこで、本発明は遠心圧縮機等の羽根車において、羽根と側板をレーザで溶接した後、溶接のために加工された側板側の溝を封止する構造を種々検討した結果以下のような各実施例を得た。
【0024】
本実施例では羽根と芯板が一体加工されたものにおいて、羽根に側板をレーザ溶接する構成で説明しているが、逆に羽根と側板が一体となっていて、羽根と芯板をレーザ溶接する場合にも適用することが可能である。
【0025】
まず一般的な圧縮機用羽根車の構成を図1,図2を使って説明する。
図1は一般的な遠心圧縮機用羽根車の上面図である。
図2は図1のA−A′線断面図である。
図1,図2において、1は羽根車全体を示す。羽根3は回転軸となる芯板2(図2に示す)に対して放射状に複数枚溶接されている。この羽根3の回転により図2に示す気体入口部5より吸い込んだ気体が遠心力によって気体出口部6へ圧縮・排出され、ここから決められた外部機器に送られるようになっている。4は側板であり、羽根3を覆うように羽根3自体に溶接されている。
【0026】
羽根3は機械加工等により芯板2上に設置されたり、芯板2と羽根3を所定形状に加工後、芯板2と羽根3を溶接したりしてもよい。そして、芯板2上に羽根3を設置後、羽根3を側板4に溶接する。このときの溶接がレーザ溶接である。
【0027】
尚、本実施例で説明する羽根車1は直径300mm程度で、後述する溝の幅は10mm程度を想定している。
【実施例1】
【0028】
以下、第1の実施例による羽根と側板のレーザ溶接について図3と図4を用いて説明する。
図3は溶接された羽根と側板の斜視図である。図4は芯板に取付けられた羽根と側板の溶接部分を示す部分断面図である。
図3,図4において、芯板2に固定された羽根3が側板4に当接された状態の対向する反対側面の側板4に溝7が設けられている。この溝4方向からレーザ照射されて羽根3と側板とが溶接される。溝7の幅は羽根3の板厚より少し大きめになっているほうがよい。レーザは側板4の溝7が加工されている面から照射されることによって側板4と羽根3が溶融して一体化する。8は羽根3と側板との溶接によって形成されたフィレット、すなわち角部に形成された丸み部分である。
【0029】
このようにして羽根3と側板4を溶接した後は溝7の肉盛溶接を行わずに、側板4の溝7を隠すように側板4とは異なる部材10を設けている。部材10はいわゆる蓋に相当するものであり、溝7をこの部材10(蓋)で覆うことにより、溝7は側板4と同一平面となる。図5で説明するが、側板4の羽根3と反対側の溝表面側には部材10を設置するためのくぼみ9を加工しておく。11は部材10と側板4との溶接部である。
【0030】
くぼみ9は羽根3と側板4をレーザ溶接する前に加工しておくが、羽根3と側板4をレーザ溶接すると側板4が変形して部材10が入らない場合がある。この場合、部材10が入るように再度くぼみ9を加工する。くぼみ9に部材10を設置後アーク溶接等を用いて、側板4と部材10を溶接部11する。溶接する場合、部材10は金属製であるが側板4と同じ材質でも異なる材質でもよい。このように溝7を部材10で覆うことにより、流体性能を低下させることがなくなる。また、肉盛溶接による熱変形をなくすこともできる。
【実施例2】
【0031】
本発明の第2の実施例を図5と図6を用いて説明する。
図5は部材を取付け前の溝の状態を示す断面図である。
図6は部材を取付けた後の溝の状態を示す断面図である。
図5,図6において、本実施例は溝を封止する部材10の固定方法として、溶接ではなくネジで固定するものである。側板4に羽根3をレーザで溶接後、側板の羽根3との反対側に位置する溝7の表面両側に加工したくぼみ9に部材10をはめ込む。くぼみ9の下面にはめネジ13を加工しておく。また、部材10にはネジ径よりすこし大きい貫通穴14を加工しておく。
【0032】
部材10の貫通穴14を通して、ネジ12がくぼみ9のめネジ位置にくるように部材
10に貫通穴14を開けておく。そして、ネジ12で部材10を側板4に固定する。羽根3と側板4をレーザで溶接後、側板4がほとんど熱変形しなければ、くぼみ9とめネジ
13は溶接前に加工しておいてもよい。しかし溶接による側板4の熱変形が大きければ、くぼみ9とめネジ13は溶接後に加工する。部材をネジで側板に固定することにより部材を側板に溶接する熱変形をなくすことができる。
【実施例3】
【0033】
本発明の他の実施例を図7を用いて説明する。
図7は部材を取付けた後の溝の状態を示す断面図である。
本実施例は溝を封止する部材の固定方法として、ロウ付けを用いる方法である。部材
10と側板4との間にロウ材を配置する。そして、ロウ材15が溶ける所定の温度に羽根車1全体を加熱する。ロウ材15が溶けることで側板4と部材10が一体となり、側板4に加工した溝7を封止することができる。ロウ材15としてはニッケル系や金系が使用されることが多い。本実施例ではロウ材を用いたが、接着剤を用いることもできる。ロウ付けや接着を用いると溶接やネジを締める作業に比べて作業工数を減らすことができる。
【実施例4】
【0034】
本発明の他の実施例を図8を用いて説明する。
本実施例は羽根と側板をレーザで溶接後肉盛を溝の途中まで行った後、部材10で溝7を封止する方法である。肉盛を数回行い、徐々に溝を埋めていき溝7を全て埋めることなく途中まで行う。
【0035】
このように途中まで行うことで溝7全てを肉盛16で埋めたときに比べ、側板4の熱変形を抑えることができる。また溝7を全く埋めないときに比べ、側板4の強度を増大させることができる。溝7を途中まで肉盛16で埋めた後、側板4の羽根と反対側の表面に加工したくぼみに部材10を設置する。この部材10は実施例1〜3に記載した方法で側板4に固定する。
【実施例5】
【0036】
本発明の他の実施例を図9を用いて説明する。
本実施例は側板に加工した溝を樹脂で埋める方法である。羽根3と側板4は実施例1と同じようにレーザで溶接する。溶接後、溝7に樹脂17を入れる。樹脂として不飽和ポリエステルを用いると室温で硬化させることができる。
【0037】
また、エポキシ等の加熱硬化型の樹脂を用いるときは、樹脂の硬化温度に羽根車1全体を上げる。樹脂17は溝7の上部からはみ出る位多めに溝に入れることが望ましい。そして、樹脂が硬化後、溝7からはみ出た樹脂はカッター等の工具で削り取ることになる。溝7を空けたままにしておくよりも溝7を樹脂で全て埋めた方が側板4の強度を増大させることができる。
【実施例6】
【0038】
本発明の他の実施例を図10を用いて説明する。
本実施例は側板4に加工した溝7を樹脂17で埋めた後、樹脂17の上部に部材10を設置する方法である。羽根3と側板4は実施例1と同じように溶接する。溶接後樹脂17で溝7を埋める。このときに使用する樹脂17は前述した室温で硬化させることができる不飽和ポリエステルや加熱硬化型のエポキシを用いる。
【0039】
このとき側板4の羽根3と反対側の表面に加工したくぼみ位置まで樹脂17を流し込むほうがよい。次に、溝7からくぼみ9にはみ出した樹脂17を削り、部材10がくぼみ9に収まるようにする。この状態で部材10を溶接,ロウ付け,ネジ,接着により側板4に固定する。このように樹脂上部に部材10を設置することで樹脂だけで溝を埋めたときよりも羽根車回転時の溝7の変形を低減することができる。
【0040】
本実施例と実施例5では溝7を樹脂で埋めたが、樹脂の代わりに金属とロウを混合した材料で埋めることもできる。金属とロウを混合した材料は樹脂よりもヤング率等の機械的性質が高いので、樹脂で封止するよりも羽根車回転時の溝の変形を低減することができる。
【実施例7】
【0041】
本発明の他の実施例を図11を用いて説明する。
本実施例は側板4の溝7を繊維強化樹脂で埋める方法である。羽根3と側板4をレーザで溶接後、溝7を繊維強化樹脂18で埋める。繊維強化樹脂18としては樹脂にウイスカや短繊維を分散させたものを用いたり、プリプレグと呼ばれるシートを複数枚積層したりしてもよい。プリプレグシートは樹脂中に繊維を一方向に配向したものである。また、ガラスマットと呼ばれるシートを溝に配置後、不飽和ポリエステル樹脂を含浸させる方法もある。
【0042】
これらの繊維としてはガラス,カーボン,アルミナなどがあり、樹脂としては不飽和ポリエステル,エポキシ等がある。さらに、実施例6のように繊維強化樹脂の上部に部材
10を設置してもよい。繊維強化樹脂は樹脂よりもヤング率等の機械的性質が高いので、樹脂で封止するよりも羽根車回転時の溝の変形を低減することができる。また、ロウの溶ける温度は通常1000℃程度の高温であるが、エポキシ樹脂の硬化温度は100〜300℃程度であり、熱変形を低減することができる。
【0043】
次に羽根と側板の溶接方法の工程を図4を参照して説明すると、まず側板4に機械加工等により溝7を加工しておく。この溝7を加工した側板4の溝7と反対側の所定の位置に羽根3を配置する。そして側板4の溝上部からレーザを照射して側板4と羽根3とを溶かして一体化させる。このとき羽根3と側板4が一体化した溶融部にはフィレットが形成されるようにする。この後、パウダーを投下しながらレーザを照射して溶かしたパウダーで溝7を埋めるという肉盛作業を行う。肉盛作業は通常複数回に分けて行い、徐々に溝を埋める。このようにして全ての羽根3と側板4とを溶接した後に側板4の最外周面を機械加工等により研削して羽根車の外径を所定の寸法に仕上げる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】一般的な羽根車の上面図である。
【図2】図2のA−A′断面図である。
【図3】側板と羽根の溶接部分を拡大した斜視図である。
【図4】第1の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図5】レーザ溶接を行う前の羽根と芯板の構造を示した溶接部分断面図である。
【図6】第2の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図7】第3の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図8】第4の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図9】第5の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図10】第6の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図11】第7の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 羽根車
2 芯板
3 羽根
4 側板
5 気体入口部
6 気体出口部
7 溝
8 フィレット
9 くぼみ
10 部材
11 溶接部
12 ネジ
13 めネジ
14 貫通穴
15 ロウ材
16 肉盛
17 樹脂
18 繊維強化樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接溝封止構造及びその溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機等に取付けられる羽根車は、羽根を側板に接合する場合一般的には溶接が用いられる。この溶接にて羽根車を製作するには、羽根高さや羽根の形状に制限がある。
【0003】
例えば、手が届かず溶接できない羽根車を製作するためには特許文献1,2に記載されているような液相拡散接合が用いられる場合がある。また、複雑な羽根車を製作する場合にはレーザスロット溶接が用いられる場合がある。
【0004】
これらの溶接では、羽根が溶接される側板あるいは芯板の羽根と反対側の表面に溝を加工しておき、この溝側からレーザを照射して側板あるいは芯板と羽根を溶かして溶接するものである。ただし、この方法は羽根と側板あるいは芯板を溶接後、パウダーを投下しながらレーザを照射して溶かしたパウダーで溝を埋めるという肉盛作業が必要になる。これは溝を空けたままでは羽根車の流体性能を著しく低下させてしまうからである。
【0005】
【特許文献1】特開平5−202701号公報
【特許文献2】特開平6−272696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術によると、羽根と側板あるいは芯板をレーザで溶接後、レーザ溶接のために側板あるいは芯板に加工した溝を肉盛して埋めると、肉盛による熱変形が生じてしまう。また、溝を空けたままにしておくと流体性能が低下するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、流体性能を低下させることなく熱変形を低減させることができる遠心圧縮機等の溶接溝封止構造及びその溶接方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、前記側板をレーザ溶接後の溝の前記羽根と反対側の表面に側板とは異なる部材を設置して、前記溝が前記側板と同一平面となるようにしたことにより達成される。
【0009】
また上記目的は、前記羽根と前記側板をレーザ溶接後に前記溝を途中まで埋めた後に、前記溝の表面に前記側板とは異なる部材を設置したことにより達成される。
【0010】
また上記目的は、前記側板とは異なる部材は前記側板に溶接されることにより達成される。
【0011】
また上記目的は、前記側板とは異なる部材は前記側板にネジで固定されることにより達成される。
【0012】
また上記目的は、前記側板とは異なる部材は前記側板にロウ付けで固定されることにより達成される。
【0013】
また上記目的は、円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、前記側板に加工した溝を樹脂で封止したことにより達成される。
【0014】
また上記目的は、前記樹脂の上部を前記側板とは異なる部材で覆ったことにより達成される。
【0015】
また上記目的は、前記溝を封止する樹脂材は繊維強化樹脂であることにより達成される。
【0016】
また上記目的は、円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、前記側板に加工した溝を金属とロウを混合した材料で封止したことにより達成される。
【0017】
また上記目的は、前記金属とロウを混合した材料の上部を前記側板とは異なる部材で覆ったことにより達成される。
【0018】
また上記目的は、円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接方法において、前記羽根が当接する前記側板の面の反対面に溝を形成する工程と、前記溝に向かってレーザを照射して前記羽根を溶かして前記側板と溶接する工程と、前記溝内に投入したパウダーを前記レーザで溶かして肉盛する工程と、前記肉盛された面を研削して前記側板と同一面に仕上げる工程とを備えたことにより達成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、流体性能を低下させることなく熱変形を低減させることができる遠心圧縮機等の溶接溝封止構造及びその溶接方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図に従い本発明の実施例を説明する。
【0021】
ところで、遠心圧縮機等の羽根車には芯板に取付けられた羽根の外周側に側板が取付けられたクローズドタイプと、側板がないオープンタイプとがある。オープンタイプでは芯板に羽根を溶接するにあたり、側板がないので羽根全長にわたり溶接作業者の手が届きアーク溶接等を用いることが可能である。
【0022】
しかし、クローズドタイプでは側板があることから羽根と芯板との溶接はおろか、羽根と側板との溶接も溶接作業者の手が届かずアーク溶接ができないという問題がある。この問題は遠心圧縮機だけでなくポンプや水車にも共通したことが言える。
【0023】
そこで、本発明は遠心圧縮機等の羽根車において、羽根と側板をレーザで溶接した後、溶接のために加工された側板側の溝を封止する構造を種々検討した結果以下のような各実施例を得た。
【0024】
本実施例では羽根と芯板が一体加工されたものにおいて、羽根に側板をレーザ溶接する構成で説明しているが、逆に羽根と側板が一体となっていて、羽根と芯板をレーザ溶接する場合にも適用することが可能である。
【0025】
まず一般的な圧縮機用羽根車の構成を図1,図2を使って説明する。
図1は一般的な遠心圧縮機用羽根車の上面図である。
図2は図1のA−A′線断面図である。
図1,図2において、1は羽根車全体を示す。羽根3は回転軸となる芯板2(図2に示す)に対して放射状に複数枚溶接されている。この羽根3の回転により図2に示す気体入口部5より吸い込んだ気体が遠心力によって気体出口部6へ圧縮・排出され、ここから決められた外部機器に送られるようになっている。4は側板であり、羽根3を覆うように羽根3自体に溶接されている。
【0026】
羽根3は機械加工等により芯板2上に設置されたり、芯板2と羽根3を所定形状に加工後、芯板2と羽根3を溶接したりしてもよい。そして、芯板2上に羽根3を設置後、羽根3を側板4に溶接する。このときの溶接がレーザ溶接である。
【0027】
尚、本実施例で説明する羽根車1は直径300mm程度で、後述する溝の幅は10mm程度を想定している。
【実施例1】
【0028】
以下、第1の実施例による羽根と側板のレーザ溶接について図3と図4を用いて説明する。
図3は溶接された羽根と側板の斜視図である。図4は芯板に取付けられた羽根と側板の溶接部分を示す部分断面図である。
図3,図4において、芯板2に固定された羽根3が側板4に当接された状態の対向する反対側面の側板4に溝7が設けられている。この溝4方向からレーザ照射されて羽根3と側板とが溶接される。溝7の幅は羽根3の板厚より少し大きめになっているほうがよい。レーザは側板4の溝7が加工されている面から照射されることによって側板4と羽根3が溶融して一体化する。8は羽根3と側板との溶接によって形成されたフィレット、すなわち角部に形成された丸み部分である。
【0029】
このようにして羽根3と側板4を溶接した後は溝7の肉盛溶接を行わずに、側板4の溝7を隠すように側板4とは異なる部材10を設けている。部材10はいわゆる蓋に相当するものであり、溝7をこの部材10(蓋)で覆うことにより、溝7は側板4と同一平面となる。図5で説明するが、側板4の羽根3と反対側の溝表面側には部材10を設置するためのくぼみ9を加工しておく。11は部材10と側板4との溶接部である。
【0030】
くぼみ9は羽根3と側板4をレーザ溶接する前に加工しておくが、羽根3と側板4をレーザ溶接すると側板4が変形して部材10が入らない場合がある。この場合、部材10が入るように再度くぼみ9を加工する。くぼみ9に部材10を設置後アーク溶接等を用いて、側板4と部材10を溶接部11する。溶接する場合、部材10は金属製であるが側板4と同じ材質でも異なる材質でもよい。このように溝7を部材10で覆うことにより、流体性能を低下させることがなくなる。また、肉盛溶接による熱変形をなくすこともできる。
【実施例2】
【0031】
本発明の第2の実施例を図5と図6を用いて説明する。
図5は部材を取付け前の溝の状態を示す断面図である。
図6は部材を取付けた後の溝の状態を示す断面図である。
図5,図6において、本実施例は溝を封止する部材10の固定方法として、溶接ではなくネジで固定するものである。側板4に羽根3をレーザで溶接後、側板の羽根3との反対側に位置する溝7の表面両側に加工したくぼみ9に部材10をはめ込む。くぼみ9の下面にはめネジ13を加工しておく。また、部材10にはネジ径よりすこし大きい貫通穴14を加工しておく。
【0032】
部材10の貫通穴14を通して、ネジ12がくぼみ9のめネジ位置にくるように部材
10に貫通穴14を開けておく。そして、ネジ12で部材10を側板4に固定する。羽根3と側板4をレーザで溶接後、側板4がほとんど熱変形しなければ、くぼみ9とめネジ
13は溶接前に加工しておいてもよい。しかし溶接による側板4の熱変形が大きければ、くぼみ9とめネジ13は溶接後に加工する。部材をネジで側板に固定することにより部材を側板に溶接する熱変形をなくすことができる。
【実施例3】
【0033】
本発明の他の実施例を図7を用いて説明する。
図7は部材を取付けた後の溝の状態を示す断面図である。
本実施例は溝を封止する部材の固定方法として、ロウ付けを用いる方法である。部材
10と側板4との間にロウ材を配置する。そして、ロウ材15が溶ける所定の温度に羽根車1全体を加熱する。ロウ材15が溶けることで側板4と部材10が一体となり、側板4に加工した溝7を封止することができる。ロウ材15としてはニッケル系や金系が使用されることが多い。本実施例ではロウ材を用いたが、接着剤を用いることもできる。ロウ付けや接着を用いると溶接やネジを締める作業に比べて作業工数を減らすことができる。
【実施例4】
【0034】
本発明の他の実施例を図8を用いて説明する。
本実施例は羽根と側板をレーザで溶接後肉盛を溝の途中まで行った後、部材10で溝7を封止する方法である。肉盛を数回行い、徐々に溝を埋めていき溝7を全て埋めることなく途中まで行う。
【0035】
このように途中まで行うことで溝7全てを肉盛16で埋めたときに比べ、側板4の熱変形を抑えることができる。また溝7を全く埋めないときに比べ、側板4の強度を増大させることができる。溝7を途中まで肉盛16で埋めた後、側板4の羽根と反対側の表面に加工したくぼみに部材10を設置する。この部材10は実施例1〜3に記載した方法で側板4に固定する。
【実施例5】
【0036】
本発明の他の実施例を図9を用いて説明する。
本実施例は側板に加工した溝を樹脂で埋める方法である。羽根3と側板4は実施例1と同じようにレーザで溶接する。溶接後、溝7に樹脂17を入れる。樹脂として不飽和ポリエステルを用いると室温で硬化させることができる。
【0037】
また、エポキシ等の加熱硬化型の樹脂を用いるときは、樹脂の硬化温度に羽根車1全体を上げる。樹脂17は溝7の上部からはみ出る位多めに溝に入れることが望ましい。そして、樹脂が硬化後、溝7からはみ出た樹脂はカッター等の工具で削り取ることになる。溝7を空けたままにしておくよりも溝7を樹脂で全て埋めた方が側板4の強度を増大させることができる。
【実施例6】
【0038】
本発明の他の実施例を図10を用いて説明する。
本実施例は側板4に加工した溝7を樹脂17で埋めた後、樹脂17の上部に部材10を設置する方法である。羽根3と側板4は実施例1と同じように溶接する。溶接後樹脂17で溝7を埋める。このときに使用する樹脂17は前述した室温で硬化させることができる不飽和ポリエステルや加熱硬化型のエポキシを用いる。
【0039】
このとき側板4の羽根3と反対側の表面に加工したくぼみ位置まで樹脂17を流し込むほうがよい。次に、溝7からくぼみ9にはみ出した樹脂17を削り、部材10がくぼみ9に収まるようにする。この状態で部材10を溶接,ロウ付け,ネジ,接着により側板4に固定する。このように樹脂上部に部材10を設置することで樹脂だけで溝を埋めたときよりも羽根車回転時の溝7の変形を低減することができる。
【0040】
本実施例と実施例5では溝7を樹脂で埋めたが、樹脂の代わりに金属とロウを混合した材料で埋めることもできる。金属とロウを混合した材料は樹脂よりもヤング率等の機械的性質が高いので、樹脂で封止するよりも羽根車回転時の溝の変形を低減することができる。
【実施例7】
【0041】
本発明の他の実施例を図11を用いて説明する。
本実施例は側板4の溝7を繊維強化樹脂で埋める方法である。羽根3と側板4をレーザで溶接後、溝7を繊維強化樹脂18で埋める。繊維強化樹脂18としては樹脂にウイスカや短繊維を分散させたものを用いたり、プリプレグと呼ばれるシートを複数枚積層したりしてもよい。プリプレグシートは樹脂中に繊維を一方向に配向したものである。また、ガラスマットと呼ばれるシートを溝に配置後、不飽和ポリエステル樹脂を含浸させる方法もある。
【0042】
これらの繊維としてはガラス,カーボン,アルミナなどがあり、樹脂としては不飽和ポリエステル,エポキシ等がある。さらに、実施例6のように繊維強化樹脂の上部に部材
10を設置してもよい。繊維強化樹脂は樹脂よりもヤング率等の機械的性質が高いので、樹脂で封止するよりも羽根車回転時の溝の変形を低減することができる。また、ロウの溶ける温度は通常1000℃程度の高温であるが、エポキシ樹脂の硬化温度は100〜300℃程度であり、熱変形を低減することができる。
【0043】
次に羽根と側板の溶接方法の工程を図4を参照して説明すると、まず側板4に機械加工等により溝7を加工しておく。この溝7を加工した側板4の溝7と反対側の所定の位置に羽根3を配置する。そして側板4の溝上部からレーザを照射して側板4と羽根3とを溶かして一体化させる。このとき羽根3と側板4が一体化した溶融部にはフィレットが形成されるようにする。この後、パウダーを投下しながらレーザを照射して溶かしたパウダーで溝7を埋めるという肉盛作業を行う。肉盛作業は通常複数回に分けて行い、徐々に溝を埋める。このようにして全ての羽根3と側板4とを溶接した後に側板4の最外周面を機械加工等により研削して羽根車の外径を所定の寸法に仕上げる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】一般的な羽根車の上面図である。
【図2】図2のA−A′断面図である。
【図3】側板と羽根の溶接部分を拡大した斜視図である。
【図4】第1の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図5】レーザ溶接を行う前の羽根と芯板の構造を示した溶接部分断面図である。
【図6】第2の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図7】第3の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図8】第4の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図9】第5の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図10】第6の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【図11】第7の実施例を備えた溶接部分断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 羽根車
2 芯板
3 羽根
4 側板
5 気体入口部
6 気体出口部
7 溝
8 フィレット
9 くぼみ
10 部材
11 溶接部
12 ネジ
13 めネジ
14 貫通穴
15 ロウ材
16 肉盛
17 樹脂
18 繊維強化樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、
前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、
前記側板をレーザ溶接後の溝の前記羽根と反対側の表面に側板とは異なる部材を設置して、前記溝が前記側板と同一平面となるようにしたことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項2】
請求項1記載の溶接溝封止構造において、
前記羽根と前記側板をレーザ溶接後に前記溝を途中まで埋めた後に、前記溝の表面に前記側板とは異なる部材を設置したことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項3】
請求項1記載の溶接溝封止構造において、
前記側板とは異なる部材は前記側板に溶接されることを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項4】
請求項1記載の溶接溝封止構造において、
前記側板とは異なる部材は前記側板にネジで固定されることを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項5】
請求項1記載の溶接溝封止構造において、
前記側板とは異なる部材は前記側板にロウ付けで固定されることを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項6】
円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、
前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、
前記側板に加工した溝を樹脂で封止したことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項7】
請求項6記載の溶接溝封止構造において、
前記樹脂の上部を前記側板とは異なる部材で覆ったことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項8】
請求項6記載の溶接溝封止構造において、
前記溝を封止する樹脂材は繊維強化樹脂であることを特徴とする溶接溝封止構造及びその溶接方法。
【請求項9】
円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、
前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、
前記側板に加工した溝を金属とロウを混合した材料で封止したことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項10】
請求項9記載の溶接溝封止構造において、
前記金属とロウを混合した材料の上部を前記側板とは異なる部材で覆ったことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項11】
円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、
前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接方法において、
前記羽根が当接する前記側板の面の反対面に溝を形成する工程と、前記溝に向かってレーザを照射して前記羽根を溶かして前記側板と溶接する工程と、前記溝内に投入したパウダーを前記レーザで溶かして肉盛する工程と、前記肉盛された面を研削して前記側板と同一面に仕上げる工程とを備えた溶接方法。
【請求項1】
円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、
前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、
前記側板をレーザ溶接後の溝の前記羽根と反対側の表面に側板とは異なる部材を設置して、前記溝が前記側板と同一平面となるようにしたことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項2】
請求項1記載の溶接溝封止構造において、
前記羽根と前記側板をレーザ溶接後に前記溝を途中まで埋めた後に、前記溝の表面に前記側板とは異なる部材を設置したことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項3】
請求項1記載の溶接溝封止構造において、
前記側板とは異なる部材は前記側板に溶接されることを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項4】
請求項1記載の溶接溝封止構造において、
前記側板とは異なる部材は前記側板にネジで固定されることを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項5】
請求項1記載の溶接溝封止構造において、
前記側板とは異なる部材は前記側板にロウ付けで固定されることを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項6】
円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、
前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、
前記側板に加工した溝を樹脂で封止したことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項7】
請求項6記載の溶接溝封止構造において、
前記樹脂の上部を前記側板とは異なる部材で覆ったことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項8】
請求項6記載の溶接溝封止構造において、
前記溝を封止する樹脂材は繊維強化樹脂であることを特徴とする溶接溝封止構造及びその溶接方法。
【請求項9】
円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、
前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接封止構造において、
前記側板に加工した溝を金属とロウを混合した材料で封止したことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項10】
請求項9記載の溶接溝封止構造において、
前記金属とロウを混合した材料の上部を前記側板とは異なる部材で覆ったことを特徴とする溶接溝封止構造。
【請求項11】
円板状の芯板と、この芯板の表面に対して所定の角度をもって放射状に複数枚取付けられた羽根と、この羽根の外縁に取付けられた側板とを備えた羽根車であって、
前記側板の表面に溝を加工し、この溝の裏面に前記羽根が当接されて前記溝の面からレーザを照射して前記側板と前記羽根を溶接する溶接方法において、
前記羽根が当接する前記側板の面の反対面に溝を形成する工程と、前記溝に向かってレーザを照射して前記羽根を溶かして前記側板と溶接する工程と、前記溝内に投入したパウダーを前記レーザで溶かして肉盛する工程と、前記肉盛された面を研削して前記側板と同一面に仕上げる工程とを備えた溶接方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−240584(P2008−240584A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80457(P2007−80457)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
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