説明

溶接用ロボット

【課題】一線式パワーケーブルに外力が掛かり、パワー導体部がねじれても、ワイヤの突出し長さが変動することがない溶接用ロボットを提供する。
【解決手段】上アームと、手首部と、手首部に取り付けたトーチと、上アームの後端部に取り付けたワイヤ送給機と、コイルライナと、コイルライナが軸芯部を挿通するパワー導体部とを備え、パワー導体部の後端部をワイヤ送給機のワイヤ送出部に取り付けパワー導体部が上アーム及び胴体に形成したケーブル挿通孔を通過して胴体の長手方向に延びてパワー導体部の先端部をトーチに取り付け、コイルライナの後端部をパワー導体部の後端部に挿入して固定しその先端部をトーチの後端部のライナ挿通孔に挿入する溶接用ロボットにおいて、トーチの後端部のライナ挿通孔にコイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を備えた溶接用ロボット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接用ロボットの溶接用トーチに接続された一線式パワーケーブルの改良された取り付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、溶接の作業能率を向上させるために、溶接用ロボットを用いて溶接を自動化することが広く行われている。図5は、多関節ロボットを使用したときの溶接用ロボットの一般的な構成を示す図である。同図において、マニピュレータ1の手首部2の先端に、溶接用トーチ3が取り付けられ、ワイヤリール4に巻かれた溶接用ワイヤ5が、マニピュレータ1に取り付けられたワイヤ送給機6によって溶接用トーチ3に送給される。また、溶接用電源装置7から溶接用トーチ3に電力が供給され、ガスボンベ8から溶接用トーチ3にシールドガスが供給される。ティーチペンダント9からロボット制御装置10に指令信号が入力され、このロボット制御装置10からの信号がマニピュレータ1に入力されて、第1軸乃至第6軸から成る6つの軸を回転させて、溶接用トーチ3の先端位置が制御される。
【0003】
従来、マニピュレータ1を動作させて第6軸を回転させたときに、溶接用トーチ3に溶接用ワイヤ、シールドガス及び電力を供給する一線式パワーケーブルがマニピュレータ1の手首部2と干渉するという課題があった。この課題を解決するために、図6に示すような、一線式パワーケーブルが上アームを挿通する配線構造を有する溶接用ロボットのマニピュレータが提案されていた。図6は、一線式パワーケーブルが上アームを挿通する配線構造を有する溶接用ロボットのマニピュレータを示す図である。
【0004】
図6に示すマニピュレータ1おいて、旋回ベース14が基台13の上に取り付けられ、第1軸J1回りに旋回する。下アーム15が旋回ベース14の上に取り付けられ、第2軸J2回りに揺動する。上アーム16が下アーム15の上端に取り付けられ、第3軸J3回りに揺動する。胴体17が上アーム16の先端部に取り付けられて、上アーム16の長手方向の第4軸J4(手首第1軸)回りに回転する。揺動体19が胴体17の先端部に取り付けられて、第4軸J4(手首第1軸)に直交する第5軸J5(手首第2軸)回りに揺動する。回転体20が揺動体19の先端部に取り付けられて、第5軸J5(手首第2軸)に直交する第6軸J6(手首第3軸)回りに回転する。回転体20に溶接用トーチ3が取り付けられている。第1軸J1乃至第6軸J6には、減速機を介したモータが設けられていて、ロボット制御装置10(図5参照)からの指令を入力して駆動される。
【0005】
また、ワイヤリール4がマニピュレータ1に取り付けられている。下アーム15の上端で揺動する揺動台21にワイヤ送給機6が取り付けられ、上アーム16の後端部が、この揺動台21に支持されている。ワイヤリール4に巻かれた溶接用ワイヤが、ワイヤ送給機6から第4軸J4(手首第1軸)に略平行に送出される。上アーム16は、減速機22を介したモータ23によって作動する。ワイヤ送給機6によって送出される溶接用ワイヤは、後述する図7に示すように、一線式パワーケーブル12の中心を進行して、溶接用トーチ3に供給される。
【0006】
マニピュレータ1には第1軸J1乃至第6軸J6が設けられて、それぞれの軸が矢印で示したように旋回、揺動又は回転することによって、溶接用トーチ3の先端位置や姿勢を変化させることができる。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
次に、図7乃至図9を参照して、一線式パワーケーブルについて説明する。図7は、一線式パワーケーブルの外観を示す図であり、図8は、一線式パワーケーブルの横断面図であり、図9は、一線式パワーケーブルの後端部の給電部材への取り付け構造を説明する図であって、同図(A)は一線式パワーケーブルの後端部の分解断面図であり、同図(B)は一線式パワーケーブルの後端部を組み立てたときの断面図である。
【0008】
まず、図7を参照して、一線式パワーケーブル12の外観を説明する。以下、符号の添え字aは、その機能の先端部を示し、添え字bは、後端部を示す。一線式パワーケーブル12は、パワー導体部11とコイルライナ25(図8参照)とから成る。このパワー導体部の後端部11bが給電部材30に取り付けられ、この給電部材30は、ガイドアダプタ31を介してワイヤ送給機6(図6参照)に取り付けられている。また、パワー導体部の先端部11aは、溶接用トーチ(図6参照)の後端部3bに取り付けられている。コイルライナの後端部25bは、図9で後述するように、給電部材30に取り付けられ、その先端部25aは、溶接用トーチ(図6参照)の後端部3bに挿入される。
【0009】
給電部材30には、ホース連結部32を介してガスホース33が連結され、また、給電ケーブル連結部34を介して給電ケーブル35(図9参照)が連結されている。ショックセンサ用制御ケーブル36がパワー導体部11の外周に沿って配設されていて、その後端部36bがロボット制御装置10(図5参照)に接続され、その先端部36aが溶接用トーチ3に取り付けられたショックセンサ42(図6参照)に接続されている。
【0010】
次に、図8を参照して、一線式パワーケーブル12の内部構造を説明する。一線式パワーケーブル12は、中心に溶接用ワイヤ5をガイドするためのコイルライナ25が設けられ、その外周にシールドガスを流すためのホース26が設けられている。このホース26の外周には、電力を供給するための複数の導電線を押え巻きテープ28で1つに束ねるように巻かれて導電体27を形成し、シース29が押え巻きテープ28を被覆して導電体27を絶縁している。
【0011】
コイルライナ25は、その中を溶接用ワイヤ5が挿通するために、コイルライナ25が摩耗したり損傷したりする。また、溶接用ワイヤの削り粉がコイルライナ25内に堆積したり、この削り粉がコンタクトチップまで運ばれることがある。この場合、溶接用ワイヤ5を安定して送給することができなくなる。このために、コイルライナ25を頻繁に掃除したり、交換する必要がある。
【0012】
そこで、コイルライナ25を一線式パワーケーブル12から取り出し易くするために、一線式パワーケーブル12を、パワー導体部とコイルライナ25とから形成している。このパワー導体部は、軸芯部をコイルライナ25が挿通するホース26とその外周に巻かれた導電体27とこの導電体27を被覆するシース29とが一体化して形成し、コイルライナ25は、パワー導体部と一体化していない。
【0013】
次に、図9を参照して一線式パワーケーブルの後端部を給電部材へ取り付ける構造を説明する。給電部材の先端部30aからパワー導体部の後端部11bを挿入して固定する。コイルライナの後端部25bにストップナット37を取り付けている。このコイルライナ25は、その先端部25a(図7参照)からパワー導体部11に挿入して、ストップナット37が給電部材のストップナット当接面30cに引っ掛かって止まる。
【0014】
ガイドアダプタ31の中にインレットガイド38が設けられて、ガイドアダプタの先端部31aを給電部材の後端部30bに嵌め合わせる。同時に、インレットガイドの先端部38aを、ストップナット37に当接して、コイルライナの後端部25bをパワー導体部の後端部30bに固定する。ガイドアダプタの後端部31bを、ワイヤ送給機6(図6参照)のワイヤ送出口6cに挿入して固定する。これらのインレットガイド38及びコイルライナ25によって、ワイヤ送給機6が送出した溶接用ワイヤ5を、溶接用トーチ3(図6参照)まで送給する。
【0015】
また、給電ケーブル連結部34に給電ケーブル35を連結し、ガスホース連結部32にガスホース33(図7参照)を連結する。給電部材30は導電性を有するので、給電ケーブル35から供給された電力が給電部材30を流れて、パワー導体部11へ供給される。また、ガスホース33からのシールドガスが給電部材30の内部を流れて、パワー導体部11へ供給される。
【0016】
このパワー導体部11が、図6に示した上アーム16及び胴体17の挿通孔を通過して、胴体17の長手方向に延びて、パワー導体部11の先端部が溶接用トーチの後端部3bに固定されている。コイルライナの先端部25a(図7参照)を、溶接用トーチ3内に形成したライナ挿通孔41(図1参照)に挿入している。このコイルライナ25は上述したように、頻繁に掃除したり、交換する必要がある。従って、取り出しを容易にするために、先端部25aを固定していない。
【0017】
上述したように、図6に示した従来技術の溶接用ロボットは、一線式パワーケーブル12が、上アーム16及び胴体17の挿通孔を通過して、胴体17の長手方向に延びて溶接用トーチの後端部3bに接続されている。そのために、マニピュレータ1を動作させたときに、一線式パワーケーブル12が胴体17、被溶接物又は治具等と干渉することを軽減させることができるので、マニピュレータ1を自在に動作させることができ、最適な溶接用トーチ3の姿勢を取ることができる。しかし、後述する課題を有する。
【特許文献1】特開2004−358649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
溶接用トーチ3が被溶接物に対して、最も適切な溶接姿勢をとるために、マニピュレータ1の上アーム16を回転させて、揺動体19を揺動し、回転体20を回転させる。この結果、ワイヤ送給機6から上アーム16と胴体17を挿通して溶接用トーチ3まで延びている一線式パワーケーブル12に、ねじり、曲げ、引っ張りなどの外力が掛かる。一線式パワーケーブル12は、上述したように、パワー導体部11とコイルライナ25とから成り、このパワー導体部11とコイルライナ25とのそれぞれの後端部は一体化しているが、それ以外は一体化していない。また、パワー導体部11内のホース26とコイルライナ25との間には、隙間がある。そのために、一線式パワーケーブル12に外力が掛かると、コイルライナ25がホース26内で動き回り、溶接用ワイヤ5を安定して送給することができない。
【0019】
そして、溶接用トーチ3の先端部3aに取り付けたコンタクトチップに溶接用ワイヤ5が内接触することによって溶接用ワイヤ5に電力が供給される。この場合、溶接用ワイヤ5を安定して送給することができなければ、コンタクトチップ内での溶接用ワイヤ5との接触点が一定にならない。この結果、コンタクトチップ内での溶接用ワイヤ5との接触点から溶接用ワイヤ5の先端までの長さである突出し長さが一定にならない。そのために、溶接用ワイヤ5の溶融量が一定にならず、溶け込み形状を均一にすることができない。
【0020】
さらに、溶接用ワイヤ5とコンタクトチップとの接触点が一定にならないために、この接触点が移動するごとにアーキングが発生するために、コンタクトチップが摩耗しやすくなり、コンタクトチップの寿命が短縮される。
【0021】
また通常、パワー導体部11の導電体27は撚り線構造であり、その場合、パワー導体部11がねじれると、パワー導体部11自体が、ねじれる方向によって伸びたり縮んだりするために、パワー導体部11の伸縮の変化量が大きい。図6に示した溶接用ロボットの場合、手首部2の回転体20が+180度から−180度まで回転すると、パワー導体部11の長さは、例えば、最大の伸びが5mmで、最大の縮みが5mmとなり、全変化量は10mmにも達した。
【0022】
一方、上述したように、コイルライナの後端部25bは、パワー導体部の後端部11bに固定されているが、先端部25aは、溶接用トーチ3のライナ挿通孔41に挿入されているだけで、固定されていない。そのために、パワー導体部11がねじれても、コイルライナ25及び溶接用ワイヤ5の長さは変化しない。その結果、溶接用ワイヤ5の突出し長さが、パワー導体部11の長さが伸びたときは、短くなり、逆にパワー導体部11の長さが縮んだときは、長くなり、溶接用ワイヤ5の突出し長さが一定にならない。
【0023】
従って、溶接用ワイヤ5の先端位置を所望の溶接狙い位置に一致させることができなくなり、均一で美麗な溶接ビード外観を得ることができない。また、溶接用ワイヤ5の突出し長さが一定にならないために、溶接用ワイヤ5の溶融量が一定にならず、溶け込み形状を均一にすることができない。さらに、アークスタート時に、溶接用ワイヤ5の先端が被溶接物に接触してアークスタートが失敗したり、溶接用ワイヤ5のスローダウン時間が延長されて、タクトタイムのロスが生ずるなど、不具合が発生していた。
【0024】
本発明は、一線式パワーケーブル12に、ねじり、曲げ、引っ張りなどの外力が掛かり、パワー導体部11がねじれて、伸縮しても、溶接用ワイヤ5の突出し長さが変動することがなく、溶接用ワイヤ5の溶融量を一定にすることができ、溶け込み形状を均一にすることができる溶接用ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、第1の発明は、
上アームと、
この上アームの先端部に取り付けた手首部と、
この手首部に取り付けた溶接用トーチと、
前記上アームの後端部に取り付けて溶接用ワイヤを送出するワイヤ送給機と、
前記溶接用ワイヤをガイドするコイルライナと、
前記コイルライナが軸芯部を挿通するホースとその外周に巻いた電力を供給する導電体とこの導電体を被覆するシースとから成るパワー導体部とを備え、
前記パワー導体部の後端部を前記ワイヤ送給機のワイヤ送出部に取り付け前記パワー導体部が前記上アーム及び前記胴体に形成したケーブル挿通孔を通過して前記胴体の長手方向に延びて前記パワー導体部の先端部を前記溶接用トーチに取り付け、
前記コイルライナの後端部を前記パワー導体部の後端部に挿入して固定しその先端部を前記溶接用トーチの後端部のライナ挿通孔に挿入する溶接用ロボットにおいて、
前記溶接用トーチの後端部のライナ挿通孔に前記コイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を備えたことを特徴とする溶接用ロボットである。
【0026】
第2の発明は、
第1の発明に記載のライナ固定手段が、前記溶接用トーチの後端部のライナ挿通孔の外側から内側方向に貫通して取り付けた押えねじを備え、
この押えねじの先端部が前記ライナ挿通孔の内側方向に進行するように前記押えねじを回転させて前記コイルライナの先端部を前記ライナ挿通孔の内面に押し付けて固定し、
前記押えねじの先端部が前記ライナ挿通孔の外側方向に後退するように前記押えねじを回転させて前記コイルライナの先端部の固定を解除することを特徴とする溶接用ロボットである。
【0027】
第3の発明は、
第1の発明に記載のライナ固定手段が、
リング部位置調整ねじと、
その先端部に取り付け前記コイルライナの外径よりも大きいライナ挿通孔を前記リング部位置調整ねじの軸と直行する方向に形成したリング部とから成るねじ式ライナ固定部材を2つ備え、
前記両リング部位置調整ねじを前記溶接用トーチのライナ挿通孔の外側から内側方向で対向する位置に貫通させて前記両リング部のライナ挿通孔が重なるように取り付けて前記コイルライナを前記両リング部のライナ挿通孔に挿通し、
前記コイルライナの先端部を固定するときは、前記両リング部位置調整ねじを前記ライナ挿通孔の外側方向へ移動させるように回転させて前記コイルライナの先端部を前記両リング部のライナ挿通孔で挟んで固定し、
前記コイルライナの先端部の固定を解除するときは、前記両リング部位置調整ねじを前記ライナ挿通孔の内側方向へ移動させるように回転させて前記コイルライナの先端部の固定を解除することを特徴とする溶接用ロボットである。
【0028】
第4の発明は、
第1の発明に記載のライナ固定手段が、
シャフトの先端部が挿通するシャフト挿通孔を先端部に形成したスプリングケースと、
前記スプリングケースのシャフト挿通孔よりも大径でスプリングの先端部が当接するシャフト係止部を先端側の外周に形成して前記スプリングを挿入すると共に前記スプリングケースに挿入して前記シャフト係止部よりも先端側が前記スプリングケースのシャフト挿通孔を挿通するシャフトと、
前記シャフトの後端部が挿通するシャフト挿通孔が形成されて前記スプリングの後端部が当接して前記スプリングのばね力が前記シャフト係止部を押圧して前記シャフトの先端部が前記コイルライナの先端部を押圧するように前記スプリングケースの後端部に形成したケース係止部と、
前記ケース係止部から外側へ突き出た前記シャフトの後端部に取り付けたボタンヘッドと
から成るボタン式ライナ固定部材を2つ備え、
前記両ボタン式ライナ固定部材を前記溶接用トーチのライナ挿通孔の外側から内側方向で相対向する位置に貫通させて取り付けて、
前記コイルライナの先端部を固定するときは、前記両ボタン式ライナ固定部材の前記両スプリングのばね力によって前記両シャフトの先端部が前記コイルライナの先端部の外周を相対向する位置で押圧して固定し、
前記コイルライナの先端部の固定を解除するときは、前記両ボタン式ライナ固定部材の前記両ボタンヘッドを外側へ引いて前記両シャフト係止部が前記両スプリングケース内を摺動して前記両スプリングが圧縮されて前記両シャフトの先端部が前記コイルライナの先端部から離れて固定を解除することを特徴とする溶接用ロボットである。
【0029】
第5の発明は、
第1の発明に記載のライナ固定手段が、
シャフトの先端部が挿通するシャフト挿通孔を先端部に形成したスプリングケースと、
スプリングの先端部が前記スプリングケース内面のスプリング当接面に当接して前記スプリングを挿通すると共に先端部が前記スプリングケースのシャフト挿通孔を挿通する前記シャフトと、
先端部を前記スプリングケースの後端部内で摺動するように挿入して前記シャフトの後端部に取り付け前記スプリングの後端部が当接してそのばね力で押圧するスプリング当接面を有するボタンヘッドと、
前記スプリングケースのシャフト挿通孔を挿通した前記シャフトの先端部に取り付けられ前記コイルライナの外径よりも大きいライナ挿通孔が前記シャフトの軸と直行する方向に形成され前記スプリングのばね力が前記ボタンヘッドの当接面を押圧して前記シャフトが前記スプリングケース内を摺動してリング部が前記スプリングケースの先端部に当接して停止する前記リング部と
から成るボタン式ライナリング固定部材を2つ備え、
前記両ボタン式ライナリング固定部材を前記溶接用トーチのライナ挿通孔の外側から内側方向で相対向する位置に貫通させて前記両リング部のライナ挿通孔が重なるように取り付けて、
前記コイルライナの先端部を固定するときは、前記両ボタンヘッドを内側方向へ押圧して前記両スプリングが縮んで前記両リング部が前記両ボタンヘッドを押す方向へそれぞれ移動して、前記コイルライナの先端部を前記両リング部のライナ挿通孔に挿通して、前記両ボタンヘッドの押圧を解除して、前記スプリングのばね力によって前記ボタンヘッドが外側方向へ摺動して前記シャフトが外側方向へ摺動して、前記リング部が前記スプリングケーの先端部に当接して停止して前記コイルライナの先端部を前記両リングのライナ挿通孔で挟んで固定し、
前記コイルライナの先端部の固定を解除するときは、
前記両ボタンヘッドを内側方向へ押圧して前記両スプリングが縮んで前記両ボタンヘッドを押す方向へ前記両リング部がそれぞれ移動して、前記コイルライナの先端部の固定を解除することを特徴とする溶接用ロボットである。
【発明の効果】
【0030】
第1の発明及び第2の発明の溶接用ロボットは、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内で固定することができるので、マニピュレータ1の手首部2を大きく伸縮し、回転させて、一線式パワーケーブル12に、ねじり、曲げ、引っ張りなどの外力が掛かるとき、コイルライナ25がホース26内で動き回ることがなく、溶接用ワイヤ5を安定して送給することができる。
【0031】
また、溶接用ワイヤ5を安定して送給することができるので、コンタクトチップ内での溶接用ワイヤ5との接触点が一定になり、溶接用ワイヤ5の突出し長さが一定になる。その結果、溶接用ワイヤ5の溶融量が一定になり、溶け込み形状を均一にすることができる。
【0032】
また、溶接用ワイヤ5とコンタクトチップとの接触点が一定になるために、アーキングが発生してコンタクトチップが摩耗することが減少し、コンタクトチップの寿命を延長させることができる。
【0033】
また、一線式パワーケーブル12に、ねじり、曲げ、引っ張りなどの外力が掛かり、パワー導体部11がねじれて、伸縮しても、コイルライナの後端部25bがパワー導体部の後端部11bに固定されて、コイルライナの先端部25aも、パワー導体部の先端部11aから移動しないために、溶接用ワイヤ5の突出し長さが変動することがない。その結果、溶接用ワイヤ5の先端位置を所望の溶接狙い位置に一致させることができるので、均一で美麗な溶接ビード外観を得ることができる。また、溶接用ワイヤ5の突出し長さが一定になるので、溶接用ワイヤ5の溶融量を一定にすることができ、溶け込み形状を均一にすることができる。
【0034】
さらに、アークスタート時に、溶接用ワイヤ先端が被溶接物に接触してアークスタートが失敗することもなく、溶接用ワイヤ5のスローダウン時間が延長されてタクトタイムのロスが生ずることもない。また、溶接用ワイヤ5の挙動が小さくなるので、コンタクトチップ内での溶接用ワイヤ5との接触点が安定して給電点が安定し、溶接不良率を低減することができる。
【0035】
第3の発明の溶接用ロボットは、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内で両ねじ式ライナ固定部材45、46で固定することができるので、第1の発明及び第2の発明の溶接用ロボットが奏する効果に加えて、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内の中央で固定できるので、さらに溶接用ワイヤ5を安定して送給することができる。また、両リング部452、462とコイルライナの先端部25aの接触面積を大きくすることができるので、より、安定して固定することができる。
【0036】
第4の発明の溶接用ロボットは、両ボタン式ライナ固定部材50、51によって、両ボタンヘッドの突起部505c、515cを両シャフト係止部の切欠部504c、514cに嵌め込むだけでコイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内で固定することができる。そして、両ボタンヘッド505,515を引出して回転させて、突起部505c、515cをケース係止部の切欠部504c、514cが形成されていない部分に当接させるだけでコイルライナの先端部25aの固定を解除することができる。この結果、第3の発明の溶接用ロボットが奏する効果に加えて、コイルライナの先端部3aを溶接用トーチの後端部3bライナ挿通孔41内で、容易に固定し、その固定の解除を行うことがでできる。
【0037】
第5の発明の溶接用ロボットは、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチのライナ挿通孔内で両ボタン式ライナリング固定部材60、61によって、両ボタンヘッド604、614を押圧したり、その押圧を解除するだけで、コイルライナの先端部25aの固定を解除したり、固定することができる。その結果、第3の発明の溶接用ロボットが奏する効果に加えて、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチのライナ挿通孔41内で、容易に固定し、その固定を解除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
[実施の形態1]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1の溶接用ロボットのコイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を説明するための部分断面図である。同図において、一線式パワーケーブル12のパワー導体部の先端部11a(図7参照)を、溶接用トーチの後端部3bに取り付けたケーブル接続アダプタ40に取り付けて、固定する。コイルライナの先端部25aを、溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41に挿入する。図6に示したトーチ本体3cを、ショックセンサ42の先端部に取り付けている。ショックセンサ42は、トーチ本体3c等が被加工物等と衝突したときに、トーチ本体3c等を保護するために、衝突の衝撃を検出する。
【0039】
押えねじ43を、溶接用トーチ3のライナ挿通孔41の外側から内側方向に貫通させて取り付けている。この押えねじ43は、例えば、右回転させると、その先端部43aがライナ挿通孔41の内側方向に進行して、コイルライナの先端部25aを、ライナ挿通孔41の内面に押し付けて固定する。逆に、左回転させると、押えねじの先端部43aが、ライナ挿通孔41の外側方向に後退して、コイルライナの先端部25aの固定を解除する。押さえねじ43を右回転させて、その先端部43aをライナ挿通孔41の内側方向に進行させるとき、コイルライナの先端部25aを適切な圧力でライナ挿通孔41の内面に押し付けて固定させるために、押えねじ43の回転数を予め決めておくと良い。その他の機能は、図5乃至図9に示した機能と同機能であるので、説明を省略する。
【0040】
以下、パワー導体部11及びコイルライナ25の取り付け及びコイルライナ25の取り出しの説明を含めて、本発明のコイルライナの先端部25aの固定及びその固定の解除の動作を説明する。図9に示したように、まず、一線式パワーケーブル12のパワー導体部11とコイルライナ25とが分離した状態から、パワー導体部の後端部11bを給電部材の先端部30aから挿入して固定する。このパワー導体部の後端部11bに、コイルライナの先端部25a(図7参照)を挿入して、コイルライナの後端部25bに取り付けたストップナット37が給電部材のストップナット当接面30cに引っ掛かって止まる。ガイドアダプタの後端部31bを、ワイヤ送給機のワイヤ送出口6c(図6参照)に挿入して固定する。そして、ガイドアダプタの先端部31aを給電部材の後端部30bに嵌め合わせて、インレットガイドの先端部38aが、コイルライナ25のストップナット37に当接して、コイルライナの後端部25bをパワー導体部の後端部11bに固定する。
【0041】
次に、図1に示すように、一線式パワーケーブル12のコイルライナの先端部25aが、溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41に挿入され、パワー導体部の先端部11a(図7参照)が、溶接用トーチの後端部3bに取り付けられたケーブル接続アダプタ40に取り付けられて、固定される。これによってコイルライナ25が、ショックセンサ42を通過して、トーチ本体3c(図6参照)の先端部に取り付けられたコンタクトチップまで延びて、配設される。
【0042】
そして、図1に示す溶接用トーチの後端部3bに取り付けられた押えねじ43を、例えば、予め決めた回転数だけ右回転させて、その先端部43aをライナ挿通孔41の内側方向に進行させて、コイルライナの先端部25aをライナ挿通孔41の内面に適切な圧力で押し付けて固定する。これらのインレットガイド38(図9参照)及びコイルライナ25によって、溶接用ワイヤ5がトーチ本体3c(図6参照)の先端部に取り付けられたコンタクトチップまで送給される。また、給電ケーブル35(図9参照)から供給された電力が給電部材30を流れて、パワー導体部11へ供給される。また、ガスホース33からのシールドガスが給電部材30の内部を流れて、パワー導体部11へ供給され、電力及びシールドガスが溶接用トーチ3へ供給される。
【0043】
次に、コイルライナ25をパワー導体部11から取り出すときは、押えねじ43を左回転させて、押えねじの先端部43aをライナ挿通孔41の外側方向に後退させて、コイルライナの先端部25aの固定を解除する。そして、ガイドアダプタ31(図9参照)を取外して、ストップナット37を引出して、コイルライナ25をパワー導体部11から取り出す。
【0044】
この結果、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内で、容易に固定し、この固定を解除することができる。
【0045】
従って、本発明の実施の形態1の溶接用ロボットは、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内で固定することができるので、マニピュレータ1の手首部2を大きく伸縮し、回転させて、一線式パワーケーブル12に、ねじり、曲げ、引っ張りなどの外力が掛かるとき、コイルライナ25がホース26内で動き回ることがなく、溶接用ワイヤ5を安定して送給することができる。
【0046】
また、溶接用ワイヤ5を安定して送給することができるので、コンタクトチップ内での溶接用ワイヤ5との接触点が一定になり、溶接用ワイヤ5の突出し長さが一定になる。その結果、溶接用ワイヤ5の溶融量が一定になり、溶け込み形状を均一にすることができる。
【0047】
また、溶接用ワイヤ5とコンタクトチップとの接触点が一定になるために、アーキングが発生してコンタクトチップが摩耗することが減少し、コンタクトチップの寿命を延長させることができる。
【0048】
また、一線式パワーケーブル12に、ねじり、曲げ、引っ張りなどの外力が掛かり、パワー導体部11がねじれて、伸縮しても、コイルライナの後端部25bがパワー導体部の後端部11bに固定されて、コイルライナの先端部25aも、パワー導体部の先端部11aから移動しないために、溶接用ワイヤ5の突出し長さが変動することがない。その結果、溶接用ワイヤ5の先端位置を所望の溶接狙い位置に一致させることができるので、均一で美麗な溶接ビード外観を得ることができる。また、溶接用ワイヤ5の突出し長さが一定になるので、溶接用ワイヤ5の溶融量を一定にすることができ、溶け込み形状を均一にすることができる。
【0049】
さらに、アークスタート時に、溶接用ワイヤ先端が被溶接物に接触してアークスタートが失敗することもなく、溶接用ワイヤ5のスローダウン時間が延長されてタクトタイムのロスが生ずることもない。また、溶接用ワイヤ5の挙動が小さくなるので、コンタクトチップ内での溶接用ワイヤ5との接触点が安定して給電点が安定し、溶接不良率を低減することができる。
【0050】
[実施の形態2]
図2は、本発明の実施の形態2の溶接用ロボットのコイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を説明するための図であって、同図(A)は平面図であり、同図(B)は、同図(C)のa−a断面図であり、同図(C)は正面断面図であり、同図(D)は右側面図である。同図において、2つのねじ式ライナ固定部材45、46は、それぞれがリング部位置調整ねじ451、461と、その先端部に取り付けたリング部452、462とから成り、両リング部452、462の内径は、コイルライナ25の外径よりも大きく形成している。両ねじ式ライナ固定部材45、46を、溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41の外側から内側方向で対向する位置に貫通して取り付けている。
【0051】
コイルライナの先端部25aを両リング部452、462に挿通した状態で、両リング部位置調整ねじ451、461を、ライナ挿通孔41の外側方向へ移動させるように回転すると、両リング部452、462は、同図(C)に示す矢印の固定表示方向へそれぞれ移動して、コイルライナの先端部25aを両リング部452、462で挟んで固定する。また、両リング部位置調整ねじ451、461をライナ挿通孔41の内側方向へ移動させるように回転すると、両リング部452、462は、矢印の解除表示方向へそれぞれ移動して、コイルライナの先端部25aの固定を解除する。ここで、コイルライナの先端部25aを固定したり、その固定を解除するときの両リング部位置調整ねじ451、461の回転方向を、実施の形態1と同方向にするために、逆ねじの左ねじを使用することによって、作業者が間違って、必要な方向と逆の方向へ回転することを防ぐことができる。
【0052】
即ち、同図(D)に示すように、両リング部位置調整ねじ451、461を右方向へ回転させると、同図(C)に示すように、両リング部位置調整ねじ451、461が、ライナ挿通孔41の外側方向へ移動して、両リング部452、462が、コイルライナの先端部25aを両リング部452、462で挟む方向へそれぞれ移動して、コイルライナの先端部25aを固定する。逆に、同図(D)に示すように、両リング部位置調整ねじ451、461を左方向へ回転させると、同図(C)に示すように、両リング部位置調整ねじ451、461が、ライナ挿通孔41の内側方向へ移動して、コイルライナの先端部25aの固定が解除される。
【0053】
なお、両リング部位置調整ねじ451、461を右方向へ回転させて、両リング部452、462が、コイルライナの先端部25aを両リング部452、462で挟む方向へ移動して、コイルライナの先端部25aを固定する。このとき、適切な圧力で固定するために、両リング部位置調整ねじ45、46の回転数を予め決めておくと良い。その他の機能は、図5乃至図9に示した機能と同機能であるので、説明を省略する。
【0054】
以下、動作を説明する。次の動作は、実施の形態1の動作と同じであるので、説明を省略する。即ち、一線式パワーケーブル12のパワー導体部11とコイルライナ25とを分離した状態から、パワー導体部の後端部11bを給電部材30に固定して、先端部11aを溶接用トーチの後端部3bに固定する。また、コイルライナの後端部25bをパワー導体部の後端部11bに固定して、先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41に挿入して、コイルライナの先端部25aをトーチ本体の先端部3aに取り付けたコンタクトチップまで延ばして配設する動作は、実施の形態1の動作と同じである。
【0055】
そして、例えば、両リング部位置調整ねじ451、461として、逆ねじの左ねじを使用するときは、同図(D)に示すように、両リング部位置調整ねじ451、461を、固定表示方向である右方向へ、予め決めた回転数だけ回転させると、同図(C)に示すように、両リング部位置調整ねじ451、461が、固定表示方向であるライナ挿通孔41の外側方向へ移動して、両リング部452、462がコイルライナの先端部25aを挟む方向へ移動して、コイルライナの先端部25aを固定する。そして、インレットガイド38(図9参照)及びコイルライナ25によって、溶接用ワイヤ5をトーチ本体3cまで送給する。また、給電ケーブル35から供給された電力が給電部材30を流れて、パワー導体部11へ供給される。また、ガスホース33からのシールドガスが給電部材30の内部を流れて、パワー導体部1へ供給され、電力及びシールドガスが溶接用トーチ3へ供給される。
【0056】
次に、コイルライナ25を一線式パワーケーブル12のパワー導体部11から取り出すときは、同図(D)に示すように、両リング部位置調整ねじ451、461を、解除表示方向である左方向へ回転させると、同図(C)に示すように、両リング部位置調整ねじ451、461が、解除表示方向であるライナ挿通孔41の内側方向へ移動して、コイルライナの先端部25aの固定を解除する。そして、図9において、ガイドアダプタ31を取外して、ストップナット37を引き出して、コイルライナ25をパワー導体部11から取り出す。
【0057】
この結果、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内で、容易に固定し、この固定を解除することができる。
【0058】
従って、本発明の実施の形態2の溶接用ロボットは、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内で両ねじ式ライナ固定部材45、46で固定することができるので、実施の形態1の溶接用ロボットが奏する効果に加えて、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内の中央で固定できるので、さらに溶接用ワイヤ5を安定して送給することができる。また、両リング部452、462とコイルライナの先端部25aの接触面積を大きくすることができるので、より、安定して固定することができる。
【0059】
[実施の形態3]
図3は、本発明の実施の形態3の溶接用ロボットのコイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を説明するための断面図であって、同図(A)は平面断面図であり、同図(B)は正面断面図である。同図において、2つのボタン式ライナ固定部材50、51を溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41の外側から内側方向で相対向する位置に貫通させて取り付けている。以下、実施の形態3及び実施の形態4において説明を容易にするために、2つの固定部材を個々に説明する。
【0060】
ボタン式ライナ固定部材50において、スプリングケース501は筒状であって、その先端部501aには、シャフトの先端部502aが挿通するシャフト挿通孔501cを形成している。シャフトの先端部502aの外周に、スプリングケースのシャフト挿通孔501cよりも大径のシャフト係止部502cを形成して、このシャフト係止部502cを、スプリングケース501内に挿入している。シャフト502はスプリング503が挿入されて、このスプリングの先端部503aがシャフト係止部502cに当接する。スプリング503が挿入されたシャフト502が、スプリングケース501に挿入されると共に、シャフト係止部502cよりも先端側が、スプリングケースのシャフト挿通孔501cを挿通する。コイルライナの先端部25aを安定して押圧するために、シャフトの先端部502aには、V字状の凹部を形成している。
【0061】
スプリングケースの後端部501bにケース係止部504を取り付け、シャフトの後端部502bが挿通するシャフト挿通孔504dを形成している。このケース係止部504に、スプリングの後端部503bが当接する。このケース係止部504は、スプリング503のばね力がシャフト係止部502cを内側へ押圧する位置に設けられている。ケース係止部504から外側へ突き出たシャフトの後端部502bに、ボタンヘッド505を取り付け、ピン506で固定している。
【0062】
また、ボタン式ライナ固定部材50の操作を容易にするために、ボタンヘッド505に突起部505cを形成し、ケース係止部504に、この突起部505cが嵌め込まれる切欠部504cを形成している。
【0063】
ボタン式ライナ固定部材51において、スプリングケース511、スプリングケースの先端部511a、スプリングケースの後端部511b、シャフト挿通孔511c、シャフト512、シャフトの先端部512a、シャフトの後端部512b、シャフト係止部512c、スプリング513、スプリングの先端部513a、スプリングの後端部513b、ケース係止部514、切欠部514c、シャフト挿通孔514d、ボタンヘッド515、突起部515c及びピン516の機能は、ボタン式ライナ固定部材50におけるスプリングケース501、スプリングケースの先端部501a、スプリングケースの後端部501b、シャフト挿通孔501c、シャフト502、シャフトの先端部502a、シャフトの後端部502b、シャフト係止部502c、スプリング503、スプリングの先端部503a、スプリングの後端部503b、ケース係止部504、切欠部504c、シャフト挿通孔504d、ボタンヘッド505、突起部505c及びピン506の機能と同じであるので、説明を省略する。
【0064】
上述した両スプリング503、513のばね力と両ボタンヘッドの両突起部505c、515c及び両切欠部504c、514cの形状とは、まず、両突起部505c、515cが切欠部504c、514cに嵌め込まれたときに、両シャフトの先端部502a、512aがコイルライナの先端部25aの外周を相対向する位置で、適切な圧力で押圧して固定することができるように決める。また、コイルライナの先端部25aの固定を解除するときに、両ボタンヘッド505、515を外側へ引いて、両突起部505c、515cを両切欠部504c、514cから引き出して回転させて、両突起部505c、515cを、ケース係止部504、514に当接する面で両切欠部504c、514cが形成されていない面に当接させたときに、コイルライナの先端部25aの固定が適切に解除することができるように決める。その他の機能は、図5乃至図9に示した機能と同機能であるので、説明を省略する。
【0065】
以下、動作を説明する。次の動作は、実施の形態1の動作と同じであるので、説明を省略する。即ち、一線式パワーケーブル12のパワー導体部11とコイルライナ25とを分離した状態から、パワー導体部の後端部11bを給電部材30に固定して、先端部11aを溶接用トーチの後端部3bに固定する。また、コイルライナの後端部25bをパワー導体部の後端部11bに固定して、先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41に挿入して、コイルライナの先端部25aをトーチ本体の先端部3aに取り付けたコンタクトチップまで延ばして配設する動作は、実施の形態1の動作と同じである。
【0066】
そして、コイルライナの先端部25aを固定するときは、まず、両ボタン式ライナ固定部材50、51の両ボタンヘッド505、515を外側へ引くと、これらの両ボタンヘッド505、515と一体と成った両シャフト502、512がスプリングケース501、511内を外側へ移動する。同時に、両シャフト係止部502c、512cが両スプリングケース501、511内を摺動して、両スプリング503、513を圧縮して、両シャフトの先端部502a、512a間の距離が大きくなる。
【0067】
そして、両ボタンヘッドの突起部505c、515cを回転して、ケース係止部504、514に当接する面で両切欠部504c、514cが形成されていない面に当接させる。そして、コイルライナの先端部25aを両シャフトの先端部502a、512a間に通した後に、両ボタンヘッドの突起部505c、515cを回転して、切欠部504c、514cに嵌め込む。この結果、両スプリング503、513のばね力によって、両シャフトの先端部502a、512aがコイルライナの先端部25aに当接して、コイルライナの先端部25aの外周を相対向する位置で押圧して固定する。
【0068】
次に、コイルライナ25を一線式パワーケーブル12のパワー導体部11から取り出すときは、両ボタンヘッド505、515を外側へ引いて、両ボタンヘッドの突起部505c、515cを切欠部504c、514cから引出して回転させて、ケース係止部の切欠部504c、514cが形成されていない面に当接する。この結果、コイルライナの先端部25aの固定が解除される。そして、図9において、ガイドアダプタ31を取り外して、ストップナット37を引き出して、コイルライナ25をパワー導体部11から取り出す。
【0069】
従って、本発明の実施の形態3の溶接用ロボットは、両ボタン式ライナ固定部材50、51によって、両ボタンヘッドの突起部505c、515cを両シャフト係止部の切欠部504c、514cに嵌め込むだけでコイルライナの先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内で固定することができる。そして、両ボタンヘッド505,515を引出して回転させて、突起部505c、515cをケース係止部の切欠部504c、514cが形成されていない部分に当接させるだけでコイルライナの先端部25aの固定を解除することができる。この結果、実施の形態2の溶接用ロボットが奏する効果に加えて、コイルライナの先端部3aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41内で、容易に固定し、その固定の解除を行うことがでできる。
【0070】
[実施の形態4]
図4は、本発明の実施の形態4の溶接用ロボットのコイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を説明するための断面図であって、同図(A)は平面断面図であり、同図(B)は正面断面図である。同図において、2つのボタン式ライナリング固定部材60、61を溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41の外側から内側方向で相対向する位置に貫通して取り付けている。
【0071】
ボタン式ライナリング固定部材60において、スプリングケース601が筒状であって、その先端部601aにシャフトの先端部602aが挿通するシャフト挿通孔601cが形成されている。シャフトの先端部602aが、スプリングケースのシャフト挿通孔601cを挿通する。シャフト602がスプリング603を挿通して、スプリングの先端部603aが、スプリングケースのスプリング当接面601dに当接している。
【0072】
ボタンヘッド604は、その先端部604aにスプリングの後端部603bが当接するスプリング当接面604cを有し、また、その先端部604aの外周面がスプリングケース601内で摺動するように、スプリングケースの後端部601bに挿入する。このボタンヘッド604を、シャフトの後端部602bにピン607で固定する。そして、スプリング603のばね力がこのボタンヘッドの先端部のスプリング当接面604cを押圧する。
【0073】
スプリングケースのシャフト挿通孔601cを挿通したシャフトの先端部602aに、このシャフト挿通孔601cよりも大径のシャフト係止部605が形成されている。その先端側にリング部606を取り付け、このリング部606に、シャフト602の軸と直行する方向でコイルライナ25よりも大径のライナ挿通孔606cを形成している。
【0074】
ボタン式ライナリング固定部材61において、スプリングケース611、スプリングケースの先端部611a、スプリングケースの後端部611b、シャフト挿通孔611c、スプリング当接面611d、シャフト612、シャフトの先端部612a、シャフトの後端部612b、スプリング613、スプリングの先端部613a、スプリングの後端部613b、ボタンヘッド614、ボタンヘッドの先端部614a、スプリング当接面614c、シャフト係止部615、リング部616、ライナ挿通孔616c及びピン617の機能は、ボタン式ライナリング固定部材60におけるスプリングケース601、スプリングケースの先端部601a、スプリングケースの後端部601b、シャフト挿通孔601c、スプリング当接面601d、シャフト602、シャフトの先端部602a、シャフトの後端部602b、スプリング603、スプリングの先端部603a、スプリングの後端部603b、ボタンヘッド604、ボタンヘッドの先端部604a、スプリング当接面604c、シャフト係止部605、リング部606、ライナ挿通孔606c及びピン607の機能と同じであるので、説明を省略する。
【0075】
両ボタン式ライナリング固定部材60、61は、これらの両リング部のライナ挿通孔606c、616cが重なるように、溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41の外側から内側方向で相対向する位置に貫通させて取り付けている。
【0076】
両シャフト係止部605、615の位置及びスプリング603、613のばね力は、コイルライナの先端部25aを両リング部606、616が適切な圧力で挟んで固定することができるように、調整される。シャフト係止部605、615を形成する代わりに、リング部606、616がスプリングケースの先端部601a、611aに当接するようにして、シャフト係止部605、615を省略しても良い。その他の機能は、図5乃至図9に示した機能と同機能であるので、説明を省略する。
【0077】
以下、動作を説明する。次の動作は、実施の形態1の動作と同じであるので、説明を省略する。即ち、一線式パワーケーブル12のパワー導体部11とコイルライナ25とを分離した状態から、パワー導体部の後端部11bを給電部材30に固定して、先端部11aを溶接用トーチの後端部3bに固定する。また、コイルライナの後端部25bをパワー導体部の後端部11bに固定して、先端部25aを溶接用トーチの後端部3bのライナ挿通孔41に挿入して、コイルライナの先端部25aをトーチ本体の先端部3aに取り付けたコンタクトチップまで延ばして配設する動作は、実施の形態1の動作と同じである。
【0078】
そして、コイルライナの先端部25aを固定するときは、両ボタンヘッド604、614を内側方向へ押圧して、両スプリング603、613を圧縮して、両リング部606、616が両ボタンヘッド604、614を押す方向へそれぞれ移動して、両リング部のライナ挿通孔606c、616cの重なる面が増加する。そして、コイルライナの先端部25aを両リング部のライナ挿通孔606c、616cに挿通する。
【0079】
その後、両ボタンヘッド604、614の押圧を解除すると、スプリング603、613のばね力によって両ボタンヘッドのスプリング当接面604c、614cが外側方向へ押圧されて、両シャフト602、612が外側方向へ摺動して、両シャフト係止部605、615がスプリングケースの先端部601aに当接して停止し、両リングのライナ挿通孔606c、616cがコイルライナの先端部25aを挟んで固定する。
【0080】
次に、コイルライナ25を一線式パワーケーブル12のパワー導体部11から取り出すときは、両ボタンヘッド604、614を内側方向へ押圧して、両スプリング603、613を圧縮して、両リング部606、616が両ボタンヘッド604、614を押す方向へそれぞれ移動して、両リング部のライナ挿通孔606c、616cの重なる面が増加して、コイルライナの先端部25aの固定を解除する。そして、図9において、ガイドアダプタ31を取り外して、ストップナット37を引き出して、コイルライナ25をパワー導体部11から取り出す。
【0081】
従って、本発明の実施の形態4の溶接用ロボットは、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチのライナ挿通孔内で両ボタン式ライナリング固定部材60、61によって、両ボタンヘッド60、61を押圧したり、その押圧を解除するだけで、コイルライナの先端部25aの固定を解除したり、固定することができる。その結果、実施の形態2の溶接用ロボットが奏する効果に加えて、コイルライナの先端部25aを溶接用トーチのライナ挿通孔41内で、容易に固定し、その固定を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態1の溶接用ロボットのコイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を説明するための部分断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2の溶接用ロボットのコイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態3の溶接用ロボットのコイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を説明するための断面図である。
【図4】本発明の実施の形態4の溶接用ロボットのコイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を説明するための断面図である。
【図5】多関節ロボットを使用したときの溶接用ロボットの一般的な構成を示す図である。
【図6】一線式パワーケーブルが上アームを挿通する配線構造を有する溶接用ロボットのマニピュレータを示す図である。
【図7】一線式パワーケーブルの外観を示す図である。
【図8】一線式パワーケーブルの横断面図である。
【図9】一線式パワーケーブルの後端部の給電部材への取り付け構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0083】
1 マニピュレータ
2 手首部
3 溶接用トーチ
3a トーチ本体の先端部
3b 溶接用トーチの後端部
3c トーチ本体
4 ワイヤリール
5 溶接用ワイヤ
6 ワイヤ送給機
6c ワイヤ送出口
7 溶接用電源装置
8 ガスボンベ
9 ティーチペンダント
10 ロボット制御装置
11 パワー導体部
11a パワー導体部の先端部
11b パワー導体部の後端部
12 一線式パワーケーブル
13 基台
14 旋回ベース
15 下アーム
16 上アーム
17 胴体
19 揺動体
20 回転体
21 揺動台
22 減速機
23 モータ
25 コイルライナ
25a コイルライナの先端部
25b コイルライナの後端部
26 ホース
27 導電体
28 押え巻きテープ
29 シース
30 給電部材
30a 給電部材の先端部
30b 給電部材の後端部
30c ストップナット当接面
31 ガイドアダプタ
31a ガイドアダプタの先端部
31b ガイドアダプタの後端部
32 ガスホース連結部
33 ガスホース
34 給電ケーブル連結部
35 給電ケーブル
36 ショックセンサ用制御ケーブル
36a ショックセンサ用制御ケーブルの先端部
36b ショックセンサ用制御ケーブルの後端部
37 ストップナット
38 インレットガイド
38a インレットガイドの先端部
40 ケーブル接続アダプタ
41 ライナ挿通孔
42 ショックセンサ
43 押えねじ
43a 押えねじの先端部
45 ねじ式ライナ固定部材
46 ねじ式ライナ固定部材
50 ボタン式ライナ固定部材
51 ボタン式ライナ固定部材
60 ボタン式ライナリング固定部材
61 ボタン式ライナリング固定部材
452 リング部
501 スプリングケース
501a スプリングケースの先端部
501b スプリングケースの後端部
501c シャフト挿通孔
502 シャフト
502a シャフトの先端部
502b シャフトの後端部
502c シャフト係止部
503 スプリング
503a スプリングの先端部
503b スプリングの後端部
504 ケース係止部
504c 切欠部
504d シャフト挿通孔
505 ボタンヘッド
505c 突起部
506 ピン
511 スプリングケース
511a スプリングケースの先端部
511b スプリングケースの後端部
511c シャフト挿通孔
512 シャフト
512a シャフトの先端部
512b シャフトの後端部
512c シャフト係止部
513 スプリング
513a スプリングの先端部
513b スプリング後端部
514 ケース係止部
514c 切欠部
514d シャフト挿通孔
515 ボタンヘッド
515c 突起部
516 ピン
601 スプリングケース
601a スプリングケースの先端部
601b スプリングケースの後端部
601c シャフト挿通孔
601d スプリング当接面
602 シャフト
602a シャフトの先端部
602b シャフトの後端部
603 スプリング
603a スプリングの先端部
603b スプリングの後端部
604 ボタンヘッド
604a ボタンヘッドの先端部
604c スプリング当接面
605 シャフト係止部
606 リング部
606c ライナ挿通孔
607 ピン
611 スプリングケース
611a スプリングケースの先端部
611b スプリングケースの後端部
611c シャフト挿通孔
611d スプリング当接面
612 シャフト
612a シャフトの先端部
612b シャフトの後端部
613 スプリング
613a スプリングの先端部
613b スプリングの後端部
614 ボタンヘッド
614a ボタンヘッドの先端部
614c スプリング当接面
615 シャフト係止部
616 リング部
616c ライナ挿通孔
617 ピン
J1 軸
J2 軸
J3 軸
J4 軸
J5 軸
J6 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上アームと、
この上アームの先端部に取り付けた手首部と、
この手首部に取り付けた溶接用トーチと、
前記上アームの後端部に取り付けて溶接用ワイヤを送出するワイヤ送給機と、
前記溶接用ワイヤをガイドするコイルライナと、
前記コイルライナが軸芯部を挿通するホースとその外周に巻いた電力を供給する導電体とこの導電体を被覆するシースとから成るパワー導体部とを備え、
前記パワー導体部の後端部を前記ワイヤ送給機のワイヤ送出部に取り付け前記パワー導体部が前記上アーム及び前記胴体に形成したケーブル挿通孔を通過して前記胴体の長手方向に延びて前記パワー導体部の先端部を前記溶接用トーチに取り付け、
前記コイルライナの後端部を前記パワー導体部の後端部に挿入して固定しその先端部を前記溶接用トーチの後端部のライナ挿通孔に挿入する溶接用ロボットにおいて、
前記溶接用トーチの後端部のライナ挿通孔に前記コイルライナの先端部を固定するライナ固定手段を備えたことを特徴とする溶接用ロボット。
【請求項2】
請求項1記載のライナ固定手段が、前記溶接用トーチの後端部のライナ挿通孔の外側から内側方向に貫通して取り付けた押えねじを備え、
この押えねじの先端部が前記ライナ挿通孔の内側方向に進行するように前記押えねじを回転させて前記コイルライナの先端部を前記ライナ挿通孔の内面に押し付けて固定し、
前記押えねじの先端部が前記ライナ挿通孔の外側方向に後退するように前記押えねじを回転させて前記コイルライナの先端部の固定を解除することを特徴とする溶接用ロボット。
【請求項3】
請求項1記載のライナ固定手段が、
リング部位置調整ねじと、
その先端部に取り付け前記コイルライナの外径よりも大きいライナ挿通孔を前記リング部位置調整ねじの軸と直行する方向に形成したリング部とから成るねじ式ライナ固定部材を2つ備え、
前記両リング部位置調整ねじを前記溶接用トーチのライナ挿通孔の外側から内側方向で対向する位置に貫通させて前記両リング部のライナ挿通孔が重なるように取り付けて前記コイルライナを前記両リング部のライナ挿通孔に挿通し、
前記コイルライナの先端部を固定するときは、前記両リング部位置調整ねじを前記ライナ挿通孔の外側方向へ移動させるように回転させて前記コイルライナの先端部を前記両リング部のライナ挿通孔で挟んで固定し、
前記コイルライナの先端部の固定を解除するときは、前記両リング部位置調整ねじを前記ライナ挿通孔の内側方向へ移動させるように回転させて前記コイルライナの先端部の固定を解除することを特徴とする溶接用ロボット。
【請求項4】
請求項1記載のライナ固定手段が、
シャフトの先端部が挿通するシャフト挿通孔を先端部に形成したスプリングケースと、
前記スプリングケースのシャフト挿通孔よりも大径でスプリングの先端部が当接するシャフト係止部を先端側の外周に形成して前記スプリングを挿入すると共に前記スプリングケースに挿入して前記シャフト係止部よりも先端側が前記スプリングケースのシャフト挿通孔を挿通するシャフトと、
前記シャフトの後端部が挿通するシャフト挿通孔が形成されて前記スプリングの後端部が当接して前記スプリングのばね力が前記シャフト係止部を押圧して前記シャフトの先端部が前記コイルライナの先端部を押圧するように前記スプリングケースの後端部に形成したケース係止部と、
前記ケース係止部から外側へ突き出た前記シャフトの後端部に取り付けたボタンヘッドと
から成るボタン式ライナ固定部材を2つ備え、
前記両ボタン式ライナ固定部材を前記溶接用トーチのライナ挿通孔の外側から内側方向で相対向する位置に貫通させて取り付けて、
前記コイルライナの先端部を固定するときは、前記両ボタン式ライナ固定部材の前記両スプリングのばね力によって前記両シャフトの先端部が前記コイルライナの先端部の外周を相対向する位置で押圧して固定し、
前記コイルライナの先端部の固定を解除するときは、前記両ボタン式ライナ固定部材の前記両ボタンヘッドを外側へ引いて前記両シャフト係止部が前記両スプリングケース内を摺動して前記両スプリングが圧縮されて前記両シャフトの先端部が前記コイルライナの先端部から離れて固定を解除することを特徴とする溶接用ロボット。
【請求項5】
請求項1記載のライナ固定手段が、
シャフトの先端部が挿通するシャフト挿通孔を先端部に形成したスプリングケースと、
スプリングの先端部が前記スプリングケース内面のスプリング当接面に当接して前記スプリングを挿通すると共に先端部が前記スプリングケースのシャフト挿通孔を挿通する前記シャフトと、
先端部を前記スプリングケースの後端部内で摺動するように挿入して前記シャフトの後端部に取り付け前記スプリングの後端部が当接してそのばね力で押圧するスプリング当接面を有するボタンヘッドと、
前記スプリングケースのシャフト挿通孔を挿通した前記シャフトの先端部に取り付けられ前記コイルライナの外径よりも大きいライナ挿通孔が前記シャフトの軸と直行する方向に形成され前記スプリングのばね力が前記ボタンヘッドの当接面を押圧して前記シャフトが前記スプリングケース内を摺動してリング部が前記スプリングケースの先端部に当接して停止する前記リング部と
から成るボタン式ライナリング固定部材を2つ備え、
前記両ボタン式ライナリング固定部材を前記溶接用トーチのライナ挿通孔の外側から内側方向で相対向する位置に貫通させて前記両リング部のライナ挿通孔が重なるように取り付けて、
前記コイルライナの先端部を固定するときは、前記両ボタンヘッドを内側方向へ押圧して前記両スプリングが縮んで前記両リング部が前記両ボタンヘッドを押す方向へそれぞれ移動して、前記コイルライナの先端部を前記両リング部のライナ挿通孔に挿通して、前記両ボタンヘッドの押圧を解除して、前記スプリングのばね力によって前記ボタンヘッドが外側方向へ摺動して前記シャフトが外側方向へ摺動して、前記リング部が前記スプリングケーの先端部に当接して停止して前記コイルライナの先端部を前記両リングのライナ挿通孔で挟んで固定し、
前記コイルライナの先端部の固定を解除するときは、
前記両ボタンヘッドを内側方向へ押圧して前記両スプリングが縮んで前記両ボタンヘッドを押す方向へ前記両リング部がそれぞれ移動して、前記コイルライナの先端部の固定を解除することを特徴とする溶接用ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−341278(P2006−341278A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169211(P2005−169211)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)