説明

溶液充填機構

【課題】キャピラリに高粘度の溶液を充填できるとともに、その溶液の送液経路の洗浄を短時間で十分に行なうことができる溶液充填機構を提供する。
【解決手段】貯留ブロック6は洗浄液を貯留するためのリザーバ12を備えており、リザーバ12の底部に穴13が設けられている。シールピン14はリザーバ12内に下端部から一定の高さの位置までが挿入されており、下端部から上にいくに従って徐々に太くなる円錐形状の部材である。シールピン14の下端部の直径はリザーバ12の底部の穴13に通じる流路8bの内径よりも小さくなっている。シールピン14の水平方向の位置はシールピン14の下端部がリザーバ12の底部の穴13に挿入され得る位置に固定されている。シールピン14は駆動機構16により上下方向に駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチップに設けられた流路のほか、内径の小さい毛管に溶液を充填するための溶液充填機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気泳動分析装置では、電気泳動を行なうための泳動流路となるキャピラリ内に泳動媒体を充填するための機構が設けられている(特許文献1参照)。泳動流路としては、直径が0.05mm程度のキャピラリやガラスキャピラリなどの毛管が使用されることが一般的である。そのような内径の小さいキャピラリ内へ溶液を充填するためには、充填溶液を高圧でキャピラリ内へ押し込まなければならず、キャピラリに充填する溶液が高粘度である場合にはその圧力はさらに高くなる。
【0003】
図5に電気泳動分析装置の溶液充填機構の例を示す。
まず、最も簡単な構成の溶液充填機構として、同図(A)に示されているものがある。
(A)の溶液充填機構は、泳動流路となるキャピラリの注入口に液を注入するためのノズル102が配管104を介してシリンジポンプ118の吸入・吐出口に接続されている。ノズル102は、駆動機構(図示は省略)により水平方向と垂直方向に移動することができる。シリンジポンプ118はプランジャ120の駆動によりノズル102を介して液の吸入と吐出を行なうようになっている。
【0004】
この溶液充填機構では、キャピラリに充填する溶液をノズルで吸入し、ノズルをキャピラリの注入口の位置まで移動させて溶液を充填する。キャピラリに溶液を充填した後、ノズルを洗浄液の貯留部の位置まで移動させて洗浄液を吸入し廃液ポートに吐出して廃液することで、ノズル102内と配管104内を洗浄する。
【0005】
また、(B)の溶液充填機構は、シリンジポンプ118の吸入・吐出口が3方バルブ110の共通ポートに接続されている。3方バルブ110の残りのポートにノズル102に通じる配管104と洗浄液を貯留するリザーバ112に通じる配管105が接続されている。3方バルブ110は、シリンジポンプ118の吸入・吐出口をノズル102とリザーバ112のいずれか一方に切り替えて接続する。
【0006】
この溶液充填機構では、シリンジポンプ118をノズル102に接続した状態でキャピラリへの溶液の充填動作を行なった後は、3方バルブ110を切り替えてシリンジポンプ118をリザーバ112に接続してシリンジポンプ118に洗浄液を吸入し、さらに3方バルブ110を切り替えてシリンジポンプ118をノズルに接続してノズル102の先端から洗浄液を吐出することで、ノズル102内と配管104内を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−9690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図5(A)の構成では、ノズル102内と配管104内の洗浄の際、配管104内の壁面に付着した高粘度の溶液が洗浄液の吸入時にシリンジポンプ118側へ引き込まれて洗浄後も配管104内にその溶液が残ってしまい、クロスコンタミネーションを引き起こす可能性がある。そのような不具合を防止するためには、その影響がなくなるまで洗浄液の吸入と吐出を繰り返して行なう必要があり、洗浄動作に長時間を要する。
【0009】
図5(B)は、シリンジポンプ118内に配管104とは別の経路から洗浄液を吸入することで上記問題を解決したものである。しかし、キャピラリに充填する溶液が10000cP程度の高粘性溶液である場合、その溶液を直径が0.05mm程度の毛管に短時間で充填するためには数MPaの圧力が必要となり、数MPaの圧力がバルブ110にかかることとなるが、現状では、そのような高圧に耐え得る安価で小型のバルブは存在していない。
【0010】
そこで、本発明は、キャピラリに高粘度の溶液を充填できるとともに、その溶液の送液経路の洗浄を短時間で十分に行なうことができる溶液充填機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の溶液充填機構は、ノズルと、ノズルを溶液を充填すべきキャピラリの溶液注入口の位置へ移動させるための駆動部と、洗浄液を貯留するリザーバを備えた貯留ブロック、リザーバに設けられた穴、穴の径よりも小さい径の先端部を有し、その先端側から基端側へ徐々に径が大きくなる円錐形状であり、リザーバ側から前記流路に先端部が挿入されることによって穴を塞ぐシールピン及びそのシールピンを駆動するシールピン駆動機構を備えた洗浄液貯留ユニットと、流体の吸入と吐出を行なうための1つの吸入・吐出口を有するシリンジポンプと、吸入・吐出口と前記ノズルとを接続するための第1流路と、吸入・吐出口と前記穴とを接続するための第2流路と、第1流路の開閉を行なうための第1流路開閉部と、穴が開放されているときに第1流路を閉じた状態にし、穴が封止されているときは第1流路を開放した状態にするようにシールピン駆動機構及び第1流路開閉部を制御する制御部と、を備えたものである。
【0012】
本発明の第2の溶液充填機構は、ノズルと、ノズルを溶液を充填すべきキャピラリの溶液注入口の位置へ移動させるための駆動部と、洗浄液を貯留するリザーバを備えた貯留ブロック、リザーバに設けられた穴、穴の径よりも小さい径の先端部を有し、その先端側から基端側へ徐々に径が大きくなる円錐形状であり、リザーバ側から流路に先端部が挿入されることによって穴を塞ぐシールピン及びそのシールピンを駆動するシールピン駆動機構を備えた洗浄液貯留ユニットと、流体の吸入と吐出を行なうための2つの吸入・吐出口を有するシリンジポンプと、シリンジポンプの一方の吸入・吐出口とノズルとを接続するための第1流路と、シリンジポンプの他方の吸入・吐出口と穴とを接続するための第2流路と、第1流路の開閉を行なうための第1流路開閉部と、穴が開放されているときに第1流路を閉じた状態にし、穴が封止されているときは第1流路を開放した状態にするようにシールピン駆動機構及び第1流路開閉部を制御する制御部と、を備えたものである。
【0013】
上記2つの溶液充填機構は洗浄液貯留ユニットを備えており、シリンジポンプで洗浄液貯留ユニットのリザーバから洗浄液を吸入し、ノズルの接続された第1流路へその洗浄液を送ることで、第1流路内及びノズル内の洗浄を行なうことができるようになっている。洗浄液貯留ユニットは、リザーバの底部に設けられた穴に円錐形状のシールピンを挿入することによって穴を封止できるバルブ機構を備えている。このバルブ機構は、リザーバの底部の穴にシールピンを挿入して封止することによって、リザーバとシリンジポンプとの間の接続を遮断するものである。この構造では、リザーバとシリンジポンプとの間の接続の遮断を維持するために必要な力が小さくて済むため、シールピンを駆動するための駆動機構として、例えばソレノイドなど、図5(B)の3方バルブ110に比べ、小型で安価なものを使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の溶液充填機構では、シリンジポンプに、第1流路を介してノズルが接続され、第2流路を介して洗浄液貯留ユニットが接続されているので、ノズル及び第1流路を介さずにシリンジポンプに洗浄液を吸入し、その洗浄液をノズル側へ吐出することができる。これにより、キャピラリ内に充填する溶液の送液経路である第1流路内及びノズル内を効率よく洗浄することができ、クロスコンタミネーションを防止できる。
上述のように、洗浄液貯留ユニットは、リザーバの底部に設けられた穴に円錐形状のシールピンを挿入することによって穴を封止できるバルブ機構を備え、リザーバの底部の穴にシールピンを挿入して封止することによって、リザーバとシリンジポンプとの間の接続を遮断する構造であるので、リザーバとシリンジポンプとの間の接続の遮断を維持するために必要な力が小さくて済み、シールピンを駆動するための駆動機構として小型で安価なものを使用することができる。
【0015】
なお、第1の溶液充填機構は吸入・吐出口を1つのみ備えたシリンジポンプを使用するものであり、第2の溶液充填機構は吸入・吐出口を2つ備えたシリンジポンプを使用するものである。いずれの溶液充填機構においても上記の作用効果を有するが、第2の溶液充填機構では、シリンジポンプの下死点付近から吸入し、上死点から吐出するため、第1の溶液充填機構よりもシリンジポンプ内に気泡が溜まりにくく、吸入・吐出量を安定させることができるとともに送液圧力を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】溶液充填機構の一実施例を示す図であり、(A)は概略構成図、(B)は洗浄液貯留ユニットのリザーバの穴を封止した状態の断面図、(C)は洗浄液貯留ユニットのリザーバの穴を開放した状態の断面図である。
【図2】同実施例の駆動機構の構成の一例を示す概略構成図であり、(A)は洗浄液貯留ユニットのリザーバの穴を封止した状態、(B)は洗浄液貯留ユニットのリザーバの穴を開放した状態の図である。
【図3】溶液充填機構の他の実施例を示す概略構成図である。
【図4】溶液充填機構のさらに他の実施例を示す概略構成図である。
【図5】溶液充填機構の一例を示す概略構成図であり、(A)は洗浄液のリザーバを備えていない例であり、(B)は洗浄液のリザーバを備えている例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の溶液充填機構の好ましい実施形態では、リザーバの底面にシールピンを挿入するための穴が設けられている。これにより、シールピンを上下方向に駆動するだけで穴の開閉が可能になり、シールピン駆動機構の構成を簡単にすることができる。
【0018】
さらに、シールピンが挿入されるリザーバの穴の縁がテーパ形状となっていることが好ましい。これにより、シールピンを挿入したときの封止力を向上させることができる。
【0019】
シールピン駆動機構の好ましい一例としてソレノイドを備えたものが挙げられる。
【0020】
また、第1流路開閉部は、駆動部及びノズルの先端を挿入することによりノズルの先端を封止する封止ポートにより構成されるようにしてもよい。これにより、第1流路上にバルブ機構を組み込むことなく第1流路を開閉することができるので、装置コストの低減を図ることができる。
【0021】
上記封止ポートは貯留ブロックに形成されているようにしてもよい。そうすれば、当該溶液充填機構を構成する部品点数を減らすことができ、コストの低減を図ることができる。
【0022】
また、貯留ブロックは、リザーバの穴に通じるとともに第1流路又は第2流路の一部をなす内部流路と、内部流路内の圧力を検知する圧力センサを備えていることが好ましい。そうすれば、キャピラリに溶液を充填する際の流路内の圧力を検知することができる。
【0023】
以下、本発明の溶液充填機構の一実施例について図1を参照して説明する。
この溶液充填機構は、ノズル2、洗浄液貯留ユニット3及びシリンジポンプ18を備えている。図示は省略されているが、ノズル2を水平方向と垂直方向へ駆動するための駆動部が設けられており、ノズル2を所定の位置へ移動させることができる。ノズル2の移動可能範囲内に封止ポート17が設けられている。ノズル2の先端部が封止ポート17に挿入されることで、ノズル2の吸入・吐出口が封止される。
【0024】
図示は省略されているが、この溶液充填機構はノズル2から吐出される洗浄液を廃液するための廃液ポートを備えている。なお、廃液ポートは封止ポート17と共通のポートで実現することもできる。具体的には、1つのポートを切替バルブによってドレインに接続した状態又はいずれの接続先にも接続しない状態にできるように構成し、廃液ポートとして使用するときはそのポートをドレインに接続し、封止ポート17として使用するときはいずれの接続先にも接続しないようにすることで実現する。
【0025】
ノズル2は配管4(第1流路)の一端に接続されている。配管4の他端は洗浄液貯留ユニット3の貯留ブロック6の配管接続部8aに接続されている。シリンジポンプ18の吸入・吐出口は洗浄液貯留ユニット3の貯留ブロック6の配管接続部8bに接続されている。
【0026】
洗浄液ユニット3は、貯留ブロック6のほか、シールピン14とシールピン14を上下方向に駆動するための駆動機構16を備えている。貯留ブロック6は洗浄液を貯留するためのリザーバ12を備えており、リザーバ12の底面に穴13が設けられている。貯留ブロック6のリザーバ12の下部に穴13と配管接続部8bとを接続する流路10b(第2流路)が設けられている。流路10bの途中に配管接続部8aに通じる流路10aが合流している。
【0027】
シールピン14はリザーバ12内に下端部から一定の高さの位置までが挿入されており、下端部から上にいくに従って徐々に太くなる円錐形状のステンレス製の部材である。シールピン14の下端部の直径はリザーバ12の底部の穴13に通じる流路10bの内径よりも小さくなっている。シールピン14の水平方向の位置はシールピン14の下端部がリザーバ12の底部の穴13に挿入され得る位置に固定されている。シールピン14は駆動機構16により上下方向に駆動される。
【0028】
この洗浄液貯留ユニット3において、リザーバ12の底部の穴13を封止する際は、図1(B)に示されているように、シールピン14が下降して先端部が穴13に挿入される。逆に、リザーバ12の底部の穴13を開放する際は、同図(C)に示されているように、シールピン14が上昇して先端部が穴13から抜き出される。穴13が封止された状態では、リザーバ12と流路10bとの間の接続が遮断される。穴13が開放された状態では、リザーバ12と流路10bとの間が接続される。
【0029】
この実施例では、リザーバ12の底部の穴13の縁がテーパ形状に形成されており、穴13にシールピン14が挿入されたときの封止性能を高めている。シールピン14の外周面の傾きはシールピン14の軸に対して例えば15°程度であり、穴13の縁のテーパ角は例えば60°程度である。
【0030】
同実施例の動作について説明する。
まず、シールピン14をリザーバ12の底部の穴13に挿入して穴13を封止し、シリンジポンプ18がノズル2にのみ接続された状態にする。ノズル2の先端からシリンジポンプ18を吸入側へ駆動することでキャピラリに充填すべき溶液を所定量吸入した後、ノズル2をキャピラリの注入口の位置へ移動させ、シリンジポンプ18を吐出側へ駆動することでキャピラリに溶液を充填する。
【0031】
次に、ノズル2の先端を封止ポート17に挿入してノズル2の吸入・吐出口を封止する。そして、シールピン14を穴13から引き抜いてシリンジポンプ18とリザーバ12との間を接続する。シリンジポンプ18でリザーバ12内の洗浄液を吸入した後、シールピン14により穴13を封止する。ノズル2を廃液ポート(図示は省略)に移動させてシリンジポンプ18を吐出側へ駆動することで、洗浄液をノズル2の先端から廃液ポートに吐出して廃液し、配管4内やノズル2内の洗浄を行なう。この洗浄動作は1回のみ行なうようになっていてもよいし、複数回繰り返し行なうようになっていてもよい。
【0032】
図2を用いて図1の実施例をより具体的に説明する。
シールピン14を上下方向へ駆動するための駆動機構として、ソレノイド22、梁24、支点26及び弾性体27が設けられている。ソレノイド22は電圧が印加されることによって一方向に駆動される駆動部を備えた機構である。梁24の一端はソレノイド22の駆動軸に取り付けられている。梁24は端部でない位置において支点26により該支点26を中心に傾斜可能に支持されている。梁24の他端は上方から弾性体であるバネ27によって付勢されている。梁24の他端と支点26との間にシールピン14が取り付けられている。また、この例では、流路10aの近傍に圧力センサ11が設けられており、溶液をキャピラリに充填する際に流路にかかる圧力をモニタできるようになっている。
【0033】
この例では、図2(A)に示されているように、ソレノイド22はオフの状態のときにその駆動部が最大限突出するようになっている。このとき、シールピン14はテコの原理によって下方へ押され、先端部がリザーバ12の底部の穴13に挿入される。ソレノイド22をオンにすると、(B)に示されているように、ソレノイド22の駆動部が本体の内部に引き込まれ、それによって梁24が傾斜してシールピン14が上方へ引き上げられ、先端部が穴13から引き抜かれる。
【0034】
なお、上記の実施例では、ポート(吸入・吐出口)が1つのみのシリンジポンプ18を用いる場合について説明したが、2つのポートを備えたシリンジポンプを使用して溶液充填機構を構成することも可能である。その一例を図3に示す。なお、シールピン14を駆動するための駆動機構の構成については図2の例と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0035】
シリンジポンプ28は2つのポート29a、29bを備えている。洗浄液貯留ユニット3の貯留ブロック36はリザーバ12の底部の穴13に通じる流路として1つの流路36aのみを備えている。流路36aは配管を介してシリンジポンプ28のポート28bに接続されている。シリンジポンプ28のポート29aは配管4を介してノズル2に接続されている。
【0036】
このように構成することで、シリンジポンプ28の下死点のポート29bから洗浄液を吸入し、上死点のポート29aから吐出するため、シリンジポンプ内に気泡が溜まりにくく、吸入・吐出量を安定させることができるとともに送液圧力を安定させることができる。
【0037】
また、シールピン14の駆動をノズル2の上下動を利用して行なうことも可能である。そのように構成した一例を図4に示す。
リザーバ12は貯留ブロック37に設けられている。貯留ブロック37の上面に封止ポート38も設けられてリザーバ12と一体化されており、溶液充填機構の構成コストの低減が図られている。2つのポートを有するシリンジポンプ28のポート29bがリザーバ12の底部の穴13に通じる流路37aに接続されている。流路37aの内圧を計測する圧力センサ11が設けられている。
【0038】
シールピン14を駆動するための駆動機構として、図2の例と同様に梁24、支点26及びバネ27を備えているが、ソレノイド22が設けられていない。ノズル2の先端を封止するための封止ポート38が梁24の一端の下方の位置に設けられており、ノズル2の先端部を封止ポート38に挿入する際にノズル2が梁24の一端を押し下げながら下降するようになっている。
【0039】
梁24の一端にノズル2の先端部を貫通させるための穴が設けられており、ノズル2の先端がその穴を貫通することで、ノズル2の外周面と梁24の一端とが係合し、ノズル2の下降動作に応じて梁24が駆動される。これにより、ノズル2を封止ポート28に挿入する際の下降動作を利用して梁24の一端を押し下げ、それによってシールピン14が上方へ引き抜かれる。
【0040】
このように、ノズル2の下降動作を利用してシールピン14を駆動するように構成することで、ソレノイドなどシールピン14を駆動するための専用の機構を不要にし、コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0041】
2 ノズル
3 洗浄液貯留ユニット
4 配管
6 貯留ブロック
8a、8b 配管接続部
10a、10b 流路
11 圧力センサ
12 リザーバ
13 リザーバ底部の穴
14 シールピン
16 駆動機構
17 封止ポート
18 シリンジポンプ
20 プランジャ
22 ソレノイド
24 梁
26 支点
27 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルと、
前記ノズルを溶液を充填すべきキャピラリの溶液注入口の位置へ移動させるための駆動部と、
洗浄液を貯留するリザーバを備えた貯留ブロック、前記リザーバに設けられた穴、前記穴の径よりも小さい径の先端部を有し、その先端側から基端側へ徐々に径が大きくなる円錐形状であり、前記リザーバ側から前記流路に先端部が挿入されることによって前記穴を塞ぐシールピン及びそのシールピンを駆動するシールピン駆動機構を備えた洗浄液貯留ユニットと、
流体の吸入と吐出を行なうための1つの吸入・吐出口を有するシリンジポンプと、
前記吸入・吐出口と前記ノズルとを接続するための第1流路と、
前記吸入・吐出口と前記穴とを接続するための第2流路と、
前記第1流路の開閉を行なうための第1流路開閉部と、
前記穴が開放されているときに前記第1流路を閉じた状態にし、前記穴が封止されているときは前記第1流路を開放した状態にするように前記シールピン駆動機構及び第1流路開閉部を制御する制御部と、を備えた溶液充填機構。
【請求項2】
ノズルと、
前記ノズルを溶液を充填すべきキャピラリの溶液注入口の位置へ移動させるための駆動部と、
洗浄液を貯留するリザーバを備えた貯留ブロック、前記リザーバに設けられた穴、前記穴の径よりも小さい径の先端部を有し、その先端側から基端側へ徐々に径が大きくなる円錐形状であり、前記リザーバ側から前記流路に先端部が挿入されることによって前記穴を塞ぐシールピン及びそのシールピンを駆動するシールピン駆動機構を備えた洗浄液貯留ユニットと、
流体の吸入と吐出を行なうための2つの吸入・吐出口を有するシリンジポンプと、
前記シリンジポンプの一方の前記吸入・吐出口と前記ノズルとを接続するための第1流路と、
前記シリンジポンプの他方の前記吸入・吐出口と前記穴とを接続するための第2流路と、
前記第1流路の開閉を行なうための第1流路開閉部と、
前記穴が開放されているときに前記第1流路を閉じた状態にし、前記穴が封止されているときは前記第1流路を開放した状態にするように前記シールピン駆動機構及び第1流路開閉部を制御する制御部と、を備えた溶液充填機構。
【請求項3】
前記穴は前記リザーバの底面に設けられており、
前記シールピン駆動機構は前記シールピンを上下方向に駆動するものである請求項1又は2に記載の溶液充填機構。
【請求項4】
前記シールピン駆動機構はソレノイドを備えたものである請求項3に記載の溶液充填機構。
【請求項5】
前記穴の縁はテーパ形状である請求項1から4のいずれか一項に記載の溶液充填機構。
【請求項6】
前記第1流路開閉部は、前記ノズルの先端を挿入することにより前記ノズルの先端を封止する封止ポートにより構成される請求項1から5のいずれか一項に記載の溶液充填機構。
【請求項7】
前記封止ポートは前記貯留ブロックに形成されている請求項6に記載の溶液充填機構。
【請求項8】
前記貯留ブロックは、前記穴に通じるとともに前記第1流路又は前記第2流路の一部をなす内部流路と、前記内部流路内の圧力を検知する圧力センサを備えている請求項1から7のいずれか一項に記載の溶液充填機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate