説明

溶液容器、筆記用具、化粧用具、および攪拌子

【課題】 摩耗量が比較的少なく、かつ耐食性に優れた攪拌子、この攪拌子を内蔵した溶液容器、およびこの溶液容器を用いた筆記用具並びに化粧用具を提供する。
【解決手段】 溶液容器と、前記溶液容器の内部に配された攪拌子とを備え、前記溶液容器の運動にともなって前記攪拌子が前記溶液容器の内部を移動することで、前記溶液容器の内部に貯留された溶液を攪拌する攪拌子内蔵溶液容器であって、前記攪拌子を、セラミックを主成分とする焼結体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液容器、およびこれを用いた筆記用具並びに化粧用具に関する。また、溶液容器内の溶液を攪拌するための攪拌子に関する。
【背景技術】
【0002】
筆記具内のインク容器、マニキュアなどの化粧品の化粧用溶液の容器、塗料用のスプレー容器には、沈殿物を攪拌するための攪拌子が内包されているものがある。これら溶液容器における溶液の攪拌は、通常、容器を把持した者がこの容器振ることで、容器内の攪拌子が容器内を移動して行われている。従来の攪拌子は、例えば、金属、ガラス、プラスチック等で構成されていた。
【0003】
例えば特許文献1には、表面エネルギーが25erg/cmより低いプラスチックよりなる表面被覆層を有する筆記具用インク攪拌ボールと、表面エネルギーが25erg/cmより低いプラスチックで表面が被覆された攪拌ボールをインク貯溜部に内蔵する筆記具が記載されている。
【特許文献1】特開2001−205973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属からなる攪拌ボールは、インク、化粧品溶液、塗料など、反応性が比較的高い各種物質を含む溶液に対し、比較的耐食性が悪いという問題があった。また、特許文献1の攪拌ボールは表面がプラスチックで覆われているため、攪拌ボールが摩耗しやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の諸問題に鑑みてなされたものであって、摩耗量が比較的少なく、かつ耐食性に優れた攪拌子、この攪拌子を内蔵した溶液容器、およびこの溶液容器を用いた筆記用具並びに化粧用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、溶液容器と、前記溶液容器の内部に配された攪拌子とを備え、前記溶液容器の運動にともなって前記攪拌子が前記溶液容器の内部を移動することで、前記溶液容器の内部に貯留された溶液を攪拌する攪拌子内蔵溶液容器であって、前記攪拌子が、セラミックを主成分とする焼結体からなることを特徴とする溶液容器を提供する。
【0007】
なお、前記攪拌子は、一方向に延びた中心軸に略平行な側面で周囲が囲まれた部材であることが好ましい。
【0008】
また、前記側面は、前記攪拌子の上面側の周縁線および前記攪拌子の下面側の周縁線に比べ、前記側面の中央部分が前記中心軸により近づいた凹形状であってもよい。
【0009】
また、上面または下面の少なくとも一方が、前記中心軸に沿って凸状に形成されていることも好ましい。
【0010】
また、凸状に形成された前記上面または前記下面の少なくとも一方に、複数の微小突起部が設けられていることも、また好ましい。
【0011】
また、前記溶液容器は、一方向に延びた筒形状であって、前記攪拌子の最長径が、前記溶液容器の断面の直径よりも長くされていることも、また好ましい。
【0012】
また、前記攪拌子は、一方向に延びた中心軸に略平行な側面で周囲が囲まれた柱状部材であり、前記側面には、前記中心軸方向に沿った溝部が設けられていることも好ましい。
【0013】
本発明は、また、上述の溶液容器を備え、前記溶液容器の内部にインクが貯留された筆記用具を、併せて提供する。
【0014】
本発明は、また、上述の溶液容器を備え、前記溶液容器の内部に、化粧用溶液が貯留された化粧用具を、併せて提供する。
【0015】
本発明は、また、溶液容器の内部に内包され、前記溶液容器の運動にともなって前記溶液容器の内部を移動することで、前記溶液容器の内部に貯留された溶液を攪拌する攪拌子であって、セラミックを主成分とする焼結体からなることを特徴とする攪拌子を、併せて提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の溶液容器は、内部の攪拌子の摩耗が比較的少なく、また、攪拌子の腐食も比較的少ない。また、本発明の溶液容器では、内部に貯留された溶液を効率的に攪拌することができる。本発明の攪拌子は、摩耗が比較的少なく、また、溶液に対する腐食等も比較的少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の筆記用具の一実施形態について説明する図であり、筆記用具50の概略断面図である。図1に示す筆記用具50は、溶液容器2と、溶液容器2の内部に配された攪拌子6と、溶液容器2内部の溶液4を外部に付着させる、いわゆるペン先となる溶液排出部32と、を備える。筆記用具50では、溶液容器2の運動にともなって攪拌子6が溶液容器2の内部を移動することで、溶液容器2の内部に貯留された、例えばインクや修正液等の溶液が攪拌される。
【0019】
筆記用具50の攪拌子6は、例えばアルミナ等のセラミックを主成分とするセラミック焼結体からなる。筆記用具50では、耐摩耗性に比較的優れた、セラミックを主成分とする焼結体からなる攪拌子6が内蔵されており、溶液4を攪拌した際にも、溶液4内に攪拌子6の摩耗屑が混入することが少ない。また、攪拌子6は、溶液4に対する耐薬品性が比較的強いセラミックで構成されており、薬品による攪拌子の劣化にともなう摩耗屑の発生、および溶液4と攪拌子6との反応にともなう溶液4の劣化が、抑制されている。攪拌子の材質としては、無害で、安価で、かつ色調を調整できるという点からアルミナが好ましい。
【0020】
また、アルミナの密度は3.5−4g/cm程度であり、テフロン(登録商標)等のポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene, PTFE)樹脂の密度2.14−2.2g/cm程度に比べて比較的大きい。そのため、比較的小さい溶液容器内に配置可能な比較的小さいサイズの攪拌子であっても、比較的十分に大きな質量を有する。このため、攪拌子6を内蔵した筆記用具50を把持してこの筆記用具50を移動させた場合、攪拌子6は比較的大きな運動エネルギーをもって溶液容器2内部を移動し、溶液容器2内部の溶液を効率的に攪拌させることができる。
【0021】
溶液4は、着色成分である溶質が溶媒に溶解した溶液である。溶液は、溶質が溶媒に溶解した溶液の他に、いわゆるゲル、スラリー(固液混合物)、およびこれらの複合物であってもよい。ここで、ゲルは、例えば高分子化合物が流動性を有した状態で存在するものをいう。例えば筆記用具であるペンのゲルインク(溶液)内には、酸化チタンなどの粉体が混じっている場合もある。また、化粧用具であるマニキュアに入る溶液の場合は、有機溶媒中に高分子が溶解し、さらに固体粒子が混じっているものがある。また、塗装用スプレー缶に入る溶液には、有機溶媒中に樹脂が溶解し、色素として金属化合物が溶解または粒子で存在しているものがある。
【0022】
図2は、筆記用具50に内包される攪拌子の一実施形態について説明する図である。図2(A)は、図1に示す筆記用具50に内蔵されている攪拌子6の形態を示す図である。図2(B)および(C)は、攪拌子6のそれぞれ異なる実施形態について説明する図であり、それぞれ、(a)が側面図、(b)は断面図である。
【0023】
図2(A)に示す実施形態では、攪拌子6は、略一方向に延びた中心軸Cに略平行な側面12で周囲が囲まれている。図2(A)に示す攪拌子6は、側面12を通り中心軸Cに垂直な断面による切断面は、略円形状となっている。攪拌子6が単なる球面ではなく、このような側面12を有する場合、筆記用具50を運動させた際、攪拌子6と溶液容器2の内部との衝突状態は、衝突の度に種々変化する。このため、例えば溶液容器2の内壁の一部分に集中してある沈殿物に対し、様々な角度から様々な形状の衝突面が繰り返し衝突することとなる。また、図2に示すような側面12を有する場合、攪拌子6が溶液容器2内部を移動する際、側面12の移動によって溶液4に比較的大きな乱流が発生する。図2に示す実施形態では、この乱流によって溶液が比較的攪拌され易く、沈殿物を比較的早く解消させることができる。
【0024】
また、図2(B)に示す実施形態では、側面12のうち、攪拌子6の上面側の周縁線16aおよび攪拌子6の下面側の周縁線16cに比べ、側面12の中央部分16bが中心軸Cにより近づいた凹形状とされている。このように、側面12を凹形状とすることで、側面12の移動によって溶液4に比較的大きな乱流を発生させることができる。
【0025】
また、図2(C)に示す実施形態では、凸状に形成された攪拌子6の上面18aと、同じく凸状に形成された攪拌子6の下面18bに、複数の微小突起部20が設けられている。このような微小突起20を設けることで、溶液4に更に細かな複数の乱流を形成するとともに、沈澱物に対する衝突状態も更に多様なものとし、溶液を更に効率的に攪拌することができる。
【0026】
図3(A)および(B)は、攪拌子6のそれぞれ異なる実施形態について説明する図であり、それぞれ、(a)が上面図、(b)および(c)が各々異なる方向から見た側面図、(d)が(c)に対応する方向からみた側断面図である。図3(A)に示すように、側面12の断面は略円形であることに限定されず、側面12の一部に平面部26を含む構成であっても構わない。側面12に平面部26を含む場合、溶液4に更に細かな複数の乱流を形成するとともに、沈澱物に対する衝突状態も更に多様なものとし、溶液を更に効率的に攪拌することができる。また、図4(A)および(B)に示すように、凸状に形成された攪拌子6の上面18aと、同じく凸状に形成された攪拌子6の下面18cに、複数の微小突起部20が設けられていてもよい。この場合、溶液を更に効率的に攪拌することができる。
【0027】
また、図5(A)および(B)も、攪拌子6のそれぞれ異なる実施形態について説明する図であり、それぞれ、(a)が側面図、(b)は断面図である。攪拌子6は、図5(A)に示すように、上面および下面が略平面状の円柱状であってもよい。また、図5(B)に示すように、円柱形状の側面が凹状に構成されていてもよい。また、図6(A)および(B)も、攪拌子6のそれぞれ異なる実施形態について説明する図であり、それぞれ、(a)が側面図、(b)および(c)は側面図、(d)は断面図である。攪拌子6は、図6に示すように、側面12の一部に平面部26を含むとともに、上面および下面が略平面状の柱状であってもよい。また、図6(B)に示すように、側面12が凹状に構成されていてもよい。
【0028】
また、図7(A)および(B)は、攪拌子6のそれぞれ異なる実施形態について説明する図であり、それぞれ、(a)が側面図、(b)は断面図である。攪拌子6は、図7(A)に示すように略球形であってもよい。また、図7(B)に示すように、略球形状の表面に複数の微小突起が設けられた構成であってもよい。
【0029】
図8は、本発明の筆記用具の他の実施形態について説明する図である。図8に示す筆記用具60は、耐摩耗性に比較的優れた、セラミックを主成分とする焼結体からなる攪拌子6が内蔵されている。図8に示す筆記用具50では、攪拌子6の最長径が、溶液容器2の断面の直径よりも長くされている。
【0030】
図9は、筆記用具60に内包される攪拌子の一実施形態について説明する図である。図9(A)は、図8に示す筆記用具60に内蔵されている攪拌子6の形態を示す図である。図9(B)は、攪拌子6の異なる実施形態について説明する図であり、それぞれ、(a)が上面図、(b)が側面図、(c)が上断面図である。
【0031】
攪拌子6は、略一方向に延びた中心軸Cに平行な側面12で周囲が囲まれた柱状部材であり、側面12には中心軸C方向に沿った溝部30が設けられている。攪拌子6の最長径とは、この中心軸C方向に沿った長さである。筆記用具60では、攪拌子6の中心軸Cが溶液容器2の長手方向と略一致したまま、攪拌子6が溶液容器2内部を移動する。かかる筆記用具60では、攪拌子6の側面12と溶液容器2の内面との間にある固着物だけでなく、溶液容器2内の端部にある沈殿物に大きな衝撃を与えることができる。溶液容器2は、沈殿物の低減に特に好適である。
【0032】
また、図8に示す筆記用具60では、攪拌子6の側面12に、中心軸C方向に沿った溝部30が設けられており、攪拌子6が溶液容器2内を移動する際に、溝部30で乱流が発生しやすく、溶液を効率的に攪拌することができる。
【0033】
なお、図9(B)に示す実施形態では、側面12のうち、攪拌子6の上面側の周縁線16aおよび攪拌子6の下面側の周縁線16cに比べ、側面12の中央部分16bが中心軸Cにより近づいた凹形状とされている。このように、側面12を凹形状とすることで、側面12の移動によって溶液4に比較的大きな乱流を発生させることができる。
【0034】
また、図10は、筆記用具60に内包される攪拌子の他の実施形態について説明する図である。図10(A)は、図8に示す筆記用具60に内蔵されている攪拌子6の、図9とは異なる実施形態を示す図である。図10(B)は、攪拌子6の異なる実施形態について説明する図であり、それぞれ、(a)が上面図、(b)が側面図、(c)が側断面図である。図10に示すように、攪拌子6の上面または下面の少なくとも一方が、凸状に形成されていてもよい。
【0035】
また、図11は、筆記用具60に内包される攪拌子の他の実施形態について説明する図である。図11(A)は、図8に示す筆記用具60に内蔵されている攪拌子6の、図9および図10とは異なる実施形態を示す図である。図11(B)は、攪拌子6の異なる実施形態について説明する図であり、それぞれ、(a)が上面図、(b)が側面図、(c)が側断面図である。図11に示すように、攪拌子6の、凸状に形成された上面または下面の少なくとも一方に、複数の微小突起部20が設けられていてもよい。この場合、溶液を更に効率的に攪拌することができる。
【0036】
また、図12は、筆記用具60に内包される攪拌子の他の実施形態について説明する図である。図12(A)は、図8に示す筆記用具60に内蔵されている攪拌子6の、他の実施形態を示す図である。図12(B)は、攪拌子6の異なる実施形態について説明する図であり、それぞれ、(a)が上面図、(b)が側面図、(c)が側断面図である。図12に示すように、溝部30の、中心軸Cに沿った幅は、一様であることに限定されず、中心軸Cに沿って変化していてもよい。
【0037】
本発明の攪拌子、溶液容器については、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0038】
上記実施形態では、溶液容器の一例として筆記用具の溶液容器の一例を示したが、例えば図1および図8に示す構成の装置を、化粧用具として用いてもよい。図1および図8に示す用具では、攪拌子6がセラミックによって形成されており、攪拌子の構成成分が溶液4によって流出する可能性は比較的小さい。例えば金属製のボール状部材を化粧用具の攪拌子として用いた場合、この金属製ボールの成分が化粧用溶液に流出し、この化粧用溶液を付けた使用者に溶け出した金属イオンが付着する。この場合、例えば使用者が金属アレルギーをもつ場合など、アレルギー症状を引き起こすこともあった。本発明の攪拌子は、耐薬品性の比較的強いセラミックで構成されており、化粧用具など、生体に付着する溶液を攪拌した場合に比較的安全である。
【実施例】
【0039】
本発明の実施例について説明する。次のようにして溶液容器を作製、評価した。
【0040】
(1)攪拌子の作製
平均粒径が1μmの酸化アルミニウム粉末、酸化珪素粉末、酸化マグネシウム粉末、炭酸カルシウム粉末を用いて、Al換算での純度が最終焼結体で97%となる組成になるように各粉末を秤量した。各粉末を水と共にボールミルで混合、湿式粉砕してスラリーを得た。このスラリーに、有機結合材として水溶性アクリル樹脂を添加、混合して、噴霧乾燥して顆粒を作製した。得られた顆粒を金型に充填し100MPaの圧力で成形した後、1600℃で3時間焼成し焼結体を得た。得られた焼結体のバリ取りを行い、水洗、乾燥して、攪拌子を作製した。各攪拌子の重量を測定した。攪拌子に微小突起部20がある場合には、微小突起部20の大きさは縁部の直径1mm、高さ0.5mmとした。攪拌子の上面側の端部16aおよび攪拌子の下面側の端部16cに比べて、中央部16bがより内側に位置した凹形状を有する攪拌子の場合には、端部16a,16cの側の外形よりも、中央部16bの方が0.3mm小さい形状とした。
【0041】
攪拌子に凸状部がある場合には、凸状部は、表1に示す外形(幅、高さ)の高さ方向を1としたときに、図より実測される比率にて形成した。ここで幅とは攪拌子を平面視したとき、図の紙面の横方向の最大値を示し、高さとは攪拌子を平面視したとき、図の紙面の縦方向の最大値を示す。
【0042】
(2)攪拌子を内包した溶液容器の作製
容器として、厚み5mm、内側の寸法が表1に示す直径で、長手方向の長さ120mmの筒状の強化ガラス体を準備した。溶液としては、酸化チタン微粒粉末35質量%、樹脂25質量%、キシレン40質量%からなるインク組成物を混合したものを準備した。ここで、樹脂はキシレンに溶解するものとした。
【0043】
(3)溶液容器の評価
攪拌子1個と共に溶液をこの容器内に充填し、密閉した。長手方向の一端を下(重力がかかる方向)にして10日間放置した。放置後、容器の下端には沈殿物が観察された。その後、溶液容器を上下に動かして、ボールが動くまでに溶液容器を上下に動かした回数、沈殿物がなくなるまでに溶液容器を上下に動かした回数を測定した。溶液容器を上下に動かしたときの振幅は、振幅長さ(上下方向の移動距離)150mm、速度1m/秒とした。
【0044】
(4)攪拌子の摩耗量の評価
上記(3)の評価後、溶液容器を振幅長さ150mm、速度2m/秒で300回さらに上下させた後、攪拌子を取り出し、攪拌子の単位面積当たりの摩耗量を測定した。
【0045】
(5)耐食性試験
別途準備した本発明の攪拌子を用いて、耐食性試験を行った。溶液として、上記(3)で作製した溶液100質量部に対して、水酸化ナトリウム0.3質量部を添加した溶液1、上記(3)で作製した溶液100質量部に対して、1Nの塩酸0.3質量部を添加した溶液2をそれぞれ作製した。溶液1、溶液2に攪拌子を入れて、50℃の恒温槽に溶液容器を10日間放置した。放置前後の攪拌子の単位面積当たりの重量変化を測定した。
【0046】
上記各実施例の攪拌子では、いずれも、摩耗量が10−4g/cm未満、重量減がなかった(すなわち、溶液に対する腐食性が認められなかった)。なお、攪拌子が動くまでの上下運動の回数Aが2−7回、沈殿物がなくなるまでの上下運動の回数Bが4−13回であり、例えば金属性のボール等を用いた従来の溶液容器と比べても、良好な攪拌性を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の筆記用具の一実施形態について説明する概略断面図である。
【図2】図1に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)〜(C)は、それぞれ異なる実施形態について説明する図である。
【図3】図1に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ異なる実施形態を示している。
【図4】図1に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ異なる実施形態を示している。
【図5】図1に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ異なる実施形態を示している。
【図6】図1に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ異なる実施形態を示している。
【図7】図1に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ異なる実施形態を示している。
【図8】本発明の筆記用具の他の実施形態について説明する概略断面図である。
【図9】図8に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ異なる実施形態を示している。
【図10】図8に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ異なる実施形態を示している。
【図11】図8に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ異なる実施形態を示している。
【図12】図8に示す筆記用具に内蔵されている攪拌子の形態を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ異なる実施形態を示している。
【符号の説明】
【0048】
2 溶液容器
4 溶液
6 攪拌子
12 側面
16a、16c 周縁線
18a 上面
18b 下面
26 平面部
32 溶液排出部
50、60 筆記用具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液容器と、前記溶液容器の内部に配された攪拌子とを備え、前記溶液容器の運動にともなって前記攪拌子が前記溶液容器の内部を移動することで、前記溶液容器の内部に貯留された溶液を攪拌する攪拌子内蔵溶液容器であって、
前記攪拌子が、セラミック焼結体からなることを特徴とする溶液容器。
【請求項2】
前記攪拌子は、一方向に延びた中心軸に略平行な側面で周囲が囲まれた部材であることを特徴とする請求項1記載の溶液容器。
【請求項3】
前記側面は、
前記攪拌子の上面側の周縁線および前記攪拌子の下面側の周縁線に比べ、前記側面の中央部分が前記中心軸により近づいた凹形状であることを特徴とする請求項1または2記載の溶液容器。
【請求項4】
上面または下面の少なくとも一方が、前記中心軸に沿って凸状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の溶液容器。
【請求項5】
凸状に形成された前記上面または前記下面の少なくとも一方に、複数の微小突起部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の溶液容器。
【請求項6】
前記溶液容器は、一方向に延びた筒形状であって、
前記攪拌子の最長径が、前記溶液容器の断面の直径よりも長くされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶液容器。
【請求項7】
前記攪拌子は、一方向に延びた中心軸に略平行な側面で周囲が囲まれた柱状部材であり、
前記側面には、前記中心軸方向に沿った溝部が設けられていることを特徴とする請求項6記載の溶液容器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の溶液容器を備え、
前記溶液容器の内部にインクが貯留された筆記用具。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の溶液容器を備え、
前記溶液容器の内部に、化粧用溶液が貯留された化粧用具。
【請求項10】
溶液容器の内部に内包され、前記溶液容器の運動にともなって前記溶液容器の内部を移動することで、前記溶液容器の内部に貯留された溶液を攪拌する攪拌子であって、
セラミックを主成分とする焼結体からなることを特徴とする攪拌子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−76791(P2010−76791A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246140(P2008−246140)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】