説明

溶接用ウィーバ及びこの溶接用ウィーバを搭載した溶接装置

【課題】溶接トーチのメンテナンスが容易で、高速で溶接ワイヤの先端部を揺動させることが可能な溶接用ウィーバを得る。
【解決手段】溶接トーチ22が回動自在に設けられる本体部21と、溶接トーチ22に接続されるリンクバー24と、リンクバー24にロッド部26bが回動自在に接続されたリニアモータ26と、溶接トーチ22の先端が所定の波形で揺動するように、リニアモータ26を制御するウィーバ制御盤5と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接用ウィーバ及びこの溶接用ウィーバを搭載した溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接を行う自動溶接装置は、倣い制御により溶接ワイヤ先端の位置精度を確保する目的や、溶接品質の確保を目的として、従来より溶接ワイヤの先端部を揺動させる動作を行っている。このような溶接ワイヤ先端部を揺動させるものとしては、例えば「15は回転径可変の溶接トーチ、16は溶接ワイヤ、17は電極ノズル、18は電極ノズル17の先端に取り付けられた偏心チップであり、この偏心チップ18により電極ノズル17の中心を通る溶接ワイヤ16の先端16aの位置が軸芯より所定の距離だけ偏倚せしめられる。19は電極ノズル17の上端部を支持する自動調心ベアリングで、ギヤボックス20に取り付けられている。21は電極ノズル17の中間部を支持する自動調心ベアリングで、偏心回転筒体22の偏心位置に取り付けられており、偏心回転筒体22はベアリング23を介してギヤボックス20に回転自在に支持されている。24は上記回転径変更装置14の一方を構成する回転機構で、モータM1によりギヤ25,26を介して電極ノズル17を回転駆動する。27は回転径変更装置14の他方を構成する回転機構で、モータM2によりギヤ28,29を介して偏心回転筒体22を回転駆動する。これによって電極ノズル17は上部の自動調心ベアリング19を支点とする歳差運動をする。」(例えば特許文献1参照)という溶接トーチが提案されている。また、例えば「トーチ基部10の先端に取り付けられたワイヤ供給ノズル14と、ワイヤ供給ノズル14の対抗側面に配置された1対の永久磁石15と、永久磁石15の外側に配置された1対の電磁コイル16と、電磁コイル16に交番電圧を印加したときに、可どう部材13を中心にワイヤ5の先端をオシレートする消耗電極溶接トーチ3と、体積膨張素子33を用いた1対のヒンジ機構31を具備し、前記1対のヒンジ機構31は、ワイヤ5のオシレートする方向に、ワイヤ供給ノズル14の対向側面に配設し、体積膨張素子33に引加する電圧により、前記ワイヤ5の先端のオシレート幅を調整できることを特徴とする。」(例えば特許文献2参照)という溶接トーチが提案されている。また、溶接トーチ全体を揺動させて溶接ワイヤの先端部を揺動させるるものとしては、例えば「溶接トーチ1と、この溶接トーチ1を保持して溶接トーチ1を水平方向に移動する水平移動部9および溶接トーチ1を垂直方向に移動する垂直移動部8を有する駆動機構と、溶接トーチ1により溶接される溶接線の位置を検出する溶接線検出手段と、溶接トーチ1がオシレート運動を行うように水平移動部9および垂直移動部8をコントロールするとともに溶接線検出手段より検出した溶接線の位置ずれを補正するように水平移動部9および垂直移動部8をコントロールする制御装置とを備えている。」(例えば特許文献3参照)という溶接装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−23856号公報(段落0010、図3,4)
【特許文献2】特開平10−6015号公報(要約、図1)
【特許文献3】特開平9−192835号公報(要約、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶接トーチは、アーク溶接時に発生するスパッタ等が溶接トーチ内に侵入してしまう。このため、定期的に溶接トーチをメンテナンスする必要がある。しかしながら、溶接トーチ内のチップボディ(特許文献1における電極ノズル、特許文献2におけるワイヤ供給ノズル)を揺動させる溶接トーチ(例えば特許文献1及び特許文献2参照)は、その構造が複雑なため、メンテナンスしにくいという問題点があった。
【0005】
また、溶接品質を確保するためには溶融池内を十分に撹拌する必要がある。しかしながら、溶接トーチ全体を揺動させる溶接装置(例えば特許文献3参照)では、重量のある溶接トーチを直線運動させることにより溶接ワイヤの先端を揺動させているため、高速で溶接ワイヤの先端部を揺動させることができないという問題点があった。
【0006】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、溶接トーチのメンテナンスが容易で、高速で溶接ワイヤの先端部を揺動させることが可能な溶接用ウィーバ及びこの溶接用ウィーバを搭載した溶接装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る溶接用ウィーバは、溶接トーチが回動自在に設けられる本体部と、前記溶接トーチに接続されるリンクバーと、該リンクバーに可動部が回動自在に接続された直動アクチュエータと、前記溶接トーチの先端が所定の波形で揺動するように、前記直動アクチュエータを制御する制御装置と、を有するものである。
【0008】
また、本発明に係る溶接装置は、上記の溶接用ウィーバを搭載したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、従来からあるシンプルな構造の溶接トーチの先端部(溶接ワイヤの先端部)を、リンク機構により揺動させる。このため、溶接トーチのメンテナンスが容易となる。また、重量のある溶接トーチであっても、溶接トーチ先端部(溶接ワイヤの先端部)を高速で揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る溶接装置を示すシステム構成図である。
【図2】実施の形態に係る溶接用ウィーバを示す縦断面模式図である。
【図3】実施の形態に係る溶接トーチの揺動状態を示す概略図である。
【図4】実施の形態に係る溶接トーチ先端の揺動波形の一例を示す特性図である。
【図5】実施の形態に係る溶接装置の溶接姿勢の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態.
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る溶接装置を示すシステム構成図である。
溶接装置100は、溶接ロボット1、溶接ロボット制御盤2、送給装置3、溶接電源4、ウィーバ制御盤5及び溶接用ウィーバ20等から構成されている。溶接ロボット1は例えばロボットアームであり、アームの先端部には、ウィーバ用ブラケット1aを介して溶接用ウィーバ20が設けられている。
【0012】
この溶接ロボット1は、ロボット動力線6及びロボット信号線7を介して溶接ロボット制御盤2と接続されている。溶接ロボット制御盤2は、溶接ロボット1の姿勢制御等を行うものであり、ロボット動力線6を介して溶接ロボット1に動力を供給し、ロボット信号線7を介して溶接ロボットを所定の姿勢に制御する。溶接ロボット制御盤2は、その動力源として、例えば3相200Vの商用電源に接続されている。
【0013】
溶接用ウィーバ20には、溶接トーチ22、リニアモータ26及びリニアスケール29等が設けられている。溶接トーチ22は、トーチケーブル8を介して送給装置3と接続されており、送給装置3から溶接ワイヤが供給される。リニアモータ26は、ウィーバ動力線10及びホールセンサ信号線12を介してウィーバ制御盤5と接続されている。リニアスケール29は、リニアスケール信号線11を介してウィーバ制御盤5と接続されている。
【0014】
ウィーバ制御盤5は、その動力源として、例えば3相200Vの商用電源に接続されている。また、ウィーバ制御盤5は、ホールセンサ信号線12を介して、リニアモータ26のコイル部26aを流れる電流の値を受信する。また、ウィーバ制御盤5は、リニアスケール信号線11を介してリニアモータ26のロッド部26bの位置情報を受信する。ウィーバ制御盤5は、これら電流値及び位置情報に基づいてリニアモータ26を駆動させ、溶接トーチ22の先端部を所定の波形で揺動させる。また、ウィーバ制御盤5は、溶接トーチ22先端(ロッド部26b)の位置情報を溶接ロボット制御盤2に送信するため、アークセンシングタイミング信号線13を介して溶接ロボット制御盤2と接続されている。ここで、ウィーバ制御盤5が本発明の制御装置に相当する。なお、溶接用ウィーバ20の詳細構造については後述する。
【0015】
送給装置3は溶接電源4と接続されており、溶接電源4は溶接電源制御信号線9を介して溶接ロボット制御盤2と接続されている。また、溶接電源4は、その動力源として、例えば3相200Vの商用電源に接続されている。この溶接電源4は、タッチセンサユニットを内蔵している。タッチセンサユニットは、溶接トーチ22の先端又は溶接ワイヤの先端を被溶接物に数点接触させたときに生じる印加電圧変化から溶接線等を検出する。また、溶接電源4は、アーク溶接時のアーク電流やアーク電圧を検出する。アーク溶接時のアーク電流やアーク電圧は、溶接電源制御信号線9を介して溶接ロボット制御盤2に送信される。溶接ロボット制御盤2は、アーク溶接時のアーク電流やアーク電圧に基づき、溶接トーチ22の先端(溶接ワイヤの先端)の位置精度を確保するための倣い制御を行う。
【0016】
(溶接用ウィーバ)
次に、本実施の形態に係る溶接用ウィーバ20の構造について説明する。
図2は本発明の実施の形態に係る溶接用ウィーバを示す縦断面模式図である。なお、以下の説明では、図2における右側を前側、図2における上側を上側、図2における紙面直交方向手前側を手前側として説明する。
【0017】
溶接用ウィーバ20は、本体部21、溶接トーチ22、回動軸23、リンクバー24、連結部材25、リニアモータ26、リニアセンサヘッド28及びリニアスケール29等から構成されている。本体部は、ベースプレート21aと、このベースプレート21aの手前側及び奥側の側縁部に立設された一対のサイドプレート21bから構成されている。ベースプレート21aの下面部にウィーバ用ブラケット1aが接続されることにより、溶接用ウィーバ20は溶接ロボット1のアーム先端部に設けられている。
【0018】
サイドプレート21bのそれぞれには、回動軸23の一端が回動自在に接続されている。回動軸23のそれぞれの他端は、溶接トーチ22に接続されている。この溶接トーチ22は、本体部22a、及びチップボディ等が内蔵されたトーチボディ22b等から構成されている。回動軸23のそれぞれの他端は、本体部22aと接続されている。つまり、溶接トーチ22は、回動軸23を介して本体部21(より詳しくはサイドプレート21b)に回動自在に設けられている。このとき、溶接トーチ22(トーチボディ22b)の先端部が前方を向くように、溶接トーチ22は本体部21に回動自在に設けられている。また、手前側の回動軸23(つまり、溶接トーチ22の手前側)には、リンクバー24の一端が接続されている。このリンクバー24の他端には、後述のピン25aが挿入される長穴24aが形成されている。なお、本実施の形態では各回動軸23の他端を直接溶接トーチ22に接続したが、各回動軸23の他端をホルダに接続し、このホルダに溶接トーチ22を着脱自在に設けてもよい。このように構成することにより、溶接用ウィーバ20からの溶接トーチ22の着脱が容易となる。
【0019】
ベースプレート21aの上面部には、リニアモータ26が設けられている。このリニアモータ26は、溶接トーチ22の本体部22aの軸線に沿って設けられている。このようにリニアモータ26を配置することにより、溶接用ウィーバ20を小型化することができる。溶接用ウィーバ20を小型化することにより、被溶接物に溶接用ウィーバ20が接触することを防止できる。リニアモータ26は、コイル部26a、及びこのコイル部26aに摺動自在に挿入されたロッド部26b等から構成されている。コイル部26aがベースプレート21aの上面部に固定され、ロッド部26bが前後方向に移動可能となっている。ここで、リニアモータ26が本発明の直動アクチュエータに相当する。また、ロッド部26bが本発明の可動部に相当する。なお、リニアモータ26は、本実施の形態に示す形状のものに限らず、種々の形状のリニアモータを使用することができる。
【0020】
ロッド部26bの前側端部には、連結部材25が取り付けられている。この連結部材25にはピン25aが立設されている。このピン25aがリンクバー24の長穴24aに挿入されることにより、溶接トーチ22とリニアモータ26(より詳しくはロッド部26b)がリンク接続されている。ピン25aが長穴24aに挿入された状態において、ピン25aは、回動自在となっており、長穴24a内を摺動自在となっている。
【0021】
ベースプレート21aの上面部後方には凹部21cが形成されており、この凹部21cにはリニアセンサヘッド28及びリニアスケール29が収納されている。リニアセンサヘッド28は、ロッド部26bの後側端部に設けられたセンサヘッド用ブラケット27に取り付けられており、前後方向に移動可能となっている。これらリニアセンサヘッド28及びリニアスケール29によって、ロッド部26bの位置を検出する。つまり、これらリニアセンサヘッド28及びリニアスケール29によって、溶接トーチ22の先端の位置を検出する。このようにリニアセンサヘッド28及びリニアスケール29を設けることにより、溶接用ウィーバ20をさらに小型化することができる。なお、リニアセンサヘッド28及びリニアスケール29の設置位置は凹部21c内に限らず、例えば、サイドプレート21bにリニアセンサヘッド28及びリニアスケール29を設けてもよい。
【0022】
(動作)
続いて、本実施の形態に係る溶接トーチ22の揺動動作について説明する。
図3は、本発明の実施の形態にかかる溶接トーチ先端の揺動状態を示す概略図である。図3に示すように、ロッド部26bが後方へ移動すると、連結部材25のピン25aもリンクバー24の長穴24a内を摺動して後方へ移動する。そして、溶接トーチ22が回動軸23を中心として回転し、溶接トーチ22の先端が下方向へ移動する。また、ロッド部26bが前方へ移動すると、連結部材25のピン25aもリンクバー24の長穴24a内を摺動して前方へ移動する。そして、溶接トーチ22が回動軸23を中心として回転し、溶接トーチ22の先端が上方向へ移動する。したがって、ロッド部26bを前後方向に移動させることにより、溶接トーチ22の先端が上下方向に揺動する。このように溶接トーチ22を回動させて溶接トーチ22先端を揺動させることにより、溶接トーチ22先端を高速で揺動させることが可能となる。このため、溶融池を十分に撹拌することができ、良好な溶接品質を確保することができる。本実施の形態では、溶接トーチ22先端を10[Hz]で揺動させている。
【0023】
なお、本実施の形態では、溶接トーチ22先端の上下方向の振幅St2がロッド部26bの前後方向の移動量St1の5倍となるように、リンクバー24の形状等(より詳しくは、回動軸23中心と長穴24aとの距離等)を設定している。これらSt1とSt2のストローク比、溶接トーチ22先端の揺動速度、及び溶接トーチ22の重量等を考慮して直動アクチュエータを選定した結果、本実施の形態ではリニアモータ26が最も溶接用ウィーバ20を小型化できるという結論に達した。このため、直動アクチュエータとしてリニアモータ26を使用している。しかしながら、直動アクチュエータの選定条件によっては、種々の直動アクチュエータの使用が可能である。例えば、ボールネジをサーボモータ等で駆動させる直動アクチュエータを用いてもよい。
【0024】
この溶接トーチ22の先端の揺動は、ウィーバ制御盤5によって任意の波形とすることができる。
図4は、本発明の実施の形態に係る溶接トーチ先端の揺動波形の一例を示す特性図である。この図4は、横軸が時間を表し、縦軸が溶接トーチ先端の振幅を表している。
【0025】
例えば波形Aに示すように、溶接トーチ22先端の揺動波形を三角波形とすることができる。このように溶接トーチ22の先端を揺動させることにより、溶接トーチ22先端を、溶接トーチ全体を揺動させる従来の溶接装置(例えば特許文献3参照)と同様の揺動波形とすることができる。
また、例えば波形Bに示すように、振幅の両端で溶接トーチ22先端の揺動を停止させ、溶接トーチ22先端の揺動波形を台形波形とすることもできる。このように溶接トーチ22の先端を揺動させることにより、例えばオーバーラップのような溶接不良を防止することができる。
【0026】
また、例えば波形Cに示すように、溶接トーチ22先端の揺動波形を正弦波形とすることもできる。このように溶接トーチ22の先端を揺動させることにより、溶接トーチ22先端を、従来の溶接トーチ内のチップボディを揺動させる溶接トーチ(特許文献1及び特許文献2参照)と同様の揺動波形とすることができる。
また、例えば波形Dに示すように、溶接トーチ22先端の揺動波形を5次波形とすることもできる。このように溶接トーチ22の先端を揺動させることにより、溶接トーチ22や溶接用ウィーバ20の振動を抑制することができる。
【0027】
また、ウィーバ制御盤5への簡単な入力操作により、溶接トーチ22先端の振幅を容易に変更することもできる。例えば開先幅が途中で変化する被溶接物の場合、溶接途中で溶接トーチ22先端の振幅を変化させるような溶接をすることも可能である。また、溶接トーチ22先端の上方向の振幅と下方向の振幅とを異ならせることも可能である。
【0028】
また、本実施の形態に係る溶接用ウィーバ20は、溶接トーチ22先端の揺動中心を変更することも可能である。つまり、リニアモータ26のロッド部26bの振幅中心を変更することにより、溶接トーチ22先端の揺動中心を変更することができる。
例えば、図5に示すような狭隘部においては、溶接用ウィーバ20が溶接トーチ22先端の揺動中心を変更することができなければ、図5(a)に示すように本体部21の後端部等がワークに接触してしまい、隅肉溶接等を行うことができない。しかしながら、本実施の形態に係る溶接用ウィーバ20は、溶接トーチ22先端の揺動中心を変更することができる。このため、溶接部に対する溶接トーチ22の角度を良好に保ちつつ、本体部21がワークに接触することを防止できる。
【0029】
このように構成された溶接用ウィーバにおいては、溶接トーチ22とリニアモータ26がリンク接続され、リンク機構により溶接トーチ22の先端を揺動させる。このため、従来より存在するシンプルな構造の溶接トーチ22(つまり、溶接トーチ内でチップボディを揺動させない溶接トーチ)を用いることができる。したがって、アーク溶接時に発生するスパッタ等が溶接トーチ22内に侵入した場合でも、溶接トーチ22のメンテナンスが容易となる。また、溶接トーチ22先端を高速で揺動させることができる。
【0030】
シンプルな構造の溶接トーチ22を高速揺動できる溶接用ウィーバ20、及びこの溶接用ウィーバ20を搭載した溶接装置100は、コスト面でも非常に有効である。溶接トーチ内でチップボディを揺動させる溶接トーチは、その構造が複雑なため価格が高い。このため、溶接トーチを交換する際(設備を維持するため)にコストがかかってしまう。しかしながら、本実施の形態に係る溶接用ウィーバ20及び溶接装置100は、低価格であるシンプルな構造の溶接トーチ22を使用することができるので、設備を維持するためのコストを低減することができる。
【0031】
また、リニアモータ26は溶接トーチ22の本体部22aの軸線に沿って設けられている。このため、溶接用ウィーバ20を小型化することができる。
【0032】
また、直動アクチュエータとしてリニアモータ26を用いているので、溶接用ウィーバ20をさらに小型化することができる。
【0033】
なお、本実施の形態では、連結部材25のピン25aがリンクバー24の長穴24aに挿入された状態において、ピン25aは、回動自在となっており、長穴24a内を摺動自在となっている。しかしながら、溶接トーチ22とリニアモータ26がリンク接続されていれば、その接続方法は任意である。例えば、リンクバー24にピン25aを形成し、連結部材25に長穴24aを形成してもよい。また、例えば、ピン25aを長穴24a内で摺動自在とする必要はない。リニアモータ26のコイル部26aを本体部21に回動自在に取り付けることにより、溶接トーチ22の先端を揺動させることは可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 溶接ロボット、1a ウィーバ用ブラケット、2 溶接ロボット制御盤、3 送給装置、4 溶接電源、5 ウィーバ制御盤、6 ロボット動力線、7 ロボット信号線、8 トーチケーブル、9 溶接電源制御信号線、10 ウィーバ動力線、11 リニアスケール信号線、12 ホールセンサ信号線、13 アークセンシングタイミング信号線、20 溶接用ウィーバ、21 本体部、21a ベースプレート、21b サイドプレート、21c 凹部、22 溶接トーチ、22a 本体部、22b トーチボディ、23 回動軸、24 リンクバー、24a 長穴、25 連結部材、25a ピン、26 リニアモータ、26a コイル部、26b ロッド部、27 センサヘッド用ブラケット、28 リニアセンサヘッド、29 リニアスケール、100 溶接装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接トーチが回動自在に設けられる本体部と、
前記溶接トーチに接続されるリンクバーと、
該リンクバーに可動部が回動自在に接続された直動アクチュエータと、
前記溶接トーチの先端が所定の波形で揺動するように、前記直動アクチュエータを制御する制御装置と、
を有することを特徴とする溶接用ウィーバ。
【請求項2】
前記直動アクチュエータは、
前記溶接トーチの本体部の軸線に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の溶接用ウィーバ。
【請求項3】
前記直動アクチュエータは、リニアモータであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶接用ウィーバ。
【請求項4】
前記溶接トーチの先端の揺動中心は変更可能であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の溶接用ウィーバ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の溶接用ウィーバを搭載したことを特徴とする溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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