説明

溶液からの試料の結晶化のための反応容器

本発明は、溶液から試料を結晶化するための反応容器、およびカバーホイル、ならびにカバーホイルを取り付けるための装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液からの試料の結晶化のための反応容器、および反応容器のためのカバーホイル(foil)、ならびにカバーホイルを取り付けるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的高分子、例えばタンパク質および核酸の結晶の製造は、これらの分子の構造解析において重要な要素となっている。結晶化のための重要な方法は、蒸気拡散工程に基づいている。この工程において、結晶化溶媒に溶解している少量の高分子試料が、別の量の溶媒と共に反応容器中に入れられる。結晶化溶媒中に溶解している試料とリザーバー内の溶媒間の蒸気拡散により、試料溶液の過飽和と試料の結晶化を達成することができる。
【0003】
高分子の結晶成長は、種々のパラメーターに依存するので、適したパラメーターを調べるために、最大限可能な程度においていくつかの結晶成長試験を平行して行うことがしばしば必要となる。このことは通例、マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルプレート上で行われる。これらはまた、結晶化のために用いられる場合は結晶化プレートとも呼ばれる。
【0004】
このタイプのマイクロタイターまたは結晶化プレートは、本発明の技術水準から公知である。マイクロタイタープレートの個々の反応チャンバー(室)は、プレートのデザインに応じて、閉鎖されたガス室を作り出すために、例えばカバーやホイルによって、閉鎖系とすることができる。
【0005】
技術水準においては、高分子の結晶化のために、種々の代替のマイクロタイタープレートが知られている。例えば、欧州特許出願公報第1397201 A1号は、それぞれがリザーバーおよびいくつかの反応領域を、複数の反応チャンバーを有した試料を製造するための反応容器を開示している。
【0006】
これらの反応容器の欠点は、個々の反応チャンバーを気密に密閉できず、別々に封鎖したガスチャンバーを作り出せないことである。特に、多くの反応チャンバーおよび対応する小さな容積をもった結晶化プレートにおいては、反応容器からの溶媒の蒸発がしばしば起こる欠点がある。
【0007】
このタイプの反応容器を覆うためにホイルを用いた場合は、対応する反応チャンバー上のホイルは通常、反応容器から形成された結晶を除くために切り開かれる。この工程では、このタイプの切断において、反応チャンバーを取り囲むカバーはしばしばダメージを受け、これらの結晶化の検討が、その後気密であるように密閉された状態ではもはやなく、従って用いることができないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公報第1397201 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、技術水準における上記欠点の少なくとも一つを克服する手段を提供することである。特には、本発明の目的は、反応容器のより良い密閉性を提供できる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明の請求項1に従った反応容器により達成される。この請求項に従って、溶液からの試料の結晶化のための反応容器が提供され、それは複数の反応チャンバーを含み、各反応チャンバーが、リザーバーおよび少なくとも一つの結晶化空間を有し、第一の反応チャンバーの第一の側壁が、連結スペーサーを介して、スペーサー距離にて、第二の反応チャンバーの第二の側壁に連結されており、さらには、連結スペーサーは、反応容器の横円周表面と共用の平面上に配置され、その平面は、反応容器の平らな面を形成する。
【発明の効果】
【0011】
驚くべきことに、本発明に従った反応容器は、反応容器の個々の反応チャンバーの改善された被覆を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施態様に従った本発明の反応容器の概略図である。
【図2】図2は、図1の軸Iに沿った、本発明に従った反応容器の断面図である。
【図3】図3は、図1に基づいた、本発明に従った反応容器の拡大した概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施態様に従った本発明のカバーホイルの概略図である。
【図5】図5は、本発明の実施態様に従った本発明の固定具の概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施態様に従った本発明の収容具の概略図である。
【0013】
有利な手段において、反応チャンバー間の連結スペーサーの形成(ここで、第一の反応チャンバーの第一の側壁が、第二の反応チャンバーの第二の側壁と、連結スペーサーを介して、ある距離をおいて連結しており、そして連結スペーサーは、反応容器の横円周表面と共に平らな面を形成している)は、より幅があるスペーサーとする可能性をもたらすことができる。特にこのことは、隣接する反応チャンバーが互いに、より幅があるスペーサーによりある距離をおいて離れて設置できるように、隣接する反応容器が、共用の容器壁を持たないことで可能となる。有利な手段において、より幅のあるスペーサーは、接着性のカバーホイルのためのまたは接着剤を塗布するためのより広い接着領域を可能とできる。この手段において、反応チャンバーの封鎖能は、著しく改善できる。
【0014】
このことは、ホイルのために非常に小さな接着面しか持たない、反応チャンバー間の慣用の薄い中間スペーサーに比べて特に有利である。
【0015】
さらに有利な点は、反応容器の横円周面と共に平らな面を形成する連結スペーサーによって、個々の反応チャンバーの、特には、カバーホイルによる良好な封鎖能がさらに増加することである。従って、例えば、端領域の面から伸びているまたはその真下にある狭い中間のウェブによって作られる平らでない面領域は、本発明によって避けることができ、そして、反応チャンバーの封鎖能はさらに改善される。
【0016】
幅の広い接着領域が、完全にまたはほとんど完全に、個々の反応チャンバー中の溶液の蒸発を防ぐことができ、そのこともまた特に有利である。このことは、多くの反応チャンバーを持つ結晶化プレート、例えば、いわゆる96ウェルプレートおよび対応する少量の溶液にとって特に有利である。
【0017】
例えば、カバーホイルによって、個々の反応チャンバーを密封した後、それらは各々分離されたガスチャンバーを形成し、そこでは、溶媒に溶解された試料は、反応チャンバーのリザーバー中の追加の溶媒と共に結晶化空間上または空間中で封入される。反応チャンバーからの溶媒の蒸発を減少または防ぐことは、特に少量の溶媒においては、溶媒の蒸発によって変化しない結晶化のための溶液濃度をもたらすことができる。同様に、結晶成長試験の評価のために、結晶化に要求される結晶の濃度は、明確により良好に試算できる。このことは特に、頻繁に用いられる、アルコールや酸等の揮発性溶媒に有利である。
【0018】
反応容器の好ましい実施態様に従って、連結スペーサーは、1.5mm以上5mm以下の範囲、特には2mm以上4mm以下、好ましくは2.5mm以上3mm以下、もっと好ましくは2.7mm以上2.8mm以下の範囲の幅である。
【0019】
本発明の範囲内である、領域の形態における表面領域、幅、長さまたは深さは、特に断りがない限り、下限値が最小値を示し、上限値が最大値を示すと理解されるべきである。
【0020】
有利な点は、平面で幅の広い連結スペーサーが、個々の反応チャンバーの周りに十分な面領域を提供することができ、それが、個々の反応チャンバーをカバーホイルで確実に密封するのに適していることである。工程において、セルフシールのカバーホイルが用いられるか、または、連結スペーサーの面領域および反応容器の端領域が接着剤と共に提供されることができる。特に、平面で幅の広い連結スペーサーは、個々の反応チャンバーの周りに十分な面領域を提供でき、それが、反応チャンバーの周りに確実に自動接着性のカバーホイルを付着させるのに適している。
【0021】
本発明に従った反応容器の好ましい実施態様に従って、連結スペーサーは溝を有する。この溝は、好ましくは、隣接する反応チャンバーの側壁の2つの上部端間の連結スペーサー上に、中心にすなわち対称的に配置される。しかしながら、溝を2つの隣接する反応チャンバーの側壁の上部端の間に非対称的に配置することもまた考えられる。この場合は、反応チャンバーの側壁の上部端の溝から離れた距離は、隣接する反応チャンバーの側壁の上部端の溝から離れた距離とは異なるであろう。好ましくは、連結スパーサーは、中心に溝を有する。
【0022】
本発明の文脈での「溝」は、長手方向のまたは縦溝形の深度をもったもの、好ましくは溝であると理解されるべきである。
【0023】
溝の利点は、それが所定の切断ガイドを提供できることである。
【0024】
成功裡の結晶化の後、形成された結晶へのアクセスを提供するために、反応チャンバーを密封するホイルを、外科用メスまたは他の切断用具を用いて通常の方法により、部分的にまたは完全に開口または切り開く。連結スペーサー中の溝は、ホイルが溝に沿って切開された場合は、ホイルの表面を特定の反応チャンバー上で支障なく取り除くことができるので、特に有利である。今までのところ、反応チャンバー上のホイル表面の除去は、通常、ホイルを、2つの隣接する反応チャンバーを分離するスペーサーに沿ってまたは反応チャンバーの内壁上部に沿って切断することにより成されていた。切開操作中の切開用具の不測の滑りによって、反応チャンバー周りのダメージがしばしば起こる。しかしながら、上記した溝によって、切開用具の不測の滑りおよびその結果の切開具による反応チャンバーの周りのカバーへのダメージを防ぐことができ、周囲の結晶成長試験を害することがない。
【0025】
特に最も好ましくは、反応容器が、反応チャンバーの外側に沿って円周の溝を有する。しかしながら、溝が、反応チャンバーを完全に取り囲んでないことや、反応チャンバーの少なくとも一つの辺上、好ましくは2つの辺上、さらに好ましくは3つの辺上に配置されていることもまた可能である。好ましくは、反応チャンバーの深部から始まる、円周の溝までの、スペーサーの面領域の幅は、連結スペーサーの中央に配置された溝までの連結スペーサーの幅に対応する。好ましい実施態様では、反応チャンバーは、互いに一致する幅をもったスペーサーによって取り囲まれる。好ましくは、スペーサーの内部領域は、溝によって取り囲まれる。
【0026】
溝によって取り囲まれるスペーサーの領域は、カバーホイルの所定の部分が溝に沿って切断されそしてそのホイルの断片が安全に上につり上げられるという利点がある。
【0027】
好ましくは、スペーサーは、反応チャンバーあたり24.75mm2以上65mm2以下の範囲の、好ましくは反応チャンバーあたり32mm2以上56mm2以下の範囲の、好ましくは反応チャンバーあたり38.75mm2以上45mm2以下の範囲の領域を有する。「スペーサー」という言葉は、連結スペーサーおよび、反応容器が外側の場合は、反応容器の端領域によって外側で反応容器の辺の上に形成されるスペーサーを意味する。好ましくは、個々の反応チャンバーのためのスペーサーの面領域は、反応チャンバーの辺に沿って走っている溝によって明確にされる個々の反応チャンバーを取り囲む表面を規定する。
【0028】
さらに、連結スペーサーの面領域は、溝の両側に十分な接着領域を提供でき、反応チャンバー上のホイルを除いた後に隣接する反応チャンバー上のホイルの取り付けが損傷しないという利点がある。
【0029】
溝は、半円、凸断面、直角断面、または三角断面の形を有していても良く、好ましくは、外側に向かって傾斜した壁の等辺をもつ台形である。好ましくは、溝は、外側に対して傾斜した壁を有する。このことは、有利な手段で、切断用具、例えば外科用メスのガイドをより容易にできる。好ましくは、溝は、中央で交差する外側に角度がついた壁を有する。
【0030】
本発明の反応容器の好ましい実施態様に従って、溝は、0.2mm以上0.7mm以下の範囲、特には0.3mm以上0.6mm以下の範囲、好ましくは0.4mm以上0.5mm以下の範囲の幅を有する。
【0031】
本発明の反応容器の他の好ましい実施態様に従って、溝は、0.05mm以上0.5mm以下の範囲、特には0.1mm以上0.4mm以下の範囲、好ましくは0.2mm以上0.3mm以下の範囲の深さを有する。
【0032】
このことは、有利な手段で、切断用具、例えば外科用メスのガイドをより容易にできる。
【0033】
本発明の反応容器の他の好ましい実施態様に従って、連結スペーサーは、反応容器の少なくとも一つの端領域に、好ましくは反応チャンバーの少なくとも一つのコーナーに、好ましくは隣接する反応チャンバーの端と接触していない凹部を有する。本発明の反応容器のさらに好ましい実施態様に従って、スペーサーは、反応チャンバーの外側の少なくとも一つの領域、好ましくは反応チャンバーの少なくとも一つのコーナーにおいて凹部を有する。
【0034】
好ましくは、連結スペーサーは、一つの位置、好ましくは反応チャンバーの一つのコーナーにおいて凹部を有する。連結スペーサーは、2つ、3つまたは4つの位置、好ましくは反応チャンバーの複数のコーナーにおいて凹部を有する。好ましくは、少なくとも一つの凹部は、結晶化空間が配置された反応チャンバーの辺上に配置される。
【0035】
好ましくは、連結スペーサーは、連結スペーサー中に配置された溝から始まる凹部を有する。さらに、連結スペーサーは、好ましくは、溝の交差領域から始まる凹部を有する。
【0036】
本発明の反応容器の追加の好ましい実施態様に従って、スペーサーは、円周上でそして少なくとも一つの位置において配置された溝から始まる反応チャンバーの外側上に、好ましくは反応チャンバーの一つのコーナー上に凹部を有する。
【0037】
有利な手段で、凹部は、切断用具が収容部中に入り込むことを可能にし、そしてホイルを除くことをより容易にする。
【0038】
追加の好ましい実施態様において、凹部は、溝の深さに一致する深さを有する。好ましくは、凹部は、0.05mm以上0.5mm以下の範囲、特には0.1mm以上0.4mm以下の範囲、好ましくは0.2mm以上0.3mm以下の範囲の深さを有する。
【0039】
好ましくは、凹部は、0.4mm2以上1.2mm2以下の範囲、好ましくは0.5mm2以上1mm2以下の範囲、好ましくは0.65mm2以上0.9mm2以下の範囲の領域を有する。
【0040】
凹部は、カバーホイルを持ち上げたときに、溝に沿って切り取られうるホイル片の下の反応チャンバーのコーナー上を、切断用具がガイドされうるという利点を有する。この手段は、反応チャンバーに向いた面上に所望の結晶を有するかもしれない切り取られたホイル片を、ホイル片および結晶にダメージを与えることなく除くことができるという追加の利点を有する。
【0041】
本発明に従った反応容器は、複数の反応チャンバーを含み、個々の反応チャンバーは、リザーバーおよび少なくとも一つの結晶化空間を有する。カバーを取り除いた後に、各反応チャンバーは、独自のガスチャンバーを形成でき、そこでは、リザーバーおよび結晶化空間が、お互いにガスを交換できる。
【0042】
好ましくは、本発明に従った反応容器は、生物分子スクリーニング協会(SOCIETY OF BIOMOLECULAR SCREENING:SBS)推奨の寸法に従った、好ましくは、ANSI/SBS規格に従った様式を有する。規格、例えばSBS(www.sbsobline.org)規格は、専門家に公知である。
【0043】
これらの手段は、本発明に従った反応容器中での結晶成長試験が、標準化されたピペッティング補助装置およびロボットシステムを用いて行うことができるという利点を有する。
【0044】
さらに、本発明に従った反応容器は、好ましくは、SBS規格に従って、式3×2N(ここで、Nは自然数である)に従った反応チャンバーの数を有する。例えば、96ウェル反応容器の反応チャンバーが、SBS規格に従って、それぞれ12の8列で、お互いに9mm離れて、配置される。
【0045】
リザーバーは、好ましくは、本質的に方形空洞であり、そして好ましい実施態様においては、8mm以上12mm以下の範囲、特には9.5mm以上10.5mm以下の範囲、好ましくは9.9mm以上10.1mm以下の範囲の深さをもち、ここで、深さは、反応容器の平らな表面から空洞の洞穴底までである。
【0046】
好ましい実施態様において、リザーバーは、1.7mm以上3.5mm以下の範囲、特には2mm以上3.2mm以下の範囲、好ましくは2.2mm以上3.0mm以下の範囲の幅、および/または4mm以上7.5mm以下の範囲、特には5mm以上7mm以下の範囲、好ましくは5.6mm以上6.2mm以下の範囲の長さを有する。
【0047】
好ましくは、リザーバーの容量は、通例の結晶化プレートのそれよりは小さい。好ましい実施態様において、リザーバーは、70μl以上160μl以下の範囲、特には80μl以上150μl以下の範囲、好ましくは130μl以上140μl以下の範囲の容量を有する。
【0048】
本明細書の文脈において明記されている「リザーバー容量」は、リザーバーの底から結晶化空間の棚の高さまでの容量であると理解される。
【0049】
好ましくは、リザーバーは丸いコーナーを有する。さらに好ましくは、反応チャンバーは丸いコーナーを有する。
【0050】
コーナーが丸い場合は、液、特には結晶化溶媒が、上昇しないまたは明らかに減少した量の状態に上昇しないので、特に有利である。特には、リザーバーの丸くなったコーナーと、反応チャンバーの丸くなったコーナーの組合せが、好都合であることが証明されている。
【0051】
好ましくは、少なくとも一つの結晶化空間が、反応チャンバーの棚の上に配置される。少なくとも一つの結晶化空間が、陥凹部として構造化されるのが好ましい。棚は、好ましい実施態様では、結晶化空間の下の底面上に滑らかな表面をもつ。
【0052】
好ましくは、少なくとも一つの結晶化空間がその上に配置されている反応チャンバーの棚は、リザーバーの容器底面の上、7mm以上10mm以下の範囲、好ましくは8mm以上9mm以下の範囲の高さで配置される。
【0053】
各反応チャンバーは、リザーバーおよび少なくとも一つの結晶化空間を有する。反応チャンバーは、複数の結晶化空間、例えば、2つまたは3つの結晶化空間を有することができるが、好ましくは、反応チャンバーは、一つの結晶化空間を有する。
【0054】
本発明に従った反応容器の追加の利点は、多くの結晶化空間に比べて、増加した一つの結晶化空間容量を提供できることである。
【0055】
好ましい実施態様において、結晶化空間の特定の陥凹部の容量は、10nl以上7μl以下の範囲、好ましくは50nl以上5μl以下の範囲、より好ましくは100nl以上1μl以下の範囲、特には、300nl以上500nl以下の範囲である。
【0056】
結晶化空間の増加した容量は、結晶化溶媒に溶解した試料を、自動的にばかりでなく、手動でもいっそう良くピペットできるので有利である。
【0057】
好ましくは、結晶化空間の底面を形成する陥凹部は、曲面または球面、好ましくは、内部に向かってアーチ形の陥凹面を有する。
【0058】
好ましい実施態様に従って、結晶化空間は、卵形、好ましくは楕円形または本質的に楕円形を有する。本発明の反応容器の特定の好ましい実施態様に従って、結晶化空間は、楕円形または本質的に楕円形に形成される。
【0059】
本発明の文脈において、「楕円形に形成」との用語は、結晶化空間が、楕円の長軸が好ましくはリザーバーの長軸と平行に伸びるように、上から見たて楕円形の外形を有することを意味する。好ましくは、結晶化空間、特には、結晶化空間を形成する陥凹部は、半分の卵形の、好ましくは半楕円の形を有する。
【0060】
追加の実施態様に従って、楕円形を形作るまたは本質的に楕円形もつ結晶化空間、特には、結晶化空間を形成する陥凹部は、1.5mm以上4mm以下の範囲、好ましくは1.8mm以上3.5mm以下の範囲、好ましくは2.1mm以上3.0mm以下の範囲の幅、および/または4.5mm以上8mm以下の範囲、好ましくは5.1mm以上7mm以下の範囲、好ましくは5.6mm以上6.2mm以下の範囲の長さを有する。
【0061】
結晶化空間の湾曲した、特には楕円形の表面の利点は、とりわけ、試料の液滴の再現性のある位置決めが可能であるという事実にある。このことは、形成される結晶の再現性のある位置決めをもたらすことができる。例えば、結晶は、好ましくは、湾曲した最深部領域において形成される。従って、有利な手段で、結晶は、結晶化空間の中心またはほぼ中心で形成できる。
【0062】
特に、溶解した試料の再現性のある位置決めの結果としてのこのような利点は、それにより結晶の再現性のある位置決めを得ることができることである。
【0063】
特に、結晶化空間の丸くなった表面、好ましくは楕円形の表面によって、結晶の成長がコーナーから始まり、それによって結晶の除去または結晶化空間中での直接の結晶の分析がより困難になることを避けることができる。
【0064】
卵形および好ましくは楕円形の設計は、さらに、結晶の除去が、より容易になるという特別の利点を有し、そこでは、結晶の除去のための道具、例えば、通例結晶化ループと呼ばれている、端にループをもった金属ピンが、結晶化空間の形を介して最深部領域の方向へとガイドされる。従って、結晶化空間の本質的に楕円の形は、形成された結晶のより容易な分離を可能とする。
【0065】
さらに、結晶化空間の湾曲した表面、特には、卵形または好ましくは楕円の形は、しばしば平らな表面で起こる、反射、特には光の全反射を防ぐという、さらに大きな利点を有することができる。光は、例えば、反応容器中で形成された結晶の顕微鏡検査のための照射で用いられる。この手段において、反応容器中での顕微鏡検査は、著しく容易になる。
【0066】
好ましくは、反応容器は、光透過性のポリマーから設計される。この手段で、結晶成長試験が、光学装置を用いて開口することなしに、調べられる。
【0067】
好ましいポリマーは、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルペンテン、およびアクリルエステルスチレンアクリルニトリルからなる群より選択される。
【0068】
これらのポリマーは、有機溶媒、例えば、結晶化においてしばしば用いられる、アセトン、ベンゼンまたはアセトニトリルに対して耐性であるという利点がある。さらに、それらは、結晶化のために用いられる、種々のよく使われる塩、緩衝液またはポリマーと混合可能である。
【0069】
特に好ましいポリマーは、シクロオレフィンコポリマー、およびシクロオレフィンポリマー、好ましくはシクロオレフィンコポリマーからなる群より選択される。反応容器、特にはシクロオレフィンコポリマーから設計された反応容器は、特に良好な透過性を提供できる。さらに、シクロオレフィンコポリマーから作られた容器は、水蒸気に対してより小さい透過性を示すので、例えばポリスチレンから作られた反応容器に比べて、蒸発に対して傷つきにくい。
【0070】
好ましいシクロオレフィンコポリマーは、23℃の室温にて、0.01%未満の吸水率をもつ。さらに好ましくは、280nmの波長レンジにおいて、90%以上100%未満、好ましくは91%の光透過性をもつシクロオレフィンコポリマーを用いることができる。
【0071】
好ましいシクロオレフィンコポリマーは、例えば、商品名トパス(Topas)(登録商標)、特には、トパス(Topas)(登録商標)8007X10(トパス・アドバンスド・ポリマー社、Topas Advanced Polymers GmbH)として入手可能である。好ましいシクロオレフィンポリマー(COP)は、例えば、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)として入手できる。
【0072】
本発明に従った反応容器は、溶液からの試料の、「シッティングドロップ(sitting drop)」法に従った結晶化に適しており、複数の反応チャンバーを含み、各反応チャンバーは、リザーバーおよび少なくとも一つの結晶化空間をもつ。
【0073】
試料用液を反応容器のカバーに、特には、反応チャンバー上に直接、取り付けた場合は、結晶化は、いわゆる「ハンギングドロップ(hanging drop)」法に従って行うことができる。
【0074】
本発明の反応容器の好ましい実施態様に従って、反応容器はまた、容器カバーを有することもできる。好ましい実施態様に従って、容器カバーは、弾性カバーホイルである。しかしながら一般に、硬質カバーの使用もまた本文脈においては可能である。好ましくは、カバーホイルまたは硬質カバーを反応容器の上に取り付けることにより、反応チャンバーはすべて互いに閉鎖することができる。
【0075】
カバーホイルの追加の利点は、反応容器の反応チャンバーの一部もまた、意図的に閉鎖することができることである。特に、カバーホイルの使用においては、個々の反応チャンバーは、カバーホイルの一部を除くことにより、周囲の反応チャンバーを同様に開口する必要なしに、意図的に開口できる。特に、カバーホイルの汚染のリスクは小さい。さらに、接着性カバーホイルが使いやすい。
【0076】
反応容器のスペーサーおよび端領域は接着剤を用いてカバーがされているようにして提供することもでき、そしてカバーホイルが、接着性でないように設計されて取り付けられることもできる。しかしながら、接着性カバーホイルが取り付けられるのが好ましい。このことは、接着前のカバープレートの操作において著しく有利である。
【0077】
好ましくは、カバーホイルは、光透過性ポリマーから作られる。この手段で、結晶成長試験が、光学装置を用いて開口することなしに、調べられる。
【0078】
好ましいポリマーは、エラストマー、フッ素化および非フッ素化ポリマーであり、特には、ポリエチレン、特に低密度ポリエチレン(LDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル(PVC)などのフッ素ポリマー、ペルフルオロアルコイルコポリマー(PFA)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(E−CTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(E−TFE)、トリフルオロクロロエチレン/エチレンコポリマー(CTFE)、フッ化ポリビニリジン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオレフィン、アクリルポリマー、アクリルコポリマー、エチレンアクリレート、エチレンメタクリレート、エチレンメチルアクリレート、エチレンメチルメタクリレートコポリマー、アクリルニトリルスチレンコポリマー、アクリルニトリルメチルアクリレートコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ブタジエンスチレンコポリマ−、ポリブタジエン、ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、イソブチレンイソプレンコポリマー、ポリカーボネート、およびシクロオレフィンポリマー(COP)からなる群より選ばれる。
【0079】
特に好ましいポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル(PVC)などのフッ素ポリマー、ポリカーボネート、およびシクロオレフィンポリマー(COP)からなる群より選ばれる。特に好ましいポリマーは、ポリプロピレンである。特に、ポリプロピレン層は、カバーホイルの良好な透過性を提供できる。
【0080】
接着剤は好ましくは、ポリマー層に塗られる。
【0081】
適した接着剤は、反応型接着剤および/またはコンタクト接着剤を含む群より選ばれる。コンタクト接着剤が好ましい。コンタクト接着剤としては、技術水準において通例知られているコンタクト接着剤を用いることができる。用いることができるコンタクト接着剤は、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンコポリマー(SBR−ゴム)、アクリロニトリルコポリマー、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンイソプレン、およびスチレンイソプレンスチレン(SIS)ブロックコポリマーまたはスチレンブタジエンスチレン(SBS)ブロックコポリマーなどのブロックコポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリビニールエーテル、アクリロニトリルコポリマー、アクリレート、メタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、およびこれらのアクリレートのコポリマーである。
【0082】
接着剤および特にコンタクト接着剤として、とりわけ適したものは、ゴム、合成ゴムまたはアクリレートベースの接着剤であると証明されている。好ましい実施態様に従って、コンタクト接着剤は、アクリレート接着剤である。メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、およびエチレンアクリル酸コポリマーからなる群より選ばれる、アクリレート(またはメタクリレート)ベースのアクリレート接着剤が好ましい。
【0083】
好ましくは、カバーホイルは、アクリレート接着剤で表面を覆われている。よく粘着するアクリレート接着剤は、有利な手段で、反応チャンバーの信頼できる密封を提供できる。特に、良好な粘着性をもつカバーホイルと、個々の反応チャンバー間の本発明に従った幅の広いスペーサーの相互作用は、反応チャンバーからの蒸発を著しく減少できる。
【0084】
個々の反応チャンバー上の表面は、接着剤の無い状態で提供できる。ここで、接着剤の無い状態は、個々の反応チャンバー上の全表面に対して提供できる。このことは、試料溶液を接着剤で汚染すること無しに、「ハンギングドロップ」法に従った結晶化を可能とする。
【0085】
好ましくは、反応領域の上の面は、接着剤がない状態である。反応領域の上の全領域を、接着剤無しの状態にできる。好ましくは、反応領域の上の領域の一部のみを接着剤が無い状態にする。本明細書で、領域の位置についての記載は、反応容器に接着したホイルを参照している。
【0086】
特に好ましい実施態様に従って、反応チャンバーを含む反応容器を覆うカバーホイルは、ポリマー層およびその上に付けられた接着層を含み、ここで、好ましくは、1.5mm以上7.5mm以下の幅および1.5mm以上7.5mm以下の長さの領域が、接着剤層内で非接着性であるように設計される。
【0087】
一方、このことは、カバーホイル上への試料の液滴の位置決めを、接着剤の無い面に対して方向付けすることにより相当に大きな確実性をもってできるという利点をもつ。他方、これにより、カバーホイルおよび/または反応容器が振動した場合に、液滴が互いに流れ込み隣接する成長試験を汚染することを防ぐことができる。
【0088】
好ましくは、カバーホイルは、式3×2N(ここで、Nは自然数である)に従った非粘着性領域の数をもつ。カバーホイル上の非粘着性領域の配置は、SBS規格に従った反応容器の反応チャンバーの配置に対応しており、そこでは、非粘着性領域は、適した様式で空洞の内側でカバーホイルの面上に配置されている。
【0089】
非粘着性領域は、好ましくは、リザーバーの上に配置される。
【0090】
非粘着性領域は、円形の、卵形の、特には楕円形のまたは本質的に楕円形の、あるいは長方形の形を有することができる。好ましい実施態様では、非粘着性領域は、円形を有する。
【0091】
好ましい実施態様において、カバーホイルは、1.5mm以上7.5mm以下の範囲、好ましくは1.8mm以上3mm以下の範囲、特には2mm以上2.5mm以下の範囲の直径の、非粘着性の円形領域を有することができる。
【0092】
さらに好ましい実施態様では、カバーホイルは、1.5mm以上4mm以下の範囲、好ましくは1.8mm以上3mm以下の範囲、特には2mm以上2.5mm以下の範囲の幅、および/または、1.8mm以上7.5mm以下の範囲、好ましくは2.5mm以上6mm以下の範囲、特には2.5mm以上3mm以下の範囲の長さの、非粘着性の、卵形の、特には楕円形のまたは本質的に楕円形の領域をもつことができる。
【0093】
同様に好ましい実施態様では、カバーホイルは、1.5mm以上7.5mm以下の範囲、好ましくは1.8mm以上3mm以下の範囲、特には2mm以上2.5mm以下の範囲の幅、および/または、1.5mm以上7.5mm以下の範囲、好ましくは1.8mm以上3mm以下の範囲、特には2mm以上2.5mm以下の範囲の長さの、非粘着性の、長方形の領域をもつことができる。
【0094】
特に好ましい実施態様では、カバーホイルは、好ましくは、1.5mm2以上45mm2以下の範囲、好ましくは2.5mm2以上8mm2以下の範囲、特には3mm2以上5mm2以下の範囲の領域をもつ、円形の、非粘着性の面を有することができる。
【0095】
また好ましい実施態様では、カバーホイルは、好ましくは、5.8mm以上6.6mm以下の範囲、好ましくは6.1mm以上6.3mm以下の範囲の幅、および/または、5.8mm以上6.6mm以下の範囲、好ましくは6.1mm以上6.3mm以下の範囲の長さの、非粘着性領域をもつことができる。
【0096】
好ましくは、カバーホイルは、SBS規格に従った反応容器に適した切断の形にて提供される。好ましい実施態様では、カバーホイルの好ましい切断は、76mm以上84mm以下の範囲、好ましくは77mm以上82mm以下の範囲、特には78mm以上80mm以下の範囲の幅、および/または、130mm以上160mm以下の範囲、好ましくは135mm以上155mm以下の範囲、特には140mm以上150mm以下の範囲の長さを有することができる。
【0097】
好ましくは、カバーホイルの切断の長さは、SBS規格に従った反応容器の長さより長い。好ましくは、切断は、その長さの両側に非接着性領域を有し、好ましくは、それぞれの切断は、5mm以上12mm以下の範囲、好ましくは8mm以上10mm以下の範囲長さである。これは、カバーホイルを、その長手方向の側面でより良く掴むことができ、確実性を高めて反応容器上に適用できる。
【0098】
さらに好ましい実施態様では、ポリマー層および接着剤層を含むカバーホイルは、25μm以上125μm以下の範囲、好ましくは50μm以上100μm以下の範囲、特には65μm以上70μm以下の範囲の厚さを有する。このことは、カバーホイルを容易に突き通すことができるという利点を有する。
【0099】
好ましい実施態様に従って、カバーホイルは、接着剤で覆われていないカバーホイルの面に、接着剤が無い面の位置を表すおよび/または個々の反応チャンバーを表す印を有する。例えば、個々の反応チャンバーの表示は、左右反転でそしてまた読み方向で示すことができ、このことは、個々の反応チャンバーの表示が、試料を滴下する間、ならびに反応容器上にホイルを取り付ける間および/またはその後に読むことができるという利点を有する。さらに、接着剤が無い面上の位置の印は、しばしば形成される色のない結晶の位置の認識を容易にすることができる。
【0100】
好ましくは、印はインプリントの形態で付けられる。印はまた、接着剤とともに提供されるカバーホイルの非粘着性領域側の上につけられる。ただのインプリントに加えて、印はまた、例えば上げ境界線をエンボス加工によって、または陥凹によって、付けることができる。
【0101】
接着剤層は、取り外し可能な保護ホイルによって、好ましくは取り外し可能なシリコーンホイルによって保護されうる。
【0102】
本発明はさらに、固定具を含む、反応容器上にカバーホイルを取り付けるための装置に関し、固定具は、カバーホイルを収容するための基部構造体を含み、基部構造体は、好ましくは、80mm以上で90mm以下の範囲の幅で120mm以上135mm以下の範囲の長さのフットプリント領域を有し、そこでは、基部構造体の少なくとも2つの反対側の側面上に固定要素が取り付けられて、カバーホイルをきつく引き伸ばされた状態にできるように、カバーホイルが基部構造に対して枠張りされた状態で取り付け可能なようになっており、そして、基部構造が、好ましくは、そのコーナー領域において少なくとも2つの位置決め要素、好ましくは凹部を有する。
【0103】
この有利な手段において、固定要素は、カバーホイルの固定具への取り付けを可能とする。
【0104】
驚くべきことに、固定具が、カバーホイルの確実な付着およびその後取り外しを可能とすることにより、カバーホイルを滑脱することなしにピペッティングできる。特に、試料溶液の液滴を、滑脱しにくく安定したカバーホイルの選択された領域に正確に付けることができる。
【0105】
基部構造体は、好ましくは、長方形の基部構造体である。好ましくは、基部構造体は、反応容器の上に設置できる、83mm以上87mm以下の範囲の幅で、125mm以上129mm以下の範囲の長さの領域をもつ。特に好ましくは、基部構造体は、SBS規格形式をもつ反応容器の上に設置できる表面領域をもつ。
【0106】
好ましくは、基部構造体は、ある距離で離れて設置されている少なくとも2つの側端面を有し、基部構造体が、83mm以上87mm以下の範囲の、特にはSBS規格の幅の反応容器の上に取り付けられるようになっている。
【0107】
好ましくは、基部構造体は、83mm以上87mm以下の範囲の幅で125mm以上129mm以下の範囲の長さの、好ましくは84mm以上86mm以下の範囲の幅で126mm以上128mm以下の範囲の長さフットプリント領域をもつ。好ましくは、フットプリント領域は、SBS規格に従う。フットプリント領域は、固定具を普通のピペッティングロボット上に配置することを、有利な手段で可能とする。従って、固定装置上のカバーホイル上に液をピペッティングすることもまた、自動および手動でできる。
【0108】
好ましい実施態様において、弾性の変形可能な取付面が、基部構造体に取り付けられる。
【0109】
好ましくは、弾性の変形可能な取付面は、分離できるようにして、基部構造体に連結できる。好ましくは、弾性の変改可能な取付面は、付着様式で連結されるようにして、基部構造体に取り付けられる。好ましい実施態様では、弾性の変改可能な取付面は、基部構造体に付着できるようにして取り付けられる。
【0110】
用語「弾性の変形可能な」とは、本発明の文脈においては、取付面が、押されたときには変形でき、そして加圧が終わった後は再び変形していない平らな形に戻ることを意味すると理解される。
【0111】
取付面が弾性で変形可能であることにより、取付面は、反応容器のスペーサーに容易に適合させることができる。このことは、固定具が、所定の反応容器にばかりでなく、種々の表面設計をもつ反応容器にも用いることができることを可能とする。例えば、弾性の変形可能な取付面を用いて、ホイルは、種々の幅を持った反応容器ばかりでなく、平らな表面を持つ必要がない反応容器上にも取り付けできる。
【0112】
有利な手段において、弾性の変形可能な取付面は、ピペッティングの後に、平面的配置の反応容器上にカバーホイルに均一に付着することを可能とする。特に、反応容器上に付着するように設計されているホイルあるいは非接着性のホイルの均一な付着または加圧は、接着性表面領域をもって提供される反応容器によって成される。
【0113】
弾性の変形可能な取付面は、エラストマー、特には、熱可塑性エラストマー、シリコーンまたはゴムから作られうる。プラスチックに加えて主に適したものは、平らに加圧した後に、弾性変形可能な他の物質である。好ましくは、弾性の変形可能な取付面は、0.5mm以上2mm以下の範囲、好ましくは1.3mm以上1.5mmの範囲の厚さを有する。
【0114】
弾性で変改可能な取付面の幅は、好ましくは、75mm以上87mm以下の範囲、好ましくは77mm以上85mm以下の範囲、特には78mm以上80mm以下の範囲であり、および/または、長さは、100mm以上150mm以下の範囲、好ましくは115mm以上140mm以下の範囲、特には120mm以上135mm以下の範囲である。
【0115】
固定具上において、固定要素が、基部構造体の少なくとも2つの反対側面上に取り付けられ、それによってカバーホイルが基部構造体上にきつく引き伸ばされた状態で付着することができるようなる。
【0116】
好ましくは、カバーホイルは、基部構造体上に、伸ばされた状態でかつ取り外し可能な状態で、取り付けられる。基部構造体に付着したホイル上へ試料用液をつけた後に、ホイルを再び基部構造体から取り外すことができる。取り付けは、適した固定要素を用いて可能である。
【0117】
好ましくは、固定要素は、基部構造体の前面上に取り付けられる。しかしながら、固定要素は、長手方向の側面上に取り付けることもできる。
【0118】
好ましい固定要素は、ハンガー、ループ、フラップ、バンド、スプリング要素、および/または滑動固定要素からなる群より選ばれる。
【0119】
好ましくは、固定要素は、軸受中に設置されて、蝶番式の連結によって回転できるようになっている。特に好ましい実施態様では、固定要素は、回転できるように軸上に設置されることができる。好ましい固定要素は、回転できるように軸上に設置された取付板である。
【0120】
他の好ましい実施態様では、固定要素は、側面からまたは上部からホイルを固定できる滑動固定要素であることができる。さらに他の実施態様では、固定要素は、ハンガー、ループ、フラップ、バンドまたはスプリング要素、特には基部構造体に付けられたハンガー、ループ、フラップ、バンドまたはスプリング要素であることができる。
【0121】
固定要素は、基部構造体に付けられたスプリング要素であることが好ましい。これにより、ホイルは、基部構造体に付けられたスプリング要素の下で、滑動可能なことによってはり付けられることができる。
【0122】
好ましい実施態様では、ホイルは、取付面上に配置されることよってはり付けられている。軸上で回転するように軸受け中に設置された固定要素、好ましくは取付板は、この目的のために、例えばそれらを折りたたんで開口することにより、開口できる。
【0123】
好ましくは、固定要素は、開口された位置でロックすることができる。このことは、固定要素、例えばプレートが、望まないスラミングシャット(パタンと閉まること)を起こすことを防ぐことができる。好ましい実施態様に従って、固定要素は、プレスピンによって開口した位置でロックできる。
【0124】
軸上を回転できるように軸受け中に設置された固定要素、好ましくは取付板は、ホイルを置いた後、閉じることができる。好ましくは、ホイルは、基部構造体上に、閉じたプレートにより固定され貼り付けられることができる。
【0125】
好ましくは、固定要素は、閉じた位置でロックできる。このことは、固定要素、例えばプレートの望まない開口を防ぐことができる。好ましい実施態様に従って、固定要素は、基部構造体中および固定要素中に配置された磁石によって、閉じた位置でロックできる。
【0126】
好ましい実施態様では、固定要素は、プレスピンによって開口位置でロックできる、および/または、固定要素は、基部構造体中および固定要素中に配置された磁石によって、閉じた位置でロックできる。
【0127】
「閉じた位置」とは、本発明の文脈において、カバーホイルが固定具の固定要素によって貼り付けられている位置であると理解される。好ましくは、軸上で軸受け中に設置された固定要素、例えば取付板は、工程中は閉じている。「開口位置」とは、本発明の文脈において、カバーホイルが固定具の固定要素によって貼り付けられていない位置であると理解される。好ましくは、工程中、軸上で軸受け中に設置された固定要素、例えば取付板は、開いている。
【0128】
さらに好ましい実施態様に従って、固定要素は、スプリング装置、例えば、デッドセンタースプリングによってロックできる。
【0129】
固定具は、少なくとも2つの位置決め要素を有する。少なくとも2つの位置決め要素は、好ましくは、固定具の反対側に取り付けられている。好ましい手段において、固定具は、好ましくは互いに対称的に配置された4つの位置決め要素を有する。位置決め要素は、好ましくは、基部構造体の2つの位置に提供される。好ましくは、位置決め要素は、基部構造体のコーナー領域に取り付けられる。
【0130】
固定具の位置決め要素は、凹部またはピンや突起物などの高くなった領域であることができる。固定具の位置決め要素は、好ましくは凹部である。これは、ホイルの位置決めを妨げないこと、そして特には、決められた位置のカバーホイル上に液を付けることを妨げないことを可能とする。
【0131】
好ましい実施態様では、位置決め要素、好ましくは凹部は、4.2mm以上8.2mm以下の範囲、好ましくは4.7mm以上7.2mm以下の範囲、特には5.2mm以上6.2mm以下の範囲の直径をもつ。追加の好ましい実施態様では、凹部は、貫通穴である。
【0132】
その上に試料用液をピペッティングできるカバーホイルをもつ固定具は、回転して、反応容器上に置くことができる。次いで、弾性の変形可能な取付面を用いて加圧することにより、カバーホイルの接着剤層が反応容器上に接着できる。ホイルを反応容器上に貼り付けた後、取付板は取り外すことができ、そして固定具は容易に引き上げることができる。
【0133】
反応容器上へのカバーホイルの設置は、反応容器の収容具を用いて行うのが好ましい。これは、配置を有向の手段で行えるので、有利である。
【0134】
反応容器上へのカバーホイルの取り付けのための、本発明に従った配置は、カバーホイルのための少なくとも一つの固定具を含む。
【0135】
反応容器上へのカバーホイルの取り付けのための、本発明に従った配置は、より好ましくは、反応容器の収容具を含み、そこでは、収容具の基部構造体の上に、少なくとも2つの位置決め要素、好ましくはピンタイプの位置決め要素が配置され、そして凹部の直径は、80mm以上90mm以下の範囲の幅、好ましくは83mm以上87mm以下の範囲の幅、特には84mm以上86mm以下の範囲の幅をもつ反応容器が凹部に位置決めできるようになっている。
【0136】
収容具は、少なくとも2つの位置決め要素をもつ。少なくとも2つの位置決め要素は、好ましくは、収容具の反対側に取り付けられている。好ましい手段において、収容具は、好ましくは互いに対称的に配置された、4つの位置決め要素を有する。好ましくは、位置決め要素は、収容具の基部構造体のコーナー領域に取り付けられている。
【0137】
収容具の位置決め要素は、高くなった領域、例えば、ピンタイプの要素、特にはピンまたは突起物、または凹部であることができる。収容具の位置決め要素は、好ましくは、ピンタイプの位置決め要素である。
【0138】
固定具の位置決め要素、好ましくは、凹部は、好ましくは、収容具の位置決め要素、好ましくはピンなどの高くなっている領域と相互に作用できる。収容具の好ましい実施態様では、少なくとも2つの位置決め要素、好ましくはピンタイプの位置決め要素は、本発明に従った固定具の位置決め要素、好ましくは凹部とかみ合うように作ることができる。
【0139】
好ましい実施態様では、位置決め要素、好ましくはピンタイプの位置決め要素は、25mm以上40mm以下の範囲、好ましくは28mm以上38mm以下の範囲、特には30mm以上35mm以下の範囲の長さを有する。他の好ましい実施態様では、位置決め要素、好ましくはピンタイプの位置決め要素は、4mm以上8mm以下の範囲、好ましくは4.5mm以上7mm以下の範囲、特には5mm以上6mm以下の範囲の直径を有する。
【0140】
他の実施態様に従って、固定具は、凹部(recess device)上または中に、固定具の外側表面に沿ってガイドレールを用いて配置されうる。
【0141】
ピンタイプの位置決め要素、特に、固定具の凹部とかみ合う状態に至るピンまたはガイドレールを用いた位置決めは、非常に有利に、有向の様式で、ホイルを反応容器に取り付けることができる。特には、ピンまたはガイドレールは、位置が決められたホイルを、収容具内で対応する位置にある反応容器上に取り付けることを可能として、接着剤がなくそして液滴に覆われているホイルの面を、補助的機構がない場合に可能な程度に比べて、本質的により大きな正確さで、反応チャンバー上に配置できる。
【0142】
好ましい手段において、凹部は正方形である。好ましくは、凹部の寸法は、SBS規格様式での反応容器が、凹部内に設置できるようなものである。
【0143】
収容具の凹部中に、反応容器が、好ましくはSBS様式の反応容器が配置できる。試料溶液の液滴をカバーホイル上に置いた後、カバーホイルをもった固定具をひっくり返し、そして収容具上に設置できる。この工程において、例えば、収容具のピンが、固定具の対応する凹部とかみ合う。従って、反応容器およびホイルの位置は、互いに調整されている。
【0144】
ホイルを、収容具中に置かれた反応容器上に加圧することができ、それによって、ホイルの弾性の取付面が、均一な力の分布、従って均一な付着を提供できる。次いで、固定要素、例えばプレートが開放され、固定具を持ち上げることができる。ホイルで密閉された反応容器は、プレート容器から取り出すことができる。
【0145】
好ましい実施態様では、反応容器上にカバーホイルを取り付ける装置は、反応容器のための本発明に従ったカバーホイルおよび収容具のための、本発明に従った固定具を含む。
【0146】
反応容器上へカバーホイルを取り付けるための本発明に従った装置は、ポリマー物質から作られるのが好ましい。
【0147】
好ましいポリマーは、ポリオキシメチレン(POM)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリプロピレンからなる群より選択される。
【0148】
このことは、装置の洗浄を容易にする。しかしながら、装置は、金属または部分的に金属から作られることもまた好ましい。好ましい金属は、特殊鋼、特にはステンレススチールおよびアルミニウムからなる群より選ばれる。好ましくは、アルミニウムは、陽極酸化処理されて、または、好ましくは、ワニス、特にはクリーンワニス、特にはデュロプラスチック硬化ワニスで表面がコーティングされている。
【0149】
本発明はさらには、本発明の反応容器およびカバーホイルを含むシステムに関する。好ましくは、システムは、本発明に従った反応容器および反応容器上に取り付けられたカバーホイルを含む。本発明に従った反応容器は、反応チャンバーを覆う任意の適したカバーホイルとともに用いることができるので有利である。好ましくは、カバーホイルは、本発明に従ったカバーホイルである。
【0150】
本発明に従った反応容器およびカバーホイルは、先の記載のすべての内容がここで参照される。
【0151】
本発明は、さらに、反応容器、カバーホイル、およびカバーホイルを反応容器に取り付けるための本発明に従った装置を含むシステムに関する。
【0152】
カバーホイルを反応容器に取り付けるための本発明に従った装置は、SBS規格様式の任意の適した反応容器とともに用いることができるので有利である。
【0153】
従って、カバーホイルを取り付けるための本発明に従った装置に関する先の記載は、そのすべて内容が参照される。
【0154】
本発明の目的の、さらなる詳細、特徴および利点は、添付の請求の範囲、および例えば、本発明の実施態様が記載されている、対応する図面および実施例の以下の記載から得ることができる。
【0155】
図1は、本発明の実施態様に従った本発明の反応容器の概略図である。
図2は、図1の軸Iに沿った、本発明に従った反応容器の断面図である。
図3は、図1に基づいた、本発明に従った反応容器の拡大した概略図である。
図4は、本発明の実施態様に従った本発明のカバーホイルの概略図である。
図5は、本発明の実施態様に従った本発明の固定具の概略図である。
図6は、本発明の実施態様に従った本発明の収容具の概略図である。
【0156】
図1は、本発明の実施態様に従った、溶液からの試料の結晶化のための、本発明の反応容器の概略図である。反応容器1は、複数の反応チャンバー2を含む。反応チャンバー2中に、リザーバー4および結晶化空間6が配置されている。結晶化空間6は、楕円構造の陥凹の形である。結晶化空間は、反応チャンバー2の段差の上に配置されている。反応チャンバー2の側壁は、連結スペーサー12を介して互いに連結している。このようにして、連結スパーサー12は、反応容器1の横の円周面14と共に、共通の平らな面を形成している。連結スペーサー12は、中央に、溝16を有する。
【0157】
図1の軸Iに沿った、図2に示される本発明の反応容器の断面図は、連結スペーサー12が、反応容器1の横円周面と共に平らな面を形成していることを明確に示している。ここで、連結スペーサー12は、第一の反応チャンバー2の第一の側壁8を、それと距離をおいて区切られた第二の反応チャンバー2の第二の側壁10に連結している。その上に結晶化空間6が配置された段差は、結晶化空間の下において、平らな面をその底面上に有している。
【0158】
反応チャンバー2の側壁は、連結スペーサー12を介して互いに連結しており、連結スペーサーは、反応容器1の横円周面14と共に平らな面を形成している。同様に、連結スペーサー12はまた、図示された軸Iと垂直な軸に沿って、第一の反応チャンバー2の側壁8に垂直な第一の側壁を、第二の反応チャンバー2の第一の側壁からある距離を置いて設置されかつ側壁10に垂直な第二の側壁に連結している。
【0159】
図3は、図1に従った本発明の反応容器の拡大された概略図である。連結スペーサー12は、反応チャンバー2のコーナーに凹部18を有する。
【0160】
図4は、本発明の実施態様に従った本発明のカバーホイルの概略図である。カバーホイル20は、その上に接着剤がつけられたポリマー層22を含む。接着剤層24内では、領域26は接着剤がない。これらの領域26内に、微量の試料を入れることができる。さらに、カバーホイル20は、その長さ方向の両端に、接着剤がないポリマー層22の領域を有する。このことは、カバーホイル20を、接着剤がないポリマー層22の領域において良好に把持できるという利点を有する。
【0161】
図5は、本発明の実施態様に従った本発明の固定具30の概略図を示している。固定具30は、カバーホイルを収納するための基部構造体32を有する。基部構造体上に、弾性で変形可能な取付面40を付着させる。さらに、基部構造体32は、幅が84mm以上86mm以下で長さが126mm以上128mm以下のフットプリント領域34を有する。基部構造体32の作業基準面において、カバーホイルがピンと張られた状態で引き延ばされて基部構造体に付着されて取り外し可能になるように、取付板36が取り付けられる。取付板36は、回転できるように、軸42上の軸受けの中に設置される。(図示されている)閉まった状態では、取付板36は、基部構造体と固定要素36中に挿入された磁石によってロックされる。加えて、基部構造体32は、コーナー領域に、収容部38を有する。
【0162】
図6は、本発明の実施態様に従った本発明の収容具の概略図を示している。収容具50は、凹部54をもつ基部構造体52を含む。ここで、凹部54は、SBS規格様式の反応容器が凹部54内に配置できるように作られる。さらに、収容具50は、収容具50のコーナー領域にピン56をもち、固定具の凹部38とかみ合うことができるようになっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反応チャンバー(2)を含む溶液から試料を結晶化するための反応容器(1)、
ここで、各反応チャンバー(2)は、リザーバー(4)および少なくとも一つの結晶化空間(6)を有し、第一の反応チャンバー(2)の第一の側壁(8)は、スペーサーの距離において、連結スペーサー(12)を介して、第二の反応チャンバー(2)の第二の側壁(10)に連結され、そして連結スペーサー(12)は、反応容器(1)の横円周面(14)と反応容器(1)の平らな面を形成する平面との共有の面上に配置されている。
【請求項2】
前記連結スペーサー(12)が、1.5mm以上5mm以下、特には2mm以上4mm以下、好ましくは2.5mm以上3mm以下の幅を有する、請求項1に記載の反応容器(1)。
【請求項3】
前記連結スペーサー(12)が、好ましくは、その中央に溝(16)を有している、請求項1または2に記載の反応容器(1)。
【請求項4】
前記溝(16)が、0.2mm以上0.7mm以下の範囲、特には0.3mm以上0.6mm以下の範囲、好ましくは0.4mm以上0.5mm以下の範囲の幅、および/または、0.05mm以上0.5mm以下の範囲、特には0.1mm以上0.4mm以下の範囲、好ましくは0.2mm以上0.3mm以下の範囲の深さを有する、前記請求項のいずれかに記載の反応容器(1)。
【請求項5】
前記連結スペーサー(12)が、反応チャンバー(2)の少なくとも一つのコーナーに凹部(18)を有する、前記請求項のいずれかに記載の反応容器(1)。
【請求項6】
前記結晶化空間(6)が本質的に楕円形である、前記請求項のいずれかに記載の反応容器(1)。
【請求項7】
反応チャンバーを含む反応容器を覆うためのカバーホイル(20)、ここで該カバーホイル(20)は、その上に接着剤層(24)があるポリマー層(22)を含み、好ましくは1.5mm以上7.5mm以下の範囲の幅および1.5mm以上7.5mm以下の長さを有する領域(26)は、接着剤層(24)内で非接着性になるように設計されている。
【請求項8】
カバーホイルのための固定具(30)を含む、カバーホイルを反応容器上に取り付けるための装置、
ここで、該固定具は、カバーホイルを収容するための好ましくは長方形の基部構造体(32)を含み、該基部構造体(32)は、好ましくは、80mm以上90mm以下の範囲の幅および120mm以上135mm以下の範囲の長さのフットプリント領域(34)を有し、該基部構造体(32)の少なくとも二つの反対側面上に、固定要素(36)が取り付けられて、カバーホイルは、基部構造体上で引き伸ばされた状態で取り付けることができ、そして、該基部構造体(32)は、好ましくは、そのコーナー領域に少なくとも二つの位置決め要素、好ましくは凹部(38)を有する。
【請求項9】
弾性の変形可能な取付面(40)が、固定具(30)の基部構造体(32)に取り付けられている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
固定要素(36)が、軸(42)上で回転可能に、軸受け内に設置されている請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
固定要素(36)が、プレスピン(44)により開放状態でロック可能であり、および/または固定要素(36)が、基部構造体(32)および固定要素(36)内に配置された磁石によって閉鎖位置でロック可能である、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
凹部(54)をもった基部構造体(52)を含む、反応容器のための収容具(50)を含む、カバーホイルを反応容器上に取り付けるための装置、
ここで、該収容具(50)の基部構造体(52)上に、少なくとも二つの位置決め要素、好ましくはピンタイプの位置決め要素(56)が配置され、該ピンタイプ位置決め要素は、好ましくは、請求項8から11のいずれかに記載の固定具の位置決め要素、好ましくは凹部(38)とかみ合うことができ、そして、凹部(54)の寸法は、80mm以上90mm以下の範囲の幅をもつ反応容器が凹部(54)内に配置できるような大きさである。
【請求項13】
請求項8から11のいずれかに記載の、カバーホイルのための固定具(30)、および請求項12に記載の反応容器のための収容具(50)を含む、反応容器上にカバーホイルを取り付けるための装置。
【請求項14】
請求項1から6のいずれかに記載の反応容器(1)およびカバーホイルを含むシステム。
【請求項15】
カバーホイル、および請求項8から13のいずれかに記載の反応容器上にカバーホイルを取り付けるための装置を含むシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−501950(P2012−501950A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526476(P2011−526476)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061601
【国際公開番号】WO2010/029060
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(599072611)キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (83)
【Fターム(参考)】