説明

溶液処理された電子デバイス用のバックプレーン構造

有機電子デバイス用のバックプレーンを提供する。バックプレーンは、上に複数の電極構造を有するTFT基板を有する。電極構造の周囲には空間が存在し、空間には無機充填剤の層が存在する。無機充填剤の層の厚さは、電極構造の厚さと同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2008年12月5日に出願された米国仮特許出願第61/120,149号の優先権を主張するものであり、かかる出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、電子デバイス、および電子デバイスを形成するためのプロセスに関する。より具体的には、バックプレーン構造、およびバックプレーン構造を用いる溶解処理により形成されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
有機電子デバイスを含む電子デバイスは、日常生活においてますます広範に用いられ続けている。有機電子デバイスの例は、有機発光ダイオード(「OLED」)を含む。OLEDにおいて用いられる層を形成する際は、種々の堆積手法を用いることが可能である。液相堆積手法は、インクジェット印刷および連続ノズル印刷などの印刷手法を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デバイスがより複雑になり、より高い解像度を達成するにつれ、薄膜トランジスタ(「TFT」)を有するアクティブマトリクス回路を用いる必要性がより高くなる。しかし、ほとんどのTFT基板の表面は、平坦ではない。このような平坦でない表面の上に液相堆積を行うと、不均一な膜が生じる可能性がある。不均一性は、被覆調合物のための溶媒の選択により、および/または、乾燥条件を制御することにより、緩和することができる。しかし、改善された膜の均一性が得られるTFT基板設計についてのニーズが依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
有機電子デバイス用バックプレーンであって:
TFT基板と;
第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造と;
電極構造の各々の周囲の空間における無機充填剤の層であって、無機充填剤は電極構造と同じ厚さを有する、無機充填剤の層と;
を備える、バックプレーンを提供する。
【0006】
また、有機電子デバイスを形成するためのプロセスであって、前記プロセスは:
バックプレーンであって:
TFT基板と;
第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造と;
電極構造の各々の周囲の空間における無機充填剤の層であって、無機充填剤は電極構造と同じ厚さを有する、無機充填剤の層と;を備える、バックプレーンを形成するステップと;
第1の電極構造の少なくとも一部の上に、液体媒体中に第1の活性材料を含む第1の液体組成物を堆積させるステップと;
第2の電極を形成するステップと;
を含む、プロセスを提供する。
【0007】
また、有機電子デバイスであって:
(i)バックプレーンであって:
TFT基板と;
第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造と;
電極構造の各々の周囲の空間における無機充填剤の層であって、無機充填剤は電極構造と同じ厚さを有する、無機充填剤の層と;を備える、バックプレーンと;
(ii)少なくともピクセル開口における正孔輸送層と;
(iii)少なくともピクセル開口における光活性層と;
(iv)少なくとも前記ピクセル開口における電子輸送層と;
(v)カソードと;
を備える、デバイスを提供する。
【0008】
上記の一般的説明および下記の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであり、添付の特許請求の範囲において定義される本発明を制限するものではない。
【0009】
本明細書中で提示する概念の理解を改善するため、添付の図面に実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】テーパ化された電極の概略図を例示として含む。
【図2】本明細書に記載の新しいバックプレーンの一実施形態の断面図の概略図を例示として含む。
【図3】本明細書に記載の別のバックプレーンの断面図の概略図を例示として含む。
【図4A】本明細書に記載のバックプレーンの別の概略図を例示として含む。
【図4B】上に活性有機層を有する図4Aのバックプレーンを例示として含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当業者は、図中の物体が簡潔性および明瞭性のために示されたものであり、必ずしも縮尺どおりに描かれてはいないことを理解する。例えば、実施形態の理解を改善するため、図中の物体のいくつかの寸法は、他の物体よりも誇張されているかもしれない。
【0012】
多くの態様および実施形態を本明細書において記載しており、それらは単に例示のためのものであり、限定するものではない。本明細書を読んだ後、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく他の態様および実施形態が可能であることを理解するであろう。
【0013】
いずれか1つ以上の実施形態の他の特長および利点は、下記の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになろう。詳細な説明では、まず、「用語の定義および明確化」に触れ、「バックプレーン」および「電子デバイスを形成するためのプロセス」が続く。
【0014】
1.用語の定義および明確化
以下で説明する実施形態の詳細に触れる前に、いくつかの用語について定義または明確化する。定義対象の用語は、それらの変化形態を含むことを意図する。
【0015】
本明細書中で用いる「活性」との用語は、層または材料に言及する場合、デバイスの動作を電子的に容易化する層または材料に言及するものである。活性材料の例は、電荷が電子または正孔のいずれであれ、電荷を伝導、注入、輸送、または阻止する材料を含むが、それらに限定されない。また、例は、電子特性または電子放射特性を有する層または材料も含む。活性層材料は、放射を受けると、放射を発するか、または電子−正孔対の密度に変化を生じ得る。
【0016】
「アクティブマトリクス」との用語は、電子コンポーネントのアレイおよびアレイ内の対応するドライバ回路を意味することを意図する。
【0017】
「バックプレーン」との用語は、上に有機層を堆積させることにより電子デバイスを形成することが可能なワークピースを意味することを意図する。
【0018】
「ドライバ回路」との用語は、有機電子コンポーネントなどの電子コンポーネントの活性化を制御するように構成された回路を意味することを意図する。
【0019】
「電子デバイス」との用語は、適正に接続され適正な電位を供給されると集合的に機能を果たす回路、電子コンポーネント、またはそれらの組み合わせの集合を意味することを意図する。電子デバイスは、システムを含むか、またはシステムの一部であってもよい。電子デバイスの例は、ディスプレイ、センサアレイ、コンピュータシステム、航空電子機器、自動車、携帯電話、ならびに他の多くの消費者用および産業用の電子製品を含む。
【0020】
「絶縁性」との用語は、「電気的に絶縁性」と相互交換可能に用いられる。これらの用語およびそれらの変形は、いずれかの著しい電流が材料、層、部材、または構造を通って流れることを実質的に防止するような電気的性質を有する材料、層、部材、または構造に言及することを意図する。
【0021】
「層」との用語は、「膜」との用語と相互交換可能に用いられ、所望されるエリアを覆う被覆に言及するものである。エリアは、デバイス全体ほどの大きさであるか、または実際の視覚的ディスプレイなどの特定の機能エリアほどの小ささであるか、または単一のサブピクセルほどの小ささであることが可能である。膜は、蒸着、液相堆積、および熱転写を含むいずれかの従来の堆積手法により形成することが可能である。典型的な液相堆積手法は、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングなどの連続堆積手法、ならびにインクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷などの不連続堆積手法を含むが、それらに限定されない。
【0022】
「液体組成物」との用語は、1種または複数種の液体媒体に溶解させることにより溶液を形成する、1種または複数種の液体媒体に分散させることにより分散液を形成する、または1種または複数種の液体媒体に懸濁させることにより懸濁液もしくは乳濁液を形成する有機活性材料を意味することを意図する。
【0023】
「有機電子デバイス」との用語は、1つ以上の半導体層または材料を含むデバイスを意味することを意図する。有機電子デバイスは、(1)電気エネルギーを放射に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザ)、(2)電子プロセスを通じて信号を検出するデバイス(例えば、光検出器(例えば、光導電セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、または光電管)、IR検出器、またはバイオセンサ)、(3)放射を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光起電デバイスまたは太陽電池)、および(4)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子コンポーネントを含むデバイス(例えば、トランジスタまたはダイオード)を含む。
【0024】
「上にある」との用語は、デバイス内の層、部材、または構造に言及するように用いられる場合、必ずしも1つの層、部材、または構造が別の層、部材、または構造に直接隣接または接触することを意味しない。
【0025】
「構造」との用語は、1つ以上のパターン化された層または部材であって、単独でまたは他のパターン化された1つまたは複数の層または1つまたは複数の部材との組み合わせで、意図される目的に適うユニットを形成するものを意味することを意図する。構造の例は、電極、ウェル構造、カソードセパレータなどを含む。
【0026】
「TFT基板」との用語は、ベース支持体上でパネルを機能させるTFTのアレイおよび/または駆動回路を意味することを意図する。
【0027】
「支持体」または「ベース支持体」との用語は、剛性または柔軟性のいずれであることも可能で、ガラス、重合体、金属、もしくはセラミック材料、またはそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない1つ以上の材料の1つ以上の層を含み得るベース材料を意味することを意図する。
【0028】
本明細書中で用いる「〜を備える(comprises)」、「〜を備える(comprising)」、「〜を含む(includes)」、「〜を含む(including)」、「〜を有する(has)」、「〜を有する(having)」、またはそれらの他のいずれの変形も、非排他的包含を網羅することを意図する。例えば、列挙された要素を備えるプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていないかまたはかかるプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有でない他の要素を含み得る。さらに、そうでないと明記しない限り、「または」は、排他的論理和でなく包含的論理和に言及するものである。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つにより満足される:Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBがともに正である(または存在する)。
【0029】
また、本明細書に記載の要素およびコンポーネントを説明するため、「a」または「an」を用いている。これは、単に便宜上、本発明の範囲に一般的意味を与えるために行われている。この記載は1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、そのような意味でないことが明らかでない限り、単数形は複数形も含む。
【0030】
元素の周期表における行に対応する族の番号は、「CRC Handbook of Chemistry and Physics、第81版」(2000〜2001年)に見られる「新表記」規約を用いる。
【0031】
そうでないと定義しない限り、本明細書中で用いる記載のすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する分野における当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を用いて本発明の実施形態を実施または試験することが可能であるが、好適な方法および材料を以下で説明する。本明細書中で言及するすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参照文献は、特定の一節が引用されていない限り、それらの全内容が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じる場合、定義を含め、本明細書が優先されるものとする。加えて、材料、方法、および例は、単に説明的なものであって、限定することを意図するものではない。
【0032】
本明細書に記載されない範囲においては、具体的な材料、処理作用、および回路に関する多くの詳細が従来的なものであり、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光起電、および半導体部材の分野におけるテキストおよび他のソースにおいて見出すことができる。
【0033】
2.バックプレーン
本明細書では、電子デバイス用の新しいバックプレーンを提供する。バックプレーンは:
TFT基板と;
第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造と;
電極構造の各々の周囲の空間における無機充填剤の層であって、無機充填剤は電極構造と同じ厚さを有する、無機充填剤の層と;
を備える。
【0034】
TFT基板は、電子分野において周知である。ベース支持体は、有機電子デバイス分野において用いられる従来の支持体であってもよい。ベース支持体は、柔軟性または剛性、有機質または無機質であることが可能である。いくつかの実施形態では、ベース支持体は透明である。いくつかの実施形態では、ベース支持体はガラスまたは柔軟性を有する有機膜である。TFTアレイは、既知であるように、支持体上または支持体内に配置してもよい。支持体は、約12〜2500ミクロンの範囲の厚さを有することが可能である。
【0035】
「薄膜トランジスタ」または「TFT」との用語は、電界効果トランジスタの少なくともチャネル領域が主に基板のベース材料の一部でない電界効果トランジスタを意味することを意図する。一実施形態では、TFTのチャネル領域は、a−Si、多結晶シリコン、またはそれらの組み合わせを含む。「電界効果トランジスタ」との用語は、その電流通過特性がゲート電極上の電圧により影響されるトランジスタを意味することを意図する。電界効果トランジスタは、接合型電界効果トランジスタ(JFET)、または金属−酸化物−半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)、金属−窒化物−酸化物−半導体(MNOS)電界効果トランジスタなどを含む。電界効果トランジスタは、n−チャネル(チャネル領域内をn型キャリアが流れる)またはp−チャネル(チャネル領域内をp型キャリアが流れる)であることが可能である。電界効果トランジスタは、エンハンスメントモードトランジスタ(チャネル領域がトランジスタのS/D領域と比較して異なる導電型を有する)またはデプレッションモードトランジスタ(トランジスタのチャネルとS/D領域とが同じ導電型を有する)であってもよい。
【0036】
TFT構造および設計は周知である。TFT構造は、通常、ゲート、ソース、およびドレイン電極、ならびに緩衝層、ゲート絶縁体、および中間層と通常呼ばれる一連の無機絶縁層を含む。
【0037】
TFT基板におけるTFTおよびドライバ構造上には、一般に、平坦化層が存在する。平坦化層は、TFT基板の粗いフィーチャおよび粒子材料を平滑化し、寄生容量を最小化する。いくつかの実施形態では、平坦化層は有機層である。いずれかの有機誘電体材料を平坦化層に用いることが可能である。いくつかの実施形態では、有機材料は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびポリイミド樹脂からなる群から選択される。かかる樹脂は周知であり、多くは市販されている。平坦化層は、当該分野において周知であるように形成およびパターン化することが可能である。
【0038】
複数の第1の電極構造が平坦化層上に存在する。電極は、アノードまたはカソードであってもよい。いくつかの実施形態では、電極は、平行なストライプとして形成される。いくつかの実施形態では、電極はピクセル化されている。電極は、正方形、矩形、円形、三角形、楕円形などの平面形状を有する構造のパターン化されたアレイ状に形成されてもよい。一般に、電極は、従来のプロセス(例えば、堆積、パターニング、またはそれらの組み合わせ)を用いて形成することができる。第1の電極構造は、電極構造の各々の周囲に空間が存在するように離間される。「周囲に」とは、電極構造の少なくとも2つの側に空間が存在することを意味する。いくつかの実施形態では、空間が各電極構造を取り囲んでいる。
【0039】
いくつかの実施形態では、電極は、75°以下のテーパ角度を有するテーパ化された縁を有する。本明細書中で用いる「テーパ角度」との用語は、電極構造に言及する場合、電極の縁とその下にある平坦化層とにより形成される内角を意味することを意図する。これを図1に概略的に示す。平坦化層10は上面11を有する。平坦化層上の電極構造20は、テーパ化された縁21を有する。テーパ化された縁21は、平坦化層の表面と内角θを形成する。角度θがテーパ角度である。従来のテーパ化されていない電極では、内角は90°であろう。いくつかの実施形態では、電極は、75°以下のテーパ角度を有し、いくつかの実施形態では、40°以下である。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1の電極構造は、電極の少なくとも有機活性材料を堆積させる印刷方向に対して平行な側においてテーパ化されている。いくつかの実施形態では、第1の電極構造は、すべての側においてテーパ化されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、電極は透明である。いくつかの実施形態では、電極は、酸化インジウム錫(ITO)などの透明な導電性材料を含む。他の透明な導電性材料は、例えば、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化錫、酸化亜鉛錫(ZTO)、元素金属、金属合金、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、電極は電子デバイス用アノードである。電極は、ステンシルマスクを用いる選択的堆積、またはブランケット堆積、および部分的に除去してパターンを形成する従来のリソグラフィ技術を用いて形成することが可能である。第1の電極構造の厚さは、一般に、概ね50〜150nmの範囲である。
【0042】
第1の電極構造の各々の周囲の空間には、無機充填剤材料の層が存在する。無機充填剤層は電極構造と同じ厚さを有する。「同じ厚さ」とは、充填剤層の厚さが第1の電極構造の厚さの±5%以内であることを意味する。いくつかの実施形態では、厚さは±1%以内である。
【0043】
いずれかの無機誘電体材料を充填剤材料として用いることが可能である。一般に、無機材料は、少なくとも2.5の誘電定数を有するべきである。いくつかの実施形態では、無機材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、無機材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、無機材料は、シリカおよび窒化ケイ素から選択してもよい。
【0044】
充填剤層は、ステンシルマスクを通じた堆積など、いずれかの従来のプロセスにより形成することが可能である。いくつかの実施形態では、層は、全体的に第1の電極構造とほぼ同じ厚さを有する薄層を蒸着させることにより形成される。次いで、電極構造の上部の無機層を除去することが可能である。リソグラフィ手法または化学もしくはプラズマエッチングなど、いずれかの従来の手法を用いることが可能である。
【0045】
いくつかの実施形態では、バックプレーンは:
TFT基板を提供するステップと;
TFT基板上に、第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造を形成するステップと;
無機充填剤材料の層を、全体的に第1の厚さよりも大きい厚さまで堆積させるステップと;
第1の電極構造の表面が現れるように、無機充填剤材料を均一に第1の厚さと同じ厚さまで除去することにより、本質的に平坦なバックプレーンを形成するステップと;
を含むプロセスにより作製される。
【0046】
プロセスの一実施形態では、無機充填剤材料は、化学機械研磨により除去される。
【0047】
上記プロセスでは、無機充填剤材料を全体的に厚層に堆積させる。いくつかの実施形態では、その厚さは、電極構造の厚さよりも少なくとも5%大きく、いくつかの実施形態では、少なくとも10%大きい。次いで、充填剤材料を層にわたり均一に除去することにより、充填剤材料を第1の電極構造と同じ厚さにする。同時に、電極構造上に直接存在する充填剤材料も除去する。上述のように、いずれかの従来の手法を用いることが可能である。
【0048】
いくつかの実施形態では、化学機械研磨(「CMP])を用いて充填剤材料を除去する。CMPは、半導体ウエハまたは他の基板を平坦化するために半導体業界において用いられる周知の手法である。プロセスは、化学的および機械的な力の組み合わせに関わるものであり、化学エッチングと遊離砥粒研磨との混成と考えることが可能である。CMPの使用は、電極構造の表面が平滑化されるという追加の利点を有し、従って短絡欠陥の発生を低減させる。
【0049】
多結晶TFTを有する1つの例示的バックプレーン100を図2に概略的に示す。TFT基板は、ガラス基板110と、無機絶縁層120と、ゲート電極またはゲート線およびソース/ドレイン電極またはデータ線用の様々な導電線130とを含む。有機平坦化層140が存在する。ピクセル化された電極を150として示す。バイアのための金属被覆151が存在する。電極構造のいずれの側の空間にも無機充填剤160が存在する。ピクセルエリア170が電極上にある。ピクセルエリアに有機活性材料を堆積させることにより、デバイスが形成される。
【0050】
a−Si TFTを有する別の例示的バックプレーン200を図3に概略的に示す。TFT基板は、ガラス基板210と、ゲート電極またはゲート線220と、ゲート絶縁層230と、a−Siチャネル140と、n+a−Siコンタクト241と、ソース/ドレイン金属242とを含む。絶縁層230は、当該技術において既知であるように、いずれかの無機絶縁性材料で作製することが可能である。導電層220および242は、当該技術において既知であるように、いずれかの無機導電性材料で作製することが可能である。また、a−Siチャネルおよびドーピングされたn+a−Si層も、当該技術において周知である。TFT基板上に有機平坦化層250が存在する。平坦化層の材料は上述のとおりである。平坦化層250上にパターン化された電極260を形成する。バイアのための金属被覆261が存在する。電極の材料は上述のとおりである。電極層の周囲に無機充填剤材料270が存在する。ピクセルエリア280における電極上に有機活性材料を堆積させることにより、デバイスが形成される。
【0051】
本明細書に記載のバックプレーンは、活性材料を液相堆積させるための本質的に平坦な表面を提供する。これを図4Aおよび図4Bに概略的に示す。バックプレーン300を図4Aに示す。TFT基板310上に電極構造320が存在する。電極構造の周囲に無機充填剤層330がある。無機充填剤層は電極構造と同じ厚さを有する。従って、バックプレーン300は本質的に平坦な平面を有する。活性層、すなわち緩衝層340、正孔輸送層350、および光活性層360を堆積させた後のバックプレーンを図4Bに示す。活性層は、電極構造上の有効発光エリアにおいて本質的に平坦なプロファイルを有する。
【0052】
バックプレーンは、印刷による液相堆積に特に好適である。印刷手法の例は、インクジェット印刷および連続ノズル印刷を含む。
【0053】
3.電子デバイスを形成するためのプロセス
本明細書に記載のバックプレーンは、有機活性材料のための液相堆積手法に特に好適である。有機電子デバイスを形成するためのプロセスは:
バックプレーンであって:
TFT基板と;
第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造と;
電極構造の各々の周囲の空間における無機充填剤の層であって、無機充填剤は電極構造と同じ厚さを有する、無機充填剤の層と;を備える、バックプレーンを形成するステップと;
第1の電極構造の少なくとも一部の上に、第1の液体媒体中に第1の活性材料を含む第1の液体組成物を堆積させることにより、第1の活性膜を形成するステップと;
第2の電極を形成するステップと;
を含む。
【0054】
本明細書中で用いる「〜の上に堆積させる」との用語は、必ずしも堆積が直接第1の電極構造の上でそれに接触して行われることを意味しない。いくつかの実施形態では、第1の液体組成物は緩衝組成物を含む。いくつかの実施形態では、第1の液体組成物は正孔輸送材料を含む。いくつかの実施形態では、第1の液体組成物は光活性材料を含む。いくつかの実施形態では、第1の液体組成物を直接第1の電極構造の上でそれに接触して堆積させる。
【0055】
いくつかの実施形態では、プロセスは、さらに、第1の活性膜の少なくとも一部の上に、第2の液体媒体中に第2の活性材料を含む第2の液体組成物を堆積させることにより、第2の活性膜を形成するステップを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、プロセスは、さらに、第2の活性膜の少なくとも一部の上に、第3の液体媒体中に第3の活性材料を含む第3の液体組成物を堆積させることにより、第3の活性膜を形成するステップを含む。
【0057】
電子デバイスを形成するための例示のプロセスは、液相堆積手法を用いて、本明細書に記載のバックプレーンの電極構造上に1つ以上の有機活性層を形成するステップを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の光活性層と1つ以上の電荷輸送層とが存在する。次いで、通常は蒸着手法により、有機層上に第2の電極を形成する。1つまたは複数の電荷輸送層および光活性層の各々は、1つ以上の層を含んでもよい。別の実施形態では、別々の電荷輸送層および光活性層の代わりに、段階的なまたは連続的に変化する組成物を有する単一の層を用いてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、電子デバイスであって:
(i)バックプレーンであって:
TFT基板と;
第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造と;
電極構造の各々の周囲の空間における無機充填剤の層であって、無機充填剤は電極構造と同じ厚さを有する、無機充填剤の層と;を備える、バックプレーンを形成するステップと;を備える、バックプレーンと;
(ii)少なくともピクセル開口における正孔輸送層と;
(iii)少なくともピクセル開口における光活性層と;
(iv)少なくともピクセル開口における電子輸送層と;
(v)カソードと;
を備える、電子デバイスが提供される。
【0059】
いくつかの実施形態では、デバイスは、さらに、アノードと正孔輸送層との間の有機緩衝層を備える。いくつかの実施形態では、デバイスは、さらに、電子輸送層とカソードとの間の電子注入層を備える。いくつかの実施形態では、緩衝層、正孔輸送層、電子輸送層、および電子注入層の1つ以上が全体的に形成される。
【0060】
例示的実施形態では、バックプレーンにおける電極はアノードである。いくつかの実施形態では、有機緩衝材料を含む第1の有機層が液相堆積により適用される。いくつかの実施形態では、正孔輸送材料を含む第1の有機層が液相堆積により適用される。いくつかの実施形態では、有機緩衝材料を含む第1の層と正孔輸送材料を含む第2の層とが順次形成される。有機緩衝層および/または正孔輸送層の形成後、光活性層が液相堆積により形成される。赤色、緑色、または青色の発光材料を含む異なる光活性組成物を、異なるピクセルエリアに適用することにより、フルカラーディスプレイを形成してもよい。光活性層の形成後、電子輸送層が蒸着により形成される。電子輸送層の形成後、オプションの電子注入層、次いでカソードが蒸着により形成される。
【0061】
「有機緩衝層」または「有機緩衝材料」との用語は、導電性または半導電性の有機材料を意味することを意図し、その下にある層の平坦化、電荷輸送特性および/もしく電荷注入特性、酸素もしくは金属イオンなどの不純物の捕捉、ならびに有機電子デバイスの性能を容易化もしくは改善する他の態様を含むがそれらに限定されない、有機電子デバイスの1つ以上の機能を有してもよい。有機緩衝材料は、重合体、オリゴマー、または小分子であってもよく、溶液、分散液、懸濁液、乳濁液、コロイド状混合物、または他の組成物の形態であってもよい。
【0062】
有機緩衝層は、プロトン酸でドーピングされることが多い、ポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの高分子材料で形成することが可能である。プロトン酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであることが可能である。有機緩衝層は、銅フタロシアニンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷輸送化合物などを含むことが可能である。一実施形態では、有機緩衝層は、導電性高分子およびコロイド形成高分子酸の分散液から作製される。かかる材料は、例えば、米国特許出願公開第2004/0102577号明細書、米国特許出願公開第2004/0127637号明細書、および米国特許出願公開第2005/205860号明細書に記載されている。有機緩衝層は、典型的には、概ね20〜200nmの範囲の厚さを有する。
【0063】
「正孔輸送」との用語は、層、材料、部材、または構造に言及する場合、かかる層、材料、部材、または構造が、比較的効率的にわずかな電荷の損失で、かかる層、材料、部材、または構造の厚さを通過する正電荷の移動を容易化することを意味することを意図する。発光材料もいくらかの電荷輸送特性を有するが、「電荷輸送層、材料、部材、または構造」との用語は、主たる機能が発光である層、材料、部材、または構造を含むことは意図しない。
【0064】
層120の正孔輸送材料の例は、例えば、Y.Wangにより「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」、第4版、第18巻、837〜860ページ(1996年)に要約されている。正孔輸送分子と正孔輸送重合体との両方を用いることが可能である。一般的に用いられる正孔輸送分子は、以下を含むが、それらに限定されない:4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);および銅フタロシアニンなどのポルフィリン化合物。一般的に用いられる正孔輸送高分子は、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、およびポリピロールを含むが、それらに限定されない。また、上述のものなどの正孔輸送分子をポリスチレンおよびポリカーボネートなどの重合体にドーピングすることにより、正孔輸送重合体を得ることも可能である。また、正孔輸送層には、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンおよびペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸−3,4,9,10−二無水物などのp−ドーパントをドーピングしてもよい。正孔輸送層は、典型的には、概ね40〜100nmの範囲の厚さを有する。
【0065】
「光活性」との用語は、印加電圧により活性化されると発光する(発光ダイオードまたは化学電池などにおいて)か、放射エネルギーに応答して印加バイアス電圧を有するまたは有さない信号を生成する(光検出器などにおいて)材料に言及するものである。いずれかの有機エレクトロルミネッセント(「EL」)材料を光活性層において用いることが可能であり、かかる材料は当該技術において周知である。材料は、小分子有機蛍光性化合物、蛍光性および燐光性の金属錯体、共役高分子、ならびにそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。光活性材料は、単体でまたは1つ以上のホスト材料との混合で存在することが可能である。蛍光性化合物の例は、ナフタレン、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ルブレン、それらの誘導体、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。金属錯体の例は、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物、Petrov他による米国特許第6,670,645号明細書ならびに国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに開示のフェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジン配位子とのイリジウム錯体などのシクロメタル化イリジウムおよび白金エレクトロルミネッセント化合物、ならびに例えば国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレット、および国際公開第03/040257号パンフレットに記載の有機金属錯体、ならびにそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。共役高分子の例は、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらの重合体、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。光活性層1912は、典型的には、概ね50〜500nmの範囲の厚さを有する。
【0066】
「電子輸送」との用語は、層、材料、部材、または構造に言及する場合、かかる層、材料、部材、または構造を通過する別の層、材料、部材、または構造への負電荷の移動を促進または容易化する、かかる層、材料、部材、または構造を意味するものである。オプションの電子輸送層140において用いることが可能な電子輸送材料の例は、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(AlQ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、テトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ハフニウム(HfQ)、およびテトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ジルコニウム(ZrQ)などの金属キレート化オキシノイド化合物;2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンゾイミダール)ベンゼン(TPBI)などのアゾ−ル化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン;ならびにそれらの混合物を含む。また、電子輸送層には、Csまたは他のアルカリ金属などのn−ドーパントをドーピングしてもよい。電子輸送層は、典型的には、概ね30〜500nmの範囲の厚さを有する。
【0067】
本明細書中で用いる「電子注入」との用語は、層、材料、部材、または構造に言及する場合、かかる層、材料、部材、または構造が、比較的効率的にわずかな電荷の損失で、かかる層、材料、部材、または構造の厚さを通過する負電荷の注入および移動を容易化することを意味することを意図する。オプションの電子輸送層は無機質であってもよく、BaO、LiF、またはLi2Oを含んでもよい。電子注入層は、典型的には、概ね20〜100Åの範囲の厚さを有する。
【0068】
カソードは、第1族金属(例えば、Li、Cs)、第2族(アルカリ土類)金属、ランタニドおよびアクチニドを含む希土類金属から選択することが可能である。カソードは、概ね300〜1000nmの範囲の厚さを有する。
【0069】
アレイおよび周辺の遠隔回路上に封入層を形成することにより、実質的に完成した電気デバイスを形成することが可能である。
【0070】
一般的説明または例において上で説明した活動のすべてが要求されるわけではなく、特定の活動の一部が要求されないかもしれず、説明したものに加えて1つ以上のさらなる活動を行ってもよいことに留意されたい。さらに、活動が列挙されている順序は、必ずしもそれらが行われる順序であるとは限らない。
【0071】
上記の明細書では、本発明の概念を特定の実施形態を参照して説明した。しかし、当業者は、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を逸脱することなく様々な修正および変更を行うことが可能であることを理解する。そのため、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのかかる修正は、本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0072】
利益、他の利点、および課題の解決策を特定の実施形態に関して説明した。しかし、利益、利点、課題の解決策、およびいずれかの利益、利点、または解決策を生じさせるまたはより顕著なものにし得るいずれの1つまたは複数の特長も、いずれかまたはすべての特許請求の範囲の決定的な、要求される、または本質的な特長であるとは解釈しないものとする。
【0073】
また、本明細書中では明瞭さのために別々の実施形態の文脈で説明した特定の特長は、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことが理解されよう。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で説明した様々な特長は、別々にまたはいずれかの下位組み合わせで提供してもよい。さらに、範囲で記載された値への参照は、かかる値からの多少の上下の変動を含み、記載された範囲を用いて範囲内の値と実質的に同じ結果を達成することが可能である。また、これらの範囲の開示は、1つの値の成分のいくつかを異なる値の成分のいくつかと混合させたときに生じ得る小数値を含む最小および最大の平均値間のすべての値を含む連続範囲であることを意図する。その上、より広いまたはより狭い範囲が開示されている場合は、1つの範囲からの最小値を別の範囲の最大値と合致させ、その逆も合致させることが、本発明の想定内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機電子デバイス用バックプレーンであって:
TFT基板と;
第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、前記電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造と;
前記電極構造の各々の周囲の前記空間における無機充填剤の層であって、前記無機充填剤は前記電極構造と同じ厚さを有する、無機充填剤の層と;
を備える、バックプレーン。
【請求項2】
前記電極構造は、75°以下のテーパ角度を有するテーパ化された縁を有する、請求項1に記載のバックプレーン。
【請求項3】
前記無機充填剤の材料は、金属酸化物、金属窒化物、および金属酸窒化物から選択される、請求項1に記載のバックプレーン。
【請求項4】
前記無機充填剤の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のバックプレーン。
【請求項5】
電子デバイス用バックプレーンを形成するためのプロセスであって:
TFT基板を提供するステップと;
前記TFT基板上に、第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、前記電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造を形成するステップと;
無機充填剤材料の層を、全体的に前記第1の厚さよりも大きい厚さまで堆積させるステップと;
前記第1の電極構造の表面が現れるように、前記無機充填剤材料を均一に前記第1の厚さと同じ厚さまで除去することにより、本質的に平坦なバックプレーンを形成するステップと;
を含む、プロセス。
【請求項6】
前記無機充填剤材料は化学機械研磨により除去される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
有機電子デバイスを形成するためのプロセスであって:
(i)バックプレーンであって:
TFT基板と;
第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、前記電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造と;
前記電極構造の各々の周囲の前記空間における無機充填剤の層であって、前記無機充填剤は前記電極構造と同じ厚さを有する、無機充填剤の層と;
を備える、バックプレーンを形成するステップと;
(ii)前記第1の電極構造の少なくとも一部の上に、液体媒体中に第1の活性材料を含む第1の液体組成物を堆積させることによりし、第1の活性膜を形成するステップと;
を含む、プロセス。
【請求項8】
前記第1の活性膜の少なくとも一部の上に、第2の液体媒体中に第2の活性材料を含む第2の液体組成物を堆積し、第2の活性膜を形成するステップをさらに含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第2の活性膜の少なくとも一部の上に、第3の液体媒体中に第3の活性材料を含む第3の液体組成物を堆積し、第3の活性膜を形成するステップをさらに含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
電子デバイスであって:
(i)バックプレーンであって:
TFT基板と;
第1の厚さを有する複数の第1の電極構造であって、前記電極構造の各々の周囲に空間が存在する、第1の電極構造と;
前記電極構造の各々の周囲の前記空間における無機充填剤の層であって、前記無機充填剤は前記電極構造と同じ厚さを有する、無機充填剤の層と;を備える、バックプレーンと;
(ii)少なくともピクセル開口における正孔輸送層と;
(iii)少なくとも前記ピクセル開口における光活性層と;
(iv)少なくとも前記ピクセル開口における電子輸送層と;
(v)カソードと;
を備える、電子デバイス。
【請求項11】
アノードと前記正孔輸送層との間の有機緩衝層をさらに備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記電子輸送層と前記カソードとの間の電子注入層をさらに備える、請求項10に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2012−511237(P2012−511237A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539722(P2011−539722)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/066721
【国際公開番号】WO2010/065823
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】