説明

溶接用ワイヤ絡み防止具

【課題】 溶接用ワイヤ絡み防止具を提供する。
【解決手段】 本発明は溶接用ワイヤ絡み防止具に関し、連続的な複数のループ状に積層された溶接用ワイヤを収納容器から引き出す時、溶接用ワイヤの絡みを防止するように溶接用ワイヤ積層体の上部に設置される溶接用ワイヤ絡み防止具において、一つ以上の磁性体からなる上部板状柔軟体と、前記上部板状柔軟体の下部に具備される下部板状柔軟体と、を含み、前記上部板状柔軟体と前記下部板状柔軟体の中央空洞部へ溶接用ワイヤが引き出されることを特徴とする。
上記のような構成によって本発明は溶接用ワイヤの絡みを防止し送給抵抗を最小化して優れた溶接作業性が確保される効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納容器内に連続的な複数のループ(Loop)に積層収納された溶接用ワイヤ積層体から溶接用ワイヤが跳ね上がって互いに絡むことなく、スムーズに連続溶接が行える溶接用ワイヤ絡み防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より大容量溶接用ワイヤの絡みを防止するために収納容器内に積層収納された溶接用ワイヤの積層面上部に環状部材を載置した状態で、溶接用ワイヤが環状部材内側に引き出される溶接用ワイヤ絡み防止具と外側に引き出される溶接用ワイヤ絡み防止具が知られている。
【0003】
内側に引き出される溶接用ワイヤ絡み防止具は特許文献1、特許文献2、特許文献3が代表的である。
【0004】
溶接用ワイヤが引き出される時螺旋状のループをなしている後続のワイヤがワイヤ自体の弾性によってループから解放され出しながらループの直径が次第に大きくなる。
【0005】
最終的に溶接用ワイヤは収納容器の内径よりもループの直径の方がより大きくなろうとする性質のため、内側の引き出し装置である押さえ部材(リテイニング部材)の外周部と収納容器の内壁との間に溶接用ワイヤが跳ね上がり連続溶接が中断される問題が発生した。
【0006】
したがって、前記特許文献1は環状部材に緩衝翼を具備して環状部材の外周部と収納容器の内壁との間に溶接用ワイヤが跳ね上がる現象を防止しようとした。
【0007】
また、溶接作業時、溶接用ワイヤが消費されるとともに環状部材が収納容器の内壁をつたってスムーズに下降され得るように提案された。
【0008】
そして、特許文献2は収納容器内壁に垂直に帯を付着して環状部材の外周部と収納容器の内壁との間に溶接用ワイヤが跳ね上がる問題を防止しようとした。
【0009】
ここで、環状部材は付着された帯をつたってスムーズに下降されるように提案されたもので、溶接用ワイヤの積層体の上端と環状部材との間に空いた空間が形成されないようにして溶接用ワイヤが互いに絡む問題を防止しようとした。
【0010】
特に、特許文献2では溶接用ワイヤが環状部材の外側に跳ね上がって絡むことを考慮している。
【0011】
しかし、内側に引き出される溶接用ワイヤ絡み防止具は環状部材の引き出し孔に溶接用ワイヤが引き出されながら後続の溶接用ワイヤまで引っ張って出てくるため互いに絡む問題が頻繁に発生していた。
【0012】
また、このような従来の技術は図1に示すように、帯1が環状部材3に形成された開口5を貫通することで、帯1の一部が溶接用ワイヤ積層体7の方向に大きく曲げられるようになる。
【0013】
これにより、帯1と接触される溶接用ワイヤ積層体7の部分は曲げられた帯1から加圧されて積層状態が変形されるので、螺旋状のループをなしている溶接用ワイヤループの直径を減少させる問題があり、これにより、溶接用ワイヤが均一かつ安定的に引き出されることが難しく、酷い場合には後続の溶接用ワイヤループまで引き出される問題点があった。
【0014】
また、溶接用ワイヤの消耗によって環状部材3が下降されながら、前記曲げられた帯1が溶接用ワイヤ積層体7を連続的に変形させる問題点があった。そして、場合によっては帯1の張力のため環状部材が引っ掛かって下降されない問題があった。
【0015】
このような問題点を特許文献4及び特許文献5では環状部材の重量が軽いため発生するものと判断し、環状部材に重量体を載置して解決しようとしたが、引き出された後続の溶接用ワイヤを制御することができなかった。
【0016】
特に、特許文献3では環状部材の引き出し孔を小さくして引き出される後続の溶接用ワイヤを制御しようとした。
【0017】
しかし、引き出された後続の溶接用ワイヤが互いに絡み環状部材の小さい引き出し孔を介して出てくることができず溶接作業が中断される問題が発生することもあった。環状部材の外側に引き出される溶接用ワイヤ絡み防止具としては特許文献6、特許文献7が代表的である。
【0018】
前記特許文献6は特許文献1のように環状部材に緩衝翼を具備して溶接作業時、溶接用ワイヤが消費されるとともに収納容器の内壁をつたってスムーズに下降され得るようにした。
【0019】
また、軟らかな素材の緩衝翼を具備して収納容器の内壁と環状部材の外側に付着された緩衝翼の間から溶接用ワイヤが出てくることができるようにした。
【0020】
これは多少なりとも後続の溶接用ワイヤが引き出されることを防止できたが、溶接用ワイヤが緩衝翼に引っ掛かり引き出し抵抗が増加する問題と環状部材が溶接用ワイヤとともに引き出される問題が発生した。
【0021】
したがって、上述の問題点のため、特許文献7では緩衝翼を補完してこれを解決しようとしたが根本的な解決にはならなかった。
【0022】
また、前記部材外側に引き出される大容量溶接用ワイヤは溶接用ワイヤが引き出される時螺旋状のループをなしている後続のワイヤが垂直の管状をなす積層体の中央管の孔隙部へ押し出されて落ちながら絡む問題も頻繁に発生する。
【0023】
このような問題を解決するための他の手段としては特許文献8、特許文献9、特許文献10がある。
【0024】
特許文献8では前記部材内側に引き出される大容量溶接用ワイヤと部材外側に引き出される大容量溶接用ワイヤの問題点を解決しようとした。
【0025】
すなわち、溶接用ワイヤ積層体の上端面に環状部材を載置し、環状部材の孔に他の小さい環状部材を載置して溶接用ワイヤが環状部材と小さな環状部材の間から出てくるようにした。
【0026】
しかし、後続の溶接用ワイヤが引き出される問題も解決されず、特許文献6と同じ問題が発生した。
【0027】
そして、特許文献9では係止顎を具備した環状部材を使用したが、これも後続の溶接用ワイヤを確実に制御して絡みを防止することは難しかった。
【0028】
また、後続の溶接用ワイヤを制御するために特許文献10では溶接用ワイヤ積層体の中央孔に小さい環状部材を載置し環状部材の内側に緩衝翼を具備して小さな環状部材と緩衝翼が具備された環状部材の間から溶接用ワイヤが出てくるようにした。
【0029】
ところが、緩衝翼が後続の溶接用ワイヤを制御する作用においては多少効果的であったが、溶接用ワイヤが引き出されながら後続の溶接用ワイヤまで引っ張って出てくる問題は解決されず絡みは防止できなかった。
【0030】
また、緩衝翼と溶接用ワイヤの積層体上端面の間の空いた空間によって溶接用ワイヤが跳ね上がって絡む問題もあった。
【0031】
その他にも、特許文献5ではワイヤ絡み防止装置としてリング形状の板材部材に磁石部材を具備することによってワイヤを磁気吸引して、ワイヤが引き出される時に後続ループの溶接ワイヤが引き出されないようにする技術を提示している。
【0032】
しかし、この場合引き出される溶接ワイヤが板材部材から出てくる時に受ける抵抗に加えて磁石部材の磁気吸引力に対する抵抗まで受けるようになるので、結果的に引き出し抵抗が大きく増加してワイヤの送給に悪影響を及ぼすようになる。
【0033】
本発明者は上記の問題を解消するために、特許文献11から溶接用ワイヤ上端積層面にドーナツ形状の柔軟性のある磁性体が具備された溶接用ワイヤ絡み防止装置を提示して溶接作業性及び効率を向上した。
【0034】
しかし、前記ドーナツ形状の柔軟性のある磁性体は溶接途中に摩耗が発生し、摩耗された磁性粉が溶接用ワイヤに吸着されて溶接用チップと溶接用ライナーに集積され、それによる溶接用チップ及び/又は溶接用ライナーの閉塞が間欠的に発生する問題がある。
【0035】
また、本発明者と類似の提案が特許文献12に公告されたが、磁性体の摩耗と磁性粉から発生する問題は解決できなかった。
【0036】
そして、特許文献13、特許文献14、特許文献15でも上記の問題を解決しようとする努力は続いたが、特許文献5で発生した問題の延長に過ぎない状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】大韓民国特許公告第87−1076号
【特許文献2】特開昭61−183057号
【特許文献3】特開平11−192552号
【特許文献4】大韓民国実用新案公告第91−5819号
【特許文献5】特開平4−133973号
【特許文献6】特開平8−40642号
【特許文献7】特開平9−156827号
【特許文献8】大韓民国実用新案公開第92−16429号
【特許文献9】大韓民国実用新案公開第92−21073号
【特許文献10】大韓民国実用新案公告第95−483号
【特許文献11】大韓民国登録特許第10−859369号
【特許文献12】大韓民国登録特許第10−870165号(優先権US10/629,044)
【特許文献13】大韓民国公開特許第10−2009−116031号
【特許文献14】大韓民国公開特許第10−2009−116032号
【特許文献15】大韓民国公開特許10−2010−4456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具は上述した従来の問題点を解決するために創案されたもので、次のような課題の解決を目的とする。
【0039】
本発明は引き出される溶接用ワイヤに後続する溶接用ワイヤが引き出されるか、跳ね上がって互いに絡む現象を防止し、これにより、絡みなく連続溶接が行える溶接用ワイヤ絡み防止具を提供することを目的とする。
【0040】
また、本発明は溶接用ワイヤの送給性を向上させて作業効率を高めることができる溶接用ワイヤ絡み防止具を提供することを目的とする。
【0041】
本発明が解決しようとする課題は以上で言及されたものに限定されず、言及されていない他の解決課題は以下の記載から当業者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0042】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具は連続的な複数のループ状に積層された溶接用ワイヤを収納容器から引き出す時、溶接用ワイヤの絡みを防止するように溶接用ワイヤ積層体の上部に設置される溶接用ワイヤ絡み防止具において、収納容器内に収納された溶接用ワイヤ積層体の上部に位置し、中央空洞部が形成されたワイヤ押さえ部を含み、前記ワイヤ押さえ部は磁性体からなる上部板状柔軟体と、前記上部板状柔軟体の下部に具備される下部板状柔軟体と、で構成され、前記上部板状柔軟体と下部板状柔軟体の中央空洞部へ前記溶接用ワイヤが引き出されることを特徴とする。
【0043】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記磁性体はゴム磁石であることを特徴とする。
【0044】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記磁性体はその磁力が300〜1200ガウス(Gauss)であることを特徴とする。
【0045】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記磁性体はその磁力が400〜800ガウスであることを特徴とする。
【0046】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記下部板状柔軟体は樹脂系フィルムからなることを特徴とする。
【0047】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記上部板状柔軟体の中央空洞部は前記ワイヤ積層体の中央空洞部の直径と同じか小さく、前記下部板状柔軟体の中央空洞部は前記上部板状柔軟体の中央空洞部の直径と同じか小さいことを特徴とする。
【0048】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記下部板状柔軟体の外周部には前記収納容器の内壁に接するように突出された複数の切開部が具備されたことを特徴とする。
【0049】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記上部板状柔軟体と下部板状柔軟体は一体に結合されたことを特徴とする。
【0050】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記磁性体は複数の磁性体が結合されてなることを特徴とする。
【0051】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具は溶接用ワイヤの残量を確認できる残量確認窓が一つ以上含まれたことを特徴とする。
【0052】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記上部板状柔軟体の外周部及び前記下部板状柔軟体の外周部は互いに対応し、前記収納容器の下部に形成された下部折曲部の直径と同じか小さいことを特徴とする。
【0053】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具は連続的な複数のループ状に積層された溶接用ワイヤを収納容器から引き出す時、溶接用ワイヤの絡みを防止するように溶接用ワイヤ積層体の上部に設置される溶接用ワイヤ絡み防止具において、収納容器内に収納された溶接用ワイヤ積層体の上部に位置し、中央空洞部が形成されたワイヤ押さえ部を含み、前記ワイヤ押さえ部は下部板状柔軟体と前記下部板状柔軟体の上部に具備される複数個の磁性体とで構成され、前記下部板状柔軟体と複数個の磁性体の中央空洞部へ前記溶接用ワイヤが引き出されることを特徴とする。
【0054】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記磁性体はその磁力が300〜1200ガウスであることを特徴とする。
【0055】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記磁性体はその磁力が400〜800ガウスであることを特徴とする。
【0056】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記下部板状柔軟体は樹脂系フィルムからなることを特徴とする。
【0057】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記複数個の磁性体の中央空洞部は前記ワイヤ積層体の中央空洞部の直径と同じか小さく、前記下部板状柔軟体の中央空洞部は前記複数個の磁性体の中央空洞部の直径と同じか小さいことを特徴とする。
【0058】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記下部板状柔軟体の外周部には前記収納容器の内壁に接するように突出された複数の切開部が具備されたことを特徴とする。
【0059】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記複数個の磁性体と下部板状柔軟体は一体に結合されたことを特徴とする。
【0060】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記複数個の磁性体の外周部及び前記下部板状柔軟体の外周部は互いに対応し、前記収納容器の下部に形成された下部折曲部の直径と同じか小さいことを特徴とする。
【0061】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具は前記切開部には開口が形成され、前記切開部に形成された開口に挿入されて前記収納容器の内壁に上下方向に接触され、前記溶接用ワイヤ積層体中の溶接用ワイヤが跳ね上がらないようにしながら前記ワイヤ押さえ部を案内するガイド部をさらに含むことを特徴とする。
【0062】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記切開部は柔軟体で形成されることを特徴とする。
【0063】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で前記上部板状柔軟体と前記下部板状柔軟体は前記溶接用ワイヤ積層体の形状に対応する形状に形成され、前記切開部は曲げられて前記収納容器内壁に接触されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0064】
上記のように本発明によれば、磁性体の使用によって磁気吸引力により連続的なループからなる溶接用ワイヤを積層された逆順で一定の抵抗で引き出させることができる。
【0065】
これにより後続するループの溶接用ワイヤが引き出されるか、弾性のある溶接ワイヤが跳ね上がって互いに絡むことを防止できる。
【0066】
また、内管が設置されていない収納容器の溶接用ワイヤ積層体の中央空洞部へ一つの溶接用ワイヤループが落ちながら絡むことを防止できる。
【0067】
ここで、弾性のある溶接用ワイヤがスプリングバック現象(spring back)によって絡むことを防止できる。
【0068】
そして、海上及び陸上の長距離運送による溶接用ワイヤ積層体のほつれを防止でき、高速走行する溶接用台車に搭載されても溶接用ワイヤ積層体にほつれが生じないようにすることができる。
【0069】
また、溶接用ワイヤの強度及び弾性、直径の差による絡み防止具の重量の変化が不要である。
【0070】
そして、板状の柔軟体の使用によって絡み防止具の重量と引き出される抵抗による絡み防止具の流動により溶接用ワイヤが絡む問題が解消できる。
【0071】
また、複数の収納容器を連結して中止されることがなく溶接作業が可能なエンドレスタイプの大容量溶接用ワイヤの場合にも、引き出しの安全性が確保され得る。
【0072】
そして、溶接用ワイヤの引き出し抵抗によるねじれによって溶接ビードが斜めになることを防止でき、収納容器内に連続的な複数のループに積層収納された溶接用ワイヤ積層体の上部面が平坦でなくても引き出す時に絡む問題が解消され得る。
【0073】
また、円筒状収納容器の外観の下部の折曲部に引っ掛かることなく、溶接用ワイヤが引き出されながら収納容器の底まで消尽され得る。
【0074】
そして、下部板状柔軟体の使用によって磁性体の摩耗と磁性粉によって発生する問題が発生されず、溶接用ワイヤの引き出し抵抗を減らして送給性を向上させることができる。
【0075】
また、残量確認窓を通して溶接用ワイヤの使用残量を容易に確認できる。
【0076】
また、複数の切開部が突出されて溶接用ワイヤ収納容器内壁に接しながら収納容器内壁をつたって下降されるので片方に偏ることがなく溶接用ワイヤ全量の消尽が容易である。
【0077】
したがって、本発明の溶接用ワイヤ絡み防止具によれば、連続溶接の作業効率を高める有用な効果を得ることができる。
【0078】
また、本発明の溶接用ワイヤ絡み防止具はガイド部が切開部に形成された開口に挿入されて収納容器内壁に上下方向に接触されることにより従来の技術に比べて溶接用ワイヤ積層体方向へのガイド部の曲げ具合が大きく減少される。
【0079】
これにより、溶接用ワイヤ積層体の積層状態の変形も減少されるので、螺旋状のループをなしている溶接用ワイヤループ直径が維持されることができ、溶接用ワイヤが引き出される時後続の溶接用ワイヤループが引き出される現象を防止できる効果がある。
【0080】
また、本発明の溶接用ワイヤ絡み防止具はワイヤ押さえ部が下降しても溶接用ワイヤ積層体を変形させないので、溶接用ワイヤが絡むことなく全体量の使用が可能で、これにより、溶接用ワイヤの消費効率を上昇させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来の溶接用ワイヤ絡み防止具の部分斜視図及び側断面図である。
【図2】本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具の実施例を示す斜視図である。
【図3】収納容器の形状による様々な実施例を示す本発明の溶接用ワイヤ絡み防止具の斜視図である。
【図4】本発明の他の変形構造を示す溶接用ワイヤ絡み防止具の斜視図である。
【図5】本発明の他の変形構造を示す溶接用ワイヤ絡み防止具の斜視図である。
【図6】本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具の層として設置された板状柔軟体の中央空洞部へ溶接用ワイヤを引き出す様子を示す斜視図である。
【図7】収納容器下部の形状による本発明のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【図9】本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具のさらに他の実施例で板状柔軟体の中央空洞部へ溶接用ワイヤを引き出す様子を示す斜視図である。
【図10】本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具のさらに他の実施例で板状柔軟体の中央空洞部へ溶接用ワイヤを引き出す様子を示す斜視図である。
【図11】本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具のさらに他の実施例で大容量容器下部の形状による本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図12】本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具のさらに他の実施例の部分切開斜視図である。
【図13】本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具で開口が具備された切開部が形成されたワイヤ押さえ部の斜視図及び切開部とガイド部の結合斜視図である。
【図14】本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具のさらに他の実施例による側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具の実施例が図2に図示されている。
【0083】
前記ワイヤ押さえ部100は溶接用ワイヤWが収納容器10内部で連続的な複数のループ状に積層されて保管される溶接用ワイヤ積層体20の上部に設置されることができる。
【0084】
前記ワイヤ押さえ部100により前記収納容器10から溶接用ワイヤWを引き出す時溶接用ワイヤWの絡みを防止できる。
【0085】
図2に示すように、前記ワイヤ押さえ部100は上部板状柔軟体101と前記上部板状柔軟体101の下部に配置される下部板状柔軟体102を含むことができる。
【0086】
又は、図8に示すように、前記ワイヤ押さえ部100は複数個の磁性体103と下部板状柔軟体102を含むことができる。
【0087】
また、前記上部板状柔軟体101は磁性体で設けられることができる。ここで、図6に示すように、上部板状柔軟体101と下部板状柔軟体102の中央空洞部101(a)、102(a)へ溶接用ワイヤWを引き出して使用することで絡みを防止できるようになる。
【0088】
前記上部板状柔軟体101が磁性体で形成されワイヤ押さえ部100の一部として構成される方式により、従来の合成樹脂製の押さえ部材をワイヤの押さえ部材として使用する場合に比べて、溶接用ワイヤWの引き出し抵抗を減少させる効果がある。
【0089】
このような方式は従来の方式に比べて重量が軽く、また、溶接用ワイヤWの引き出し部位の変動によって柔軟に流動するからである。
【0090】
特に、複数の収納容器10を連結して中止されることがなく溶接作業が可能なエンドレスタイプの大容量溶接用ワイヤWの場合、溶接用ワイヤWの終端部が従来の合成樹脂製の押さえ部材中央空洞部を介して取り出されて収納容器10の内壁上端に固定される。また、溶接用ワイヤWの先端部も従来の合成樹脂製の押さえ部材の中央空洞部を介して引き出される。
【0091】
したがって、従来の合成樹脂製の押さえ部材と溶接用ワイヤ積層体20との間に2本の溶接用ワイヤWが従来の合成樹脂製の押さえ部材の中央空洞部を介して同時に出ている状態になり、ワイヤの先端部が引き出される時に溶接用ワイヤWの終端部によって常に押さえ部材の一側が上部へ少し上げられるようになるので押さえ部材がワイヤ積層体20上端を均一に加圧できない問題があって引き出しの安全性が相当低下する。
【0092】
しかし、本発明の絡み防止具は前記ワイヤ押さえ部100の前記上部板状柔軟体101又は下部板状柔軟体102がいずれも柔軟体で形成されるので、前記ワイヤ押さえ部100の全体に柔軟性があって、引き出しの安全性が確保される。
【0093】
また、前記上部板状柔軟体101は磁力を帯びる磁性体で形成されるので、引き出される溶接用ワイヤWに続いて後続する溶接用ワイヤWが引き出される問題を解決できる。
【0094】
そして、溶接用ワイヤ積層体20の上部面が水平でない場合にも、前記ワイヤ押さえ部100がその上端面全体に均等に接触することが可能になる。
【0095】
一方、前記上部板状柔軟体101は磁力を帯びる磁性体で形成されるので、溶接用ワイヤWが自らの弾性復元力(Spring back)によってワイヤ押さえ部100の外側に押し出されて溶接用収納容器10の容器外観11とワイヤ押さえ部100の外周部101(b)、102(b)との間へ押し上げられる問題が制御できる。
【0096】
また、前記上部板状柔軟体101の磁力が溶接用ワイヤ積層体20の上部面に微小な引力(磁力)として作用し、引き出される一本の溶接用ワイヤWにはこのような引力(磁力)よりもさらに大きな力が作用するので、前記溶接用ワイヤWは前記磁性のあるワイヤ押さえ部100の中央空洞部101(a)、102(a)へ引き出されるようになる。
【0097】
この時、引き出される一本の溶接用ワイヤW以外の溶接用ワイヤ積層体20の上部面に位置するワイヤWには磁力による引力がそのまま作用しているため、後続のワイヤWもともに引き出される問題を防止できる。
【0098】
また、前記溶接用ワイヤWが引き出される時に、溶接用ワイヤWが中央空洞部へ引っ張られて引き出されながら溶接用ワイヤW自体のねじり(Torsion)応力により回転しながらもつれが発生し得る。
【0099】
しかし、このような問題も溶接用ワイヤ積層体20の上部面に作用している磁力により溶接用ワイヤWに微小な引張力が作用するので、溶接用ワイヤW自体のねじり応力により回転される現象が制御されてもつれを防止できる。
【0100】
前記上部板状柔軟体101が磁性体で形成される場合、前記上部板状柔軟体101はゴム磁石や強磁性物質が着磁された柔軟なプラスチック又は繊維などで設けられることができ、前記上部板状柔軟体101は柔軟なゴム磁石で形成されるのが好ましい。
【0101】
ここで、ゴム磁石はフェライト(Ferrite)パウダーとNBR樹脂を混合して成形したものでゴム磁石の特性上柔軟性を有し、板状をなす製品を市中で容易に手に入れることができるからである。
【0102】
一方、前記ゴム磁石は中央空洞部が形成された溶接用ワイヤ積層体20に対応する形状に形成され得る。すなわち、前記溶接用ワイヤ積層体20がドーナツ形状に形成される場合、前記ゴム磁石もこれに対応してドーナツ形状に設けられることができる。
【0103】
また、前記磁性体はガウスメーター(Gauss meter)測定値で磁力の強さが300〜1200ガウス程度であるのが好ましい。
【0104】
ここで、前記磁性体の磁力の強さが上記の範囲を持つ理由は前記磁性体の磁力が300ガウス未満の場合には磁力が弱すぎて溶接用ワイヤWを制御することに限界があり、1200ガウスを超える場合には磁力が強すぎて溶接用ワイヤWが引き出される時、引き出し抵抗が増加するためこの場合も制御が容易でないからである。
【0105】
一方、前記上部板状柔軟体101は磁力の強さが400〜800ガウスであるのがより好ましい。
【0106】
一般に使用される溶接用ワイヤWの直径は0.8mm〜1.6mmである。ここで、磁力の強さが400ガウス未満の場合は直径が1.6mmの溶接用ワイヤWを制御することに限界がある。
【0107】
また、磁力の強さが800ガウスを超えた場合は直径が0.8mmの溶接用ワイヤWを制御するには磁力が強すぎるからである。
【0108】
ここで、磁力の強さによって溶接用ワイヤWが制御される程度に差があるのは明らかである。しかし、本発明の溶接用ワイヤ絡み防止具は特定の強さの磁力範囲内では溶接用ワイヤWが制御される程度に差が出ない。
【0109】
例えば、0.8mmの直径を有する溶接用ワイヤWが800ガウスの磁力の強さに影響を受ける場合、0.8mmの直径では接触される表面積が小さいため磁力の影響が相対的に少なくなる。
【0110】
一方、1.6mmの直径を有する溶接用ワイヤWが400ガウスの磁力を受ける場合、1.6mmの直径で接触される表面積が相対的に大きいので磁力の影響が相対的に大きくなる。
【0111】
したがって、磁力の強さが400〜800ガウス範囲内では0.8mm〜1.6mmに互いに異なる溶接用ワイヤWの直径が使用される。そして、溶接用ワイヤWに作用する磁力の強さが400〜800ガウスであっても溶接用ワイヤWを引き出す時に作用する引き出し抵抗は適正に維持される。
【0112】
前記下部板状柔軟体102は樹脂系フィルムで形成され得る。
【0113】
一般に溶接用ワイヤWはメッキを施して使用する。銅メッキを例に挙げれば、銅でメッキされた溶接用ワイヤWが引き出されながら前記磁性体に直接接触される場合、溶接用ワイヤWが磁化されるか、又は、摩擦によって溶接用ワイヤWの表面に引っ掻き傷が生じ得る。
【0114】
特に、銅メッキされた溶接用ワイヤWが前記磁性体に接触する時メッキが損傷されることがあり、メッキ粉の発生により溶接を邪魔する問題がある。
【0115】
また、ゴム磁石などの柔軟性のある磁性体は溶接用ワイヤWとの摩擦によってゴム磁石などが損傷され、微細なゴム磁石粉が溶接用ワイヤWに吸着されて溶接される問題がある。
【0116】
本発明によるワイヤ押さえ部100は上記の問題点を解決するために下部板状柔軟体102を樹脂系フィルムで形成して前記上部板状柔軟体101と前記溶接用ワイヤ積層体20の直接接触を防止できる。
【0117】
また、前記樹脂系フィルムは柔軟性だけでなく、すべり(Slide)性に優れ、溶接用ワイヤ積層体20から溶接用ワイヤWが引き出される時に引き出し抵抗を最小化させることができるのでより好ましい。
【0118】
一方、前記下部板状柔軟体102は磁性体で形成された前記上部板状柔軟体101の磁力が強い場合、前記下部板状柔軟体102のフィルムの厚さを調節して、前記溶接用ワイヤ積層体20に作用する磁力を調節できるように設けられる。
【0119】
ここで、前記下部板状柔軟体102を形成する樹脂系フィルムはPET、PVC、PP、PE又はナイロンなどの素材で設けることができる。
【0120】
図3は、溶接用ワイヤWの収納容器10の形状による本発明の絡み防止具の実施例を示す図である。溶接用ワイヤWは円筒状、四角箱状、六角又は八角箱などの様々な収納容器10に収納され得る。
【0121】
したがって、本発明のワイヤ押さえ部100も様々な収納容器10の形状に応じて対応できる。
【0122】
そして、図4又は図6に示すように、前記上部板状柔軟体の中央空洞部101(a)は溶接用ワイヤ積層体20の中央空洞部の直径と同じか小さく構成されることで、上部板状柔軟体101の磁力が溶接用ワイヤ積層体20の上部面全体に均等に影響を及ぼすことができる。
【0123】
また、下部板状柔軟体の中央空洞部102(a)は上部板状柔軟体の中央空洞部101(a)の直径と同じか小さく構成されることで、溶接用ワイヤWが溶接用ワイヤ積層体20の中央空洞部へ引き出される時、上部板状柔軟体101に摩擦されず、下部板状柔軟体の中央空洞部102(a)に微小な摩擦のみがあるので引き出し抵抗が最小化され得る。
【0124】
図5及び図6に示すように下部板状柔軟体の外周部102(b)には複数の切開部102(c)が具備され得る。このような切開部102(c)は収納容器10の内壁に接するように突出され得る。
【0125】
これにより、溶接用ワイヤWの収納容器10の内壁に接しながら収納容器10の内壁をつたって下降されるので片方に偏ることがなく溶接用ワイヤWの全量の消尽が容易である。
【0126】
好ましくは上部板状柔軟体101と下部板状柔軟体102は一体に結合させることで上部板状柔軟体101と下部板状柔軟体102を強固に維持することができる。
【0127】
結合の方法は両面テープによる付着、粘着剤の塗布による付着、高周波熱圧搾などを挙げることができる。
【0128】
また、上部板状柔軟体101は一体にトムソン(Thomson)加工して適用されることができるが、トムソン加工時における損失分を減少させるために、複数個の柔軟な磁性体が結合されることもできる。
【0129】
そして、図7に示すように上部板状柔軟体の外周部101(b)及び下部板状柔軟体の外周部102(b)は互いに対応し、収納容器10の下部に形成された折曲部60の直径と同じか小さく形成されることができる。
【0130】
円筒状収納容器10の場合、下部の底板30を固定するために容器外観11の下部に折曲部60がある。
【0131】
ここで、前記溶接用ワイヤWが引き出される時に収納容器10の底まで消尽されながらワイヤ押さえ部100がこのような下部折曲部60に引っ掛かってそれ以上下降されることが難しい問題がある。
【0132】
したがって、上部板状柔軟体の外周部101(b)及び下部板状柔軟体の外周部102(b)は互いに対応し、収納容器10の下部折曲部60の直径と同じか小さく形成されるので、前記問題が解消され得る。
【0133】
一方、図6に示すように前記ワイヤ押さえ部100は溶接用ワイヤWの残量を確認できる溶接用ワイヤ残量確認窓110を一つ以上含むことができる。ここで、前記溶接用ワイヤ残量確認窓110は前記ワイヤ押さえ部100に開口を形成して溶接用ワイヤWの残量を直接確認するように設けられることができる。
【0134】
ここで、前記溶接用ワイヤ残量確認窓110は前記上部板状柔軟体101と下部板状柔軟体102の両方に形成された開口であり得る。
【0135】
又は、前記下部板状柔軟体102は透明な樹脂系フィルムで形成され前記上部板状柔軟体101にのみ開口を形成することもできる。
【0136】
本発明による溶接用ワイヤ絡み防止具の他の実施例を図8乃至図11に示している。
【0137】
図8乃至図11に示すように、ワイヤ押さえ部100は下部板状柔軟体102と、下部板状柔軟体102の上部に具備される複数個の磁性体103を含むことができる。
【0138】
そして、下部板状柔軟体の中央空洞部102(a)と複数個の磁性体103の中央空洞部103(a)へ溶接用ワイヤWを引き出すことができる。
【0139】
ネオジム(Neodymium)、アルニコ(Alnico)、サマリウム(Samarium)、フェライト(Ferrite)又はボンド磁石(Bonded Magnet)のような複数個の磁性体103を下部板状柔軟体102の上部に構成しても、図2乃至図7の実施例と同じ効果を得ることができる。
【0140】
前記複数個の磁性体103はその強さが300〜1200ガウスであるのが好ましい。より好ましくは400〜800ガウスの強さの磁石を使用することがよい。
【0141】
また、下部板状柔軟体102は樹脂系フィルムからなることができる。そして、複数個の磁性体の中央空洞部103(a)は前記溶接用ワイヤ積層体20の中央空洞部の直径と同じか小さく、下部板状柔軟体の中央空洞部102(a)は複数個の磁性体の中央空洞部103(a)の直径と同じか小さく構成されることができる。
【0142】
これにより、溶接用ワイヤWが引き出される時、前記複数個の磁性体103に引っ掛かることがないようにすることができる。
【0143】
そして、下部板状柔軟体の外周部102(b)には収納容器10の内壁に接するように突出された複数の切開部102(c)が具備され得る。
【0144】
また、複数個の磁性体103と下部板状柔軟体102は一体に結合されることができ、複数個の磁性体の外周部103(b)及び下部板状柔軟体の外周部102(b)は互いに対応でき、収納容器10の下部に形成された下部折曲部60の直径と同じか小さく構成されることが好ましい。
【0145】
その理由は図2乃至図7の実施例で説明したことと同じで、作用及び効果も同じである。
【0146】
図12に示すように、収納容器10内に形成された空間に溶接用ワイヤWが積層される。ここで、前記収納容器10は円筒状に形成されることができ、円筒状収納容器10内部の空間に溶接用ワイヤWがコイル形状に積層されるように設けられることができる。また、前記収納容器10の中央には空洞部が形成され得る。
【0147】
前記収納容器10にはワイヤ押さえ部100が配置されることができる。すなわち、前記収納容器10内部に形成された空間によって溶接用ワイヤWが積層された状態で前記ワイヤ押さえ部100は溶接用ワイヤ積層体20の上部に位置し、溶接用ワイヤWが引き出される場合絡みを防止できるように設けられる。
【0148】
図12に示すように、ワイヤ押さえ部100は収納容器10の内部に配置され、前記収納容器10の内部空間の溶接用ワイヤ積層体20の上部に位置して前記溶接用ワイヤ積層体20の上端面と接触可能に設けられる。
【0149】
前記ワイヤ押さえ部100は図12乃至図14に示すように、上部板状柔軟体101と下部板状柔軟体102とで構成されることができる。ここで、上部板状柔軟体101は磁性体で形成されることができ、下部板状柔軟体102は樹脂系フィルムで形成され得る。
【0150】
又は、前記ワイヤ押さえ部100は複数個の磁性体103と下部板状柔軟体で形成されることもできる。
【0151】
前記上部板状柔軟体101と前記下部板状柔軟体102がいずれも柔軟体で形成されて前記ワイヤ押さえ部100の全体に柔軟性があるので、溶接用ワイヤWが引き出される部位の変動によって柔軟に流動することができ、これにより、溶接用ワイヤWの引き出し抵抗を減らすことができる。
【0152】
前記ワイヤ押さえ部100は一側が前記収納容器10の内壁に接触されるように配置されることができ、前記収納容器10の中央に形成された空洞部に対応して前記ワイヤ押さえ部100の中央に空洞部が形成されている。
【0153】
前記ワイヤ押さえ部100の一側、特に前記ワイヤ押さえ部100の外周部には開口210が形成された複数の切開部102(c)が配置されることができる(図13(a)参照)。ここで、前記切開部102(c)に形成された開口210を介してガイド部300が挿入されるように設けられることができる(図13(b)参照)。
【0154】
前記ワイヤ押さえ部100は前記溶接用ワイヤ積層体20の形状に対応する形状に形成され得る。すなわち、前記収納容器10が円筒状に形成される場合、溶接用ワイヤWは前記収納容器10内部からコイル形状に積層され、前記溶接用ワイヤ積層体20は中央に空洞が形成された円筒状に設けられる。
【0155】
ここで、前記ワイヤ押さえ部100は前記溶接用ワイヤ積層体20の形状に対応して中央に空洞が形成された円形に設けられて前記ワイヤ積層体20の上部に位置し、この場合、前記切開部102(c)は曲げられて前記収納容器10の内壁に接触され得る。
【0156】
前記ワイヤ押さえ部100はリング形状に設けられることができる。すなわち、前記収納容器10が円筒状に形成される場合前記ワイヤ押さえ部100はリング形状に設けられ、前記ワイヤ押さえ部100が前記収納容器10の内壁に密着されるが、溶接用ワイヤWの使用によって溶接用ワイヤ積層体20の上端面と接触された状態でスムーズに下降し得るように形成され得る。
【0157】
一方、図12又は図13に示すように、切開部102(c)はワイヤ押さえ部100の一側に配置され、ガイド部300が挿入されることができる開口210が形成されて多数が設けられることができる。
【0158】
前記切開部102(c)はプラスチック又は樹脂系フィルムなどの柔軟体で形成され得る。ここで、前記切開部102(c)が柔軟体で設けられる場合、多数に形成される前記柔軟体の切開部102(c)は収納容器10の内壁に接触される。
【0159】
ここで、前記ガイド部300が前記柔軟体の切開部102(c)に形成された開口210を介して挿入されて貫通された後前記収納容器10の内壁に密着して接触されるので溶接用ワイヤWを引き出して使用する時にワイヤ積層体20の変形を防止して螺旋状のループをなしている溶接用ワイヤWループ直径が維持されることができ、溶接用ワイヤWが引き出される時に後続の溶接用ワイヤWループが引き出される現象を防止できる。
【0160】
前記切開部102(c)は柔軟体で設けられて前記下部板状柔軟体102と一体に形成され得る。
【0161】
一方、前記ワイヤ押さえ部100が前記溶接用ワイヤ積層体20の形状に対応する形状に形成されて前記溶接用ワイヤ積層体20の上部に位置する場合、前記切開部102(c)が曲げられて前記収納容器10の内壁に接触されるように設けられることができる。
【0162】
すなわち、図14に示すように、前記切開部102(c)が柔軟体で設けられる場合、前記ワイヤ押さえ部100の一側で延長形成され、収納容器10の内壁に近接する部分から上方に曲げられた後収納容器10の内壁になるべく密着できるように設けられることができる。ここで、前記切開部102(c)に形成された開口210を介して前記ガイド部300が挿入される。
【0163】
ここで、前記柔軟体で設けられた前記切開部102(c)は厚さが薄いものであるほど有利であるが、これは前記ガイド部300を前記収納容器10の内壁になるべく密着接触させるためである。
【0164】
前記のような方式は図1に示すように、前記環状部材3に開口5を形成して前記環状部材3に形成された開口5を介して前記帯1を挿入する従来の方式より溶接用ワイヤ積層体の加圧程度を減少させる。
【0165】
すなわち、従来技術と比べた時、前記溶接用ワイヤ積層体20方向への曲げ具合が減少したまま前記収納容器10の内壁に上下方向への密着接触が可能になる。
【0166】
したがって、溶接用ワイヤ積層体20の変形を防止して螺旋状のループをなしている溶接用ワイヤWループ直径が維持されることができ、溶接用ワイヤWが引き出される時に後続の溶接用ワイヤWループが引き出される現象を防止できる効果がある。
【0167】
また、前記収納容器10の内壁に上下方向に密着接触された前記ガイド部300が曲げられても前記ワイヤ押さえ部100は前記溶接用ワイヤWの引き出しによって収納容器10の内壁をつたってスムーズに下降されるので、片方に偏ることなく溶接用ワイヤW全量の消尽が容易になり、これによって、連続溶接の作業効率を上昇させる効果がある。
【0168】
一方、前記切開部102(c)が柔軟体で設けられる場合、前記ワイヤ押さえ部100と一体に形成されなくてもよい。すなわち、前記切開部102(c)を別々に製作してから前記ワイヤ押さえ部100の一側に結合する方式も可能である。ここで、前記切開部102(c)はワイヤ押さえ部100の上面、下面又は外周面のうちいずれか一つ以上に形成され得る。
【0169】
ただし、製作の容易性と製造コストを考慮すれば、柔軟体で設けられる前記切開部102(c)と前記ワイヤ押さえ部100を一体に形成することが好ましい。
【0170】
前記切開部102(c)が柔軟体で設けられる場合、多数に設けられることができ、3つに形成され得る。ここで、3つの切開部102(c)は各々の切開部102(c)から同じ距離を置いて形成され得る。すなわち、前記3つの切開部102(c)から中心に向けた延長線を形成する時、各々の延長線がなす角度は120度に設けられることができる。
【0171】
図12乃至図14に示すように、ガイド部300は切開部102(c)に形成された開口210に挿入されて収納容器10の内壁に上下方向に接触され、前記溶接用ワイヤ積層体20中の溶接用ワイヤWが跳ね上がらないようにしながらワイヤ押さえ部100を案内するように構成される。
【0172】
すなわち、前記ガイド部300は前記溶接用ワイヤ積層体20と前記収納容器10の内壁との間に位置し、前記ワイヤ押さえ部100の一側に形成された切開部102(c)の開口210に挿入されて交差することにより前記ワイヤ積層体20中の溶接用ワイヤWがワイヤ収納容器10の内壁とワイヤ押さえ部100との間に跳ね上がることを根本的に防止できる。
【0173】
前記ガイド部300は下部が前記収納容器10に結合され上部が前記収納容器10の内壁に着脱可能に設けられることができる。ここで、前記ガイド部300の下部は前記収納容器10下部にボンディングやテーピングなどの様々な方式で結合可能である。
【0174】
前記ガイド部300の上部は図14に示すように、着脱部310の一側を介して差し込まれた後前記着脱部310を加圧して前記着脱部310が前記ガイド部300を押さえる方式で固定され得る。
【0175】
一方、前記着脱部310に対して上述した方式とは逆に加圧して前記ガイド部300を前記着脱部310から離脱させることができる。
【0176】
前記着脱部310は様々な方式で形成可能であり、腰ベルトに付着されるバックルなどのような結合方式により前記ガイド部300と前記着脱部310が着脱されるように設けられてもよい。
【0177】
ここで、前記ガイド部300は革や柔軟性を有するプラスチックなどの様々な材質で形成され得る。
【0178】
本発明の明細書、本実施例及び本明細書に添付された図面は本発明に含まれる技術的思想の一部を明確に示しているものにすぎず、本発明の明細書及び図面に含まれた技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推できる変形例や具体的な実施例はいずれも本発明の権利範囲に含まれることは自明である。
【符号の説明】
【0179】
10:収納容器
11:容器外観
20:溶接用ワイヤ積層体
W:溶接用ワイヤ
30:底板
50:スチールガード
60:折曲部
100:ワイヤ押さえ部
101:上部板状柔軟体
102:下部板状柔軟体
101(a):上部板状柔軟体の中央空洞部
101(b):上部板状柔軟体の外周部
102(a):下部板状柔軟体の中央空洞部
102(b):下部板状柔軟体の外周部
102(c):切開部
110:溶接用ワイヤ残量確認窓
103:複数個の磁性体
103(a):複数個の磁性体の中央空洞部
103(b):複数個の磁性体の外周部
210:開口
300:ガイド部
310:着脱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的な複数のループ状に積層された溶接用ワイヤを収納容器から引き出す時、溶接用ワイヤの絡みを防止するように溶接用ワイヤ積層体の上部に設置される溶接用ワイヤ絡み防止具において、
収納容器内に収納された溶接用ワイヤ積層体の上部に位置し、中央空洞部が形成されたワイヤ押さえ部を含み、
前記ワイヤ押さえ部は磁性体からなる上部板状柔軟体と、前記上部板状柔軟体の下部に具備される下部板状柔軟体と、で構成され、前記上部板状柔軟体と下部板状柔軟体の中央空洞部へ前記溶接用ワイヤが引き出されることを特徴とする溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項2】
前記磁性体はゴム磁石であることを特徴とする請求項1に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項3】
前記磁性体はその磁力が300〜1200ガウス(Gauss)であることを特徴とする請求項1に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項4】
前記磁性体はその磁力が400〜800ガウスであることを特徴とする請求項1に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項5】
前記下部板状柔軟体は樹脂系フィルムからなることを特徴とする請求項1に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項6】
前記上部板状柔軟体の中央空洞部は前記ワイヤ積層体の中央空洞部の直径と同じか小さく、前記下部板状柔軟体の中央空洞部は前記上部板状柔軟体の中央空洞部の直径と同じか小さいことを特徴とする請求項1又は5に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項7】
前記下部板状柔軟体の外周部には前記収納容器の内壁に接するように突出された複数の切開部が具備されたことを特徴とする請求項1又は5に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項8】
前記上部板状柔軟体と下部板状柔軟体は一体に結合されたことを特徴とする請求項1又は5に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項9】
前記磁性体は複数の磁性体が結合されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項10】
溶接用ワイヤの残量を確認できる残量確認窓が一つ以上含まれたことを特徴とする請求項1、2又は5のいずれか一項に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項11】
前記上部板状柔軟体の外周部及び前記下部板状柔軟体の外周部は互いに対応し、前記収納容器の下部に形成された下部折曲部の直径と同じか小さいことを特徴とする請求項1又は5に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項12】
連続的な複数のループ状に積層された溶接用ワイヤを収納容器から引き出す時、溶接用ワイヤの絡みを防止するように溶接用ワイヤ積層体の上部に設置される溶接用ワイヤ絡み防止具において、
収納容器内に収納された溶接用ワイヤ積層体の上部に位置し、中央空洞部が形成されたワイヤ押さえ部を含み、
前記ワイヤ押さえ部は下部板状柔軟体と前記下部板状柔軟体の上部に具備される複数個の磁性体とで構成され、前記下部板状柔軟体と複数個の磁性体の中央空洞部へ前記溶接用ワイヤが引き出されることを特徴とする溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項13】
前記磁性体はその磁力が300〜1200ガウスであることを特徴とする請求項12に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項14】
前記磁性体はその磁力が400〜800ガウスであることを特徴とする請求項13に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項15】
前記下部板状柔軟体は樹脂系フィルムからなることを特徴とする請求項12に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項16】
前記複数個の磁性体の中央空洞部は前記ワイヤ積層体の中央空洞部の直径と同じか小さく、前記下部板状柔軟体の中央空洞部は前記複数個の磁性体の中央空洞部の直径と同じか小さいことを特徴とする請求項12又は15に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項17】
前記下部板状柔軟体の外周部には前記収納容器の内壁に接するように突出された複数の切開部が具備されたことを特徴とする請求項12又は15に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項18】
前記複数個の磁性体と下部板状柔軟体は一体に結合されたことを特徴とする請求項12又は15に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項19】
前記複数個の磁性体の外周部及び前記下部板状柔軟体の外周部は互いに対応し、前記収納容器の下部に形成された下部折曲部の直径と同じか小さいことを特徴とする請求項12又は15に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項20】
前記切開部には開口が形成され、前記切開部に形成された開口に挿入されて前記収納容器の内壁に上下方向に接触され、前記溶接用ワイヤ積層体中の溶接用ワイヤが跳ね上がらないようにしながら前記ワイヤ押さえ部を案内するガイド部をさらに含むことを特徴とする請求項7又は17に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項21】
前記切開部は柔軟体で形成されることを特徴とする請求項20に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。
【請求項22】
前記上部板状柔軟体と前記下部板状柔軟体は前記溶接用ワイヤ積層体の形状に対応する形状に形成され、前記切開部は曲げられて前記収納容器内壁に接触されることを特徴とする請求項21に記載の溶接用ワイヤ絡み防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−16746(P2012−16746A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151475(P2011−151475)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(501132217)ヒュンダイ ウエルディング シーオー.,エルティディ. (2)
【Fターム(参考)】