説明

溶着機、包装体製造装置及び包装体製造方法

【課題】ホーンの構造を簡素にしつつ必要な溶着強度を確保した溶着機、包装体製造装置及び包装体製造方法を提供すること。
【解決手段】溶着機1は、ホーン2とアンビル5とを備える。被溶着物Fjの溶着は、小片フィルムFp内で線状に1本が延びる一本溶着線と、一本溶着線から遠ざかるにつれて広がりながら延びる2本の溶着線で形成された非平行溶着線とを含んで行われる。ホーン2の発振面2Fは、一本溶着線に対応する形状の一本面2aと、非平行溶着線に対応する形状を包含しこれよりも広い周囲面2bとを含み、一本面2aと周囲面2bとの間に溝2gが形成されている。アンビル5の受面5Fは、非平行溶着線に対応する形状の非平行面5bと、一本溶着線に対応する形状を包含しこれよりも広い中央面5aとを含んで形成されている。包装体製造装置は、溶着機1と、筒状フィルム形成機と、充填機と、結紮機とを備え、包装体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶着機、包装体製造装置及び包装体製造方法に関し、特にロケット包装された包装体に該包装の開封を容易かつきれいに行うことができる開封片を取り付けるのに好適な溶着機、この溶着機を備える包装体製造装置及び包装体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーセージやプロセスチーズに代表される加工食品が密封された包装体は、一般に、筒状に形成されたフィルムに内容物が充填され、両端が結紮されて製造されている。このようなロケット包装体のフィルムの開封を容易にするために、小さなフィルムで形成された開封片の一部を包装フィルムに溶着したものが公知である。この包装体は、開封片をつまんでめくると溶着部分あるいはその境目又はその脇が起点となって包装フィルムが破壊されるものである。開封片が包装フィルムから離れる方向にカールするのを防ぐ観点から、任意の溶着線に対応した突部が形成されたアンビルと、超音波ホーンとで、包装フィルムと開封片とを挟持して溶着接合することにより、包装フィルムへの開封片の溶着の態様を様々に工夫した技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−87671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の様々な溶着の態様はあくまでも開封片が包装フィルムから離れる方向にカールするのを防ぐ観点からなされたものであるため実際に開封を試みた場合に上手く開封できない場合があった。また、アンビルの方に溶着線に対応した突部が形成された上述の構成のホーン及びアンビルでは、超音波を発振するために一体成形されるため比較的高価なホーンの構成を簡素にできるという利点はあるものの、包装フィルムを破壊できる程度の強さに開封片が溶着できていない場合もあった。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、ホーンの構造を簡素にしつつ必要な溶着強度を確保した溶着機、この溶着機を備える包装体製造装置及び包装体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る溶着機は、例えば図1、図2に示すように、合成樹脂製の主フィルムFbと、合成樹脂製の小片フィルムFpとが重ねられた被溶着物Fjに超音波エネルギーを与え、主フィルムFbと小片フィルムFpとを溶着する溶着機1であって;被溶着物Fjに超音波エネルギーを伝達するホーン2と;被溶着物Fjをホーン2との間で挟み、ホーン2の押圧力を受けるアンビル5とを備え;主フィルムFbと小片フィルムFpとの溶着が、小片フィルムFp内で線状に1本が延びる一本溶着線La(図2参照)と、一本溶着線Laから遠ざかるにつれて広がりながら延びる2本の溶着線で形成された非平行溶着線Lbと、を含んで行われるように、ホーン2及びアンビル5が構成され;ホーン2のアンビル5に対向する発振面2Fが、一本溶着線Laに対応する形状に形成された一本面2aと、非平行溶着線Lbに対応する形状を包含して非平行溶着線Lbに対応する形状よりも広い周囲面2bとを含み、一本面2aと周囲面2bとの間に溝2gが形成され;アンビル5のホーン2に対向する受面5Fが、非平行溶着線Lbに対応する形状に形成された非平行面5bと、一本溶着線Laに対応する形状を包含して一本溶着線Laに対応する形状よりも広い中央面5aとを含んで形成されている。
【0007】
このように構成すると、ホーンの発振面に形成されている一本面に超音波エネルギーを集めることができると共に一本面で溶着されて押しのけられた合成樹脂が溝に移動するため一本面に押圧された被溶着物の部分が同じ状態に保たれて一本溶着線を比較的強く溶着することができ、比較的複雑な形状の非平行面をアンビルの受面に形成することでホーンの発振面をシンプルな形状にすることができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る溶着機は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る溶着機1において、一本面2a及び溝2gが、発振面2Fの基準点Psを通り互いに直交する横軸線Xa及び縦軸線Yaのそれぞれに対して線対称に形成されている。
【0009】
このように構成すると、ホーンの発振面の形状をシンプルに維持しつつ、一本面の両端から発振される超音波エネルギーの強さに差がつくことを抑制することができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る溶着機は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る溶着機1において、発振面2Fは、溝2gの外周2gpが菱形に形成され、一本面2aが溝2gの外周2gpを形成する菱形の一方の対角線上に形成されて構成されている。
【0011】
このように構成すると、ホーンの周囲面から発振される超音波の不均一さを低減することができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る包装体製造装置は、例えば図3に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る溶着機1と;帯状に形成されている主フィルムFbに小片フィルムFpが溶着された小片付帯状フィルムFsを、帯状の長手方向に延びる両側部が重なるように筒状に巻き、重なった両側部を接合して、筒状フィルムFtを形成する筒状フィルム形成機10と;筒状フィルムFtに内容物Cを充填する充填機30と;内容物Cが充填された筒状フィルムFtの両端を結紮する結紮機70とを備える。
【0013】
このように構成すると、小片フィルムを開封片とした、開封しやすい包装体を得ることができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る包装体製造方法は、例えば図3を参照して示すと、上記本発明の第4の態様に係る包装体製造装置100を用いて包装体Rを製造する方法であって;帯状の主フィルムFbに対し、矩形に形成された小片フィルムFpを、小片付帯状フィルムFsを筒状に巻いた際に重なった両側部の裏側に小片フィルムFpがくる位置に重ね、溶着機1で被溶着物Fjを溶着する小片溶着工程と;筒状フィルム形成機10で筒状フィルムFtを形成する筒状フィルム形成工程と;充填機30で筒状フィルムFtに内容物Cを充填する充填工程と;結紮機70で内容物Cが充填された筒状フィルムFtの両端を結紮する結紮工程とを備える。
【0015】
このように構成すると、小片フィルムを開封片とした、開封しやすい包装体を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ホーンの発振面に形成されている一本面に超音波エネルギーを集めることができると共に一本面で溶着されて押しのけられた合成樹脂が溝に移動するため一本面に押圧された被溶着物の部分が同じ状態に保たれて一本溶着線を比較的強く溶着することができ、比較的複雑な形状の非平行面をアンビルの受面に形成することでホーンの発振面をシンプルな形状にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る溶着機を説明する図である。(a)は溶着機の概略構成を示す側面図、(b)はホーンの発振面の平面図、(c)はアンビルの受面の平面図である。
【図2】包装体の開封片の溶着状態を示す部分拡大図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る包装体製造装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0019】
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る溶着機1の構成を説明する。図1は、溶着機1を説明する図であり、(a)は溶着機1の概略構成を示す側面図、(b)はホーン2の発振面2Fの平面図、(c)はアンビル5の受面5Fの平面図である。溶着機1は、図2に示す形状の溶着線Lをもって2つの部材Fb、Fpを溶着する構成となっている。溶着機1は、典型的には、図3に示す包装体製造装置100に組み込まれて用いられる。
【0020】
溶着機(welding device)1は、被溶着物Fjに超音波エネルギーを伝達するホーン(horn)2と、ホーン2の押圧力を受けるアンビル(anvil)5とを備えている。被溶着物Fjは、合成樹脂製の主フィルムとしての帯状フィルムFbと、合成樹脂製の小片フィルムとしての開封片Fpとが重ねられたものである。被溶着物Fjは、ホーン2の発振面2Fとアンビル5の受面5Fとに挟圧されて溶着される。
【0021】
ここで図2を参照して、帯状フィルムFbと開封片Fpとの溶着状態を説明する。図2は、包装体Rにおける開封片Fpの溶着状態を示す部分拡大図である。包装体Rは、ソーセージやプロセスチーズ等の内容物Cが所定量ごとにロケット包装されて製造されたものである。包装体Rは、筒状フィルムFtに内容物Cが充填された後に両端が集束・結紮されて製造されている。筒状フィルムFtは、開封片Fpが溶着された帯状フィルムFbを、帯状の長手方向に延びる両側部が重なるように円筒状に巻き、重なった両側部を接合して形成されている。帯状フィルムFbの両側部の重ね方は、異なる面を接触させる封筒貼り及び同一面同士を接触させる合掌貼りのいずれでもよい。開封片Fpは、包装体Rの開封の容易のために取り付けられている。開封片Fpは、本実施の形態では、筒状フィルムFtの軸直角断面の円の周長の約1/3程度の長さに長手方向が形成された長方形で、開封片Fpの長手方向と帯状フィルムFbの長手方向とが直交して重ねられたうえで、溶着線Lにより帯状フィルムFbに取り付けられている。開封片Fpは、包装体Rとなったときに、結紮されている一方の端部Reに近くの、集束によって帯状フィルムFbが皺にならない位置に取り付けられている。
【0022】
溶着線Lは、1本の溶着線で形成された一本溶着線Laと、2本の溶着線で形成された非平行溶着線Lbとからなっている。溶着線Lを形成する「線」は、典型的には、長さの幅に対する比(長さ/幅)が1を超えている。一本溶着線Laは、帯状フィルムFbの長手方向に対して直交する方向(開封片Fpの長手方向に平行)に直線状に延びている。一本溶着線Laは、その長さが、開封片Fpの長さ(長手方向の距離)よりも短く、例えば開封片Fpの長さの0.4〜0.8倍、好ましくは0.5〜0.6倍、典型的には0.55倍に形成されており、開封片Fpの幅方向(長手方向に直交する方向)の中央に形成されている。一本溶着線Laは、開封片Fpをめくったときに一本溶着線Laの端部Laeから帯状フィルムFbが破壊されるように形成されているのが好適であり、典型的には直線状であるが、曲線状であってもよい。しかしながら、後に詳述するホーン2の構成を簡素化する観点から、一本溶着線Laは直線状であることが好ましい。非平行溶着線Lbは、一本溶着線Laよりも結紮端部Re側に形成されており、一本溶着線Laから遠ざかるにつれて2本の溶着線の間隔が広がるように延びて、それぞれの溶着線の結紮端部Re側の端部Lbfが開封片Fpの角に達している。非平行溶着線Lbの、一本溶着線La側の端部Lbnは、開封片Fpの幅方向が開封片Fpの結紮端部Re側の辺である端部側辺Fpeと一本溶着線Laとの略中央に、開封片Fpの長手方向が一本溶着線Laの端部Laeと略同じ所に位置している。
【0023】
再び図1に戻って溶着機1の説明を続ける。以下の説明において、被溶着物Fj及び溶着線Lに言及しているときは適宜図2を参照することとする。ホーン2は、超音波縦振動を増強させるのに適した略柱状(本実施の形態では略四角柱状)に一体で形成されており、柱状の一方の端面に発振面2Fが形成されている。ホーン2の発振面2Fの反対側の端面2Gには、超音波振動を発生させる振動子(oscillator)3が取り付けられている。ホーン2は、溶着による摩耗を小さくする観点からチタン合金で形成されていると好適である。本実施の形態における振動子3は、ランジュバン型振動子が用いられているが、被溶着物Fjを適切に溶着することができれば他の振動子を用いてもよい。
【0024】
図1(b)に示すように、発振面2Fは、平らな面に当該面よりも窪んだ溝2gが形成されることにより、一本面2aと周囲面2bとが現れるように構成されている。このように構成されていることで、発振面2Fをある平面に接触させたときに、一本面2aと周囲面2bとが当該平面に接触し、溝2gの部分が当該平面に接触しないようになっている。周囲面2bの外縁は、開封片Fpを包含する大きさの矩形(本実施の形態では長方形)に形成されている。一本面2aは、一本溶着線Laに対応する形状に、換言すればアンビル5と協働して被溶着物Fjを挟圧溶着したときに一本溶着線Laが形成される形状に、形成されている。このように、一本面2aは、一本溶着線Laを形成することができる接触面積を有している。一本面2aは、発振面2Fの長手方向に延びるような向きで、発振面2Fの略中央に形成されている。溝2gは、一本面2aを取り囲んで形成されており、その外縁である溝外縁2gpが菱形に形成されている。溝外縁2gpの菱形の2つの対角線の交点に一本面2aの図心が位置しており、菱形の長い方の対角線(以下「長対角線」という。)に沿って一本面2aが形成されている。一本面2aは、長対角線よりも短く形成されており、換言すれば溝外縁2gpに接しない位置(長対角線の両端を除いた一部の上)に形成されている。溝外縁2gpは、周囲面2bの内側の境界になっている。溝外縁2gpを形成する菱形の図心は、周囲面2bの外周を形成する矩形の図心と一致するように構成されている。周囲面2bは、被溶着物Fjに溶着線Lが形成されたときに、非平行溶着線Lbを包含する位置及び面積に形成されている。換言すれば、被溶着物Fjを溶着した際に、溝外縁2gpよりも外側かつ周囲面2bの矩形外縁の内側に非平行溶着線Lbが形成され、周囲面2bの面積が非平行溶着線Lbの面積よりも大きく形成されている。溝外縁2gpが菱形に形成されていることで、非平行溶着線Lbの配置の自由度を大きくすることができる。このように、本実施の形態では、一本面2a及び溝2gが、発振面2Fの基準点Ps(任意)を通り互いに直交する横軸線Xa及び縦軸線Yaのそれぞれに対して線対称に形成されている。ここで、横軸線Xa及び縦軸線Yaは、発振面2Fの説明のために便宜上用いた仮想線である。一本面2a及び溝外縁2gpの図心は基準点Psと一致しており、溝外縁2gpを形成する菱形のそれぞれの対角線は横軸線Xa及び縦軸線Ya上に位置している。ホーン2は、超音波振動の累積が長時間に及ぶと先端に機械的な摩耗を受けることがあるが、本実施の形態では、一本面2aを直線状に形成し、溝外縁2gpを菱形に形成しており、発振面2Fが比較的簡素な構成であるため、交換用のホーン2の製造が容易になって有利である。
【0025】
図1(a)に示すように、アンビル5は、平面形状が矩形の板状に形成されており、一方の端面である受面5Fが表面に現れるように、アンビルホルダ(anvil holder)6に嵌め込まれて支持されている。アンビル5は、ホーン2と同様に、溶着による摩耗を小さくする観点からチタン合金で形成されていると好適である。アンビル5は、その受面5Fがホーン2の発振面2Fに対向する位置に配設されている。また、ホーン2及びアンビル5は、発振面2Fと受面5Fとが相対的に接近し離れる移動ができるように構成されている。本実施の形態では、アンビル5が固定され、ホーン2がアンビル5に対して接近及び離れる往復動ができるように構成されている。
【0026】
図1(c)に示すように、受面5Fは、中央面5aと非平行面5bとが残るようにこれらの周囲が削り取られて形成されている。このように構成されていることで、受面5Fをある平面に接触させたときに、中央面5aと非平行面5bとが当該平面に接触し、これ以外の部分が当該平面に接触しないようになっている。中央面5aは、受面5Fと発振面2Fとを接触させたときに、一本面2aを包含する位置及び大きさに形成されている。中央面5aの平面形状は、本実施の形態では、ベースとなる形状を長方形として、受面5Fと発振面2Fとを接触させたときに溝外縁2gp(図1(c)中では仮想線(二点鎖線)で表示)の内部に中央面5aが収まるように角部が除去された変則的な八角形に形成されている。中央面5aには、帯状フィルムFbに溶着される前の開封片Fpを吸引保持する吸引孔5ahが複数形成されている。吸引孔5ahは、受面5Fと発振面2Fとを接触させたときに一本面2aの圧力を受けない位置(一本面2aと対向しない位置)に形成されている。非平行面5bは、非平行溶着線Lbに対応する形状に、換言すればホーン2と協働して被溶着物Fjを挟圧溶着したときに非平行溶着線Lbが形成される形状に、形成されている。非平行面5bは、受面5Fと発振面2Fとを接触させたときに溝外縁2gpの外側で周囲面2bに包含される位置に形成されている。
【0027】
次に図3を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る包装体製造装置100の構成を説明する。図3は、包装体製造装置100の概略構成図である。以下の説明において言及する溶着機1の詳細な構成及び溶着線Lについては、適宜図1及び図2を参照することとする。包装体製造装置(packaging apparatus)100は、上述した溶着機1と、帯状フィルムFbに開封片Fpが溶着された小片付帯状フィルムとしての小片付フィルムFsを筒状フィルムFtに形成する筒状フィルム形成機としての筒状形成機(tube forming device)10と、筒状フィルムFtに内容物Cを充填する充填機(feeding device)30と、筒状フィルムFtに充填された内容物Cを所定量ごとに分離するしごき装置(wringer)40と、内容物Cが分離された部分の筒状フィルムFtに密封のための溶着をする横接合装置(horizontal sealing device)61と、内容物Cが充填された筒状フィルムFtの両端を結紮する結紮機としての集束接合装置(bundling ligating device)70と、連続して製造された包装体Rを個別に分離するために適所のフィルムを切断する切断装置(cutting device)としてのカッター81とを備えている。図3の紙面上の上下は実際の鉛直方向の上下に対応し、小片付フィルムFsは図中、上から下に流れるように走行する。すなわち、上が充填包装作業における小片付フィルムFsの走行方向の上流側、下が走行方向の下流側となる。
【0028】
帯状フィルムFbは、その幅が、製造される包装体Rの軸直角断面における円周の長さよりも両側部が重なる分(筒状フィルムFtを形成するために重なる分)だけ長く形成されている。帯状フィルムFbの材質は、加熱溶着させるため塩化ビニリデン系樹脂とするのが好ましく、他のオレフィン系樹脂でもよい。開封片Fpの材質も、帯状フィルムFbの材質と同様に、塩化ビニリデン系樹脂とするのが好ましく、他のオレフィン系樹脂でもよい。帯状フィルムFbと開封片Fpとは、同じ材質であっても異なる材質であってもよい。ここで、塩化ビニリデン系樹脂としては、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体が好適である。帯状フィルムFbは、ロール状に巻かれ、原反21として回転自在に(帯状フィルムFbを引き出すことができるように)支持されている。開封片Fpは、溶着機1に隣接したカッター8で切断されて形成されるものであり、カッター8による切断前はロール状に巻かれて原反25として回転自在に(引き出すことができるように)支持されている。
【0029】
帯状フィルムFbの原反21と溶着機1との間には、原反21から引き出された帯状フィルムFbを溶着機1に導くガイドローラ22A、22B、22Cが設けられている。開封片Fpの原反25と溶着機1との間には、原反25から引き出された開封片Fpを溶着機1に導くガイドローラ26A、26B、26C、26Dが設けられている。帯状フィルムFbを案内するガイドローラ22A、・・・及び開封片Fpを案内するガイドローラ26A、・・・の数は、それぞれ原反21、25の設置位置やフィルムの張力等に応じて、適宜増減させてもよい。
【0030】
溶着機1は、ホーン2が上方に、アンビル5がホーン2の鉛直下方に位置するように配設されている。ホーン2及びアンビル5が設置される向きは、発振面2Fが帯状フィルムFbの面に対向し且つ一本面2aの長手方向が帯状フィルムFbの流れ方向に直交する向きにホーン2が設置され、ホーン2と協働して被溶着物Fjに溶着線Lを与えることができる向きにアンビル5が設置されている。カッター8は、溶着機1に対して帯状フィルムFbの流れ方向上流側に隣接して設けられている。また、溶着機1及びカッター8は、帯状フィルムFb及び開封片Fpの送り速度に同期して移動しながら溶着を行い溶着後に再び溶着の初動作に戻る拝み運動(ボックスモーションともいう)をする移動手段(不図示)に取り付けられている。溶着機1へ、帯状フィルムFbがホーン2側に、開封片Fpがアンビル5側に(本実施の形態では帯状フィルムFbが上で開封片Fpがその下に)供給されるように、原反21、25及びガイドローラ22A、・・・、26A、・・・が配置されている。溶着機1と筒状形成機10との間には、溶着機1でできた小片付フィルムFsを筒状形成機10に導くガイドローラ29A、29B、29Cが設けられている。ガイドローラ29A、・・・の数は、溶着機1の設置位置や小片付フィルムFsの張力等に応じて、適宜増減させてもよい。
【0031】
筒状形成機10は、小片付フィルムFsを円筒状に巻く機構のフォーミングプレート(forming plate)11及び案内筒(guide tube)12と、小片付フィルムFsが筒状に巻かれて重ねられた両側部を接合する縦接合装置(vertical sealing device)13とを有している。フォーミングプレート11は、上下に開口する円筒形状を有している。また、周方向の一箇所で縦方向に延びる円周方向の隙間をもっている。フォーミングプレート11の上端縁は湾曲傾斜しており、小片付フィルムFsは、開封片Fpを外側にしてその内面に沿うように案内されることにより側縁部で重ね合わせられて筒状に巻かれる。案内筒12は、円筒状の部材であり、筒状に巻かれた小片付フィルムFsの内部に位置するように(換言すれば、筒状に巻かれた小片付フィルムFsが案内筒12を取り囲むように)、フォーミングプレート11内から下方に延びるように配設されている。縦接合装置13は案内筒12の脇に配設されており、縦接合装置13と案内筒12とで小片付フィルムFsの重ねられた両側部を挟圧して溶着することにより、小片付フィルムFsの両側部を縦接合して筒状フィルムFtを形成するように構成されている。縦接合装置13による溶着手段は超音波加熱溶着が好適であるが、これ以外にも抵抗加熱溶着、高周波誘電加熱溶着、レーザー加熱溶着、溶融樹脂滴吹付溶着、その他種々の溶着手段を用いることができる。
【0032】
充填機30は、形成された筒状フィルムFtに内容物Cを充填するポンプ31とノズル32とを有している。ノズル32は、フォーミングプレート11の上方に設置されたポンプ31に接続され、先端が案内筒12内へ導入されている。ノズル32の先端は、縦接合装置13より下流側で開口している。なお、ポンプ31は、フォーミングプレート11の上方ではなく、内容物Cを適宜補充しやすい他の位置に設置し、配管によりノズル32と連接されていてもよい。特に、練状食品のように比較的重量のある内容物Cを充填する場合には、地上に設置された容器に貯留された練状食品を、ポンプによりノズル32の位置に圧送して供給するのがよい。案内筒12及びノズル32の下流側に、送り装置である送りローラ14が設けられている。送りローラ14では、筒状フィルムFt内に内容物Cが充填された状態の筒状体15aを、一対の円柱状の送りローラ14が内容物Cを押圧した状態で筒状体15aを下方へ連続して狭圧搬送する。筒状体15aが送りローラ14で下方へ搬送されるのに伴って、原反21から帯状フィルムFbが引き出され、原反25から開封片Fpが引き出されるように構成されている。
【0033】
しごき装置40は、送りローラ14の下流側に設けられている。しごき装置40のしごきローラ41は、図3において紙面に垂直方向に延びる筒状外面を有し、その直角方向の長さは少なくとも折り幅よりも長いものであり、腕体42により支持されている。なお、「折り幅」とは筒状体15aを扁平にしたときの幅、言い換えれば筒状体15aの円周長の半分の長さをいう。腕体42はその一端42aを中心に揺動可能で、中間部でピン等を介して横部材43が接続されている。一対の横部材43が近接方向に移動すると、一対のしごきローラ41により筒状体15aは挟圧される。横部材43が離間方向へ後退すると、しごきローラ41は筒状体15aを挟圧することはなくなる。このように、走行する筒状体15aに走行方向で所定の距離だけ離れて内容物Cの不在部15bを形成する。しごき装置40は、筒状体15aに内容物Cの不在部15bを扁平に形成できればよく、ローラに限られず、例えば、平らな部材で筒状体15aを両側から押しつぶし、内容物を上下に振り分けるようなものであってもよい。このような押しつぶしも、ここでいう「しごき」の概念に含まれるものとする。
【0034】
横接合装置61は、しごき装置40の下流側に設けられている。横接合装置61は、一次シールを行う装置であり、不在部15bの面の両側で互いに対向する超音波ホーン62とアンビル63を有している。アンビル63の、超音波ホーン62に対向する対向面は平坦である。一方、超音波ホーン62は、不在部15bの幅方向に延びる2つの平行な突起部62aを有している。このように構成された超音波ホーン62とアンビル63とは互いに近接し、超音波ホーンの2つの突起部62aがアンビル63の対向面との間で不在部15bを挟圧すると共に、超音波ホーン62が超音波エネルギーを放出することにより、不在部15bに2つの位置X1、X2で線状の一次シールを施す。超音波ホーン62とアンビル63との対向面の形状は、上記に限られず、例えば、超音波ホーン62の対向面62aもアンビル63の対向面と同様に平坦な形状として、略不在部15bの長さと同等な幅の帯状の一次シールを施してもよい。なお、溶着手段としては超音波加熱溶着が好適であるが、これ以外にも抵抗加熱溶着、高周波誘電加熱溶着、レーザー加熱溶着、溶融樹脂滴吹付溶着、その他種々の溶着手段を用いてもよい。
【0035】
集束接合装置70は、横接合装置61の下流側に設けられている。集束接合装置70は、集束板72、73を有する集束装置と、超音波ホーン77とアンビル78とを有する二次シール装置とを含んで構成されている。図3では、横接合装置61と集束接合装置70とが同じ向きに記載されているが、実際は集束接合装置70は横接合装置61と直交する向き(図3の紙面に垂直方向)に配置される。超音波ホーン77及びアンビル78は、下方に連続搬送される筒状体15a及び不在部15bを挟むように対向して配設されている。超音波ホーン77は、上下に、超音波ホーン62の2つの突起部62aよりも狭い間隔を空けて2つの突起部77aが形成されている。超音波ホーン77は、その上下が集束板72で挟まれている。アンビル78は、その上下が集束板73で挟まれている。集束板72、73の組及び超音波ホーン77とアンビル78との組は、それぞれの組同士で互いに近接し次いで離れる往復動を、両組同時に又は別個に行うように構成されている。集束板72、73には、連続搬送される筒状体15a側の対向縁にV字状あるいはU字状の集束溝が形成されている。集束接合装置70は、不在部15bが流れてきたときに、対向する集束板72、73を近接させ、このとき左右の集束板72、73が重なり、それぞれの集束溝の底同士で不在部15bを集束し、その後超音波ホーン77の突起部77aとアンビル78の受部78aとで不在部15bを挟圧すると共に集束された不在部15bを溶着して、集束された不在部に2つの位置Y1、Y2で線状の二次シールを、2つの一次シールの間(X1とX2の間)に、施すように構成されている。本実施の形態では、一次シール及び二次シールが結紮手段となる。
【0036】
カッター81は、アンビル78内の中程の位置に設けられている。カッター81は板状に形成されており、切断される不在部15bが存在する側に鋭利な刃部が設けられている。カッター81も、アンビル78と同様に、往復動をする。そこで、集束接合装置70及びカッター81は、共通の駆動装置(不図示)により駆動する構成とするのが、構成が単純化されて好ましい。ただし、集束板72、73が互いに近接し、超音波ホーン77とアンビル78とが不在部15bを挟圧した後に、カッター81がフィルムを切断する位置に動くような構成とすることが好ましい。また、横接合装置61、集束接合装置70及びカッター81は、筒状体15aが下方に送られるのと同じ速さで下方に移動しつつ、不在部15bを挟み込み一次シール及び二次シールを施し、切断した後、不在部15bを開放して上の位置に戻る、いわゆる「拝み運動(ボックスモーション)」をするのが好ましい。そこで、横接合装置61、集束接合装置70及びカッター81が、共通の上下に移動する架台(不図示)上に設置されると、構成が簡単になる。
【0037】
続いて図1〜図3を参照して、溶着機1及び包装体製造装置100の作用を説明する。溶着機1の作用は、包装体製造装置100の作用の一貫として説明する。包装体製造装置100が以下に説明するように作用することで、包装体Rが得られる。原反21は、後の工程で形成される筒状フィルムFtの軸直角断面における円周長よりも両側部が重なる分だけ長い幅を有する長尺の合成樹脂が用いられており、原反25は、開封片Fpの長手方向の距離(包装体Rの軸直角断面における円周方向の長さ)に相当する幅を有する長尺の合成樹脂が用いられている。原反25の幅は、製造された包装体Rのフィルムを開封しやすくする観点から、例えば原反21の幅の1/4〜1/3あるいは15〜30mmとなっており、本実施の形態では原反21の幅の2/7であって20mmとなっている。開封片Fpは、帯状フィルムFbよりも小さい。
【0038】
原反21から引き出された帯状フィルムFbは、ガイドローラ22A、22B、22Cで方向を変え、所定の張力がかけられてたわまないようにされたうえで溶着機1に導かれる。他方、原反25から引き出された開封片Fpは、ガイドローラ26A、26B、26C、26Dで方向を変え、所定の張力がかけられてたわまないようにされたうえで溶着機1に導かれる。溶着機1に導かれた帯状フィルムFb及び開封片Fpは、帯状フィルムFbが上方(ホーン2側)、開封片Fpが下方(アンビル5側)となる位置関係で、ホーン2とアンビル5との間に進入する。このとき溶着機1及びカッター8は、帯状フィルムFb及び開封片Fpの流れ方向最上流の位置で帯状フィルムFb及び開封片Fpの進入を待機している。
【0039】
帯状フィルムFb及び開封片Fpは、同じ速度でホーン2とアンビル5との間に進入する。開封片Fpがアンビル5に対して所定の位置まで進入すると、中央面5aに形成された吸引孔5ahから空気などの気体が内部に吸引され、開封片Fpの位置がアンビル5に対して固定され、開封片Fpがアンビル5に保持される。開封片Fpがアンビル5に対して固定される所定の位置は、包装体Rとなったときにその包装体Rの長手方向で見た開封片Fpの長さの半分の位置に、一本溶着線Laが形成される位置であり(図2参照)、本実施の形態では、包装体Rの長手方向で見た開封片Fpの先端から4〜5mmの位置に一本溶着線Laが形成される位置である。開封片Fpが吸引孔5ahに吸引される直前から、溶着機1及びカッター8は、帯状フィルムFb及び開封片Fpと同じ方向に同じ速度で動き出す(横移動)。そして、溶着機1は横移動しながらホーン2とアンビル5とで帯状フィルムFb及び開封片Fpを挟圧して超音波加熱溶着をし、カッター8は横移動しながら開封片Fpを所定の位置(一本溶着線Laが開封片Fpの流れ方向中央となる位置)で切断する。開封片Fpが切断されたら、吸引孔5ahからの気体の吸引を停止して、開封片Fpがアンビル5から離れることができるようにする。
【0040】
帯状フィルムFb及び開封片Fpの溶着が行われる際、発振面2Fの中央部分が最も超音波エネルギーが大きく、中央部分から外側に行くほど超音波エネルギーが減衰する特性となる。このため、一本面2aから発振される超音波エネルギーが、周囲面2bから発振されるものよりも大きくなる。そして、一本面2aに当接する部分から帯状フィルムFb及び開封片Fpの溶融が生じ、溶融されたフィルムはホーン2に押圧されて一本面2aの周囲に形成されている溝2gに移動する。これにより、帯状フィルムFb及び開封片Fpに対する一本面2aの押圧状態がその全域において概ね同じとなり、形成された一本溶着線La全体が同様の強さで溶着されていることとなる。このため、包装体Rとなったときに開封片Fpをめくると一本溶着線Laの部分から確実に帯状フィルムFbが破壊される強さで一本溶着線Laを形成することができる。一本溶着線Laが形成される際、発振面2Fの中央部分における振動圧力を基準である1と換算した場合、開封片Fpをめくったときの包装体Rの開封を成功させる確率を向上させる観点から、一本面2aの端部(一本溶着線Laの端部Laeに対応する部分)における振動圧力が0.8以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましい(上限はいずれも基準である1以下になる)。他方、周囲面2bから発振される超音波エネルギーが一本面2aから発振されるものよりも小さいことに加え、周囲面2bの面積が一本面2aの面積よりも大きいために周囲面2bの単位面積当たりから発振される超音波エネルギーが比較的小さくなることにより、非平行溶着線Lbの強度は一本溶着線Laよりも小さくなるが、一本溶着線Laで破壊された帯状フィルムFbの破壊線の誘導を非平行溶着線Lbに沿わせるという機能を発揮するのには差し支えない。それでいて、周囲面2bの面積が比較的大きく形状が比較的単純になることにより、発振面2Fの摩耗を抑制することができ、一体ものとして一般に高価なホーン2の寿命を延ばすことができる。上述のようにして、帯状フィルムFbに開封片Fpが溶着された小片付フィルムFsが形成される(小片溶着工程)。
【0041】
溶着機1で帯状フィルムFbに開封片Fpが溶着されて得られた小片付フィルムFsは、ガイドローラ29A、29B、29Cを通過してフォーミングプレート11に到達する。フォーミングプレート11に到達した小片付フィルムFsは、フォーミングプレート11の上端縁に形成された湾曲傾斜を介して円筒状の内部に引き込まれ、両側部が重ねられて筒状に巻かれる。筒状に巻かれた小片付フィルムFsは、その形態を維持してフォーミングプレート11の下方に位置する案内筒12に送られる。筒状に巻かれた小片付フィルムFsが案内筒12に沿って下方に送られる際、縦接合装置13によって小片付フィルムFsの両側部が長手方向に沿って溶着される。筒状に巻かれた小片付フィルムFsの両側部が溶着されることにより、筒状フィルムFtが形成される(筒状フィルム形成工程)。
【0042】
縦接合装置13で溶着されて筒状フィルムFtが形成されると、この筒状フィルムFt内にポンプ31からノズル32を経て内容物Cが充填される(充填工程)。筒状フィルムFtに内容物Cが充填されて生成された筒状体15aは、送りローラ14によって下流側へ搬送される。一対の送りローラ14は、筒状体15aを局部的に押しつぶすように狭圧して搬送するが、押しつぶされた筒状体15aは、送りローラ14の位置を通過した後は内容物Cによる内圧により元の筒形に復帰する。その後、筒状体15aは、送りローラ14の下流側で一対のしごきローラ41により間欠的に所定の長さにわたり狭圧され、筒状フィルムFtの重ねられた両側部が片面に収まるように扁平にされて、内容物Cのない不在部15bが所定の間隔をもって形成される。
【0043】
筒状体15aは順次しごき装置40の下流に送られ、形成された不在部15bが横接合装置61に至ると、超音波ホーン62の2つの突起部62aとアンビル63との間に不在部15bが挟まれ、超音波ホーン62から超音波エネルギーが放出されて、不在部15bに対して2つの線状の一次シールが施される(一次シール工程)。続いて、一次シールが施された不在部15bは、下流に送られ、集束接合装置70の位置に達する。集束接合装置70において、まず、しごき装置40で形成された不在部15bは、対向する集束板72、73により集束溝の溝底に、細く集束される(集束工程)。次に、集束された不在部15bを、二次シール装置76の超音波ホーン77の2つの突起部77aとアンビル78の対向面で挟み込み、2つの位置Y1、Y2で二次シールが施される(二次シール工程)。本実施の形態では、一次シール工程と集束工程と二次シール工程とで、結紮工程を構成している。そして、二次シールが施された直後に、カッター81によって、フィルムは2つの二次シールの間で切断される(切断工程)。このように、シールの間で切断されることにより、1個ずつの包装体Rとなる。この包装体Rは、包装体製造装置100から取り出され、次の工程に供給される。
【0044】
上述のようにして製造された包装体Rは、筒状フィルムFtの重ねられた両側部の裏側の一方の結紮端部Re寄りに、溶着線Lにより開封片Fpが取り付けられている。溶着線Lは、一本溶着線Laよりも結紮端部Re側に非平行溶着線Lbが形成されており、非平行溶着線Lbは一本溶着線La側から結紮端部Re側に移るにつれてその間隔が広がるように形成されている。このような包装体Rは、開封片Fpを結紮端部Reの方向にめくった際に、一本溶着線Laの端部Laeが起点となって破壊された筒状フィルムFtが、非平行溶着線Lbに達したときに非平行溶着線Lbに沿って破壊される。また、一本溶着線Laが開封片Fpの胴部側辺Fpfに対して間隔を空けて平行に形成されているので開封片Fpの胴部側辺Fpfのどこでもつまみやすい。また、非平行溶着線Lbの結紮端部Re側の両端Lbfが開封片Fpの角部に達しているので非平行溶着線Lbの結紮端部Re側の両端Lbf部分における筒状フィルムFtの破壊が起こりやすくなって、筒状フィルムFtの開封を容易かつきれいに行うことができる。また、一本溶着線Laと非平行溶着線Lbとが離れて形成されているので、開封片Fpを結紮端部Reの方向にめくった際に、一本溶着線Laの端部Laeが筒状フィルムFtの破壊の起点にならなかったとしても非平行溶着線Lbの端部Lbnを筒状フィルムFtの破壊の起点とすることができ、開封が成功する確率を高めることができる。
【0045】
以上の説明では、溝外縁2gpが菱形に形成されているとしたが、その他の多角形あるいは楕円形や円形であってもよい。しかしながら、菱形とすると、発振面2Fの形状を比較的単純にしつつ周囲面2bを広くすることができるため、受面5Fに形成する非平行面5b及び必要に応じて形成される押さえ面(次段落参照)の配置の自由度が増し、好適である。
【0046】
以上の説明では、溶着線Lが一本溶着線Laと非平行溶着線Lbとからなっているとしたが、開封片Fpのめくれを抑制する観点から、端部側辺Fpeに直交する両辺に達する2本の溶着線を押さえ溶着線として別途形成することとしてもよい。押さえ溶着線は、例えば、2つの溶着線がそれぞれ端部側辺Fpeに直交する両辺に達するように、一本溶着線Laよりも胴部側辺Fpf(端部側辺Fpeに対向する開封片Fpの辺)側に形成されているとよい。また、押さえ溶着線は、非平行溶着線Lbよりも短く、点に近い線であってもよい。押さえ溶着線は、胴部側辺Fpfから開封片Fpの幅の1/3程度の距離に形成されていてもよい。押さえ溶着線が形成される場合は、発振面2F及び受面5Fが、典型的には以下のように構成される。周囲面2bは、被溶着物Fjに溶着線Lが形成されたときに、非平行溶着線Lb及び押さえ溶着線を包含する位置及び面積に形成される。換言すれば、被溶着物Fjを溶着した際に、溝外縁2gpよりも外側かつ周囲面2bの矩形外縁の内側に非平行溶着線Lb及び押さえ溶着線が形成され、周囲面2bの面積が非平行溶着線Lb及び押さえ溶着線の面積よりも大きく形成される。他方、受面5Fは、中央面5a及び非平行面5bのほか、押さえ溶着線に対応する形状の押さえ面が残るようにこれらの周囲が削り取られて形成される。押さえ面は、押さえ溶着線に対応する形状に、換言すればホーン2と協働して被溶着物Fjを挟圧溶着したときに押さえ溶着線が形成される形状に、形成される。また、押さえ面は、受面5Fと発振面2Fとを接触させたときに溝外縁2gpの外側で周囲面2bに包含される位置に形成される。
【0047】
以上の説明では、包装体製造装置100が横接合装置61を備えることとしたが、集束接合装置70による集束後のシールで包装体Rの密封性が充足する場合は、横接合装置61を省略してもよい。包装体製造装置100は、横接合装置61をオプションとして組み込みの有無を適宜決定できる構成とするとよい。横接合装置61が省略される場合は、典型的には、しごき装置40の下流側次段に集束接合装置70が設けられる。
【符号の説明】
【0048】
1 溶着機
2 ホーン
2F 発振面
2a 一本面
2b 周囲面
2g 溝
2gp 溝外縁
5 アンビル
5F 受面
5a 中央面
5b 非平行面
10 筒状形成機
30 充填機
70 集束接合装置
100 包装体製造装置
C 内容物
Fb 帯状フィルム
Fj 被溶着物
Fp 開封片
Fs 小片付フィルム
Ft 筒状フィルム
La 一本溶着線
Lb 非平行溶着線
Ps 基準点
Xa 横軸線
Ya 縦軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の主フィルムと、合成樹脂製の小片フィルムとが重ねられた被溶着物に超音波エネルギーを与え、前記主フィルムと前記小片フィルムとを溶着する溶着機であって;
前記被溶着物に超音波エネルギーを伝達するホーンと;
前記被溶着物を前記ホーンとの間で挟み、前記ホーンの押圧力を受けるアンビルとを備え;
前記主フィルムと前記小片フィルムとの溶着が、前記小片フィルム内で線状に1本が延びる一本溶着線と、前記一本溶着線から遠ざかるにつれて広がりながら延びる2本の溶着線で形成された非平行溶着線と、を含んで行われるように、前記ホーン及び前記アンビルが構成され;
前記ホーンの前記アンビルに対向する発振面が、前記一本溶着線に対応する形状に形成された一本面と、前記非平行溶着線に対応する形状を包含して前記非平行溶着線に対応する形状よりも広い周囲面とを含み、前記一本面と前記周囲面との間に溝が形成され;
前記アンビルの前記ホーンに対向する受面が、前記非平行溶着線に対応する形状に形成された非平行面と、前記一本溶着線に対応する形状を包含して前記一本溶着線に対応する形状よりも広い中央面とを含んで形成された;
溶着機。
【請求項2】
前記一本面及び前記溝が、前記発振面の基準点を通り互いに直交する横軸線及び縦軸線のそれぞれに対して線対称に形成された;
請求項1に記載の溶着機。
【請求項3】
前記発振面は、前記溝の外周が菱形に形成され、前記一本面が前記溝の外周を形成する菱形の一方の対角線上に形成されて構成された;
請求項1又は請求項2に記載の溶着機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の溶着機と;
帯状に形成されている前記主フィルムに前記小片フィルムが溶着された小片付帯状フィルムを、前記帯状の長手方向に延びる両側部が重なるように筒状に巻き、重なった前記両側部を接合して、筒状フィルムを形成する筒状フィルム形成機と;
前記筒状フィルムに内容物を充填する充填機と;
前記内容物が充填された前記筒状フィルムの両端を結紮する結紮機とを備える;
包装体製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載の包装体製造装置を用いて包装体を製造する方法であって;
帯状の前記主フィルムに対し、矩形に形成された前記小片フィルムを、前記小片付帯状フィルムを筒状に巻いた際に重なった前記両側部の裏側に前記小片フィルムがくる位置に重ね、前記溶着機で前記被溶着物を溶着する小片溶着工程と;
前記筒状フィルム形成機で前記筒状フィルムを形成する筒状フィルム形成工程と;
前記充填機で前記筒状フィルムに内容物を充填する充填工程と;
前記結紮機で前記内容物が充填された前記筒状フィルムの両端を結紮する結紮工程とを備える;
包装体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−11784(P2011−11784A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156637(P2009−156637)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】