説明

溶液結晶成長における結晶化条件をスクリーニングする方法

【課題】スクリーニングの各条件に関してピコグラムないしマイクログラム単位の量のタンパク質を要するタンパク質結晶成長条件のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】ピコグラム、ナノグラム、又はマイクログラムまでの量のタンパク質を利用してタンパク質結晶成長条件をスクリーニングする方法であって、中に複数のウェルを持つマイクロアレイを提供するステップと、約0.001nlないし約250nlの体積のタンパク質溶液を前記ウェルに正確に分注するステップと、少なくとも二つの前記マイクロチャンバーにおけるタンパク質結晶成長条件が異なるものとなるように前記ウェルそれぞれのタンパク質結晶成長条件を制御するステップと、前記ウェルにおけるタンパク質結晶成長又はタンパク質沈殿を観察するステップと、を備える方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明はタンパク質溶液中に存在するタンパク質或いはタンパク質溶液から得たタンパク質の結晶化に関する。特に、本発明は、タンパク質結晶化を促し得る多数のタンパク質結晶成長条件のスクリーニング方法に関する。更に詳しくは、本発明は極めて少量のタンパク質溶液を使用しつつ、一つ以上の最適なタンパク質結晶成長条件を特定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
構造−機能研究と構造に基づく薬品設計のためのタンパク質の結晶化は、バイ
オテクノロジーの研究において、ますます重要性が増加している。新しいタンパ
ク質に対して結晶成長を試みる時、適切な化学条件(つまり、溶液中のタンパク
質濃度、沈殿物のタイプ及び濃度、pH、及び成長温度)は未知であり、通常は
試行錯誤実験により決定される。
【0003】
通常は、1000以上の異なる結晶成長条件セットがスクリーニングされ、結
晶化を導く条件が決定される。このスクリーニングには、非常に多くの労力を要
する冗漫な反復手順が伴う。現在の実験室のタンパク質結晶成長機器では、それ
ぞれの結晶化チャンバーにおいて約1マイクロリットルのタンパク質溶液が必要
となる。タンパク質溶液は通常、結晶成長を促進するために、1マイクロリット
ル当たり10ないし25マイクログラムの範囲の濃度を有する。そのため、10
00試料のスクリーニングには通常、10ないし25ミリグラムのタンパク質が
必要となる。これは特に、単離したり又は一般的に発現させたりするのが困難な
タンパク質に関しては、かなりの量であり、費用のかかる量である。大部分(約
50%)のタンパク質は、ミリグラム単位の量で発現させることは容易ではない

【0004】
したがって、スクリーニングの各条件に関してピコグラムないしマイクログラ
ム単位の量のタンパク質を要するタンパク質結晶成長条件のスクリーニング方法
を提供することが望ましい。こうした方法において、それぞれのスクリーニング
条件試料で、ピコリットルないしナノリットル単位の体積に含まれるタンパクが
ピコグラムないしナノグラム単位の量しか必要でなければ、より好ましい。
【0005】
更に、1マイクログラム未満のスケールである多数の試料におけるタンパク質
結晶成長条件をスクリーニングする高スループットスクリーニング方法を提供す
ることが望ましい。こうした方法では、タンパク質結晶成長のプラットフォーム
として、マイクロアレイを使用する。この方法は更に、溶液の自動分注と結晶成
長の自動記録とを利用する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明により、以下が提供される。
(項目1) ピコグラム、ナノグラム、又はマイクログラムまでの量のタンパク質を利用してタンパク質結晶成長条件をスクリーニングする方法であって、
中に複数のウェルを持つマイクロアレイを提供するステップと、
約0.001nlないし約250nlの体積のタンパク質溶液を前記ウェルに正確に分注するステップと、
少なくとも二つの前記マイクロチャンバーにおけるタンパク質結晶成長条件が異なるものとなるように前記ウェルそれぞれのタンパク質結晶成長条件を制御するステップと、
前記ウェルにおけるタンパク質結晶成長又はタンパク質沈殿を観察するステップと、
を備える方法。
(項目2) 前記タンパク質溶液が、緩衝剤、界面活性剤、塩、アルコール、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物により構成される集合から選択された構成要素を含む項目1記載の方法。
(項目3) 前記タンパク質溶液が緩衝される項目1記載の方法。
(項目4) 前記タンパク質結晶成長を制御するステップが、マイクロアレイと液体連通する状態にある沈殿溶液を利用するステップを含む項目1記載の方法。
(項目5) 前記タンパク質結晶成長を制御するステップが、マイクロアレイに沈殿溶液を追加するステップを含む項目1記載の方法。
(項目6) 前記沈殿溶液及び前記タンパク質溶液が、前記マイクロアレイの異なるウェルに存在し、前記マイクロアレイが、タンパク質溶液を含むウェルと沈殿溶液を含むウェルとの間の液体連通のための通路を有する項目5記載の方法。
(項目7) 前記タンパク質結晶成長を制御するステップが更に、通路の寸法を変化させるステップを含む項目6記載の方法。
(項目8) 前記沈殿溶液と前記タンパク質溶液とが、マイクロチャネルを介して液体連通する状態にある項目6記載の方法。
(項目9) 前記沈殿溶液と前記タンパク質溶液とが液体連通する状態にある項目5記載の方法。
(項目10) 液体連通が、前記沈殿溶液と前記タンパク質溶液との液体−液体拡散によるものである項目9記載の方法。
(項目11) 前記沈殿溶液が、タンパク質溶液よりも低い蒸気圧を有し、液体連通が気体拡散によるものである項目9記載の方法。
(項目12) タンパク質溶液と沈殿溶液とが同じウェルに存在し、前記結晶化がバッチ結晶化により達成される項目5記載の方法。
(項目13) 前記ウェルが更に緩衝溶液を含む項目12記載の方法。
(項目14) 沈殿溶液が約0.001nlないし約250nlの体積を有する項目5記載の方法。
(項目15) タンパク質結晶成長又はタンパク質沈殿が顕微鏡により観察される項目1記載の方法。
(項目16) 前記顕微鏡が微分干渉コントラスト顕微鏡である項目15記載の方法。
(項目17) タンパク質溶液が、高速ソレノイド分注により前記ウェルに分注される項目1記載の方法。
(項目18) ピコグラムないしマイクログラムの量のタンパク質を利用してタンパク質結晶成長条件をスクリーニングする方法であって、
約0.001nlないし約250nlの体積のタンパク質溶液をプラットフォームに正確に分注するステップと、
試料のタンパク質結晶成長条件を制御するステップと、
試料内のタンパク質沈殿又はタンパク質結晶を観察するステップと、
を備える方法。
(項目19) 前記試料が、高速ソレノイド分注により正確に分注される項目18記載の方法。
(項目20) タンパク質結晶成長条件を制御するステップが、タンパク質沈殿溶液を利用するステップを含む項目18記載の方法。
(項目21) 前記沈殿溶液がタンパク質溶液よりも低い蒸気圧を有し、結晶化が気体拡散により達成される項目20記載の方法。
(項目22) タンパク質溶液と沈殿溶液とが共に混合され、前記結晶化がバッチ結晶化により達成される項目20記載の方法。
(項目23) 結晶化が、前記沈殿溶液と前記タンパク質溶液との液体−液体拡散により達成される項目20記載の方法。
(項目24) 前記プラットフォームがマイクロアレイである項目18記載の方法。
(項目25) タンパク質結晶成長又はタンパク質沈殿が顕微鏡により観察される項目18記載の方法。
(項目26) 前記顕微鏡が微分干渉コントラスト顕微鏡である項目25記載の方法。
(項目27) ナノグラム又はピコグラムのタンパク質の量でのタンパク質結晶成長をスクリーニングするマイクロアレイであって、
約0.001nlないし約250nlの体積のタンパク質溶液を保持すること
に適合し、最低限の吸水性を有する材料を備える複数のウェルと、
前記ウェルから延びる光学透明経路と、
を備えるマイクロアレイ。
(項目28) 前記ウェルが更に、事実上疎水性である材料を備える項目27記載のマイクロアレイ。
(項目29) 更に、沈殿溶液を保持する複数のウェルを備え、前記マイクロアレイが、タンパク質溶液を保持するウェルと沈殿溶液を保持するウェルとの間の液体連通のための通路を有する項目27記載のマイクロアレイ。
(項目30) 少なくとも2本の通路が異なる寸法を有する項目29記載のマイクロアレイ。
(項目31) 前記マイクロアレイの前記ウェルが、前記ウェルからの蒸発を防ぐために密封することができる項目27記載のマイクロアレイ。
(項目32) 複数のウェルを備え、ナノグラム又はピコグラムの量のタンパク質におけるタンパク質結晶成長をスクリーニングするマイクロアレイであって、
前記ウェルが、約0.001nlないし約250nlの体積のタンパク質溶液を保持することに適合するマイクロアレイ。
(項目33) 前記ウェルが、最低限の吸水性を有する材料を備える項目32記載のマイクロアレイ。
(項目34) 更に、前記ウェルから延びる光学透明経路を備える項目32記載のマイクロアレイ。
(項目35) 前記ウェルが、事実上疎水性を有する材料を備える項目32記載のマイクロアレイ。
(項目36) 更に、沈殿溶液を保持する複数のウェルを備え、前記マイクロアレイが、タンパク質溶液を保持するウェルと沈殿溶液を保持するウェルとの間の液体連通のための通路を有する項目32記載のマイクロアレイ。
(項目37) 少なくとも2本の通路が異なる寸法を有する項目36記載のマイクロアレイ。
(項目38) 前記マイクロアレイの前記ウェルが、前記ウェルからの蒸発を防ぐために密封することができる項目32記載のマイクロアレイ。
本発明は、好ましくはピコグラムないしマイクログラムのスケールである最低
限の量のタンパク質を利用して、タンパク質結晶条件をスクリーニングする方法
である。それぞれのスクリーニング試料は、ピコリットルないしナノリットル単
位の体積に含まれるピコグラムないしマイクログラム単位の量のタンパク質を有
する。予め決定されたタンパク質結晶成長条件が維持され、質的及び量的基準の
両方を使用して結晶成長が分析される。
【0007】
好適な実施形態においては、タンパク質結晶成長をスクリーニングする方法に
おいて使用するためにマイクロアレイが提供される。好ましくは、このマイクロ
アレイは、マイクロアレイ内に複数のマイクロチャンバーを有する。このマイク
ロチャンバーは、例えば、バルブ、ポンプ、及び電極に限らないが、そのような
小型化された能動制御要素に接続された受動マイクロチャンバー、または受動チ
ャンバーの組み合わせにすることができる。タンパク質溶液は、このマイクロチ
ャンバーに自動的に分注される。それぞれのマイクロチャンバーのタンパク質結
晶成長条件は、少なくとも二つのマイクロチャンバーにおけるタンパク質結晶成
長条件が異なるように調整される。マイクロチャンバーでのタンパク質結晶成長
は、その後、結晶化の質的な量と形成された結晶の質とに基づいて分析される。
本発明の更なる目的、利点、及び特徴は、添付図面と併せて、以下の説明と前記
特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
本発明の方法は、好ましくはピコ、ナノ、又はメソスケールである最低限の体
積に含まれる最低限の量のタンパク質を利用して、タンパク質溶液中のタンパク
質結晶成長条件をスクリーニングすることに関する。本明細書で使用するピコ、
ナノ、及びメソスケールでは、好ましくは(平均して)ピコリットル(pl)又
はナノリットル(nl)単位の体積に含まれるピコグラム(pg)、ナノグラム
(ng)、又はマイクログラム(μg)単位の量のタンパク質を利用する。好ま
しくは、それぞれの試料内のタンパク質の量は約5μg未満である。更に好まし
くは、スクリーニング試料内のタンパク質の量は約1μg未満となる。一実施形
態において、スクリーニング試料内のタンパク質溶液の量は、好ましくは約0.
001nlないし約250nlであり、更に好ましくは約0.01nlないし約
10nlである。当業者は、任意の特定のタンパク質に関して実際に使用される
体積が、(制限なく)標的タンパク質及びそのタンパク質溶液の濃度の関数にな
ることを理解する。
【0009】
タンパク質溶液は、結晶化が望まれる1つ以上のタンパク質を含む。本明細書
での使用において、「タンパク質」という用語には、自然界に生じるか、合成さ
れた、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、及びタンパク質複合体がすべて含
まれる。好適な一実施形態において、溶液中のタンパク質の濃度は約0.1μg
/μlないし約50μg/μlであり、更に好ましくは約0.1μg/μlない
し約10μg/μlであり、更に好ましくは約0.1μg/μlないし約1.0
μg/μlである。別の好適な実施形態において、この溶液は約2.0ないし約
10.0のpHに緩衝され、更に好ましくは約3.0ないし約8.5のpHに緩
衝される。望まれるなら、このタンパク質溶液は、望まれるタンパク質濃度や条
件においてタンパク質の溶解を助ける薬剤を、オプションとして含んでもよい。
例えば、タンパク質が膜タンパク質である場合、このタンパク質溶液は、洗剤混
合物等の一つ以上の界面活性剤を、オプションとして含むことができる。好適な
一実施形態において、このタンパク質溶液は更に、結晶化を助ける構成要素を含
む。非限定的な例であるが、このタンパク質溶液は食塩水溶液、ポリエチレング
リコール、又はアルコールを含むだろう。こうした構成要素だけでなく、選択、
範囲、禁忌等が、当業者に広く知られている。例えば、出典を明記することによ
りその開示内容全体を本願明細書の一部とするGilliland,G.L.ら
、Acta Crystallogr. D50:408−413(1994)
、及びMcPherson,A.、Crystallization of B
iological Molecules、Cold Spring Harb
or Press、Cold Spring Harbor、NY、pp.48
7−524(1999)を参照されたい。
【0010】
このタンパク質溶液は、プラットフォームに分注される。このプラットフォー
ムは、非限定的な例として、スライドグラス、マルチウェルプレート、又はマイ
クロアレイにすることができる。この溶液は、好ましくはピコリットルあるいは
ナノリットルの精度を有する装置を使用して分注される。好ましくは、この分注
装置は、ピコリットルあるいはナノリットルのスケールで、少なくとも90%の
精度を有する。このタンパク質溶液は、例えば注射器を使用して、手動で分注す
ることができる。非常に好ましい実施形態では、このタンパク質溶液を分注する
ために自動分注装置が使用される。
【0011】
第二の溶液であるリザーバ即ち沈殿溶液が提供される。この沈殿溶液は、タン
パク質結晶化を引き起こすのを助ける溶液である。これは例えば、塩溶液、アル
コール、又はポリエチレングリコールを含むことができる。第二の溶液は、タン
パク質溶液の前、後、又は同時のいずれかに提供される。この沈殿溶液の体積は
通常、タンパク質溶液の体積と同じ又はそれより多い。第二の溶液の配置は、使
用される結晶化方法によるが、通常は第一の溶液と液体連通する状態となる。液
体連通は、液体−液体、液体−気体、又は気体−気体の伝達にすることができる
。一般には、液体連通のための通路が設けられる。通路は、本明細書において、
液体連通を発生させることが可能な空間として広く定義される。液体−液体拡散
方法では、タンパク質溶液と沈殿溶液とが互いに境界面で接触する。バッチ結晶
化においては、二種類の溶液が共に混合される。気体拡散結晶化が望ましい場合
、二種類の溶液は分離された状態となるが、溶液間での気体の拡散を可能にする
空間が設けられる。或いは、代替実施形態においては、単一のソース、即ち第二
の溶液のリザーバを利用することができる。さらに別の代替実施形態では、第二
の溶液のかわりに、乾燥ソース又は乾燥ガスリザーバを利用することができる。
こうした方法と特定の条件及びバリエーションは当業者に広く知られている。
【0012】
タンパク質結晶成長は、質的、量的、又はその両方のいずれかにおいて、定期
的にモニターされる。これは高解像度顕微鏡又は電子顕微鏡を使用した手動検査
により行うことができる。タンパク質結晶成長は、例えば、エッジ分析等に基づ
いて結晶成長を自動的に検出する高解像度光学手段により、自動的にモニターす
ることができるのが好ましい。望ましい結晶成長が試料で観察された場合、その
試料のタンパク質結晶成長条件をマクロスケールで再現し、更なる分析のために
タンパク質結晶を作成することができる。そうではなく、沈殿物あるいは透明な
試料が観察された場合、これらの条件は、更なるスクリーニングのために条件を
最適化するために用いられる。プラットフォームは、検出の方法に対して視覚的
に及び/又は光学的に透明な経路を少なくとも一つ利用する必要があると理解さ
れる。
【0013】
少なくとも一つの好適な実施形態において、タンパク質結晶成長をスクリーニ
ングするための本発明の方法では、複数のウェル即ちリザーバを有するマイクロ
アレイをプラットフォームとして利用する。マイクロアレイは、例えば、超小型
電気機械チップと同様に構築することができる。このマイクロアレイは、好まし
くは平坦な形状を有し、手動又は自動プレートグリッパに適合するサイズ及び厚
さである。このマイクロアレイは、様々な材料から、当業者に知られている様々
な手法により作ることができる。ウェル又はリザーバを含むマイクロアレイの材
料は、最低限しか吸水せず、他の点では溶液の構成要素との無反応性が十分であ
るのが好ましい。これは例えば、ラミネートとして実現されるか、或いは例えば
コーティングとして提供されることができる。或いは、予測可能な速度で水を吸
収する材料を使用してウェル即ちリザーバを構築することもできる。タンパク質
及び沈殿溶液の体積は、その後、材料による水の吸収を補うために調整すること
ができる。好適な材料には、ガラス、溶融シリコン、石英、シリコンウェーハー
、ポリマー、又はポリスルホンが含まれるが、それらに限らない。或いは、この
マイクロアレイは、マイクロアレイでの水の吸収を制限するために、ポリスルホ
ン等の疎水性材料によりコーティングされた材料により作ることができる。或い
は、このマイクロアレイは二種類以上の材料を含む。好ましくは、このマイクロ
アレイは、ウェルを作成することが可能なプラスチック、ガラス、シリコンゴム
、又はその他の材料に接合された薄いガラスプレートの底部を有し、少なくとも
一方の側部では、利用する検出手法を受け入れることが可能な光学経路を提供す
る。
【0014】
代替実施形態において、ウェルの表面は疎水性である。例えば、マイクロアレ
イの材料は、疎水性の表面を有することができる。或いは、ウェルの表面は、疎
水性コーティングでコートすることができる。ウェルの疎水性表面は必須ではな
いが、溶液の滴が広がるのを防止する。
【0015】
このマイクロアレイは、チップ表面上にミクロンサイズの多数のウェルを含む
。ウェルという用語には、ウェルや、マイクロチャンバーや、約0.001nl
ないし約500nl、好ましくは約0.01nlないし約20nlの望ましい体
積を保持又は維持するのに十分な任意の窪みが含まれる。このウェルは、表面上
で互いに間隔を空けている。マイクロアレイの表面上にあるウェルの正確な数は
変化させることが可能であり、表面上にあるウェルの合計数はユーザが選択する
問題である。
【0016】
それぞれのウェルは、タンパク質結晶を成長させるのに適した量のタンパク質
溶液を保持するのに十分な体積を有する。それぞれのウェルは。約0.001n
lないし約250nlの体積を保持するのが好ましく、0.01nlないし約1
0nlの体積を保持するのは、さらに好ましい。
【0017】
マイクロアレイのウェルは、フッ化水素等のエッチング物質を使用することに
より、或いはその他の既知のエッチング又は成形手法により作成される。
【0018】
ウェルは、圧力、ウェルの加熱又は冷却、ウェル内の湿度レベル等の条件を個
別又は集合的に制御する既知の手段と、ウェルに入れた材料を攪拌する既知の手
段とを含むことができる。
【0019】
一配置において、マイクロアレイのウェルは互いに接続されず、分離している
。代替配置において、マイクロアレイの隣接するウェルは、隣接するウェル間の
液体連通を提供する一本以上の通路により接続される(図1及び2DないしE)
。接続通路は、液体、気体、緩衝剤、或いは沈殿又は結晶化剤の通路を通じた移
動速度を制御することが可能な横断面の寸法及び長さを有するのが好ましい。一
実施形態においては、この通路の寸法を変化させることで、タンパク質結晶成長
条件を制御する。代替実施形態においては、タンパク質結晶成長条件は、ウェル
間の液体連通を制御するマイクロチャネルに材料を置くことで制御される。非限
定的な例は、膜、アクリルアミド、又はアガロースである。例えば、接続するマ
イクロチャネルは、約0.0001ないし約0.2ミクロンの幅で、約0.00
005ないし約0.1ミクロンの深さである。或いは、このマイクロチャネルは
、約0.0001ないし約2.0ミクロンの幅であり、約0.00005ないし
約0.5ミクロンの深さである。このマイクロチャネルは、既知のエッチング手
法によりマイクロアレイチップに形成される。
【0020】
マイクロチャネルにより接続されるマイクロアレイ10の二ウェルの例を図1
に示す。タンパク質溶液ウェル12は、マイクロチャネル16により、沈殿溶液
ウェル14に接続される。それぞれのウェルの寸法は、望ましい量の溶液を保持
するように設計され、同じ又は異なる寸法を有することができる。最初に、タン
パク質試料がウェル12に初期液体高さ18まで分注され、沈殿溶液はウェル1
4に液体高さ20で分注される。ウェル及びマイクロチャネルの最上部は、光学
的に透明なカバー22により密封される。気体拡散結晶化では、ウェル14の沈
殿溶液は、ウェル12のタンパク質溶液よりも低い蒸気圧を有し、ウェル12の
溶液高さが最終高さ24に達するまで、ウェル12からウェル14への溶媒の拡
散が生じる。ウェル12のタンパク質溶液の濃度により、タンパク質結晶形成が
促進される。
【0021】
このマイクロアレイは更に、外部ソースからマイクロアレイのウェルに液体又
はガスを伝達する既知の手段を含むことができる。例えば、ワトソン−マーロウ
社が製品名称「205U」として販売している外部機械式ポンプシステムを使用
することができる。このポンプシステムは、再現可能で、正確に制御された量の
液体又はガスを送出するマルチ通路カセットである。
【0022】
オプションとして、ウェル間及びマイクロチャネルを通じた液体又は気体の流
量を既知の方法で調整するために、ウェル及びマイクロチャネルにマイクロバル
ブが配置される。
【0023】
更に、ピコリットル及び/又はナノリットルの体積を正確に及び又は繰り返し
分注することが可能な自動分注メカニズムが設けられる。この自動分注メカニズ
ムは少なくとも約90%の精度を有するのが好ましい。この自動分注メカニズム
は、好ましくは圧電ベース又は高速ソレノイド分注メカニズムである。この分注
メカニズムが高速ソレノイド分注メカニズムであるのは、さらに好ましい。この
ディスペンサーは多数の平行な毛細管を有する。この毛細管は、タンパク質溶液
のソース、沈殿溶液のソース、及び緩衝溶液のソースと液体連通する状態にある
。分注は、溶液を含む毛細管内で圧力波を効率的に生成する超音波トランスデュ
ーサーにより作動させることができる。このディスペンサーは、コンピューター
プリンター用のインクジェットプリンターヘッドに類似しているが、液体は加熱
されないため、溶液にダメージは生じない。
【0024】
このタンパク質溶液は、約0.1μg/μlないし約50μg/μlの濃度の
タンパク質水溶液を含むのが好ましい。この濃度は約0.1μg/μlないし約
10μg/μlであるのが好ましく、約0.1μg/μlないし約1.0μg/
μlであれば更に好ましい。このタンパク質溶液は、膜タンパク質を結晶化させ
る時、洗剤混合物を含むのが好ましい。沈殿溶液は濃食塩水溶液又はポリエチレ
ングリコールを沈殿剤として含むのが好ましい。緩衝溶液は、約2ないし約10
のpHを有するのが好ましい。
【0025】
この自動分注メカニズムは、初期体積のタンパク質溶液、初期体積の沈殿溶液
、及び初期体積の緩衝溶液を、それぞれタンパク質溶液のソース、沈殿溶液のソ
ース、及び緩衝溶液のソースから、事前に選択されたマイクロアレイのウェル又
は接続通路に分注する。
【0026】
事前に選択されたマイクロアレイのウェル又は接続通路における初期体積のタ
ンパク質溶液、初期体積の沈殿溶液、及び初期体積の緩衝溶液の配置は、タンパ
ク質溶液中でのタンパク質の結晶化を引きおこすために利用する方法による。
【0027】
タンパク質溶液中でのタンパク質の結晶化をひきおこす好適な方法には、液体
−液体拡散、バッチ拡散、及び気体拡散が含まれる。
【0028】
液体−液体拡散方法において、初期体積のタンパク質溶液は、事前に選択され
たウェルの一セットに配置され、初期体積の沈殿溶液は、分離した又は異なるウ
ェルのセットに配置される。タンパク質溶液ウェルは、マイクロチャネルにより
沈殿溶液ウェルに接続される。初期体積の緩衝溶液は、マイクロチャネルに配置
することが可能であり、或いは初期体積のタンパク質溶液及び又は初期体積の沈
殿溶液に直接加えることができる。
【0029】
初期体積のタンパク質溶液、沈殿溶液、及び緩衝溶液の濃度、量、沈殿タイプ
、及びpHは、タンパク質溶液中のタンパク質結晶成長を決定する一次条件であ
る。初期溶液の準備、及び自動分注メカニズムの配置において、こうした条件及
び試料の配置は、事前に設計されたプログラムに応じて変化する。
【0030】
ウェルをマイクロチャンバーに変換し、マイクロチャネルを毛細管構造に変換
するために、マイクロアレイにカバープレートが付加される。このカバープレー
トは、マイクロアレイと同じ材料又は異なる材料で作ることが可能だが、カバー
プレート(或いはウェル又はチャンバーの一部)は、マイクロアレイのチャンバ
ー内でのタンパク質溶液の光学的分析が可能となるように透明でなければならな
い。好ましくは、このカバープレートは、ガラス、或いは光学透明テープ等の視
覚的又は光学的に透明な他の材料にする。
【0031】
或いは、溶液の蒸発を制限するために、マイクロアレイの周囲の環境を制御す
ることができる。例えば、温度及び湿度が制御された条件下では、試料を覆う必
要が生じない場合がある。選択されたマイクロチャンバー内の沈殿溶液中の結晶
化剤は、接続毛細管を介して、タンパク質溶液を含む選択されたマイクロチャン
バーへ拡散する。
【0032】
異なるチャンバーでのタンパク質結晶成長は、その後、広く知られたエッジ分
析に基づいて結晶成長を自動的に検出する、高解像度又はその他の光学手段によ
りモニターされる。或いは、タンパク質結晶成長は、高解像度顕微鏡又は電子顕
微鏡を使用した手動検査によりモニターすることができる。チャンバー内のタン
パク質結晶成長は、エッジ分析に基づいて結晶成長を自動的に検出する高解像度
光学手段によりモニターされるのが好ましい。
【0033】
一旦チャンバー内の結晶成長が検出されると、X線結晶解析により分析可能な
タンパク質結晶を作成するために、そのチャンバーでのタンパク質結晶成長条件
をマクロスケールで再現することができる。或いは、沈殿物や透明な試料が観察
された場合、こうした試料の条件を使用して、追加的なスクリーニングの条件を
最適化することができる。
【0034】
気体拡散方法においては、液体−液体拡散方法と同じく、初期体積のタンパク
質溶液は、事前に選択されたウェルの一セットに配置され、初期体積の沈殿溶液
は、事前に設計されたプログラムに基づいて、分離した又は異なるウェルのセッ
トに配置される(図2D−E)。タンパク質溶液ウェルは、マイクロチャネルに
より沈殿溶液ウェルに接続される。初期体積の緩衝溶液は、初期体積のタンパク
質溶液及び又は初期体積の沈殿溶液に追加される。或いは、タンパク質溶液及び
沈殿溶液は、この二種類の溶液が接触しないように同じウェル内に配置すること
ができる(図2A−C)。
【0035】
液体−液体拡散方法と同じく、結晶成長は、配置、濃度、量、沈殿タイプ、及
びpH条件が異なるウェル間で変わるような、事前に設計されたプログラムに従
い、異なるウェル間で様々に異なるようにする。
【0036】
液体−液体拡散方法と同じく、その後、マイクロアレイにはカバープレートが
かけられる。沈殿溶液の蒸気圧は、タンパク質溶液の蒸気圧よりも低い。これに
より、毛細管を介して沈殿溶液を含むマイクロチャンバーに接続されるマイクロ
チャンバー内のタンパク質溶液は蒸発し、過飽和となり、タンパク質の沈殿が発
生する。結晶成長は液体−液体拡散と同じようにモニターされる。
【0037】
或いは、タンパク質溶液がマイクロアレイのウェルに配置され、このマイクロ
アレイは沈殿溶液を有する単一のリザーバに晒される。この方法では、分注する
液体を少なくすることができるが、それぞれのタンパク質試料に関するタンパク
質成長条件の制御も少なくなる。
【0038】
バッチ方法においては、その体積のタンパク質溶液、その体積の沈殿溶液、及
びその体積の緩衝溶液は一緒に、マイクロアレイの個々のウェルに入れられる。
この方法では、チップはウェル間の接続通路を有しない。
【0039】
液体−液体拡散及び気体拡散方法と同じく、結晶成長は、配置、濃度、量、沈
殿タイプ、及びpH条件が異なるウェル間で変わるような、事前に設計されたプ
ログラムに従い、異なるウェル間で様々に異なるようにする。
【0040】
液体−液体拡散及び気体拡散方法と同じく、マイクロアレイにカバープレート
が付加され、その後、結晶成長がモニターされる。
【0041】
望まれるなら、上で説明した外部機械式ポンプシステムにより、再現可能で正
確に制御された量の液体又は気体を外部ソースからマイクロチャンバーに送出す
ることも可能である。ガスは、標準的なガラスボトル又はタンクにより生成され
た圧力により送出することもできる。マイクロチャンバーに送出される液体又は
ガスは、マイクロバルブにより調整することができる。この液体又はガスは、マ
イクロチャンバーの結晶成長条件を更に変化させ、成長するタンパク質結晶のサ
イズを増加させるために使用することができる。こうしたタンパク質結晶は、そ
の後回収され、X線結晶解析又は核磁気分光法その他の適切な手法により検査す
ることができる。
【0042】
今や本発明の利点は明らかである。本発明は、ナノ又はメソスケールでのタン
パク質結晶成長条件をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、ミリグ
ラムの量で発現させることができないタンパク質及びさらに多量に発現させるこ
とができないタンパク質に関するタンパク質結晶成長条件をスクリーニングする
手段を提供する。更に、本発明では、必要とされるタンパク質がかなり減少する
ため、タンパク質結晶成長条件のスクリーニングに関連するコストが削減される

【0043】
また、結晶成長条件をスクリーニングする装置も提供される。この装置は、タ
ンパク質及び沈殿溶液用のマイクロアレイと、この溶液を分注する自動分注メカ
ニズムと、結晶成長を分析する自動手段とを備える。
【0044】
望まれる溶液、つまり、タンパク質、沈殿、及び緩衝溶液は、自動分注メカニ
ズムにより、事前に設定されたピコリットル又はナノリットル単位の体積で、マ
イクロアレイに自動的に分注されるのが好ましい。自動分注メカニズムは、別個
の滴下により分注を行うのが好ましい。緩衝のタイプ及びpHといったスクリー
ニング条件は、自動ディスペンサーをプログラムすることで、サンプル毎に変化
させることができる。例えば、異なるpH値を有する様々なストック溶液から異
なる滴下数を使用して、適切な比率で混合することにより、pHを変化させた任
意のスクリーニングをプログラムすることができる。その後、0.2ないし0.
5pH単位のステップにおいて、2.0ないし10.0の範囲のpHがスクリー
ニングされる。結晶化剤及び塩濃度といったその他の条件も、同様の方法で制御
される。
【0045】
試薬の混合は、分注前、或いは溶液のマイクロアレイへの分注後に行うことが
できる。マイクロアレイでの混合は、例えば、超音波混合、ピコリットル滴下の
高速分注、急速な温度の変動、又は静的拡散により、達成することができる。
【0046】
混合後、ウェル内の微環境を制御し、溶液の蒸発による乾燥を防ぐために、マ
イクロアレイのウェルは密封されるのが好ましい。ウェルは光学透明テープで密
封されるのは、更に好ましい。マイクロアレイを密封するのに、YZ横断メカニ
ズムに取り付けられたアームが関与する。X方向は、プレート運搬方向に沿った
方向である。このアームは、透明テープのロールを保持し、列の最後のウェルを
超えて移動し、下降して正の垂直(Z軸線)圧力を形成し、その後、同時にテー
プロールを回転させながら、負のY方向に戻り始める。テープがプレート領域を
離れると、ギロチンメカニズムがテープを剪断する。その後、プレートは次の番
号の付いた列までX方向に移動し、分注プロセスは再び初期化する。自動テーピ
ングは多くの産業において高い信頼性で実行されている。
【0047】
様々なウェルでのタンパク質結晶成長は、広く知られているエッジ分析に基づ
いて結晶成長を自動的に検出する高解像度光学手段によりモニターされる。こう
した画像取得システムは市販されている。
【0048】
本発明の前記その他の態様は、以下の例との関係において良く理解することが
可能であり、この例は例示の目的で提示されるものであり、制限を目的としては
いない。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
気体拡散、バッチ、及び液体拡散結晶化スクリーニングのためにナノリットル
単位のタンパク質小滴を使用した。リゾチーム、タウマチン、又はNADシンテ
ターゼのいずれかであるタンパク質溶液は、5マイクロリットルハミルトン注射
器を使用して加えた。小滴が実験チャンバーを完全に濡らす状態とするために、
ハミルトン注射器の先端部は、それぞれの実験チャンバーの壁に接触させて配置
した。5ないし20ナノリットルの範囲である体積のタンパク質溶液小滴と、1
00ないし200ナノリットルの沈殿体積とを入れるために、様々なマイクロア
レイを設計した。アレイのプロトタイプ作成は、様々な厚さ(0.1mm、0.
5mm)のネオプレーンガスケットにより恒久的に密封されたマイクロスコープ
スライドを使用して成された。すべての溶液をマイクロスコープスライド内の個
々の実験チャンバーに加えた後、ガスケットの最上部にガラスカバースライドを
置くことにより、この実験器具を(油又はグリースにより)密封した。図3は、
60チャンバーアレイのプロトタイプ(ガスケットの厚さ=0.1mm)の代表
的な設計の写真であり、図4は、同様のマイクロアレイスライドを使用して10
ナノリットルタンパク質小滴に成長した結晶の写真である。
【0050】
6×10の実験アレイにおいて結晶化溶液を準備するために、カーテシアンロ
ボット分注システムを使用した。5ナノリットルのタンパク質と5ナノリットル
の沈殿剤とを実験チャンバー(図3)の一つの窪みにおいて一つの混成小滴とし
て分注し、50ナノリットルの沈殿剤と50ナノリットルの緩衝剤とを、接続さ
れた窪みにおいて一つの小滴に混成した。したがって、それぞれの実験に関して
四種類の溶液を分注し、6×10のアレイ全体において合計すると6×10×4
=240となった。カーテシアンの機器では、このすべての溶液を20分未満で
分注することができた。使用したすべての外的条件は、試験される特定のタンパ
ク質に関して既知の結晶化条件にした。この実験器具は手動により密封し、22
℃で一日間培養した。結晶は小滴の70%で観察された。理論により拘束される
ことは望まないが、30%のウェルにおいて結晶が観察できなかったのは、タン
パク質及び沈殿剤の5ナノリットル滴の分注が不正確で、圧電先端部がこれらの
滴を同じ位置に置かなかったためと考えられる。
【0051】
本発明の上述した説明から、当業者は改良、変更、及び変形を理解し得よう。
その技術力の範囲にあるこうした改良、変更、及び変形は、前記特許請求の範囲
により包含されるものである。
【0052】
本発明の様々な利点は、明細書及び前記特許請求の範囲を読み且つ以下の添付
図面を参照することにより、当業者にとって明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】マイクロアレイでの二ウェル設計を例示する図である。
【図2A】一ウェル設計におけるタンパク質及び沈殿溶液の配置を示す平面図である。
【図2B】一ウェル設計におけるタンパク質及び沈殿溶液の配置を示す側面図である。
【図2C】一ウェル設計におけるタンパク質及び沈殿溶液の別の配置を示す側面図である。
【図2D】二ウェルにおけるタンパク質及び沈殿溶液の配置を示す側面図である。
【図2E】二ウェル設計におけるタンパク質及び沈殿溶液の配置を示す平面図である。
【図3】マイクロアレイを示す写真である。
【図4】ナノリットル単位の体積に含まれるナノグラム単位の量のタンパク質により得られたタンパク質結晶の写真である。
【符号の説明】
【0054】
10 マイクロアレイ
12 タンパク質溶液ウェル
14 沈殿溶液ウェル
16 マイクロチャネル
18 初期液体高さ
20 液体高さ
22 光学透明カバー
24 最終高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピコグラム、ナノグラム、又はマイクログラムまでの量のタンパク質を利用してタンパク質結晶成長条件をスクリーニングする方法であって、
中に複数のウェルを持つマイクロアレイを提供するステップと、
約0.001nlないし約250nlの体積のタンパク質溶液を前記ウェルに正確に分注するステップと、
少なくとも二つの前記マイクロチャンバーにおけるタンパク質結晶成長条件が異なるものとなるように前記ウェルそれぞれのタンパク質結晶成長条件を制御するステップと、
前記ウェルにおけるタンパク質結晶成長又はタンパク質沈殿を観察するステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−308607(P2006−308607A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211501(P2006−211501)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【分割の表示】特願2000−609786(P2000−609786)の分割
【原出願日】平成12年4月5日(2000.4.5)
【出願人】(501394457)ザ ユーエービー リサーチ ファウンデイション (1)
【Fターム(参考)】